JP2799125B2 - コンクリート冷却設備 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この発明は、コンクリート冷却設
備に関し、特に、コンクリートの冷却によって排出され
る白煙中のモルタル成分による排気ダクト内の閉塞を防
止したコンクリート冷却設備に関する。

【０００２】

【従来の技術】暑中コンクリートやマスコンクリートの
施工を良好に仕上げるための方法として、液化窒素ガス
等の液化ガスを用いて混練時のコンクリートを冷却し、
当該冷却コンクリートを打設することによりコンクリー
トの硬化時の発熱を抑制せんとする方法がある。そし
て、上記液化ガスは冷却のための潜熱および顕熱が極め
て大きいので、当該液化ガスを用いて冷却コンクリート
を製造する場合には、小規模な設備で効率の良い冷却を
行うことができ、また、例えばコンクリートミキサー車
などに搭載したコンクリートに対しても、かかるコンク
リートを容易に冷却することができるという利点を有す
る。

【０００３】そして、この液化ガスによる冷却方法を適
用する具体的な設備として例えば冷却用ステーション方
式が提案されている。この方式は、混練時のコンクリー
トを冷却する手段の一例として、コンクリートミキサー
車をコンクリートの搬送途中で冷却用ステーションに立
ち寄らせ、そのアジテータ内にホッパーを通じて液化ガ
ス供給用ノズルを挿入し、液化ガスを注入しつつアジテ
ータを回転させて短時間でコンクリートを適正な温度に
冷却するものである。

【０００４】しかし、液化ガスは沸点が低く、気化した
ガスも相当の顕熱があり、極めて低温に保たれているた
め、ガスがホッパーから外部に拡散するとその周囲の空
気が急冷され、この結果微小な水滴，氷晶あるいはこれ
と微細モルタルの混ざった密度の濃い白煙がホッパーか
ら吹き出て周囲の視界を妨げ、屋外での周囲の交通の妨
げとなったり、作業員の作業にも支障を与え、火事と誤
解される原因にもなる。

【０００５】このため、この種の設備では液化ガス供給
装置とともに白煙を除去するための装置を並設する必要
があり、ステージからアジテータのホッパーに対向支持
されるフードを配置し、このフードをダクトに連通さ
せ、ダクトを介して例えば地表部側に設置された白煙を
除去するための装置等に導くようにしている。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
フードに連続する排気ダクトは、図４に示すように、冷
却装置１上に突出する垂直管２を曲管を介して上部水平
管３に接続し、ここから同じく曲管を介して垂直管４に
接続し、ここを通じて通じて地上部に下ろし、この地表
部で曲管を介して下部水平管５に接続し、この水平管５
を通じて白煙を除去するための装置６等に接続している
ため、特に上部水平管３や垂直管４が下部水平管５に接
続する部分に、白煙中に混入して排出されたコンクリー
ト中のモルタル分が低温状態にある当該ダクトの内周壁
に付着して堆積し易く、この堆積したモルタルによって
白煙のダクト内における流通抵抗が増すばかりか、その
まま放置しておいた場合、ダクトが閉鎖される惧れがあ
った。

【０００７】したがって、従来では定期的にダクト配管
を分解して前記接続部分や水平管の内部を清掃する必要
があり、メンテナンスが極めて面倒となっていた。

【０００８】この発明は以上の課題を解決するもので、
排気ダクト内におけるモルタルの堆積を防止するととも
に、排気ダクト内に流入したモルタルを容易に除去する
ことのできるコンクリート冷却設備を提供することを目
的とするものである。

【０００９】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、この発明のコンクリート冷却設備は、液化ガスが注
入されるアジテータの開口部に対向して開口配置された
白煙除去用のフードと、該フードの上部に一端を連通す
るととともに、曲折部を介して前記アジテータの側方に
鉛直に配管され、かつ地表側で水平に折曲配管される排
気ダクトとを備えたコンクリート冷却設備において、前
記曲折部を、前記フードの上部と前記排気ダクトの鉛直
配管部上部端との間を逆Ｕ字形に連結する逆Ｕ字管によ
り構成するとともに、前記排気ダクトの鉛直配管部接地
側端部には開閉可能な掃除用扉を有するボックスを介在
させたことを特徴とするものである。

【００１０】

【作用】以上の構成による冷却設備にあっては、フード
とダクトの鉛直配管部とを連通させるダクトの曲折部は
逆Ｕ字管により構成されているため、モルタルの滞留ゾ
ーンとなる水平な箇所がなく、したがって、当該曲折部
はモルタルが付着堆積しにくい構造となっている。ま
た、排気ダクトの鉛直配管部接地側端部に介在させたボ
ックスからは、前記逆Ｕ字管に堆積することなく落下し
たモルタルを容易に排除することができる。

