JP2810002B2 - 分子内空隙を埋めることにより安定化された大腸菌リボヌクレアーゼhi - Google Patents

分子内空隙を埋めることにより安定化された大腸菌リボヌクレアーゼhi

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、安定性が改良され
た変異型大腸菌リボヌクレアーゼHI、該変異型大腸菌
リボヌクレアーゼHIをコードしている遺伝子、該遺伝
子を含有し、大腸菌内で発現可能な発現ベクター、該発
現ベクターを含有している形質転換体、および該形質転
換体を用いて変異型大腸菌リボヌクレアーゼHIを製造
する方法に関する。
【0002】本発明が対象としているリボヌクレアーゼ
HIは従来リボヌクレアーゼHと認識されていた物質で
ある。最近になって、従来のリボヌクレアーゼHとは異
なる物質であるが、それと類似の酵素活性を有する物質
の存在が判明した[板谷、プロシーディング・オブ・ナ
ショナル・アカデミー・オブ・サイエンス,USA,
,8587−8591(1990)]。従って、従来の
リボヌクレアーゼHとその新たに見いだされた物質とを
峻別するため、従来のリボヌクレアーゼHはリボヌクレ
アーゼHIと、そして新しく見いだされた物質はリボヌ
クレアーゼHIIと命名された。このように、本明細書に
て使用しているリボヌクレアーゼHIなる用語は従来の
リボヌクレアーゼHを表すために使用される用語であ
る。
【0003】大腸菌の天然型リボヌクレアーゼHI(本
明細書に於いては、単にリボヌクレアーゼHI、または
RNaseHIと称する場合は、天然型の大腸菌リボヌク
レアーゼHIを意味するものとする)は155アミノ酸
からなる分子量約18Kdの加水分解酵素であって、D
NA/RNAハイブリッドのRNA鎖のみを特異的にエ
ンド作用で切断するという基質特異性を有する。この酵
素は、その基質特異性に基づき、下記の如き様々な用途
を有し、極めて利用価値の高い酵素として注目されてい
る。 1) cDNAのクローニングの際の鋳型mRNAの除去。 2) mRNAのポリA領域の除去。 3) RNAの編集(エディッティング)。 かかる利用価値を有するリボヌクレアーゼHIの重要性
は遺伝子工学の発展に伴ってますます増大すると思われ
る。
【0004】
【従来の技術】上記のような高い利用価値を有するリボ
ヌクレアーゼHIの安定性、例えば変性剤や熱に対する
耐性を高めることができれば、従来の組換えリボヌクレ
アーゼHIでは利用できなかった条件下での利用が可能
となる。これまでに、天然型リボヌクレアーゼHIより
も高い安定性を有する、ある種の変異を有する変異型リ
ボヌクレアーゼHIは幾つか開発されている(特開平0
3−147785、特開平05−038286、特開平
05−003787、特開平05−064585、特開
平05−076359)。ごく最近になって、これらの
変異を組み合わせれば、リボヌクレアーゼHIの安定性
がさらに高まることが示されたので[木村ら、ジャーナ
ル・オブ・バイオロジカル・ケミストリー、267、2
1535−21542(1992);特開平05−076
358、特願平5−314750]、リボヌクレアーゼ
HIの安定性を高める別の変異を開発することは、組み
合わせる手段の選択の幅を広げる意味から重要である。
そして、これにより、より高い安定性を有するリボヌク
レアーゼHIが得られる可能性も増す。
【0005】大腸菌リボヌクレアーゼHIよりも遥かに
高い安定性を有する好熱菌由来のリボヌクレアーゼHが
知られており、この好熱菌リボヌクレアーゼHを大腸菌
において組換え的に製造する方法が報告されている(金
谷ら、ジャーナル・オブ・バイオロジカル・ケミストリ
ー、267、10184−10192(1992);特開
平04−008294)。しかし、大腸菌を用いて産生
された好熱菌リボヌクレアーゼHの37℃における酵素
活性は大腸菌リボヌクレアーゼHIのそれよりもかなり
低いものであった(約5%)。また、大腸菌から産生さ
れる好熱菌リボヌクレアーゼHの場合、その精製には尿
素を用いて可溶化するという操作が必要であり、大腸菌
リボヌクレアーゼHIの場合に較べてその製造方法が複
雑であるという欠点もあった。従って、より酵素活性、
