JP2815582B2 - 原発性胆汁肝硬変自己抗原 - Google Patents

原発性胆汁肝硬変自己抗原

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Description

【発明の詳細な説明】 本発明は、原発性胆汁肝硬変(PBC)における特有の
自己抗体応答のターゲットとして認識される自己抗原の
同定、クローニングおよび発現に関し、また本蛋白質、
そのフラグメントまたは蛋白質もしくはフラグメントを
含む融合ポリペプチドのPBC診断テスト、およびPBCにか
かっている患者の処置における利用に関する。 原発性胆汁肝硬変(PBC)は、肝臓内胆汁管の進行性
炎症性閉塞により特徴づけられた慢性病である。この病
気は、当初免疫蛍光法により同定されたミトコンドリ
アに対する自己抗体応答1-4を特徴とした。 ブロット免疫検出の最近の利用により、特定の蛋白質
が、PBCの抗ミトコンドリア抗体(AMA)のターゲットと
して認識されるに至った2,6,7。具体的には、70キロダ
ルトン(kd)蛋白質に対する血清抗体が、PBC患者の95
%以上にみられるが、他の自己免疫肝臓病の患者にはな
2,8、45と39kdの2つの他の蛋白質はPBC血清では頻度
が少なく検出される1,2,9。これらの自己抗原の各々の
本体は、病気の病原性とこれらの抗原の関連と同様に知
られていない。しかしながら、70kdの抗原は、進化上高
度に保存され、哺乳類、酵母や細菌に存在するので10
重要な構造もしくは生物学的機能をもつと信じられ
。 抗ミトコンドリア抗体の生成のメカニズムの資料が少
ないにもかかわらず、固相酵素免疫測定法(ELISA)に
よると、PBCによる患者の95%以上に臨床的に上記のよ
うな抗ミトコンドリア抗体が見られた2,6。粗製のミト
コンドリア抗原製品を使うと、PBCや真性結合組織病や
薬物反応以外の肝臓病を含む様々の病気の患者および、
時々健康な個体でさえも、ミトコンドリアに対する抗体
をもつことが照明できる。従って、このような粗製の製
品を使った検定は、PBCの特有な診断を可能にし得な
い。例として、ドイツ特許公開3,237,602号では、粗製
のミトコンドリアの抗体製品を使った血清中の抗ミトコ
ンドリア抗体の検出と定量のELISAを発表している。検
定の特異性の欠如は、たとえばPBCや慢性活動性肝炎の
胆汁うっ滞、梅毒(II)、エリテマトーデス症候群型薬
疹、ある種の一次性非肝性免疫疾患、イプロニアジド誘
導肝炎やβ受容器しゃ断薬の副作用の病気の特別な診断
におけるこの検定の利用が提案されていることから明ら
かである。ミトコンドリア膜のより活発な単離により、
抗原性不均質の問題により明らかになり、トリプシン感
受性およびミトコンドリア膜内対膜外の抗原の位置に基
づいた特有なミトコンドリア抗原の定義が導られた。こ
れにもかかわらず、PBCの診断は、免疫蛍光の相対的感
度の低さもしくは補完固定、ELISAや免疫沈降を含む方
法が感度が高いが非特異性のため、抗ミトコンドリア抗
体の呈示に、まだ大きく依存している23-28。 本発明は、PBCの70kdのミトコンドリア自己抗原(い
くつかの研究グループによりM2と命名1,9)を発現する
ラットの肝臓遺伝子発現ライブラリー由来CDNAの同定に
およびその配列決定に基づく。配列は、ミトコンドリア
DNAではなく核DNAによって暗号化されている。 本発明は、PBCにみられる抗70kdの抗体の極めて感受
性が高く特異的な診断ELISAの基礎を提供する。 本発明の最初の見地によると、原発性胆汁肝硬変(PB
C)の70kdミトコンドリア自己抗原またはその抗原活性
を有するフラグメントを暗号化している塩基配列の全部
または一部に実質的に対応するヌクレオチド配列を含む
DNA分子が提供される。 本発明の見地によるDNA分子は、少なくとも実質的に
第6図に示された塩基配列またはそのフラグメントを含
む部分によって特徴づけられたものであるのが好まし
い。 もう1つの見地では、本発明は、上記に記載し、およ
