JP2810870B2 - 吊具装置 - Google Patents

吊具装置

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JP2810870B2
JP2810870B2 JP9230296A JP9230296A JP2810870B2 JP 2810870 B2 JP2810870 B2 JP 2810870B2 JP 9230296 A JP9230296 A JP 9230296A JP 9230296 A JP9230296 A JP 9230296A JP 2810870 B2 JP2810870 B2 JP 2810870B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、クレーン等で品物
を吊上げ、搬送するための吊具装置に関する。
【0002】
【従来の技術】この吊具装置は、大別すると次の3様と
なる。第1は、図9(a)に示すように、ワイヤによる
「たまかけ」方式であり、第2は、図9(b)に示すよ
うに、品物を挟む「クランプ」方式であり、第3は、図
9(c)に示すように、シャックルとピンから構成され
る「シャックル」方式である。
【0003】本願発明は、この第3の「シャックル」方
式に関するものであり、さらに、品物搬送後、遠隔操作
でピンを外す方式の吊具装置に関するものである。
【0004】従来の遠隔操作方式の吊具装置には、無線
操作によるものがある。しかし、この吊具装置は、高価
であり、大型であり、誤動作が生じ易いので安全性に問
題がある。
【0005】また、図10(a)に示すように、スライ
ドピン1に操作レバー2を取付け、この操作レバー2に
取付けたロープ3により操作するものもある。スライド
ピン1は品物の吊り穴に挿通されているときはバネ4に
よって付勢された状態にあり、操作レバー2は、本体5
に設けられた外筒6のクランク状の溝7の端で係止され
ている。次に作業者がロープ3を下方に引くと、図10
(b)に示すように、操作レバー2は解除され、溝7に
沿って移動する。これによって、スライドピン1は移動
し、本吊具装置から品物は外される。
【0006】しかしこの方式によれば、品物を吊り、搬
送中にロープ3が他の物に巻き付き、不用意にスライド
ピン1が開放される恐れがあり、また搬送中の品物が他
の物にぶつかり、その衝撃でスライドピン1が開放され
る恐れがある。このためこの装置には安全性に問題があ
った。また、ロープ3を引く作業者が必要であり、作業
能率の点で問題があった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】「シャックル」方式
で、遠隔操作型の従来の吊具装置は、上記のように高価
であり、大型であり、安全性に問題があり、さらに作業
能率が劣っていた。
【0008】本発明は、このような従来の吊具装置の欠
点に鑑み、なされたものであり、その目的は、廉価、小
型、であり、安全性及び作業能率が高い吊具装置を提供
することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】請求項1に係る発明は、
被吊上げ物の一部が挿入される溝部を有する本体フレー
ムと、この本体フレームに設けられた孔部に挿通され前
記溝部を横切るように配置されるスライドピンと、この
スライドピンを前記溝部から抜き出す方向に付勢する第
1の付勢手段と、前記本体フレームに一端を軸支され、
他端に吊りワイヤが装着されるワイヤ装着部と、このワ
イヤ装着部が前記本体フレームに対し前記一端を中心に
して所定の方向に回転するように付勢する第2の付勢手
段と、前記本体フレームに設けられ前記本体フレームが
被吊上げ物に対し回動することを阻止するストッパと、
前記ワイヤ装着部が前記本体フレームに対し所定の角度
の範囲内にあるときは前記スライドピンが移動すること
を阻止し、前記ワイヤ装着部の前記本体フレームに対す
る角度が前記範囲を越えたときは前記スライドピンの移
動阻止を解除するロック機構部と、を具備し、前記第1
の付勢手段は、本体フレームに一端が設けられたバネ
と、このバネの付勢力をスライドピンに対しその中心線
を軸とする回転と、前記本体フレームの溝部から抜け出
る方向の移動とを同時に行わせるように伝達する押圧力
伝達機構部を具備することを特徴とする。
【0010】請求項2に係る発明は、請求項1記載の装
置において、押圧力伝達機構部は、本体フレームに設け
られスライドピンの外周に穿設されたカム溝に嵌合する
