JP2808260B2 - アナログ・デジタル変換装置及び熱分析装置 - Google Patents
アナログ・デジタル変換装置及び熱分析装置Info
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、比較的小さなビ
ット数のアナログ・デジタル変換器を用いて、より大き
なビット数のデジタル出力信号を得ることのできるアナ
ログ・デジタル変換装置に関する。また、このアナログ
・デジタル変換装置を組み込んだ熱分析装置に関する。
ット数のアナログ・デジタル変換器を用いて、より大き
なビット数のデジタル出力信号を得ることのできるアナ
ログ・デジタル変換装置に関する。また、このアナログ
・デジタル変換装置を組み込んだ熱分析装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、比較的小さなビット数のアナログ
・デジタル変換器(以下、ADCと略称することもあ
る。)を用いて、より大きなビット数のデジタル出力信
号を得るようにしたアナログ・デジタル変換装置が知ら
れている。図8はこの種の従来装置の一例の回路構成図
であり、特公昭63−30815号公報に開示されてい
るものである。この従来装置では、ADC10でアナロ
グ信号12がデジタル信号14に変換される。アナログ
信号12がADC10のフルスケールよりも大きくなる
と、ADC10からオーバーレンジ信号16が出力され
る。このオーバーレンジ信号16は、アンドゲート20
によりパルス発信器18の出力をカウンタに入力させ、
このパルス信号17はカウンタ22で累積加算される。
カウンタ22の出力信号23は、デジタル・アナログ変
換器24(以下、DACと略称することもある。)でア
ナログ信号26に変換される。アナログ減算器28は、
アナログ入力信号30とアナログ信号26との差を演算
して、アナログ信号12を出力する。このようにして、
オーバーレンジ信号16が出る間、カウンタ22の値が
増加していき、アナログ信号12がADC10のフルス
ケールの範囲内に収まるで、この動作が繰り返される。
アナログ入力信号30は最終的にデジタル出力信号32
に変換されることになるが、このデジタル出力信号32
は、その下位ビットはADC10の出力信号14で構成
され、上位ビットはカウンタ22の出力信号23で構成
される。これにより、低分解能で安価なADCを用いて
高分解能のアナログ・デジタル変換が可能になる。な
お、アナログ・デジタル変換における分解能とは、許容
される最大振幅(フルスケール)をどれだけの細かさで
分解できるかを示すものであり、バイナリーコードの場
合、Nビットのデジタル出力信号が得られるときには、
その分解能は、1/(2のN乗)となる。この明細書で
は、これを単に、Nビットの分解能を備える、という表
現で説明している。
・デジタル変換器(以下、ADCと略称することもあ
る。)を用いて、より大きなビット数のデジタル出力信
号を得るようにしたアナログ・デジタル変換装置が知ら
れている。図8はこの種の従来装置の一例の回路構成図
であり、特公昭63−30815号公報に開示されてい
るものである。この従来装置では、ADC10でアナロ
グ信号12がデジタル信号14に変換される。アナログ
信号12がADC10のフルスケールよりも大きくなる
と、ADC10からオーバーレンジ信号16が出力され
る。このオーバーレンジ信号16は、アンドゲート20
によりパルス発信器18の出力をカウンタに入力させ、
このパルス信号17はカウンタ22で累積加算される。
カウンタ22の出力信号23は、デジタル・アナログ変
換器24(以下、DACと略称することもある。)でア
ナログ信号26に変換される。アナログ減算器28は、
アナログ入力信号30とアナログ信号26との差を演算
して、アナログ信号12を出力する。このようにして、
オーバーレンジ信号16が出る間、カウンタ22の値が
増加していき、アナログ信号12がADC10のフルス
ケールの範囲内に収まるで、この動作が繰り返される。
アナログ入力信号30は最終的にデジタル出力信号32
に変換されることになるが、このデジタル出力信号32
は、その下位ビットはADC10の出力信号14で構成
され、上位ビットはカウンタ22の出力信号23で構成
される。これにより、低分解能で安価なADCを用いて
高分解能のアナログ・デジタル変換が可能になる。な
お、アナログ・デジタル変換における分解能とは、許容
される最大振幅(フルスケール)をどれだけの細かさで
分解できるかを示すものであり、バイナリーコードの場
合、Nビットのデジタル出力信号が得られるときには、
その分解能は、1/(2のN乗)となる。この明細書で
は、これを単に、Nビットの分解能を備える、という表
現で説明している。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上述した図8のアナロ
グ・デジタル変換装置は、ADC10のフルスケールの
範囲内の全ての領域を用いてアナログ信号12をデジタ
ル信号14に変換している。そして、ADC10に入る
アナログ信号12がADC10のフルスケールを越えた
ときには、フルスケール分だけアナログ信号を減算し
て、フルスケールの範囲内になるようにしている。も
し、ADC10がNビット、DAC24がMビットなら
ば、この従来のアナログ・デジタル変換装置は(N+
M)ビットのデジタル出力信号を得ることができ、この
アナログ・デジタル変換装置の全体の分解能は(N+
M)ビットとなる。
グ・デジタル変換装置は、ADC10のフルスケールの
範囲内の全ての領域を用いてアナログ信号12をデジタ
ル信号14に変換している。そして、ADC10に入る
アナログ信号12がADC10のフルスケールを越えた
ときには、フルスケール分だけアナログ信号を減算し
て、フルスケールの範囲内になるようにしている。も
し、ADC10がNビット、DAC24がMビットなら
ば、この従来のアナログ・デジタル変換装置は(N+
M)ビットのデジタル出力信号を得ることができ、この
アナログ・デジタル変換装置の全体の分解能は(N+
M)ビットとなる。
【0004】アナログ・デジタル変換装置の精度を考え
る場合に、上述の分解能は重要な特性ではあるが、分解
能以外にも精度に関連する特性がいくつか存在する。例
えば、絶対精度、相対精度、オフセット誤差、ゲイン誤
差、非直線性誤差(積分直線性誤差)、微分直線性誤
差、単調性などの各種の特性があり、これらの特性もア
ナログ・デジタル変換装置の精度を規定する。このう
ち、オフセット誤差のように周辺回路技術で解決できる
問題もあるが、微分直線性誤差のようにアナログ・デジ
