JP2805336B2 - トナー用バインダー樹脂の製造方法 - Google Patents

トナー用バインダー樹脂の製造方法

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JP2805336B2 JP1134685A JP13468589A JP2805336B2 JP 2805336 B2 JP2805336 B2 JP 2805336B2 JP 1134685 A JP1134685 A JP 1134685A JP 13468589 A JP13468589 A JP 13468589A JP 2805336 B2 JP2805336 B2 JP 2805336B2
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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は電子写真、静電記録、静電印刷などにおける
静電荷像を現像するためのトナー用バインダー樹脂の製
造方法に関する。
[従来の技術] 従来、電子写真法としては米国特許第2,297,691号明
細書、特公昭42−23910号公報及び特公昭43−24748号公
報等に記載されている如く多数の方法が知られている
が、一般には光導電性物質を利用し、種々の手段により
感光体上に電気的潜像を形成し、次いで該潜像をトナー
を用いて現像し、必要に応じて紙等の転写材にトナー画
像を転写した後、加熱,圧力,加熱加圧或いは溶剤蒸気
などにより定着し複写物を得るものであり、そして感光
体上に転写せず残ったトナーは種々の方法でクリーニン
グされ、上述の工程が繰り返される。
近年このような複写装置は、単なる一般にいうオリジ
ナル原稿を複写するための事務処理用複写機というだけ
でなく、コンピューターの出力としてのプリンターある
いは個人向けのパーソナルコピーという分野で使われ始
めた。
そのため、より小型,より軽量そしてより高速、より
高信頼性が厳しく追究されてきており、機械は種々な点
でよりシンプルな要素で構成されるようになってきてい
る。その結果、トナーに要求される性能はより高度にな
り、トナーの性能向上が達成できなければよりすぐれた
機械が成り立たなくなってきている。
例えばトナー像を紙などのシートに定着する工程に関
して種々の方法や装置が開発されているが、現在最も一
般的な方法は熱ローラーによる圧着加熱方式である。
加熱ローラーによる圧着加熱方式はトナーに対し離型
性を有する材料で表面を形成した熱ローラーの表面に被
定着シートのトナー像面を加圧下で接触しながら通過せ
しめることにより定着を行なうものである。この方法は
熱ローラーの表面と被定着シートのトナー像とが加圧下
で接触するため、トナー像を被定着シート上に融着する
際の熱効率が極めて良好であり、迅速に定着を行うこと
ができ、高速度電子写真複写機において非常に有効であ
る。しかしながら上記方法では、熱ローラー表面とトナ
ー像とが溶融状態で加圧下で接触するためにトナー像の
一部が定着ローラー表面に付着,転移し、次の被定着シ
ートにこれが再転移して所謂オフセット現象を生じ、被
定着シートを汚すことがある。熱定着ローラー表面に対
してトナーが付着しないようにすることが熱ローラー定
着方式の必須条件の1つとされている。
従来、定着ローラー表面にトナーを付着させない目的
で、例えばローラー表面をトナーに対して離型性のすぐ
れた材料、シリコンゴムや弗素系樹脂などで形成し、さ
らにその表面にオフセット防止及びローラー表面の疲労
を防止するためにシリコンオイルの如き離型性の良い液
体の薄膜でローラー表面を被覆することが行われてい
る。しかしながら、この方法はトナーのオフセットを防
止する点では極めて有効であるが、オフセット防止用液
体を供給するための装置が必要なため、定着装置が複雑
になること等の問題点を有している。
これは小型化,軽量化と逆方向であり、しかもシリコ
ンオイルなどが熱により蒸発し、機内を汚染する場合が
ある。そこでシリコンオイルの供給装置などを用いない
で、かわりにトナー中から加熱時にオフセット防止液体
を供給しようという考えから、トナー中に低分子量ポリ
エチレン,低分子量ポリプロピレンなどの離型剤を添加
する方法が提案されている。充分な効果を出すために多
量にこのような添加剤を加えると、感光体へのフィルミ
ングやキャリアやスリーブなどのトナー担持体の表面を
汚染し、画像が劣化し実用上問題となる。そこで画像を
劣化させない程度に少量の離型剤をトナー中に添加し、
若干の離型性オイルの供給もしくはオフセットしたトナ
ーを巻きとり式の例えばウェブの如き部材を用いた装置
でクリーニングする装置を併用することが行われてい
る。
しかし最近の小型化,軽量化,高信頼性の要求を考慮
するとこれらの補助的な装置すら除去することが必要で
あり好ましい。従ってトナーの定着,オフセットなどの
さらなる性能向上がなければ対応しきれず、それはトナ
ーのバインダー樹脂のさらなる改良がなければ実現する
ことが困難である。トナーのバインダー樹脂の改良に関
する技術として、例えば特公昭51−23354号公報に結着
樹脂として架橋された重合体を用いたトナーが提案され
ている。その方法に例えば耐オフセット性及び耐まきつ
き性の改良には効果があるが、反面架橋度をますと定着
点が上昇してしまい、充分定着温度が低くて耐オフセッ
ト性及び耐まきつき性が良好で且つ十分な定着特性のも
のは得られていない。一般的に定着性を向上させるため
には、バインダー樹脂を低分子量化して軟化点を低下さ
せねばならず、耐オフセット性の改善処置とは相反する
ことになり、また低軟化点とするために必然的に樹脂の
ガラス転移点が低下し保存中のトナーがブロッキングす
るという好ましくない現象もおこる。
これに対して、特開昭56−158340号公報に低分子量重
合体と高分子量重合体とよりなるトナーが提案されてい
