JP2812482B2 - 歯質表面の処理剤セット - Google Patents

歯質表面の処理剤セット

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Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 本発明は歯質表面を処理する処理剤セットに関する。
さらに詳しくは本発明は、歯質に対して歯科用材料との
良好な接着性が発現するような歯質表面の処理剤セット
に関する。
発明の技術的背景 歯の矯正あるいは修復のためにエナメル質および象牙
質に接着性レジンが使用されている。
こうした接着性レジンを使用する際には、接着性レジ
ンと歯質との接着性を向上させるために、歯質表面を予
めエッチング処理した後、接着性レジンを使用するのが
一般的である。そして、従来からエッチングには、燐酸
水溶液、塩化第二鉄とクエン酸との混合液などが使用さ
れてきた。
ところが、このような処理剤は、低分子の酸を含んで
いるので、歯質に塗布すると深く浸透し、健全な歯質に
もダメージを与え、歯髄にまで浸透した場合には相当の
激痛を伴うとともに生体組織を破壊する場合もある。
そこで、無機物質からなる上記のような処理剤の代わ
りに、処理剤としてスルホン酸基を含有するポリマーが
使用されるようになってきている(例えば特願昭60−17
1024号公報参照)。
上記のようなポリマーからなる処理剤を使用すること
により、歯質表面の処理に関しては、上記の無機物質か
らなる処理剤と同等に作用するが、このようなポリマー
は象牙細管内には浸入しにくいとの特性を有している。
さらに、このポリマー用いることにより、健全な歯質へ
のダメージを少なくするとともに、歯質表面が被覆され
るため、従来の接着性レジンが生体に与える刺激を抑制
する効果を有する接着が実現する。
歯の矯正あるいは修復に用いられる歯質接着性レジン
として、現在、メタクリル酸エステルなどのモノマーと
重合開始剤から成る組成物が一般に使用されており、重
合開始剤として、トリブチルボランあるいはベンゾイル
パーオキシド(BPO)とN,N−ジメチルトルイジンあるい
はカンファキノン類とN,N−ジメチルトルイジンの組合
せなどがある。
上記のようにして行なわれる歯の矯正あるいは修復の
際に歯質表面をスルホン酸基を含有するポリマーで処理
することにより歯質と歯科用レジンとの接着が安全に行
うことができると期待される。
ところが、上記のスルホン酸基を含有するポリマーで
表面処理された歯質に種々の重合開始剤を含む接着性レ
ジンを用いて接着を行なった場合、開始剤の種類によっ
て接着強度に著しく差が生ずることがある。殊に一般に
は良好な開始剤として知られている、たとえばN,N−ジ
メチルトルイジンと、ベンゾイルパーオキサイド(BP
O)のような開始剤とを組み合わせて使用した場合に、
上記のようなスルホン酸基を含有するポリマーを用いて
歯質表面を処理すると、予定している接着強度を大幅に
下回る接着強度しか発現しないことがあるという問題点
がある。
発明の目的 本発明は上記のような従来技術に伴う問題点を解決し
ようとするものであって、使用するモノマー成分、重合
開始剤などの種類に拘らず、優れ接着性が発現するよう
な歯質の表面処理剤セットを提供することを目的として
いる。
発明の概要 本発明に係る歯質表面処理剤セットは、スルホン酸基
を有するポリマーを含有する溶液または分散液と、多価
イオンを含有する溶液または分散液とからなることを特
徴としている。
本発明の歯質表面処理剤セットによれば、歯質表面を
スルホン酸基を有するポリマーと多価イオンとで処理し
ているので、使用する重合開始剤の種類に拘らず、歯質
と重合により硬化した重合体をとを優れた接着力で接着
させることができる。
発明の具体的説明 次に本発明に係る歯質表面の処理剤セットについて具
体的に説明する。
本発明に係る歯質表面処理剤セットは、歯質表面を処
理する、スルホン酸基を有するポリマー溶液または分酸
液(以下単に「ポリマー溶液」と記載することもある)
と、多価イオンを含む溶液(以下単に「多価イオン溶
液」と記載することもある)または分散液とからなる。
まず、スルホン酸基を含有するポリマーについて説明
する。
本発明で使用されるスルホン酸基を含有するポリマー
としては、スルホン酸基を含有する重合性モノマーの単
独重合体、スルホン酸基を含有する重合性モノマー(ま
たは重合性ポリマー)と他のモノマー(または重合性ポ
リマー)との共重合体、およびスルホン酸基またはスル