び発現調節配列に機能し得るように結合したヌクレオチ
ド配列からなる組換え体DNA分子を提供する。この組換
え体DNA分子は、例えばバクテリオファージやプラスミ
ドのような発現ベクターまたはそれで形質転換した細菌
や他の微生物のような宿主細胞からなっている。 本発明のさらに他の見地では、原発性胆汁肝硬変の70
kdミトコンドリア自己抗原またはその抗原活性を有する
フラグメントの全部または一部の抗原性を表示する合成
ペプチドまたはポリペプチドが提供される。 本発明の見地による合成ペプチドまたはポリペプチド
は、少なとも実質的に第6図もしくは第8図に示された
アミノ酸配列またはその抗原活性を有するフラグメント
を含む部分によって特徴づけられるのが好ましい。 本合成ペプチドまたはポリペプチドは、上記に広く記
載された組換え体DNA分子で形質転換した宿主細胞の発
現により融合ポリペプチドとしてまた直接製造される。 別法として、例えば既知のメリフィールド固相合成方
法のような化学的合成により製造される。 本発明は、70kd自己抗原全体に対応する合成ペプチド
および、自己抗原全体を暗号化しているヌレオチド配列
およびそのフラグメントに及ぶ。例として、この1つの
フラグメントは、第6図に示されたヌクレオチド76−67
9によって暗号化されたフラグメントである。約200残基
のこのフラグメントは、天然の自己抗原に対するすべて
の抗体を患者血清から吸収することができる。このフラ
グメントの中に、実質的に自己抗体に対する反応性をも
つことがわかった、アミノ酸配列20残基フラグメント、 AEIETDKATIGFEVQEEGYL がある。本フラグメントは、第6図および第8図両方の
配列に共通している。したがって、本発明は、診断検定
法における上記のような抗原性活性フラグメントの使用
および自己抗原全体の使用に及ぶ。 本発明は、例えばELISA、RIAテクノロジーを使用する
か、抗原を被覆したビーズ等を用いた患者の血清中の抗
ミトコンドリア抗体の検出または力価の定量による、PB
Cの診断試験における抗原としての本発明の合成ペプチ
ド、ポリペプチドまたはフラグメントの使用にも及ぶ。
後者の見地では、この処理方法はPBC抗体または患者の
反応細胞を除去するための吸着剤としての合成抗原の使
用や、PBC自己抗原に対する患者の反応性を除去または
減少させるための減感剤として患者に直接投与するこれ
らの活性成分の使用を含む。 血清サンプル中の抗ミトコンドリア抗体の検出におけ
る合成自己抗原の使用に加えて、本発明の特異的なタイ
ピング試薬を使ったクラス特異的免疫グロブリン力価の
測定における合成ペプチド、ポリペプチドまたはフラグ
メントの使用に及ぶ。応用は、自己抗体の全体の親和性
または自己抗体の各々のクラスまたはサブクラスの親和
性の測定にも及ぶ。親和性は、例えばグアニジンチオシ
アネートの異なった洗液を使用した複製ELISA検定法の
ような様々の方法により測定される42。さらに診断用の
検定法の拡張は、70kd自己抗原の酵素機能による自己抗
原の妨害の程度の測定である(後に示すがリポエートア
セチル転移酵素を表す)。酵素の源は、天然のポリペプ
チドまたは融合ポリペプチドとして完全な長さのクロー
ンの発現または、酵素的活性フラグメントまたはミトコ
ンドリアから精製したタンパク質の発現から誘導され
る。酵素検定法は、当技術において既知の標準な検定法
であるが、サンプルの血清または細胞とインキュベート
する段階を含むように修正した。さらに合成ペプチド、
ポリペプチドまたはフラグメントの使用の拡張とし、自
己抗原に対する患者の細胞の反応性の測定を含む。合成
ペプチド、ポリペプチドまたはフラグメントは、溶液中
または固体支持体に結合して、抹消血管または組織バイ
オプシーから誘導された非分画、分画または連続セルラ
インの患者細胞に加えることができる。自己抗原に対す
る反応性は、トリチウム化したチミジンの取り込みのよ
うな標準増殖検定法、標的細胞からのマーカー放射能の
遊離のような標準細胞傷害検定法または、当技術に既知