るが、定着温度が低くて耐オフセット性が良好で且つ十
分な定着特性のものは得られていない。一般に耐オフセ
ット性を向上させるためには高分子量成分の分子量を大
きくするが、比率を増す必要があり、この方法は定着温
度が高くなる傾向にあり実用上満足するものは得られに
くい。
更に例えば特公昭60−20411号公報に高分子量重合体
の存在下に単量体を重合し、低分子量重合体と高分子量
重合体とからなる樹脂組成物が提案されているが、上記
と同様に耐オフセット性を向上させるためには高分子量
成分の分子量を大きくするか、比率を増す必要があり、
同様に定着温度が高くなる傾向にあり、実用上満足する
ものは得られにくい。
さらに低分子量重合体と架橋した重合体とをブレンド
したトナーに関し、例えば特開昭58−86558号公報に、
低分子量重合体と不溶不融性高分子量重合体を主要樹脂
成分とするトナーが提案されている。その方法に従えば
定着性の改良は行われる傾向にあるが、低分子量重合体
の重量平均分子量/数平均分子量(Mw/Mn)が3.5以下と
小さいこと、及び不溶不融性高分子量重合体の含有量が
40〜90wt%と多量であることにより、耐オフセット性と
定着性を共に高性能で満足することが難しく、実際上は
オフセット防止用液体の供給装置をもつ定着器用でなけ
れば定着性、耐オフセット性を充分満足するトナーを生
成することは極めて困難である。
さらに不溶不融性高分子量重合体が多くなると、トナ
ー作成時の熱混練で溶融粘度が非常に高くなるため通常
よりはるかに高温で熱混練するか、あるいは高いシェア
で熱混練しなければならず、その結果前者は他の添加剤
の熱分解によるトナー特性の低下、後者はバインダー樹
脂の分子の過度な切断が起り、当初の耐オフセット性能
が出にくいという問題を有している。
また、特開昭60−166958号公報に、数平均分子量500
〜1,500である低分子量のポリα−メチルスチレンの存
在下で重合して得られる樹脂組成分からなるトナーが提
案されている。
特に該公報では、数平均分子量(Mn)が9,000〜30,00
0の範囲が好ましいとあるが、耐オフセット性をより向
上させるため、Mnを大きくしていくと、定着性が実用上
問題となり、故に高性能に耐オフセット性と定着性を満
足することは難しい。
また特開昭56−16144号公報にGPCによる分子量分布に
おいて、分子量103〜8×104及び分子量105〜2×106
それぞれの領域に少なくとも1つの極大値をもつ結着樹
脂成分を含有するトナーが提案されている。この場合、
耐オフセット性、定着性、感光体へのフィルミングや融
着、画像性などすぐれているが、さらにトナーにおける
耐オフセット性及び定着性の向上が要望されている。特
に定着性をより向上させて他の種々の性能を保つか、あ
るいは向上させつつ今日の厳しい要求に対応するのは該
樹脂ではむずかしい。
このように定着に関わる性能を高性能に実現すること
は極めて困難である。更にトナーが定着された複写物に
おいて、保存時の必要性から半分に又は四つ折り等に折
り曲げられることが多々ある。かかる折り曲げにおいて
折り曲げられた部分の画像が複写物から剥ぎ取られ画像
品質を悪くすることがあり、かかる折り曲げに対しても
良好な画像品質を保持することが要求される。
また小型化はせまい所に各要素をうまく納めていくこ
とをしなければならない。そのため空気がうまくながれ
る空間が少なくなる上、定着器や露光系の熱源がトナー
ホッパーやクリーナーとひじょうに接近するため、トナ
ーは高温雰囲気にさらされる。そのため、より優れた耐
ブロッキング性を有するトナーでないと実用化できなく
なってきた。
また、さらに、パーソナル化がより進むため、今まで
にない環境で使用されることが多く、特に、高温高湿下
での現像安定性はさらに改善されねばならなくなってき
ている。
このようにトナーに要求される諸性能は相反する場合
がほとんどであり、しかもそれらを共に高性能に満足す
ることがますます望まれ、研究されているが、未だ充分
なものがない。
[発明が解決しようとする課題] 本発明の目的は、上述の如き問題点を解決したトナー
用バインダー樹脂の製造方法を提供するものである。
以下に本発明の目的を列挙する。
本発明の目的は耐折り曲げ性の良好なトナー用バイン
ダー樹脂の製造方法を提供することにある。
本発明の目的は、特に高温高湿下で現像安定性のすぐ
れたトナー用バインダー樹脂の製造方法を提供すること
にある。
本発明の目的は、オイルを塗布しない熱ロール定着方
式に適したトナー用バインダー樹脂の製造方法を提供す
ることにある。
本発明の目的は、ブレードを用いたクリーニング方式
に適したトナー用バインダー樹脂の製造方法を提供する
ことにある。
本発明の目的は、低い温度で定着し、感光体への融
着、フィルミングが高速システムにおいても、また長期
間の使用でも発生しないトナー用バインダー樹脂の製造
方法を提供することにある。
本発明の目的は、低い温度で定着し且つ耐ブロッキン
グ性がすぐれ、特に小型機の中の高温雰囲気中でも充分
使え得るトナー用バインダー樹脂の製造方法を提供する
ことにある。
[課題を解決するための手段及び作用] すなわち、本発明は、重合性モノマーに対して働くラ
ジカル開始剤の不存在下で、GPCの分子量分布におい
て、分子量10,000以下の領域にピークを有し、且つ重量
平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn)が3.5以下であ
り、ガラス転移点(Tg)が50℃以上である重合体を重合
せしめる工程と、 該重合体を重合性モノマーに溶解して、溶液重合又は
懸濁重合を行い、樹脂組成物を調製する工程とを有する
トナー用バインダー樹脂の製造方法において、 得られるバインダー樹脂のTHF不溶分の含有量が、バ
インダー樹脂を基準として10重量%未満であり、バイン
ダー樹脂のTHF可溶分のGPCによる分子量分布において、