ホン酸基含有モノマーをグラフトしたポリマーなどが挙
げられる。
本発明で使用されるスルホン酸基を含有するポリマー
を調製する際に使用されるスルホン酸基含有モノマーと
しては、重合性二重結合とスルホン酸基とを有する化合
物を使用することができる。なお、ここでスルホン酸基
は、ナトリウム塩、カリウム塩、リチウム塩、あるいは
アンモニウム塩などのように一価の金属などの塩の形態
であってもよい。
このようなスルホン酸基含有モノマーの具体的な例と
しては、アリルスルホン酸、メタリルスルホン酸、ビニ
ルスルホン酸、p−スチレンスルホン酸、メタクリル酸
スルホエチル、tert−ブチルアクリルアミドスルホン酸
およびこれらの化合物の塩を挙げることができる。この
内でも特にp−スチレンスルホン酸が好ましく用いられ
る。
また、本発明で使用されるスルホン酸基を含有するポ
リマーが共重合体である場合、上記のスルホン酸基含有
モノマーと共重合体させることができるモノマーの例と
しては、 エチレン、プロピレン、ブテン−1などのオレフィン
類; 塩化ビニル、臭化ビニルなどのハロゲン化ビニル類:
酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルなどのビニルエステル
類; メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、イソ
ブチルビニルエーテルなどのビニルエーテル類; スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン、ク
ロルメチルスチレン、スチルベンなどのアルケニルベン
ゼン類; メチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチル
メタクリレート、ブチルメタクリレート、グリシジルメ
タクリレート、2−ビドロキシエチルメタクリレート、
3−ビドロキシプロピルメタクリレートなどのアクリル
酸またはメタクリル酸のアルキルエステルまたはグリシ
ジルエステル類; アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン
酸、無水マレイン酸、p−メタクリロキシ安息香酸、N
−2−ビドロキ−3−メタクリロキシプロピル−N−フ
ェニルグリシン、4−メタクリロキシエチルトリメリッ
ト酸、4−メタクリロエキシエチルトリメリット酸無水
物などの酸または酸無水物などを挙げることができる。
これらの内でも特にメタクリル酸メチルが好ましく用い
られる。
また、本発明で使用されるスルホン酸基を有するポリ
マーが、グラフトポリマーである場合、グラフト基を導
入するために用いられるベースポリマーの例としては、 ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン−1など
のポリオレフィン類; ポリ塩化ビニルなどのポリハロゲン化ビニル類; ポリスチレン、ポリ−α−メチルスチレンなどのポリ
アルケニルベンゼン類; ポリメチルメタクリレート、ポリエチルメタクリレー
トなどのポリ(メタ)アクリル酸エステル類などを挙げ
ることができる。これらの内では、特にポリスチレンお
よびポリメチルメタクリレートが好ましい。
上記のようなベースポリマーにスルホン酸基をグラフ
トさせるために使用される化合物としては、例えば、硫
酸、発煙硫酸、液体亜硫酸、硫酸第一銀、トリエチルホ
スフェート−サルファートリオキサイド錯体、長鎖硫酸
アシルなどの通常のスルホン化剤を挙げることができ
る。このようなグラフト重合体は、公知の方法を利用し
て調製することができる。
本発明において使用されるスルホン酸基を有するポリ
マーのGPCより求めたポリスチレン換算の重量平均分子
量は、通常500〜108、好ましくは104〜107の範囲内にあ
る。そして、本発明において、ポリマーが共重合体の場
合、ポリマー中にあるスルホン酸基を有しない繰り返し
単位と、スルホン酸基を有する繰り返し単位とは、モル
比で、通常0:100〜99:1、好ましくは30:70〜80:20の範
囲内にあり、かつ、このポリマーが水溶性を示すような
比率で上記繰り返し単位を含有している。
上記に示したスルホン酸基を有するポリマーのうち、
好ましい例を以下に示す。
ただし、上記式において、上記と同様の方法により測
定した重量平均分子量は、通常103〜107であり、m/n
は、モル比で通常0.11〜0.67である。
上記のようなスルホン酸基を有するポリマーは、溶液
あるいは分散液として使用される。この際使用される溶
