JP2808200B2 - 半田または錫溶融めっき材のめっき表面平滑化方法 - Google Patents

半田または錫溶融めっき材のめっき表面平滑化方法

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JP2808200B2
JP2808200B2 JP23414591A JP23414591A JP2808200B2 JP 2808200 B2 JP2808200 B2 JP 2808200B2 JP 23414591 A JP23414591 A JP 23414591A JP 23414591 A JP23414591 A JP 23414591A JP 2808200 B2 JP2808200 B2 JP 2808200B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、種々材質の金属線や
帯材等の金属材料の全面あるいは所要部に設けられた半
田または錫めっき表面の平滑化を図る方法に係り、先に
全面あるいは所要部に半田または錫めっきを被着した金
属材料の全面に油を塗布し、これを溶融めっき浴中を通
過させ加熱不活性ガスを噴きつけながらめっき浴から引
き上げることにより、表面が平滑化されてめっき厚みが
均一でかつ濡れ性が良好な半田めっきまたは錫めっきを
得ることができる半田または錫溶融めっき材のめっき表
面平滑化方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来から半田めっき金属線として、コン
デンサ、抵抗等の端子線として用いられている半田めっ
き銅線、半田めっきCP線等が知られている。
【0003】これらの半田めっき金属線は、通常、電気
半田めっき方法または溶融半田めっき方法にて製造され
る。設備費用や生産性等の観点からは溶融半田めっき方
法が良く、しかも電気半田めっき方法による半田めっき
層と比較して若干半田の濡れ性が良いとされるが、金属
線の円周方向における半田めっき厚さが不均一となるた
め、製品の信頼性の観点から製品コストが高くなっても
電気半田めっき方法を採用する場合が多い。
【0004】このような溶融半田めっき方法の欠点を解
消して、本来有する長所を積極的に活用する方法とし
て、金属線を溶融半田めっき浴中を通過させ、被半田め
っき金属線を前記溶融半田めっき浴からほぼ垂直に引き
上げ、0.3〜2.5秒間の自然冷却した後、所定の条
件にて噴霧された噴霧液滴中を通過させて冷却すること
によって、金属線の円周方向における半田めっき厚さを
均一とする方法が提案されている。(特公平1−163
06号)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】上記の溶融半田めっき
方法によって、半田めっき厚さが比較的均一な半田めっ
き金属線を得ることが可能となったが、噴霧冷却条件、
すなわち噴霧液滴が金属線に到達する時の速度や液滴密
度、液滴粒径等を所定範囲で正確に制御する必要があ
り、必ずしも工業的規模の量産において容易に実施可能
な方法とは言い難く、また、この方法だけでは溶融半田
めっき浴表面等に存在するスラッジ(半田の酸化物)の
巻き込みを防ぐことができず、半田めっき表面に凹凸を
形成したり、濡れ性を低下させる等の問題点を有してい
る。また、金属線の表面に一旦形成されてしまっためっ
き表面の凹凸を平滑化する方法は提案されておらず、め
っき厚さの均一度は最初のめっき浴への浸漬引上げ条件
で決定されてしまう。
【0006】金属線に一定間隔で半田めっきを部分的に
設ける方法は、例えば、発明者が先に提案(特開平2−
17621号公報)した、金属線の外周面に一定間隔で
転写ロールに載せた半田ペーストを転写してフュージン
グする方法があるが、これを溶融半田めっき法で行う