タル変換装置の本質に関係していて、周辺回路技術で解
決できない問題もある。したがって、高分解能のアナロ
グ・デジタル変換装置であっても、微分直線性誤差が大
きかったり、全範囲にわたっては単調性が保証されてい
なかったりすれば、得られるデジタル出力信号の信頼性
は低いものとなる。
る場合に、上述の分解能は重要な特性ではあるが、分解
能以外にも精度に関連する特性がいくつか存在する。例
えば、絶対精度、相対精度、オフセット誤差、ゲイン誤
差、非直線性誤差(積分直線性誤差)、微分直線性誤
差、単調性などの各種の特性があり、これらの特性もア
ナログ・デジタル変換装置の精度を規定する。このう
ち、オフセット誤差のように周辺回路技術で解決できる
問題もあるが、微分直線性誤差のようにアナログ・デジ
タル変換装置の本質に関係していて、周辺回路技術で解
決できない問題もある。したがって、高分解能のアナロ
グ・デジタル変換装置であっても、微分直線性誤差が大
きかったり、全範囲にわたっては単調性が保証されてい
なかったりすれば、得られるデジタル出力信号の信頼性
は低いものとなる。
【0005】ところで、高分解能のADCが高価な理由
は上位ビットの要求精度が厳しくなるからである。所定
の単調性を得るためには、各ビットにおいて、±0.5
LSBの微分直線性精度が要求される。例えば、10ビ
ットのADCにおいては、次の表1に示すような精度が
要求される。
は上位ビットの要求精度が厳しくなるからである。所定
の単調性を得るためには、各ビットにおいて、±0.5
LSBの微分直線性精度が要求される。例えば、10ビ
ットのADCにおいては、次の表1に示すような精度が
要求される。
【0006】
【表1】 ビット 重み付け 精度(±%) 9(MSB) 512 0.098 8 256 0.195 7 128 0.391 6 64 0.781 5 32 1.56 4 16 3.13 3 8 6.25 2 4 12.5 1 2 25 0(LSB) 1 50
【0007】この表1から分かるように、最上位ビット
(MSB)では、その重み付けに対して0.098%と
いう高い精度が要求される。したがって、上位ビットの
方では、所定の精度を達成するのが難しくなり、安価な
ADCでは上位ビットでの精度を保証していないものも
ある。また、ADC単体では精度を保証していても、回
路に実装した状態では上位ビットの方で保証精度が得ら
れない場合もある。したがって、ADCをフルスケール
の範囲内で利用すると、上位ビットでは精度が保証され
ない恐れがある。
(MSB)では、その重み付けに対して0.098%と
いう高い精度が要求される。したがって、上位ビットの
方では、所定の精度を達成するのが難しくなり、安価な
ADCでは上位ビットでの精度を保証していないものも
ある。また、ADC単体では精度を保証していても、回
路に実装した状態では上位ビットの方で保証精度が得ら
れない場合もある。したがって、ADCをフルスケール
の範囲内で利用すると、上位ビットでは精度が保証され
ない恐れがある。
【0008】図8に示す従来装置では、比較的安価な低
分解能のADCを用いて、高分解能のアナログ・デジタ
ル変換を実現しているが、安価な低分解能のADCをフ
ルスケールの範囲内で利用すると、上述のように上位ビ
ットにおいて精度が保証されない恐れがある。
分解能のADCを用いて、高分解能のアナログ・デジタ
ル変換を実現しているが、安価な低分解能のADCをフ
ルスケールの範囲内で利用すると、上述のように上位ビ
ットにおいて精度が保証されない恐れがある。
【0009】この発明は上述の問題点を解決するために
なされたものであり、その目的は、安価な低分解能のA
DCを用いて高分解能のアナログ・デジタル変換を実現
するに当たり、デジタル出力信号の信頼性を高めること
のできるアナログ・デジタル変換装置を提供することに
ある。
なされたものであり、その目的は、安価な低分解能のA
DCを用いて高分解能のアナログ・デジタル変換を実現
するに当たり、デジタル出力信号の信頼性を高めること
のできるアナログ・デジタル変換装置を提供することに
ある。
【0010】
【課題を解決するための手段】この発明のアナログ・デ
ジタル変換装置は、次の(イ)〜(ホ)の構成を備えて
いる。(イ)デジタル信号に変換すべきアナログ入力信
号からデジタル・アナログ変換器の出力信号を引き算す
る引算器。(ロ)前記引算器の出力信号をデジタル信号
に変換するNビット(Nは4以上の整数)のアナログ・
デジタル変換器。(ハ)前記アナログ・デジタル変換器
の出力信号のうちの上位のNAビット(NAは2以上の
整数)を累積加算する加算器。(ニ)前記アナログ・デ
ジタル変換器の出力信号のうちの下位のNBビット(N
B=N−NA)を下位ビットとし前記加算器の出力信号
を上位ビットとするようなデジタル出力信号を出力する
出力部。(ホ)前記加算器の出力信号をアナログ信号に
変換する前記デジタル・アナログ変換器。
ジタル変換装置は、次の(イ)〜(ホ)の構成を備えて
いる。(イ)デジタル信号に変換すべきアナログ入力信
号からデジタル・アナログ変換器の出力信号を引き算す
る引算器。(ロ)前記引算器の出力信号をデジタル信号
に変換するNビット(Nは4以上の整数)のアナログ・
デジタル変換器。(ハ)前記アナログ・デジタル変換器
の出力信号のうちの上位のNAビット(NAは2以上の
整数)を累積加算する加算器。(ニ)前記アナログ・デ
ジタル変換器の出力信号のうちの下位のNBビット(N
B=N−NA)を下位ビットとし前記加算器の出力信号
を上位ビットとするようなデジタル出力信号を出力する
出力部。(ホ)前記加算器の出力信号をアナログ信号に
変換する前記デジタル・アナログ変換器。
【0011】この発明では、ADCの出力のデジタル信
号をフルスケールよりも小さな所定の設定値のところで
区切って、この設定値を上回ったときには、ADCに入
るアナログ信号を減少させて、ADCの上位ビットを使
わずに実質的に下位ビットだけでアナログ・デジタル変
換を実行するようにしている。上記設定値としてビット
の桁数で区切る場合には、上位ビットと下位ビットはそ
れぞれ2ビット以上が必要である。実際の使用例では、
ADCは10〜12ビット程度の分解能を想定してお
り、その場合、下位ビットは7〜8ビット程度が好まし
い。
号をフルスケールよりも小さな所定の設定値のところで
区切って、この設定値を上回ったときには、ADCに入
るアナログ信号を減少させて、ADCの上位ビットを使
わずに実質的に下位ビットだけでアナログ・デジタル変
換を実行するようにしている。上記設定値としてビット
の桁数で区切る場合には、上位ビットと下位ビットはそ
