JP2812367B2 - はんだ付部品にて接合部を構成するはんだ - Google Patents

はんだ付部品にて接合部を構成するはんだ

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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は、はんだ付部品にて接合部を構成するはんだ
に関するものであり、さらに詳しく述べるならば、自動
車用の電装品のように絶えず振動にさらされ、疲労が起
こり易い環境で使用される部品にて接合部を構成するは
んだ、特に電子部品を印刷基板に接合する用途に適する
ように組織を制御したはんだに関するものである。
(従来の技術) 一般に、はんだ材はSn−Pb二元系を基本成分としてお
り、またその性質を改善するため各種成分を添加するこ
とが知られている。
特公昭40−25885号公報は、はんだ用電気こて先の銅
がはんだに溶け込んで、はんだが損耗することを防止す
るために、はんだ材に銅、銀、ニッケル等を添加するこ
とを開示する。その損耗防止作用は銀、ニッケルにより
銅をはんだ中に微細均一に分布させることにあると説明
されている。
特公昭45−2093号公報は、アルミニウム合金とのろう
接部でのはんだの耐食性がAgまたはSbの添加により改善
され、またはんだ材の流動性および作業性がCdの添加に
より改善されることを開示する。
特に集積回路、印刷基板等に使用されるはんだ材の改
良を意図した従来技術には次のものがある。
特公昭52−30377号公報は、ろう接される銅細線がは
んだにより溶解され、溶損し、あるいは、強度低下をき
たすことを防止するために、CuとAgの同時添加を開示す
る。Cuにより被ろう接材料がはんだにより食われること
を抑制し、一方Cu添加によりはんだの融点が上昇して被
ろう接材料が溶解され易くなることをAgのもつ融点低下
作用により防止するところにCuとAgの同時添加の作用が
あると説明されている。
特開昭56−144893号公報は、セラミックコンデンサー
の銀リード線の銀がはんだに拡散してコンデンサーの特
性を悪くしたりあるいは銀面を剥離させる欠点を解消す
るとともに、高速はんだ付を可能にすることを目的と
し、Sn−Sb−Ag−Pb系はんだ材を提案する。
特開昭59−70490号公報は、半導体メモリにおける部
材接合に使用されているAuろう材に匹敵する特性を有す
る安価なろう材としてSb1〜15%−Sn(In)1〜65%−P
b系およびSb−Ag−Sn(In)−Pb系成分を提案する。
特開昭63−313689号公報はPb62〜72%、Sn28〜38%を
基本組成とし、これにCu0.05〜1.0%、Sb0.05〜1.0%、
In0.05〜1.0%、Cd0.05〜1.0%、Fe0.05〜1.0%の1種
以上を添加し、リード端子間のブリッジを防止すること
を特徴とするはんだ合金組成を提案する。
はんだの組織に言及した従来技術としては次のような
ものがある。
特公昭40−25885号では、Sn−Cu系金属間化合物が作
られるとはんだの湯流れを阻害する問題があるが、Ag,N
iの微量添加によりCuを微細均一に拡散させておけば、
金属間化合物による欠点は問題ないと説明されている。
特公昭52−30377号公報では、Agの多量添加は金属間
化合物の晶出などの害を招くとされ、5.0%を越えて添
加されたSbは、溶融はんだ中での金属間化合物が多量に
生成して、接合面で初晶が発達すると説明されている。
このように、従来のはんだ組織に関しては、湯流れを
阻害する金属間化合物を析出させないようにするため添
加成分の量を抑えるなどが行なわれていた。
(発明が解決しようとする課題) 集積回路、印刷基板に搭載された電子部品のはんだ付
に使用されるはんだ材の特性に関して、近年、リード線
を基板のランド部に接合した印刷基板のはんだ内部にク
ラックが発生して通電不良による動作ミスを起こす問題
が注目されている。
この原因は、使用温度が100℃前後の温度から−30℃
前後の温度までの周期的変化により基板および実装部品
に応力が発生し、それを接合部材であるはんだが受け持
つことになるため、はんだは常に応力がかかった状態に
置かれ、長期間の使用においては疲労破壊に至るものと
推察される。さらに、通電によるはんだ付部の温度上
昇、電子部品の発熱などの熱影響、さらには印刷基板が
振動されることなどによる機械的影響も長期間の使用中
での疲労破壊を加速する原因であると考えられる。基本
的組成からなるSn−Pb二元系はんだ材は上述のような長
期間熱的および機械的応力にさらされる環境に使用する
と、耐疲労性の点で問題があることが明らかになった。
ところが、従来、Pb−Sn系二元系合金にCuやNiを添加
すると耐疲労性が向上すると言われているものの、はん
だ付け時もしくはそれ以前の組織検討がなされているの
みで、はんだ付け時の以降のはんだが組織の改良、すな
わちはんだ付け部品のはんだがさらされる環境における
組織の研究は見られない。
ソルダリングインエレクトロニクス(昭和61年8月30
日、日刊工業新聞社発行、第105頁ではSbを添加したは