の細胞反応性の他の標準検定法により測定できる。 本発明の特に重要な見地では、血清資料中の抗ミトコ
ンドリア抗体検出のための診断試験であって、 (i)上記血清資料を、PBCの70kdミトコンドリア自己
抗原またはその抗原活性を有するフラグメントを表示す
る合成ペプチドまたはポリペプチドと接触させ、上記合
成ペプチドまたはポリペプチドは、支持体上に固定され
ているものとし、 (ii)上記合成ペプチドまたはポリペプチドに結合した
上記血清中の抗ミトコンドリア抗体の存在を検出する 工程を含む試験が提供される。 この見地では、本発明は、血清資料中の抗ミトコンド
リア抗体の検出のための診断試料用キットであって、 (i)PBCの70kdミトコンドリア自己抗原またはその抗
原活性を有するフラグメントの全部または一部の抗原性
を表示する合成ペプチドまたはポリペプチドがその上に
固定されている支持体および (ii)上記合成ペプチドまたはポリペプチドに結合した
上記血清中の抗ミトコンドリア抗体の存在を検出する手
段 を含むキットを提供する。 結合したAMAの存在の検定は、既知のRIAまたはELISA
技術の使用によるのが好ましい。 PBCの70kdミトコンドリア自己抗原の抗原性を表示し
た組換え体融合ポリペプチドの製造の結果、本自己抗原
はリポエートアシル転移酵素として同定された。さら
に、抗ミトコンドリア抗体の免疫グロブリンのイソタイ
プが決定しており、IgGがPBC患者のグループの著しいア
イソトープであり、次いでIgMが多い。健康で正常な大
人とPBC患者の血清免疫グロブリンのイソタイプの含量
を比較すると、血清IgG3およびIgMがPBCでは高く、正常
よりIgG3では5.5倍、IgMでは4.3倍も高い。 本発明によれば、ミトコンドリア自己抗原またはその
フラグメントを暗号化したCDNA挿入断片の発現は、種々
の異なった方法により達成される。本発明の詳細な説明
では、JM101,JPA101や7118のようなエシエリヒア・コリ
株の宿主細胞を使用したベクターλgt11およびpBTA224
のβ−ガラクトシダーゼ融合タンパク質として発現させ
ている。融合タンパク質としての自己抗原の成功した発
現は、既知のPVCベクター、グルタチオンS−転移酵素
融合タンパク質の発現によりここでも宿主細胞としてエ
シエリヒア・コリを用いて達成された。別法として、ミ
トコンドリア自己抗原は適当なベクターおよび宿主細胞
の組み合わせを使うことにより、融合しないポリペプチ
ドとして発現することができる。本発明により使用でき
る他のベクターおよび宿主細胞の組み合わせは、多数の
既知の酵母細胞中の成育させた酵母シャトルベクターの
連続したセルライン中の真核ベクターまたは遺伝形質転
換動物を含んでいる。 本発明によるPBCの70kdミトコンドリア抗原の同定、
クローニングおよび発現並びにELISAによる使用を次の
添付の図面を参考にして詳細に述べる。 第1図は融合ポリペプチドの特異性を示す。レーンA
およびBでは、1000分の1に希釈した2つの異なったPB
C血清を、pRMITで形質転換したJM101細胞の溶菌液に対
してプローブした。血清は両方とも160kdのポリペプチ
ドと反応した。対照的に、レーンCおよびDでは、β−
ガラクトシダーゼと融合した無関係の挿入断片を含んだ
対照細胞の溶菌液に対してプローブしたところ同血清は
無反応であった。レーンCのおよびDの反応バンドは、
エシエリヒア・コリタンパク質と一致した。100分の1
および1000分の1希釈の正常血清を用いた2重ブロット
では、融合ポリペプチドを検出せず、図示しなかった。
36kdに反応性の融合タンパク質の破片がみられた。 第2図は、pRMIT融合ポリペプチドの同定を示す。PAG
E後のヒト胎盤ミトコンドリアタンパク質に対する吸収
および無吸収PBC血清の反応性が測定された。レーンA
では、プローブを、最終希釈2000分の1の無吸収PBC血
清にした。レーンBでは、プローブを、非組換え体pBTA
224で形質転換した細胞で72時間充分に吸収しおよび非
組換え体pBTA224で形質転換した細胞の溶菌液を結合し
