JPH06192744A - 連続焼鈍によるフルーティング性とロールコータ反り性に優れた軟質表面処理原板の製造方法 - Google Patents

連続焼鈍によるフルーティング性とロールコータ反り性に優れた軟質表面処理原板の製造方法

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JPH06192744A
JPH06192744A JP20427893A JP20427893A JPH06192744A JP H06192744 A JPH06192744 A JP H06192744A JP 20427893 A JP20427893 A JP 20427893A JP 20427893 A JP20427893 A JP 20427893A JP H06192744 A JPH06192744 A JP H06192744A
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annealing
roll coater
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continuous annealing
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Teruaki Yamada
田 輝 昭 山
Masahiko Oda
田 昌 彦 織
Kazuya Ezure
連 和 哉 江
Teruki Hayashida
田 輝 樹 林
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Nippon Steel Corp
Original Assignee
Nippon Steel Corp
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 経済性に優れ、高い生産性と、高温焼鈍が可
能なコンパクトで設備費の小さい超急速加熱短時間焼鈍
法で、T−2〜T−3のフルーティング法とロールコー
タ反り性に優れた軟質表面処理原板の製造方法を提供す
る。 【構成】 C:0.0040〜0.0120%,Mn:
0.05〜0.60%,P:0.001〜0.025
%、S:0.001〜0.025%、solAl:0.
012〜0.120%,N:≦0.0120%,B:B
/N(原子量比)で2.5以下,T.O:≦0.007
0%,残部不可避的不純物及び鉄よりなる鋼片を、通常
の熱間圧延条件で加熱、熱間圧延を行い、巻き取り熱延
鋼帯とし、85%以上の冷間圧延を行い、その後、連続
焼鈍にて少なくとも500℃以上の温度域を100℃/
s以上で650〜850℃に加熱し、3秒以下の保持を
行い、その後室温まで冷却する再結晶焼鈍を行い、次い
で、調質圧延を0.9〜3.5%の範囲で施すことを特
徴とする連続焼鈍によるフルーティング性とロールコー
タ反り性に優れた軟質表面処理原板の製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、錫メッキやクロム酸処
理などの表面処理が施される表面処理原板の硬さレベル
がテンパー度で2〜3(以下、「T−2〜T−3」とい
う)のフルーティング性とロールコータ反り性に優れた
軟質表面処理原板の製造方法に関するものである。
【0002】箱焼鈍法で製造されたAlキルド冷延鋼板
(以下、「BAF−Al−K」という)のような軟質表
面処理原板は、ブリキ板等の表面処理鋼板とされた後、
製缶メーカーで、ロールコータで塗装印刷が施され、曲
成形がなされ缶同部とされて食缶に供される用途に於い
て、ロールコータ塗装時の「ロールコータ反り」が発生
すると言う問題がある。本発明の軟質表面処理原板は、
このロールコータ塗装時の「ロールコータ反り」が問題
となる用途に用いた時にその効果が発揮される。即ち、
本発明の方法で製造された表面処理鋼板は、このロール
