JPH05295427A - 連続焼鈍による軟質表面処理原板の製造方法 - Google Patents

連続焼鈍による軟質表面処理原板の製造方法

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JPH05295427A
JPH05295427A JP9666692A JP9666692A JPH05295427A JP H05295427 A JPH05295427 A JP H05295427A JP 9666692 A JP9666692 A JP 9666692A JP 9666692 A JP9666692 A JP 9666692A JP H05295427 A JPH05295427 A JP H05295427A
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continuous annealing
rolled
hot
steel
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Teruaki Yamada
輝昭 山田
Masahiko Oda
昌彦 織田
Kazuya Ezure
和哉 江連
Takeshi Harada
武 原田
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Nippon Steel Corp
Original Assignee
Nippon Steel Corp
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  • Heat Treatment Of Steel (AREA)
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 高温焼鈍が可能で、コンパクトで設備費の小
さい超急速加熱短時間焼鈍で、T−1〜T−3の製造が
可能な連続焼鈍による軟質表面処理原板の製造法を提供
すること。 【構成】 (1)C:0.0005〜0.0030%、
Mn:0.05〜0.60%、P:0.001〜0.0
25%、S:0.001〜0.025%、solAl:
0.012〜0.120%、N:≦0.0050%、
T.O:≦0.0070%、必要によりBをB/Nで
0.4〜2.5添加した鋼片を、通常の方法で熱間圧
延、85%以上の冷間圧延を行い、その後、連続焼鈍に
て少なくとも500℃以上の温度域を300〜2000
℃/sで650〜850℃に加熱し3秒以下の保定を行
い、その後室温まで冷却し再結晶焼鈍を行い、次いで、
0.5〜5%の調質圧延を施すことを特徴とする連続焼
鈍による軟質表面処理原板の製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は錫メッキやクロム酸処理
などの表面処理が施される表面処理原板の硬さレベル
が、テンパー度で1〜3の表面処理用原板を連続焼鈍で
製造する方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】錫メッキやクロム酸処理などの表面処理
が施される表面処理原板の硬さレベルがテンパー度で1
〜3の軟質表面処理用原板(以下それぞれT−1〜T−
3と記す)は、これまで、焼鈍時間が2〜3日もかかる
箱焼鈍法で製造されてきた。この方法は、バッチ式で且
つ焼鈍に2〜3日も要するため、生産性が極めて悪く、
生産性の良好な焼鈍方法の開発が望まれてきた。
【0003】この問題を解決すべく、比較的生産性の良
好な連続焼鈍方式でT−1〜T−3の軟質表面処理原板
を製造する方法が提案されているが、この場合も焼鈍時
間が1〜2分かかり、焼鈍炉内に滞留するコイルの長さ
が1000m前後にもなり、設備長が長く連続焼鈍装置
の建設費が高い。又、このような炉は、設備の設置スペ
ースを短くするためハースロールを上下に配置し、その
間を鋼帯が上下しながら通過する縦パス型炉が採用され
ている。
【0004】そのため、より軟質なメッキ原板を製造す
るのに効果的な例えば700℃を超えるような高温焼鈍
では、鋼板の強度が大きく低下し絞り(しわ)が発生す
るようになり、形状の良好な軟質表面処理原板の製造が
難しくなる。