た固体支持体に通した最終希釈2000分の1の同血清にし
た。レーンCでは、プローブを、非組換え体pBTA224で
形質転換した細胞で72時間吸収しおよび発現pRMITで形
質転換した細胞の溶菌液を結合した固体支持体に通した
最終希釈2000分の1の同血清にした。血清はまた、200
分の1および20,000分の1で研究した(表II)。 第3図は、親和性−精製抗体の特異性を示す。レーン
Aでは、2000分の1の無吸収のPBC血清を70および45kd
タンパク両方に反応する胎盤ミトコンドリアに対してブ
ロットした。レーンBでは、カラム溶出液を同ミトコン
ドリア製品に対してブロットした。注意することは、反
応性が70kdタンパク質だけであり、シグナルの減少はこ
のような溶出液の予期した回収と一致したことである。
1週間の長時間オートラジオグラフ露出でさえ、活性は
70kdタンパク質だけであった(データは示していな
い)。レーンCでは、溶出液を、pRMITで形質変換した
誘導JM101の音波処理物に対してブロットした。160md融
合ポリペプチドの強度は、発現した融合ポリペプチドが
多いためである。レーンDでは、溶出液を、豊富な融合
ポリペプチドを暗号化した無関係なプラスミドで形成転
換した誘導JM101の音波処理物に対してブロットした。 第4図は、pRMIT誘導融合ポリペプチドで免疫したBAL
B/Cマウスの免疫応答を示す。胎盤ミトコンドリアは、
7.5%ゲル上でPAGEにより分離し、ニトロゼルロース上
にブロットした。そして、分画化したタンパク質は1000
分の1の希釈濃度(レーンA)またはPBCの患者の血清1
000分の1でプローブした。免疫したマウスは70kdに対
しての抗体が誘導されたが45kdのタンパク質には否であ
った。 第5図は、HEp−2細胞の免疫蛍光の示す。BALB/Cマ
ウスは、精製した融合ポリペプチドで免疫され、血清
は、HEp−2細胞とインキュベートした。反応性の典型
的なミトコンドリアパターンが注目されている。 第6図は、pRMITのヌクレチオド配列および推測したP
BCの70kdミトコドリア抗原のアミノ酸配列を示す。 第7図は、PBCのAMA検出におけるELISA(+)および
免疫蛍光法(□)の間の感度の比較を示す。PBC血清
は、ELISAでは、1:1000から始めて10倍希釈ごとに試験
しているのに対して、Hep−2細胞の免疫蛍光法では、
1:10から始めて2倍希釈ごとに試験をしている。ELISA
における陽性は、正常血清の平均値上の2S.D.O.D.とし
て定義した。 第8図は、ヌクレオチド配列および第6図のヌクレオ
チド105−1065領域のヒト対応部を含む、第6図に描か
れたヒト対応部の配列を暗号化した2.2kdCDNA挿入断片
の推定アミノ酸配列を示す。本ヒトCDNAクローンは、既
知の技術によるハイブリッド形成プローブとしてpRMIT
を使うことによるヒト胎盤ライブラリーのプローブによ
り得られた。配列は相同性が高く、自己ミトコンドリア
抗体との反応性において超似性がある。それ故に、いず
れの抗原配列も、抗ミトコンドリア抗体または自己反応
細胞を検出する診断試験の基礎として使用され得る。 A:材料および方法C DNAライブラリーのスクリーニング 15,000の組換え体からなり、平均長1.4kdのλgt11−A
mp3内のラット肝臓CDNAライブラリーを、PBCを有する患
者由来の血清を用いてプローブした。スクリーニングに
使用した血清は、ひと胎盤ミトコドリアの電気泳動で
分離した蛋白の免疫ブロット分析によってミトコンドリ
アに対する抗体を持つことが示されている典型的PBCを
有する各々3人の患者から得た。PBCを有する患者のあ
る者はエシエリヒア・コリに対して高力価の抗体を持つ
ため、非組換え体ファージに感染したエシエリヒア・コ
リに充分量に血清を全吸収させた。最終濃度1:100011,
12でプローブするのに血清を使用した。λ−Amp3ライブ
ラリーを、ST9株のエシエリヒア・コリを用いて15分間3
7℃でインキュベートし、その後2時間、42℃でLB寒天
