JP2797890B2 - 複合半導体装置 - Google Patents

複合半導体装置

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JP2797890B2 JP5100712A JP10071293A JP2797890B2 JP 2797890 B2 JP2797890 B2 JP 2797890B2 JP 5100712 A JP5100712 A JP 5100712A JP 10071293 A JP10071293 A JP 10071293A JP 2797890 B2 JP2797890 B2 JP 2797890B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、絶縁ゲート電極でオ
ン,オフできる半導体装置において、オン時の抵抗損失
が小さく、特に高耐圧または大電流化に適した複合半導
体装置に関する。
【0002】
【従来の技術】インバータ装置を始めとする電力変換器
の高性能化の要求から、高速,低損失の半導体スイッチ
ング素子の開発が望まれている。近年、これに応える半
導体装置としてIGBT(Insulated Gate Bipolar Tra
nsistor)が注目されている。IGBTはMISFET(Metal
Insulator Semiconductor Field Effect Transistor)
に比較し、低いオン電圧が実現できる特長がある。また
GTOサイリスタ等の電流制御型素子に比較し、高速性
に優れており、ゲート回路が簡便で小型化できるなどの
利点から、比較的小容量のインバータ装置を中心にその
応用範囲を広げつつある。
【0003】このようなIGBTは、例えばアイ・エス
・ピー・エス・ディー(1991年)第220−第225
頁(Proceedings of 1991 International Symposium on
Power Semiconductor Device & ICs,Tokyo,pp.220−
225)おいて論じられている。図13にその概略断面
構造を示す。図において、400は主表面411に隣接
するn-層、401はn-層400に隣接するそれより高
不純物濃度を有するn層、402はn層401及び主表
面412に隣接するp+ 層、403は主表面411から
n- 層400内に延びそれより高不純物濃度を有するp
層、404は主表面411からp層403内に延びそれ
より高不純物濃度を有するn+ 層、405は主表面41
1においてn+ 層404及びp層403に接触するカソ
ード電極、406は主表面412においてp+ 層402
に接触するアノード電極、407は主表面411の少な
くともp層403上に絶縁膜408を介して形成された
絶縁ゲート電極である。この半導体装置は、p+層40
2,n-層400,p層403から成るpnpトランジ
スタ(Q1)と、n-層400,p層403,n+層40
4から成るnpnトランジスタ(Q2)と、絶縁ゲート
電極407,n+層404,p層403,n-層400か
らなるnチャネルMISFET(M1)を有している。通常、p
層403の横方向抵抗rは十分に小さく設計されるので
npnトランジスタ(Q2)が動作することはない。即
ち、このような半導体装置はMISFETとpnpトランジス
タを複合したものとみなせる。図14は図13の半導体
装置の等価回路を示す。以下、図13及び図14を用い
て動作原理を述べる。まず、半導体装置をターンオンさ
せるには、カソード電極405に負の電位、アノード電
極406に正の電位を印加し、絶縁ゲート電極407に
カソード電極405よりも正側に大きい電位を加える。
これにより絶縁ゲート電極407下のp層403表面に
反転層(チャネル)が形成され、n+層404とn-層4
00が短絡されnチャネルMISFET(M1)がオンする。こ
の結果、カソード電極405からnチャネルMISFET
(M1)を通して注入された電子(MIS電流)がn-層4
00を通過しp+ 層402に流れ込むと、p+層402
よりホールがn-層400へ注入される。このキャリア
蓄積によりn-層400の電導率変調が起こり、n-層4
00の抵抗Rが低下し、半導体装置がオン状態となる。
前述したようにp層403の横方向抵抗rは十分に小さ
く設計されるので、n+層404,p層403,n-層4
00,p+層402(Q1,Q2)からなる寄生サイリス
タは極めて動作しづらくなっている。
【0004】一方、半導体装置をターンオフするには、
絶縁ゲート電極407の電位をカソード電極405と同
電位にするか、或いはカソード電極405の電位よりも
負の電位にすることで、絶縁ゲート電極407の下のp
層403表面の反転層が消滅し、n+層404からの電
子注入が遮断される結果、p+層402からのホール注
入もなくなり、半導体装置はオフ状態になる。
【0005】かかるIBGTは、p+層402からのホ
ール注入によりn-層400の電導率変調が起こるの
で、MISFETに比較し低いオン電圧が実現できる特長があ
る。また、バイポ−ラトランジスタのエミッタとなるn
+ 層404からの電子がゲート電位により瞬時に注入ま
たは遮断されるのでMISFETに近い高速スイッチングが可
能になる。
【0006】また、近年絶縁ゲート電極でサイリスタを
