JP2799328B2 - 面発光型半導体レーザ - Google Patents

面発光型半導体レーザ

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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、エピタキシャル層の積層方向に共振方向が
平行である面発光型半導体レーザ(以下面発光レーザと
いう)に関し、特に放熱機構を備えた面発光レーザに関
するものである。
〔従来の技術〕
基板側の反射鏡として半導体多層膜を用いてなる面発
光レーザが公知である(1988,秋季応用物理7p−ZC−1
2)。このような面発光レーザでは、主な発熱部である
活性領域からの熱を放散するための機構として、ヒート
シンクを融着させた構造を有することが一般的である。
第3図は放熱機構を備えた従来の面発光レーザの構造
を示す断面図であり、図中1は基板を示す。基板1上に
は、バッファ層2、反射鏡として作用する半導体多層膜
4、第1クラッド層5がこの順に積層されている。第1
クラッド層5上には、活性層6及び第2クラッド層7か
らなるメサ部が形成されており、このメサ部を埋込む態
様にて、第1クラッド層5上に、第1電流ブロック層8
及び第2電流ブロック層9がこの順に形成されている。
第2クラッド層7及び第2電流ブロック層9上には電流
通路層10が積層されている。メサ部が形成されている領
域の電流通路層10上面には、反射鏡14が形成されてお
り、この反射鏡14を囲む態様にて、電流通路層10上に、
コンタクト層11及び電極12がこの順に形成されている。
基板1の下面にはもう一方の電極13が蒸着形成されてお
り、電極13には融着材16によりSi,Cu等からなるヒート
シンク15が融着されている。本例では、基板側にヒート
シンク15を融着させている。
第4図は放熱機構を備えた従来の別の面発光レーザの
構造を示す断面図であり、図中第3図と同番号を付した
部分は同一または相当部分を示す。図中24はウェハの上
面側の反射鏡として作用する半導体多層膜、27はキャッ
プ層である。この例では、ウェハ上面側にヒートシンク
を融着させた放熱機構を備えている。
〔発明が解決しようとする課題〕
第3図に示す構造を有する面発光レーザでは、ウェハ
表面から外部にレーザ光Lを出力できるように、基板側
に放熱機構を設けている。主な発熱部である活性領域
(活性層6)とヒートシンク15との距離は、60〜100μ
m程度である。従ってしきい値電流が大きくて発熱量が
大きいような面発光レーザでは、十分な放熱動作が行い
難く、室温における連続発振を行なえなかった。
一方、第4図に示す構造を有する面発光レーザでは、
活性領域(活性層6)とヒートシンク15との距離を、5
μm程度以下に短縮できる。従って、発熱量が大きい面
発光レーザにあっても十分な放熱効果を得ることがで
き、室温における連続発振は可能である。ところがウェ
ハの上面からレーザ光を得られないので、素子分離が困
難であり、2次元への集積化または他の素子との集積化
は困難であった。
このように従来では、ウェハの上面からレーザ光を得
るためには十分な放熱特性が得られず、また十分な放熱
特性を得るためにはウェハの上面からレーザ光が得られ
ないという状況であった。
本発明はかかる事情に鑑みてなされたものであり、レ
ーザ光をウェハの上面から得られると共に、放熱特性が
良好である面発光レーザを提供することを目的とする。
〔課題を解決するための手段〕
本発明の第1発明に係る面発光レーザは、基板上に、
半導体多層膜と、該半導体多層膜上に形成された活性層
を含むメサ部と、該メサ部を囲む電流ブロック層とから
なるエピタキシャル層が形成され、前記半導体多層膜を
基板側の反射鏡として用いる面発光型半導体レーザにお
いて、前記メサ部及び前記電流ブロック層上には電流通
路層が形成され、前記メサ部が形成されている領域の前
記電流通路層上には反射鏡が形成され、該反射鏡を囲む
ように前記電流通路上には電極層が形成され、前記基板
のうち前記活性層に対応する部分が除去され、該除去に
より露出される前記エピタキシャル層の表面に、ヒート