と、非めっき部にマスキングを施した金属線をめっき浴
に浸漬するが、垂直に引き上げる際に表面張力によって
めっき部の下方に半田が溜まって表面に凹凸が形成され
てしまい、溶融半田めっき法ではめっき厚さが均一な部
分めっきは困難である。
【0007】この発明は、このような問題点を解消し
て、工業的規模の量産で種々材質の金属線や帯材に対し
て容易に実施可能で、半田または錫めっき厚さが均一で
あり、しかもスラッジの巻き込みが少なく、めっき表面
の凹凸が極めて少なく濡れ性の良い半田または錫めっき
金属材料を提供できる半田または錫溶融めっき材のめっ
き表面平滑化方法の提供を目的とするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】この発明は、全面あるい
は所要部に半田または錫の溶融めっきを設けた金属材料
の全面に溶融半田または錫めっき浴の温度以下で蒸発す
る油を塗布した後、該溶融めっき浴中を通過させてめっ
きを再溶融させ、めっき浴から上方に引き上げ、好まし
くは引き上げに際し、金属材料に加熱不活性ガスを噴き
つけながら、あるいはさらに振動を加えながら引き上げ
てめっき厚みの均一性を改善することを特徴とする半田
または錫溶融めっき材のめっき表面平滑化方法である。
【0009】また、この発明は、上記構成の方法におい
て、金属材料に油を塗布しその後溶融めっき浴中に浸漬
し再溶融させてめっき浴から上方に引き上げる工程を繰
り返すことを特徴とする半田または錫溶融めっき材のめ
っき表面平滑化方法である。
【0010】
【作用】以下、この発明を詳述するにあたり主に半田め
っきについて説明する。なお、錫めっきの場合も後述す
る半田めっきの場合と同様の作用効果を奏する。この発
明は、従来から知られる金属材料を溶融半田めっき浴中
を通過させ、該めっき浴から上方に引き上げたのち、冷
却によって金属材料の周囲に半田をめっきする溶融半田
めっき方法において、工業的規模の量産で種々材質の金
属材料に対して容易に実施可能で、得られた金属材料の
めっき表面の凹凸を平滑化してその厚みを均一化できる
方法を目的に種々検討した結果、先の半田めっきを完了
した後、半田めっき金属材料の外周全面に灯油等の溶融
半田めっき浴の温度以下で蒸発する油を塗布し、再度、
溶融半田めっき浴中を通過させることにより、半田めっ
き厚みの均一性が改善されることを知見し、完成したも
のである。
【0011】詳述すると、金属材料の全面にめっきされ
た半田は、溶融半田めっき浴を通過する際に、蒸発して
ガス状となる油によって保護された状態で再溶融する。
さらに再溶融した半田には前記油により浴中の周囲の半
田が再度溶着することなく、余分な半田のみが金属材料
の引き上げ時に表面張力や重力によりガス化した油膜を
通して溶湯中に戻ると考えられ、従って半田めっき膜の
表面の平滑化を図ることができ偏肉率を小さくできる。
【0012】さらに、溶融半田めっき浴表面等に存在す
るスラッジや、金属材料に溶着した半田が新たに大気に
曝されて酸素と反応して生成するスラッジ等の巻き込み
を防ぐため、溶融半田めっき浴から上方に引き上げる金
属材料に、加熱不活性ガスを噴きつけることにより、上
記のスラッジを浴湯中に押し流し、金属材料に溶着した
半田へのスラッジ巻き込みを防止できることを知見し、
半田めっき厚さが均一であり、しかもスラッジの巻き込
みが少なく、めっき表面の凹凸が少なく極めて濡れ性の
良い半田めっきが得られる。
【0013】また、材料表面の所要部にストライプ状、
アイランド状に半田めっきされた金属材料の場合、上述
の如く材料の引き上げ方向に非連続な半田めっきは浴中
で再溶融する。また、金属材料の全面に塗布した油が半
田めっき浴中でガス状となって材料表面を保護すること
から、半田めっきの非被着部に浴中の周囲の半田が溶着
することがない。さらに再溶融した半田のうち余分な半