制御する新しいタイプの半導体装置が提案されており、
例えばアイ・エス・ピー・エス・ディー(1992年)
第256−第260頁(Proceedings of 1992 Inter-nat
ional Symposium on PowerSemiconductor Device & IC
s,Tokyo,pp.256−260)おいて論じられている。
図16は上記文献のFig.1に記載されている半導体
装置で、主表面511に隣接するn-層500,n-層5
00に隣接しそれより高不純物濃度を有するn層50
1,n層501及び主表面512に隣接しn層501よ
り高不純物濃度を有するp1+層502,主表面511か
らn-層500内に延びn-層500より高不純物濃度を
有するp2+層503,p2+層503に隣接し主表面51
1からn-層500内に延びn-層500とp2+層503
との間の不純物濃度を有するp-層504,主表面51
1からp2+層503及びp-層504内に延びp2+ 層5
03より高不純物濃度を有するn1+層505,n1+層5
05から離れた個所において主表面511からp-層5
04内に延びp-層504より高不純物濃度を有するn2
+層506,n1+層505及びp2+層503に接触する
カソード電極,p1+層502に接触するアノード電極5
10,n1+層505とn2+層506との間に露出するp
- 層504の露出面上に絶縁膜を介して形成された第1
の絶縁ゲート電極G1 ,n-層500とn2+層506と
の間に露出するp-層504の露出面上に絶縁膜を介し
て形成された第2の絶縁ゲート電極G2 から構成されて
いる。この半導体装置は、p1+層502,n-層50
0,p-層504からなるpnpトランジスタ(Q1
と、n-層500,p-層504,n2+層506からなる
npnトランジスタ(Q2)とで構成されるサイリスタを
内蔵している。また、第1の絶縁ゲート電極G1,n1+
層505,p-層504,n2+層506からなるnチャ
ネルMISFET(M1)と第2の絶縁ゲート電極G2,n2+層
506,p-層504,n- 層500からなるnチャネ
ルMISFET(M2)を有している。更に、寄生素子として、
1+層505,p2+層503,n- 層500,p1+層5
02からなる寄生サイリスタを含んでいる。
【0007】図17は図16の半導体装置の等価回路を
示す。以下、図16及び図17を用いて動作原理を述べ
る。まず、半導体装置をターンオンさせるにはカソード
電極509に負の電位、アノード電極510に正の電位
を印加し、第1及び第2の絶縁ゲート電極G1,G2にカ
ソード電極509よりも正側に大きい電位を印加する。
これにより第1及び第2の絶縁ゲート電極G1,G2の下
のp- 層504の表面に反転層が形成され、n1+層50
5,n2+層506及びn- 層500が短絡され、nチャ
ネルMISFET(M1)及び、nチャネルMISFET(M2)がオン
する。この結果、カソード電極509からnチャネルMI
SFET(M1)及びnチャネルMISFET(M2)を通して注入さ
れた電子(MIS電流)がn-層500を通過しp1+層
502に流れ込むと、p1+層502よりホールがn- 層
500へ注入される。このホール電流がp-層504に
達してカソード電極509へ流れると、p-層504の
横方向抵抗r2によって電位差が生じる。この電位差が
p-層504とn2+層506の拡散電位(シリコンでは室
温では約0.7V)を超えると、n2+層506から電子
が直接n- 層500に注入されるようになり、Q1とQ2
からなるサイリスタが点弧し、半導体装置がオン状態と
なる。尚、抵抗r1 はp2+層503が高不純物濃度であ
るため十分に小さく、Q3とQ4からなる寄生サイリスタ
はオンしづらい。一方、ターンオフするには、第1及び
第2の絶縁ゲート電極G1,G2の電位をカソード電極5
09と同電位にするか或いはカソード電極509の電位
よりも負の電位にすることで、第1及び第2の絶縁ゲー
ト電極G1及びG2の下のp- 層504表面の反転層が消
滅し、n2+層506からの電子の注入が遮断される結
果、p1+層502からのホール注入もなくなり、半導体
装置はオフ状態になる。
【0008】このような半導体装置の特徴は、サイリス
タ動作を用いることにより、カソード電極509からn
チャネルMISFET(M1)を通して供給される電子が、n2+
層506の横方向に広がって流れるため、導通時のオン
電圧(抵抗損失)を従来のIGBTに比べて小さくでき
ることにある。また、絶縁ゲート電極への電位の印加・
除去によってオン・オフすることができ、従来のIGB
Tと同様にゲート回路が極めて簡略化される特長を有し
ている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述の
半導体装置の内IGBTは高耐圧化及び大電流化が難し
いことから、大容量のインバータ装置への適用が難しい
という問題点を持っている。図15にIGBTの定常オ
ン状態でのカソード側の電流流線シミュレーション結果
を示す。カソード電極405から反転層(nチャネル)
を通してn- 層400に流入する電子は、ゲート電極4
07直下のn- 層400表面に形成されるn+蓄積層で
若干横方向に広がるが、n+蓄積層の抵抗が大きいため
十分には広がりきらない。従って、カソード電極405
