JP2799592B2 - 複合成形体の成形方法 - Google Patents

複合成形体の成形方法

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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は被成形部材とシール材が一体化された複合成
形体の成形方法に係り、特に既存の被成形部材のシール
面上に弾性シール材を簡易な成形工程により密着よく被
着し得る複合成形体の成形方法に関する。
本発明にかかる複合成形体とはプラスチック、金属等
の各種被成形部材と弾性シール材との複合体をいい、具
体的には各種自動車部品、例えばオイルパン、ヘッドカ
バー、計器カバー、テールランプ等のランプケース等、
あるいは各種容器のふた、配管のフランジ部、各種ダイ
キヤスト部品の接合面などがあげられる。
特に本発明は大きなサイズの被成形部材に対して部分
的にシール材を一体成形するのに適している。
〔発明の技術〕
この種の複合成形体は従来、シール材と被成形部材と
を別々に制作した後、これらを組み合わせてアッセンブ
リーしていた。
しかし、この方法では、組み合わせに手間がかかり、
傷つきやすく、密着性に劣り、さらに、シール材と被成
形部材とのシール面精度の影響により充分なシール性が
得られず、かつシール材を手板から打ち抜く際に材料ロ
スが生じる等の問題があった。
また、被成形部材のシール面に液状シール材をロボッ
ト等により塗布し、接着硬化させる方法も実用化されて
いるが、この方法では塗布ビードの形成精度が低く、ま
た、形状自由度が小さく、さらに、硬化に時間がかか
り、量産性に乏しい等の欠点があった。
そこで、これらの公知技術に存する欠点を改良する方
法として、互いに置き換え可能な一対の金型を備えた成
形機を用い、前記金型のいずれか一方で、プラスチック
による被成形部材を成形し、次いで他方の金型で前記プ
ラスチック被成形部材のシール面に弾性シール材を成形
する方法が知られているが(特開昭60−52322号公報参
照)、この方法では被成形部材も同時に成形するため、
これを新規に設計する物品には適するが、既存の被成形
部材に対してシール材だけをあとから一体成形すること
は不可能であるのみならず、被成形部材がプラスチック
成形物であるという制限もある。
これを改良すべく、特開昭60−237267号公報記載の方
法では、被成形部材のシール面に液状ゴムを盛りつけた
後、かぶせ型を覆って硬化させ、脱型して複合成形体を
得るものであるが、しかし、この方法では成形キヤビテ
イ内のエアーを完全に逃がすことがむずかしく、このた
めボイドができやすかったり、また、塗布量が多すぎる
と、バリが出やすい等の成形上の問題点が充分に解決さ
れていなかった。
さらに平面度の悪い板金部品や、圧力により破損し易
いプラスチック部品に対して、弾性を有する樹脂型を用
いて低い型締力でも成形する方法が知られている(特願
昭62−193641)。
しかし、この方法では上型および下型を必要とし、そ
の中に被成形部材を配置するために被成形部材よりも大
きな成形型を必要としていた。
〔発明が解決しようとする問題点〕
そこで、本発明の目的は既存の各種材料からなる被成
形部材に対して弾性シール材を簡易な成形工程により、
迅速、かつ精密に、密着性よく、さらには材料のロスを
生じることなく一体成形し得、すなわち、かぶせ型の非
常に簡便な成形型のみで一体成形し得、前述の各種従来
技術に存する欠点を改良した、被成形部材と弾性シール
材からなる複合成形体の成形方法を提供することにあ
る。
〔問題点を解決するための手段〕
前述の目的を達成するため、本発明によれば、被成形
部材のシール面上に弾性シール材の被着された複合成形
体の成形方法において、前記弾性シール材の被着すべき
被成形部材自体を一方の成形型とし、この成形型のシー
ル面上にかぶせ型を他方の成形型として押し当てること
を特徴とし、前記シール面またはシール面と接触するか
ぶせ型の接触面の少なくともいずれか一方には凹溝を形
成しておき、前記シール面上にかぶせ型を押し当てる際
にこれら接触部に前記凹溝によるキヤビテイを形成する
ようにし、このキヤビテイに弾性シール材形成用樹脂材
料を注入し、硬化の後前記かぶせ型をとりはずすことを