【００１１】

【実施例】以下この発明の一実施例を図面を用いて詳細
に説明する。図１，図２はこの発明を適用したドライブ
スルー方式の冷却用ステーション１０を示すものであ
る。なお、この実施例では、冷却設備の一例としての冷
却用ステーション１０によりコンクリートミキサー車Ｃ
内のコンクリートを冷却する場合について記載するが、
この発明はかかる実施例に限定されるものではなく、例
えば固定式のミキサーやその他の混練り装置のアジテー
タ内のコンクリートを冷却する場合にも、容易に適用す
ることができる。

【００１２】図における冷却用ステーション１０は組立
式枠組み構造であって、パイプ材の上端をヒンジ結合し
たＡ形の一対の側部フレーム１２と、両側部フレーム１
２の頂部及び中間部を連結するパイプフレーム１４と、
各側部フレーム１２の中間部および下部にボルト結合な
どによって一体化された補強パイプ１６，１８と、中間
部の補強パイプ１６の上部に配置された中間ステージ２
０と、前記パイプフレーム１４に一体的に配置された上
部ステージ２２とからなるもので、正面から見て門型を
した組立解体が簡単なフレーム構造であり、中間ステー
ジ２０と両側部フレーム１２によって囲われる空間内を
コンクリートミキサー車Ｃが前後を通じて通過する大き
さに枠組みされている。

【００１３】中間ステージ２０上にはノズル装置２４が
配置されている。ノズル装置２４は中間ステージ２０上
にブラケット２６を介して揺動可能に支持された油圧シ
リンダ２８と、シリンダ２８に一端を接合され、他端を
前記中間ステージ２０に連結した角度調整用のジャッキ
３０と、シリンダ２８に進退可能に挿通された中空プラ
ンジャ３２と、中空プランジャ３２の内周に配置され、
中間ステージ２０の前方下部に突出して設けられた液化
ガス供給用ノズル３４とからなっている。

【００１４】このノズル３４の後端はフレキシブルホー
ス３６などを介してＬＮ₂ ガス供給装置３８に接続され
ている。

【００１５】そして、中間ステージ２０の前部側下部に
は、図２にも示すように、白煙除去用フード４０が配置
されており、フード４０の両側は、上端を上部ステージ
２２に連結した昇降用の一対の油圧シリンダ４２に連結
されている。

【００１６】また、フード４０の上部には筒部４０ａが
一体に突設されており、この筒部４０ａは上部ステージ
２２に固定された固定筒部４０ｂの下部にスライド可能
に挿通され、排気ダクト４４を通じて地表部側に連通し
ている。

【００１７】排気ダクト４４は、前記固定筒部４０ｂに
一方の下端をフランジ結合された逆Ｕ字管４４ａと、該
逆Ｕ字管４４ａの他端に接続され、かつ一方の側部フレ
ーム１２の側面に沿って地表部まで鉛直に配管された垂
直管４４ｂと、該垂直管４４ｂの地表部側端部に接続さ
れたボックス４４ｃと、該ボックス４４ｃの他端側に水
平に接続された水平管４４ｄとからなり、水平管４４ｄ
の他端側は地表部に配置された白煙除去装置４６に接続
している。

【００１８】ボックス４４ｃは前記垂直管４４ｂと水平
管４４ｄとの交差箇所にその上部及び側端面を接続した
もので、図３に断面図として示すように、その中空内部
４８をモルタル溜りとしている。また、側面には掃除用
扉５０を開閉可能に設け、前記逆Ｕ字管から落下して中
空内部４８に堆積するモルタルは扉５０を開けることに
より除去可能としている。

【００１９】白煙除去装置４６は、図示しないが例えば
前記水平管４４ｄに直列接続されたモルタル除去用のフ
ィルタ、吸引用ファン、加熱手段、排気用煙突などを備
えたものである。

【００２０】なお、図中５２は上部ステージ２２と中間
ステージ２０および中間ステージ２０と地表を結ぶタラ
ップ、５４は各ステージ２０，２２に設けられた手摺で
ある。

【００２１】次に以上の構成におけるコンクリート冷却
作業を説明する。まず、図１において、ノズル３４が後
退位置に位置し、フード４０が上昇位置に位置している
状態では、コンクリートミキサー車Ｃが冷却用ステーシ
ョン１０の後部側から前進して内部を通過することがで
きる。コンクリートミキサー車Ｃが指定された停車位置
で停車すると、そのアジテータＣ１のホッパーＣ２は前
記ノズル３４の斜め前方であって、フード４０の直下に
位置する。

【００２２】したがって、停車後油圧シリンダ２８を駆
動してプランジャ３２を前進させるとノズル３４はホッ
パーＣ２を通じてアジテータＣ１の内部に挿通される。
なお、必要に応じて角度調整用のジャッキ３０により侵
入角度を調整する。