【0005】一方、超短時間連続焼鈍法について例えば
特公昭36−10052号公報、特公昭36−2115
5号公報、特公昭40−3020号公報、特公昭46−
19781号公報、及び「Recrystalliza
tion '90 Edited by Chandra
The Minerals,Metals & Ma
terials Society,1990」の文献
(以下文献1と記す。)がある。しかし、特公昭36−
21155号公報は200〜300℃でコイルとして巻
き取らねばならず酸化の問題、巻き取り設備の問題、巻
き取ったコイルの冷却方法或いは冷却時のコイル内外周
の不均一冷却の問題があり、T−2.5レベルで軟質化
が不十分である。
【0006】又、特公昭40−3020号公報はテンパ
ー度が6以上の製造方法で、特公昭46−19781号
公報はHR30Tが72以上の極めて硬質な材質の表面処理
原板を製造する方法で、これらの方法ではT−1〜T−
3の製造は不可能である。特公昭36−10052号公
報は急速加熱を行い均熱を殆ど行わず急冷する焼鈍時間
が約15sec の短時間焼鈍法であるが、この方法の大き
な問題点は同公報の第1表に示されているように、得ら
れる材質の硬さがHR30Tで65とテンパー度が5(以下
T−5と記す)のものしかできないことである。
【0007】又、文献1で紹介されている内容は、1)
リムド鋼の熱延板を脱炭焼鈍し、C含有量を0.005
%にした鋼を用い70%の冷間圧延を行い、0.2sec
(約3500℃/s)で加熱し0.1sec の均熱を行い
水スプレーで急冷した結果、0.5sec ,0.3sec 加
熱(約2000℃/s〜3000℃/s)の場合よりも
顕著に再結晶温度が低下したことが、又、2)0.5se
c ,0.3sec で加熱(約2000℃/s〜3000℃
/s)の場合は、約830℃,800℃以上にもなるこ
とが紹介されている。即ち、文献1の方法は、熱延板を
脱炭焼鈍し且つ加熱温度の温度制御が極めて困難な0.
2sec(約3500℃/s)の加熱速度、即ち0.01se
c のような極めて微かな加熱時間のバラツキで、実に3
5℃もの温度バラツキとなるような実用化が極めて困難
な加熱速度条件とが必要であり、実用に供するには適し
ない方法であることがわかる。
【0008】以上のように、コンパクトで高温焼鈍が可
能で通板のスケジューリングの自由度の大きい超急速加
熱短時間焼鈍の従来法では、軟質材の製造ができなかっ
たり、実験室レベルではできても(文献1の方法)経済
的にも工業的にも実機化が不可能である。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明で解決しようと
する課題は、経済性に優れ、高い生産性と、高温焼鈍が
可能な、コンパクトで設備費の小さい超急速加熱短時間
焼鈍設備で、T−1〜T−3の製造が可能な連続焼鈍に
よる表面処理原板の製造方法を提供することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、上記課題
を解決するため、鋼成分、熱延条件、冷間圧延条件、連
続焼鈍条件について総合的に検討し、本発明の製造方法
を見いだしたものである。
【0011】本発明の要旨は下記の通りである。 (1)C:0.0005〜0.0030%、Mn:0.
05〜0.60%、P:0.001〜0.025%、
S:0.001〜0.025%、solAl:0.01
2〜0.120%、N:≦0.0050%、T.O:≦
0.0070%、残部不可避的不純物及び鉄よりなる鋼
片を、通常の熱間圧延条件で加熱、熱間圧延を行い、巻
き取り熱延鋼帯とし、85%以上の冷間圧延を行い、そ
の後、連続焼鈍にて少なくとも500℃以上の温度域を
300〜2000℃/sで650〜850℃に加熱し3
秒以下の保定を行い、その後室温まで冷却し再結晶焼鈍
を行い、次いで、0.5〜5%の調質圧延を施すことを
特徴とする連続焼鈍による軟質表面処理原板の製造方
法。
【0012】(2)C:0.0005〜0.0030
%、Mn:0.05〜0.60%、P:0.001〜
0.025%、S:0.001〜0.025%、sol
Al:0.012〜0.120%、N:≦0.0080
%、B:B/N(原子量比)で0.4〜2.5、T.