田が少量である場合は、金属材料の引き上げ時に表面張
力や重力では被着部の余分な半田が溶湯中へ移動するこ
とが困難であるため、引き上げ時に金属材料に加熱不活
性ガスを噴きつけ、あるいはさらに振動させることによ
り、半田めっき膜の表面の平滑化を図ることができ偏肉
率を小さくできる。なお、材料の引き上げ方向に連続な
ストライプ状の場合は、半田めっきの非被着部に半田が
溶着されない以外は、前述の全面めっきと同様である。
【0014】半田めっき金属材料の表面に塗布する油
は、粘度が小さく蒸発しても残渣が残らない灯油等の油
が好ましい。油を塗布せずに単に半田めっき金属材料を
溶融半田めっき浴中に通過させると、芯線の温度はめっ
き浴の温度より低いため、溶融半田が溶着し、金属材料
表面に2層状に半田めっきされる。従って、再度のめっ
き浴中の浸漬時間は、油の蒸発が終了する間に、1回目
にめっきされた半田が再溶融するように設定する必要が
ある。金属材料の表面への油塗布方法は、表面に油が所
要量均一に塗布されればいかなる手段でもよく、油を含
ませたフェルト内を通過させるか、油浴に浸漬したのち
にフェルト内を通過させて均一化する方法が採用でき
る。
【0015】この発明によるめっき表面平滑化方法を施
す前の半田めっき方法は、公知の何れの方法であっても
よいが、材料全面への溶融半田めっき方法の場合は、金
属線の外周全面にフラックスを塗布した後、前記金属線
を半田溶融めっき浴中を通過させて該めっき浴から上方
に引き上げるに際し、めっき金属線に加熱不活性ガスを
噴きつけながら引き上げ、その後冷却して半田溶融めっ
きを施す方法が好ましい。すなわち、金属材料をめっき
浴に浸漬する前に、材料の外周全面にフラックスを塗布
することにより、フラックスによって材料の表面が非常
に活性化し、材料の周囲に存在する溶融半田が極めて効
率良く材料に溶着するため、濡れ性がよい半田めっきが
容易に得られる。
【0016】金属材料の外周全面に塗布する上記フラッ
クスは、半田組成、めっき浴温度等、種々の条件に応じ
て公知のフラックスの中から選定することが望ましい
が、特に塩化亜鉛と塩化アンモニウム等の水溶性フラッ
クスが好ましい。金属材料にフラックスを塗布する方法
としては、金属材料をめっき浴に浸漬させる前に金属材
料の外周全面に塗布できれば、いかなる手段をも採用で
きるが、特に、フラックスを浸したフェルト等の布中を
金属材料が通過する構成となし線材全面にフラックスを
塗布する方法は、簡単な手段で効率よくフラックスを塗
布でき、工業的量産等に最適である。
【0017】溶融半田めっき浴中を通過する金属材料
は、その表面温度が溶融半田温度と同等温度まで昇温さ
れていることが必要で、表面温度が溶融半田温度より低
いと金属材料の表面がフラックスによって活性化せず、
有効な濡れ性が得られない。従って、所要の金属材料の
表面温度を得るためには、めっき浴の温度とともに後述
する金属材料の引き上げ速度等とも関連する金属材料の
浸漬時間等を考慮し、フラックス塗布前にある程度昇温
しておくか、めっき浴に十分浸漬するなどの手段を適宜
選定することが望ましい。事前に金属材料を昇温するに
は、環状炉を用いたり、光加熱、ガス加熱、通電加熱、
電磁誘導加熱などの各種加熱方法などが適宜選定でき、
ステンレス鋼線の場合は特にフラックス塗布前に昇温す
ることが望ましい。
【0018】また、この発明によるめっき表面平滑化方
法を施す前の部分半田めっき方法としては公知のめっき
方法ほか、発明者が先に提案(特開平2−17621号
公報)した、金属線の外周面に一定間隔で転写ロールに
載せた半田ペーストを転写してフュージングする方法
や、マスク材を用いた印刷手法によるものを採用するこ
とができる。例えば、マスク材を用いた印刷手法により
アイランド状に部分半田めっきを設ける場合、初期めっ
きで表面に凹凸が残存しても、続いてこの発明によるめ