分子量10,000以下の成分の含有量w1が10〜50重量%であ
り、分子量500,000以上の成分の含有量w2が5〜30重量
%であり、分子量10,000以下の成分の含有量w1と分子量
500,000以上の成分の含有量w2との比w2/w1が0.10〜2.0
であり、分子量10,000以下の領域にGPCのピークを有
し、THF可溶分の分子量10,000以下の成分のガラス転移
点が50℃以上であり、バインダー樹脂全体のガラス転移
点が50℃以上であることを特徴とするトナー用バインダ
ー樹脂の製造方法である。
本発明について以下に詳細に説明する。
前記のような目的を同時に達成するため種々のバイン
ダー樹脂を用い、その構成と性能についてさまざまの角
度から鋭意検討した。その結果バインダー樹脂のTHF不
溶分の割合と、THF可溶分の分子量分布の特定の構成の
ときに達成できることを見出した。バインダー樹脂をTH
Fなどの溶剤で溶かすと不溶分と可溶分に分離でき、可
溶分はGPCで分子量分布を測定することができる。
THF可溶分の分子量分布と定着可能温度が高いか低い
かという性質(以後、単に定着性という),耐折り曲げ
性,耐ブロッキング性について検討した。その結果、GP
C分子量分布での分子量約10,000以下と約10,000以上の
分子量を有する成分の働きが異なることを見い出した。
すなわちバインダー樹脂全体に対する分子量10,000以下
の分子量を有する成分の含有量w1は、通常言われている
ように定着性あるいは耐オフセット性を強く左右するの
ではなく、特定範囲ではどちらかというとほとんど関係
せず、かわりに粉砕性に強く関係していることが判明し
た。
さらに他の検討などからバインダー樹脂は、基本的に
は500,000以上の成分の含有量w2が主に耐オフセット
性,まきつき性,耐折り曲げ性に影響を与え、そしてTH
F可溶分の分子量10,000以下の成分が主に粉砕性,ブロ
ッキング性,感光体への融着性,フィルミング性等に影
響を与え、さらにTHF可溶分の分子量10,000以上の成分
が主に定着性を左右していることが判明した。そして分
子量10,000以下の成分の割合は、10〜50wt%が良く、好
ましくは10〜39wt%である。充分な性能を出すために
は、さらに分子量10,000以下であり、2,000以上(好ま
しくは2,000〜8,000)の領域にピークを有し、分子量1
5,000〜200,000(好ましくは20,000〜15.000)の領域に
ピークもしくは肩が必要である。2,000〜10,000にピー
クがなく分子量2,000以下にピークがあるが、分子量10,
000以下の成分の割合が50wt%を超えると、耐ブロッキ
ング性,感光体への融着,フィルミング,などがやや問
題となる。分子量10,000以下にピークがなく10,000以上
にピークがあるが、分子量10,000以下の成分の割合が10
wt%以下であると特に粉砕性が問題となり、粗粒子の生
成も問題となる。
また分子量15,000以上の領域にピークもしくは肩がな
く、分子量15,000未満の領域のみにピークがある場合は
耐オフセット性が問題となる。分子量15,000〜200,000
の領域にピークもしくは肩がなく、かつ200,000以上に
メインピークがあると粉砕性が問題となる。
さらにTHF可溶分はMw/Mn≧5であることが必要であ
り、Mw/Mnが5未満になると耐オフセット性,耐折り曲
げ性が低下する傾向が高まり問題となる。
好ましくはMw/Mnが80以下が良く、さらに好ましくは1
0≦Mw/Mn≦60が良い。
特にMw/Mnが10≦Mw/Mn≦60であると定着性,耐オフセ
ット性,耐折り曲げ性,画像性など種々の特性において
特にすぐれた性能を示す。
なおここでMwとは後述のGPCによって測定された重量
平均分子量であり、Mnとは同様の測定による数平均分子
量である。
そして、さらにトナーのバインダー樹脂の500,000以
上の成分は5〜30wt%が必要である。500,000以上の成
分が5wt%未満だと耐オフセット性,耐折り曲げ性が問
題となり、30wt%を超えるとトナー製造時の熱混練によ
る分子鎖切断などの劣化の問題を生じる。好ましくは50
0,000以上の成分の含有量は5〜25wt%が耐オフセット
性,耐折り曲げ性の点で良い。
更にw2/w1の比が0.10〜2.0の範囲が必要である。0.10
未満だと耐オフセット性,耐折り曲げ性が問題となり、
2.0を超えると定着温度の高温化、及びトナー製造時の
熱混練による分子鎖切断などの劣化の問題を生じる。更
にトナーバインダー樹脂のTHF不溶分は10重量%未満が
必要である。10重量%以上だと耐折り曲げ性に関して問
題を生じる。かかるTHF不溶分は5重量%未満が好まし
い。
またTHF可溶分の分子量分布の1万以下の分子量分の
樹脂のガラス転移点Tg1とバインダー樹脂全体のガラス
転移点Tgbを比較したとき、Tg1が55℃以上、Tgbが55℃
以上の関係になると定着性,耐折り曲げ性,感光体への
融着,フィルミング性,耐ブロッキング性などがより良
好になる。
ここでいうTg1とは次の方法により測定されたもので
ある。温度25℃にてTHFを毎分7mlの流速にて流し、トナ
ーのTHF可溶成分の濃度約3mg/mlのTFH試料溶液を3ml程
度分子量分布測定装置に注入し、分子量1万以下の成分
を分取する。分取の後、溶媒を減圧留去し、さらに90℃
雰囲気中減圧で24時間乾燥する。分子量1万以下の成分
が20mg程度得られるまで上記操作を繰り返し行い、50℃
で48時間のアニーリングを行い、この後に示差走査熱量
測定法によりTgを測定し、この値をTg1とする。
この時の測定は、一般に知られているASTMD3418−82
法に準じ行った。
すなわち、10℃/minの昇温測定で120℃以上に昇温
し、そこで約10分間保持し、これを0℃に急冷し、そこ
で10分間保持後、10℃/minで昇温し、吸熱カーブを得
る。