特徴とする。
以下、本発明を添付図面を用いて詳述する。
第1図は本発明方法を実施するための一具体例の断面
図を示し、第2図は第1図の方法によって成形されたパ
イプフランジ部の斜視図を示す。1はパイプフランジ部
(被成形部材)からなる被成形部材であって、シール面
11を有している。このパイプフランジ部(被成形部材)
1自体を一方の成形型とし、この成形型1のシール面11
上にかぶせ型7を他方の成形型として押し当て、かぶせ
型7の接触面9とシール面11を接触させる。このとき接
触面9に凹溝10を形成しておくと、接触部8には凹溝10
によるキヤビテイ3が形成される。
次いで、キヤビテイ3に弾性シール材形成用樹脂材料
を注入ノズル6からスプル5、ランナー4およびゲート
14を経て注入し、硬化させた後、かぶせ型7を離型(脱
型)することにより第2図に示されるように、パイプフ
ランジ(被成形部材)1のシール面11上に弾性シール材
12が被着された複合成形体が成形される。2はボルト
穴、13はパイプ内面である。
弾性シール材12の素材である樹脂材料としては、射出
あるいは注型成形できるものであって、硬化して弾性体
となる材料であればいずれでもよく、具体的には熱可塑
性樹脂、熱硬化性樹脂(反応硬化性樹脂)等である。
熱可塑性樹脂の場合、熱可塑性エラストマー(TPE)
といわれる弾性樹脂を用いることができ、例えばスチレ
ン系、オレフイン系、塩ビ系、ポリウレタン系、ポリア
ミド系、フッ素系、1、2−ポリブタジエン系等が用い
られ、また熱硬化性樹脂としては反応硬化して弾性体と
なる樹脂を用いることができ(加熱しなくても常温でも
反応硬化するものもある)、例えばシリコーン系、ポリ
ウレタン系、エポキシ系、ポリアミド系、ポリエステル
系、ポリアクリルウレタン系、ポリサルファイド系等が
用いられる。これらの中で注入前はできるだけ粘度が低
い方が低い注入圧で注入できてかぶせ型の圧着力も小さ
くてすむため、好ましい。特に反応硬化性の樹脂の方が
初期粘度が低く好ましい。また、硬化後の弾性体の耐熱
性、圧縮復元性などからシリコーン系樹脂が特に好まし
い。さらに反応硬化性樹脂は一液型でも二液型でもいず
れでも良いが、どちらかといえば二液性の方が低温で短
時間に硬化するために適している。二液性の場合は、ダ
イナミックミキサー、スタテイックミキサー、スクリュ
ー等によって混合された後、キヤビテイ3に注入され
る。注入の方法はインラインスクリューによって直接射
出する方法や、ダイナミックミキサー、スタテイックミ
キサーで混合したものをポット室に移しかえ、トランス
ファポットによって注入する方法やシリンジに移しかえ
たものを注入する等いずれの方法でも良い。
また、硬化して弾性体となる樹脂が被成形部材1に対
して接着性がない場合には、被成形部材1のシール面11
にあらかじめプライマー層を形成しておいて、シール材
12が被成形部材1に接着するようにする。特にシール材
12の樹脂材料としてシリコーン樹脂を用いた場合のプラ
イマーとしては、一般に下記の構造を有するカップリン
グ剤等を用いることができる。
YR1SiR2 nX(3-n) (R1はアルキル基、アリール基、ビニル基等R2はアルキ
ル基等、X′はケイ素原子に結合している加水分解性基
でクロル基、アルコシ基、アセトキシ基、シラノール基
等、Yは有基官能基でビニル基、メタクリル基、エポキ
シ基、グリシドキシ基、アミノ基、メルカプト基等であ
る)。これらは単独で用いてもよいし、またその混合物
でも良い。さらに有機溶剤で適当な割合で希釈して用い
てもよい。これらのプライマーを被成形部材1のシール
面11にスプレーし、ハケ塗り等で塗布して、風乾あるい
は加熱等によって乾燥し、プライマー層を形成する。次
に硬化して弾性体となる樹脂がかぶせ型7に対して接着
性がある場合には、かぶせ型7の表面にシリコーンオイ
ル、シリコーン樹脂、フッ素樹脂等の金型離型剤を塗布
し、表面処理しておけば、被成形部材1のみに接着し
て、かぶせ型7からの脱型が容易となる。また硬化して
弾性体となる樹脂が接着性が強い場合、かぶせ型の素材
として、シリコーンやフッ素樹脂等離型性の高い素材で
形成すればシール材12が被成形部材1のみに接着し、か
ぶせ型7からは容易に脱型できる。
なお、シリコーンやフッ素樹脂はある程度の弾性を有