安定性にすぐれた酵素であって、その製造および精製も
好熱菌リボヌクレアーゼHよりも容易である変異型リボ
ヌクレアーゼHIを造ることができれば、産業上の利用
価値がより高くなると考えられる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】大腸菌リボヌクレアー
ゼHI酵素は、分子レベルでみればαI−ヘリックス、
αIII−ヘリックス、αIV−ヘリックス、βD−鎖及び
βE−鎖に囲まれた疎水性コアー部分に大きな分子内空
隙(キャビティー)を有しているが(片柳ら、Nature
Vol. 347,p.306−309(1990))、本発
明者らは、この分子内空隙に面している第74番目のV
al(バリン)をLeu(ロイシン)に置換することにより
本酵素の安定性が上昇することを見いだしている(特願
平04−329470)。次いで、この安定性の上昇し
た変異体の立体構造をX線を用いて解析することによ
り、第74番目のValをLeuに置換することにより本酵
素の安定性が上昇した理由は、本酵素の疎水性コアーに
存在する分子内空隙が部分的に埋められたためであるこ
とを明らかにした(石川ら、バイオケミストリー、
、6171−6178(1993))。しかしなが
ら、分子内空隙の充填は、選択する疎水性コアー内のア
ミノ酸部位と選択する置換アミノ酸の数の組合せが数多
くあることから容易でなく、また、本酵素の酵素活性が
保持されるべき点にも配慮しなければならない。
【0007】
【課題を解決するための手段】そこで、本発明者らは上
記の観点から、大腸菌リボヌクレアーゼHI酵素の酵素
活性を保持しながら、その安定性を高めることを目的と
して、種々の改変を試みた。その結果、分子内空隙を構
成する別のアミノ酸である第52番目のAla(アラニ
ン、A)をかさ高いアミノ酸、例えばVal(バリン、
V)、Leu(ロイシン、L)、またはIle(イソロイシ
ン、I)に置換した変異体が、天然型のリボヌクレアー
ゼHIよりも熱に対する安定性が高められていることを
見い出し、かつ、その酵素活性が損なわれていないこと
を確認した。更に、この変異体の74位のValをLeuに
置換することで、52位または74位の単変異体よりも
安定なリボヌクレアーゼHIを得ることができた。即
ち、本発明は大腸菌リボヌクレアーゼHI酵素の第52
番目のAlaの他のアミノ酸による置換、および第52番
目のAlaと第74番目のValの他のアミノ酸による同時
置換、により分子内空隙を埋めることによる該酵素の安
定化法、およびかかる方法により得られる安定化された
変異型リボヌクレアーゼHIを提供するものである。
【0008】さらに本発明は、上記変異型リボヌクレア
ーゼHIをコードする構造遺伝子、該構造遺伝子を含有
する発現ベクター、該発現ベクターを導入された形質転
換体、および該形質転換体を培養することによる、高い
安定性を有する変異型リボヌクレアーゼHIの製造方法
を提供するものである。大腸菌を用いての遺伝子操作法
は成書(Maniatisら、Molecular Cloning(1982):
A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Lab
oratory)に詳述されており、上記変異型リボヌクレアー
ゼHI構造遺伝子、発現ベクター、形質転換体は、この
成書に記載の一般的手法に従って、例えば後記実施例に
示した様に常法通り作製することができる。尚、本発明
の発現ベクターは、大腸菌内で機能するものであれば特
に制限はないが、バクテリオファージλのPLおよびPR
プロモーターの支配下に上記変異型リボヌクレアーゼH
I遺伝子を含有しているものが好ましい。
【0009】
【発明の効果】本発明により安定性が高められた変異型
大腸菌リボヌクレアーゼHIは、従来のリボヌクレアー
ゼHIでは変性してしまう高い温度下でさえも変性する
ことがない(試験例1参照)ので、このような条件下で
の取扱いが可能である。さらに、本発明の変異型大腸菌
リボヌクレアーゼHIは、耐久性等も向上していると期
待されるので、従来のリボヌクレアーゼHIよりも失活
しにくく、安定に保存でき、従って取り扱いが容易にな
ることは理解されよう。
