JP2814456B2 - 高強度室温硬化性ポリオルガノシロキサン組成物 - Google Patents

高強度室温硬化性ポリオルガノシロキサン組成物

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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は、硬化後において高強度を示す室温硬化性ポ
リオルガノシロキサン組成物に関し、さらに詳しくは、
酸化スズおよび/または酸化アンチモンで表面処理され
た酸化チタン系充填剤を配合して成る高強度室温硬化性
ポリオルガノシロキサン組成物に関する。
[従来の技術および問題点] シリコーンポリマーは分子間力が弱いことから、ポリ
マーに種々の架橋剤を加えて硬化させても、得られたシ
リコーン硬化物は強度が低く脆いゴム状物であり、実際
に使用する上でその機械特性は満足のいくものではな
い。
そのため、シリコーンに種々の充填剤を配合したもの
が、実際には使用されている。この充填剤としては微粉
末シリカ、ケイソウ土、石英粉末、炭酸カルシウム等の
種類があり、用途に合わせて使い分けられている。これ
らの中で、ケイソウ土、炭酸カルシウム石英粉末の場合
は補強性が小さく、一般に増量剤として主に使われてい
る。これに対して、微粉末シリカは補強性が大きく、シ
リコーン硬化物の機械特性を向上させる硬化が大きいこ
とから、多くの場合に使用されている。しかし、シリコ
ーンに多量に混合した場合には著しい増粘が生ずること
から充填量が制約され、そのため微粉末シリカを充填し
たシリコーンゴム硬化物も、十分満足出来る程高い機械
特性と良好な作業性を持ったものは、得られていない。
この微粉末シリカを充填する場合における改善策とし
て、微粉末シリカをオルガノシラン、オルガノシラザ
ン、オルガノポリシロキサン等で表面処理する方法や、
充填時に種々の分散剤を併用する方法が採られている。
しかし、得られたシリコーンゴム組成物の作業性を満足
し、かつゴム硬化物の機械特性を優れたものにする方法
は、未だに十分なものは得られていない。
以上の様に充填剤が配合されて、シリコーンゴム硬化
物は実際に使用されているが、他のゴムやプラスチック
に比べると機械特性が劣ることから、構造材料用途には
適さず、もっぱら特殊用途にだけ向けられており、その
ため汎用材料として使えないという問題点があった。
また、顔料や充填剤として、酸化チタンをシリコーン
ゴムに添加することは公知であるが、ある表面処理を施
した酸化チタンを充填剤として使用した場合に、シリコ
ーンゴムの機械特性が著しく向上することは、全く予想
されなかったことである。
[発明の目的] 本発明の目的は、室温硬化性ポリオルガノシロキサン
組成物が持っていた上記の問題点を解決し、良好な作業
性と優れた機械性を持つ、室温硬化性ポリオルガノシロ
キサン組成物を提供することにある。
[発明の構成] 本発明者らは、前記の目的を達成するため検討を行っ
た結果、充填剤として酸化スズおよび/または酸化アン
チモンで表面処理された酸化チタン系充填剤を配合する
ことで、良好な作業性を持ちながら、なおかつ機械特性
に優れた室温硬化性ポリオルガノシロキサン組成物が得
られることを見いだし、本発明に完成するに至った。
すなわち、本発明は、 (A)一般式 (式中、R1は水素原子、または1価の炭化水素基、R2
置換あるいは非置換の1価の炭化水素基およびR1Oから
成る群より選ばれた基、nは3以上の数)で表されるポ
リジオルガノシロキサン100重量部 (B)表面を酸化スズおよび/または酸化アンチモンで
被覆処理された酸化チタン系充填剤5〜450重量部 (C)無機質充填剤0.5〜50重量部 (D)架橋剤0〜40重量部および (E)硬化触媒0〜5重量部 から成ることを特徴とする高強度室温硬化性ポリオルガ
ノシロキサン組成物である。
本発明の組成物を構成する(A)成分は、分子鎖末端
に水酸基またはアルコキシ基を有するポリジオルガノシ
ロキサンであり、一般式 で示される。式中、R1は水素原子、メチル基、エチル
基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基等のアルキル
基、またR2はメチル基、エチル基、プロピル基等のアル
キル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基、ビニ