する為、低い型締力(かぶせ型7の圧着力)でも被成形
部材1に良く密着し、シール材の注入時に樹脂材料が接
触部8より洩れてバリが発生することがなく、被成形部
材1がプレス部品等、歪が大きかったり、プラスチック
やガラス部品のようにわれやすいものや、シール材の成
形面積が大きいものでも問題なく成形でき、また大きな
被成形部材1の複雑な形状の一部だけにシール材を一体
成形する場合にも、大きな型締力を必要としない。
シール材の硬化方法としては熱可塑性の樹脂の場合で
あれば加熱して溶融させてからかぶせ型7内で冷却して
硬化させれば良いし、熱硬化性の樹脂であればかぶせ型
7内で加熱して硬化させ、硬化を速めることもできる
が、反応性の高いものであれば常温でも充分硬化する。
ここでかぶせ型の加熱方法としては、ヒーターや油など
の熱媒体などにより成形型を加熱する方法や、誘導加熱
や誘電加熱や超音波・高周波加熱を用いることができ
る。
シール材の断面形状としては多くの形状が成形可能で
あるが、第3図(a)および第4図(a)のように凹溝
10をシール面11に形成してキヤビテイ3を形成し、第3
図(b)および第4図(b)に示されるようにシール面
11のキヤビテイ3中にシール材12を形成することもでき
る。また、図示していないが凹溝10をかぶせ型7の接触
部8と被成形部材1のシール面11の両方に設けて両方に
またがったキヤビテイ3を接触部8に形成し、このキヤ
ビテイ3にシール材を注入して硬化させることもでき
る。
またシール材の注入口であるゲート14は第1図のよう
にかぶせ型7の内部にもうけることもできるし、被成形
部材1とかぶせ型7の接触面9(パーティング面)にも
うけることもできる。また被成形部材1のシール面11か
ら裏側に通じるところに注入用の穴をあけ被成形部材1
側から注入することもでる。さらにボルト穴2を利用し
て被成形部材1のシール面11の裏側から注入することも
できる。
なお上述の被成形部材の素材としては、金属、ガラ
ス、セラミック、プラスチックス、木材等、各種材料が
用いられる。
〔作用〕
上述の本発明は被成形部材とシール材の複合物品を形
成するに当たり、被成形部材のシール面またはこのシー
ル面と接触する成形型の接触面の少なくともいずれか一
方に凹溝を形成し、このシール面上に成形型を覆いかぶ
せてこれら接触部に凹溝によるキヤビテイを形成し、こ
のキヤビテイにシール材を注入し、硬化するようにした
から、既存の各種材料からなる被成形部材に対して部分
的に弾性シール材を簡易に、迅速に、かつ精密し得る。
しかもシール材の成形面積のみの成形型の大きさがあれ
ば良く、大きな被成形部材に対して非常に簡易な装置で
シール材のあと付け成形ができる。
〔発明の実施例〕 実施例1 第1図および第2図に示されるように被成形部材1と
して配管用パイプを選んだ。まず、パイプのフランジ部
シール面11上にシリコーンゴムでできたかぶせ型7を覆
いかぶせ、シール面11と接触面9の接触によってできた
キヤビテイ3にウレタン樹脂をポット注入した。このと
き、かぶせ型7の温度を80〜100℃に保持しておくと、
ウレタン樹脂は短時間にエラストマー状に硬化し、第2
図示のシール材12を形成した。このシール材12はパイプ
フランジ部1(被成形部材)のシール面11に強固に接着
し、かぶせ型7からは容易に離型できた。離型後、長い
パイプのフランジ部のシール面11にはシール材12が一体
化した複合成形体がパイプのフランジ部のみに型あてす
るだけの簡単な装置により短時間で精度良く成形でき
た。
実施例2 第5図および第6図に示されるように、被成形部材1
として自動車のオイルパン、対象物としてエンジンヘッ
ドブロック15の組み合わせを選んだ。まずオイルパン1
(被成形部材)のシール面11にテフロン樹脂製のかぶせ
型7、を覆いかぶせ、シール面11と接触面9の接触によ
ってできたキヤビテイ3にシリコーン樹脂を射出注入し
た。このとき成形型の温度を120〜150℃に保持しておく
とシリコーン樹脂は短時間にエラストマー状に硬化し、
第6図示のシール材12を形成した。このシール材12はオ
イルパン1(被成形部材)のシール面11には強固に接着
し、かぶせ型7からは容易に離型できた。脱型後オイル
パン1(被成形部材)のフランジ部11(シール面)には