コータ塗装時には「ロールコータ反り」がしない程度の
高い降伏強度を有し、その後焼け付け塗装処理後の曲げ
ロールで缶同部に成形される時には腰折れ(「フルーテ
ィング」と称されている)が目視では殆ど見えないと言
う特性がある。
【0003】
【従来の技術】従来、錫メッキやクロム酸処理などの表
面処理が施されるフルーティング性とロールコータ反り
性に優れた軟質表面処理原板の製造方法は、次のように
行われていた。即ち、箱焼鈍法では完全非時効性となり
Y.Pが低く、ロールコータ反りが発生するので、例え
ば、熱延板の状態で固溶Nを残留せしめたAl−K鋼
を、冷間圧延後、焼鈍をCALと称される連続焼鈍炉で
再結晶焼鈍(固溶N,Cを残留せしめた状態)を行う。
その後、軟質化を図るため、BAF焼鈍設備で400〜
500℃の低温で熱処理(Cの析出処理)を行い、CA
L焼鈍後に多量に固溶していたCのみ(固溶Nは、ロー
ルコータ反り性を確保するため、固溶の状態で残してお
く必要がある)をセメンタイトとして析出させることに
より軟質化を図り、T−2〜T−3のフルーティング性
とロールコータ反り性に優れた軟質表面処理原板を製造
している。
【0004】この様に、CALによる連続焼鈍を行った
上に、全焼鈍時間が2,3日も掛かるBAF焼鈍を行う
必要があり、極めて生産性が悪い。
【0005】従来、耐フルーティング性を有する軟質表
面処理鋼板の製造法については、生産性が比較的良好な
連続焼鈍方式でも提案されてはいるが、例えば、特開昭
58−197224号公報のものは、ロールコータ反り
については考慮されておらず、本発明者等の実験に於い
ては、降伏点が低くロールコータ反りが発生した。又、
この連続焼鈍方式では焼鈍時間が1〜2分掛かり、焼鈍
炉内に滞留するコイルの長さが1000m前後にもな
り、設備が長く連続焼鈍装置の建設費が高い、等の問題
もある。
【0006】さらに、本発明の方法のような超短時間連
続焼鈍法については、例えば、特公昭36−10052
号公報、特公昭36−21155号公報、特公昭40−
3020号公報、特公昭46−19781号公報、があ
る。しかし、上記特公昭36−21155号公報のもの
は、200〜300℃でコイルとして巻き取らねばなら
ず、酸化の問題、巻き取り設備の問題、巻き取ったコイ
ルの冷却方法、或いは冷却時のコイル内外周の不均一冷
却の問題がある。また、上記特公昭36−10052号
公報、特公昭40−3020号公報、特公昭46−19
781号公報、特公昭40−3020号公報のものは、
何れも硬質材の製造方法であり、硬さレベルがテンパー
度でT−2〜3のフルーティング性とロールコータ反り
性に優れた軟質表面処理原板の製造方法ではない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、経済性に優
れ、高い生産性と、高温焼鈍が可能な、コンパクトで設
備費の小さい超急速加熱短時間焼鈍設備により、T−2
〜T−3のフルーティング性とロールコータ反り性に優
れた軟質表面処理原板の製造方法を提供することを目的
としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記課題を
解決するため、鋼成分、熱延条件、冷間圧延条件、連続
焼鈍条件について総合的に検討し、本発明を見い出した
ものであり、その発明の要旨は、下記の通りである。
【0009】C:0.0040〜0.0120%,M
n:0.05〜0.60%,P:0.001〜0.02
5%、S:0.001〜0.025%、solAl:
0.012〜0.120%,N:≦0.0120%,
B:B/N(原子量比)で2.5以下,T.O:≦0.
0070%,残部不可避的不純物及び鉄よりなる鋼片
を、通常の熱間圧延条件で加熱、熱間圧延を行い、巻き
取り熱延鋼帯とし、85%以上の冷間圧延を行い、その
後、連続焼鈍にて少なくとも500℃以上の温度域を1