ル基、アリル基等のアルケニル基、フェニル基、トリル
基等のアリール基、またはこれらの基の水素原子が部分
的にハロゲン原子等で置換された基、およびR1Oから成
る群より選ばれた基である。nはポリジオルガノシロキ
サン25℃における粘度が50〜1000000cStの範囲となるよ
うな、3以上の数である。50cSt以下では、組成物の粘
度が低すぎて取扱上問題がある。特に硬化物の物性と作
業性から、500〜100000cStの範囲が好ましい。
(B)成分は本発明の組成物の特徴である高強度特性
を付与するために重要な成分である。この成分として
は、表面を酸化スズおよび/または酸化アンチモンで被
覆処理された酸化チタン系充填剤であることが必須条件
とされる。この酸化チタン系充填剤には、顔料用酸化チ
タン、微粒子酸化チタンおよびチタン酸カリウムウィス
カー等がある。本発明で用いる酸化チタン系充填剤は、
これらの酸化チタン等の充填剤表面に、酸化スズおよび
/または酸化アンチモンを処理して、それらの酸化金属
膜を形成させたものである。この様な酸化チタン系充填
剤を本発明の組成物に用いることによって、機械特性の
改善に著しい効果が発揮される。この(B)成分の添加
量は、(A)成分100重量部当り5〜450重量部の範囲が
好ましい。5重量部未満では機械特性の優れたシリコー
ンゴム硬化物を得るのが難しく、また450重量部を超え
ると本発明の組成物の作業性が劣ってしまうためであ
る。
さらに(C)成分は、上記(B)成分によって付与さ
れる高強度特性を、安定なものとするために添加するも
のである。この成分はその種のシリコーンゴム組成物に
用いられている充填剤であり、これには微粉末シリカ、
石英粉末、二酸化チタン、酸化亜鉛、酸化アルミニウ
ム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ケイ酸カルシ
ウム、タルク、ケイソウ土、カーボンブラック、酸化第
二鉄、ガラス繊維等がある。
この(C)成分の添加量は、(A)成分100重量部に
対して0.5〜50重量部の範囲が好ましく、これは0.5重量
部未満で機械特性が不安定となり、また逆に50重量部を
超えると組成物の粘度が高くなって作業性が低下してし
まうからである。
本発明の組成物を構成する(D)成分の架橋剤は、
(A)成分を架橋させて網状構造とするものであり、室
温硬化性ポリオルガノシロキサン組成物の架橋剤として
公知のものである。
これは一般式 R3 aSiX4-a (式中、R3は1価の炭化水素基、Xは加水分解性基、そ
してaは0〜2の整数を示す)で表されるシランまたは
その部分加水分解縮合物である。R3としては(A)成分
中のR2として例示したものと同じもの、および で示されるイミノアルキル基等が挙げられる。Xで示さ
れる加水分解性基としてはメトキシ基、エトキシ基、プ
ロポキシ基等のアルコキシ基;イソプロペノキシ基、1
−エチル−2−メチルビニルオキシ基等のアルケニルオ
キシ基;ジメチルケトオキシム基、メチルエチルケトオ
キシム基、ジエチルケトオキシム基等のケトオキシム
基;アセトキシ基、オクタノイルオキシ基、ベンゾイル
オキシ基等のアシロキシ基;ジメチルアミノ基、ジエチ
ルアミノ基、ブチルアミノ基、シクロヘキシルアミノ基
等のアミノ基;ジメチルアミノキシ基、ジエチルアミノ
キシ基等のアミノキシ基;N−メチルアセトアミド基、N
−エチルアセトアミド基、N−メチルベンズアミド基等
のアミド基等が例示される。具体的には、メチルシリケ
ート、エチルシリケート、プロピルシリケート、メチル
トリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、メチ
ルトリエトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、メ
チルトリス(メトキシエトキシ)シラン、ビニルトリス
(メトキシエトキシ)シラン、メチルトリプロペノキシ
シラン、ビニルトリプロペノキシシラン、メチルトリア
セトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、メチル
トリス(アセトンオキシム)シラン、ビニルトリス(ア
セトンオキシム)シラン、メチルトリス(メチルエチル
ケトオキシム)シラン、ビニルトリス(メチルエチルケ
トオキシム)シラン、メチルトリス(ジメチルアミノ)