中で培養した。その後、あらかじめ10mlイソプロピル−
チオガラクトシダーゼ(IDTG)中に浸漬し、風乾させた
ニトロセルロースフィルターを各プレート上に積層し
た。その後プレートを一夜37℃でインキュベートした。
整列後ニトロセルロースを取り出し、1時間5%粉乳を
有するPBS(pH7.4)中で洗浄した。その後45分間、PBS
を有する患者のあらかじめ吸収させた血清と共にろ過物
をインキュベートし、30分間で3回洗浄し、その後125I
−プロテインA(300,000cbm/ml)を用いて、45分間イ
ンキュベートした。最終的に、ろ過物を3回洗浄し、風
乾させ、一夜(12時間)照射の間、増強スクリーンを伴
ったXRP−1フィルム上に置いた。血清の全ての洗浄お
よび希釈を粉乳を用いて行った。陽性推定クローンを取
り出し、プラーク精製12,13のため再スクリーニングし
た。 サブクローニング 3つのクローンは、50,000クローンに約1つの頻度で
陽性微候を呈した。これらの陽性クローンをプラーク精
製した。これらのクローンの各々は、約1.4kdの同一寸
法の挿入物を生成した。λ−Amp3の挿入部位と一致する
外来DNAの挿入部位を有する高複製プラスミド発現ベク
ターてある、プラスミド・ベクターpBTA224中で挿入物
をサブクローニングした。従って、挿入物がλ−Amp3と
しての同様の解読わく内にあるため、サブクローンの50
%は、イムノアッセイにおいて陽性微候を示す。ラット
肝臓非関連のCDNA(F同種抗原)を発現するクローンを
対照として使用した。pBTA224クローンの配列を作成し
て免疫反応性クローンを同定した。16時間、37℃でコロ
ニー群をインキュベートし、その後10mM・IPTGを用いて
4時間誘導した。コロニー群を溶菌させ、文献記載11
ように抗体プロービングを製造した。希釈率1/1000のPB
C吸収血清または希釈率1/100の通常血清のいずれかを用
いて、ろ過物をプローブした。さらに研究するために16
0kdの融合ポリペプチドを発現したpRMITと称させる1つ
の陽性クローンを選択した。 ミトコンドリアたんぱくのイムノブロッティング ひとの胎盤由来のミトコドリアの文献記載2,14のよう
に製造した。0.1%SDS内の1mm厚のスラブ・ゲル上で3.8
%スタッキング・ゲルおよび10%分解ゲルを用いて、ポ
リアクリルアミドゲル電気泳動(PAGE)を行った。PAGE
の前に、精製ミトコンドリアを4mgたんぱく/mlの濃度で
懸濁されてから、30分間10,000Uのやぎ膵臓DNAアーゼ1
を用いて、37℃でインキュベートし、その後等量の水性
3%オクチルグルコシドで15分間4℃で保持した。最終
生成物を4%SDS、20%グリセロールおよび5%の2−
メルカプトエタノール(試料緩衡液)を含有するトリス
−HCl(pH6.8)を用いて希釈し、5分間煮沸させた。約
10μgのたんぱくを各ゲルレーンに装填した。 pRMIT融合ポリペプチドの特徴 pRMITが、PBCを持った患者由来の血清と特異的に抗原
反応性を発現することを示すために、発現クローンの溶
菌物を健常者由来または異なった自己免疫病にかかって
いる患者由来の血清を用いてプローブした。すなわち、
pRMITで形質転換させたJM101細胞の100mlの一夜培養物
を10mMIPTGを含有するL−ブロスで1/10に希釈した。4
時間後培養物を500×Gで10分間遠心し、20mlのりん酸
緩衡生理食塩水を加えた後冷凍した。1mm厚の0.1%のSD
S含有スラブ・ゲル上で、3.8%スタッキング・ゲルおよ
び7.5%分解ゲルを用いてPAGEを行った。上記試料緩衡
液で試料を1/100に希釈し、5分間煮沸した。各々のレ
ーンは、約5から10μgのたんぱくを含有した。1/1000
に希釈したPBC血清を用いて試料をプローブし、反応性
は、125I−プロテインAおよび18時間照射を使用して上
述のように測定した。これらの同一血清も、非組換え体
対照クローンまたは無関係なDNA挿入物によってコード
化された融合ポリペプチドを発現するクローンの溶菌物
のイムノブロットをプローブするのに使用した。使用し