00℃/s以上で650〜850℃に加熱し、3秒以下
の保持を行い、その後室温まで冷却する再結晶焼鈍を行
い、次いで、調質圧延を0.9〜3.5%の範囲で施す
ことを特徴とする連続焼鈍によるフルーティング性とロ
ールコータ反り性に優れた軟質表面処理原板の製造方
法。
【0010】以下に、本発明について詳細に述べる。本
発明者等は、経済性に優れ、高い生産性と、高温焼鈍が
可能な、コンパクトで設備費の小さい超急速加熱短時間
焼鈍法による、T−2〜T−3のフルーティング性とロ
ールコータ反り性に優れた軟質表面処理原板の製造方法
について種々検討した。
【0011】先ず、フルーティング性と材質特性の関係
に付いて種々の調査を行い、フルーティング性は、製缶
時(一般的には塗装焼き付け後ロール曲げ成形)のYP
−E1(200℃×30min の人工時効後)で高くても
7%以下を確保する必要があることが分った。そして、
200℃×30min の人工時効後のYP−E1を少なく
とも7%以下にするためには、焼鈍板の固溶CやNの低
減と共に、再結晶焼鈍板の結晶粒径の粗大化が特に重要
であることが分った。また、調質圧延率については、上
記条件が満たされた場合には、0.9%以上の調質圧延
が施されれば、良好なフルーティング性が確保できるこ
とも分った。
【0012】次に、ロールコータ反り性と材質特性の関
係についても種々の調査を行い、ロールコータ反り性
は、ロールコータ時の降伏点(メッキ処理時のリフロー
処理による高温[約260℃×4sec ]時効による降伏
点の上昇代並びに需要家で塗装されるまでの自然時効に
よる降伏点上昇代を含む)が少なくとも約25kgf/mm2
以上必要であることが分った。
【0013】そこで、経済性に優れ、高い生産性と、高
温焼鈍が可能な、コンパクトで設備費の小さい超急速加
熱短時間焼鈍法で、T−2〜T−3の上記のフルーティ
ング性とロールコータ反り性とを両立させる再結晶粒
径、固溶C,N量、硬さを得る製造条件について種々検
討し、本発明を見い出した。
【0014】その主要なポイントは、 C含有量を0.0040〜0.0120%に規制し、 連続焼鈍の加熱に於いて少なくとも500℃以上の温
度域を100℃/s以上で650〜850℃に加熱す
る、 ことである。これにより、再結晶焼鈍後の結晶粒径を大
きくし、固溶C量を適当量とすることが可能となるこ
と、更に、調質圧延率を0.9〜3.5%の範囲で施す
ことにより、T−2〜T−3の軟質でフルーティング性
とロールコータ反り性とを両立させる再結晶粒径、固溶
C,N量、硬さが得られる。
【0015】図1は、本発明の上記ポイントの「連続
焼鈍の加熱に於いて少なくとも500℃以上の温度域を
100℃/s以上で650〜850℃に加熱すること」
の効果を示した図である。本発明で製造したC含有量が
0.0060%、かつ90%の冷間圧延率で圧延した板
厚0.25mmの冷延板を、図2に示すヒートサイクルで
加熱速度(αH )と均熱温度(T)を変え、時間(t)
を0.1sec 、冷却速度(αc )を300℃/sとし、
熱処理を行った鋼板の組織を調査し、再結晶の完了する
温度を求め、その結果を図1に示した。
【0016】図1から、加熱速度を100℃/s以上と
することにより再結晶完了温度が顕著に低下することが
分る。このことから、均熱時間が殆どないようなコンパ
クトな連続焼鈍設備でT−2〜T−3を製造するには、
本発明の上記ポイントの連続焼鈍の加熱に於いて10
0℃/s以上の超急速加熱することが極めて重要であ
る。
【0017】このように、100℃/s以上で加熱する
ことにより、従来の20℃/sより再結晶温度が低下す
るメカニズムについては必ずしも充分に解明されていな
いが、下記AおよびBの効果によるものではないかと推
察される。尚、これらのA,Bの効果は、連続焼鈍の加
熱に於いて少なくとも500℃以上の温度域を100℃
/s以上で650〜850℃に加熱することにより得ら
れた。
