JP2809859B2 - アルキルハロゲノホスホニルの精製方法 - Google Patents

アルキルハロゲノホスホニルの精製方法

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【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は、アルキルハロゲノホスホニルの精製方法に
関する。本発明は特に、MOCVD(Metalorganic Chemical
Vapor Deposition)用の高純度アルキルホスフィンの
合成原料に適する高純度アルキルハロゲノホスホニルの
精製方法に関する。
[従来の技術] インジウム−リンをはじめとするIII族−V族化合物
半導体薄膜の形成方法として、MOCVDあるいはMOMBE(Me
talorganic Molecular Beam Epitaxy)は結晶成長系内
を高真空に保つ必要がなく原料の交換が容易であり、メ
ンテナンスが楽であるため、使用頻度の高まりとともに
注目されつつある結晶成長法である。
近年、これらの方法において使用されるリン原料とし
て、ホスフィンに代わってアルキルホスフィンRPH2(こ
こでRはアルキル基を示す)が提案されているが、該用
途用のアルキルホスフィンにはきわめて高純度のものが
必要である。このため該アルキルホスフィン製造のため
の出発原料としてのアルキルハロゲノホスホニルにも不
純物を含まない高純度のものを用いることが必須であ
る。しかしながらアルキルハロゲノホスホニルにはその
合成過程で用いられるハロゲン化アルキルやエーテルが
不純物として存在し、そのままではアルキルホスフィン
原料としては使用できず、これら不純物の除去が必要で
ある。
さらにこれら不純物は、アルキルハロゲノホスホニル
と相互作用するため、これらを除去するには多くの工程
を必要とし、精製に時間がかかり、あるいは通常の除去
操作では完全に除去するのが困難なため、高純度アルキ
ルホスフィン製造用原料としては純度が満足すべきもの
とならないという問題があった。
[発明が解決しようとする課題] 本発明の目的はアルキルホスフィンの合成中間体とし
て汎用されているアルキルハロゲノホスホニルの製造の
際混入するエーテル、ハロゲン化アルキル等を簡単な方
法で除去し、有機不純物の混入がない高純度のアルキル
ハロゲノホスホニルを得ることにある。
[課題を解決するための手段] 本発明の発明者らは、アルキルハロゲノホスホニル中
に混入しているエーテル、ハロゲン化アルキル等を除去
するために、100℃以上の沸点を有する脂肪族エーテル
あるいは該脂肪族エーテルを含有する溶媒を添加した
後、これを留去すれば、これらエーテル、ハロゲン化ア
ルキルが有効に除去され、不純物が著しく低減された高
純度のアルキルハロゲノホスホニルが得られることを見
出し本発明に至った。
すなわち、本発明は、 アルキルハロゲノホスホニルに、100℃以上の沸点を
有する脂肪族エーテルあるいは該脂肪族エーテルを含有
する溶媒を添加した後、これを留去して不純物を除去す
ることを特徴とするアルキルハロゲノホスホニルの精製
方法である。
なお本発明で言うアルキルハロゲノホスホニルとは次
式で表わされる化合物である。
(ここに、Rはアルキル基を示し、好ましくは炭素数1
〜10個のアルキル基であり、Xはハロゲンを示す。) 本発明で添加する100℃以上の沸点を有する脂肪族エ
ーテルとしては例えば、ジブチルエーテル、ジイソペン
チルエーテル、アニソール、フェネトール等を例示する
ことができる。
本発明においては、精製すべきアルキルハロゲノホス
ホニルに、前記100℃以上の沸点を有する脂肪族エーテ
ルのみを添加し、これを留去する方法でも精製効果は十
分に発揮されるが、上記高沸点の脂肪族エーテルのみで
は留去操作に時間を要する。このため前記高沸点の脂肪
族エーテルに対して、それよりも低沸点の溶媒を添加し
た混合溶媒として用いるのが一層好ましい。このような
低沸点の溶媒としてはジエチルエーテルが好ましい。ジ
エチルエーテルを不純物として含有するアルキルハロゲ
ノホスホニルからジエチルエーテルを除去、精製する場
合においても、ジエチルエーテルの添加は留去速度促進