た血清はPBC、全身性紅斑性狼瘡、慢性関節リウマチ、
シューグレン症候群、慢性活動肝炎を有する患者および
健常提供者由来のものであった。全ての対照血清を1/10
0の希釈率で調査した。 融合ポリペプチドの同定 pRMITによって発現した融合ポリペプチドを特徴づけ
をして、PBC血清によって認識されたミトコンドリア抗
原があるかどうかを決定した。クローンpRMITを液体培
地中で一夜育成させた。それから対数期に入り、10mM・
IPTGを用いて4時間融合したポリペプチドの最大発現物
を付与するために誘導した。細菌溶菌物を上述のように
製造し、臭化シアン−セファロース15と結合させた。そ
の後この固体支持体を7つの異なったPBC血清由来の抗
体を選択的に結合するアフィニティー試薬として使用し
た。最初、PBCを有する7人の患者由来の血清を、非組
換え体pBTA224で形質転換したエシエリヒア・コリの超
音波処理物を用いて大量に吸収させた。その後、1/20
0、1/2000および1/20000の希釈率の血清を固体支持体と
結合したpRMIT形質転換細菌の溶菌物を通過させた。非
吸収抗体を採取して、最終希釈時の非操作血清と比較し
て、上述のように製造した胎盤ミトコンドリアをプロー
ブするのに使用した。 アフィニティー精製抗体の製造 JM101の超音波処理物を用いて、非組換え体pBTA224を
用いて形質転換した5つの異なった反応性血清を最初に
大量に前吸収させ、その後この吸収血清を、非組換え体
pBTA22415を用いて形質転換させたJM101のカラムを通す
ことで、アフィニティー精製抗体を製造した、pRMITを
用いて形質転換させた誘導JM101細胞のカラムに各血清
を通し、その後24時間、カラムのベッド量の100倍量で
カラムを洗浄した。その後リジンHClを使用して結合抗
15を溶出させた。分画した胎盤ミトコンドリア、pRMI
Tを発現している溶菌物、および対照の組換え体クロー
ンの溶菌物に対してpRMIT吸収剤と結合した抗体をプロ
ーブさせた。またそれらをHEp−2細胞または肝臓組織
切片のいずれかを用いた免疫蛍光法によって反応させ
た。 融合ポリペプチドとして発現したミトコンドリア抗原
の単離SDSの存在下でゲルろ過を使用することによって
融合ポリペプチドの単離を行って、不溶性ペレットを分
画し、免疫化に適応する材料を得た。10μg/mlアンピシ
リンを含有するL−ブロス中で、一夜、37℃でpRMITの
クローンをインキュベートした。8時間後対数期生長用
に希釈し、10mM・IPTGを用いて4時間誘導した。その後
エシエリヒア・コリ製品を5000×Gで、10分間回収し、
10mMトリス−HCl(pH8.0)40ml中で2mM・EDTAを含有す
るペレットを再懸濁した。その後リゾチームを加えて最
終濃度0.25mg/mlにし、混合物を30分間、室温で回転さ
せた。溶液をさらに10分間室温で混合を続けながらトリ
トンX−100の0.2%までにした。2mM・EDTA、50mMNaCl
および10mM・MgCO2を有する等量の10mMトリス−HClを、
最終濃度2mg/mlのDNAエースと共に加えた。これを室温
で15分間回転させ、その後1500×Gで5分間遠心した。
ペレットを捨て、上清を30分間10000×Gで遠心した。
2%SDSおよび10mMジチオスレイトール(DTT)を有する
0.1Mりん酸緩和衡液(pH6.0)でペレットを分散後、こ
の最終ペレットを、セファクリルS−400と直列に並べ
たセファクリルS−300カラムで分画した。画分を50ml/
時で溶出させて、6つの小画分を文析SDS−PAGEおよび
イムノブロッテイングによる分析のために採集した。最
終的に、0.5Mりん酸緩衡液(pH6.8)および1mM・DTTを
用いて希釈した後、SDSをヒドロキシアパタイトカラム
上で取り除いた。上記のようにSDS−PAGEおよびイムノ
ブロッテイングによって画分の純度を確認した。 マウスの免疫化 完全フロントアジュバント(CFA)中の10μgの精製