Tgは、ベースラインの中間線と変曲線の交点をもって
定義する。
分取用カラムとしてはTSKgel G2000H,TSKgel G2500H,
TSKgel G3000H,TSKgel G4000H(共に東洋曹達工業
(株))等が用いられるが、本発明ではTSKgel G2000H
とTSKgel G3000Hを組み合せて用いた。
またバインダー樹脂全体のガラス転移温度Tgbの値は
トナーを50℃,48時間アニーリングし、その後示差走査
熱量測定法により求める。
本発明の最も好ましい態様は、第1図に示すように、
THF可溶分のGPC分子量分布において、分子量15,000〜20
0,000の領域にある最も高いピークの高さをh2、分子量
2,000〜10,000の領域にある最も高いピークの高さをh1
とすると、h1/h2の比が0.2〜3.0/lを有するバインダー
樹脂を含有するトナーである。また、さらにTHF可溶分
の数平均分子量について、2,000≦Mn≦9,000が好まし
い。Mn<2,000だとオフセット性,耐折り曲げ性などが
問題となり,9,000<Mnだと粉砕性及び定着性が問題とな
ってくる。
本発明でのTHF不溶分とは、トナー中の樹脂組成物中
のTHF溶媒に対して不溶性となったポリマー成分(実質
的に架橋ポリマー)の重量割合を示し、架橋成分を含む
樹脂組成物の架橋の程度を示すパラメーターとして使う
ことができる。THF不溶分とは、以下のように測定され
た値をもって定義する。
すなわち、トナーサンプル0.5〜1.0gを秤量し(w
1g)、円筒濾紙(例えば東洋濾紙製No.86R)に入れてソ
ックスレー抽出器にかけ、溶媒としてTHF100〜200mlを
用いて6時間抽出し、溶媒によって抽出された可溶成分
をエバポレートした後、100℃で数時間真空乾燥し、THF
可溶樹脂成分量を秤量する(w2g)。トナー中の磁性体
あるいは顔料の如き樹脂成分以外の成分の重量を(w
3g)とする。THF不溶分は、下記式から求められる。
本発明において、GPC(ゲルパーミエーションクロマ
トグラフィ)によるクロマトグラムのピーク又は/およ
びショルダーの分子量は次の条件で測定される。
すなわち、40℃のヒートチャンバー中でカラムを安定
化させ、この温度におけるカラムに溶媒としてTHF(テ
トラヒドロフラン)を毎分1mlの流速で流し、試料濃度
として0.05〜0.6重量%に調整した樹脂のTHF試料溶液を
50〜200μ注入して測定する。試料の分子量測定にあ
たっては、試料の有する分子量分布を数種の単分散ポリ
スチレン標準試料により作製された検量線の対数値とカ
ウント数との関係から算出した。検量線作成用の標準ポ
リスチレン試料としては、例えばPressure Chemical C
o.製或いは東洋ソーダ工業社製の分子量が6×102,2.1
×103,4×103,1.75×104,5.1×104,1.1×105,3.9×105,
8.6×105,2×106,4.48×106のものを用い、少なくとも1
0点程度の標準ポリスチレン試料を用いるのが適当であ
る。また検出器にはRI(屈折率)検出器を用いる。
なお、カラムとしては、103〜4×106の分子量領域を
適確に測定するために、市販のポリスチレンゲルカラム
を複数組合せるのが良く、例えばWaters社製のμ−styr
agel 500,103,104,105の組み合わせや、昭和電工社製の
shodex KF−80Mや、KF−802,803,804,805の組合せ、あ
るいは東洋曹達製のTSKgel G1000H,G2000H,G2500H,G300
0H,G4000H,G5000H,G6000H,G7000H,GMHの組合せが好まし
い。
本発明の分子量10,000以下のバインダー樹脂に対する
重量%及び50万以上のバインダー樹脂に対する重量%は
GPCによるクロマトグラムの分子量10,000以下を切りぬ
き、分子量が10,000を超える部分の切りぬきとの重量比
を計算し、前記のTHF不溶分の重量%を使い、全体のバ
インダー樹脂に対する重量%を算出する。又、w2/w1
各成分における重量比の割合により示される。
折り曲げ性の評価は、全面黒画像を出し、画像面を重
ねる様にして折り曲げ約200g荷重で往復10回こすり、折
り曲げ部の画像をシルボン紙と紙で往復10回約200g荷重
でこすり、画像のはかれを反射濃度の低下率(%)で表
わした。
さらに、特に高温高湿下における現像安定性をさらに
向上させるために鋭意検討した結果、低分子量体の分子
末端についている開始剤切片を除去することが、良いこ
とを見いだした。
特開昭56−8416号公報に高分子量重合体を開始剤を用
いず重合した結着樹脂に関する提案があるが、低分子量
体は改善しておらず、また、定着性に関する性能も総合
的にすぐれているとは言えない。
本発明の方法において、好ましい重合温度は150〜300
℃の範囲である。
本発明の方法において、好ましい重合温度は150〜300
℃の範囲が用いられる。
溶媒としては、キシレン、トルエン、クメン、酢酸セ
ロソルブ、イソプロピルアルコール、ベンゼン等が用い
られる。スチレンモノマーの場合はキシレン、トルエン
またはクメン等が好ましく用いられる。
更に、かかる方法により得られたバインダー樹脂はラ
ジカル開始剤による分解生成物が無く、例えば過酸化ベ
ンゾイルを用いて従来方法により低分子量重合体を重合
した際に生成する安息香酸が現像上悪い影響を与える場
合があるが、本発明になる場合はそのような影響はな
い。
また、例えばアゾビスイソブチロニトリルを用いて従
来方法により低分子量重合体を重合した際には樹脂末端
に開始剤切片が付加し、帯電性を変化せしめる場合があ
るが、本発明になる場合はそのような影響はない。
ラジカル開始剤の不存在下重合とは、実質的に熱重合
で重合が行なわれることを意味し、一般公知のラジカル
開始剤を重合性モノマーに対し0.1重量%未満用いるこ
ともよい。