シール材12が一体化された複合成形体Aが簡単なかぶせ
型7のみで単時間に精度良くできた。
実施例3 被成形部材1として第6図に示すアルミダイキヤスト
製のエンジンヘッドブロック15を用い、エンジンヘッド
ブロック15のシール面11にはあらかじめウレタン系のプ
ライマーを塗布してプライマー層を形成しておく。次い
でエンジンヘッドブロック15のシール面11にかぶせ型7
を押し当て、シール面11と接触面9の接触によってでき
た接触部8中のキヤビテイ3にウレタン系の熱可塑性エ
ラストマーを200℃で可塑化して、射出注入した。この
ときかぶせ型7の温度は常温から70℃の低温に保ち冷却
硬化させた。硬化後実施例1と同様にして型を開き第6
図示のエンジンヘッドブロック15を得た。このシール材
にはプライマー層を介してシール面11に強固に密着され
ていた。
〔発明の効果〕
上述の本発明成形方法によれば、既存のいかなる大き
さの、またいかなる材質の被成形部材に対しても弾性シ
ール材の一体成形が簡単な装置でかつ簡単な操作で短時
間に行うことができる。また、成形されたシール材は被
成形部材1のシール面と強固に密着され、剥離されるこ
とがない。またボイド、バリ等の成形不良もなく、成形
精度も高い。さらにシール材の形状設計の自由度も高
く、材料ロスもなく、省力、省エネルギーで生産可能で
ある。またシール材の成形時に被成形部材とのアッセン
ブリーも同時に行うことができ産業上の利用価値の高い
方法である。特に大きな被成形部材に対して、全体を型
の中に挿入しなくても、それ自身を一方の成形型として
部分的にだけ一体成形できる。
【図面の簡単な説明】
第一図は本発明方法を実施するための一具体例の断面図
を示し、第2図は第1図方法によって成形された複合物
品の斜視図を示し、第3図(a)および第4図(a)は
それぞれ本発明方法の他の具体例の部分断面図を示し、
第3図(b)および第4図(b)はそれぞれ第3図
(a)および第4図(a)によって成形された複合成形
体の部分断面図を示し、第5図は被成形部材として自動
車のオイルパンを用いた成形例の断面図を示し、第6図
は第5図の方法によって成形された、シール部材とオイ
ルパンからなる複合成形体の斜視図を示す。 1……被成形部材、3……キヤビテイ、 7……かぶせ型、8……接触部、9……接触面、 10……凹溝、11……シール面、12……シール材。

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】被成形部材のシール面面に弾性シール材の
    被着された複合成形体の成形方法において、前記弾性シ
    ール材の被着すべき被成形部材自体を一方の成形型と
    し、この成形型のシール面上にかぶせ型を他方の成形型
    として押し当てることを特徴とし、前記シール面または
    シール面と接触するかぶせ型の接触面の少なくともいず
    れか一方には凹溝を形成しておき、前記シール面上にか
    ぶせ型を押し当てる際にこれら接触部に前記凹溝による
    キヤビテイを形成するようにし、このキヤビテイに弾性
    シール材形成用樹脂材料を注入し、硬化の後前記かぶせ
    型をとりはずすことを特徴とする複合成形体の成形方
    法。
  2. 【請求項2】請求項第1項に記載の成形方法において、
    前記凹溝がかぶせ型の接触面に形成されてなる複合成形
    体の成形方法。
  3. 【請求項3】請求項第1項に記載の成形方法において、
    被成形部材のシール面にあらかじめプライマー層を形成
    しておくことを特徴とする複合成形体の成形方法。
  4. 【請求項4】請求項第1項に記載の成形方法において、
    前記かぶせ型のキャビテイ内面に離型材を被覆してなる
    複合成形体の成形方法。
  5. 【請求項5】請求項第1項に記載の成形方法において、
    前記かぶせ型が離型性素材で形成されてなる複合成形体
    の成形方法。
  6. 【請求項6】請求項第1項に記載の成形方法において、
    前記キャビテイ内に満たされた弾性シール材形成用樹脂
    材料を加熱硬化し、硬化を速めることを特徴とする複合
    成形体の成形方法。
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