んだで接合されたはんだ継手のはんだ合金中にSbは過飽
和に固溶しており、その後次第に析出するとともに、組
織は粗大化し又機械的性質が低下すると説明されてい
る。この書籍でも組織変化と耐疲労性の関係には言及さ
れていない。
(課題を解決するための手段) 本発明者等は、はんだ付部品のはんだの耐疲労性改善
の方法を鋭意研究した結果、はんだ付直後の状態では、
Pb−Sn系合金への添加元素を固溶状態とし、はんだ付後
に、これを微細な二次相として析出させることにより、
耐疲労性が高められることを見出し、以下の4種のはん
だ付部品の接合部を構成するはんだを発明した。
1.MA(但し、In,Gaの少なくとも1種)0.01〜10%、
MB(但し、Sb,Biの少なくとも1種)0.01〜8%、お
よびAgおよびAuの少なくとも1種0.01〜10%からなる
群〜の少なくとも2種と、Pb10〜95%と、残部(0
%を除く)Snとから実質的にからなり、主としてPb結晶
粒およびSn結晶粒の粒界に存在する二次相は、はんだ付
後に析出させた前記MAおよび/またはMBを含むもしくは
MAおよび/またはMBからなる10μm以下の微細相であ
り、耐疲労性が優れていることを特徴とするはんだ付部
品の接合部を構成するはんだ(以下、第1発明とい
う)。
2.Sb0.01〜3%、Al0.01〜2%、Pb10〜95%、残部(0
%を除く)からSnから実質的になり、主としてPb結晶粒
およびSn結晶粒の粒界に存在する二次相は、はんだ付後
に析出したAl−Sb系金属間化合物の10μm以下の微細相
であり、耐疲労性が優れていることを特徴とするはんだ
付部品の接合部を構成するはんだ(以下、第2発明とい
う)。
3.Al10.01〜2%、Pb10〜95%、残部(0%を除く)か
らSnから実質的になり、主としてPb結晶粒およびSn結晶
粒の粒界に存在する二次相は、はんだ付後に析出した10
μm以下のAl微細相であり、耐疲労性が優れていること
を特徴とするはんだ付部品の接合部を構成するはんだ
(以下、第3発明という)。
4.AgおよびAuの少なくとも1種を0.01〜10%含有するこ
とを特徴するはんだ付部品の接合部を構成するはんだ
(以下、第4発明という)。
(作用) まず、本発明における組成限定理由を説明する。
本発明において、Pb−Sn基本系の組成に関して、Pb10
〜95%(百分率は特記しない限り重量百分率である)、
Sn残部(0%を除く)組成範囲としたのは、この組成範
囲においてはSn−Pb二元系の共晶組成から著しく離れず
比較的低温でのはんだ付が可能となるからである。ただ
し、はんだ付性の観点からSn2%以上が好ましく、Pbは1
0〜90%、特に10〜80%が好ましく、より好ましくは20
〜60%である、なおPbは、共晶系として、30〜50%、好
ましくは30〜45%とすると、はんだ付性や使い易さの点
でより優れ、はんだ強度も大とすることができ、一方、
Pbを50%前後45〜60%とすると、コスト面が重視され、
はんだ付け強度がさほど高くなくても良い用途に対して
有利である。高温にて使用する場合は、Pb量を60%以
上、好ましくは70〜95%としたはんだ材を用いることも
できる。また、特に高温での耐疲労性が要求される時
は、Sn量を少なくPb量を多くすることが望ましい。例え
ば、Sn3〜9%、Pb80〜90%である。
第1発明において、MA、MBおよびAg(Au)を添加元素
としており、これらの含有量(各群において2種類添加
の場合は、合計含有量)の限定理由を以下説明する。
添加元素の下限を0.01%としたのは、これ未満では、
詳しく後述する析出による耐疲労性の向上が図られない
からである。また、MAとMBの含有量がそれぞれ10%以
上、8%以上になると、はんだ付け前の状態で添加元素
が多量に析出してしまい、はんだの湯流れ性やはんだ付
性が低下し、あるいははんだ表面が曇る現象を引き起し
てクラックが入り易くなる。そして、はんだ付けした時
点の状態で、析出物がマクロ的に偏析し、この部分で疲
労が発生する疲労起点が多くなりすぎるようになる。こ
のため、はんだ付け後に添加元素を固溶状態から析出さ
せた二次相による耐疲労性の優れた部分による、偏析部
分等の疲労起点保護作用が不充分となるため、耐疲労性
が著しく低下する傾向が現れるため、これらの含有量を
上限とした。このMAの含有量は、好ましくは5%以下、
より好ましくは3%以下である。またMBの含有量は、好
ましくは5%以下、より好ましくは3%以下である。
Agおよび/またはAuの上限も同様の理由により定めら
れる。また、特に、Agはその含有量の上限を越えるとAg
−Snの大きな金属間化合物が生成されるとともに、ヒケ
巣・ピンホール・ブローホール等が多量に発生し、はん
だの湯流れ性の低下や、耐疲労性の低下を招くこととな
る。
このAgとAuは、多量に含有させても添加量の割にさほ
どの性能向上が期待できないし、高価な元素でもある。
この経済的な観点を含め、総合的にはんだ性能を勘案す
ると、AgとAuの合計量は、好ましくは5%以下、より好
ましくは3%以下とすると良い。
なお、MAとMBの個別添加元素の成分範囲としては、In
の含有量およびGaの含有量は、それぞれ好ましくは0.01
