JP2808111B2 - 精密研磨用砥石及び精密研磨方法 - Google Patents

精密研磨用砥石及び精密研磨方法

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JP2808111B2 JP62325395A JP32539587A JP2808111B2 JP 2808111 B2 JP2808111 B2 JP 2808111B2 JP 62325395 A JP62325395 A JP 62325395A JP 32539587 A JP32539587 A JP 32539587A JP 2808111 B2 JP2808111 B2 JP 2808111B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〈産業上の利用分野〉 この発明は硬脆材、金属材、合成樹脂材などの被研磨
材を精密研磨仕上げする精密研磨用砥石及び精密研磨方
法に関するものである。 〈従来の技術〉 被研磨材を研磨する方法としては、ラッピング砥石に
よる研磨方式、研磨布紙加工やホーニング加工等の結合
砥粒方式、バフやラップを使用した散布砥粒方式、粘弾
性流動研磨やブラスト加工による遊離砥粒方式などが知
られている。 そして、上記した各研磨方法のうち、ラッピング砥石
による研磨方法は回転する砥石に被研磨材を押圧して研
磨するので、ラップ圧力やラップ速度を大きくとれるた
め、高能率な研磨方法として広範に利用されている。 また、本発明者等は、先に砥粒と液体とからなって液
体の表面張力若くは粘着力により砥粒を保持する組成物
を圧縮成型した砥石を用いて精密研磨する方法を特開昭
62−107965号公報で提案した。 さらに、ラッピング砥石の目詰りを防止するため、例
えば特開昭58−223565号公報には砥石を多孔質にするこ
とが記載されているし、例えば特開昭61−8276号公報に
は連続気泡を有する無機質体の各孔内に砥粒を固着した
砥石が記載されている。 〈発明が解決しようとする問題点〉 しかし、上記した研磨方法で使用する砥石は、実質的
に結合剤を含有しないので脆く、加工能率や加工精度は
良好であるが、減耗速度が大きく、寿命が短いという欠
点があった。 また、前記した遊離砥粒方式は、研磨後の仕上がり面
に優れた形状精度を与えるが、加工能率が低い。 一般的に、研磨作業においては加工能率と加工圧との
間に一定の総合関係が有って加工圧を上げれば能率が向
上するが、遊離砥粒の場合には通常加工圧が数100g/cm2
程度になると飽和し、これ以上の加工圧にしても能率が
向上しない。 一方、固形砥石を使用して精密研磨する場合、数100g
/cm2以上の高圧を作用しても飽和しないから、高い加工
能率が可能になる。 しかし、従来の固定砥粒方式、すなわち固形砥粒を使
用する研磨作業では、研磨作業の進行とともに砥石の表
面が研磨屑による目詰りが生じるし、砥粒の刃先の摩耗
による目潰れが生じるが、この目詰りや目潰れは加工能
率を低下させるので上記した表面形状の修正と同様に研
磨作業を中断して工具により砥石の表面を削り取るいわ
ゆるドレッシング作業をしなければならないので、研磨
作業を連続的に実施するのが困難であった。 更に、前記した特許公開公報に記載されているよう
に、砥石をポーラスにしたり表面に浅い溝を形成する
と、目詰りを生じるまでの時間は延長されるが、砥石の
孔が詰った時点では研磨能力が低下するし、しかも砥石
の表面の被研磨材が接触する砥粒、すなわち研磨に作用
する砥粒の数が減少することになって研磨能率が低下す
る。 また、研磨能率を高めるために加工圧を上げると、砥
石表面の砥粒数が少ないので、1個の砥粒に作用する荷
重が過大となり、数Kg/cm2程度の加工圧で被研磨材に傷
を発生させることがあり、精密研磨の目的を達成できな
い恐れがあるばかりでなく、砥石の表面の形状精度に狂
いが生じるので定期的にドレッシング作業をしなければ
ならない。 したがって、精密研磨に好適な固形砥石は、作業能率
を十分に発揮し得る加工圧、すなわち数100g/cm2から数
Kg/cm2の範囲で使用しても被研磨材に傷を与えることが
なく、また目詰りや目潰れを生じることなく連続的に研
磨作業ができるものでなければならない。 〈問題点を解決するための手段〉 本発明は上記に鑑み提案されたもので、砥粒を有機系
ボンド剤で結合し、成形してなる精密研磨用砥石におい
て、上記ボンド剤の量が砥石中に3〜10重量%の範囲に