ガイドピンと、前記スライドピンの一端に取付けられバ
ネの他端が設けられるバネ保持部とを具備することを特
徴とする。
【0011】請求項3に係る発明は、請求項1記載の装
置において、ロック機構部は、スライドピンの一端に取
付けられたレバーと、ワイヤ装着部に設けられこのワイ
ヤ装着部が回転し本体フレームに対し所定の角度の範囲
内であるときは前記レバーの先端と係合し、前記ワイヤ
装着部が前記本体フレームに対し前記範囲を越えたとき
は前記レバーの先端との係合状態が解かれる突出部と、
を具備することを特徴とする。
【0012】請求項4に係る発明は、請求項3記載の装
置において、第1の付勢手段は、レバーの先端に設けら
れた重りと、本体フレームに一端が設けられたバネと、
このバネの付勢力および重りの重力をスライドピンに対
しその中心線を軸とする回転と、前記本体フレームの溝
部から抜け出る方向の移動とを同時に行わせるように伝
達する押圧力伝達機構部を具備することを特徴とする。
【0013】
【発明の実施の形態】図1〜図3に本発明の実施の形態
の構成を示す。図1は本装置の側面から見た断面図、図
2は正面図、図3は背面図である。これらの図より本装
置の構成を説明する。ここでは例として本装置を、地中
に埋められる基礎杭用のケーシングを吊上げるための装
置として使用する場合について説明する。
【0014】本体フレーム11の一端側には、基礎杭用
のケーシング22の一部が挿入される溝部11aが設け
られている。この溝部11aの両側はスライドピン12
を挿通するための孔部11b、11cが穿設されてい
る。スライドピン12は図4に示すように溝部11aを
横切る径小部12aと、外周にカム溝12bが設けられ
ている径大部12cから成る。径大部12cには図1に
示すように、その一端側から穴部12dが穿設されてお
り、この穴部12dにウェートレバー13の円筒状の突
出部13aが嵌合している。
【0015】本体フレーム11の孔部11cの周囲は突
出し、円筒状の突出部11dが形成されている。この突
出部11dには、バネ収容部11eが設けられている。
このバネ収容部11eにはウェートレバー13を回転、
押圧するための圧縮巻込みバネ17が収容されている。
突出部11dにはさらに孔部11cとバネ収容部11e
を連通する孔部が形成され、ここにスライドピン12の
カム溝12bと嵌合するガイドピン16が設けられてい
る。
【0016】ウェートレバー13の基部13bは、本体
フレーム11の突出部11dを覆う形状であり、スライ
ドピン12にネジ31により取付けられている。基部1
3bの中央にはグリースニップル29が設けられ、ここ
からウェートレバー13の突出部13aの内部にグリー
スが供給されるようになっている。尚、このグリースは
スライドピン12に穿設された孔部12eを介してカム
溝12bに至るようにされている。
【0017】ウェートレバー13の基部13bの外周に
は図2に示すように、レバー部13cが取付けられてい
る。レバー部13bの中央と、本体フレーム11の正面
の中央付近には孔部が穿設されこれらの孔部に安全ピン
19が差込まれている。これによりウェートレバー13
は本体フレーム11に対して回転を阻止されている。安
全ピン19は着脱に備えて、一端がレバー部13cに取
付けられた紐28が結び付けられている。レバー部13
cの先端の一方の角部には、重り部13dが設けられて
いる。
【0018】図1に示すように、本体フレーム11の溝
部11aの底面には板バネ21が取付けられている。こ
の板バネ21は、図2に示すように、その両端が本体フ
レーム11から突出しており、基礎杭用ケーシング22
の孔部22aにスライドピン12を通す際の位置決めを
容易にするためのものである。本体フレーム11のアゴ
部11fと、このアゴ部11fに沿った板バネ21の部
分とから成る部分は、スライドピン12が基礎杭用ケー
シング22の孔部22aに通された後に本体フレーム1
1が基礎杭用ケーシング22に対して回動しないように
するストッパの働きをする。
【0019】本体フレーム11の他端は吊りリンク(ワ
イヤ装着部)15の溝部15aと嵌合し、この状態で両
者は支点ピン14により連結されている。支点ピン14
はキープレート20により吊りリンク15側に固定され
ている。吊りリンク15の先端側のワイヤ取付け用の孔
部15bの周辺部には、この吊りリンク15が一方の側
に傾くように円板状の重り部15cが設けられている。
吊りリンク15の基端側には、支点ピン14を囲むよう
に半円筒状の突起15dが設けられている。この半円筒