〜5%、より好ましくは0.03〜1%、さらに好ましくは
0.05〜0.9%である。MAの含有量を多くする場合には、I
nとGaの一方のみを添加するよりも、両方を添加する方
が好ましい。
MBのうち、Sbの好ましい含有量は0.01〜3%、より好
ましくは0.03〜1%、さらに好ましくは0.05〜0.9%で
ある。Sbは、3%以下とするとはんだ付性がより良好と
なるが、2%を越えるとはんだ付け時にもごく一部が析
出することがある。この析出は、この後析出される二次
相の作用にあまり影響はないが、より好ましい二次相を
得るためにはSbを2%以下とするとよい。
MBのうち、Biの好ましい含有量は0.01〜5%、より好
ましくは0.03〜3%、さらに好ましくは0.05〜1%であ
る。Sbと同様にBiも3.5%を越えるとはんだ付け時にも
ごく一部が析出することがある。
AgとAuの個別添加元素の成分範囲としては、好ましい
含有量は0.01〜5%、より好ましくは0.1〜4%、さら
に好ましくは0.5〜3%である。
第2発明において、添加元素であるSbおよびAlの下限
を0.01%としたのは、これ未満では、詳しくは後述する
二次相としての金属間化合物析出による耐疲労性の向上
が図られないからである。また、SbおよびAlの含有量が
それぞれ3%および2%以上になると、はんだ付時点で
の状態で、添加元素の大半以上を固溶させることが困難
となり、固溶されなかった添加元素によって形成される
析出物が多くなり過ぎるなどにより、二次相の効果を滅
殺してしまい耐疲労性が低下する傾向が現われるため、
これらの含有量を上限とした。
Sbのより好ましい含有量は0.03〜1%、さらに好まし
くは0.05〜0.9%である。
Sbは、2%を越えるとはんだ付け時にもごく一部が析
出することがある。この析出は、この後析出される二次
相の作用にあまり影響はないが、より好ましい二次相を
得る観点からはSbを2%以下とするとよい。
第3発明において、添加元素であるAlの下限を0.01%
としたのは、これ未満では、詳しくは後述するアルミニ
ウム金属相の析出による耐疲労性の向上が図られないか
らである。また、Alの含有量が2%以上になると、はん
だ付時点の状態で、添加元素の大半以上を固溶させるこ
とが困難となり、形成される析出物が多くなり過ぎるな
どにより、二次相の高価を滅殺してしまい耐疲労性が低
下する傾向が現われるため、これらの含有量を上限とし
た。
第2発明および第3発明において、Alの含有量は、望
ましくは0.01〜1.5%、好ましくは0.05〜0.5%、より好
ましくは0.05〜0.2%である。なお、Snの添加量が少な
い場合にはAlの含有量を少なくするとよい。すなわち、
Sn量が50%以下の場合は、特にAlの含有量を1%以下に
することが推奨される。
第2および第3発明のはんだに、任意の添加元素とし
て加えられるAgおよび/またはAuはさらに耐疲労性を向
上させる効果がある。その含有量(2種添加の時はその
合計量)が0.01未満では、効果がなく、一方10%を越え
ると、二次相の効果を滅殺してしまい耐疲労性が低下す
る傾向が現われるため、これらの含有量を上限した。ま
た、特にAgはその含有量の上限を越えるとAg−Snの大き
な金属間化合物が生成され、耐疲労性を低下させる。経
済的な観点を含めて、経済的にはんだ性能を勘案する
と、AgとAuの合計量は、好ましくは5%以下、より好ま
しくは3%以下とすると良い。
上記以外の成分は実質的に不純物である。
ここで、Cu,Fe,Ni,Mn,Mo,Ti,Cd,Zn等は、不純物とし
て少量混入することもあるが、公知の添加目的で、本発
明の作用効果をなくさない範囲で含有させてもよいこと
は勿論である。
Cuは、3%以下であれば、本発明の二次相の作用を滅
殺しないが、はんだ付時点の状態でCu−Sn系金属間化合
物の晶出物を生成しやすいので、本発明においては積極
的には使用しない方が好ましい。
次に、本発明のはんだの組織上の特徴を説明する。
第1図(A)は本発明のはんだのはんだ付後の組織、
第1図(B)ははんだ付部品として使用後の組織を模式
的に示す図である。図中、1はPb結晶、2はSn結晶、3
は金属間化合物二次相である。
第2図(A)は従来のはんだのはんだ付後の組織、第
2図(B)ははんだ付部品として使用後の組織を模式的
に示す図である。図中、1はPb結晶、2はSn結晶、3は
二次相である。
本発明のはんだの組織ははんだ付の時点で添加元素が
過飽和にSn結晶およびPb結晶に固溶した固溶組織を有す
るものである。はんだ付時点で生成される二次相は、静
的強度向上には有効な場合もあるが、針状で鋭い角をも
った粒子状であり、このような尖った部分は切欠となっ
て疲労破壊の起点になるので、本発明でははんだ付の時
点での二次相の生成をできるだけ避け、固溶組織を作る
ことを一つの特徴とする。そして、はんだ付けの後にこ
の固溶組織から二次相を析出させるようにすることを特
徴とする。
従来は、はんだ付けがし終るまでの特性に捕らわれて
合金組成や合金組織を改良していた。
そして、特に、はんだ付けにした後の疲労挙動に着目
した研究は行われていなかった。