れぞれ2ビット以上が必要である。実際の使用例では、
ADCは10〜12ビット程度の分解能を想定してお
り、その場合、下位ビットは7〜8ビット程度が好まし
い。
【0012】
【発明の実施の形態】図1は、この発明のアナログ・デ
ジタル変換装置の実施の一形態を示す回路構成図であ
る。このアナログ・デジタル変換装置は、アナログ信号
同志を引き算する引算器34と、アナログ信号を増幅す
る増幅器36と、アナログ信号の上限値をクリップする
クリップ回路38と、アナログ信号をデジタル信号に変
換するADC40と、ADC40の出力の上位ビットを
累積加算する加算器42と、デジタル信号をアナログ信
号に変換するDAC44と、最終的なデジタル出力信号
46を出力する出力部とからなる。
ジタル変換装置の実施の一形態を示す回路構成図であ
る。このアナログ・デジタル変換装置は、アナログ信号
同志を引き算する引算器34と、アナログ信号を増幅す
る増幅器36と、アナログ信号の上限値をクリップする
クリップ回路38と、アナログ信号をデジタル信号に変
換するADC40と、ADC40の出力の上位ビットを
累積加算する加算器42と、デジタル信号をアナログ信
号に変換するDAC44と、最終的なデジタル出力信号
46を出力する出力部とからなる。
【0013】引算器34は、アナログ入力信号48か
ら、DAC44の出力のアナログ信号50を引き算し
て、その差に相当するアナログ信号52を出力する。増
幅器36はゲインが100であり、アナログ信号52を
100倍して、アナログ信号54を出力する。クリップ
回路38は、アナログ信号54の上限値を+5Vにクリ
ップする。10ビットのADC40(フルスケールは5
V)はアナログ信号54を10ビットのデジタル信号5
6に変換する。このデジタル信号56のうち、上位の3
ビットのデジタル信号56Aは加算器42に入力され
る。一方、下位の7ビットのデジタル信号56Bは、最
終的なデジタル出力信号46の下位の7ビットとして出
力される。9ビットの加算器42は、デジタル信号56
Aを累積加算する。すなわち、この加算器42は、現在
保持しているデジタル値に新たなデジタル信号56Aを
足し算して、保持データを更新する。加算器42の保持
データはデジタル信号58として出力され、これが、最
終的なデジタル出力信号46の上位の9ビットとして出
力される。また、加算器42の出力のデジタル信号58
はDAC44に入力される。9ビットのDAC44はデ
ジタル信号58をアナログ信号50に変換する。
ら、DAC44の出力のアナログ信号50を引き算し
て、その差に相当するアナログ信号52を出力する。増
幅器36はゲインが100であり、アナログ信号52を
100倍して、アナログ信号54を出力する。クリップ
回路38は、アナログ信号54の上限値を+5Vにクリ
ップする。10ビットのADC40(フルスケールは5
V)はアナログ信号54を10ビットのデジタル信号5
6に変換する。このデジタル信号56のうち、上位の3
ビットのデジタル信号56Aは加算器42に入力され
る。一方、下位の7ビットのデジタル信号56Bは、最
終的なデジタル出力信号46の下位の7ビットとして出
力される。9ビットの加算器42は、デジタル信号56
Aを累積加算する。すなわち、この加算器42は、現在
保持しているデジタル値に新たなデジタル信号56Aを
足し算して、保持データを更新する。加算器42の保持
データはデジタル信号58として出力され、これが、最
終的なデジタル出力信号46の上位の9ビットとして出
力される。また、加算器42の出力のデジタル信号58
はDAC44に入力される。9ビットのDAC44はデ
ジタル信号58をアナログ信号50に変換する。
【0014】図2は、ADC40の出力のデジタル信号
56と、加算器42の出力のデジタル信号58との関係
を示したものである。10ビットのデジタル信号56の
うち、上位3ビットのデジタル信号56Aは加算器で加
算されて、デジタル信号58となる。そして、最終的な
デジタル出力信号は、9ビットのデジタル信号58を上
位ビットとし、7ビットのデジタル信号56Bを下位ビ
ットとするように構成される。したがって、このアナロ
グ・デジタル変換装置は、7+9=16ビットのデジタ
ル出力信号が得られる。
56と、加算器42の出力のデジタル信号58との関係
を示したものである。10ビットのデジタル信号56の
うち、上位3ビットのデジタル信号56Aは加算器で加
算されて、デジタル信号58となる。そして、最終的な
デジタル出力信号は、9ビットのデジタル信号58を上
位ビットとし、7ビットのデジタル信号56Bを下位ビ
ットとするように構成される。したがって、このアナロ
グ・デジタル変換装置は、7+9=16ビットのデジタ
ル出力信号が得られる。
【0015】10ビットのデジタル信号56のフルスケ
ールは5Vに相当するから、デジタル信号56における
1デジットは、5V/(1024−1)=4.89mV
のアナログ信号54に相当する。また、上位3ビットの
デジタル信号56Aにおける最小ビットの「1」は、デ
ジタル信号56の1デジットの128倍(2の7乗)で
あるから、これは、5V×128/(1024−1)=
626mVのアナログ信号54に相当する。この値を、
増幅器36の手前のアナログ信号52で考えると、その
100分の1の6.26mVのアナログ信号52に相当
する。すなわち、増幅器36の手前のアナログ信号52
が6.26mVに達すると、ADC40の出力の上位の
3ビットのデジタル信号56Aに「1」が現れる。そし
て、これに対応するように、9ビットのDAC44にお
いては、入力されるデジタル信号58の1デジットが
6.26mVのアナログ信号50に変換されるように設
定される。したがって、DAC44の出力信号50の最
大値は、6.26mV×(512−1)=3.20Vと
なり、その結果、アナログ入力信号48の変換レンジ
は、0〜3.20Vとなる。
ールは5Vに相当するから、デジタル信号56における
1デジットは、5V/(1024−1)=4.89mV
のアナログ信号54に相当する。また、上位3ビットの
デジタル信号56Aにおける最小ビットの「1」は、デ
ジタル信号56の1デジットの128倍(2の7乗)で
あるから、これは、5V×128/(1024−1)=
626mVのアナログ信号54に相当する。この値を、
増幅器36の手前のアナログ信号52で考えると、その
100分の1の6.26mVのアナログ信号52に相当
する。すなわち、増幅器36の手前のアナログ信号52
が6.26mVに達すると、ADC40の出力の上位の
3ビットのデジタル信号56Aに「1」が現れる。そし
て、これに対応するように、9ビットのDAC44にお