から遠いところ(図15では右側の絶縁ゲート電極の
下)では電流が流れ難く、このためオン電圧が大きくな
る。一方、p層403の下部領域もn- 層400の電位
降下による空乏化のため電流が流れ難い。この現象は、
n- 層400の不純物濃度が低い高耐圧のもの程顕著に
なる。即ち、高耐圧になるもの程ゲート長を長くする必
要があり、この結果上記横方向への電流広がりが更に悪
くなる。換言すれば、カソード側からの電子の供給が少
なく、電導率変調効果が小さい。このため、IGBTで
は高耐圧化するとオン電圧の増加が著しく、大容量化が
難しい問題があった。
【0010】また、上述のMISゲート型サイリスタ
は、点弧しづらいという問題がある。従来装置では、前
述したようにターンオン時にまず絶縁ゲート電極G1
2の下のp-層504表面に反転層が形成され、nチャ
ネルMISFET(M1)及びnチャネルMISFET(M2)がオン
し、n1+層505,n2+層506,n- 層500が短絡
される。この結果、カソード電極509からn- 層50
0に注入される電子(MIS電流)は、図17の等価回
路からも明らかなように、M1及びM2の2つのMISFETの
反転層(チャネル)を通らなければならず、このチャネ
ル抵抗によって電子電流が制限される。従って、p1+層
502からのホール電流も小さいため、Q1 及びQ2
らなるサイリスタが点弧しづらい。これを防ぐために、
2のエリア(チャネル幅)を大きくするか、或いはn2
+層506のエリアを小さくする方法もあるが、これは
半導体装置全体に占める主電流を流すサイリスタ領域の
面積を小さくすることであり、導通時の抵抗損失(オン
電圧)が大きくなってしまい、従来のIGBTと同様な
問題が生ずる。
【0011】本発明の目的は、従来の欠点を除去して、
導通時の抵抗損失(オン電圧)が小さく、高耐圧化に適
した絶縁ゲート電極を有する複合半導体装置を提供する
ことにある。
【0012】本発明の他の目的は、以下の実施例の説明
から明らかとなろう。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明複合半導体装置の
特徴とするところは、IGBT領域とサイリスタ領域が
半導体基体内に隣接配置され、半導体基体の両主表面に
一対の主電極が設けられ、IGBT領域は一対の主電極
に直接接続され、サイリスタ領域のカソード側の端部領
域はIGBT領域に存在するMISFET領域を介して
カソード側の主電極に接続され、アノード側の端部領域
はアノード側の主電極に直接接続されている構成とした
点にある。
【0014】本発明複合半導体装置の特徴を具体的にい
えば、一対の主表面を有し、一方導電型の第1の半導体
層と、一方の主表面及び第1の半導体層とに隣接し第1
の半導体層より高不純物濃度を有する他方導電型の第2
の半導体層と、他方の主表面から第1の半導体層内に延
び第1の半導体層より高不純物濃度を有する他方導電型
の第3の半導体層と、他方の主表面から第3の半導体層
内に延び第3の半導体層より高不純物濃度を有する一方
導電型の第4の半導体層と、他方の主表面から第1の半
導体層内に延び一部が第3の半導体層に接し第4の半導
体層から離れ第3の半導体層より高不純物濃度を有する
一方導電型の第5の半導体層と、第1の半導体層及び第
5の半導体層との間に位置し第3の半導体層から離れ第
1の半導体層と第5の半導体層との間の不純物濃度を有
する他方導電型の第6の半導体層とを有する半導体基
体,半導体基体の一方の主表面において、第2の半導体
層に低抵抗接触する第1の主電極,半導体基体の他方の
主表面において、第3の半導体層及び第4の半導体層に
低抵抗接触する第2の主電極,半導体基体の他方の主表
面において、第4の半導体層と第5の半導体層との間に
露出する第3の半導体層表面に絶縁膜を介して形成され
た制御電極を具備する点にある。
【0015】本発明の他の特徴は以下の実施例の説明か
ら明らかとなろう。
【0016】
【作用】本発明複合半導体装置によれば、IGBT領域
にサイリスタ領域を最良の形で複合化したことにより、
点弧特性を損なうことなく、カソード電極からMISチ
ャネルを通って供給される電子がサイリスタ領域に十分
に広がって流れるので、オン電圧が十分低くできる。即
ち、IGBT領域のpベース層とサイリスタ領域のpベ
ース層を分離して設け、サイリスタ領域のnエミッタ層
が部分的にnベース層に接するようにしたことにより、
IGBT領域に存在する一個のMISFETでIGBT
電流とサイリスタ電流を制御できる。即ち、サイリスタ
領域を点弧させるに必要なMIS電流がMISFETの
チャネル抵抗を一つだけしか介さないので、小さなIG
BT(またはMIS)領域で容易にサイリスタを点弧で
きる。また、サイリスタ領域もMISFETのチャネル
抵抗を一つだけしか介さないので、十分に低いオン電圧
が実現できる。
【0017】
【実施例】以下、本発明を実施例として示した図面を用
いて詳細に説明する。
【0018】図1は本発明複合半導体装置の一実施例を
示す概略断面図である。図において、1は一対の主表面
11,12と、両主表面から離れて形成され第1の層部
分131(n-)及び第1の層部分131に隣接しそれよ
り高不純物濃度を有する第2の層部分132とからなる
n層13と、n層13の第2の層部分132と主表面1
2に隣接し第2の層部分132より高不純物濃度を有す