そこで、本発明者等が研究したところ、Pb−Sn系はは
んだにおこるこの疲労挙動は、Pb相のグローイング現象
が支配的であることが判明した。
これは、使用環境の温度等により、はんだ付け部分に
おいて、Sn相とPb相が、同一相の結晶粒が集まり、次第
に成長し、結果としてPb相が粗大化すると、相対的にSn
相に比較し疲労に弱いPb相から疲労を進行することであ
る。
そこで、この粒子成長を止める手段として、二次相を
はんだ付けした後に形成する構成によって、はんだ付け
部分での疲労の進行を抑制することができることを見出
して、本発明を完成した。
従来のはんだ材においては、金属間化合物等の晶出物
は有害であり、なるべく存在しないように添加元素量を
制限すべきと認識されていた。
一般に、はんだは使用中に結晶粒の成長、合体等を招
く可能性がある温度上昇(約100℃まで)にさらされ
る。電子装置を搭載した基板のはんだ接合部の1ケ所の
はんだ重量は通常100〜1000mgである。このような重量
では、合金組織としては、はんだ付け時の冷却速度が支
配的であり、かかる速度により決定される結晶粒の大き
さは通常1〜10μmである。このような結晶粒が高温に
さらされ、特にSn相の成長によりPb相の連続部分が多く
なり、この疲労に弱いPb相にクラック等が発生する。こ
のようにして疲労強度が低下する。また、自動車搭載の
電子装置はマイナス数十℃からプラス約80℃までの温度
範囲で使用されるので、はんだや素子のリード端子など
の熱膨張と収縮により応力がはんだに加えられ、これが
疲労破壊の大きな要因である。また、はんだが高温に長
時間さらされていると、はんだは絶えず一定の応力を受
けクリーブによる破断を起こすこともあり、これも疲労
破壊の大きな要因である。もちろん、本発明のはんだは
固溶強化によりはんだの初期の強度はかなり高くなって
いるので、急速に疲労破壊に至ることはないが、固溶強
化されていても結晶粒の成長は起こり、かつ高温・長時
間・繰り返し応力の使用条件の下では大幅な結晶粒の再
編成が起こるので、長時間の使用中には、固溶強化によ
る耐疲労性向上の効果よりも結晶粒粗大化により耐疲労
性劣化の影響が顕著になってしまう。したがって、本発
明のはんだでは、はんだ付けした後の長時間使用中にPb
結晶粒1およびSn結晶粒2の粒界に金属間化合物などの
二次相3を存在させることにより、結晶粒の成長を阻止
するように構成した。ここで、結晶粒の成長と二次相の
生成は一方だけが優先して進行することはなく、同時進
行的に起こるので、結晶粒の粗大化により疲労強度が低
下する傾向が表れる時点では二次相により粒成長抑制効
果が現れ、これらの作用の競合状態となる。なお、長時
間使用中に析出する金属間化合物などは鋭い角をもた
ず、どの方向の寸法もほぼ等しい塊状となる。
二次相の大きさは10μm以下であり、5μm以下がよ
い。これを越えると二次相自身が疲労起点となることが
ある。好ましくは3μm以下とすると成長抑制効果がさ
らに良好である。より好ましくは1μm以下である。
本発明の代表的態様のはんだでは、金属顕微鏡で1000
倍程度に拡大すれば、0.5〜1μm程度の二次相が実際
に容易に観察される。もちろんこれ以下の微細な二次相
も存在するが、観察に別途高価な測定機器が必要であ
る。
二次相の大きさは、微細かつ多量に存在すればこれ以
下としても良い。
二次相が形成されるに要する時間は温度より大きく影
響される。電子部品の信頼性を試験する加速試験条件で
はその仕様により定められている時間(例えば、−30℃
〜+80℃、1000サイクル)の経過後には二次相の生成が
確認される。実際の機器に組み込まれた電子部品におい
ては、その性能劣化やはんだ合金内の析出現象は加速試
験よりも緩慢に進行するから、はんだ付後数年の経過後
に二次相の生成が認められるものと考えられる。そし
て、このように緩慢に二次相が形成されることは疲労破
壊を防止する上で好ましい。
一方、はんだ付け後に、意図的に低温熱処理を行い二
次相を数時間で形成されたはんだ接合部を構成するよう
にしてもよい。
本発明に対して、従来のPb−Sn−Cu系のはんだ材等
は、はんだ付前の段階でSnCu金属間化合物の殆ど全部が
晶出しており、はんだ付け時点ではこの晶出物はマトリ
ックス中へは実質的に固溶されず、はんだ付けの熱で粗
大な形態となってしてしまう。そして、はんだ付け後の
組織を観察してみると、この粗大なSnCu金属間化合物は
結晶粒界、粒内にランダムに存在し、またマトリックス
内への固溶分は実質的にない。このため、はんだ付け後
に析出させることができないし、使用時の熱によりPb粒
のグローイング現象がPb−Sn共晶はんだと同程度にみら
れ、粗大なSnCu金属間化合物には結晶粒成長抑制効果は
認められなかった。
同様に、Pb−Sn−Agはんだでは、Ag−Sn金属化合物が
みられるが、はんだ付け直後から長時間使用後までの組
織を観察してみると、結晶粒界・粒内にランダムに存在
し、使用時の熱によりこの金属間化合物自身が再固溶す
るとともにPb相やSn相の粒界に対し殆ど影響せず粗大な
結晶に成長する。またAg−Sn金属間化合物が移動成長す