シラン、メチルトリス(ジエチルアミノ)シラン、メチ
ルトリス(N−メチルアセトアミド)シラン、ビニルト
リス(N−エチルアセトアミド)シランおよびそれらの
部分加水分解物が例示される。また、ヘキサメチルビス
(ジエチルアミノキシ)シクロテトラシロキサン、テト
ラメチルジブチルビス(ジエチルアミノキシ)シクロテ
トラシロキサン、ヘプタメチル(ジエチルアミノキシ)
シクロテトラシロキサン、ペンタメチルトリス(ジエチ
ルアミノキシ)シクロテトラシロキサン、ヘキサメチル
ビス(メチルエチルアミノキシ)シクロテトラシロキサ
ン、テトラメチルビス(ジエチルアミノキシ)モノ(メ
チルエチルアミノキシ)シクロテトラシロキサンのよう
な環状シロキサン等も例示される。これらを使用する際
には、1種類に限定される必要はなく、2種類以上の併
用も可能である。
この(D)成分の添加量は、(A)成分100重量部対
して0〜40重量部の範囲が適当である。(A)成分がそ
れ自体で架橋性を持つ場合には(D)成分は必須ではな
いが、1包装形にする場合には保存安定性の面ある程度
添加する方が好ましい。また40重量部を超えると、
(D)成分が遊離して硬化性や硬化物の物性を損ねたり
するので好ましくない。
さらに、本発明のの組成物を(E)成分の硬化触媒と
しては、鉄オクトエート、コバルトオクトエート、マン
ガンオクトエート、亜鉛オクトエート、スズナフテネー
ト、スズカプリレート、スズオレエートのようなカルボ
ン酸金属塩;ジブチルスズジアセテート、ジブチルスズ
ジオクトエート、ジブチルスズジラウレート、ジブチル
スズジオレエート、酸化ジブチルスズ、ジブチルスズジ
メトキシド、ジブチルビス(トリエトキシシロキシ)ス
ズ、ジオクチルスズジラウレートのような有機スズ化合
物;アミン化合物;第4級アンモニウム塩;チタンキレ
ート化合物等が例示される。この(E)成分の添加量は
(A)成分100重量部に対して、0〜5重量部の範囲内
である。(D)成分の架橋剤において、アミノキシ化合
物のように自己触媒性が有る場合には、この(E)成分
は必須成分とはならない。5重量部を超える場合には、
作業性や保存安定性が低下したり、硬化物の耐熱性が劣
化したりするので好ましくない。
本発明の組成物には、必要に応じてこの他の充填剤お
よび添加剤を、本発明の目的を損わない範囲内で適宜使
用することができる。その他の充填剤としては、補強性
のものや非補強性の増量剤的なもの、さらには導電性の
もの、放熱性のもの、および耐熱性のもの等が含まれ
る。また添加剤として、接着性向上剤、顔料、チクソ化
剤、粘度調整剤、紫外線防止剤、防カビ剤、溶剤、耐熱
性あるいは耐寒性向上剤、難燃化剤等の各種添加剤を加
えることも可能である。
本発明の組成物は、以上の全ての成分および必要に応
じて各種添加剤を、湿気を遮断した状態で混合すること
により得られる。得られた組成物は、密閉容器中でその
まま保存し、使用時に空気中の水分にさらすことによっ
てはじめて硬化する、いわゆる1包装型室温硬化性組成
物として使用することができる。また、本発明の組成物
を、例えば架橋剤と硬化触媒を別けた組成物として調整
し、適宜2〜3個の別々の容器に別けて保存して、使用
時にこれらを混合する、いわゆる多包装型室温硬化性組
成物として使用することもできる。
[発明の効果] 本発明によって得られた室温硬化性組成物は、硬化前
においては良好な作業性を有し、硬化後においてはシリ
コーンゴムの機械特性が改善され、高い機械強度を示す
ものてある。本発明の組成物は、従来の室温硬化性ポリ
オルガノキロキサン組成物の用途に加えて、構造材料の
接着・シール用途、並びに準構造材料として新規な用途
に使用されえる、極めて有用な材料である。
[実施例] 以下において実施例をあげ、本発明を具体的に説明す
るが、本発明は以下の実施例に限定されるものではな
い。なお、ここで部とあるいはいずれも重量部を表し、
粘度は25℃での値を示す。
実施例 1 粘度5000cStの水酸基末端封鎖ポリジメチルシロキサ
ン100部に、酸化スズおよび酸化アンチモンで表面を被
覆処理された酸化チタン球状粉末(500W、石原産業
(株)製)140部、およびフュームドリシカ10部を添加
して減圧下で混合し、均一に分散させた。この混合物
に、さらにエチルオルソシリケート6.34部、および酸化
ジブチルスズ0.02部を加え、湿気不在下で混合して均一
