JP2808226B2 - 水密コンパウンド及び水密電線・ケーブル - Google Patents

水密コンパウンド及び水密電線・ケーブル

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JP2808226B2
JP2808226B2 JP5115077A JP11507793A JP2808226B2 JP 2808226 B2 JP2808226 B2 JP 2808226B2 JP 5115077 A JP5115077 A JP 5115077A JP 11507793 A JP11507793 A JP 11507793A JP 2808226 B2 JP2808226 B2 JP 2808226B2
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  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)
  • Organic Insulating Materials (AREA)
  • Insulated Conductors (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、電力ケーブルの充填材
として用いられる水密コンパウンドに係り、特に、雨水
等の浸入をを防止する水密性を向上し、防蝕効果を向上
することのできる水密コンパウンド及び水密電線・ケー
ブルに関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、電線の絶縁に使用される合成樹
脂は、主としてポリエチレンとポリ塩化ビニル(PV
C)である。ポリエチレンを用いたポリエチレン電線
は、誘電正接が特に低く、低効率および絶縁破壊の強さ
が高く、しかも透水性および吸水性が少ないなどの特徴
を有していることから高周波用電線、高電圧、海底ケー
ブルなどに用いられている。しかし、一般の送配電用電
力ケーブルコストが高く、施工時の端末処理作業がやり
難く、多量に使用するには適さない。
【0003】そこで、一般の電力用ケーブルとしては、
ポリ塩化ビニル電線が用いられている。ポリ塩化ビニル
は、軟質ポリ塩化ビニルが機械的にも、かなり強く、難
燃性で、耐薬品制・電気特性が良く、着色も自由に行
え、機械加工も良いところから主として用いられてい
る。このポリ塩化ビニル電線(PVC電線)は、PVC
樹脂に可塑剤、安定剤、顔料などを混和し、これらを加
熱しながら練り、チューピング式によって電線の周囲に
圧出被覆し、冷却して製造している。
【0004】従来の水密絶縁電線は、図3に示す如く構
成されている。すなわち、水密絶縁電線1は、導体2を
複数本撚り合わせ撚線導体3を構成し、この撚線導体3
と被覆材4との間の隙間に水密コンパウンド5を充填し
て撚線導体3に外部から水が浸入しないような水密導体
とし、この上に絶縁体を被覆して構成されている。した
がって、水密コンパウンドは、疎水性であること、絶縁
体(軟質塩化ビニル)と接着すること、撚線導体の素線
である銅との密着性が大きいことが要求される。そのた
め、従来の水密コンパウンドとしてエチレン/酢酸ビニ
ル共重合体、あるいは、エチレン/エチルアクリレート
共重合体等が用いられている。また、絶縁体は、ポリ塩
化ビニルにジオクチルフタレート、ジイソデシルフタレ
ート等の可塑剤を加えて形成されている。
【0005】従来の水密絶縁電線に充填される水密コン
パウンドは、例えば、特公平1−55521号公報に記
載される如く、エチレン/酢酸ビニル共重合体及び/又
はエチレン/エチルアクリレート共重合体に親水性基を
有する吸水膨潤性高分子を配合したものがある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】このような従来の水密
コンパウンドの基材となるエチレン/酢酸ビニル共重合
体、エチレン/エチルアクリレート共重合体は、金属接
着性を有しているので金属(導体)界面では金属(導
体)と密に接着している。ところが、従来の水密コンパ
ウンドは、基材となるエチレン/酢酸ビニル共重合体、
エチレン/エチルアクリレート共重合体に、親水性基を
有する吸水膨潤性高分子を配合している。この吸水膨潤
性高分子は、エチレン/酢酸ビニル共重合体、エチレン
/エチルアクリレート共重合体とは化学結合する訳でな
く、単に混練されるだけである。このため、従来の水密