る場合もある。このためこのような形態での単独で存在
したAg−Sn金属間化合物は、Pb粒のグローイング現象に
対して結晶粒成長抑制効果は認められなかった。
このように、従来のはんだ付けで見られるSnCu金属化
合物や、単独のAg−Sn金属間化合物では、結晶粒成長抑
制効果に基づく疲労寿命の延長効果は得られなかった。
これに対し、本発明の二次相は、はんだ付け時点の状
態で、Pb相および/またはSn相の中に実質的に固溶で
き、はんだ付け後に熱でこの固溶組織から析出する形態
であるため、Pb相やSn相の粒界に結果的に大半が存在で
き、これにより、結晶粒成長抑制効果が得られることと
なる。
本発明の特徴である二次相に要求される性能をまとめ
ると以下のとおりである。
はんだ付直後にはPb相および/またはSn相の中に、実
質的に固溶されている固溶分が存在することと、はんだ
付け後の低温の熱処理または長時間の使用中の熱により
析出して生成すること。
高融点を有し、高温において安定であること。あるい
は、少なくとも使用中にかかる熱に対してマトリックス
に完全に再固溶してしまわない程度に安定であること。
金属間化合物は、化学量論的化合物でも、非化学量論的
化合物でも、また固溶元素を含む化合物でも、この要件
を充たす。金属(固溶体)であっても、Pb,Snよりも安
定であれば、Alなどのように、この要件を充たす。
析出物が微細で分散性があること。はんだ付け後の低
温熱処理での析出により形成された二次相や、はんだ接
合部品の長時間使用中に析出により形成される二次相は
この要件を充たす。析出物の寸法は5μm以下とするの
がよく、好ましくは3μm以下、特に1μm以下が好ま
しい。
そして、はんだ付けした後のはんだ組織中に、分散し
て微細に数多く析出すると結晶粒界に配置されやすくな
りよい。
なお、分散した二次相は大半がマトリックス相の結晶
粒界に存在することが高い粒子成長抑制効果を得るのに
必要であるが、最初から結晶粒界に析出することは必要
ではなく、ピン止め効果の結果、結晶粒界に存在してお
ればよい。
これらの性能を充たす相を本発明では二次相と称す
る。
上記二次相の具体例を以下説明する。
(1)MAMB型金属間化合物;Sb−In,Sb−Ga,Bi−In,Bi−
Ga系金属間化合物。
この金属間化合物は、MA−MB−Pb−Sn系組成の第1発
明のはんだに生成される二元化合物である。また、この
金属間化合物は、MA−MB−Pb−Sn−Ag(Au)系組成の場
合にも、Ag(Au)を含有しない二元化合物として生成さ
れることが多い。いずれの場合にも、はんだ付け後に熱
で析出させることにより、疲労強度を著しく高める。
(1)の金属間化合物の大きさは、3μm以下のものが
好ましい。通常0.1〜1μmのものが観察される。この
とき0.1μm以下のものも存在するが、判別するのは難
しくなる。このように、はんだ付け後に熱で析出させた
金属間化合物は微細である。なお、マトリックスの粒子
成長抑制をする際に、問題とならない程度ではあるが、
金属間化合物がごくわずかながら成長することがある。
(1)の金属間化合物は、二次相としてより好ましい。
これは、本発明の二次相の機能のほかにも、二次相自体
の疲労強度が高い、二次相とSn相・Pb相の接触面での強
度が高い、二次相の成長速度がそれ程大きくないと思わ
れる、固溶分からの析出速度または生成速度がそれほど
大きくなく、極微細な二次相から順次適当な大きさの二
次相が形成されて粒子成長抑制機能を高めている、Sn相
・Pb相が若干成長してしまった場合にこの二次相もわず
かに成長して、Pb相の移動を抑止する効果を高めるなど
の付加的機能があるのではないかと推測される。
(2)MB−Ag(Au)型金属間化合物;Sb−Ag,Bi−Ag,Sb
−Au,Bi−Au系金属間化合物。
この金属間化合物は、第1発明のMB−Pb−Sn−Ag(A
u)系組成において、そのAg(Au)の一部がMBと結合し
て生成する二元系化合物である。
この(2)の金属間化合物の大きさは、3μm以下と
すると好ましい、通常0.1〜1μmの大きさのものが観
察される。
またMA−MB−Pb−Sn−Ag(Au)系組成においては、
(1)の化合物も存在し、(2)の化合物も存在するこ
とが多い。したがって、この組成においてはAg(Au)は
(1)の金属間化合物の一部に取り込まれるよりもMB
結合する傾向が大である。この(1)と(2)の金属間
化合物が併存により疲労強度は、(1)の金属間化合物
のみが生成する場合よりも高められる傾向にある。
(3)MA−Ag(Au)型金属間化合物:In−Ag,Ga−Ag,In
−Au,Ga−Au系金属間化合物。
この金属間化合物は、MA−Pb−Sn−Ag系組成におい
て、そのAgの一部がMAと結合して生成する二元系化合物
である。しかしながら、この化合物の生成傾向は(2)
の金属間化合物よりも弱く、(2)の金属間化合物は生
成されても(3)は生成されないこともある。ここで、
金属間化合物の生成傾向とは、本発明組成の上限と下限
の近傍を除いた成分含有量において、優先的にはんだ中
に生成する金属間化合物の傾向の意味で説明している。
したがって、組成が上限や下限近傍の場合は、ここで説