融合ポリペプチドを用いて6匹のBALB/c雌性マウスを群
を免疫化した。3週後、CFA中の同一用量を用いて量を
高めた。初期免疫化6週間後、マウスを採血し、血清を
単離した。これらの血清を1/1000の希釈率でアッセイ
し、アフィニティー精製125I−やぎ抗マウスIgを使用す
る以外は上記のようにPAGE−分離胎盤ミトコンドリアに
対してプローブした。免疫蛍光法によって、上記1,2,5
のようにHEp−2細胞の切片および肝臓組織切片を使用
して血清を1/100で調べた。 ヌクレオチドおよびアミノ酸配列 pRMITのCDNA挿入物をM13中にサブクローン化し、ヌク
レオチド配列を決定16,17した。発現クローンの二重鎖
シーケンシングによって挿入物の正確なフレームおよび
配向を決定した17。両方の配向で配列を決定し、合成オ
リゴヌクリオチドをプライム反応18に用いた。 固相酵素免疫測定法 炭酸緩衡液で2μg/mlに希釈した精製組換え体融合ポ
リペプチドをイムロン1マイクロタイタープレート(ダ
イナテック・ラボラトリーズ社、アレクサンドリア、バ
ージニア)に一夜4℃で吸収させた。胎児仔牛血清(FC
S)緩衡液(PBS中5%FCS、1%BSA、0.3%ゼラチン)
を用いて非特異的部位を保護した後、FCS緩衡液で希釈
したPBC血清を1時間インキュベートした。PBS/0.1%ツ
インを用いてプレートを3回洗浄し、その後以下に示す
ひと長鎖イソタイプに対して特異的なマウスモノクロー
ナル抗体の各々を用いてインキュベートした。IgG1に対
するSG−11、IgG2に対するGOM−1、IgG3に対するSJ−3
3、IgG4に対するSK−44、IgMに対するMB−11、IgAに対
するGA−1(マイルズ・サアイエンティフィック社、ネ
イパービル、イリノイ)。マウスMoAbsの結合を、ペル
オキシダーゼ結合やぎ抗マウスIgM(テイゴ社、バーリ
ンガム、カリフォルニア)を用いて検出されるSJ−33を
除く全てのペルオキシダーゼ結合やぎ抗体マウスIgG
(テイゴ社、バーリンガム、カリフォルニア)を用いて
検出した。ABTSをペルオキシダーゼの色の基質として使
用した、全てのイソタイプのAMAの検出のために、HRP−
GHulgのイソタイプの特異的モノクローナルの代わりに
使用した。 ひと骨髄腫蛋白を使用して最適の希釈のイソタイプの
特異的MoAbsを得た。骨髄腫蛋白の予じめ定めた希釈物
をミクロタイタープレートの上に被覆し、イソタイプ特
異的MoAbsの連続希釈物、ついでペルオキシダーゼ結合
試薬によって、前述のように固相酵素免疫測定法を行っ
た。ほぼ同等の血清イソタイプ濃度で同様のO.D.単位を
示すイソタイプ特異的MoAbsの希釈物を酵素結合イムノ
吸着アッセイに使用した。 スクリーニングのための最適な血清希釈物を得るため
には、最初にスクリーンした(免疫蛍光法により)AMA
陽性PBC、進行性軟骨炎および正常血清を固相酵素免疫
測定法によって力価測定した。血清希釈率1:1000がノイ
ズ比に対して最も高い信号を生じることが分り、この希
釈率を使用して全ての結果を得た。陰性の切捨点を正常
血清を平均O.D.上の2の標準偏差として決定した。 B.結果 BTA224中のpRMITの配列 PBCを有する患者由来の血清を用いてプローブした
際、JM101中のpRMITのサブクローンは非常に免疫反応性
があったが、対照クローンは非反応性であった。対照的
に正常提供者由来の血清は、JM101中のpRMITにもまたは
対照クローンにも反応しなかった。アレイ由来の陽性コ
ロニーを全ての後の研究に使用した。 pRMIT融合ポリペプチドの特異性 PBCを有する患者25名中25名からの1/1000の希釈率の
血清は、pRMIT内で作られた160kdの融合ポリペプチドと
反応した(第1表および第1図)。このバンドはβ−ガ
ラクトシダーゼに対するうざぎ抗血清とも反応した(デ
ータは示さず)。約36kdの血清を含め、明らかに160kd
の破砕生成物である低分子量の成分に対応する多くのバ
ンドが認められた。これらの低分子量材料はpRMITのみ