るp1+層14と、主表面11及びn層13の第1の層部
分131に隣接し第1の層部分131より高不純物濃度
を有する第1の層部分151と主表面11から第1の層
部分151内に延びそれより高不純物濃度を有する第2
の層部分152とからなるp層15と、主表面11から
p層15内に延び大部分が第2の層部分152に隣接す
る第2の層部分152より高不純物濃度を有するn1+層
16と、主表面11に隣接しn層13の第1の層部分1
31及びp層15の第1の層部分151内に延び両者よ
り高不純物濃度を有するn2+層17と、p層15の第1
の層部分151から離れn層13の第1の層部分131
とn2+層17との間に形成され両者の間の不純物濃度を
有するp- 層18とを具備する半導体基体である。2は
半導体基体の主表面11においてn1+層16及びp層1
5の第2の層部分152に低抵抗接触したカソード電
極、3は半導体基体の主表面12においてp1+層14に
低抵抗接触したアノード電極、4は半導体基体の主表面
11においてn1+層16とn2+層17との間に露出する
p層15の第1の層部分151の表面上に絶縁膜5を介
して載置した絶縁ゲート電極である。p層15の第2の
層部分152は絶縁ゲート電極4から離れた個所におい
てn1+層16に隣接し、p- 層18は絶縁ゲート電極4
から離れた個所においてn2+層17に隣接している。こ
の複合半導体装置は、p1+層14,n層13,p-層1
8で構成されるpnpトランジスタ(Q1)と、n層1
3,p-層18,n2+層17で構成されるnpnトラン
ジスタ(Q2)からなるサイリスタを内蔵している。更
に、絶縁ゲート電極4,n1+層16,p層15の第1の
層部分151,n2+層17からなるnチャネルMISFET
(M1)と、n1+層17,p層15,n層13からなるn
pnトランジスタ(Q3)と、p層15,n層13,p1+
層14からなるpnpトランジスタ(Q4)から構成され
るIGBT領域が存在する。即ち、図1の複合半導体装
置は、図2の等価回路で示すようにIGBTとサイリス
タをカソ−ド側で共通のnチャネルMISFET(M1)で接続
した複合装置とみなすことができる。
【0019】以下、図1及び図2を用いて動作原理を述
べる。まず、複合半導体装置をターンオンさせるには、
カソード電極2に負の電位、アノード電極3に正の電位
を印加し、絶縁ゲート電極4にカソード電極2よりも正
に大きい電位を加える。これにより絶縁ゲート電極4の
下のp層15の第1の層部分151表面に反転層(チャ
ネル)が形成され、n1+層16とn2+層17とがn層1
3の第1の層部分131の反転層を介して接続され、所謂
nチャネルMISFET(M1)がオンする。この結果、カソー
ド電極2からnチャネルMISFET(M1)を通して注入され
た電子(MIS電流)がn層13を通過してp1+層14
に流れ込み、npnトランジスタ(Q1)が動作し、p1+
層14よりホールがn層13へ注入される。このホール
電流がp層15へ流れ込むと、p層15の電位がもち上
がる(これはp層15とn2+層17が極めて大きな抵抗
roで結ばれていると見なすことができる)。この電位
差がp層15とn2+層17の拡散電位(シリコンでは室
温では約0.7V)を超えるとnpnトランジスタ
(Q2)が動作し、n2+層17から電子が直接にn層13
に注入されるようになる。この結果、npnトランジス
タ(Q1)と(Q2)からなるサイリスタが点弧し、複合
半導体装置がオン状態となる。尚、抵抗r2 はp層15
の第2の層部分152が高不純物濃度であるため十分に
小さく、n1+層16,p層15の第2の層部分152,
n層13,p1+層14からなる寄生サイリスタは極めて
オンしづらい。また、比較的高不純物濃度のn層13の
第2の層部分132はnpnトランジスタ(Q1)及び
(Q2)のホール注入効率を抑えるものであり、寄生サ
イリスタのラッチアップ防止やターンオフ時のテール電
流により生ずる損失を低減する目的で設けられたもので
ある。従って、その不純物濃度や厚みは、必要とされて
いる複合半導体装置の特性によって設定されるべきもの
であり、ホール注入効率を抑えるものなら他の手段を用
いてもよい。例えばn層13の第2の層部分132が部
分的にアノード電極3に短絡している構造や、p1+層1
4とn層13の接合近傍の第2の層部分132に少数キ
ャリアのライフタイムを下げる手段を備えてもよい。
【0020】一方、ターンオフするには、絶縁ゲート電
極4の電位をカソード電極2と同電位にするか、或いは
カソード電極2の電位よりも負の電位にすることで、絶
縁ゲート電極4下のp層15の第1の層部分151表面
の反転層が消滅し、n1+層16からn2+層17への電子
注入が遮断されると同時に、n2+層17からn層13へ
の電子注入が遮断される。この結果、p1+層14からの
ホール注入もなくなり、複合半導体装置はオフ状態にな
る。
【0021】図1の複合半導体装置の定常オン状態での
カソード電極2側の電流流線シミュレーション結果を図
3に示す。IGBTにサイリスタ領域を最良の形で付加
したことにより、図15に示した従来のIGBTの電流
流線と比較して、カソード電極2からMISチャネルを
通って供給される電子がサイリスタ領域に十分に広がっ
て一様に流れるのが分かる。このためオン電圧が十分低