本発明の樹脂の構成成分としては一般的にトナー用樹
脂として用いられるもので前述の分子量分布になし得る
ものならば種々のものを用いることが出来るが、なかで
もビニル系単量体を利用したビニル系重合体、ビニル系
共重合体、および該重合体と該共重合体の組成物が好ま
しかった。
本発明に適用するビニル系単量体(モノマー)として
は例えば、スチレン、α−メチルスチレン、p−クロス
チレンなどのスチレンおよびその置換体;アクリル酸、
アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチ
ル,アクリル酸ドデシル、アクリル酸オクチル、メタク
リル酸、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メ
タクリル酸ブチル、メタクリル酸オクチル、アクリロニ
トリル、メタクリロニトリル、アクリルアミド等のよう
な二重結合を有するモノカルボン酸もしくはその置換
体;例えばマレイン酸、マレイン酸ブチル、マレイン酸
メチル、マレイン酸ジメチルなどのような二重結合を有
するジカルボン酸およびその置換体;例えば塩化ビニ
ル、酢酸ビニル、安息香酸ビニルなどのようなビニルエ
ステル類;例えばビニルメチルケトン、ビニルエキシル
ケトンなどのようなビニルケトン類;例えばビニルメチ
ルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルイソブチル
エーテルなどのようなビニルエーテル類等のビニル単量
体が単独もしくは2つ以上用いられる。これらの中でも
スチレン重合体とスチレン系共重合体の組み合せが好ま
しい。
さらに本発明の樹脂は成分として含まれる単量体の種
類や組成によってかなり異なったガラス転移点の値を示
しはするが、ガラス転移点は50〜80℃の範囲のものが有
効である。さらに好ましくはガラス転移点は50〜65℃が
耐ブロッキング性及び定着性の点で好ましい。ガラス転
移点が50℃よりも低くなると、トナー保存中の熱凝集ケ
ーキングが非常に起り易くなり、また、複写機中での凝
集トラブルが発生し易くなる。逆にガラス転移点が80℃
を超える場合にはやはり熱定着効率が悪くなる。
本発明のバインダー樹脂を製造する方法においては、
第1番目の樹脂を熱重合で作り、重合性モノマー中に第
1番目の樹脂を溶解し、該樹脂の存在下で重合性モノマ
ーを溶液重合又は懸濁重合する。重合用のモノマー100
重量部に対し第一番目の樹脂は10〜100重量部、好まし
くは20〜100重量部溶解するのが良い。
本発明に係わる、溶液重合及び懸濁重合に関して以下
に述べる。
溶液重合で用いる溶媒としては、キシレン、トルエ
ン、クメン、酢酸セロソルブ、イソプロピルアルコー
ル、ベンゼン等が用いられる。スチレンモノマーの場合
はキシレン、トルエンまたはクメンが好ましい。重合生
成するポリマーによって適宜選択される。また開始剤
は、ジ−tertブチルパーオキサイド、tert−ブチルパー
オキシベンゾエート、ベンゾイルパーオキサイド、2,
2′−アゾビスイソブチロニトリル、2,2′−アゾビス
(2,4ジメチルバレロニトリル)等がモノマー100重量部
に対して0.1重量部以上(好ましくは0.4〜15重量部)の
濃度で用いられる。反応温度としては、使用する溶媒、
開始剤、重合するポリマーによって異なるが、70℃〜18
0℃でおこなうのが良い。溶液重合においては溶媒100重
量部に対してモノマー30重量部〜400重量部で行うのが
好ましい。
懸濁重合においては、水系溶媒100重量部に対してモ
ノマー100重量部以下(好ましくは10〜90重量部)でお
こなうのが良い。使用可能な分散剤としては、ポリビニ
ルアルコール、ポリビニルアルコール部分ケン化物、リ
ン酸カルシウム等が用いられ、水系溶媒に対するモノマ
ー量等で適当量があるが、一般に水系溶媒100重量部に
対し0.05〜1重量部で用いられる。重合温度は50〜95℃
が適当であるが、使用する開始剤、目的とするポリマー
によって適宜選択すべきである。また開始剤の種類とし
ては、水に不溶あるいは難溶のものであれば、用いるこ
とが可能であるが、例えば、ベンゾイルパーオキサイ
ド、tert−ブチルパーオキシヘキサノエート等が、モノ
マー100重量部に対し0.5〜10重量部で用いられる。
本発明の樹脂を用いたトナー中には上記バインダー樹
脂成分の他に、本発明の効果に悪影響を与えない範囲
で、該バインダー樹脂成分の含有量より少ない割合で以
下の化合物を含有させてもよい。
例えば、シリコーン樹脂、ポリエステル、ポリウレタ
ン、ポリアミド、エポキシ樹脂、ポリビニルブチラー
ル、ロジン、変性ロジン、テルペン樹脂、フェノール樹
脂、低分子量ポリエチレン又は低分子量ポリプロピレン
の如き脂肪族又は脂環族炭化水素樹脂、芳香族系石油樹
脂、塩素化パラフィン、パラフィンワックスなどであ
る。
本発明のバインダー樹脂を使用して磁性トナーを調製
するときには、トナー中に磁性微粒子を含有させる。磁
性微粒子としては磁性を示すか磁化可能な材料であれば
よく、例えば鉄、マンガン、ニッケル、コバルト、クロ
ムなどの金属、マグネタイト、ヘマタイト、各種フェラ
イト、マンガン合金、その他の強磁性合金などがあり、
これらを平均粒径約0.05〜5μ(より好ましくは0.1〜
1μ)の微粉末としたものが使用できる。磁性トナー中
に含有させる磁性微粒子の量は、トナー総重量の15〜70
重量%が良い。
また本発明に係わるトナーには着色・荷電制御等の目
的で種々の物質を添加することができる。例えば、カー
ボンブラック、鉄黒、グラファイト、ニグロシン、モノ
アゾ染料の金属錯体、群青、フタロシアニンブルー、ハ
ンザイエロー、ベンジジンイエロー、キナクリドン、各
種レーキ顔料などである。
上述したバインダー樹脂、磁性微粒子、着色剤、荷電
制御剤等から作製したトナーは、現像器内でうける負荷
に対して強い耐性を有し、耐久試験において破砕されて
劣化することはなかった。