いては、入力されるデジタル信号58の1デジットが
6.26mVのアナログ信号50に変換されるように設
定される。したがって、DAC44の出力信号50の最
大値は、6.26mV×(512−1)=3.20Vと
なり、その結果、アナログ入力信号48の変換レンジ
は、0〜3.20Vとなる。
【0016】次に、具体的なアナログ入力信号を例にと
って、図1のアナログ・デジタル変換装置の動作を説明
する。図3は、図1のアナログ・デジタル変換装置の各
部の信号の時間的変化を示すグラフである。図3と図1
を参照して、まず、アナログ入力信号48がゼロから直
線的に増加していく信号であると仮定する。DAC44
の出力は最初はゼロである。アナログ入力信号48が増
加していくと、引算器34を通過したアナログ信号52
も同様に増加する。増幅器36の出力のアナログ信号5
4も増加する。この間は、ADC40の出力のデジタル
信号56としては下位7ビットのデジタル信号56B
(アナログ信号54に比例する)だけが現れ、これがア
ナログ・変換装置のデジタル出力信号46となる。
って、図1のアナログ・デジタル変換装置の動作を説明
する。図3は、図1のアナログ・デジタル変換装置の各
部の信号の時間的変化を示すグラフである。図3と図1
を参照して、まず、アナログ入力信号48がゼロから直
線的に増加していく信号であると仮定する。DAC44
の出力は最初はゼロである。アナログ入力信号48が増
加していくと、引算器34を通過したアナログ信号52
も同様に増加する。増幅器36の出力のアナログ信号5
4も増加する。この間は、ADC40の出力のデジタル
信号56としては下位7ビットのデジタル信号56B
(アナログ信号54に比例する)だけが現れ、これがア
ナログ・変換装置のデジタル出力信号46となる。
【0017】時刻t1でアナログ入力信号48が6.2
6mVに達すると、ADC40の出力の上位3ビットの
デジタル信号56Aに「1」が現れ、これが加算器42
に入力されて、加算器42の出力のデジタル信号58が
「1」になる。これがDAC44で6.26mVのアナ
ログ信号50に変換され、引算器34でアナログ入力信
号48からアナログ信号50が引き算される。その結
果、引算器34の出力のアナログ信号52はゼロに戻
る。ADC40とDAC44は所定のタイミングで動作
しており、所定のサイクルタイムが経過すると、引算器
・ADC・DACのループが一巡する。
6mVに達すると、ADC40の出力の上位3ビットの
デジタル信号56Aに「1」が現れ、これが加算器42
に入力されて、加算器42の出力のデジタル信号58が
「1」になる。これがDAC44で6.26mVのアナ
ログ信号50に変換され、引算器34でアナログ入力信
号48からアナログ信号50が引き算される。その結
果、引算器34の出力のアナログ信号52はゼロに戻
る。ADC40とDAC44は所定のタイミングで動作
しており、所定のサイクルタイムが経過すると、引算器
・ADC・DACのループが一巡する。
【0018】デジタル信号56Aに「1」が現れたサイ
クルが過ぎて、次のサイクルになると、アナログ信号5
2はいったんゼロに戻っているので、デジタル信号56
Aはゼロに戻っている。しかし、加算器42の出力のデ
ジタル信号58は「1」を保っている。アナログ入力信
号48がさらに増加していくと、アナログ信号52、5
4も再び増加していき、最終的なデジタル出力信号46
は、下位7ビットがデジタル信号56Bとなり、上位3
ビットがデジタル信号58となる。
クルが過ぎて、次のサイクルになると、アナログ信号5
2はいったんゼロに戻っているので、デジタル信号56
Aはゼロに戻っている。しかし、加算器42の出力のデ
ジタル信号58は「1」を保っている。アナログ入力信
号48がさらに増加していくと、アナログ信号52、5
4も再び増加していき、最終的なデジタル出力信号46
は、下位7ビットがデジタル信号56Bとなり、上位3
ビットがデジタル信号58となる。
【0019】さらにアナログ入力信号52が増加して、
時刻t2で12.52mVに達すると、再び、デジタル
信号56Aに「1」が現れて、加算器42のデータが1
だけ増加する。このようにして、アナログ入力信号42
が直線的に増加していけば、ADC40に入るアナログ
信号54は鋸型の波形となり、デジタル信号56Bも鋸
型の波形となる。一方、加算器42の出力のデジタル信
号58は階段状に増加する波形となる。このようにし
て、ADC40は、常に、下位7ビットの部分だけがア
ナログ・デジタル変換を実行することになる。10ビッ
トのADCを用いる場合に、その下位7ビットは単調性
が十分保証されていて精度が非常に安定しているので、
このような下位7ビットだけをアナログ・デジタル変換
に使用すれば、変換精度の信頼性が非常に高い。ADC
40の出力の上位3ビットについて言えば、上述の動作
例では、上位3ビットの一番下のビットの信号だけが加
算器42に入力されて、引算器・ADC・DACのルー
プに影響を与えており、その上の2ビットは全く使われ
ていない。したがって、精度を保証するのが困難な最上
位ビット付近を使うことなしに、アナログ入力信号をデ
ジタル変換することが可能になる。しかも、デジタル出
力信号46は16ビットの分解能を備えている。
時刻t2で12.52mVに達すると、再び、デジタル
信号56Aに「1」が現れて、加算器42のデータが1
だけ増加する。このようにして、アナログ入力信号42
が直線的に増加していけば、ADC40に入るアナログ
信号54は鋸型の波形となり、デジタル信号56Bも鋸
型の波形となる。一方、加算器42の出力のデジタル信
号58は階段状に増加する波形となる。このようにし
て、ADC40は、常に、下位7ビットの部分だけがア
ナログ・デジタル変換を実行することになる。10ビッ
トのADCを用いる場合に、その下位7ビットは単調性
が十分保証されていて精度が非常に安定しているので、
このような下位7ビットだけをアナログ・デジタル変換
に使用すれば、変換精度の信頼性が非常に高い。ADC
40の出力の上位3ビットについて言えば、上述の動作
例では、上位3ビットの一番下のビットの信号だけが加
算器42に入力されて、引算器・ADC・DACのルー
プに影響を与えており、その上の2ビットは全く使われ
ていない。したがって、精度を保証するのが困難な最上
位ビット付近を使うことなしに、アナログ入力信号をデ
ジタル変換することが可能になる。しかも、デジタル出
力信号46は16ビットの分解能を備えている。
【0020】図4は、別のタイプのアナログ入力信号を
例にした場合のグラフである。この動作例では、アナロ
グ入力信号48は時刻t2まで直線的に増加し、その