【0010】以下に実施例を挙げて本発明をさらに詳細
に説明する。以下に述べる遺伝子操作の一般的手法は、
マニュアル書(Maniatisら、Molecular Cloning(19
82): A Laboratory Manual, Cold Sping Harbo
r Laboratory)および試薬の仕様書に従った。
【0011】実施例1 変異型リボヌクレアーゼHI(A52I)の調製 A.プラスミドpJAL52Iの作製 プラスミドpJAL52Iの作製の概略を図1に示す。
まず、天然型リボヌクレアーゼHIの大腸菌での発現プ
ラスミドpJAL600のrnh遺伝子を鋳型とし、プライ
マーを用いてPCR法によりrnh遺伝子への点突然変異
の導入を行った。尚、出発プラスミドpJAL600の
調製は、プラスミドpJAL135C(特開平05−0
03786)中の変異型rnh遺伝子部分を天然型rnh遺伝
子部分(特開平01−202286に記載されるプラス
ミドpDR600由来)と置き換えることによって行っ
た。
【0012】プライマーとしては、図2に示す化学合成
したオリゴヌクレオチドを用いた。図1および図2に示
すように、まず、pJAL600を鋳型DNAとし、Bg
lIIの制限酵素部位を含む5'−プライマー(1)とSstI
部位を含む3'−プライマー(2)により約150bpのD
NA断片を、また、変異導入用5'−プライマー(3)と
SalI部位を含む3'−プライマー(4)により約350b
pのDNA断片をそれぞれPCR反応により増幅し、遺
伝子断片2種を得た。この2種の遺伝子断片を、前者の
3'末端と後者の5'末端との間で部分的にアニーリング
させる。次いで、部分的にアニーリングした断片を鋳型
DNAとし、5'−プライマー(1)と3'−プライマー
(4)により約500bpのDNA断片をPCR反応により
増幅した。PCR反応は市販のGene Amp Kit(Takar
a)の説明書に従って行った。得られた約500bpの遺伝
子断片を制限酵素BglIIおよびSalIで消化した後、得
られた消化物を1.5%アガロースゲル電気泳動にか
け、約500bpのDNA断片を得た。
【0013】次に、このようにして得られた変異遺伝子
断片を、大腸菌での発現ベクターにサブクローニング
し、発現ベクターを作製した。プラスミドpJAL60
0をBglIIおよびSalIで消化し、約4.9kbの断片を
0.7%アガロース電気泳動により精製した後、上記約
500bpの変異rnh遺伝子断片とライゲーションするこ
とにより環化した。ライゲーションは市販のライゲーシ
ョンキット(Takara)を用い、添付の説明書に正確に従
って行った。このようにして得られたプラスミドで大腸
菌HB101株を形質転換し、形質転換体より変異型リ
ボヌクレアーゼHI発現用プラスミドベクターpJAL
52Iを得た。変異遺伝子中、目的の部位以外に変異の
導入されていないことは、変異遺伝子の全DNA配列を
決定することにより確認した。上記のようにして得られ
た形質転換菌エシエリシア・コリ(E.coli)K12/H
B101/pJAL52Iは通産省工業技術院生命工学
工業技術研究所に寄託されている(FERM P−14
674号、受託日:平成6年11月29日)。
【0014】B.変異型リボヌクレアーゼHI(A52
I)の大腸菌における生産と精製 大腸菌形質転換体HB101/pJAL52Iを100m
g/lのアンピシリンを含むLB培地200ml中、30
℃で振盪培養した。培養液の濁度がクレット値で約10
0まで生育した時点で、培養温度を42℃に上げ、更に
3.5時間振盪を続け、次いで遠心して集菌した。この
時のクレット値は約250であった。
【0015】得られた菌体を1mM EDTAを含む10
mMトリス塩酸緩衝液(TE)(pH7.5)15mlに懸濁し
た後、氷中で超音波処理により菌体を破砕した。15,
000rpmで30分間、4℃で遠心して得た遠心上清(粗
抽出液)を、TE(pH7.5)5lに対して4℃で一夜透析
した。透析後の粗抽出液を、同緩衝液で平衡化したP−
11カラム(2ml)に通した。この条件下、変異型リボヌ
クレアーゼHI(A52I)は、P−11カラムに吸着す
る。TE(pH7.5)を4ml流した後、NaCl濃度を0.