定着補助剤として、エチレン系オレフィン重合体をバ
インダー樹脂とともに用いても良い。
ここでエチレン系オレフィン単重合体もしくはエチレ
ン系オレフィン共重合体として適用するものには、ポリ
エチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重
合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−エチ
ルアクリレート共重合体、ポリエチレン骨格を有するア
イオノマーなどがあり、上記共重合体においてはオレフ
ィンモノマーを50モル%以上(より好ましくは60モル%
以上)含んでいるものが好ましい。
次に、本発明に係る樹脂を用いた現像剤を適用する電
子写真法について説明する。
電気的潜像をトナーを用いて現像する工程には、前述
の磁気ブラシ法、カスケード現像法、粉末雲法、米国特
許第3,909,258号明細書に記載されている導電性の磁性
トナーを用いる方法、特開昭53−31136号公報に記載さ
れている高抵抗の磁性トナーを用いる方法などがある。
本発明に係る樹脂を用いた現像剤は、磁性微粒子を含有
させた、いわゆる一成分系現像剤を用いる現像方法にも
適している。現像画像を被転写部材に転写する工程に
は、コロナ転写方式、バイアス転写方式などの静電転写
方式などが用いられる。
さらに本発明のバインダー樹脂を使用したトナーにお
いて、感光層もしくは絶縁層上の残余のトナーを除去す
る工程には、ブレードクリーニング方式、ファーブラシ
クリーニング方式などが適用されるが、特にブレードク
リーニング方式に適している。
また被転写部材上の粉像は該部材上に定着される必要
があるが、そのための方法としては、加熱定着方法、溶
剤定着方式、フラッシュ定着方式、ラミネート定着方式
などを用いうるが、特に加熱ローラ定着方式に適してい
る。
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、こ
れは本発明を何ら限定するものではない。
[実施例] 実施例1 攪拌機付オートクレイブにクメン50重量部、スチレン
モノマー100重量部を投入し、280℃,3時間加熱し、重合
を完了し、還流下にクメンを除去した。得られたポリス
チレンはTHFに溶解し、Mw=3,700,Mw/Mn=2.5,GPCのメ
インピークの位置する分子量は3,500,Tg=58℃であっ
た。
上記ポリスチレン30重量部を下記単量体混合物に溶解
し混合溶液とした。
上記混合溶液に、ポリビニルアルコール部分ケン化物
0.1重量部を溶解した水170重量部を加え、懸濁分散液と
した。水15重量分を入れ窒素置換した反応器に上記分散
液を添加し、反応温度70〜95℃で6時間懸濁重合反応さ
せた。反応終了後、濾別、脱水、乾燥し、ポリスチレン
とスチレン−アクリル酸n−ブチル共重合体の組成物を
得た。該組成物は、ポリスチレンとスチレン−アクリル
酸n−ブチル共重合体が均一に混合していた。該組成物
のTHF不溶分を求めたところ、THF不溶分はほとんど得ら
れず、実質適にゼロであった。また、THF可溶分の分子
量分布を測定したところ、0.4万,3.4万の位置にピーク
を有し、Mn=0.55万、Mw=13万,Mw/Mn=24、分子量1万
以下の成分の含有量w1が30重量%であり、分子量50万以
上の成分の含有量w2が8重量%であり、w2/w1の値は0.2
7であった。さらに、バインダー樹脂のガラス転移点Tgb
は59℃であり、GPCにより分取された1万以下の成分の
ガラス転移点Tg1は、58℃であった。
THF可溶分のGPCクロマトグラムを第1図に示す。
尚、各樹脂及び樹脂組成物の分子量に関わる特性は下
記方法で測定した。
GPC測定用カラムとしてShodex KF−80Mを用い、GPC測
定装置(ウォーターズ社製150C ALC/GPC)の40℃のヒー
トチャンバーに組み込みTHF流速1ml/min,検出器はRIの
条件下、試料(THF可溶分の濃度約0.1重量%)を200μ
注入する事でGPCを測定した。分子量測定の検量線と
しては分子量0.5×103,2.35×103,10.2×103,35×103,1
10×103,200×103,470×103,1200×103,2700×103,8420
×103の10点の単分散ポリスチレン基準物質(ウォータ
ーズ社製)のTHF溶液を用いた。
実施例2 攪拌機付オートクレイブにクメン50重量部、スチレン
モノマー95重量部、α−メチルスチレンモノマー5重量
部を投入し260℃,3時間加熱し重合を完了し、還流下に
クメンを除去した。得られたスチレン−α−メチルスチ
レン共重合体はMw=4,500,Mw/Mn=2.7,GPCのチャートに
おいて、分子量4,400の位置にメインピークを有し、Tg
=64℃であった。
上記スチレン−α−メチルスチレン共重合体30重量部
を下記単量体混合物に溶解し、混合溶液とした。
上記混合溶液に、ポリビニルアルコール部分ケン化物
0.1重量部を溶解した水170重量部を加え、懸濁分散液と
した。水15重量部を入れ、窒素置換した反応器に上記分
散液を添加し、反応温度70〜95℃で6時間反応させた。
反応終了後、濾別、脱水、乾燥しスチレン−α−メチル
スチレン共重合体とスチレン−アクリル酸2−エチルヘ
キシル共重合体の組成物を得た。該組成物のTHF不溶分
を求めたところ、THF成分はほとんど得られず、実質的
にゼロであった。
またTHF可溶分の分子量分布を測定したところ分子量
0.5万,4.2万の位置にピークを有し、Mn=0.62万,Mw=13
万,Mw/Mn=21,分子量1万以下の成分の含有量w1が25重
量%であり、分子量50万以上の成分の含有量w2が12重量
%であり、w2/w1の値は0.48であった。さらに、バイン
ダー樹脂のガラス転移点Tgbは58℃であり、GPCにより分
取された1万以下の成分のガラス転移点Tg1は60℃であ
った。