明している生成傾向とは異なった優先順位で金属間化合
物が生成される。(3)の金属間化合物はAg(Au)の含
有量および/またはSnの含有量が高い時に生成されやす
い。(3)の金属間化合物の大きさは通常0.1〜1μm
で観察される。
(4)MB−Sn−Ag(Au)型金属間化合物:Sb−Sn−Ag(A
u),Bi−Sn−Ag(Au)系金属間化合物。
この金属間化合物は、第1発明のMB−Pb−Sn系組成に
Ag(Au)を添加した組成において、Agと、MBと、マトリ
ックスのSnの一部が結合して生成する化合物、およびAu
と、MBと、マトリックスのSnの一部が結合して生成する
化合物である。この化合物は三元化合物であるかあるい
はSn−Ag(Au)二元化合物にMBが固溶したものの何れか
である。
この金属間化合物の生成傾向は(3)よりは強く
(2)とほぼ同等である。
(5)MA−Sn−Ag(Au)型金属間化合物:In−Sn−Ag(A
u),Ga−Sn−Ag(Au)系金属間化合物に該当する。
この金属間化合物は(4)のMBがMAに置き換わったも
のに該当する。上記(4)の説明のMBをMAに読み替える
と理解しやすい。
(6)MAMB−Ag(Au)型金属間化合物:Sb−In−Ag(A
u),Sb−Ga−Ag(Au),Bi−In−Ag(Au),Bi−Ga−Ag
(Ag)系金属間化合物。
この金属化合物は、第1発明の全添加元素を含む化合
物である。(1)のMAMB型、(2)のMA−Ag型金属間化
合物よりも生成傾向が弱く、Ag含有量が極めて多い時に
のみ生成される場合がある。
この化合物が生成傾向が弱い理由は、マトリックス成
分に比べて、濃度が希薄な添加元素相互の反応は起こり
難いことと、化合物の組成が複雑であるために本来生成
し難いことによると推察される。
なお、同様に希薄濃度元素より構成される化合物であ
っても、(1)のように組成が単純な化合物は生成傾向
は高い。
上記(1)〜(6)は、単独の形態で二次相として存
在することもあるが、添加元素の種類が多くなると併存
することもある。全体として、併存させた場合のほうが
耐疲労性能は高くなる傾向にある。また、これらの析出
した二次相は、はんだ付け後の熱により、Sn相やPb相の
結晶粒界に結果として大半が存在する形態となってい
る。
析出した二次相のうち、結晶粒界に存在する割合は60
%以上とするとよい。好ましくは、70%以上、より好ま
しくは80%以上、さらに好ましくは90%以上である。使
用環境で80〜100℃になることがあり、その環境に長期
にさらされる場合には、存在する割合を60数%程度以上
にすることができる。低温熱処理を行なえば、80〜95%
程度まで容易に抑制することもできる。そのような温度
にさらされない場合においては、この低温熱処理を組合
せて改善することもできる。
(7)Ag−Sn型金属間化合物:この金属間化合物は単独
の存在では前述のように疲労強度を高めないが、生成傾
向はかなり強く、Pb−Sn−Ag系はんだ材でも生成してい
る。
前述のように従来のPb−Sn−Agはんだでは、はんだ付
け直後から長時間使用後までの組織を観察してみると、
Ag−Sn金属間化合物が結晶粒界・粒内にランダムに存在
し、使用時の熱によりこの金属間化合物自身が再固溶す
るとともにPb相やSn相の粒界に対して殆ど影響せず粗大
な結晶に成長する。またAg−Sn金属間化合物が移動成長
する場合もある。このためこのような形態での単独で存
在したAg−Sn金属間化合物は、Pb粒のグローイング現象
に対して結晶粒成長抑制効果は認められない。
ところが、上記(1)〜(6)の金属間化合物と併存
させると、はんだの耐疲労性がさらに向上する。
これは、上記(1)〜(6)がSn相・Pb相の粒子成長
抑制効果をベースに、Ag−Sn金属間化合物そのものの粒
子の移動成長がある場合にその移動をピン止め効果によ
り抑制する,移動成長時に上記(1)〜(6)がAgを吸
収して新たな二次相として構成されるか析出して一種の
緩衝物的効果により移動・成長を抑制する,この緩衝物
的効果により、Sn相・Pb相の移動・成長を抑える二次相
のピン止め効果のミクロ的作用範囲を実質的に拡げる,
移動抑制されたAg−Sn金属間化合物の析出物がマトリッ
クス中に熱で再固溶されてしまうまでのわずかな時間の
みではあるが、Sn相・Pb相の粒子成長に対して補助的な
ピン止め効果をするなどの作用機構が考えられる。
なお、この金属間化合物もはんだ付時点に多量に生成
すると、Agが(7)の生成に消費され、二次相の生成を
阻害したり、上記(1)〜(6)の二次相が析出しても
補完しきれなくなったりするので特に留意に必要であ
る。
また、この(7)については、低温熱処理でもSn相や
Pb相の結晶粒界に選択的に存在させることは困難であっ
た。
(8)Al−Sb金属間化合物:この金属間化合物は第2発
明および第4発明のはんだ材で生成される。この金属間
化合物の寸法は通常1〜5μmである。
この二次相も、はんだ付け後の熱により、Sn相やPb相
の結晶粒界に結果として大半が存在する形態とできる。
(9)Al単相:第3発明では、金属間化合物が析出せ
ず、Al相が生成される。また第4発明でもAl相が生成さ