O:≦0.0070%、残部不可避的不純物及び鉄より
なる鋼片を、通常の熱間圧延条件で加熱、熱間圧延を行
い、巻き取り熱延鋼帯とし、85%以上の冷間圧延を行
い、その後、連続焼鈍にて少なくとも500℃以上の温
度域を300〜2000℃/sで650〜850℃に加
熱し3秒以下の保定を行い、その後室温まで冷却し再結
晶焼鈍を行い、次いで、0.5〜5%の調質圧延を施す
ことを特徴とする連続焼鈍による軟質表面処理原板の製
造方法。
【0013】以下に本発明について詳細に述べる。本発
明者等は、先に述べた連続焼鈍法に於いて高温焼鈍が困
難であることの原因は、ハースロールに鋼板が接触する
ことに起因するものと考え、高温域で鋼板をハースロー
ルに接触させないようにすれば抜本的に問題が解決でき
ると考え、その解決手段として、超急速加熱を行い且つ
高温での滞在時間を極めて短くする方法について種々検
討した。
【0014】本発明者等は、この課題を解決するため、
その製造方法について、成分含有量、熱延条件、冷間圧
延条件、連続焼鈍条件について総合的に検討し、連続
焼鈍の加熱に於いて少なくとも500℃以上の温度域を
300〜2000℃/sで650〜850℃に加熱する
こと、再結晶焼鈍後の結晶粒径を大きくするために、
C:0.0005〜0.0030%にすること、の2点
を主ポイントとすることにより、極めてコンパクトな連
続焼鈍設備でT−1〜T−3の製造が可能となることを
初めて見いだしたものである。
【0015】尚、本発明の方法が目的とするT1〜T〜
3の軟質表面処理原板は、曲げ成形加工を伴う食缶など
にも使用され、その曲げ加工時に鋼板中の固容C,Nが
多すぎるとフルーティングと称する腰折れが発生し不良
品となる。従って、鋼板中の固容C,N量を規制し、耐
フルーティング性を確保する必要がある。
【0016】図1は、本発明のポイントの「連続焼鈍
の加熱に於いて少なくとも500℃以上の温度域を30
0〜2000℃/sで650〜850℃に加熱するこ
と」の効果を示した図である。本発明の方法で製造した
C含有量が0.0016%,90%の冷間圧延率で圧延
した板厚が0.25mmの冷延板を、図2に示すヒートサ
イクルで加熱速度(αH )と均熱温度(T)を変え、時
間(t)を0.1sec 、冷却速度(αC )を300℃/
sとし、熱処理を行った鋼板の組織を調査し、再結晶の
完了する温度を求め、その結果を示した図である。
【0017】図1から、加熱速度を300℃/s以上と
することにより再結晶完了温度が顕著に低下することが
わかる。このことから、均熱時間が殆どないようなコン
パクトな連続焼鈍設備でT−1〜T−3を製造するに
は、本発明の連続焼鈍の加熱に於いて300℃/s以上
の超急速加熱することが極めて重要であることがわか
る。
【0018】尚、文献1では、約1700℃/s(t1
=0.5sec)程度の加熱速度では再結晶完了温度が80
0〜830℃と著しく上昇しているが、図1に示す結果
は、大きく異なった結果となっている。この理由につい
ては、今後の詳細な検討が必要であるが、冷間圧延率が
70%であるのに対し90%と大幅に高くなっているこ
と、又、成分、特にT.O含有量が0.0375%と高
いリムド鋼の熱延板を脱炭焼鈍した素材を供試鋼とした
こと、などの条件の違いによる影響によりこのように異
なった結果となったのではないかと考えられる。
【0019】尚、このように300℃/s以上で加熱す
ることにより、従来の20℃/sより再結晶温度が低下
するメカニズムについては必ずしも充分に解明できてい
ないが、 A.超急速加熱の場合は、再結晶のスタート時に於ける
サブグレインの粒界の移動速度並びに粒成長時の粒界の
移動速度が極めて速いので、粒界への偏析元素の粒界へ
の移動が追従しなくなり粒界の移動を妨げる偏析元素が
少なくなる。その結果、超急速加熱を行うことにより再
結晶がより低温で起こるとともに粒成長も容易となりよ
り軟質材が得られるようになった。尚、冷間圧延率、成