【0018】A. 超急速加熱の場合は、再結晶のスタ
ート時に於けるサブグレインの粒界の移動速度並びに粒
成長時の粒界の移動速度が極めて速いので、粒界への偏
析元素の粒界への移動が追従しなくなり粒界の移動を妨
げる偏析元素が少なくなる。その結果、超急速加熱を行
うことにより再結晶がより低温で起こるとともに粒成長
も容易となり、より軟質材が得られるようになった。
尚、冷間圧延率、成分等は、このサブグレインの生成並
びに大きさ等に影響を与えているのではないかと考えら
れる。 B. 超急速加熱の場合は、再結晶〜粒成長の間の時間
があまりにも短いので再結晶前、途中、粒成長の段階に
於いて、AlNの微細析出が殆ど起こらなくなる。その
結果、超急速加熱を行うことにより再結晶がより低温で
起こるとともに粒成長も容易となり、より軟質材が得ら
れるようになった。
【0019】図3は、本発明の目的であるT−2〜T−
3のフルーティング性とロールコータ反り性に優れた軟
質表面処理原板を得る方法についての主要ポイントを示
した図である。本発明で製造した種々のC含有量の熱延
板を用い、90%の冷間圧延率で0.25mmの冷延板を
製造し、図2に示すヒートサイクルで加熱速度(αH
を1000℃/s、均熱温度(T)を700℃、時間
(t)を0.1sec 、冷却速度(αc )を300℃/s
とし、熱処理を行った焼鈍板に、1.2%の調質圧延率
で調質圧延を行い、表面処理原板を製造し、錫メッキ
(リフロー処理付き)を施してブリキを製造し、フルー
ティング性とロールコータ反り性とを評価した。
【0020】ロールコータ反り性は、得られた種々のブ
リキ板を室温で1カ月経過させた後、引張り試験を行い
降伏点を測定し、ロールコータ反り性(good域:
Y.P≧25kgf/mm2 )の評価とし、図3に示した。
【0021】フルーティング性は、本発明の製造条件で
あれば、C含有量が120ppm 以下で良好なフルーティ
ング性が確保できる。これは、C含有量が120ppm 超
では、再結晶焼鈍後の結晶粒径が細粒化するとともに、
再結晶焼鈍後の固溶C量が多くなりすぎるため、200
℃×30min の塗装焼き付け処理によってYP−E1が
高くなりすぎ、フルーティングが生じるようになったも
のである。
【0022】又、ロールコータ反り性は、C含有量が5
0ppm 以上であれば良好なロールコータ反り性が得られ
ることが分った。これは、C含有量が50ppm 未満で
は、再結晶焼鈍後の結晶粒径が粗大化するとともに、再
結晶焼鈍後の固溶C量も少なくなるため、自然時効後の
降伏点が低くなるからである。
【0023】以上、図1および図3に示した上記およ
びをポイントとする極めてコンパクトな超短時間焼鈍
の本発明によって、T−2〜T−3のフルーティング性
とロールコータ反り性に優れた軟質表面処理原板の製造
が可能となる。
【0024】以下に、製造条件について詳細に述べる。
Cは、図3に示すように、フルーティング性とロールコ
ータ反り性に大きく影響する元素である。C含有量が増
加するにつれて、超急速加熱焼鈍時の再結晶焼鈍後の結
晶粒が細粒化すると共に固溶C量も増加し、120ppm
超では、良好なフルーティング性が確保できなくなる。
又、C含有量が減少するにつれて、超急速加熱焼鈍時の
再結晶焼鈍後の結晶粒が粗大化すると共に固溶C量も減
少し、40ppm 未満では、良好なロールコータ反り性が
確保できなくなる。従って、C含有量の範囲を0.00
40〜0.0120%とした。
【0025】Mn、P、S、solAlは、材質を硬質
化するばかりではなく、これらの元素が増加すると鋼板
の耐食性を劣化させるので、それぞれの元素の上限値を
0.60%,0.025%,0.025%,0.120
%とした。Mn,P,Sの各々の下限値は通常の製造法
で得られる範囲をもって下限値とした。また、solA
l含有量は、0.012%未満では、脱酸不足のため
T.O含有量が高くなり0.0070%以下とすること