コンパウンドにあっては、エチレン/酢酸ビニル共重合
体、エチレン/エチルアクリレート共重合体に混練して
も組成物中に充分に分散する分散効果がないという問題
点を有している。
【0007】また、従来の水密絶縁電線は、基材となる
エチレン/酢酸ビニル共重合体、エチレン/エチルアク
リレート共重合体に、親水性基を有する吸水膨潤性高分
子を混練攪拌した合成樹脂組成物を介在物として押出機
によって撚線導体の上に押出し被覆している。ところ
が、基材となるエチレン/酢酸ビニル共重合体、エチレ
ン/エチルアクリレート共重合体と、吸水膨潤性高分子
とは、流れ速度が異なっている。このため、押し出し被
覆する過程で、基材と吸水膨潤性高分子の2つの物質は
押出機内において分離を起こし、基材と吸水膨潤性高分
子の押出し速度の変化が吸水膨潤性高分子の変肉化を招
来して、介在物全体に均一に分散されないという問題点
を有している。
【0008】本発明は、基材に吸水膨潤性高分子を均一
に分散して雨水等の浸入を防止する水密性を向上し、防
食効果を高めることのできる水密コンパウンド及び水密
電線・ケーブルを提供することを目的としている。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明における水密コンパウンドにおいては、必要
に応じて可塑剤、安定剤、充填剤、防錆剤の配合され
た、エチレン−塩化ビニル共重合体、エチレン−アクリ
レート共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル−マレイン酸
共重合体のいずれか100重量部に、デンプン−ポリア
クリル酸塩系オリゴマーを0.3〜30重量部と、無水
マレイン酸変性エチレンオリゴマー又は無水マレイン酸
変性プロピレンオリゴマーを0.3〜20重量部配合し
たものである。
【0010】また、上記目的を達成するために、本発明
における水密コンパウンドを充填してなる水密電線・ケ
ーブルにおいては、導体と絶縁体との間の充填材とし
て、必要に応じて可塑剤、安定剤、充填剤、防錆剤の配
合された、エチレン−塩化ビニル共重合体、エチレン−
アクリレート共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル−マレ
イン酸共重合体の1又は2以上を混合してなる合成樹脂
塑性物にデンプン−ポリアクリル酸塩ポリマと、無水マ
レイン酸変性エチレンオリゴマー又は無水マレイン酸変
性プロピレンオリゴマーを配合して構成したものであ
る。
【0011】
【作用】必要に応じて可塑剤、安定剤、充填剤、防錆剤
の配合された、エチレン−塩化ビニル共重合体、エチレ
ン−アクリレート共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル−
マレイン酸共重合体の1又は2以上の組成物100重量
部100重量部に、デンプン−ポリアクリル酸塩系オリ
ゴマーを0.3〜30重量部と、無水マレイン酸変性エ
チレンオリゴマー又は無水マレイン酸変性プロピレンオ
リゴマーを0.3〜20重量部配合しているため、吸水
膨潤性高分子に親和性を持たすことができ、基材となる
合成樹脂組成物に均一に分散することができる。
【0012】また、必要に応じて可塑剤、安定剤、充填
剤、防錆剤の配合された、エチレン−塩化ビニル共重合
体、エチレン−アクリレート共重合体、塩化ビニル−酢
酸ビニル−マレイン酸共重合体の1又は2以上を混合し
てなる合成樹脂組成物にデンプン−ポリアクリル酸塩ポ
リマと、無水マレイン酸変性エチレンオリゴマー又は無
水マレイン酸変性プロピレンオリゴマーを配合して構成
した水密コンパウンドを導体と絶縁体との間の充填材と
して介在させているため、基材となる合成樹脂組成物に
吸水膨潤性高分子を均一に分散することができ、雨水等
の浸入を防止する水密性を向上し、防食効果を高めるこ
とができる。
【0013】
【実施例】以下、本発明の実施例について説明する。
【0014】本発明に係る水密コンパウンドは、必要に
応じて可塑剤、安定剤、充填剤、防錆剤の配合された、
エチレン−塩化ビニル共重合体、エチレン−アクリレー
ト共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル−マレイン酸共重
合体の1又は2以上の組成物100重量部100重量部
に、デンプン−ポリアクリル酸塩系オリゴマーを0.3
〜30重量部と、無水マレイン酸変性エチレンオリゴマ
ー又は無水マレイン酸変性プロピレンオリゴマーを0.