くできる。また、IGBT領域に位置するp層15の第1の
層部分151とサイリスタ領域に位置するp-層18と
が分離しているため、サイリスタ領域のn2+層17が部
分的にn層13に接するようにしたことにより、一つの
nチャネルMISFET(M1)でMIS電流とサイリスタ電流
を制御できる。即ち、サイリスタを点弧させるに必要な
MIS電流がnチャネルMISFET(M1)のチャネル抵抗を
一つだけ通ればよく、また、サイリスタ部もチャネル抵
抗を一つだけしか通らないので、小さなMISFET領
域(チャネル幅)で容易にサイリスタを点弧できる。M
ISFET領域(チャネル幅)を小さくできることは、
素子全体に占めるサイリスタ領域の面積を大きくできる
ことであり、オン電圧の十分な低減が可能となる。即
ち、高耐圧化または大電流化が容易に達成できることに
なる。更に、従来装置よりも絶縁ゲート電極の面積を格
段に小さくできるので、ゲートの充放電電流が小さくて
済み、スイッチング動作の高速化とゲート回路の小型化
が図れるという利点もある。
【0022】また、図1の複合半導体装置は、絶縁ゲー
ト電極への電位の印加・除去によって容易にオン・オフ
することができ、nチャネルMISFET(M1)の飽和特性を
利用しているので、サイリスタ動作であるにも係らず、
限流作用を持つという特徴がある。通常、図1の構造を
1つのセルとして、これを同一の半導体基体に数百から
数万個集積化して並列動作をさせるようにして製品化さ
れる。この時、限流作用を各セルがもっていると1つの
セルに電流が集中することなく、均一に各セルが電流を
分担するため、電流集中による半導体装置の破壊を防止
できる。即ち、従来装置よりも大きな電流を極めて簡略
化されたゲート回路で半導体装置を破壊することなくオ
ン・オフ制御できる利点がある。
【0023】図4は、図1の実施例と同じ半導体装置の
単位セルの具体例を示す平面図及び断面鳥瞰図である。
図1と異なる部分のみを説明する。カソード電極2はn
1+層16,p層15の第2の層部分152とそれぞれオ
ーミック接触し、絶縁ゲート電極4及びn2+層17とは
それぞれ絶縁膜6によって電気的に絶縁されて、主表面
11全面に設けられている。但し、図面では絶縁ゲート
電極の形状が分かり易いように、カソード電極2及び絶
縁膜6を部分的に除去して示してある。このようにする
ことによって、カソード電極2の微細な加工が不要であ
るばかりでなく、カソード電極2から各セルのn1+層1
7及びp層15の第2の層部分152までの電気抵抗を
小さくできる。また、半導体基体1からの放熱効率もよ
くなる効果がある。尚、本図に示す左右の絶縁ゲート電
極2は、独立のものではなく図示以外の個所で互いに接
続されているものである。
【0024】図5は本発明の他の実施例を示す概略断面
図である。この複合半導体装置と図4のそれとの相違点
は、図の左側ではn2+層17がp- 層18によって包囲
されていること、及びp層15の第1の層部分151が
n層13の第1の層部分131によってp-層18から離れ
ていることで、右側ではp-層18とp層15の第1の
層部分151とが接触するように形成したことでそれぞ
れ相違している。絶縁ゲート電極4のゲート長は左側に
配置されている部分41が右側に配置されている部分4
2のそれより長く形成されている。この実施例の複合半
導体装置は、p1+層14,n層13,p層15で構成さ
れるpnpトランジスタ(Q1)と、n層13,p層1
5,n2+層17で構成されるnpnトランジスタ
(Q2)からなるサイリスタを内蔵している。更に、絶
縁ゲート電極4の左側の部分41,n1+層16,p層1
5,n層13から構成されるnチャネルMISFET(M1
と、絶縁ゲート電極4の左側の部分42,n1+層16,
p層15,n層13,p1+層14(Q3,Q4)からなる
IGBT領域と、左側の絶縁ゲート電極4,n層13,
p- 層18,n2+層17で構成されるnチャネルMISFET
(M2)と、絶縁ゲート電極4の右側の部分42,n1+層
16,p層15の第1の層部分151,n2+層17で構
成されるnチャネルMISFET(M3)を有している。即ち、
IGBTとサイリスタを複合した半導体装置とみなせ
る。図6は図5の複合半導体装置の等価回路を示す。
【0025】以下、図5及び図6を用いて動作原理を述
べる。まず、この複合半導体装置をターンオンさせるに
は、カソード電極2に負の電位、アノード電極3に正の
電位を印加し、絶縁ゲート電極4にカソード電極2より
も正に大きい電位を加える。これにより、カソード電極
2からnチャネルMISFET(M1)を通して注入された電子
(MIS電流)がn層13を通過し、p1+層13に流れ
込むとpnpトランジスタ(Q1)が動作し、p1+層13
よりホールがn層13に注入される。このホール電流が
p-層18へ流れ込むと、p-層18の抵抗r2の電圧降
下により、p-層18の電位が上昇する。p-層18の電
位がp-層18とn2+層17との間の拡散電位を超える
と、n1+層16からnチャネルMISFET(M3)を通してn
2+層17に流れ込んだ電子がnpnトランジスタ(Q2
の動作でn層13に注入されるようになる。これと同時
にn1+層16からnチャネルMISFET(M1)とnチャネル
MISFET(M2)を通してn2+層17に流れ込んだ電子がn