状の突起15dは、図2に示すように、吊りリンク15
の長手方向に対して45度傾斜した状態に設けられてい
る。ウェートレバー13のレバー部13cの先端は、突
起15dの外周の1/2に沿った形状となっている。
【0020】図3に示すように、巻込みバネ18は、吊
りリンク15の背面側において、支点ピン14に捲回さ
れ一端をネジ32により吊りリンク15に取付けられ、
他端をネジ33により本体フレーム11に取付けられ、
重り部15cと共働して吊りリンク15を一方の側に倒
すように付勢している。
【0021】次に、このように構成された本装置の動作
を説明する。まず図5(a)に示すように、被吊上げ物
である基礎杭用のケーシング22が吊具装置40を取付
けられて横置きの状態にあり、次に図5(b)に示すよ
うに、ケーシング22を吊具装置40介して吊り上げ、
さらに図5(c)に示すように、既に地中に埋められて
その先端部が地上に突出しているケーシング22に接続
し、上側のケーシング22から吊具装置40を切離すま
でを説明する。尚、本例ではケーシング22の先端に取
付けられる吊具装置40は1対あり、相互に対向するケ
ーシング22の取付け孔にスライドピン12が挿通され
て取付けられている。そしてこれら1対の吊具装置40
は、その上部でそれぞれの吊りワイヤが1つに纏められ
てクレーンにより一緒に吊上げられるようになってい
る。以下は説明を簡単にするため、1つの吊具装置40
について説明する。
【0022】ケーシング22が横置きの状態にあり、吊
具装置40が取付けられ、吊りリンク15が吊りワイヤ
41によって上方に引かれているときは、吊具装置40
は図6(a)に示すようになっている。ここで図1に示
した安全ピン19を抜く。このようにしても、吊りリン
ク15の突起15dとレバー部13cの先端は係合して
いるので、各部の状態は変わらない。
【0023】さらにクレーンが吊りワイヤ41を引張る
と、吊具装置40は図6(b)に示すようになり、ケー
シング22は垂直状態となる。この状態においても突起
15dとレバー部13cの先端は係合しているので、ウ
ェートレバー13は回動せずスライドピン12が移動す
ることはない。ケーシング22はこの状態で図5(c)
に示したように既に地中に埋められたケーシング22に
接続される。
【0024】次に、クレーンが吊りワイヤ41を緩める
と、吊具装置40は図6(b)から図6(c)に示すよ
うになる。すなわち吊りリンク15は、重り部15cの
重力の作用とバネ18の付勢力により、図6(b)の矢
印Xの方向に回転し、図6(c)に示すように板バネ2
1に当接して止まる。この時点で突起15dとレバー部
13cの先端との係合は解除となっている。この係合が
解除となると、ウェートレバー13は、重り部13dの
重力の作用と、圧縮巻込みバネ17の付勢力と、スライ
ドピン12及びガイドピン16とから成るカム機構とに
より、図6(c)の矢印Yの方向に回転すると共に本体
フレーム11から離間する方向に移動する。このときス
ライドピン12も回転しながら溝部11aから抜け出る
方向に移動する。
【0025】ガイドピン16がスライドピン12のカム
溝12bの端部に当接するとウェートレバー13は、図
7に示す位置で停止する。このときスライドピン12は
図8に示すように移動しており、ケーシング22の取付
け孔22aから抜け出た状態となっている。
【0026】次にクレーンによりワイヤ41が上方に引
かれると、本吊具装置40はケーシング22から分離さ
れる。
【0027】さらに本吊具装置40を横置き状態にある
次のケーシング22に取付けるには、図8に示すように
本体フレーム11の溝部11aにケーシング22の先端
を挿入し、ウェートレバー13を図6(c)の矢印Yと
は反対方向に回転させながら本体フレーム11側に押圧
する。これによりスライドピン12は移動し、ケーシン
グ22の取付け孔22aに挿入される。次に吊りリンク
15を図6(b)の矢印Xとは反対方向に回転させ図6
(a)のように垂直状態とするならば突起15dとレバ
ー部13cの先端は係合し、ウェートレバー13は係止
される。このためスライドピン12も移動を阻止され
る。
【0028】本実施の形態の装置によれば、吊りリンク
15は、ワイヤ41が緩んだときに重り部15cの重力
と、巻込みバネ18の回転力とから成る2つの力が作用
して回転力が与えられ、同様にウェートレバー13は、
突起15dとレバー部13cの先端との係合が解除とな
ると、重り部13dの重力と、圧縮巻込みバネ17の押
圧力と回転力とから成る合計3つの力が作用して回転力