後、時刻t3まで一定であり、時刻t3で瞬間的に大き
な値にジャンプすることを想定している。時刻t2に至
る途中の時刻t1では、図3の動作例と同様にアナログ
入力信号48が6.26mVに達して、加算器42の出
力のデジタル信号58が「1」になる。これがDAC4
4によって6.26mVのアナログ信号50に変換さ
れ、引算器34でアナログ入力信号48からアナログ信
号50が引き算される。
例にした場合のグラフである。この動作例では、アナロ
グ入力信号48は時刻t2まで直線的に増加し、その
後、時刻t3まで一定であり、時刻t3で瞬間的に大き
な値にジャンプすることを想定している。時刻t2に至
る途中の時刻t1では、図3の動作例と同様にアナログ
入力信号48が6.26mVに達して、加算器42の出
力のデジタル信号58が「1」になる。これがDAC4
4によって6.26mVのアナログ信号50に変換さ
れ、引算器34でアナログ入力信号48からアナログ信
号50が引き算される。
【0021】時刻t2では、アナログ入力信号48が1
0mVとなり、以後、時刻t3まで一定とする。時刻t
2からt3の間の期間は、引算器34の出力のアナログ
信号52は(10−6.26)=3.74mVを保ち、
加算器42の出力のデジタル信号58は「1」を保つ。
最終的なデジタル出力信号46は、その上位3ビットが
加算器の出力信号58から構成され、下位7ビットがア
ナログ信号52に相当するデジタル信号56Bから構成
される。
0mVとなり、以後、時刻t3まで一定とする。時刻t
2からt3の間の期間は、引算器34の出力のアナログ
信号52は(10−6.26)=3.74mVを保ち、
加算器42の出力のデジタル信号58は「1」を保つ。
最終的なデジタル出力信号46は、その上位3ビットが
加算器の出力信号58から構成され、下位7ビットがア
ナログ信号52に相当するデジタル信号56Bから構成
される。
【0022】時刻t3において、引算器・ADC・DA
Cのループを一巡するサイクル時間よりも短い期間に、
瞬間的にアナログ入力信号48が増加するものとする。
このときの増加分は20mVと仮定し、アナログ入力信
号48の大きさは30mVとなる。すると、引算器34
の出力のアナログ信号52は瞬間的に(30−6.2
6)=23.74mVの信号となる。この値がADC4
0でデジタル信号に変換されると、上位3ビットのデジ
タル信号56Aにおいて、2進法で「11」の信号
(「1」の3倍の信号)が現れる。これが加算器42に
入力されて、加算器42の出力のデジタル信号58が
「1」から「100」(「1」の4倍の信号)になる。
これがDAC44で6.26×4=25.04mVのア
ナログ信号50に変換され、引算器34でアナログ入力
信号48からアナログ信号50が引き算される。その結
果、引算器34の出力のアナログ信号52は(30−2
5.04)=4.96mVになる。このように、サイク
ルタイムよりも短い期間にアナログ入力信号が瞬間的に
6.26mVの2倍以上も増加すると、ADC40の出
力の上位3ビットのデジタル信号56Aに「1」を越え
るデジタル信号が現れて、アナログ入力信号48から一
気に6.26mVの複数倍の信号が引き算される。その
結果、1回のサイクルを経過するだけで、引算器34の
出力のアナログ入力信号52は、一気に6.26mVを
下回る。すなわち、ADC40の出力が下位7ビットの
範囲だけになるようなアナログ信号レベルに低下する。
これにより、信頼性に問題のある上位3ビットを使用す
る期間は、1サイクルタイムの間だけとなり、すぐに下
位7ビットだけによるアナログ・デジタル変換に戻るこ
とになる。
Cのループを一巡するサイクル時間よりも短い期間に、
瞬間的にアナログ入力信号48が増加するものとする。
このときの増加分は20mVと仮定し、アナログ入力信
号48の大きさは30mVとなる。すると、引算器34
の出力のアナログ信号52は瞬間的に(30−6.2
6)=23.74mVの信号となる。この値がADC4
0でデジタル信号に変換されると、上位3ビットのデジ
タル信号56Aにおいて、2進法で「11」の信号
(「1」の3倍の信号)が現れる。これが加算器42に
入力されて、加算器42の出力のデジタル信号58が
「1」から「100」(「1」の4倍の信号)になる。
これがDAC44で6.26×4=25.04mVのア
ナログ信号50に変換され、引算器34でアナログ入力
信号48からアナログ信号50が引き算される。その結
果、引算器34の出力のアナログ信号52は(30−2
5.04)=4.96mVになる。このように、サイク
ルタイムよりも短い期間にアナログ入力信号が瞬間的に
6.26mVの2倍以上も増加すると、ADC40の出
力の上位3ビットのデジタル信号56Aに「1」を越え
るデジタル信号が現れて、アナログ入力信号48から一
気に6.26mVの複数倍の信号が引き算される。その
結果、1回のサイクルを経過するだけで、引算器34の
出力のアナログ入力信号52は、一気に6.26mVを
下回る。すなわち、ADC40の出力が下位7ビットの
範囲だけになるようなアナログ信号レベルに低下する。
これにより、信頼性に問題のある上位3ビットを使用す
る期間は、1サイクルタイムの間だけとなり、すぐに下
位7ビットだけによるアナログ・デジタル変換に戻るこ
とになる。
【0023】ところで、引算器34の出力のアナログ信
号52が6.26mVの8倍以上になるような大きな変
化がアナログ入力信号48に瞬間的に生じると、増幅器
36の出力信号54が5Vを越えることになり、この場
合は、クリップ回路38の働きによりアナログ信号54
は5Vでクリップされる。このとき、ADC40の出力
の上位3ビットのデジタル信号は最大値の「111」と
なり、これに相当するアナログ信号が加算されたアナロ
グ信号50がアナログ入力信号48から引き算される。
この状態でも、引き算器34の出力信号が依然として
6.26mVを越えていれば、次のサイクルにおいて、
さらに、引き算のためのアナログ信号50が増加するこ
とになる。
号52が6.26mVの8倍以上になるような大きな変
化がアナログ入力信号48に瞬間的に生じると、増幅器
36の出力信号54が5Vを越えることになり、この場
合は、クリップ回路38の働きによりアナログ信号54
は5Vでクリップされる。このとき、ADC40の出力
の上位3ビットのデジタル信号は最大値の「111」と
なり、これに相当するアナログ信号が加算されたアナロ
グ信号50がアナログ入力信号48から引き算される。
この状態でも、引き算器34の出力信号が依然として
6.26mVを越えていれば、次のサイクルにおいて、
さらに、引き算のためのアナログ信号50が増加するこ