実施例3 攪拌機付オートクレイブにクメン50重量部、スチレン
90重量部、メチルメタクリレートをモノマー10重量部を
投入し、270℃,3時間加熱し重合を完了し、還流下にク
メンを除去した。得られたスチレン−メチルメタアクリ
レート共重合体はMw=3,900,Mw/Mn=2.7,分子量4,100の
位置にメインピークを有し、Tg=61℃であった。上記ス
チレン−メチルメタアクリレート共重合体40重量部を下
記単量体混合物に溶解し、混合溶液とした。
上記混合溶液に、ポリビニルアルコール部分ケン化物
0.1重量部を溶解した水170重量部を加え、懸濁分散液と
した。水15重量部を入れ、窒素置換した反応器に上記分
散液を添加し、反応温度70〜95℃で6時間反応させた。
反応終了後、濾別、脱水、乾燥しスチレン−メチルメタ
アクリレート共重合体とスチレン−メタアクリル酸n−
ブチル共重合体の組成物を得た。該組成物のTHF不溶分
を求めたところ、THF不溶分はほとんど得られず、実質
的にゼロであった。
またTHF可溶分の分子量分布を測定したところ0.4万,
4.3万にピークを有し、Mn=0.59万,Mw=9.2万,Mw/Mn=1
6,分子量1万以下の成分の含有量w1が32重量%であり、
分子量50万以上の成分の含有量w2が10重量%であり、w2
/w1の値は0.32であった。さらに、バインダー樹脂のガ
ラス転移点Tgbは60℃であり、GPCにより分取された1万
以下の成分のガラス転移点Tg1は58℃であった。
実施例4 攪拌機付オートクレイブにクメン50重量部、スチレン
モノマー100重量部を投入し、280℃,3時間加熱し重合を
完了し、還流下にクメンを除去した。得られたポリスチ
レンはTHFに溶解し、Mw=3,700,Mw/Mn=2.5,GPCのメイ
ンピークの位置する分子量は3,500,Tg=58℃であった。
上記ポリスチレン30重量部を下記単量体混合物に溶解
し、混合溶液とした。
上記混合物に、ポリビニルアルコール部分ケン化物0.
1重量部を溶解した水170重量部を加え、懸濁分散液とし
た。水15重量部を入れ窒素置換した反応器に上記分散液
を添加し、反応温度70〜95℃で6時間反応させた。反応
終了後、濾別、脱水、乾燥しポリスチレンとスチレン−
アクリル酸n−ブチル共重合体の組成物を得た。該組成
物のTHF不溶分を求めたところ、THF不溶分はほとんど得
られず、実質的にゼロであった。
またTHF可溶分の分子量分布を測定したところ分子量
0.4万,7.0万の位置にピークを有し、Mn=0.58万,Mw=10
万,Mw/Mn=17,分子量1万以下の成分の含有量w1が21重
量%であり、分子量50万以上の成分の含有量w2が29重量
%であり、w2/w1の値は1.38であった。さらに、バイン
ダー樹脂のガラス転移点Tgbは56℃であり、GPCにより分
取された1万以下の成分のガラス転移点Tg1は56℃であ
った。
実施例5 攪拌機付オートクレイブにクメン30重量部、スチレン
モノマー100重量部を投入し、225℃,4時間加熱し、重合
を完了し、還流下にクメンを除去した。得られたポリス
チレンはMw=6,900,Mw/Mn=2.2,分子量7,100の位置にメ
インピークを有し、Tg=76℃であった。
上記ポリスチレン30重量部を下記単量体混合物に溶解
し、混合溶液とした。
上記混合溶液に、ポリビニルアルコール部分ケン化物
0.1重量部を溶解した水170重量部を加え、懸濁分散液と
した。水15重量部を入れ、窒素置換した反応器に上記分
散液を添加し、反応温度70〜95℃で6時間反応させた。
反応終了後、濾別、脱水、乾燥しスチレン重合体とスチ
レン−アクリル酸n−ブチル共重合体の組成物を得た。
該組成物のTHF不溶分を求めたところ、THF不溶分はほと
んど得られず、実質的にゼロであった。
またTHF可溶分の分子量分布を測定したところ0.75万,
4.3万にピークを有し、Mn=0.65万,Mw=10万,Mw/Mn=1
5,分子量1万以下の成分の含有量w1が18重量%であり、
分子量50万以上の成分の含有量w2が11重量%であり、w2
/w1の値は0.61であった。さらに、バインダー樹脂のガ
ラス転移点Tgbは61℃であり、GPCにより分取された1万
以下の成分のガラス転移点Tg1は70℃であった。
比較例1 反応器にクメン150重量部を入れ、85〜90℃まで昇温
した。スチレンモノマー100重量部,過酸化ベンゾイル
8重量部の混合物を4時間かけて滴下した。更に85〜90
℃で重合を完了し、還流下にクメンを除去した。得られ
たポリスチレンはTHFに溶解し、Mw=3,600,Mw/Mn=2.6,
GPCのメインピークの位置する分子量は3,400,Tgは55℃
であった。
上記ポリスチレン30重量部を下記単量体混合物に溶解
し、混合溶液とした。
上記混合溶液に、ポリビニルアルコール部分ケン化物
0.1重量部を溶解した水170重量部を加え、懸濁分散液と
した。水15重量部を入れ窒素置換した反応器に上記分散
液を添加し、反応温度70〜95℃で6時間懸濁重合反応さ
せた。反応終了後、濾別、脱水、乾燥し、ポリスチレン
とスチレン−アクリル酸n−ブチル共重合体の組成物を
得た。該組成物は、ポリスチレンとスチレン−アクリル
酸n−ブチル共重合体が均一に混合していた。該組成物
のTHF不溶分を求めたところ、5重量%であった。ま
た、THF不溶分の分子量分布を測定したところ、0.4万,
3.4万の位置にピークを有し、Mn=0.55万,Mw=13万,Mw/
Mn=24、分子量1万以下の成分の含有量w1が30重量%で
あり、分子量50万以上の成分の含有量w2が11重量%であ
り、w2/w1の値は0.37であった。さらに、バインダー樹
脂のガラス転移点Tgbは57℃であり、GPCにより分取され
た1万以下の成分のガラス転移点Tg1は、56℃であっ
た。
比較例2 反応器にクメン150重量部を入れ、75〜80℃まで昇温
した。スチレンモノマー100重量部,アゾビスイソブチ