分、などはこのサブグレインの生成並びに大きさなどに
影響を与えているのではないかと考えられる。
【0020】B.超急速加熱の場合は、再結晶〜粒成長
の間の時間があまりにも短いので再結晶前、途中、粒成
長の段階に於いてAlNの微細析出が殆ど起こらなくな
る。その結果、超急速加熱を行うことにより再結晶がよ
り低温で起こるとともに粒成長も容易となりより軟質材
が得られるようになった。
【0021】などの効果によるものではないかと推察さ
れる。尚、これらのA,Bの効果は、連続焼鈍の加熱に
於いて少なくとも500℃以上の温度域を300℃/s
以上で650〜850℃に加熱することで得られた。本
発明のポイントのは、ポイントの超急速加熱効果を
発揮させるための成分並びに熱延条件である。まずC含
有量を0.0005〜0.0030%とすることを主要
条件とする方法で、C含有量が0.0030%超になる
とCの悪影響が大きくなり過ぎフルーティング性が劣化
するようになるのでC含有量を規制する必要がある。又
本発明範囲として、B:B/N(原子量比)で0.4〜
2.5を含有せしめることによりNをBNとして粗大析
出させ悪影響を緩和させることにより、N含有量を≦
0.0080%と規制を大幅に緩和させることができ
る。
【0022】以下に製造条件について詳細に述べる。C
は、前述のように、特にフルーティング性に大きく影響
する元素で、超急速加熱焼鈍時の再結晶焼鈍後の固容C
量に大きく影響を与え、C含有量が増加するにつれて固
容Cが増加しフルーティング性が劣化する。C含有量が
0.0030%超になるとフルーティング性が限界を超
えるようになるので、C含有量の上限を0.0030%
とした。尚、C量が0.0005%未満では通常の製鋼
の真空脱ガス法では製造が困難となるので、下限のC含
有量を0.0005%とした。Mn,P,S,solA
lは、材質を硬質化するばかりではなく、これらの元素
が増加すると鋼板の耐食性を劣化させるので、それぞれ
の元素の上限値を0.060%,0.025%,0.0
25%,0.120%とした。尚、Mn,P,Sの各々
の下限値は通常の製造法では得られる範囲をもって下限
値とした。又、solAl含有量は0.012%未満で
は、脱酸不足のためT.O含有量が高くなり0.007
0%以下とすることができなくなるので少なくとも0.
012%は必要で、下限のsolAl量を0.012%
とした。
【0023】N含有量は、第1発明では、N含有量が
0.0050%超になると、超急速加熱焼鈍を行っても
Nが多いため微細なAlNが析出するようになるので
0.0050%を上限値とした。又、第2発明では、B
添加によりNをBNとして固定するためにN含有量が多
くても軟質な材質が得られるが、N含有量が0.008
0%超になるとBNの析出量が多くなりすぎ材質を硬く
しT−1〜T−3の硬度が得られなくなるので0.00
80%を上限値とした。尚、N含有量は低いほど軟質な
鋼板が得られるので特に下限値を規制する必要はない。
【0024】T.O含有量は、0.0070%超になる
とスラブの表層付近に気泡が発生し、メッキ原板の表面
傷などが増え良好な製品が得られなくなるとともに、軟
質な材質が得られなくなるので0.0070%を上限値
とした。尚、下限値は、特に規制する必要がないので規
制しなかった。
【0025】Bは、第2発明として、B:B/N(原子
量比)で0.4〜2.5を含有せしめることによりNを
BNとして粗大析出させ悪影響を緩和させ、N含有量を
≦0.0080%と規制を大幅に緩和させることができ
る。BがB/N(原子量比)で0.4未満ではNをBN
として粗大析出させることができず、又、B/N(原子
量比)で2.5超では固容のBが多くなり過ぎ材質が硬
質化しT−1〜T−3が得られなくなるので、B/N
(原子量比)を0.4〜2.5に規制した。
【0026】熱延条件は、特に規制する必要がなく通常
の熱延条件でよい。尚、第1発明の方法では、熱延時に
