JP2816388B2 - 電子線装置 - Google Patents

電子線装置

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JP2816388B2
JP2816388B2 JP3326725A JP32672591A JP2816388B2 JP 2816388 B2 JP2816388 B2 JP 2816388B2 JP 3326725 A JP3326725 A JP 3326725A JP 32672591 A JP32672591 A JP 32672591A JP 2816388 B2 JP2816388 B2 JP 2816388B2
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紀恵 矢口
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  • Analysing Materials By The Use Of Radiation (AREA)
  • Electron Sources, Ion Sources (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、電子線装置に係り、特
に、微結晶や結晶粒界等の極微小領域を分析する際の分
析位置の確認および補正を容易にすることにより分析精
度を向上させた電子線装置に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、電子顕微鏡でX線分析を行う
際、X線信号の取り込み時間は、50〜200秒程度で
ある。また、分析領域を狭める程、発生するX線信号量
は低下するため、分析に十分な信号量を得るには分析時
間を長くする必要がある。
【0003】ところが、試料上の微小領域に電子線スポ
ットを照射し、該領域から二次的に発生する粒子線ある
いは該領域を透過した電子線を検出して分析や観察を行
う電子線装置では、電子線照射による発熱により試料自
身の熱ドリフトや試料ホルダのドリフトが生じる。
【0004】したがって、超高倍率での観察時には、1
00〜200秒間の観察中に電子線のスポット位置と試
料の観察位置との相対関係が崩れてしまい、分析対象外
の領域に電子線が照射されてしまい、その領域から発生
した信号も取り込まれてしまうので、分析精度が低下し
てしまうという問題が指摘されている。
【0005】そこで、このような問題点を解決するため
に、従来から種々の工夫が施されている。
【0006】例えば、特開昭55−126849号公報
では、試料の大きさと方向を検出し、この検出結果に基
づいて、電子線スポットをドリフトに追従させるための
偏向を電子線に与え、試料ドリフトを補正する方式が提
案されている。
【0007】また、特開昭63−202834号公報で
は、基準時における画像データと補正時における画像デ
ータとを比較し、両者が一致するように試料を微動する
ことにより、試料ドリフトを補正する方式が提案されて
いる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】ところが、上記した従
来技術では、スポット位置と試料の観察位置との相対的
な位置関係が崩れて位置補正が開始されても、観察ある
いは分析が継続されるので、位置補正が終了するまでの
間に検出された、分析対象領域以外の信号も取り込まれ
てしまい、分析精度が低下してしまうという問題があっ
た。
【0009】さらに、上記した従来技術では、試料ドリ
フトの有無を判定するための構成が複雑であるため、コ
ストアップや装置の大型化を招いてしまうという問題が
あった。
【0010】本発明の目的は、上記した従来技術の問題
点を解決して、簡単な構成により試料ドリフトを補正し
て分析析精度を向上させることにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記した目的を達成する
ために、本発明では、電子線スポットの照射された微小
領域から二次的に発生する信号を取り込んで当該微小領
域を分析する分析手段と、試料を透過した電子線量を測
定する手段と、分析開始時に測定された前記透過電子線
量を記憶する記憶手段と、分析中の透過電子線量と前記
記憶された透過電子線量とを比較する比較手段と、前記
比較手段により分析中の透過電子線量と分析開始時の透
過電子線量との不一致が判定されると、前記微小領域か
ら二次的に発生する信号の取り込みを中断させる手段と
を具備したことを特徴とする。
【0012】
【作用】上記した構成によれば、分析開始時の透過電子
線量が記憶手段に記憶される。分析中の透過電子線量
は、比較手段により常に分析開始時の透過電子線量と比
較される。分析開始時の透過電子線量と分析中の透過電
子線量とが一致していないと、試料ドリフトが生じたも
のとみなされ、微小領域から二次的に発生する信号の取