が与えられるので、確実にスライドピン12は移動し、
誤動作が生じることはない。
【0029】上記の実施の形態では被吊上げ物は、基礎
杭用のケーシングとしたが、これに限らず吊り穴のある
物であればどのような物でも同様にして使用することが
できる。
【0030】なお、被吊上げ物の形状に応じて本体フレ
ームのアゴ部の形状を変更し板バネを取り替えるならば
より確実に取付け、取り外しが可能となる。
【0031】
【発明の効果】本発明によれば、吊具装置を被吊上げ物
から外す場合には吊りワイヤを緩めるだけで良い。この
ため無線装置や操作用のロープが不要であり、廉価、小
型、であり、安全性及び作業能率が高い吊具装置を提供
することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態の側面から見た断面図。
【図2】本発明の実施の形態の正面図。
【図3】本発明の実施の形態の背面図。
【図4】図1〜図3に示した装置におけるスライドピン
の斜視図。
【図5】図1〜図3に示した装置の使用状態を説明する
ための図。
【図6】図1〜図3に示した装置の使用状態を説明する
ための図。
【図7】図1〜図3に示した装置のスライドピンが外れ
た状態における各部の位置を示すための図。
【図8】図1〜図3に示した装置のスライドピンが外れ
た状態における各部の位置を示すための図。
【図9】吊具装置の種類を説明するための図。
【図10】従来の「シャックル」方式で遠隔操作型の吊
具装置を示す図。
【符号の説明】
11 本体フレーム 12 スライドピン 13 ウェートレバー 14 支点ピン 15 吊りリンク 16 ガイドピン 17 圧縮巻込みバネ 18 巻込みバネ

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】被吊上げ物の一部が挿入される溝部を有す
    る本体フレームと、 この本体フレームに設けられた孔部に挿通され前記溝部
    を横切るように配置されるスライドピンと、 このスライドピンを前記溝部から抜き出す方向に付勢す
    る第1の付勢手段と、 前記本体フレームに一端を軸支され、他端に吊りワイヤ
    が装着されるワイヤ装着部と、 このワイヤ装着部が前記本体フレームに対し前記一端を
    中心にして所定の方向に回転するように付勢する第2の
    付勢手段と、 前記本体フレームに設けられ前記本体フレームが被吊上
    げ物に対し回動することを阻止するストッパと、 前記ワイヤ装着部が前記本体フレームに対し所定の角度
    の範囲内にあるときは前記スライドピンが移動すること
    を阻止し、前記ワイヤ装着部の前記本体フレームに対す
    る角度が前記範囲を越えたときは前記スライドピンの移
    動阻止を解除するロック機構部と、を具備し、 前記第1の付勢手段は、本体フレームに一端が設けられ
    たバネと、このバネの付勢力をスライドピンに対しその
    中心線を軸とする回転と、前記本体フレームの溝部から
    抜け出る方向の移動とを同時に行わせるように伝達する
    押圧力伝達機構部を具備することを特徴とする吊具装
    置。
  2. 【請求項2】押圧力伝達機構部は、本体フレームに設け
    られスライドピンの外周に穿設されたカム溝に嵌合する
    ガイドピンと、前記スライドピンの一端に取付けられバ
    ネの他端が設けられるバネ保持部とを具備することを特
    徴とする請求項1記載の吊具装置。
  3. 【請求項3】ロック機構部は、スライドピンの一端に取
    付けられたレバーと、ワイヤ装着部に設けられこのワイ
    ヤ装着部が回転し本体フレームに対し所定の角度の範囲
    内であるときは前記レバーの先端と係合し、前記ワイヤ
    装着部が前記本体フレームに対し前記範囲を越えたとき
    は前記レバーの先端との係合状態が解かれる突出部と、
    を具備することを特徴とする請求項1記載の吊具装置。
  4. 【請求項4】第1の付勢手段は、レバーの先端に設けら
    れた重りと、本体フレームに一端が設けられたバネと、
    このバネの付勢力および重りの重力をスライドピンに対
    しその中心線を軸とする回転と、前記本体フレームの溝
    部から抜け出る方向の移動とを同時に行わせるように伝
    達する押圧力伝達機構部を具備することを特徴とする請
    求項3記載の吊具装置。
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