とになる。
【0024】図5は、図1の実施形態の変更例であり、
引算器34の手前にバイアス加算器60を挿入したもの
である。図1で使用しているADC40とDAC44
は、アナログ信号が正の範囲だけで動作するユニポーラ
・モードであるので、アナログ入力信号48が正負の範
囲で変動するような場合には、図5に示すようにバイア
ス加算器60を挿入して、アナログ入力信号48に直流
バイアス信号を加算して、その出力62が常に正の範囲
になるようにする。図6はこの状況を図示したグラフで
あり、縦軸がアナログ信号の値、横軸が時間である。ア
ナログ入力信号48が負の値から正の値ヘと変化する場
合でも、バイアス信号64を加算すれば、アナログ信号
62は常に正の範囲で変化する。
引算器34の手前にバイアス加算器60を挿入したもの
である。図1で使用しているADC40とDAC44
は、アナログ信号が正の範囲だけで動作するユニポーラ
・モードであるので、アナログ入力信号48が正負の範
囲で変動するような場合には、図5に示すようにバイア
ス加算器60を挿入して、アナログ入力信号48に直流
バイアス信号を加算して、その出力62が常に正の範囲
になるようにする。図6はこの状況を図示したグラフで
あり、縦軸がアナログ信号の値、横軸が時間である。ア
ナログ入力信号48が負の値から正の値ヘと変化する場
合でも、バイアス信号64を加算すれば、アナログ信号
62は常に正の範囲で変化する。
【0025】なお、図1の実施形態において、ADC4
0とDAC44を含めて構成要素をすべて、正負の範囲
で動作するバイポーラ・モードにしておけば、アナログ
入力信号48が正負の範囲で変化しても、図5のバイア
ス加算器60は不要である。
0とDAC44を含めて構成要素をすべて、正負の範囲
で動作するバイポーラ・モードにしておけば、アナログ
入力信号48が正負の範囲で変化しても、図5のバイア
ス加算器60は不要である。
【0026】図1の実施形態において、増幅器36は本
発明にとって本質的なものではない。アナログ入力信号
48の変換レンジとADC40のフルスケール電圧との
関係を適合させるために増幅器36を挿入しているもの
である。もし、アナログ入力信号48の変換レンジを0
〜320Vとして、ADC40のフルスケール電圧が5
Vならば、増幅器36は不要である。このとき、DAC
44の入力信号の1デジットが、図1の実施形態の場合
の100倍に相当する626mVのアナログ信号50に
変換されるようにする。また、アナログ入力信号48の
変換レンジを0〜3.20Vとして、ADC40のフル
スケール電圧が50mVならば、やはり増幅器36は不
要であり、このとき、DAC44の入力信号の1デジッ
トは6.26mVに変換される。しかしながら、実際問
題として、アナログ入力信号48の変換レンジと、AD
C40のフルスケール電圧は、それぞれ固有の制約から
定まってくる場合が多いので、アナログ・デジタル変換
装置の都合だけでは設定できない。したがって、図1の
実施形態のように、適当なゲインの増幅器36を挿入し
て、アナログ入力信号48のレンジとADC40のフル
スケール電圧との関係を適合させている。
発明にとって本質的なものではない。アナログ入力信号
48の変換レンジとADC40のフルスケール電圧との
関係を適合させるために増幅器36を挿入しているもの
である。もし、アナログ入力信号48の変換レンジを0
〜320Vとして、ADC40のフルスケール電圧が5
Vならば、増幅器36は不要である。このとき、DAC
44の入力信号の1デジットが、図1の実施形態の場合
の100倍に相当する626mVのアナログ信号50に
変換されるようにする。また、アナログ入力信号48の
変換レンジを0〜3.20Vとして、ADC40のフル
スケール電圧が50mVならば、やはり増幅器36は不
要であり、このとき、DAC44の入力信号の1デジッ
トは6.26mVに変換される。しかしながら、実際問
題として、アナログ入力信号48の変換レンジと、AD
C40のフルスケール電圧は、それぞれ固有の制約から
定まってくる場合が多いので、アナログ・デジタル変換
装置の都合だけでは設定できない。したがって、図1の
実施形態のように、適当なゲインの増幅器36を挿入し
て、アナログ入力信号48のレンジとADC40のフル
スケール電圧との関係を適合させている。
【0027】ところで、図1の実施形態のように、AD
C40の出力信号を上位3ビットと下位7ビットとで区
切る(すなわち、ビットの桁数で区切る)ようにする
と、デジタル信号56を区切るのには非常に便利である
が、次のような不便な点もある。すなわち、DAC44
のフルスケール電圧は、上述の例では6.26mV×
(512−1)=3.20Vとなり、標準的な5Vのフ
ルスケールとはならない。これに対応して、アナログ入
力信号48の変換レンジも0〜3.20Vと中途半端な
ものとなる。そこで、図7の実施形態に示すように、A
DC40の出力のデジタル信号56の区切り方を工夫す
れば、DAC44のフルスケール電圧とアナログ入力信
号48の変換レンジを共に5Vにすることができる。
C40の出力信号を上位3ビットと下位7ビットとで区
切る(すなわち、ビットの桁数で区切る)ようにする
と、デジタル信号56を区切るのには非常に便利である
が、次のような不便な点もある。すなわち、DAC44
のフルスケール電圧は、上述の例では6.26mV×
(512−1)=3.20Vとなり、標準的な5Vのフ
ルスケールとはならない。これに対応して、アナログ入
力信号48の変換レンジも0〜3.20Vと中途半端な
ものとなる。そこで、図7の実施形態に示すように、A
DC40の出力のデジタル信号56の区切り方を工夫す
れば、DAC44のフルスケール電圧とアナログ入力信
号48の変換レンジを共に5Vにすることができる。
【0028】図7において、まず、9ビットのDAC4
4のフルスケール電圧を5Vとすると、入力デジタル信
号58の1デジットに相当するアナログ信号50は5V
/(512−1)=9.78mVとなる。この値は増幅
器36で100倍すると978mVに相当し、この値が
ADC40に入力されたときに、加算器42への入力デ
ジタル信号56Aに「1」が現れるようにすればよい。
10ビットで5VフルスケールのADC40は、1デジ
ットが4.89mVのアナログ信号に相当するから、9
78/4.89=200デジットに相当するデジタル信
号56が出力されたときに、デジタル信号56Aに
「1」が現れるようにする。そこで、ADC40の出力
のデジタル信号56を除算器66に入力して、この除算
器66でデジタル信号56を上述の200デジットで割