pnトランジスタ(Q2)の動作でn層13に注入され
る。この結果、p1+層14からのホール注入が更に増大
し、pnpトランジスタ(Q1)とnpnトランジスタ
(Q2)からなるサイリスタが点弧し、複合半導体装置
がオン状態となる。尚、抵抗r2 はp層15の第2の層
部分152が高不純物濃度であるため十分に小さく、n
1+層16,p層15の第2の層部分152,n層13,
1+層13からなる寄生サイリスタは極めてオンしづら
い。
【0026】一方、ターンオフするには、絶縁ゲート電
極4の電位をカソード電極2と同電位にするか或いはカ
ソード電極2の電位よりも負の電位にすることで、nチ
ャネルMISFET(M1),nチャネルMISFET(M2),nチャ
ネルMISFET(M3)がオフし、n1+層16からn層13へ
の電子電流と、n1+層16からn2+層17への電子電流
が遮断され、n2+層17からn層13への電子注入が遮
断される。この結果、p1+層14からのホール注入もな
くなり、複合半導体装置はオフ状態になる。
【0027】この実施例の複合半導体装置は、サイリス
タを点弧させるに必要なMIS電流がnチャネルMISFET
(M1)のチャネル抵抗を一つだけ通ればよく、また、サ
イリスタの電子電流も少なくともnチャネルMISFET
(M3)のチャネル抵抗の一つを通ればよいので、小さな
MISFET領域(チャネル幅)で容易にサイリスタが
点弧し、その電圧降下は十分に小さくできる。MISF
ET領域(チャネル幅)を小さくできることは、素子全
体に占めるサイリスタ領域の面積を大きくできることで
あり、オン電圧の十分な低減が可能となる。即ち、高耐
圧化、または大電流化が容易に達成できる。
【0028】また、この実施例の複合半導体装置は、絶
縁ゲート電極4への電位の付与・除去によって容易にオ
ン・オフさせることができ、nチャネルMISFET(M1)の
飽和特性を利用しているので、サイリスタ動作であるに
も係らず、限流作用を持っている。通常、図5の構造を
1つのセルとして、これを1個の半導体基体に数百から
数万個集積化し、並列動作させる。この時、限流作用を
各セルがもっているので1つのセルに電流が集中するこ
となく、均一に各セルが電流を分担するため、電流集中
による半導体装置の破壊を防止できる。即ち、従来装置
よりも大きな電流を極めて簡略化されたゲート回路で半
導体装置が破壊せずにオン・オフできる特長がある。
【0029】この実施例は図1に示す複合半導体装置に
比較して耐圧の再現性が優れ、製造しやすいという利点
がある。即ち、図1の複合半導体装置ではn2+層17が
n層13の第1の層部分131に直接接触する部分があ
り、この部分の幅によって耐圧が左右される。例えば、
幅が狭くなると耐圧低下はないが、幅が広すぎると耐圧
が低下してしまう。従って、この幅を再現性よく形成し
なければならないという製造上の制約を受ける。これに
対し、図5に示す構造にするとn2+層17がn層13の
第1の層部分131に直接接触する部分がなくなり、か
つ通常のセルフアライン技術によって実現できることか
ら図1のような問題は解消できる。
【0030】図7は図5に示す複合半導体装置の変形例
を示す概略斜視断面図である。尚、(b)は主表面11
上から電極及び絶縁膜を除去した状態を示している。断
面は左右が反対になっているが図5と同一である。図5
との相違点は、絶縁ゲート電極4が一方向に沿って図5
の左側に示したゲート長の長い部分41と右側に示した
ゲート長の短い部分42とが交互に形成された形状とな
っていることにある。このように形成することによっ
て、サイリスタ領域が半導体基体全体で均等に動作しオ
ン電圧を低減できるという効果がある。即ち、図6の等
価回路から判るように、サイリスタ領域に流れる電流は
カソ−ド電極からnチャネルMISFET(M1)とnチャネル
MISFET(M2)を介する第1の通路と、nチャネルMISFET
(M3)を介する第2の通路とが存在する。MISFET
のオン抵抗を考慮すると第2の通路が低抵抗のため、サ
イリスタ領域に流れる電流は主として第2の通路を通っ
て流れる。従って、サイリスタ領域の両側にゲート長の
長い部分41とゲート長の短い部分42とが均一に分布
する構成にすれば、サイリスタ領域全面が導通に寄与す
ることになり、オン電圧を低減できるのである。
【0031】また、カソード電極2は絶縁膜7によって
絶縁ゲート電極4から電気的に絶縁されて主表面11全
面に設けられている。但し、図では絶縁ゲート電極の形
状が判り易いように、カソ−ド電極2と絶縁膜7を部分
的に除去して示してある。このようにすることによっ
て、カソード電極2の微細な加工が不要であるばかりで
なく、カソード電極2から各セルのn1+層17及びp層
15の第2の層部分152までの電気抵抗を小さくでき
る。また、半導体基体からの放熱効率もよくなる効果が
ある。この複合半導体装置は、断面では複雑な形状に見
えるが、図7から判るように平面的には極めて単純な形
状でよい。p層15の第1の層部分151とp- 層18
をゲート・セルフアライメントに形成し、絶縁ゲート電
極4のゲート長の長い部分41のゲート長ををp層15
の第1の層部分151とp- 層18の拡散深さの和より
も大きくに設定し、絶縁ゲート電極4のゲート長の短い
部分42のゲート長をp層15の第1の層部分151と
p- 層18の拡散深さの和以下(望ましくはp層15の