5Mまで直線的に上昇させることによりP−11カラム
から変異型リボヌクレアーゼHI(A52I)を溶出させ
た。変異型リボヌクレアーゼHI(A52I)を含むP−
11溶出画分をまとめ、精製標品とした。精製標品は1
5%SDS−PAGEで単一バンドを与え、逆相HPL
Cでも単一ピークを示した。精製収量は52mg/l培養
液であった。精製標品の同定は、リジルエンドペプチダ
ーゼにより消化して得られるペプチドフラグメントを逆
相HPLCでマッピングして各フラグメントピークの溶
出位置を確認するとともに、52位のアミノ酸を含むペ
プチドを分取後アミノ酸配列分析により行った。
【0016】得られた精製標品の0.1M NaClを含む
10mM酢酸ナトリウム緩衝液(pH5.5)中における2
00〜250nmでのCDスペクトルは天然型と同一であ
り、CDスペクトルで検出できるような2次構造の変化
は見られなかった。
【0017】実施例2 変異型リボヌクレアーゼHI(A52LおよびA52
V)の調製 実施例1に記載の操作に実質的に従い、天然型リボヌク
レアーゼHIの52番目のAlaがLeuまたはValに置換
された変異型リボヌクレアーゼHI、A52LおよびA
52Vをそれぞれ調製した。用いた出発プラスミド、プ
ライマーは次の通りである。なお、プライマーは図2に
おける変異アミノ酸に対応する塩基のみを記す。
【表1】 出発プラスミド プライマー A52L pJAL600 CTGA52V pJAL600 GTT
【0018】実施例3 変異型リボヌクレアーゼHI(A52I/V74L、A
52L/V74L、A52V/V74L)の調製 A.プラスミドpJAL52I74L、pJAL52L7
4L、pJAL52V74Lの作製 プラスミドpJAL52I74L、pJAL52L74
L、pJAL52V74Lの作製の概略を図3に示す。
【0019】まず、pJAL52I、pJAL52L、p
JAL52Vのrnh遺伝子を鋳型とし、図2で示すプラ
イマー(1)および(5)を用いてPCR法によりrnh遺伝
子の66から68位にAfl IIの制限酵素部位を導入し
た。PCR反応は市販のGeneAmp Kit(Takara)の
説明書に従って行った。この増幅した約190bpの遺伝
子断片を制限酵素Bgl IIおよびAfl IIで消化した後、
得られた消化物を1.5%アガロースゲル電気泳動にか
け、約190bpのDNA断片を得た。
【0020】次に、74位のValがLeuに置き換わった
変異型rnh遺伝子をもつプラスミドpJAL74L(特開
平06−169767)を制限酵素Bgl II及びAfl II
で消化し、約5.2kbの断片を0.7%アガロース電気泳
動により精製した後、上記約190bpの変異rnh遺伝子
断片とライゲーションすることにより環化した。ライゲ
ーションは市販のライゲーションキット(Takara)を
用い、添付の説明書に正確に従って行った。このように
して得られたプラスミドで大腸菌HB101株を形質転
換し、形質転換体より変異型リボヌクレアーゼHI発現
用プラスミドベクターpJAL52I74L、pJAL5
2L74L、pJAL52V74Lを得た。変異遺伝子
中、目的の部位以外に変異の導入されていないことは、
変異遺伝子の全DNA配列を決定することにより確認し
た。
【0021】B.変異型リボヌクレアーゼHI(A52
I/V74L、A52L/V74L、A52V/V74
L)の大腸菌における生産と精製 実施例1に記載の操作に実質的に従い、天然型リボヌク
レアーゼHIの52番目のAlaがIle、Leu又はVal
に、74番目のValがLeuに置換された変異型リボヌク
レアーゼHI、A52I/V74L、A52L/V74
L、およびA52V/V74Lをそれぞれ調製した。
【0022】試験例1 変異型リボヌクレアーゼHIの安定性の増加 天然型リボヌクレアーゼHIと実施例1〜3により調製
した変異型リボヌクレアーゼHIの熱安定性について測
定し、比較した。測定はpH3.0での変性の割合を22
0nmにおけるCD値で熱変性曲線を測定することにより
行った。得られた結果を以下の表2に示す。
【表2】 酵 素 名 Tm(℃) △Tm(℃) WT RNaseHI 56.4 − A52I 62.6 6.2 A52L 60.7 4.3 A52V 61.9 5.5 V74L 60.1 3.7 A52I/V74L 60.3 3.9 A52L/V74L 61.3 4.9 A52V/V74L 64.4 8.0 変異型リボヌクレアーゼHIの熱変性曲線は天然型の熱
変性曲線よりも高温側へシフトしており、明らかに熱安
定性が増加していた。以上の結果から、天然型大腸菌リ
ボヌクレアーゼHIの分子内空隙を埋めるようなアミノ
酸変異を導入することで、熱に対する安定性が向上する
ことが確認された。又、52位と74位の単変異体中、
最も安定化したA52IとV74Lを組み合わせたA5
2I/V74Lは各変異による安定化と同等もしくは低