り込みが中断される。したがって、分析対象領域以外か
らの信号が取り込まれてしまうことがない。
【0013】
【0014】
【実施例】以下、図面を参照して本発明を詳細に説明す
る。
【0015】図1は、本発明の一実施例である電子顕微
鏡のブロック図である。鏡体1内の上部には電子銃2が
搭載され、電子銃2より発せられた電子線3は収束レン
ズ4によって収束される。収束レンズ4により収束され
た電子線3は電子線偏向器5によって偏向されて試料6
上に照射される。
【0016】試料6を透過した電子線9は、対物レンズ
7および結像レンズ8によって集光され、蛍光板10に
は透過像が投影される。この蛍光板10は、透過電子線
9の電子線量を検出する機能を備え、検出信号S1は増
幅器11を介して透過電子線量測定部12に入力され
る。
【0017】透過電子線量測定部12は、前記検出信号
S1に基づいて透過電子線9の電子線量を測定し、測定
結果S2をコントロールユニット13内の比較回路15
およびメモリ−回路14へ出力する。
【0018】メモリ−回路14は記憶内容S3を比較回
路15に出力する。比較回路15は前記測定結果S2と
記憶内容S3とを比較し、比較結果S4を信号取り込み
スイッチ制御用リレー16および偏向器電源制御部17
へ出力する。偏向器電源制御部17は電子線偏向器電源
18に接続され、電子線偏向器電源18は電子線偏向器
5に接続されている。
【0019】信号取り込みスイッチ制御用リレー16
は、X線分析装置20のX線信号取り込みスイッチ19
に接続されている。X線分析装置20は、試料6から発
生したX線信号を検出するために鏡体1に取り付けられ
X線検出器21に接続されている。
【0020】このような構成において、X線分析を行う
際には、収束レンズ4と強励磁の対物レンズ7との相互
作用により、試料6の上方にはレンズ効果を持った前方
磁界が形成される。電子線3は前方磁界により収束さ
れ、試料面上には最小プローブ径が1nm以下の電子線
が照射される。
【0021】電子線3が照射された領域から発生したX
線はX線検出器21に捕捉される。X線分析装置20の
X線信号取り込みスイッチ19がオン状態にあると、X
線分析装置20は前記捕捉されたX線エネルギーを積分
し、この積分値に比例した電気パルス波高の処理を行
う。処理結果は、X線分析装置20のCRT上にエネル
ギー別に整理した形で表示される。
【0022】試料6の分析位置が確定して測定が開始さ
れた時点では、電子線3は分析位置に正確に照射され、
分析位置を通過した透過電子線9は蛍光板10で観察像
を結像する。また、蛍光板10は透過電子線9の電子線
量を検出し、検出信号S1を増幅器11に出力する。増
幅された検出信号S1は透過電子線量測定部12に入力
され、測定結果が表示される。
【0023】透過電子線量測定部12による測定結果S
2は、メモリー回路14と比較回路15とを備えたコン
トロールユニット13に入力される。メモリー回路14
には、この分析開始時の電子線量が記憶され、比較回路
15は、メモリー回路14に記憶された分析開始時の電
子線量S3と透過電子線量測定部12で逐一測定される
分析中の電子線量S2とを比較する。
【0024】この結果、各電子線量に差が生じていなけ
れば、図2に示したように、コントロールユニット13
内の前記比較回路15から一致信号S4aが出力され
る。一致信号S4aを受信した信号取り込みスイッチ制
御用リレー16はX線信号取り込みスイッチ19をオン
状態に保ち、X線分析装置20による信号処理が継続さ
れる。
【0025】一方、透過電子線量測定部12で測定され
た電子線量S2とメモリー回路部14に記憶されている
電子線量S3とに差が生じたと判定されると、図3に示
したように、コントロールユニット13からは不一致信
号S4bが信号取り込みスイッチ制御用リレー16、偏
向器電源制御部17に出力される。
【0026】信号取り込みスイッチ制御用リレー16で
は、不一致信号S4bが入力されると、X線信号取り込
みスイッチ19をオフ状態に切り換える。この結果、X
線分析装置20によるX線信号の取り込みは一時中断さ
れる。
【0027】また、不一致信号S4bが入力された偏向
器電源制御部17は電子線偏向器電源18を付勢し、電
子線偏向器電源18は電子線偏向器5の電流を変化させ
る。これにより、電子線3は試料6に対して偏向を始め
る。
【0028】この間、透過電子線量測定部12およびコ
ントロールユニット13は動作し続け、電子線量の実際
の測定値S2とメモリー回路14に記憶されている分析
開始時の測定値S3との比較が継続して行われる。
【0029】電子線3を偏向中に、分析開始時に設定し
た試料の分析領域を照射した場合、つまり透過電子線量
測定部12により測定された電子線量S2と分析開始時
の電子線量S3とが一致すると、図4に示したように、
比較回路15より再び偏向器電源制御部17に一致信号
S4aが入力され、偏向器電源制御部17は、電子線偏
向器電源18から電子線偏向器5に、その時点で一定の