ロニトリル8重量部の混合物を4時間かけて滴下した。
更に75〜80℃で重合を完了し、還流下にクメンを除去し
た。得られたポリスチレンはTHFに溶解し、Mw=3,700,M
w/Mn=2.5,GPCのメインピークの位置する分子量は3,50
0,Tg=58℃であった。
上記ポリスチレン30重量部を下記単量体混合物に溶解
し、混合溶液とした。
上記混合溶液に、ポリビニルアルコール部分ケン化物
0.1重量部を溶解した水170重量部を加え、懸濁分散液と
した。水15重量部を入れ窒素置換した反応器に上記分散
液を添加し、反応温度70〜95℃で6時間懸濁重合反応さ
せた。反応終了後、濾別、脱水、乾燥し、ポリスチレン
とスチレン−アクリル酸n−ブチル共重合体の組成物を
得た。該組成物は、ポリスチレンとスチレン−アクリル
酸n−ブチル共重合体が均一に混合していた。該組成物
のTHF不溶分を求めたところ、5重量%であった。ま
た、THF不溶分の分子量分布を測定したところ0.4万,3.4
万の位置にピークを有し、Mn=0.55万,Mw=13万,Mw/Mn
=24、分子量1万以下の成分の含有量w1が30重量%であ
り、分子量50万以上の成分の含有量w2が20重量%であ
り、w2/w1の値は0.67であった。さらに、バインダー樹
脂のガラス転移点Tgbは59℃であり、GPCにより分取され
た1万以下の成分のガラス転移点Tg1は、58℃であっ
た。
製造例1 実施例1の樹脂組成物100重量部と、磁性体80重量
部、低分子量ポリプロピレン4重量部、正荷電性制御剤
2重量部を熱混練し、微粉砕装置、分級装置を用いて、
トナーを製造した。
このトナー原料の粉砕性は非常に良く粉砕粒度で体積
平均径8μを得るのに処理量で15.3kg/hrの値であっ
た。また、粉砕機内の融着はなかった。
このトナー100重量部に疎水性シリカ0.6重量部を混合
した現像剤をキヤノン製複写機NP−5540に入れ画像性
と、定着性について評価した。
32.5℃/90%の環境下で30,000枚耐久を行ったが安定
して良好な画像が出た。さらに定着性も非常に良く、さ
らに感光体へのフィルミング、融着もなかった。
製造例2 実施例2の樹脂組成物を用いることを除いて製造例1
と同様に行なったところ、ほぼ製造例1と同様の結果を
得た。
製造例3〜5及び比較製造例1〜2 実施例3,4及び5の樹脂組成物を用いることは除いて
製造例1と同様にしてトナーを製造した(製造例3〜
5)。一方、実施例1で樹脂組成物の原料に用いたポリ
スチレン、比較例1,2の樹脂組成物を各々用いることを
除いて、製造例1と同様にトナーの製造を行なった(比
較製造例1〜2)。結果を表に示す。
評価方法 トナー原料の粉砕性は、ジェット気流を用いた微粉砕
機で、5.5kg/cm2のエアー圧での、単位時間での処理量
を目安とした。同時に、微粉砕機の内壁を観察し、融着
の有無を調べた。
定着性と、画像性、耐久性については、キヤノン製複
写機、NP−5540を用いて調べた。
定着性は、画像をシルボンC紙で往復10回約100g加重
でこすり画像のはがれを反射濃度の低下率(%)で表わ
した。評価画像は連続200枚とった時の200枚目で見た。
以下に評価基準を示す。
粉砕性 非常に良好: 微粉砕機の内壁にトナーがほとんど見られな い状態。
良 好: 微粉砕機の内壁にトナーが若干見られるが、 経済的なトナーの堆積が起こらない。
非常に不良: 微粉砕機の内壁にトナーが若干見られ、経済 的なトナーの堆積が起こる。
現像耐久性 非常に良好:画像濃度が1.40以上である。
ほぼ良好 :画像濃度が1.35以上1.40未満である。
不 良:画像濃度が1.35未満である。
定着性 非常に良好:反射濃度の低下率が10%未満である。
良 好:反射濃度の低下率が10%以上20%未満 である。
不 良:反射濃度の低下率が20%以上である。
[発明の効果] 本発明によって、種々の項目で優れた性能を同時に満
足するトナー用バインダー樹脂が得られ、とりわけ高温
高湿下で現像安定性に優れたトナー用バインダー樹脂を
得ることができる。
【図面の簡単な説明】
第1図はトナーに要求される各特性の相関関係を示す図
であり、第2図は分子量10,000以下の成分の含有量とト
ナー特性との相関関係に関わるグラフを示す。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】重合性モノマーに対して働くラジカル開始
    剤の不存在下で、GPCの分子量分布において、分子量10,
    000以下の領域にピークを有し、且つ重量平均分子量(M
    w)/数平均分子量(Mn)が3.5以下であり、ガラス転移
    点(Tg)が50℃以上である重合体を重合せしめる工程
    と、 該重合体を重合性モノマーに溶解して、溶液重合又は懸
    濁重合を行い、樹脂組成物を調製する工程とを有するト
    ナー用バインダー樹脂の製造方法において、 得られるバインダー樹脂のTHF不溶分の含有量が、バイ
    ンダー樹脂を基準として10重量%未満であり、バインダ
    ー樹脂のTHF可溶分のGPCによる分子量分布において、分
    子量10,000以下の成分の含有量w1が10〜50重量%であ
    り、分子量500,000以上の成分の含有量w2が5〜30重量
    %であり、分子量10,000以下の成分の含有量w1と分子量
    500,000以上の成分の含有量w2との比w2/w1が0.10〜2.0
    であり、分子量10,000以下の領域にGPCのピークを有
    し、THF可溶分の分子量10,000以下の成分のガラス転移
    点が50℃以上であり、バインダー樹脂全体のガラス転移
    点が50℃以上であることを特徴とするトナー用バインダ
    ー樹脂の製造方法。
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