っき表面平滑化方法の油塗布・めっき浴浸漬・引き上げ
工程を繰り返して施すことにより、簡単に1〜15μm
厚み範囲で任意の厚みに均一なめっきを設けることがで
きる。
【0019】この発明において、対象とする金属材料
は、鉄、銅、ステンレス、Fe−Ni合金、Fe−Cu
合金、コバール、銅合金などから用途や必要とする特性
などに応じて適宜選択でき、形状も線材、棒材、板材な
どを適宜選択できる。
【0020】この発明において、溶融半田めっき浴の組
成は、公知のいずれの半田組成のものでも採用できる。
また、めっき浴温度は、当然半田の融点以上であるが、
SnとPbとの組成比に応じて、最適温度を選定するこ
とが望ましい。また、溶融半田めっき浴槽としては、公
知のいずれのめっき浴槽をも採用できるが、特に良好な
る半田膜を形成するためには、金属材料が定温度で常に
新鮮な溶融半田内を通過できる噴流式半田めっき浴槽を
用いることが好ましい。
【0021】この発明において、めっき浴からの金属材
料の引き上げ方法は、金属材料をめっき浴表面より上方
に引き上げるが、半田の被着偏りがなく、均一な厚みの
めっき膜が得られるように、垂直から30°以内の傾斜
で引き上げる必要があり、さらに加熱不活性ガスを噴き
つけ効果を十分に得るために好ましくは垂直から10°
以内の傾斜範囲内で引き上げる必要があり、最も好まし
くは垂直方向に引き上げることが必要である。また、金
属材料の引き上げ速度は、1m/分〜50m/分が好ま
しい。引き上げ速度が1m/分未満では、生産能率が非
常に悪く、また、50m/分を超える引き上げ速度で
は、一般的な大きさの浴槽では先のめっき温度が溶融半
田温度程度まで昇温することなく引き上げられ、表面が
平滑化された半田めっき膜が得られない。
【0022】この発明において、めっき浴からほぼ垂直
方向に引き上げられるめっき金属材料に加熱不活性ガス
を噴きつけることが好ましく、不活性ガスとしてはN2
ガスまたはArガスなどを使用することができ、いずれ
も濃度は5vol%以上とすることが望ましい。この加
熱不活性ガスによって、半田が溶着・凝固しつつある金
属材料表面周辺の酸素を除去し、半田表面の酸化を防ぐ
ことができ、例えば金属材料のほぼ垂直方向の引き上げ
直後から所要高さまでの金属材料表面周辺雰囲気を不活
性ガス雰囲気とするのもよい。
【0023】加熱不活性ガスの噴きつけに際し、溶融半
田めっき浴表面等に存在するスラッジや、金属材料に溶
着した半田が大気中の酸素と反応してできるスラッジ等
の巻き込みを防ぐためには、ガスノズルをできるだけ金
属材料に近づけて金属材料表面に平行に引き上げ方向と
は逆方向に吹きつけることが望ましい。また、ガスノズ
ルの吹き出し口を溶融めっき浴表面近くに配置すること
により、半田表面の酸化防止、スラッジ等の巻き込み防
止効果が著しく、ガスノズルも単に管口を金属材料に近
づけて下向きに配置するほか、金属材料の外周面に均一
に噴きつけるよう金属材料の外周面に近接させたリング
状のものなどを適宜採用できる。
【0024】加熱不活性ガスの温度は、40°Cから半
田融点が好ましく、特に半田の融点より30°Cほど低
い温度が好ましい。不活性ガスの加熱方法は、実施例に
示す如くガス配管をめっき浴中に引き回して所要温度に
昇温させるほか、別途加熱装置、熱交換器等にて昇温さ
せるなどの手段を採用できる。また、加熱不活性ガスの
噴き出し量は、3〜50l/分が望ましい。
【0025】この発明において、めっき表面平滑化後の
金属材料の冷却は、大気中にて自然に冷却しても良い
が、必要に応じて不活性ガス中にて冷却しても良い。
【0026】この発明によるめっき表面平滑化方法は、
実施例に示す如く、金属材料の外周に溶着する半田めっ
きの厚さを従来になく薄く均一化でき、かつ安定して製
造することができるが、偏肉率が劣るものが僅かに不良