シンクを融着し、前記基板の上面側よりのみレーザ光を
出射することを特徴とする。
また本発明の第2発明に係る面発光レーザは、露出さ
れた前記エピタキシャル層の表面と前記ヒートシンクと
の間に、金属膜が介在されている。
〔作用〕
本発明では、活性層に対応する領域の基板が部分的に
除去され、露出したエピタキシャル層の表面にヒートシ
ンクが融着されている。従って、活性層とヒートシンク
との距離は短く、また基板側にヒートシンクが設けられ
ていて、基板上面からレーザ光が得られる。
〔実施例〕
以下、本発明をその実施例を示す図面に基づいて具体
的に説明する。
第1図は、本発明の第1発明に係る面発光レーザの構
造を示す断面図であり、図中1はn−GaAs基板を示す。
基板1上には、n−GaAsバッファ層2、n−エッチング
停止層(例えばn−Ga0.6 Al0.4 As)3、反射鏡とし
て作用するn−GaAlAs/AlAs半導体多層膜4、第1クラ
ッド層(n−GaAlAsクラッド層)5がこの順に積層され
ている。第1クラッド層5上には、p−GaAs活性層6及
び第2クラッド層(p−GaAlAsクラッド層)7からなる
メサ部が形成されており、このメサ部を埋込む態様に
て、第1クラッド層5上に、第1電流ブロック層(p−
GaAlAs埋込み層)8及び第2電流ブロック層(n−GaAl
As埋込み層)9がこの順に形成されている。第2クラッ
ド層7及び第2電流ブロック層9上には電流通路層10
(p−GaAlAs電流拡がり層)が積層されている。メサ部
が形成されている領域の電流通路層10上面には、反射鏡
14が形成されており、この反射鏡14を囲む態様にて、電
流通路層10上に、p−GaAsコンタクト層11及びp型電極
12がこの順に形成されている。活性層6に対応する領域
の基板1及びバッファ層2は除去されており、露出され
たエッチング停止層3の表面には、Siからなるヒートシ
ンク15がInからなる融着材16にて融着されている。ま
た、基板1の下面にはn型電極13が形成されている。
このような構成の面発光レーザの製造工程について説
明する。
まず基板1上に、例えばOMVPE法を用いて、バッファ
層2,エッチング停止層3,半導体多層膜4,第1クラッド層
5,活性層6,第2クラッド層7を順次成長させた後、選択
LPE法に用いて、第1,第2電流ブロック層8,9,電流通路
層10,コンタクト層11を順次成長させて活性層6を埋込
む。コンタクト層11の一部を除去し、反射鏡14,電極12
を形成する。その後、活性層6に対応する部分の基板1
及びバッファ層2をエッチング除去し、露出したエッチ
ング停止層3の表面に、融着材16を用いてヒートシンク
15を融着する。最後に基板1の下面に電極13を形成す
る。
本例においてヒートシンク15に使用するSiの熱伝導率
は1.5W/(K・cm)であって、GaAsの熱伝導率(0.47W/
(k・cm))の約3倍である。従って、本発明の面発光
レーザでは、第3図に示す従来例に比して熱放射効果を
大幅に増大でき、第4図に示す従来例と同等な熱放散特
性を実現でき、室温における連続発振が可能である。
そして本発明では、第3図に示す従来例と同様に、基
板側にヒートシンクを設けているので、第1図に示すよ
うに、レーザ光Lがウェハ表面から出力される。従って
予めウェハ表面上に電極パターンを形成しておくことに
より、素子分離は容易であり、また2次元への集積化及
び他の素子との集積化は可能である。
第2図は本発明の第2発明に係る面発光レーザの構造
を示す断面図である。なお第2図において第1図と同番
号を付した部分は同一部分を示す。
第2発明では、露出されたエッチング停止層3の表面
に、例えばCr,Auを重ね合せた金属膜17が蒸着形成され
ており、この金属膜17にSiからなるヒートシンク15がIn
からなる融着材16にて融着されている。金属膜17は、露
出された基板1の側面及びp型電極13にも形成されてい
る。なお、金属膜17は単一の金属(例えばAu)でもよ
い。
このような構造の面発光レーザを製造する際には、ま
ず第1発明例と同様に、基板にウェハを形成した後、活
性層6に対応する領域の基板1及びバッファ層2を除去