り算して、その商を上位のデジタル信号56Aとし、余
りを下位のデジタル信号56Bとすればよい。加算器4
2の出力信号58はDAC44に入力されると共に、乗
算器68にも入力される。乗算器68では、デジタル信
号58に上述の200デジット(除算器66の除数に等
しい)を掛け算して、その演算結果をデジタル信号70
として出力する。最終的なデジタル出力信号46を得る
には、除算器66の余りであるデジタル信号56Bと、
乗算器68の出力であるデジタル信号70とを足し算し
て、その演算結果を出力部から出力する。以上の動作以
外の基本的な動作は、図1に示す実施形態と同様であ
る。このようにすると、除算器66と乗算器68が必要
になるが、DAC44のフルスケール電圧とアナログ入
力信号48の変換レンジを共に5Vにすることができ
る。なお、除算器68と乗算器68はハードウェアで実
現してもよいし、ソフトウェアで実現してもよい。
4のフルスケール電圧を5Vとすると、入力デジタル信
号58の1デジットに相当するアナログ信号50は5V
/(512−1)=9.78mVとなる。この値は増幅
器36で100倍すると978mVに相当し、この値が
ADC40に入力されたときに、加算器42への入力デ
ジタル信号56Aに「1」が現れるようにすればよい。
10ビットで5VフルスケールのADC40は、1デジ
ットが4.89mVのアナログ信号に相当するから、9
78/4.89=200デジットに相当するデジタル信
号56が出力されたときに、デジタル信号56Aに
「1」が現れるようにする。そこで、ADC40の出力
のデジタル信号56を除算器66に入力して、この除算
器66でデジタル信号56を上述の200デジットで割
り算して、その商を上位のデジタル信号56Aとし、余
りを下位のデジタル信号56Bとすればよい。加算器4
2の出力信号58はDAC44に入力されると共に、乗
算器68にも入力される。乗算器68では、デジタル信
号58に上述の200デジット(除算器66の除数に等
しい)を掛け算して、その演算結果をデジタル信号70
として出力する。最終的なデジタル出力信号46を得る
には、除算器66の余りであるデジタル信号56Bと、
乗算器68の出力であるデジタル信号70とを足し算し
て、その演算結果を出力部から出力する。以上の動作以
外の基本的な動作は、図1に示す実施形態と同様であ
る。このようにすると、除算器66と乗算器68が必要
になるが、DAC44のフルスケール電圧とアナログ入
力信号48の変換レンジを共に5Vにすることができ
る。なお、除算器68と乗算器68はハードウェアで実
現してもよいし、ソフトウェアで実現してもよい。
【0029】図7の実施形態において、9ビットの代わ
りに10ビットのDAC44を用いれば、このDAC4
4において1デジット=4.89mVとなり、除算器6
6における除数を100デジットにすればよい。
りに10ビットのDAC44を用いれば、このDAC4
4において1デジット=4.89mVとなり、除算器6
6における除数を100デジットにすればよい。
【0030】これまでに説明してきた実施形態では、主
として、10ビットのADCと9ビットのDACとを例
にして説明しているが、ADCとDACのビット数はこ
の値に限定されず、任意のビット数を選択できる。ま
た、ADCとDACのビット数は同じでも違っていても
構わない。
として、10ビットのADCと9ビットのDACとを例
にして説明しているが、ADCとDACのビット数はこ
の値に限定されず、任意のビット数を選択できる。ま
た、ADCとDACのビット数は同じでも違っていても
構わない。
【0031】図1及び図7の実施形態において、DAC
44をPWM(パルス幅変調)型のDACで構成する
と、微分直線性(すなわち単調性)の優れたDACを安
価に実現でき、変換速度を余り問題にしなければ、DA
Cに起因する誤差要因を取り除くことができて、有効で
ある。
44をPWM(パルス幅変調)型のDACで構成する
と、微分直線性(すなわち単調性)の優れたDACを安
価に実現でき、変換速度を余り問題にしなければ、DA
Cに起因する誤差要因を取り除くことができて、有効で
ある。
【0032】ところで、熱分析装置では、試料の温度測
定データ等をアナログ・デジタル変換してからデータ処
理をしているが、そのためのアナログ・デジタル変換装
置として、安価で、20〜22ビット程度の分解能を備
えていて、かつ、100ms程度の変換時間(すなわ
ち、それほど高速性を必要としない。)のシステムが望
まれている。このような仕様に適合するものとして、本
発明のアナログ・デジタル変換装置は有効である。例え
ば、12ビットのADCを用いて、その出力の上位3ビ
ットと下位9ビットのところで区切って加算器にデータ
を出力するようにし、かつ、12ビットのDACを用い
ると、9+12=21ビットの分解能のアナログ・デジ
タル変換装置が得られる。この場合、12ビットのAD
Cは実質的に上位3ビットを使わずに下位9ビットだけ
でアナログ・デジタル変換を実行しており、高精度の変
換が期待できる。
定データ等をアナログ・デジタル変換してからデータ処
理をしているが、そのためのアナログ・デジタル変換装
置として、安価で、20〜22ビット程度の分解能を備
えていて、かつ、100ms程度の変換時間(すなわ
ち、それほど高速性を必要としない。)のシステムが望
まれている。このような仕様に適合するものとして、本
発明のアナログ・デジタル変換装置は有効である。例え
ば、12ビットのADCを用いて、その出力の上位3ビ
ットと下位9ビットのところで区切って加算器にデータ
を出力するようにし、かつ、12ビットのDACを用い
ると、9+12=21ビットの分解能のアナログ・デジ
タル変換装置が得られる。この場合、12ビットのAD
Cは実質的に上位3ビットを使わずに下位9ビットだけ
でアナログ・デジタル変換を実行しており、高精度の変
換が期待できる。
【0033】
【発明の効果】この発明のアナログ・デジタル変換装置
は、低分解能のADCを用いて高分解能のアナログ・デ
ジタル変換を実現するに当たり、ADCの出力のデジタ
ル信号が所定の設定値(フルスケールよりも小さい値)
を越えたときに、これに相当するアナログ信号分をアナ
ログ入力信号から引き算しているので、ADCをフルス
ケールの範囲で使わずに、例えば10ビットのADCを
実質的に下位7ビットの範囲内だけで利用している。こ
れにより、安価な低分解能のADCを利用して、高精度
でかつ高分解能のアナログ・デジタル変換が可能にな
る。
は、低分解能のADCを用いて高分解能のアナログ・デ
ジタル変換を実現するに当たり、ADCの出力のデジタ
ル信号が所定の設定値(フルスケールよりも小さい値)