電流が流れ続けるよう指示し、入射電子線3の偏向量は
一定となる。
【0030】一方、同時に比較回路15からの一致信号
S4aを受信した信号取り込みスイッチ制御用リレー1
6は、X線信号取り込みスイッチ19がオン状態に切り
換わるよう指示する。これにより、X線分析装置20に
よるX線信号の取り込みが再開される。
【0031】以上の動作を繰り返すことにより、最初に
設定した試料6の分析領域を入射電子線3が照射した時
のX線信号のみが取り込まれるようになるので、高精度
の分析が可能になる。
【0032】また、本実施例によれば、試料を透過した
電子線量の変化に基づいて試料ドリフトが検出されるの
で、その構成が簡素化される。
【0033】なお、上記した実施例では、電子線を偏向
して位置ずれを補正するものとして説明したが、本発明
はこれのみに限定されるものではなく、試料を微動させ
ることにより位置ずれを補正するようにしても良い。
【0034】さらに、上記した実施例では、本発明をX
線検出器を備えた電子顕微鏡に適用して説明したが、本
発明はこれのみに限定されるものではなく、二次電子を
検出して各種の分析を行う電子顕微鏡あるいは他の電子
線装置にも同様に適用することができる。
【0035】
【発明の効果】上記したように、本発明によれば、試料
ドリフト等により分析位置がずれると、分析のための信
号検出を中断するため、分析対象領域からの信号だけを
取り込めるようになり、精度の良い分析が可能となる。
【0036】また、分析位置の確認が、透過電子線量を
測定することにより行われるため、位置ずれが簡単に検
出できるようになり、その構成も簡素化される。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施例である分析位置補正機構付
き電子顕微鏡のブロック図である。
【図2】 図1の動作を説明したブロック図である。
【図3】 図1の動作を説明したブロック図である。
【図4】 図1の動作を説明したブロック図である。
【符号の説明】
1…電子顕微鏡鏡体、2…電子銃、3…入射電子線、4
…収束レンズ、5…電子線偏向器、6…試料、7…対物
レンズ、8…結像レンズ、9…透過電子線、10…蛍光
板、11…増幅器、12…透過電子線量測定部、13…
コントロールユニット、14…メモリー回路、15…比
較回路、16…信号取り込みスイッチ制御用リレー、1
7…偏向器電源制御部、18…電子線偏向器電源、19
…X線信号取り込みスイッチ、20…X線分析装置、2
1…X線検出器
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭63−202834(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) H01J 37/26 H01J 37/04

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 試料上の微小領域に電子線を照射する照
    射手段と、 前記微小領域から二次的に発生する信号を取り込んで当
    該微小領域を分析する分析手段と、 試料を透過した電子線量を測定する電子線量測定手段
    と、 分析開始時に測定された前記透過電子線量を記憶する記
    憶手段と、 分析中の透過電子線量と前記記憶された分析開始時の
    過電子線量とを比較する比較手段と、前記比較手段により、前記分析中の透過電子線量と分析
    開始時の透過電子線量との不一致が判定されると、前記
    微小領域から二次的に発生する信号の取り込みを中断さ
    せる手段と を具備たことを特徴とする電子線装置。
  2. 【請求項2】 前記比較手段により、分析中の透過電子
    線量と分析開始時の透過電子線量との不一致が判定され
    ると、分析中の透過電子線量と分析開始時の透過電子線
    量とが一致するように、電子線スポットと試料との相対
    位置を補正する手段をさらに具備したことを特徴とする
    請求項に記載の電子線装置。
  3. 【請求項3】 前記電子線スポットと試料との相対位置
    を補正する手段は、電子線を偏向して電子線の照射位置
    を補正する偏向手段であることを特徴とする請求項
    載の電子線装置。
  4. 【請求項4】 前記電子線スポットと試料との相対位置
    を補正する手段は、試料位置を微動させる試料微動手段
    であることを特徴とする請求項記載の電子線装置。
  5. 【請求項5】 前記比較手段により、分析中の透過電子
    線量と分析開始時の透過電子線量との一致が判定される
    と、前記信号の取り込み中断を解除して信号の取り込み
    を再開させる手段をさらに具備したことを特徴とする請
    求項1ないし請求項のいずれかに記載の電子線装置。
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