品として発生する場合、金属材料を溶融半田めっき浴か
ら上方に引き上げる際に、該金属材料に直交方向の振
動、すなわち垂直方向の引上げ時に水平方向の振動を与
えることが望ましく、該横振動を与えることによって、
余分な半田を落とし、偏肉のない均一なめっきが可能と
なり、上記の不良品発生率を0とすることができる。振
動数は、通常50Hz〜1000Hz程度の範囲で設定
することが望ましく、さらに望ましくは80Hz〜30
0Hz程度である。
【0027】
【実施例】半田溶融めっき方法を実施するためのめっき
装置は図1の左側(下側)に示すように、図示しない巻
戻し装置から送り出される金属材料1を、めっき浴槽2
周縁に配置するロール3とめっき浴4中に配置するシン
カーロール5間を通して溶融半田めっき浴4に浸漬した
後、シンカーロール5とその上方の浴外に配置されるタ
ーンロール6間をめっき浴に対して垂直方向に引き上
げ、ターンロール6で所要方向に転向して巻取り機にて
巻き取られるか、ルーパーに溜められて後述するこの発
明のめっき表面平滑化方法を実施するための図1の右側
(上側)に示す表面平滑化装置へ送られる。また金属材
料1はめっき浴4に浸漬される前に水溶性フラックスで
湿したフェルト7中を通過させてフラックスが塗布され
る。めっき浴4中を引き回して所要位置で立ち上がる不
活性ガス配管8は、金属材料1に平行にかつ管口が下向
きに配置されたガスノズル9,9を有し、同部より所定
の温度に加熱された加熱不活性ガスが引き上げられる金
属材料1に平行にめっき浴4方向に噴射する構成からな
る。
【0028】また、この発明によるめっき表面平滑化方
法を実施するための表面平滑化装置は、前記ルーパーか
ら送り出される表面に半田を溶着した金属材料1を、め
っき浴槽11の周縁に配置するロール12とめっき浴1
3中に配置するシンカーロール14間を通して溶融半田
めっき浴13に浸漬した後、シンカーロール14とその
上方の浴外に配置されるターンロール16間をめっき浴
に対して垂直方向に引き上げ、ターンロール16で所要
方向に転向して巻取り機17にて巻き取られる。また金
属材料1はめっき浴13に浸漬される前に灯油で湿した
フェルト10中を通過させて所要量の灯油が塗布され
る。めっき浴13中を引き回して所要位置で立ち上がる
不活性ガス配管18は、金属材料1に平行にかつ管口が
下向きに配置されたガスノズル19,19を有し、同部
より所定の温度に加熱された加熱不活性ガスが引き上げ
られる金属材料1に平行にめっき浴13方向に噴射する
構成からなる。また、めっき浴13に対して垂直方向に
引き上げられた金属材料1は、水平方向の振動が与えら
れるようにバイブレーター15がターン ロール16の
下方に配置してある。
【0029】実施例1 上述のめっき装置を用い、42Ni−Fe合金線にフラ
ックスを塗布することなく、組成63Sn−Pbの27
0°Cの溶融半田めっき浴に浸漬して10m/分の速度
で引き上げる条件で溶融めっきを実施した。その結果、
42Ni−Fe合金線に厚み最小1μm、最大100μ
m、平均めっき厚さ20μmで偏肉率が85%の半田め
っきを設けた。次に、この発明による表面平滑化装置に
て、上記はんだめっき線に灯油(商品名 出光#10)
を塗布したのち、組成63Sn−Pbの280°Cの溶
融半田めっき浴に浸漬して30m/分の速度で引き上げ
る条件、すなわち浸漬時間0.5秒の条件で半田表面の
平滑化を実施した。その結果、42Ni−Fe合金線に
設けた半田めっきが、最小2μm、最大15μm、平均
めっき厚さ8μmで偏肉率が95%に平滑化されてい
る。
【0030】実施例2 上述のめっき装置を用い、42Ni−Fe合金線に塩化
亜鉛と塩化アンモニウムからなる水溶性フラックスを塗
布したのち、組成63Sn−Pbの270°Cの溶融半
田めっき浴に浸漬して10m/分の速度で引き上げる