3〜20重量部配合して構成される。
【0015】可塑剤は、具体的にはフタル酸エステル、
ポリエステル、トリメリット酸エステル系等である。こ
の可塑剤の配合量の程度は、製品要求硬度に合わせて適
宜選択する。安定剤は、具体的にはCa−Zn系及びケ
イ酸カルシウム系、アルカリ土類金属のケイ酸塩等があ
る。この安定剤の配合量の程度は、熱安定性の要求に合
わせて適宜選択する。充填剤は、具体的には炭酸カルシ
ウム、タルク、クレー等である。本実施例においては炭
酸カルシウム(CaCO3 )である。この充填剤の配合
量の程度は、製造コスト、絶縁特性、形状保持性等の要
求に合わせて適宜選択する。
【0016】防錆剤は、具体的にはベンゾトリアゾール
(C6 4 2 ・NH)である。
【0017】以下、本発明の具体的実施例について従来
例と比較して説明する。 実施例1 本実施例は、エチレン−塩化ビニル共重合体100重量
部に対して、ベンゾトリアゾール2重量部、炭酸カルシ
ウム(具体的には、白石カルシウム株式会社製Vigo
t10)1重量部、デンプン−ポリアクリル酸塩系オリ
ゴマー(具体的には、三洋化成工業株式会社製 サンフ
ィットIM−1000)を10重量部、無水マレイン酸
変性エチレンオリゴマー(具体的には、三洋化成工業株
式会社製 ユーメックス2000)5重量部、無水マレ
イン酸変性プロピレンオリゴマー(具体的には、三洋化
成工業株式会社製 ユーメックス1001)1重量部を
配合したものである。
【0018】実施例2 本実施例は、エチレン−アクリレート共重合体100重
量部に対して、ジオクチルフタレート(DOP)5重量
部、ベンゾトリアゾール0.5重量部、デンプン−ポリ
アクリル酸塩系オリゴマー(具体的には、三洋化成工業
株式会社製 サンフィットIM−1000)を10重量
部、無水マレイン酸変性プロピレンオリゴマー(具体的
には、三洋化成工業株式会社製 ユーメックス100
1)2重量部を配合したものである。
【0019】実施例3 本実施例は、塩化ビニル−酢酸ビニル−マレイン酸共重
合体100重量部に対して、ジオクチルフタレート(D
OP)10重量部、三塩基性硫酸鉛3重量部、ベンゾト
リアゾール3重量部、デンプン−ポリアクリル酸塩系オ
リゴマー(具体的には、三洋化成工業株式会社製 サン
フィットIM−1000)を30重量部、無水マレイン
酸変性エチレンオリゴマー(具体的には、三洋化成工業
株式会社製 ユーメックス2000)20重量部を配合
したものである。
【0020】実施例4 本実施例は、塩化ビニル−酢酸ビニル−マレイン酸共重
合体100重量部に対して、ジオクチルフタレート(D
OP)30重量部、三塩基性硫酸鉛5重量部、ベンゾト
リアゾール3重量部、デンプン−ポリアクリル酸塩系オ
リゴマー(具体的には、三洋化成工業株式会社製 サン
フィットIM−1000)を10重量部、無水マレイン
酸変性プロピレンオリゴマー(具体的には、三洋化成工
業株式会社製 ユーメックス1001)10重量部を配
合したものである。
【0021】実施例5 本実施例は、塩化ビニル−酢酸ビニル−マレイン酸共重
合体100重量部に対して、三塩基性硫酸鉛5重量部、
デンプン−ポリアクリル酸塩系オリゴマー(具体的に
は、三洋化成工業株式会社製 サンフィットIM−10
00)を0.3重量部、無水マレイン酸変性エチレンオ
リゴマー(具体的には、三洋化成工業株式会社製 ユー
メックス2000)0.3重量部を配合したものであ
る。
【0022】実施例6 本実施例は、塩化ビニル−酢酸ビニル−マレイン酸共重
合体100重量部に対して、三塩基性硫酸鉛5重量部、
デンプン−ポリアクリル酸塩系オリゴマー(具体的に
は、三洋化成工業株式会社製 サンフィットIM−10
00)を10重量部、無水マレイン酸変性エチレンオリ
ゴマー(具体的には、三洋化成工業株式会社製 ユーメ
ックス2000)5重量部を配合したものである。
【0023】比較例1 比較例1は、塩化ビニル−酢酸ビニル−マレイン酸共重
合体100重量部に対して、三塩基性硫酸鉛5重量部、