あり、かつ砥粒の量(砥粒率)が砥石の40体積%以上を
占めることを特徴とする精密研磨用砥石を提供するもの
である。 また、本発明は上記構成の砥石と被研磨材との相対的
な摺動速度が200m/min以下であるとき、研磨に伴う砥石
の減耗速度が3μm/min以上であることを特徴とする精
密研磨方法をも提供するものである。 本発明の砥粒間の結合力を弱められた砥石は、研磨作
業において砥石と被研磨材とが摺動するのに伴なって砥
石の表面の砥粒が剥離したり離脱、脱落する減耗を生じ
るのであるが、この減耗量が大きく、3μm/min以上で
あると砥石に研磨作業における表面の自己更新機能、す
なわちセルフドレッシングの機能が付与されて、研磨の
連続作業が可能になるのである。 この砥石の自己更新機能は、摺動する砥石と被研磨材
との相対的な速度に影響を受けるところがあり、速度が
速くなると装置の振動など運動精度が低下して修正され
た形状に狂いを生じることになるので、本発明の実施は
相対的な摺動速度が200m/min以下の研磨作業に適応す
る。 本発明の砥石に使用するボンド剤としては、石油樹
脂、バレイショデンプン,コーンスターチ等のデンプン
類、アルギン酸ソーダ,ガラクタン,寒天,アラビアゴ
ム等の植物性粘質物類、にかわ,ゼラチン,カゼイン等
のタンパク質類等の天然高分子や、メチルセルロース,
エチルセルロース,ヒドロキシエチルセルロース,カル
ボキシルキメチルセルロース等のセルロース類、可溶性
デンプン,デキストリン等のデンプン系の半合成物類、
ポリビニルアルコール,アクリル酸ソーダ,ポリエチレ
ンオキシド等の合成物類、酢酸ビニルエマルジョン,ワ
ックスエマルジョン,アクリル系エマルジョン等の樹脂
エマルジョン等の熱可塑性の粉末樹脂などであって、使
用目的により一種又は二種以上を混合して使用すること
ができる。 砥石のセルフドレッシングの機能は、砥石を構成する
ボンド剤が砥石中に含有する割合によって影響される
が、本発明の砥石においては通常の砥石におけるボンド
剤の含有率よりも十分に小さくて、3〜10重量%の範囲
が望ましい。そして、ボンド剤が砥石中に3重量%以下
となると、成型された砥石は物理的強度に乏しくて軟弱
となり、大きな加工圧を作用させたり高速で回転させる
と崩壊したり破砕する危険が有り、この危険は砥石を構
成する砥粒として微少な粒径のものを使用するか、若く
は砥粒率、すなわち砥石中における砥粒の充填密度を高
めることにより回避することができる。また、砥石中に
ボンド剤が10重量%以上含有すると、結合度が高すぎて
一般砥石と同様に砥粒がなかなか脱落しなくて目詰りや
目潰れを生じやすい。 また、砥粒の量(砥粒率)は高いほど曲げ強度が高く
なるが、前記のように砥石の40体積%以上とする。 本発明の砥石を構成する砥粒としては、例えばダイヤ
モンド、コランダム、エメリ、ザクロ石、珪石、トリボ
リ、焼成ドロマイト、熔融アルミナ、人造エメリ、炭化
ケイ素、炭化ホウ素、酸化鉄、焼成アルミナ、酸化クロ
ム、酸化セリウム、酸化ジルコニウム、酸化珪素、酸化
カルシウム、酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸
マグネシウム等一般の砥石に使用されている砥粒をすべ
て利用することができる。また、通常の精密研磨に使用
されている砥粒の粒径はおよそ30μm以下のものである
が、本発明での砥石の砥粒も上記した粒径のものでよ
く、十分に物理的強度を期待することができる。 〈実施例〉 以下に本発明の実施例を説明する。 実施例(1) SiC−#3000の砥粒とアクリル樹脂のボンド剤とから
構成され、減耗量ならびに砥粒とボンド剤との割合が相
違する結合度の低い9種類の砥石を用いて、3Kg/cm2
加工圧で50分間軟鋼表面の平面研磨作業をした。各砥石
の減耗量とボンド剤の割合は表1に示す通りである。
尚、砥粒の量(砥粒率)は40体積%以上になるように圧
縮成形した。 研磨作業を終了した後、被研磨材の研磨減量を測定
し、また研磨面の傷の発生状態を観察したら、表2のよ
うな結果であった。 砥粒の減耗量が3μm/min未満であったNo8,No9の砥石
は、著しく研磨量が小さくて研磨作業の過程で砥石の目
詰りや目潰れが進行していると認められたが、減耗量が
3μm/min以上のNo1からNo7までの各砥石の場合は、研
磨量が大きくてセルフドレッシング作用が有り、研磨機
能が維持されていたと認めることができる。 また、研磨傷はどの砥石にもほとんど認められなかっ