【００２３】次に、油圧シリンダ４２を駆動してフード
４０を下降させることにより、ホッパーＣ２の開口は塞
がれることになる。

【００２４】以上の準備操作終了後、ミキサー車Ｃのア
ジテータＣ１を回転さた状態で、ＬＮ₂ ガス供給装置３
８を駆動すれば、ＬＮ₂ はコンクリート内部に吐出しコ
ンクリートと練りまぜられ、これを冷却する。

【００２５】これと同時に白煙除去装置４６が稼動さ
れ、これの吸引力によって白煙はフード４０から筒部４
０ａ，４０ｂおよび排気ダクト４４の逆Ｕ字管４４ａ−
垂直管４４ｂ−ボックス４４ｃ−水平管４４ｄを通じて
白煙除去装置側４６側に吸引され、例えば加熱などによ
る透明化処理などを行った上で外部に放出される。

【００２６】以上の白煙の流通過程において、逆Ｕ字管
４４ａによる曲管構造により、白煙の取入口側において
は、図２の矢印に示すように、気流は排気ダクト４４の
最上部において逆Ｕ字管４４ａの曲面に沿って流れ、し
たがって、排気ダクト４４内を流通する白煙内に混入さ
れたモルタル分が滞留するゾーンは、当該曲折部として
の逆Ｕ字管４４ａ内においては存在しない。

【００２７】すなわち、逆Ｕ字管４４ａ内において付着
堆積しようとするモルタルは、その重力により、逆Ｕ字
管４４の曲面部および垂直管４４ｂを経て地表部におけ
る垂直管４４ｂと水平管４４ｄの交差箇所に落下し、当
該交差箇所に設けたボックス４４ｃの中間内部４８内に
順次堆積する。したがって定期的にボックス４４ｃの掃
除扉５０を開いてモルタルを取り出すことにより、ダク
ト内のモルタルを容易に除去することができる。

【００２８】冷却作業を完了したならば、各装置３８，
４６を停止し、ふたたびフード４０を上昇位置に戻し、
ノズル３４を後退位置に位置させれば、このままの状態
でミキサー車Ｃを前進側に発車させることができる。

【００２９】なお、以上の実施例ではこの発明をコンク
リートミキサー車用のドライブスルー方式のコンクリー
ト冷却ステーションに適用した場合を示したが、この発
明はかかる実施例に限定されるものではない。

【００３０】

【発明の効果】以上詳細に説明したように、この発明に
よるコンクリート冷却設備にあっては、フードとダクト
の鉛直配管部とを連結する排気ダクトの曲折部が逆Ｕ字
管により構成されるため、モルタルの滞留ゾーンとなる
水平な箇所がなく、したがって排気ダクト内におけるモ
ルタルの堆積を容易に防止することができるとともに、
排気ダクトの鉛直配管部接地側端部に介在させたボック
スにより、排気ダクト内に流入したモルタルを容易に除
去することができる。したがって、装置のメンテナンス
を容易に行うことができるとともに、冷却作業の稼動率
を向上させることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】この発明の一実施例にかかる冷却用ステーショ
ンの側面図である。

【図２】同正面図である。

【図３】図２のＡ−Ａ線における拡大図断面図である。

【図４】従来の排気ダクトの配管構造及びその不具合を
示す説明図である。

【符号の説明】

１０ 冷却用ステーション（コンクリート冷却設備） ２０ 中間ステージ ２２ 上部ステージ ３８ ＬＮ₂ ガス供給装置 ４０ 白煙除去用フード ４４ 排気ダクト ４４ａ Ｕ字管 ４４ｂ 垂直管 ４４ｃ ボックス ４４ｄ 水平管 ４６ 白煙除去装置 ５０ 掃除用扉

フロントページの続き (72)発明者 安田 敏夫 東京都千代田区神田司町２丁目３番地 株式会社大林組東京本社内 (56)参考文献 特開 平２−137904（ＪＰ，Ａ) 実開 平４−100817（ＪＰ，Ｕ) (58)調査した分野(Int.Cl.⁶，ＤＢ名) B28C 5/00 - 5/46

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 液化ガスが注入されるアジテータの開口
   部に対向して開口配置された白煙除去用のフードと、該
   フードの上部に一端を連通するととともに、曲折部を介
   して前記アジテータの側方に鉛直に配管され、かつ地表
   側で水平に折曲配管される排気ダクトとを備えたコンク
   リート冷却設備において、 前記曲折部を、前記フードの上部と前記排気ダクトの鉛
   直配管部上部端との間を逆Ｕ字形に連結する逆Ｕ字管に
   より構成するとともに、前記排気ダクトの鉛直配管部接
   地側端部には開閉可能な掃除用扉を有するボックスを介
   在させたことを特徴とするコンクリート冷却設備。