にあり、PBC血清に免疫反応性があった。これら25の血
清の反応性の力価は、1:1,000から1:100,000の範囲であ
った。同じ25の血清の使用によって、非組換え体pBTA22
4によって生成された細菌または不適切な挿入物で形質
転換し、種々の融合ポリペプチドの発現を誘導した細菌
の溶菌物にはこの融合ポリペプチドは検出されなかっ
た。全身性紅斑性狼瘡、慢性関節リウマチまたは慢性活
動性肝炎を有する患者由来の血清は、1/1000の希釈率で
融合蛋白と反応し、4日までのオートラジオグラフ露出
でも反応した。 融合ポリペプチドの同定 pRMITNの溶菌物で吸収後、PBCを有する7人の患者全
てからの血清が、70kd抗原に反応性を有する抗体を奪わ
れたころを示した(第II表)。反対照に、上記吸収は45
kdまたは39kd抗原に対する反応性を変化しない。上記奪
取は、固体支持体に結合した対照クローンの溶菌物にPB
C血清が吸収される際には見られない。pRMIT融合ポリペ
プチドとPBC血清の反応性が、検出可能な抗70kd反応性
を取り除くことの発見は、cDNAが70kd抗原に対する自己
抗体によって認識される全決定基を暗号化することを示
している(第II表、第2図)。 アフィニティー精製抗体 5つの異なるPBC血清の溶出抗体は、分画された胎盤
ミトコンドリアの70kdポリペプチドと反応し、pRMIT中
の160kdの融合ポリペプチドと反応し(第3図)、更にp
RMITが70kd抗原を暗号化することを示している。溶出抗
体は、対照肝臓cDNAを発現するクローン由来の細菌たん
白の溶菌物とは反応しなかった。溶出抗体は、HEph−2
細菌またはじん臓組織切片を用い、免疫蛍光法によって
染色する抗ミトコンドリアの特異的パターンも付与し
た。 マウスの免疫応答 pRMIT融合ポリペプチドの注入後、BALBマウスは70kd
胎盤ミトコンドリアたん白に応答する抗体を生成した。
対照非免疫化マウス血清は非反応性であった(第4
図)。更に、これらの血清は、HEp−2細菌およびじん
臓組織切片の両方での抗ミトコンドリア免疫蛍光法の典
型的パターンを生じた(第5図)。 ヌクレオチドおよびアミノ酸配列 挿入物は、1370の塩基対長で、全てのコード化領域か
ら成る(第6図)。456のアミノ酸は、クローンによっ
て生成された融合ポリペプチドの観察寸法と一致する約
48kdのポリペプチドをコード化する。従って、全長の配
列の抗原ではない。配列は、11%プロリンを含有し、プ
ロリンは例えば54から102のヌクレオチドにみられるよ
うに、しばしばアラニンおよびバリンのような疎水性ア
ミノ酸の短鎖によって先行されることが分かった。70kd
ミトコンドリア自己抗原の配列および公知たん白とDNA
配列の比較は、よく一致する配列をなんら示さなかっ
た。配列は、ミトコンドリアDNA中には存在しなく(デ
ータは示さず)、従って70kdたん白は核遺伝子によって
コード化されている。 固相酵素免疫測定法の感受性を、PBCを有する37名の
患者に対する免疫蛍光法と比較した(第7図)。固相酵
素免疫測定法は約250倍以上の感度があることが分かっ
た。固相酵素免疫測定法によって検出した平均力価は、
105,4であるが、免疫蛍光法によると、僅か103であっ
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Claims (1)

  1. (57)【特許請求の範囲】 1.原発性胆汁肝硬変(PBC)の70kdミトコンドリア自
    己抗原の抗原性を発揮する、アミノ酸配列:AEIETDKATIG
    FEVQEEGYLを含むペプチドをコードするヌクレオチド配
    列を発現調節配列に対して作動可能に結合させたヌクレ
    オチドを含む形質転換宿主細胞を培養し、その培養物か
    ら発現ペプチドを採取することを特徴とする、PBCの70k
    dミトコンドリア自己抗原の抗原性を発揮するペプチド
    の製造法。
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