液あるいは分散媒としては、スルホン酸基を有するポリ
マーの少なくとも一部を溶解することができる液体を使
用することができる。特にポリマーの溶解性および毒性
を考慮すると、溶媒として水、もしくは水とエタノール
との混合溶媒を使用することが好ましい。
この際のポリマーの濃度は適宜設定することができる
が、通常上記ポリマーを溶液として使用することが好ま
しく、この場合のポリマー濃度は、通常、0.01〜30重量
%であり、好ましくは1〜10重量%である。
本発明においては、第1の処理は、上記のようなスル
ホン酸基を有するポリマーを含む溶液もしくは分散液を
歯質に塗布するが、この溶液あるいは分散液が、1価の
カチオン、好ましくは多価イオンを含んでいることが好
ましい。
ここで、ポリマー溶液中に含有される多価イオンとし
ては、Mg2+、Ca2+、Ba2+などのアルカリI類金属イオン
やアルミニウムイオン、鉄イオン、銅イオン、亜鉛イオ
ン、コバルトイオンなどを挙げることができる。これら
の内でも特にカルシウムイオン、アルミニウムイオン、
鉄イオンのような金属多価イオンが好ましい。
また、ポリマー溶液中における上記多価イオン
[Mn-]の濃度に特に規定はないが好ましくは[Mn+]と
スルホン酸基[SO3 -]とのモル比が、 [Mn+]/[SO3 -]<1/n の関係を有するように多価イオンが配合されていること
が望ましい。
ただし、上記式において、nは多価イオンの価数を表
す。
本発明において、上記のようなポリマー溶液を用いた
歯質の処理は、所望により切削された歯質に上記のポリ
マー溶液を塗布し、歯質と上記のスルホン酸基を有する
ポリマーとを反応させる。こうしてポリマーが歯質と反
応することにより、ポリマーは、水に対して難溶性ある
いは不溶性をしめすようになる。そして、歯質表面には
スルホン酸基が歯質と結合したポリマーの皮膜が形成さ
れる。
上記のようなポリマーと歯質との反応は比較的短時間
に進行するため、反応時間は、通常1〜300秒、好まし
くは、10〜120秒である。
なお、上記のようなポリマー溶液に所望により配合さ
れる多価イオンの作用は、明確ではないが、少なくとも
多価イオンを所定量配合することにより、接着強度が向
上する傾向があることから、本発明者は、歯質と結合し
ていないスルホン酸基の一部と結合して架橋構造を形成
するのでないかと推測している。
なお、多価イオンは、上記のようなポリマーと併用す
ることにより象牙質細管へ浸入しにくくなる。
上記のようにしてポリマー溶液を用いて歯質の処理を
行った後、多価イオンを含む溶液でポリマー溶液で処理
された歯質を処理(後処理)する。
この後処理では、二価以上のカチオンを含む処理液が
使用され、このようなカチオンとしては、メチルアミ
ン、エチルアミンなどのようなモノアルキルアミンから
誘導されるアンモニウムイオンのような有機化合物から
なるカチオンを使用することもできるが、二価以上の金
属から誘導されるカチオンを含む溶液を使用することが
好ましい。
このような金属多価イオンの具体的な例としては、カ
ルシウムイオン、鉄イオン、ストロンチウムイオン、ア
ルミニウムイオン、クロムイオン、銀イオンなどのほ
か、遷移金属、ランタン系列、アクチニウム系列のなか
の元素イオンをあげることができる。
このような金属多価イオンは、例えば塩化物塩、硝酸
塩、酢酸塩などの相当する金属塩を水などの溶媒に溶解
しても、もしくは分散させて使用される。
さらに、本発明においては上記のような金属多価イオ
ンの他に、スルホン酸基を含有するポリマーと反応して
不溶性ポリマーを形成し得る物質を使用することができ
る。このような物質の例としては、シリカおよびアルミ
ナを挙げることができる。このような物質は通常は水な
どの溶媒に不溶であり、従ってこのような物質は通常は
分散液の形態で使用される。
特に本発明においては、カルシウムイオン、アルミニ
ウムイオン、銅イオンおよび鉄イオンを含む溶液もしく
は分散液を使用することが好ましい。さらに、歯質との
親和性を考慮するとカルシウムイオンを含む溶液もしく
は分散液を使用することが好ましい。なお、上記のよう
な金属多価イオンなどは、単独で使用することもできる
し、さらに二種類を組み合わせて使用することもでき
る。また、上記のような金属多価イオンを含む溶液を調
製する際に使用する溶媒とくに限定はなく、上記のよう
な金属塩を溶解もしくは分散させることができる溶体を
使用することができる。このような液体としては、通常
は水が使用され、さらにこの水に小量のアルコール(例