第1の層部分151の拡散深さ以下)に設定すれば、絶
縁ゲート電極4のゲート長の長い部分41の下にはnチ
ャネルMISFET(M1),(M2)、そしてゲート長の短い部
分42の下にはnチャネルMISFET(M3)がセルフアライ
メントで形成される。従って、この複合半導体装置は、
複雑な平面形状や特別な製造技術を用いずに容易に製作
できるのである。
【0032】図8〜図10は図7で示した複合半導体装
置の変形例を示す絶縁ゲート電極側の概略平面図であ
る。図8は絶縁ゲート電極4のゲート長の長い部分41
と短い部分42とを一方向に沿って交互に形成する場合
に、一方向とは直角方向に並設される複数個の絶縁ゲー
ト電極の隣接相互間においてゲート長の長い部分41と
短い部分42とが隣接するようにした場合を、図9はゲ
ート長の長い部分41とゲート長の長い部分41,短い
部分42と短い部分42がそれぞれ隣接するようにした
場合を、図10は図9においてゲート長の長い部分41
相互を接続した場合をそれぞれ示している。図8の構成
にすれば、IGBT領域が均一に分布するため、オンオ
フ動作を速くできる。図9の構成にすれば、ゲート長の
短い部分42のnチャネルMISFET(M3)に隣接するサイ
リスタ領域が広く、絶縁ゲート電極4のゲート長の長い
部分41のnチャネルMISFET(M1),(M2)に隣接する
サイリスタ領域が狭くなっているため、サイリスタ領域
を有効に動作させることができ、オン電圧を低減でき
る。図10の構成にすれば、図9と同様にオン電圧を低
減できる。これらの例はあくまでも一例にすぎず、他に
も種々の変形が考えられる。しかし、ゲート電極の面積
は小さい方がサイリスタ領域の面積を大きくできるので
オン電圧が低減でき、また、絶縁ゲート電極で形成され
るコンデンサの充放電電流も小さくできるので好まし
い。従って、複合半導体装置の点弧特性および消弧特性
を損なわない範囲で、絶縁ゲート電極の面積をできるだ
け小さくできる平面構造が望ましい。尚、図7〜図9に
示した絶縁ゲート電極は、それぞれが独立のものではな
く、図示以外の個所で互いに接続されているものであ
る。
【0033】図11は図7に示した複合半導体装置の変
形例を示す概略斜視図である。図7と異なる点のみを説
明する。n1+層16,n2+層17,p層15の第2の層
部分152及び絶縁ゲート電極4上に低抵抗層8を設け
て、各層の横方向抵抗を低減したものである。低抵抗層
8として、例えばチタンシリサイドを400nm形成す
ると、そのシート抵抗は約0.5Ω/□ となる。これに
より、特にn2+層17の横方向抵抗が小さくなること
で、n1+層16からnチャネルMISFET(M3)を通してn
2+層17に流れ込んだ電子がn2+層17全体に拡がりや
すくなる。この結果、p1+層14,n層13,p-層1
8で構成されるpnpトランジスタ(Q1)と、n層1
3,p-層18,n2+層17で構成されるnpnトラン
ジスタ(Q2)からなるサイリスタの動作がn2+層17
全面で一様に起きやすくなり、オン電圧の更なる低減が
可能となる。また、絶縁ゲート電極の横方向抵抗が小さ
くなることで、絶縁ゲート電極で形成されるコンデンサ
の充放電時間の短縮と、複合半導体装置内に分散して配
置されている複数のセルの動作の均一性が図られるの
で、スイッチング速度と破壊耐量が向上する効果があ
る。
【0034】図12は本発明の複合半導体装置を用いて
構成した電動機駆動用インバータ装置の一例を示す電気
回路図である。図において、T1及びT2は直流電源に接
続される一対の直流端子、T3,T4及びT5 は三相誘導
電動機に接続され交流側の相数と同数の交流端子、SW
11,SW12,SW21,SW22,SW31,SW32は2個ず
つ直列接続されて一対の直流端子T1 及びT2 間に三相
分並列接続された本発明の複合半導体装置である。2個
の複合半導体装置の直列接続点はそれぞれ交流端子
3,T4及びT5 に接続されている。D11,D12
21,D22,D31,D32は各複合半導体装置に逆並列接
続されたフライホイールダイオード,SB11,SB12
SB21,SB22,SB31,SB32はダイオ−ドと抵抗と
の並列回路にコンデンサを直列接続して構成されたスナ
バ回路で各複合半導体装置に並列接続されている。本発
明の複合半導体装置は、絶縁ゲート電極への電位の印加
・除去によって容易にオン・オフすることができ、従来
の例えばGTOサイリスタのようにゲート電極によって
多量の電流を流し込んだり、引き出す必要がなく、ゲー
ト回路が極めて簡略化される特長がある。更に、内蔵さ
れたMISFETの飽和特性を利用しているので、サイ
リスタ動作であるにも拘らず限流作用をもたせることが
でき、大きな電流を低いオン電圧で素子破壊せずに高速
で制御できる特長がある。従って、例えばGTOサイリ
スタを用いた場合に比べ、高周波化や易制御性によるイ
ンバータ装置の小型,軽量,低損失化および低雑音化等
が達成できる。また、例えばIGBTを用いた場合に比
べ、低オン電圧化によるインバータ装置の大容量化,低
損失化等が達成できる。
【0035】
【発明の効果】本発明によれば、IGBTにサイリスタ
領域を最良の形で付加したことにより、カソード電極か
らMISチャネルを通って供給される電子がサイリスタ
領域に十分に広がって流れるので、点孤特性を損なうこ