高温巻き取りをすることによってNの悪影響をより完全
になくすことができ、より軟質な材質が得られるので必
要に応じ高温巻き取りを行えばよい。更に、熱延の加熱
条件は、特に規制する必要がなく通常行われる加熱条件
でよいが、より軟質な鋼板を得るには、1150℃以下
の加熱温度(SRTと記す)が好ましい。
【0027】冷間圧延時の冷間圧延率は、低いと再結晶
焼鈍時の再結晶温度が高くなり、材質が硬くなりT−1
〜T−3が得られ難くなると共に、メッキ製品は板厚が
薄いので85%未満の冷間圧延率では熱延板の板厚が薄
くなりすぎ熱間圧延が困難となるので、下限値を85%
とした。尚、上限値は特に規制する必要がないので規制
しなかった。
【0028】連続焼鈍時の再結晶焼鈍の加熱速度は、本
発明の最も重要なポイントで、その効果並びにそのメカ
ニズムは先に推察した通りである。加熱速度が300℃
/s未満では超急速加熱効果が得られず、材質が硬化し
T−1〜T−3の硬度が得られなくなるので300℃/
sを下限値とした。尚、2000℃/s超の加熱速度で
はあまりにも加熱速度が速すぎるため加熱の到達温度の
制御が不安定となり、安定した品質が得難くなるので2
000℃/sを上限とした。
【0029】再結晶焼鈍時の焼鈍温度は、650℃未満
では超急速加熱焼鈍でも充分な再結晶が起こらずT−1
〜T−3の硬度が得られなくなるので650℃を下限値
とした。尚、焼鈍温度が850℃超になると均熱帯を通
過する時に鋼板が軟化し延び易くなり、通板性が悪くな
るので850℃を上限値とした。
【0030】再結晶焼鈍時の均熱時間は、超急速加熱焼
鈍では均熱時間がなくとも充分な再結晶と粒成長が生
じ、T−1〜T−3の硬度が得られるので均熱時間の下
限値は規制する必要がない。尚、均熱時間の上限を3se
c としたのは、本発明の目的である「設備費を大きく軽
減し得る極めてコンパクトな連続焼鈍設備でT−1〜T
−3の製造が可能な連続焼鈍による表面処理原板を製造
する方法」の思想から外れるようになるので3sec を上
限値とした。
【0031】再結晶焼鈍後の冷却条件は、本発明の鋼で
は材質に特に影響を与えないので特に規制する必要がな
く、徐冷となる通常のガスジェット冷却法や300℃/
sのような強力なガスジェット冷却法などで室温まで冷
却すればよい。尚、本発明鋼の場合は300〜500℃
付近で数秒から数分の過時効処理は材質に殆ど影響せず
過時効処理の効果がないが、過時効処理を施しても差し
支えがない。
【0032】調質圧延は、フルーティング性を向上させ
るために必要で、0.5%以上で良好なフルーティング
性が得られるようになるので少なくとも0.5%以上の
調質圧延を施す必要がある。更に、2%以上の調質圧延
を施せば、極めて良好なフルーティング性が得られるよ
うになるので必要に応じ2%以上の調質圧延を施せばよ
い。尚、調質圧延率が5.0%超になると材質の硬質化
が著しくなりT−1〜T−3の硬度が得られなくなるの
で上限値を5.0%とした。
【0033】
【実施例】表1,2に示す成分、熱延条件で2.5mmの
熱延鋼帯を製造し、冷間圧延率90%で冷間圧延した
0.25mmの冷延鋼板を図2に示すヒートサイクルで表
2に示す温度、時間条件で連続焼鈍を施し、1.2%の
調質圧延を施し、表面処理原板を得た。得られた表面処
理原板の硬度(HR30T)を測定し、その結果を表2に示
す。フルーティング性は、リフロー相当の熱処理を行っ
た後三本ロールで曲げ成形を行いフルーティング性を調
査した。
【0034】
【表1】
【0035】
【表2】
【0036】鋼A,Bは、第1発明の範囲内の成分の
鋼、鋼Cは第2発明の範囲内の成分の鋼、鋼Dは発明の
方法の範囲外の製造条件のものである。試料1,2,
3,4,5,6は、本発明の方法の実施例で、何れもT
−1〜T−3の硬度範囲(HR30T=58±3〜61±
3)でフルーティング性も良好な特性値が得られてい
る。
【0037】試料1,2,3,4,5は、何れも、表