デンプン−ポリアクリル酸塩系オリゴマー(具体的に
は、三洋化成工業株式会社製 サンフィットIM−10
00)を50重量部、無水マレイン酸変性エチレンオリ
ゴマー(具体的には、三洋化成工業株式会社製 ユーメ
ックス2000)5重量部を配合したものである。
【0024】比較例2 比較例2は、塩化ビニル−酢酸ビニル−マレイン酸共重
合体100重量部に対して、三塩基性硫酸鉛5重量部、
デンプン−ポリアクリル酸塩系オリゴマー(具体的に
は、三洋化成工業株式会社製 サンフィットIM−10
00)を40重量部、無水マレイン酸変性エチレンオリ
ゴマー(具体的には、三洋化成工業株式会社製 ユーメ
ックス2000)30重量部を配合したものである。
【0025】従来例1 従来例1は、塩化ビニル−酢酸ビニル−マレイン酸共重
合体100重量部に対して、ポリアクリル酸塩素ポリマ
ー(具体的には、三洋化成工業株式会社製 サンフィッ
トIM−1000)0.5重量部を配合したものであ
る。
【0026】従来例2 従来例2は、塩化ビニル−酢酸ビニル−マレイン酸共重
合体100重量部に対して、ポリアクリル酸塩素ポリマ
ー(具体的には、三洋化成工業株式会社製 サンフィッ
トIM−1000)10重量部を配合したものである。
【0027】従来例3 従来例3は、塩化ビニル−酢酸ビニル−マレイン酸共重
合体100重量部に対し、ジオクチルフタレート(DO
P)20重量部、三塩基性硫酸鉛5重量部、炭酸カルシ
ウム(具体的には、白石カルシウム株式会社製 Vig
ot10)5重量部、ポリアクリル酸塩素ポリマー(具
体的には、三洋化成工業株式会社製 サンフィットIM
−1000)10重量部を配合したものである。
【0028】従来例4 従来例4は、塩化ビニル−酢酸ビニル−マレイン酸共重
合体100重量部に対し、ジオクチルフタレート(DO
P)50重量部、三塩基性硫酸鉛5重量部、ポリアクリ
ル酸塩素ポリマー(具体的には、三洋化成工業株式会社
製 サンフィットIM−1000)20重量部を配合し
たものである。
【0029】従来例5 従来例5は、塩化ビニル−酢酸ビニル−マレイン酸共重
合体100重量部に対し、ジオクチルフタレート(DO
P)70重量部、三塩基性硫酸鉛2重量部、ポリアクリ
ル酸塩素ポリマー(具体的には、三洋化成工業株式会社
製 サンフィットIM−1000)30重量部を配合し
たものである。
【0030】従来例6 従来例6は、塩化ビニル−酢酸ビニル−マレイン酸共重
合体100重量部に対し、三塩基性硫酸鉛2重量部、炭
酸カルシウム(具体的には、白石カルシウム株式会社製
Vigot10)5重量部、ポリアクリル酸塩素ポリ
マー(具体的には、三洋化成工業株式会社製 サンフィ
ットIM−1000)15重量部を配合したものであ
る。
【0031】上記で得られた水密コンパウンドを導体と
被覆物の間の混入させ、得られた水密電線・ケーブルの
それぞれについて、雨水浸入防止性試験と、密着性試験
についてそれぞれ行った。
【0032】雨水浸入防止性試験は、図1に示す如き方
法で行われる。すなわち、水密電線・ケーブル10の端
部から約400mm絶縁体シースを被覆したままにしてお
く。この水密電線・ケーブル10の端部を約200mmを
水槽20内に挿入し、水槽20から絶縁体シース30を
約400mm外部に露出させておく。この状態にセットし
た後、水槽20に0.5気圧の水圧を印加し、24hr放
置しておく。この24hr放置後の水密電線・ケーブル1
0の端部から絶縁体シースへの水の浸入距離を測定し
た。
【0033】また、密着性試験は、図2に示す如き方法
で行われる。すなわち、塩化ビニルシート40と、水密
シート50と、銅板60とを三層に重ね合わせ、この三
層重を170℃に5分間加熱し、この状態で5分間50
kg・f/cm2 押圧して貼り合わせる。しかる後、25mm
巾で100mm/ 分で塩化ビニルシート30と水密シート
40の二層を同時に引き剥がす。この引き剥がし力を測
定したものである。
【0034】その比較結果が表1及び表2に示してあ
る。