れる場合がある。
上記(8)のようにSbが存在していると、Alはこれと
金属間化合物を作るが、AlはSn,Pbとは金属間化合物を
作らず、過飽和に固溶していたAlがSnマトリックス相か
ら金属結晶として分離する。このように分離されたAl相
は形態的には(3)のような金属間化合物の析出物の二
次相と類似しており、相の形態的分類からマトリックス
相ではなく、二次相に属する。また、Al単相(9)がマ
トリックス相の結晶粒成長を抑制するのは性質が金属間
化合物と類似しているからである。すなわち、(9)は
マトリックス相より微細に析出しかつ結晶成長し難く、
この点で金属間化合物と同じような効果をもつ。
また、(9)はマトリックス相から析出したものであ
り、再固溶されない点でも金属間化合物と同じような効
果をもつ。よって、(9)はマトリックス相の粒界に存
在してその移動を妨げる。Alが比較的安価であり、析出
物の大きさの制御もある面でし易い場合もあるが、効果
の点およびはんだ付けのし易さやマトリックスへの固溶
重等の観点から上記(1)〜(6)のタイプを選択する
方が好ましい。
続いて、第1発明の組成につき、金属間化合物のどの
種類が実際に生成されるかを、まず、Sn−Pb−Sb−In四
元素組成に例をとって説明する。この組成では、マトリ
ックス相は、Sn相とPb相であり、二次相は(1)の金属
間化合物相となった。そして、この二次相の多くはSn相
・Pb相の結晶粒界に存在している。
次に、Sn−Pb−Sb−In−Ag五元素組成では、マトリッ
クス相は、Sn相とPb相であり、二次相として存在する可
能性がある金属間化合物は(1)〜(7)の7種類であ
る。
Agの含有量が少ない時は、(1)の金属間化合物のみ
が二次相として分散する3相組織になるが、Agの含有量
が多くなると、AgはMA,MBの一方または両方と反応し、
かつ一部がSnとも反応する。そして、配合される組成に
より、(1)〜(6)から選ばれた1つまたは複数の金
属間化合物が存在することとなる。もちろんAgの含有量
を多くすると(7)も相対的に多くなる傾向となる。
(1)はMAとMBを所定量以上添加すればよい。一方、
(2),(4)を特に生成させたい場合はMBを多くMA
少なくするか配合しないようにすればよい。(3),
(5)を特に生成させたい場合はMAを多くMBを少なくす
るか配合しないようにすればよい。(4),(5)を特
に生成させたい場合はPb量を少なくし、残部のSn量を相
対的に多くするように配合すると生成されやすい傾向に
ある。
なお、はんだはもともと鋳造したままの、均質化等の
熱処理を経ていない偏析が多い合金であり、はんだ接合
部品は、使用温度の最高100℃前後の温度で各成分が局
部的に反応している準安定状態であるから、実際には平
衡状態図の理論で予測できるものとは異なる二次相が併
存して作られることもある。
最後に熱処理について述べるが、熱処理は静的機械的
性質を向上するので、基礎的な耐疲労性を改善し得る。
電子部品を実装した印刷基板のはんだ付け部品で、はん
だのみを高温熱処理の温度にさらすことは実際上は困難
であり、また、電子部品の熱影響が懸念される。このた
め、低温熱処理により印刷基板のはんだの耐疲労性を改
善するようにすればよい。例えば、80〜120℃といった
低温で5〜6時間という比較的長い時間で低温熱処理を
行なう。このようにすると、二次相の一部が製品出荷時
にある程度形成されることとなり、基礎的な総合特性が
良好となる一方、未析出の固溶分も残存することとなり
好ましい。なお、高温で急冷してしまうと二次相として
は実質的に固溶したままとなり、はんだ付け時点の状態
にもどるだけであり、電子部品等へ熱影響を与えるだけ
となって、実質的に熱処理をする意味がなくなってしま
う。
さらに、あまり長時間の熱処理を行なうと単に生産性
が低下するのみならず、実際に使用する前にはんだ中の
Sn相やPb相が粗大化してしまうこともあり、疲労寿命を
短くすることに継がるため好ましくない。
(実施例) 以下、実施例により本発明をさらに詳しく説明する。
疲労試験は、第3図に示すフェノール樹脂基板5と、
その一面に形成された銅箔よりなるランド部6を貫通す
るリード線7とを、はんだ付した試験片を用いて行なっ
た。試験方法は、リード線に疲労試験機で、繰返周波数
20Hz(片振り)、温度(80℃、一定)の条件で引張荷重
をかけ、クラックが発生したときの繰返し数を疲労寿命
として求める方法で行なった。なお、クラックは第4図
に9で示すようにはんだ内に発生していた。
ここで、耐疲労値は、この測定条件で得られた37%Pb
−Snはんだの疲労寿命(1×106)を耐疲労値1とした
ときの相対値である。
次表に、供試材の組成、耐疲労値、および二次相(金
属間化合物等)の型を示す。
第5図は供試材2のはんだ付直後の電子顕微鏡写真
(倍率5000倍)である。白い部分がPb結晶粒、灰色の部
分がSn結晶粒である。この供試材のEPMA分析結果では、
Pb,Sn,Sb,In,Agのいずれも均一に分布しており、したが
って、第5図に見られる組織は固溶体組織であることを
確認できた。
第6図は供試材2の試験後の電子顕微鏡写真(倍率50