た。 実施例(2) SiC−#3000の砥粒95%とアクリルスチレンのボンド
剤5%とから構成される砥石を造粒方法及び加工圧を変
えることにより砥粒の充填密度を変化させた時の物理的
強度を表3に示す。 表3に示すように、同一量のボンドであれば充填密度
が高いほど曲げ強度及び砥粒率が高くなる。 実施例(3) Al2O−#1000の砥粒95%とPVA(低重合度ポリビニー
ルアルコール)5%とからなる砥石を回転テーブルにセ
ットし、シリコーンブロックを加工圧5Kg/cm2で押し付
け、相対的な摺動の速度70m/minで研磨した。この研磨
条件における砥石の減耗量は7.1μm/minであった。 研磨の結果は下記の表4の通りであった。 上記した表4で明らかなように、本発明の砥石は高い
加工量が得られ、表面状態も良好であった。 そして、比較の対象として同じ回転テーブルに市販の
PVA砥石を置き、本発明の砥石と同一条件でシリコーン
ブロックを研磨したら,研磨量が比較的大きかったが表
面に多数の傷が生じた。また、ウレタン樹脂製のパッド
を回転テーブルに貼り付け、Al2O3−#1000の砥粒を水
に10重量%の濃度で懸濁したスラリー200ml/minの流速
でパッドに流し掛けながら研磨したが、その結果は研磨
量も低く、かなりの傷を生じた。なお、上記した研磨作
業での加工圧は1Kg/cm2であるが、これ以上の圧力を作
用させるとパッドが損傷するので作用できなかった。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 佐藤 三倉 神奈川県藤沢市遠藤912 湘南ライフタ ウン羽根沢団地18―104 (56)参考文献 特開 昭62−297071(JP,A) 特開 昭62−57874(JP,A) 特開 昭50−5996(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) B24D 3/02

Claims (1)

  1. (57)【特許請求の範囲】 1.砥粒を、石油樹脂、バレイショデンプン,コーンス
    ターチ等のデンプン類、アルギン酸ソーダ,ガラクタ
    ン,寒天,アラビアゴム等の植物性粘質物類、にかわ,
    ゼラチン,カゼイン等のタンパク質類等の天然高分子
    や、メチルセルロース,エチルセルロース,ヒドロキシ
    エチルセルロース,カルボキシルメチルセルロース等の
    セルロース類、可溶性デンプン,デキストリン等のデン
    プン系の半合成物類、ポリビニルアルコール,アクリル
    酸ソーダ,ポリエチレンオキシド等の合成物類、酢酸ビ
    ニルエマルジョン,ワックスエマルジョン,アクリル系
    エマルジョン等の樹脂エマルジョン等の熱可塑性の粉末
    樹脂などから選ばれる一種又は二種以上の有機系ボンド
    剤で結合し、成形してなる精密研磨用砥石において、上
    記ボンド剤の量が砥石中に3〜10重量%の範囲にあり、
    かつ砥粒の量が砥石の40体積%以上を占めることを特徴
    とする精密研磨用砥石。 2.砥粒を、石油樹脂、バレイショデンプン,コーンス
    ターチ等のデンプン類、アルギン酸ソーダ,ガラクタ
    ン,寒天,アラビアゴム等の植物性粘質物類、にかわ,
    ゼラチン,カゼイン等のタンパク質類等の天然高分子
    や、メチルセルロース,エチルセルロース,ヒドロキシ
    エチルセルロース,カルボキシルメチルセルロース等の
    セルロース類、可溶性デンプン,デキストリン等のデン
    プン系の半合成物類、ポリビニルアルコール,アクリル
    酸ソーダ,ポリエチレンオキシド等の合成物類、酢酸ビ
    ニルエマルジョン,ワックスエマルジョン,アクリル系
    エマルジョン等の樹脂エマルジョン等の熱可塑性の粉末
    樹脂などから選ばれる一種又は二種以上の有機系ボンド
    剤で結合し、成形した砥石を用いて研磨を行なう精密研
    磨方法において、上記ボンド剤の量が砥石中に3〜10重
    量%の範囲にあり、かつ砥粒の量が砥石の40体積%以上
    を占め、砥石と被研磨材との相対的な摺動速度が200m/m
    in以下であるとき、研磨に伴う砥石の減耗速度が3μm/
    min以上となるように研磨することを特徴とする精密研
    磨方法。
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