【0035】表 1 表 2 表1の実施例3〜実施例6は、雨水浸入距離が10mm〜
30mmと小さな値を示しており、水密電線・ケーブル1
0の端部から絶縁体シースへの水の浸入が小さかったこ
とを示している。
【0036】すなわち、導体と被覆物の間の混入された
水密コンパウンドが十分に作用していることが分かる。
このことは、基材となるエチレン−塩化ビニル共重合
体、エチレン−アクリレート共重合体、塩化ビニル−酢
酸ビニル−マレイン酸共重合体の1又は2以上の組成物
に混練した吸水膨潤性高分子であるデンプン−ポリアク
リル酸塩系オリゴマーが無水マレイン酸変性エチレンオ
リゴマー又は無水マレイン酸変性プロピレンオリゴマー
の作用によって親和性を得て基材内に充分分散している
ことを現している。また、実施例1、実施例2は、雨水
浸入防止性試験の値が実施例3〜実施例6よりも高いと
はいえ、いずれも100mmに達しない小さな値を示して
いる。したがって、実施例1、実施例2においても。導
体と被覆物の間の混入された水密コンパウンドが十分に
作用していることが分かる。これに対し、表1の比較例
1、比較例2は、実施例5、実施例6と同じ組成内容を
有するも、その含有量が異なり、比較例1は、デンプン
−ポリアクリル酸塩ポリマの添加量を実施例6の5倍に
し、無水マレイン酸変性エチレンオリゴマーの添加量を
実施例6の5倍にしたもので、比較例2は、デンプン−
ポリアクリル酸塩ポリマの添加量を実施例6の4倍に
し、無水マレイン酸変性エチレンオリゴマーの添加量を
実施例6の6倍にしたものである。このように実施例6
と組成物の含有量が異なるため、雨水浸入防止性試験で
は比較例1が150mm、比較例2が200mmといずれも
悪い結果となっている。また、表2の従来例1〜従来例
6は、いずれも雨水浸入防止性試験では雨水浸入距離が
100mmを越え、水密パウンドによって雨水浸入防止効
果が上がっていないことを示している。
【0037】また、表1の実施例1〜実施例6は、密着
性試験の結果、密着力が85〜98Nと高い値を示して
いる。このことは、実施例1〜実施例6は、水密コンパ
ウンドが銅板と親和性を有し、水密コンパウンドと銅板
の界面での密着性が高くなっており、雨水が界面に浸入
するのを防止していることを示している。これに対し、
表1の比較例1、比較例2は、実施例5、実施例6と同
じ組成内容を有するも、その含有量が異なり、比較例1
は、デンプン−ポリアクリル酸塩ポリマの添加量を実施
例6の5倍にし、無水マレイン酸変性エチレンオリゴマ
ーの添加量を実施例6の5倍にしたもので、比較例2
は、デンプン−ポリアクリル酸塩ポリマの添加量を実施
例6の4倍にし、無水マレイン酸変性エチレンオリゴマ
ーの添加量を実施例6の6倍にしたものである。このよ
うに実施例6と組成物の含有量が異なるため、密着性試
験の結果、密着力が比較例1が60N、比較例2が70
Nと低い値を示している。すなわち、水密コンパウンド
が銅板との親和性が低く、水密コンパウンドと銅板の界
面での密着性が低くなっており、雨水が界面にやや浸入
し易くなっていることを示している。また、表2の従来
例1〜従来例6の密着性試験の結果は、従来例3、従来
例4の密着力が70N、63Nとやや高いものもある
が、他は、35〜48Nとかなり低く、水密コンパウン
ドと銅板との親和性が著しく低く、水密コンパウンドと
銅板の界面での密着性が著しく低くなっており、雨水が
界面に浸入し易くなっていることを示している。
【0038】したがって、本実施例によれば、必要に応
じて可塑剤、安定剤、充填剤、防錆剤を配合した、エチ
レン−塩化ビニル共重合体、エチレン−アクリレート共
重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル−マレイン酸共重合体
の内2つ以上を混合してなる組成物100重量部に、デ
ンプン−ポリアクリル酸塩ポリマを0.3〜30重量部
混練し、この中に無水マレイン酸変性エチレンオリゴマ
ー又は無水マレイン酸変性プロピレンオリゴマーを0.