もできなくなるので、少なくとも0.012%は必要で
あるためsolAl量の下限を0.012%とした。
【0026】N含有量は、0.0120%超になると高
温巻き取りや低温スラブ加熱を行っても、結晶粒径が細
粒化したり、焼鈍後の固溶Nが多くなりすぎたりして、
フルーティング性が劣化するので0.0120%を上限
値とした。また、N含有量は、低いほど良好なフルーテ
ィング性が得られるので、下限は、特に規制する必要が
ない。
【0027】T.O含有量は、0.0070%超になる
とスラブの表層付近に気泡が発生し、メッキ原板の表面
傷などが増え良好な製品が得られなくなるとともに、軟
質な材質が得られなくなるので0.0070%を上限値
とした。下限値は、特に規制する必要がないので規制し
なかった。
【0028】Bは、B/N(原子量比)で2.5以下含
有せしめることにより、NをBNとして粗大析出させN
時効を防止できるので適時添加してもよい。尚、B/N
(原子量比)で2.5超では固溶のBが多くなり過ぎ、
材質が硬質化しT−2〜T−3が得られなくなるので、
B/N(原子量比)を2.5以下に規制した。
【0029】熱延条件は、特に規制する必要がなく通常
の熱延条件でよいが、Nが多い場合には、熱延時に低温
でスラブ加熱(以下、「SRT」という)を行ったり、
高温巻き取りをする事によってNの悪影響をより完全に
なくすることが出来るので、低温SRTや高温巻き取り
を行うのが好ましい。
【0030】冷間圧延時の冷間圧延率は、低いと再結晶
焼鈍時の再結晶温度が高く材質が硬くなりT−2〜T−
3が得られ難くなると共にメッキ製品は、板厚が薄いの
で85%未満の冷間圧延率では熱延板の板厚が薄くなり
すぎ熱間圧延が困難となるので、下限値を85%とし
た。尚、上限値は、特に規制する必要がないので規制し
なかった。
【0031】連続焼鈍時の再結晶焼鈍の加熱速度は、本
発明の最も重要なポイントであり、その効果及びメカニ
ズムは先に推察した通りである。加熱速度が100℃/
s未満では超急速加熱効果が得られず、材質が硬化しT
−2〜T−3の硬度が得られなくなるので、100℃/
sを下限値とした。
【0032】再結晶焼鈍時の焼鈍温度は、650℃未満
では超急速加熱焼鈍でも充分な再結晶が起こらずT−2
〜T−3の硬度が得られなくなるので、650℃を下限
値とした。また、焼鈍温度が850℃超になると均熱帯
を通過する時に鋼板が軟化し延び易くなり通板性が悪く
なるので、850℃を上限値とした。
【0033】再結晶焼鈍時の均熱時間は、超急速加熱焼
鈍では均熱時間がなくとも充分な再結晶と粒成長が生じ
T−2〜T−3の硬度が得られるので、均熱時間の下限
値を規制する必要がない。均熱時間の上限を3sec とし
たのは、本発明の目的である「設備費を大きく軽減し得
る極めてコンパクトな連続焼鈍設備でT−2〜T−3の
フルーティング性とロールコータ反り性に優れた軟質表
面処理原板を製造する方法」の思想から外れるようにな
るからである。
【0034】再結晶焼鈍後の冷却条件は、本発明の鋼成
分範囲内では材質に特に影響を与えないので規制する必
要がなく、徐冷となる通常のガスジェット冷却法や30
0℃/sのような強力なガスジェット冷却法等で室温ま
で冷却すればよい。また、300〜500℃付近で数秒
から数分の過時効処理は、材質に殆ど影響を及ぼさない
ので過時効処理の効果がないが、過時効処理を施しても
差し支えがない。
【0035】調質圧延は、YP−E1の消去効果を得る
上で重要なことであり、良好なフルーティング性を確保
するためには、少なくとも0.9%が必要である。ま
た、表面処理原板の調質圧延は通常ドライ調質圧延が行
われ、ドライ調質圧延では3.5%が限界であるので
3.5%を上限とした。
【0036】
【実施例】以下に、本発明を実施例に基づいて更に説明
する。表1示す成分を有する鋼を表2に示す熱延条件で
2.5mmの熱延鋼帯を製造し、冷間圧延率90%で0.