えばエタノール)などが含有されていてもよい。
この処理液のイオン濃度は106〜90重量%であり、好
ましくは、10-3〜10重量%である。
また、上記のような多価イオンを含む溶液もしくは分
散性を用いた処理の時間は通常は1〜300秒、好ましく
は10〜120秒である。上記のようにして多価イオンを含
む溶液あるいは分散液で処理を行うことにより、歯質表
面に形成されたポリマー層中に残存するスルホン酸基と
多価イオンとが反応して架橋構造が形成される推察さ
れ、このような架橋構造の形成によって、光反応開始剤
が、スルホン酸基と反応することによる光重合開始剤の
活性の低下を防止することができると考えられる。さら
に、上記のようにして形成された架橋構造の細部にまで
重合性モノマーが浸透するため、より強固な接着状態が
形成されると考えられる。
上記のように多価イオン溶液を用いて処理した後、通
常は、エアーブローなどの適当な手段で歯質表面を乾燥
させる。次いで、処理された歯質表面に硬化性接着剤組
成物を塗布もしくは充填して硬化させ、歯科用レジンと
の接着力を発現させる。
上記のような歯質表面処理剤セットを使用することに
より、特に従来スルホン酸基を有するポリマーを使用し
た場合に良好な接着力が発現しにくかったBPOとアミン
系の重合開始剤を使用した場合にも非常に高い接着性を
示すようになる。
上記のような重合開始剤を用いた重合に使用されるモ
ノマー成分としては、従来公知のモノマーを使用するこ
とができる。すなわち、本発明の処理剤セットと共に使
用することができる接着剤の具体的な例としては、光開
始剤にカンフアーキノン類とアミンを用いる接着剤、ト
リブチルボランまたはトリブチルボランの酸化物の誘導
体系接着剤およびベンゾイルパーオキサイド類とアミン
を用いた接着剤などを挙げることができる。さらにこれ
らの接着剤に用いられるレジンとしては、具体的には燐
酸エステル系レジン、4−META系レジンなどのメタクリ
ル酸エステル系レジンなどがある。
このような接着剤は、例えば筆積み法などの方法を利
用して多価イオン処理液で処理された歯質表面に塗布さ
れ、室温で放置することにより、または光照射をするこ
とにより硬化される。なお、本発明の処理方法を採用す
ることにより、歯質中のエナメル質及び象牙質を問わず
良好な接着性を発現させることができる。
発明の効果 本発明によれば、歯質表面をスルホン酸基を有するポ
リマー溶液と多価イオンを含む溶液とで処理しているの
で、使用する重合開始剤の種類に拘らず、歯質と光重合
により重合した重合体とを優れた接着力で接着させるこ
とができる。
しかも、従来スルホン酸基を有するポリマー溶液を使
用した場合、充分な接着力が発現しにくかったBPO−ア
ミン系反応開始剤を使用した場合であっても、優れた接
着力が発現する。
次に本発明を実施例を示してさらに詳しく説明する
が、本発明はこれら実施例によって限定的に解釈される
べきではない。
[実施例] ポリマー溶液−処理液Aの調製 メタクリル酸メチル21.0gとp−スチレンスルホン酸
ナトリウム18.6gとをエタノール/水(重量比1:1.3)溶
媒中でアゾビスイソブチロニトリル0.4gの存在下に、70
℃で17時間反応させた。この反応溶液に6N塩酸を15ml加
えて2時間撹拌し、エタノールを減圧下で留去した。
次にこの反応混合物を透析チューブに充填し、2〜3
日間水中で透析をおこない、アゾビスイソブチロニトリ
ルおよび未反応モノマーなどを除去した。次いで水を留
去し、さらに吸水剤として水酸化ナトリウムを使用して
真空乾燥し、淡黄色透明ポリマーを得た。
得られたポリマーを、分子量既知のポリスチレンを標
準試料としてGPCを用いて分析した結果、このポリマー
の重量平均分子量で106以上であり、メタクリル酸メチ
ル成分単位とスチレンスルホン酸成分単位との共重合モ
ル比は0.67:0.33であった。
上記ポリマーをポリマー濃度10重量%になるように水
に溶解した。
このポリマー溶液を処理液Aとする。
ポリマー溶液−処理液Bの調製 0.1gの前記ポリマーと0.012gの塩化第二鉄を水に溶解
して全量100gとして均一な溶液を調製した。
この、ポリマー溶液を処理液Bとする。
多価イオン水溶液の調製 塩化第二鉄、塩化アルミニウム、塩化銅、塩化カルシ
ウムをそれぞれ0.05Mの濃度になるように溶解して0.05M
第二鉄水溶液、0.05M塩化アルミニウム水溶液、0.05M塩
化銅水溶液および0.05M塩化カルシウム水溶液を調製し
た。
べつに塩化第二鉄を0.1Mのなるように溶解して0.1M塩