00倍)である。暗色のSn結晶粒の粒界や灰色のPb結晶粒
の粒界に析出物が認められる。第7図および第8図は、
それぞれ試験後の、SbとInのEPMA分析による原子の反射
像を示す。これらの元素が高濃度で存在する位置が相互
に一致していることが分かる。したがって、これらの元
素は金属間化合物として存在していることがわかった。
同様のEPMA分析をSn,Agについても行い高濃度存在位置
を調べた。局部的存在位置が一致する元素は次のようで
あった。:Sb−In;Sb−Ag;Sb−Sn−Ag;In−Sn−Ag。
同様に、供試材2のはんだ材をはんだ付けした後に、
80℃(5時間)の低温熱処理をし、大気中に取りだし除
冷を行なった。同様のEPMA分析をしたところ、結果は同
様のものが得られた。この低温熱処理品に耐疲労性も、
従来のはんだより優れていた。
(発明の効果) 本発明によれば、はんだ材が例えば自動車に搭載され
る印刷基板のようにマイナス数十℃からプラス百数十℃
の低温から高温までの苛酷な条件で使用される場合にお
いても、従来のはんだのようにクラックが発生すること
なく、長時間安定して使用可能であり、はんだ接合部の
信頼性が向上する。
【図面の簡単な説明】
第1図(A)は本発明のはんだ付部品にて接合部を構成
するはんだ後の組織(はんだ付後)を模式的に示す図、 第1図(B)は使用後の組織を模式的に示す図、 第2図(A)は従来のはんだ付部品にて接合部を構成す
るはんだ付後の組織(はんだ付後)を模式的に示す図、 第2図(B)は使用後の組織を模式的に示す図、 第3図は耐疲労性試験に供した試験片の図面、 第4図は耐疲労性試験におけるクラック発生部を示す試
験片の図面である。 第5図は供試材2のはんだ付直後の金属組織を示す電子
顕微鏡写真(倍率5000倍)、 第6図は供試材2の試験後の金属組織を示す電子顕微鏡
写真(倍率3500倍)、 第7図および第8図は、それぞれ試験後の、SbとInのEP
MA分析による原子の反射像を示し、SbとInの局在組織を
示す金属組織写真である。 1……Pb結晶、2……Sn結晶、3……二次相、5……基
板、6……ランド部、7……リード線、8……はんだ、
9……クラック
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 松井 彰 愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自 動車株式会社内 (72)発明者 二村 憲一朗 愛知県豊田市緑ケ丘3丁目65番地 大豊 工業株式会社内 (72)発明者 浅田 栄治 愛知県豊田市緑ケ丘3丁目65番地 大豊 工業株式会社内 (72)発明者 福岡 辰彦 愛知県豊田市緑ケ丘3丁目65番地 大豊 工業株式会社内 (56)参考文献 特開 平1−237095(JP,A) 特開 平3−32487(JP,A) 特開 昭50−10755(JP,A) 特開 昭63−123594(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) B23K 35/26

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】重量百分率で、MA(但し、In,Gaの少な
    くとも1種)0.01〜10%、MB(但し、Sb,Biの少なく
    とも1種)0.01〜8%、およびAgおよびAuの少なくと
    も1種0.01〜10%からなる群〜の少なくとも2種
    と、Pb10〜95%と、残部(0%を除く)Snとから実質的
    にからなり、主としてPb結晶粒およびSn結晶粒の粒界に
    存在する二次相は、はんだ付後に析出した前記MAおよび
    /またはMBを含むもしくはMAおよび/またはMBからなる
    10μm以下の微細相であり、耐疲労性が優れていること
    を特徴とするはんだ付部品にて接合部を構成するはん
    だ。
  2. 【請求項2】重量百分率Sb0.01〜3%、Al0.01〜2%、
    Pb10〜95%、残部(0%を除く)からSnから実質的にな
    り、主としてPb結晶粒およびSn結晶粒の粒界に存在する
    二次相は、はんだ付後に析出したAl−Sb系金属間化合物
    の10μm以下の微細相であり、耐疲労性が優れているこ
    とを特徴とするはんだ付部品にて接合部を構成するはん
    だ。
  3. 【請求項3】重量百分率Al10.01〜2%、Pb10〜95%、
    残部(0%を除く)からSnから実質的になり、主として
    Pb結晶粒およびSn結晶物の粒界に存在する二次相は、は
    んだ付後に析出した10μm以下のAl微細相であり、耐疲
    労性が優れていることを特徴とするはんだ付部品にて接
    合部を構成するはんだ。
  4. 【請求項4】重量百分率AgおよびAuの少なくとも1種を
    0.01〜10%さらに含有することを特徴とする請求項2ま
    たは3記載のはんだ付部品にて接合部を構成するはん
    だ。
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