1,2に示すようにC量などの成分、熱延条件、並びに
焼鈍条件を第1発明の範囲内の実施例であり、HR30T
46〜52で良好なフルーティング性が得られ、T−1
〜T−3のメッキ原板が得られることがわかる。又、試
料4は、調質圧延率を3.5%と増やして製造した例
で、フルーティング性が特に優れた鋼板が得られてい
る。
【0038】試料6は、表1,2に示すように主として
Bを0.0037%添加した第2発明の実施例である。
第2発明の方法であればN含有量が0.0056%と高
くても軟質な表面処理原板が得られることがわかる。試
料7は第1発明の方法のC量が高く外れた比較例で、フ
ルーティング性が劣悪となることがわかる。
【0039】試料8は、焼鈍前の加熱速度が20℃/s
と低く外れた比較例で、硬度が60と高く軟質なメッキ
原板が得られないことがわかる。試料9は、焼鈍時の均
熱時間が20sec と長く焼鈍時間が約80sec と現在工
業的に行われている連続焼鈍条件の従来例である。試料
9は本発明例の試料5と同じレベルの硬度となってい
る。この結果と本発明例とを比較すると、焼鈍時間が3
〜5sec と極めて短い本発明法は、焼鈍時間が約80se
c と長い従来法と同等の材質が得られ、工業的価値が大
きいことがわかる。
【0040】
【発明の効果】本発明によれば、高温焼鈍が可能で、コ
ンパクトで設備費の小さい超急速加熱短時間の連続焼鈍
設備で、T−1〜T−3の表面処理原板の製造が可能と
なり、その工業的価値は大である。
【図面の簡単な説明】
【図1】連続焼鈍の加熱速度と硬度との関係を示す図表
である。
【図2】調査実験並びに実施例に用いた連続焼鈍のヒー
トサイクルを示す図表である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 原田 武 姫路市広畑区富士町1番地 新日本製鐵株 式会社広畑製鐵所内

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 重量比で C :0.0005〜0.0030%、 Mn:0.05〜0.60%、 P :0.001〜0.025%、 S :0.001〜0.025%、 solAl:0.012〜0.120%、 N :≦0.0050%、 T.O:≦0.0070%、 残部不可避的不純物及び鉄よりなる鋼片を、通常の熱間
    圧延条件で加熱、熱間圧延を行い、巻き取り熱延鋼帯と
    し、85%以上の冷間圧延を行い、その後、連続焼鈍に
    て少なくとも500℃以上の温度域を300〜2000
    ℃/sで650〜850℃に加熱し3秒以下の保定を行
    い、その後室温まで冷却し再結晶焼鈍を行い、次いで、
    0.5〜5%の調質圧延を施すことを特徴とする連続焼
    鈍による軟質表面処理原板の製造方法。
  2. 【請求項2】 重量比で C :0.0005〜0.0030%、 Mn:0.05〜0.60%、 P :0.001〜0.025%、 S :0.001〜0.025%、 solAl:0.012〜0.120%、 N :≦0.0080%、 B :B/N(原子量比)で0.4〜2.5、 T.O:≦0.0070%、 残部不可避的不純物及び鉄よりなる鋼片であることを特
    徴とする請求項1記載の連続焼鈍による軟質表面処理原
    板の製造方法。
JP9666692A 1992-04-16 1992-04-16 連続焼鈍による軟質表面処理原板の製造方法 Pending JPH05295427A (ja)

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WO2008133175A1 (ja) * 2007-04-18 2008-11-06 Nippon Steel Corporation 軟質ブリキ鋼板及びその製造方法

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