化第二鉄水溶液を調製した。
実施例1 牛歯象牙質の表面を600番の耐水エメリー紙で研削し
た牛歯象牙質に処理液Aを塗布し1分間処理した後、歯
質表面を水洗し、次いで圧縮空気を用いて乾燥させた。
その後、さらにこの歯質表面を0.1M塩化第二鉄水溶液
で30秒間処理し、歯質表面を水洗した後、圧縮空気を用
いて乾燥させた。
上記のようにして表面処理の施された牛歯象牙質に5m
mφの穴開き両面接着テープを貼着し、接着面積を規定
して内径6mmφ、外径8mmφ、厚さ1mmのアクリルリング
を接着した。
ついで、このアクリルリング内に歯科用即更性レジン
(即重レジン)メタフアースト(サンメデイカル(株)
製)を充填した。
上記のようにして調製した試料を30分間室温で放置し
た後、37℃の水中にて24時間浸漬させて硬化させた。
上記のようにして得られた接着物の接着力を次のよう
にして測定した。
上記のようにして調製された接着物を、オートグラフ
DSS−500((株)島津製作所製)を使用し、牛歯象牙質
とメタフアーストとの引っ張りを測定した。なお、本発
明において引っ張り試験は、上記の方法より行った。
結果を表1に記載する。
なお、上記の接着試験において、処理液Aおよび多価
イオン溶液を使用せずに接着試験を行ったが、接着強度
は発現しなかった。結果を表1にリフアレンスとして記
載する。
比較例1 実施例1において、塩化第二鉄溶液を塗布しなかった
以外は同様の処理をして、牛歯象牙質とメタフアースト
とを接着させ、この接着力を測定した。
結果を表1に併せて記載する。
比較例2 実施例1において、処理液Aを塗布しなかった以外は
同様の処理をして、牛歯象牙質とメタフアーストとを接
着させ、この接着力を測定した。
結果を表1に併せて記載する。
実施例2〜10 実施例1において、処理液Aの代わりに、多価イオン
を含有する処理液Bを使用し、0.1M塩化第2鉄溶液の代
わりに、表2に記載した多価イオン溶液を使用し処理時
間を表2に記載したように変えた以外は同様の処理をし
て、牛歯象牙質とメタフアーストとを接着させ、この接
着力を測定した。
結果を表2に記載する。
比較例3 実施例2において、多価イオン溶液を塗布しなかった
以外は同様の処理をして、牛歯象牙質とメタフアースト
とを接着させ、この接着力を測定した。
結果を表2に併せて記載する。
実施例11〜14 実施例2において、牛歯象牙質の代わりに牛歯エナメ
ル質を使用し、使用した多価イオン溶液の種類及び処理
時間を表3に記載した通りにした以外は同様の処理をし
て、牛歯エナメル質とメタフアーストとを接着させ、こ
の接着力を測定した。
結果を表3に記載する。
なお、上記の接着試験において、処理液Aおよび多価
イオン溶液を使用せずに接着試験を行ったが、接着強度
は発現しなかった。結果を表3にリフアレンスとして記
載する。
比較例4 実施例11において、多価イオン溶液を塗布しなかった
以外は同様の処理をして、牛歯エナメル質とメタフアー
ストとを接着させ、この接着力を測定した。
結果を表3に併せて記載する。
比較例5 実施例11において、処理液Bの代わりに,処理液Aを
使用し、多価イオン溶液を使用しなかった以外は同様の
処理をして、牛歯エナメル質とメタフアーストとを接着
させ、この接着力を測定した。
結果を表3に併せて記載する。

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】スルホン酸基を有するポリマーを含有する
    溶液または分散液と、多価イオンを含有する溶液または
    分散液とからなることを特徴とする歯質表面の処理剤セ
    ット。
  2. 【請求項2】スルホン酸基を有するポリマーを含有する
    溶液または分散液が、スルホン酸基を有するポリマーお
    よび多価イオンを含有することを特徴とする請求項第1
    項記載の歯質表面の処理剤セット。
  3. 【請求項3】多価イオンが、カルシウムイオン、アルミ
    ニウムイオン、銅イオンおよび鉄イオンよりなる群から
    選ばれる少なくとも一種類のイオンであることを特徴と
    する請求項第1項または第2項記載の歯質表面の処理剤
    セット。
  4. 【請求項4】多価イオンを含有する溶液または分散液
    が、シリカおよび/またはアルミナを含有することを特
    徴とする請求項第1項または第2項記載の歯質表面の処
    理剤セット。
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