際、ガスノズル先端位置をめっき浴表面から5mmに設
定し、120°Cの純N2ガスをガス量5l/分で噴射
する条件で溶融めっきを実施した。その結果、42Ni
−Fe合金線に最小1μm、最大50μm、平均めっき
厚さ15μmで偏肉率が90%の半田めっきを設けた。
次に、この発明による表面平滑化装置にて、実施例1と
同条件で引き上げる際、ガスノズル先端位置をめっき浴
表面から5mmに設定し、120°Cの純N2ガスをガ
ス量5l/分で噴射する条件で、半田表面の平滑化を実
施した。その結果、42Ni−Fe合金線に設けた部分
半田めっきが、最小2μm、最大15μm、平均めっき
厚さ5μmで偏肉率が98%に平滑化された。
【0031】実施例3 実施例2において、表面平滑化装置の振動数100Hz
のバイブレーターを作動させて半田表面の平滑化を実施
したところ、上記の95%以下のの偏肉率の不良品発生
率が無使用時の0.5%から0%となり、全品が従来に
ない低偏肉率の半田めっきが被着されていた。
【0032】実施例4 直径0.6mmの42Ni−Fe合金線に所要ピッチで
転写ロールに載せた半田ペーストを転写してフェージン
グすることにより10mm長さのはんだ被着部を設け
た。その結果、図2のAに示す如く、42Ni−Fe合
金線に厚み最小1μm、最大150μm、平均めっき厚
さ25μmの部分半田めっきを設けた。次に、この発明
による表面平滑化装置にて、上記はんだめっき線に灯油
(商品名 出光#10)を塗布したのち、組成63Sn
−Pbの280°Cの溶融半田めっき浴に浸漬して30
m/分の速度、すなわち浸漬時間0.5秒の条件で引き
上げ、その際にガスノズル先端位置をめっき浴表面から
5mmに設定し、120°Cの純N2ガスをガス量5l
/分で噴射する条件で半田めっき表面の平滑化を実施し
た。その結果、図2のBに示す如く、42Ni−Fe合
金線に設けた部分半田めっきが、最小2μm、最大15
μm、平均めっき厚さ5μmで偏肉率が98%に平滑化
された。
【0033】実施例5 上述のめっき装置を用い、リン青銅(組成6Sn−0.
03P−Cu)帯材、ベリリウム銅(組成1.9Be−
Cu)帯材にフラックスとして塩化亜鉛+塩化アンモニ
ウムを塗布し、組成63Sn−Pbの270°Cの溶融
半田めっき浴に浸漬して10m/分の速度で引き上げる
条件で溶融めっきを実施した。その結果、各帯材に厚み
最小3μm、最大200μmの半田めっきを設けた。次
に、この発明による表面平滑化装置にて、上記半田めっ
き帯材に灯油(商品名 出光#10)を塗布したのち、
組成63Sn−Pbの280°Cの溶融半田めっき浴に
浸漬して、引き上げ速度30m/分、浸漬時間0.5
秒、バイブレーターの振動数100Hz、ガスノズル先
端位置をめっき浴表面から5mmに設定し、120°C
の純N2ガスをガス量5l/分で噴射する条件で半田め
っき表面の平滑化を実施した。その結果、各帯材に設け
た半田めっきは、最小2μm、最大10μm厚さに平滑
化された。
【0034】実施例6 36Ni−Fe合金帯材の所要位置に転写ロールに載せ
た所要幅の半田ペーストを転写してフェージングするこ
とにより長手方向にストライプ状に半田被着部を設け
た。その結果、帯材に厚み最小3μm、最大200μm
のストライプ状錫めっきを設けた。次に、この発明によ
る表面平滑化装置にて、上記錫めっき帯材に灯油(商品
名出光#10)を塗布したのち、組成100%Snの2
70°Cの溶融錫めっき浴に浸漬して、引き上げ速度3
0m/分、浸漬時間0.5秒、バイブレーターの振動数
100Hz、ガスノズル先端位置をめっき浴表面から5
mmに設定し、120°Cの純N2ガスをガス量5l/
分で噴射する条件で錫めっき表面の平滑化を実施した。
その結果、帯材に設けた錫めっきは、最小2μm、最大
7μm厚さに平滑化された。
【0035】実施例7 上述のめっき装置を用い、SUS304のステンレス鋼