25mmの冷延鋼板を得た。次いで図2に示すヒートサイ
クルで表2に示す温度、時間条件で連続焼鈍及び調質圧
延を施し表面処理原板を得、次いで錫メッキ(リフロー
処理付き)を施し、ブリキ板を製造した。得られたブリ
キ板の硬度(HR30T)並びに、室温で1カ月間の自然時
効後引張り試験を行い、降伏点を測定し、ロールコータ
反り性を評価した。降伏点が25kgf/mm2 以上を○と
し、25kgf/mm2 未満を×として、表2に示した。
【0037】フルーティング性の評価は、得られた種々
のブリキ板を室温で1ケ月間放置後、200℃×30mi
n の焼け付け塗装相当の熱処理を行い、3本曲げロール
成形で50φの円筒状に成形し、腰折れ状況(フルーテ
ィング性)を目視評価した。良好なフルーティング性が
確保できたものは○、確保できなかったものは×とし
て、表2に示した。
【0038】鋼B,C,Eは、いずれも本発明の範囲内
の成分の鋼である。鋼B,Cは、C含有量を53,86
ppm と変化させたもの、鋼Eは、Bを0.0014%添
加したものである。
【0039】鋼A,Dは、それぞれ、C含有量が0.0
017%と低く、0.0170%と高く外れた本発明の
範囲外の成分のものである。鋼Fは、CAL+BAF焼
鈍方式の従来例の場合の代表的な鋼成分である。
【0040】
【表1】
【0041】
【表2】 但し、SRT:スラブ加熱温度、F.T:熱延仕上温
度、C.T:巻き取り温度 CAL+BAF条件:CAL:20℃/sで加熱し、6
50℃×20sec 均熱後30℃/sで室温まで冷却 BAF:箱焼鈍で、480℃×60min 均熱後室温まで
炉冷
【0042】試料2,3,4,5,6,7,9は、本発
明の実施例である。何れもT−2〜T−3の硬度範囲
(HR30T=53±3〜57±3)で、T−2〜T−3の
フルーティング性とロールコータ反り性が確保できてい
る。本発明によれば、コンパクトで設備費の小さい超急
速加熱短時間焼鈍法により、T−2〜T−3のフルーテ
ィング性とロールコータ反り性に優れた軟質表面処理原
板の製造が可能である。
【0043】試料1は、C含有量が0.0017%と本
発明の条件の下限を外れた比較例であって、良好なロー
ルコータ反り性が得られなかった。試料8は、C含有量
が0.0170%と本発明の条件の上限を外れた比較例
であって、優れたフルーティング性が得らず腰折れが発
生した。
【0044】試料10は、CAL焼鈍後、BAF焼鈍を
行う極めて生産性の悪い従来例である。T−3レベルの
硬度で、且つ良好なフルーティング性とロールコータ反
り性も確保できている。この生産性の極めて悪い従来例
の試料10と、本発明と比較すると明らかなように、本
発明によれば、経済性に優れ、高い生産性と、高温焼鈍
が可能な、コンパクトで設備比の小さい超急速加熱短時
間焼鈍設備で、従来例と同様の特性を有する、T−2〜
T−3のフルーティング性とロールコータ反り性に優れ
た軟質表面処理原板の製造方法が可能であることが分
る。
【0045】
【発明の効果】本発明によれば、高温焼鈍が可能で、コ
ンパクトで設備費の小さい超急速加熱短時間の連続焼鈍
設備によりT−2〜T−3のフルーティング性とロール
コータ反り性に優れた軟質表面処理原板の製造が可能と
なる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の連続焼鈍の加熱速度と硬度との関係を
示した説明図である。
【図2】本発明の連続焼鈍のヒートサイクルを示した説
明図である。
【図3】本発明におけるフルーティング性およびロール
コータ反り性とC含有量の関係を示した図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 林 田 輝 樹 兵庫県姫路市広畑区富士町1番地 新日本 製鐵株式会社広畑製鐵所内

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】C:0.0040〜0.0120%,M
    n:0.05〜0.60%,P:0.001〜0.02
    5%、S:0.001〜0.025%、solAl:
    0.012〜0.120%,N:≦0.0120%,
    B:B/N(原子量比)で2.5以下,T.O:≦0.
    0070%,残部不可避的不純物及び鉄からなる鋼片
    を、通常の熱間圧延条件で加熱、熱間圧延を行い、巻き
    取り熱延鋼帯とし、85%以上の冷間圧延を行い、その
    後、連続焼鈍にて少なくとも500℃以上の温度域を1
    00℃/s以上で650〜850℃に加熱し、3秒以下
    の保持を行い、その後室温まで冷却する再結晶焼鈍を行
    い、次いで、調質圧延を0.9〜3.5%の範囲で施す
    ことを特徴とする連続焼鈍によるフルーティング性とロ
    ールコータ反り性に優れた軟質表面処理原板の製造方
    法。
  2. 【請求項2】鋼片の組成がC:0.0040〜0.01
    20%,Mn:0.05〜0.60%,P:0.001
    〜0.025%、S:0.001〜0.025%、so
    lAl:0.012〜0.120%,N:≦0.012
    0%,T.O:≦0.0070%,残部不可避的不純物
    及び鉄からなることを特徴とする請求項1に記載の連続
    焼鈍によるフルーティング性とロールコータ反り性に優
    れた軟質表面処理原板の製造方法。
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