分散させ、本発明の組成物を得た。次にこの組成物を厚
さ2mmのシート状に成型して、標準状態(20±3℃、55
±10%RH)の下で7日間養生して硬化物とし、この物性
を測定した。得られた結果を第1表に示す。
比較例 1 比較例として、本発明に記載する以外の酸化チタンと
して、KR−310(チタン工業(株)製)を同体積で使用
した以外は、実施例1と同じ条件で組成物を調製し、同
様に硬化シートを作成した。この硬化シートの物性の測
定結果を第1表に併記する。
比較例 2 実施例1に記載された組成物中、比較例として、フュ
ームドシリカ10部を除いた残りの成分で同様に組成物を
調製し、得られた組成物で硬化シートを作成した。この
硬化シートの物性の測定結果を第1表に併記する。
実施例 2 粘度5000cStの水酸基末端封鎖ポリジメチルシロキサ
ン100部に、酸化スズおよび酸化アンチモンで表面被覆
処理された酸化チタン針状端末(FT−1000、石原産業
(株)製)220部、および炭酸カルシウム20部を添加し
て減圧下で混合し、均一に分散させた。さらに、このも
のにメチルトリス(メチルエチルケトオキシム)シラン
20.33部とジブチルスズジラウレート0.03部とを添加
し、湿気不在下で混合して均一に分散させ、本発明の組
成物を得た。次に、この組成物を用いて実施例1と同様
にシートを作成し、この物性測定を行った。その結果を
第2表に示す。
実施例 3 粘度5000cStのトリメトキシシリル基末端封鎖ポリジ
メチルシロキサン100部に、酸化スズおよび酸化アンチ
モンで表面被覆処理された酸化チタン球状端末(W−
1、三菱金属(株)製)180部、および炭酸カルシウム1
5部を添加して減圧下で混合し、均一に分散させた。さ
らに、このものにフェニルトリメトキシシラン10.69部
と酸化ジブチルスズ0.05部とを添加し、湿気不在下で混
合して均一に分散させ、本発明の組成物を得た。次に、
この組成物を用いて実施例1の同様にシートを作成し、
この物性測定を行った。その結果を第3表に示す。
実施例 4 粘度3000cStの水酸基末端封鎖ポリジメチルシロキサ
ン100部に、酸化スズおよび酸化アンチモンで表面被覆
処理された酸化チタン球状端末(W−10、三菱金属
(株)製)135部、およびフュームドリシリカ12部を添
加して減圧下で混合し、均一に分散させた。さらに、こ
のものにメチルトリプロペノキシシラン8.28部とコバル
トオクトエート0.10部とを添加し、湿気不在下で混合し
て均一に分散させ、本発明の組成物を得た。次に、この
組成物を用いて実施例1と同様にシートを作成し、この
物性測定を行った。この結果を第4表に示す。
実施例 5 粘度3000cStの水酸基末端封鎖ポリジメチルシロキサ
ン100部に、酸化スズおよび酸化アンチモンで表面被膜
処理された酸化チタン球状端末(500W、石原産業(株)
製)60部、および同様に被覆処理されたチタン酸カリウ
ムウィスカー(WK200、大塚化学(株)製)60部、並び
に顔料用酸化チタン25部を添加して減圧下で混合し、均
一に分散させた。さらに、このものにビニルトリス(N
−エチルアセトアミド)シラン12.88部を添加し、湿気
不在下で混合して均一に分散させ、本発明の組成物を得
た。次に、この組成物を用いて実施例1と同様にシート
を作成し、この物性測定を行った。その結果を第5表に
示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C08L 83/06 C08K 9/02 C08K 3/00

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】(A)一般式 (但し、R1は水素原子、または1価の炭化水素基、R2
    置換あるいは非置換の1価の炭化水素基およびR1Oから
    成る群より選ばれた基、nは3以上の数)で表されるポ
    リジオルガノシロキサン100重量部 (B)表面を酸化スズおよび/または酸化アンチモンで
    被覆処理された酸化チタン系充填剤5〜450重量部 (C)無機質充填剤0.5〜50重量部 (D)架橋剤0〜40重量部および (E)硬化触媒0〜5重量部 から成ることを特徴とする高強度室温硬化性ポリオルガ
    ノシロキサン組成物。
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