帯に転写ロールに載せた半田ペースト(63Sn−P
b)を長手方向にアイランド状に転写した後、フュージ
ングして固着して各帯材に厚み最小3μm、最大200
μmの半田めっきを設けた。次に、この発明による表面
平滑化装置にて、上記半田めっき帯材に灯油(商品名
出光#10)を塗布したのち、組成63Sn−Pbの2
80°Cの溶融半田めっき浴に浸漬して、引き上げ速度
30m/分、浸漬時間0.5秒、バイブレーターの振動
数100Hz、ガスノズル先端位置をめっき浴表面から
5mmに設定し、120°Cの純N2ガスをガス量5l
/分で噴射する条件で行う半田めっき表面の平滑化を2
回連続してこの発明を実施した。その結果、各帯材に設
けた半田めっきは、最小2μm、最大7μm厚さに平滑
化された。
【0036】
【発明の効果】この発明は、所要の半田めっきを完了し
た金属材料の外周全面に灯油等の溶融半田めっき浴の温
度以下で蒸発する油を塗布し、再度、溶融半田めっき浴
中を通過させ、引上げ時に金属材料に加熱不活性ガスを
噴きつけたり、あるいはさらに金属材料を振動させるこ
とにより、塗布した油が半田めっき浴中でガス状となっ
て材料表面を保護して新たな半田を付着させることな
く、引き上げ時に表面張力や重力により被着部の余分な
半田を溶湯中へ移動させ、半田めっき膜の表面の平滑化
を図ることができ偏肉率を小さくできる。
【0037】さらに、この発明にて得られる被めっき金
属材料の用途として、従来からある半田めっき線や半田
めっきCP線の用途だけでなく、EL(エリンバー)、
形状記憶合金等、あらゆる用途や機能性を持つ金属材料
に半田または錫めっきを施すことができ、かつめっき表
面が極めて均一に平滑化され、細い中空パイプのシー
ル、回路構成部品等に活用でき、電子部品用材料として
その用途を拡大できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】めっき装置とこの発明による半田表面の平滑化
方法を実施するための表面平滑化装置の構成を示す説明
図である。
【図2】半田表面の状態を示す説明図である。Aは平滑
化方法の実施前、Bは平滑化方法の実施後を示す。
【符号の説明】
1 金属材料 2,11 めっき浴槽 3,12 ロール 4,13 めっき浴 5,14 シンカーロール 6,16 ターンロール 7,10 フェルト 8,18 不活性ガス配管 9,19 ガスノズル 15 バイブレーター 17 巻取り機

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 全面あるいは所要部に半田または錫の溶
    融めっきを設けた金属材料の全面に溶融半田または錫め
    っき浴の温度以下で蒸発する油を塗布した後、該溶融め
    っき浴中を通過させてめっきを再溶融させ、めっき浴か
    ら上方に引き上げてめっき厚みの均一性を改善すること
    を特徴とする半田または錫溶融めっき材のめっき表面平
    滑化方法。
  2. 【請求項2】 めっき浴からの引き上げに際し、金属材
    料に加熱不活性ガスを噴きつけながら引き上げることを
    特徴とする請求項1記載の半田または錫溶融めっき材の
    めっき表面平滑化方法。
  3. 【請求項3】 めっき浴からの引き上げに際し、金属材
    料に振動を加えながら引き上げることを特徴とする請求
    項2記載の半田または錫溶融めっき材のめっき表面平滑
    化方法。
  4. 【請求項4】 油を塗布しその後溶融めっき浴中に浸漬
    し再溶融させてめっき浴から上方に引き上げる工程を繰
    り返すことを特徴とする請求項2または請求項3記載の
    半田または錫溶融めっき材のめっき表面平滑化方法。
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