3〜20重量部配合することによって、基材に対する吸
水膨潤性高分子の親和性を増加させ雨水浸入防止性、密
着性を向上することができる。
【0039】
【発明の効果】本発明は、以上説明したように構成され
ているので、以下に記載されるような効果を奏する。
【0040】エチレン−塩化ビニル共重合体、エチレン
−アクリレート共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル−マ
レイン酸共重合体の1又は2以上の組成物100重量部
に、デンプン−ポリアクリル酸塩系オリゴマーを0.3
〜30重量部と、無水マレイン酸変性エチレンオリゴマ
ー又は無水マレイン酸変性プロピレンオリゴマーを0.
3〜20重量部配合してあるため、基材に吸水膨潤性高
分子を均一に分散して雨水等の浸入を防止する水密性を
向上し、防食効果を高めることができる。
【0041】導体と絶縁体との間の充填材として、必要
に応じて可塑剤、安定剤、充填剤、防錆剤の配合され
た、エチレン−塩化ビニル共重合体、エチレン−アクリ
レート共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル−マレイン酸
共重合体の1又は2以上を混合してなる合成樹脂塑性物
にデンプン−ポリアクリル酸塩ポリマと無水マレイン酸
変性エチレンオリゴマー又は無水マレイン酸変性プロピ
レンオリゴマーを混練した水密コンパウンドを充填して
あるため、基材に吸水膨潤性高分子を均一に分散して電
線・ケーブル内に雨水等の浸入を防止する水密性を向上
し、電線・ケーブルの防食効果を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る水密コンパウンドの雨水浸入防止
性試験方法を示す図である。
【図2】本発明に係る水密コンパウンドの密着性試験方
法を示す図である。
【図3】従来の水密絶縁電線の断面図である。
【符号の説明】
1………………………………………………………………
水密絶縁電線 2………………………………………………………………
導体 3………………………………………………………………
撚線導体 4………………………………………………………………
被覆材 5………………………………………………………………
水密コンパウンド 10……………………………………………………………
水密電線・ケーブル 20……………………………………………………………
水槽 30……………………………………………………………
絶縁体シース 40……………………………………………………………
塩化ビニルシート 50……………………………………………………………
水密シート 60……………………………………………………………
銅板
フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) H01B 7/28 H01B 3/44 C08L 23/08 C08L 33/00 G02B 6/44

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 必要に応じて可塑剤、安定剤、充填剤、
    防錆剤の配合された、エチレン−塩化ビニル共重合体、
    エチレン−アクリレート共重合体、塩化ビニル−酢酸ビ
    ニル−マレイン酸共重合体の1又は2以上の組成物10
    0重量部に、デンプン−ポリアクリル酸塩系オリゴマー
    を0.3〜30重量部と、無水マレイン酸変性エチレン
    オリゴマー又は無水マレイン酸変性プロピレンオリゴマ
    ーを0.3〜20重量部配合した水密コンパウンド。
  2. 【請求項2】 導体と絶縁体との間の充填材として、必
    要に応じて可塑剤、安定剤、充填剤、防錆剤の配合され
    た、エチレン−塩化ビニル共重合体、エチレン−アクリ
    レート共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル−マレイン酸
    共重合体の1又は2以上を混合してなる合成樹脂塑性物
    にデンプン−ポリアクリル酸塩ポリマと無水マレイン酸
    変性エチレンオリゴマー又は無水マレイン酸変性プロピ
    レンオリゴマーを混練した水密コンパウンドを充填して
    なる水密電線・ケーブル。
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