く、その効果を打ち消し合っていた。しかし、A52V
/V74Lの場合は相加的な効果を示し、2重置換体中
最も安定化していた。更に、分子内空隙の容量変化が同
じA52IとA52V/V74Lを比較すると、後者の
方が安定であることがわかる。このことから、安定化す
る分子内空隙の埋め方として、一方からのみよりも、容
量変化の小さいアミノ酸置換を組み合わせることが有効
といえる。
【0023】参考例 酵素活性の測定 実施例1〜2により調製した変異型リボヌクレアーゼH
Iの酵素活性を以下の方法により測定し、比活性を測定
し、天然型酵素に対するパーセンテージを算定した。得
られた比較結果を以下の表3に示す。活性は、[3H]−
M13DNA/RNAを基質として用い、30℃、1分
間に1μmolの酸可溶性物質を遊離する酵素活性を1ユ
ニット(U)と定義した。タンパク量は変異型リボヌクレ
アーゼHIと天然型リボヌクレアーゼHIとが同じ吸光
係数を持つという仮定のもとに、
【数1】 を用いて280nmにおける吸光度を測定することにより
求めた。ここで、
【数2】 とは、蛋白質濃度が1mg/mlの水溶液の280nmにおけ
る吸光度を示す。
【表3】 天然型と変異型リボヌクレアーゼHIの酵素活性の比較 酵 素 名 比活性(U/mg) 対天然型% WT RNaseHI 9.45 − A52I 3.61 38% A52L 0.28 3% A52V 5.67 60% V74L 9.45 100% A52I/V74L 0.36 3.8% A52L/V74L 0.23 2.4% A52V/V74L 1.51 16%
【図面の簡単な説明】
【図1】 プラスミドpJAL52Iの構築を示す模式
図である。
【図2】 部位特異的突然変異を導入するための合成オ
リゴヌクレオチドを示す模式図であり、図中、下線は制
限酵素部位を、●印は変異アミノ酸に対応する塩基(A
la52に対応する塩基)をそれぞれ示すものである。
【図3】 プラスミドpJAL52I74Lの構築を示
す模式図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI (C12N 9/22 C12R 1:19) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C12N 9/10 C12N 1/21 C12N 15/55 BIOSIS(DIALOG) GenBank/EMBL/DDBJ(G ENETYX) WPI(DIALOG)

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 天然型大腸菌リボヌクレアーゼHIの5
    2番目のアラニンがバリンまたはイソロイシンで置換さ
    れているか、あるいは52番目のアラニンがバリンで置
    換されており、かつ74番目のバリンがロイシンで置換
    されており、それによって該リボヌクレアーゼHIのα
    I−ヘリックス、αIII−ヘリックス、αIV−ヘリック
    ス、βD−鎖及びβE−鎖に囲まれた疎水性コアーに存
    在する分子内空隙が、該置換アミノ酸残基の側鎖によっ
    て実質的に埋められ、それにより安定性が増大されてい
    る変異型大腸菌リボヌクレアーゼHI。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の変異型大腸菌リボヌク
    レアーゼHIをコードしている変異型大腸菌リボヌクレ
    アーゼHI構造遺伝子。
  3. 【請求項3】 請求項2に記載の変異型大腸菌リボヌク
    レアーゼHI構造遺伝子を大腸菌の遺伝子発現系制御下
    に含有している組換えプラスミド。
  4. 【請求項4】 pJAL52Iである請求項3に記載の
    組換えプラスミド。
  5. 【請求項5】 請求項3または4のいずれかに記載の組
    換えプラスミドで形質転換された大腸菌株。
  6. 【請求項6】 大腸菌K12/HB101/pJAL5
    2Iである請求項5に記載の大腸菌株。
  7. 【請求項7】 請求項5または6のいずれかに記載の大
    腸菌株を培養し、得られた培養液から変異型大腸菌リボ
    ヌクレアーゼHIを回収することを特徴とする請求項1
    に記載の変異型大腸菌リボヌクレアーゼHIの製造方
    法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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J.BIOL.CHEM.258(2)P.1276−1281(1983)

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JPH08205862A (ja) 1996-08-13

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