して一部のエッチング停止層3を露出させる。基板1下
面に電極13を蒸着した後、電子ビーム蒸着装置にて、露
出したエッチング停止層3の表面,基板1の側面,電極
13の表面に金属層17を蒸着させる。なお、この製造工程
において、電極13(例えばAu/Sn)と金属膜17とを同時
に形成することとしてもよい。
この第2発明にあっても、前述の第1発明と同様な効
果を有することは勿論である。エッチング停止層3及び
融着材16に対する金属膜17の密着性は良好であり、より
効率良く、活性領域にて生じた熱を外部に放散すること
ができる。
本実施例では、n−GaAs基板を使用したGaAs/GaAlAs
系の面発光レーザについて説明したが、これに限るもの
ではない。つまりp−基板を用いてもよく、また材料も
GaAs/GaAlAs系以外にIII−V族またはII−IV族半導体を
使用してもよい。
また本実施例では、ヒートシンクとしてSi、融着材と
してInを使用したが、他の材料を用いることとしてもよ
い。ヒートシンクとしては、Au,Cu,ダイヤモンド,CBN,A
lN,SiCを使用でき、融着材としては通常のAu系融着材等
を使用できる。
更に本実施例では、埋め込み構造の面発光レーザを例
として説明したが、他の構造の面発光レーザについても
同様の構成をなし得ることは勿論である。
〔発明の効果〕
以上詳述した如く、基板側の反射膜として半導体多層
膜を用いることで構成が簡略化され、また主な発熱源で
ある活性領域(活性層)直下にヒートシンクを配置でき
るので、十分な放熱特性を得ることができて、室温にお
ける連続発振が可能となり、しかも基板上面からレーザ
を得ることができて、素子分離が容易である等、本発明
は優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
第1図,第2図は本発明に係る面発光レーザの構造を示
す断面図、第3図,第4図は従来の面発光レーザの構造
を示す断面図である。 1……基板、2……バッファ層、3……エッチング停止
層、4……半導体多層膜、5……第1クラッド層、6…
…活性層、7……第2クラッド層、8……第1電流ブロ
ック層、9……第2電流ブロック層、10……電流通路
層、11……コンタクト層、12,13……電極、14……反射
鏡、15……ヒートシンク、16……融着材、17……金属膜
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 茨木 晃 大阪府守口市京阪本通2丁目18番地 三 洋電機株式会社内 (72)発明者 石川 徹 大阪府守口市京阪本通2丁目18番地 三 洋電機株式会社内 (56)参考文献 特開 昭63−119282(JP,A) 電子情報通信学会春季全国大会 C− 419(1989)P.4−208 (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) H01S 3/18

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】基板上に、半導体多層膜と、該半導体多層
    膜上に形成された活性層を含むメサ部と、該メサ部を囲
    む電流ブロック層とからなるエピタキシャル層が形成さ
    れ、前記半導体多層膜を基板側の反射鏡として用いる面
    発光型半導体レーザにおいて、 前記メサ部及び前記電流ブロック層上には電流通路層が
    形成され、前記メサ部が形成されている領域の前記電流
    通路層上には反射鏡が形成され、該反射鏡を囲むように
    前記電流通路上には電極層が形成され、前記基板のうち
    前記活性層に対応する部分が除去され、該除去により露
    出される前記エピタキシャル層の表面に、ヒートシンク
    を融着し、前記基板の上面側よりのみレーザ光を出射す
    ることを特徴とする面発光型半導体レーザ。
  2. 【請求項2】露出された前記エピタキシャル層の表面と
    前記ヒートシンクとの間に、金属膜が介在されている請
    求項1記載の面発光型半導体レーザ。
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