を越えたときに、これに相当するアナログ信号分をアナ
ログ入力信号から引き算しているので、ADCをフルス
ケールの範囲で使わずに、例えば10ビットのADCを
実質的に下位7ビットの範囲内だけで利用している。こ
れにより、安価な低分解能のADCを利用して、高精度
でかつ高分解能のアナログ・デジタル変換が可能にな
る。
【図1】この発明のアナログ・デジタル変換装置の実施
の一形態を示す回路構成図である。
の一形態を示す回路構成図である。
【図2】ADCの出力と加算器の出力との関係を示した
ものである。
ものである。
【図3】図1のアナログ・デジタル変換装置の各部の信
号の時間的変化を示すグラフである。
号の時間的変化を示すグラフである。
【図4】別のタイプのアナログ入力信号を例にした場合
の各部の信号の時間的変化を示すグラフである。
の各部の信号の時間的変化を示すグラフである。
【図5】図1の実施形態の変更例である。
【図6】図5の変更例におけるアナログ信号のグラフで
ある。
ある。
【図7】この発明の別の実施形態を示す回路構成図であ
る。
る。
【図8】従来のアナログ・デジタル変換装置の一例の回
路構成図である。
路構成図である。
34 引算器 36 増幅器 38 クリップ回路 40 ADC 42 加算器 44 DAC 46 デジタル出力信号 48 アナログ入力信号
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平5−41667(JP,A) 特開 昭59−21125(JP,A) 特開 平5−284030(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) H03M 1/00 - 1/88
Claims (6)
- 【請求項1】 次の構成を備えるアナログ・デジタル変
換装置。 (イ)デジタル信号に変換すべきアナログ入力信号から
デジタル・アナログ変換器の出力信号を引き算する引算
器。 (ロ)前記引算器の出力信号をデジタル信号に変換する
Nビット(Nは4以上の整数)のアナログ・デジタル変
換器。 (ハ)前記アナログ・デジタル変換器の出力信号のうち
の上位のNAビット(NAは2以上の整数)を累積加算
する加算器。 (ニ)前記アナログ・デジタル変換器の出力信号のうち
の下位のNBビット(NB=N−NA)を下位ビットと
し前記加算器の出力信号を上位ビットとするようなデジ
タル出力信号を出力する出力部。 (ホ)前記加算器の出力信号をアナログ信号に変換する
前記デジタル・アナログ変換器。 - 【請求項2】 前記引算器と前記アナログ・デジタル変
換器の間に増幅器を接続したことを特徴とする請求項1
記載のアナログ・デジタル変換装置。 - 【請求項3】 前記アナログ入力信号に直流バイアス信
号を加算してから前記引算器に入力することを特徴とす
る請求項1記載のアナログ・デジタル変換装置。 - 【請求項4】 前記デジタル・アナログ変換器は、PW
M型のデジタル・アナログ変換器であることを特徴とす
る請求項1記載のアナログ・デジタル変換装置。 - 【請求項5】 次の構成を備えるアナログ・デジタル変
換装置。 (イ)デジタル信号に変換すべきアナログ入力信号から
デジタル・アナログ変換器の出力信号を引き算する引算
器。 (ロ)前記引算器の出力信号をデジタル信号に変換する
アナログ・デジタル変換器。 (ハ)前記アナログ・デジタル変換器の出力信号を、フ
ルスケール値よりも小さい所定のデジタル設定値で割り
算して、その商と余りをそれぞれデジタル信号として出
力する除算器。 (ニ)前記除算器の商を累積加算する加算器。 (ホ)前記加算器の出力信号に前記デジタル設定値を掛
け算して、その演算結果をデジタル信号として出力する
乗算器。 (ヘ)前記除算器の余りに相当するデジタル信号と、前
記乗算器の出力のデジタル信号とを足し算して、その演
算結果をデジタル出力信号として出力する出力部。 (ト)前記加算器の出力信号をアナログ信号に変換する
前記デジタル・アナログ変換器。 - 【請求項6】 請求項1〜5のいずれか1項に記載のア
ナログ・デジタル変換装置を組み込んだことを特徴とす
る熱分析装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP23463395A JP2808260B2 (ja) | 1995-08-22 | 1995-08-22 | アナログ・デジタル変換装置及び熱分析装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP23463395A JP2808260B2 (ja) | 1995-08-22 | 1995-08-22 | アナログ・デジタル変換装置及び熱分析装置 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0964739A JPH0964739A (ja) | 1997-03-07 |
JP2808260B2 true JP2808260B2 (ja) | 1998-10-08 |
Family
ID=16974100
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP23463395A Expired - Fee Related JP2808260B2 (ja) | 1995-08-22 | 1995-08-22 | アナログ・デジタル変換装置及び熱分析装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
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Families Citing this family (1)
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---|---|---|---|---|
JP6878897B2 (ja) * | 2017-01-16 | 2021-06-02 | Tdk株式会社 | 計測装置 |
-
1995
- 1995-08-22 JP JP23463395A patent/JP2808260B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH0964739A (ja) | 1997-03-07 |
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Legal Events
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