のためには有効であり、除去すべき成分であるジエチル
エーテルを積極的に添加することによって精製効果がか
えって促進されるという予想外の現象が見出された。こ
こで、高沸点の脂肪族エーテルに対して混合するジエチ
ルエーテルは容量比で1:2〜20、好ましくは1:5〜10であ
る。
100℃以上の沸点を有する脂肪族エーテルあるいはそ
れを含有する溶媒の添加量は特に限定されないが、除去
すべきエーテル、ハロゲン化アルキルに対し、容量比で
100〜2000倍が望ましい。添加量がこれよりも少ないと
精製効果が不十分となり、また多すぎると添加した溶媒
の留去に時間を要する。
[実施例] 以下実施例により本発明方法を具体的に説明する。な
お実施例および比較例におけるtert−ブチルジクロロホ
スホニル中の有機不純物の定量は、tert−ブチルジクロ
ロホスホニルをトルエンに溶解させ、ガスクロマトグラ
フ法により測定した。
実施例1 ジエチルエーテル1038ppm、tert−ブチルクロライド6
47ppmが混入しているtert−ブチルジクロロホスホニル4
70gに、ジブチルエーテル300mlを添加し、フラスコ底部
を70℃、蒸留塔をリボンヒーター70℃に加熱し20mmHgで
添加溶媒を留去した。この溶媒の留去には9時間を要し
た。その後更に、フラスコ底部を80℃、蒸留塔をリボン
ヒーターで80℃に加熱し5mmHgで6時間蒸留した。こう
して得られた白色固体中のジエチルエーテルは25ppm以
下、tert−ブチルクロライドは25ppm以下であった。
実施例2 実施例1と同じ組成のtert−ブチルジクロロホスホニ
ル470gに、ジブチルエーテル100ml、ジエチルエーテル3
00mlを添加した後、実施例1と同じ条件で溶媒留去、蒸
留を行なった。溶媒の留去に要した時間は3時間と短縮
された。昇温、減圧して蒸留を6時間行なった後に得ら
れた白色固体中の不純物はジエチルエーテル、tert−ブ
チルクロライドともに25ppm以下であった。
比較例1 ジエチルエーテル499ppm、tert−ブチルクロライド36
0ppmが混入しているtert−ブチルジクロロホスホニル45
0gに溶媒を添加せずに、他は実施例1と同様な操作を行
った。70℃、20mmHgで6時間、及び80℃、5mmHgで6時
間蒸留を行なった。得られた白色固体中のジエチルエー
テルは152ppm、tert−ブチルクロライド303ppmで、両者
ともほとんど低減されていなかった。
[発明の効果] 本発明によれば、アルキルハロゲノホスホニルに、10
0℃以上の沸点を有する脂肪族エーテルあるいはそれを
含有する溶媒を添加しこれを留去することにより、単に
蒸留操作では除去困難であったアルキルハロゲノホスホ
ニル中に混入したエーテルおよびハロゲン化アルキル
を、簡単な操作でしかも効率的に除去することができ、
半導体薄膜製造用高純度アルキルホスフィンの合成原料
に適する高純度アルキルハロゲノホスホニルが得られ
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 近藤 一博 埼玉県戸田市新曽南3丁目17番35号 日 本鉱業株式会社内 (56)参考文献 特公 昭50−8056(JP,B2) 特公 昭56−24680(JP,B2) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C07F 9/42

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】アルキルハロゲノホスホニルに、100℃以
    上の沸点を有する脂肪族エーテルあるいは該脂肪族エー
    テルを含有する溶媒を添加した後、これを留去して不純
    物を除去することを特徴とするアルキルハロゲノホスホ
    ニルの精製方法。
  2. 【請求項2】脂肪族エーテルを含有する溶媒が、100℃
    以上の沸点を有する脂肪族エーテル1容量部とジエチル
    エーテル2〜20容量部との混合物であることを特徴とす
    る請求項1記載のアルキルハロゲノホスホニルの精製方
    法。
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