となく、オン電圧を十分低くできる。即ち、IGBTの
pベース層とサイリスタ領域のpベース層を分離して設
け、サイリスタ領域のnエミッタ層が部分的にnベース
層に接しているようにして、一つ(一直列)のMISFETだ
けを通ってMIS電流(電子)とサイリスタ電流(電
子)が流れるようにしたので、点弧が容易で低いオン電
圧(大電流化)が達成できる。また、IGBTのpベー
ス層とサイリスタ領域のpベース層をゲート電極下で分
離された領域を部分的に設けることにより、MIS電流
(電子)とサイリスタ電流(電子)が少なくとも部分的
には一つのMISFETのチャネル抵抗だけを通って流れるよ
うにしたので、点弧が容易で低いオン電圧が達成でき
る。従って、半導体装置を高耐圧化または大電流化でき
る効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明複合半導体装置の一実施例を示す概略断
面図である。
【図2】図1に示す複合半導体装置の等価回路図であ
る。
【図3】図1に示す複合半導体装置のオン状態での電流
流線図である。
【図4】図1に示す複合半導体装置の具体例を示す概略
平面図及び斜視断面図である。
【図5】本発明複合半導体装置の他の実施例を示す概略
断面図である。
【図6】図5に示す複合半導体装置の等価回路図であ
る。
【図7】図5に示す複合半導体装置の変形例を示す断面
斜視断面図である。
【図8】図7で示した複合半導体装置の一変形例を示す
絶縁ゲート電極側の概略平面図である。
【図9】図7で示した複合半導体装置の他の変形例を示
す絶縁ゲート電極側の概略平面図である。
【図10】図7で示した複合半導体装置の更に他の変形
例を示す絶縁ゲート電極側の概略平面図である。
【図11】図7に示した複合半導体装置の変形例を示す
概略斜視図である。
【図12】本発明複合半導体装置を用いて構成した電動
機駆動用インバータ装置の概略回路図である。
【図13】本発明の従来技術として示したIGBTの概
略断面図である。
【図14】図13に示すIGBTの等価回路図である。
【図15】図13に示すIGBTのオン状態での電流流
線図である。
【図16】本発明の従来技術として示した絶縁ゲート電
極でサイリスタを制御するようにした半導体装置の概略
断面図である。
【図17】図16に示す半導体装置の等価回路図であ
る。
【符号の説明】
1…半導体基体、11,12…主表面、13…n層、1
4…p1+層、15…p層、16…n1+層、17…n2+
層、18…p- 層、2…カソード電極、3…アノード電
極、4…絶縁ゲート電極。

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】一対の主表面を有し、一方導電型の第1の
    半導体層と、一方の主表面及び第1の半導体層とに隣接
    し第1の半導体層より高不純物濃度を有する他方導電型
    の第2の半導体層と、他方の主表面から第1の半導体層
    内に延び第1の半導体層より高不純物濃度を有する他方
    導電型の第3の半導体層と、他方の主表面から第3の半
    導体層内に延び第3の半導体層より高不純物濃度を有す
    る一方導電型の第4の半導体層と、他方の主表面から第
    1の半導体層内に延び一部が第1の半導体層及び第3の
    半導体層に接し第4の半導体層から離れ第3の半導体層
    より高不純物濃度を有する一方導電型の第5の半導体層
    と、第1の半導体層及び第5の半導体層との間に位置し
    第3の半導体層から離れ第1の半導体層と第5の半導体
    層との間の不純物濃度を有する他方導電型の第6の半導
    体層とを有する半導体基体、 半導体基体の一方の主表面において、第2の半導体層に
    低抵抗接触する第1の主電極、 半導体基体の他方の主表面において、第3の半導体層及
    び第4の半導体層に低抵抗接触する第2の主電極、 半導体基体の他方の主表面において、第4の半導体層と
    第5の半導体層との間に露出する第3の半導体層表面に
    絶縁膜を介して形成された制御電極を具備することを特
    徴とする複合半導体装置。
  2. 【請求項2】請求項1において、第1の半導体層が第1
    の層部分とそれより高不純物濃度を有し第2の半導体層
    に隣接する第2の層部分とから構成され、第3の半導体
    層が第1の半導体層第1の層部分及び第5の半導体層
    に隣接する第1の層部分とそれより高不純物濃度を有し
    第2の主電極に接触する他方の主表面及び第4の半導体
    層の制御電極から離れた個所に隣接する第2の層部分と
    から構成されていることを特徴とする複合半導体装置。
  3. 【請求項3】一対の主表面を有し、一方導電型の第1の
    半導体層と、一方の主表面及び第1の半導体層とに隣接
    し第1の半導体層より高不純物濃度を有する他方導電型
    の第2の半導体層と、他方の主表面から第1の半導体層
    内に延び第1の半導体層より高不純物濃度を有する他方
    導電型の第3の半導体層と、他方の主表面から第3の半
    導体層内に延び第3の半導体層より高不純物濃度を有す
    一方導電型の第4の半導体層と、他方の主表面から第
    の半導体層内に延び第の半導体層より高不純物濃度
    を有する他方導電型の第5の半導体層と、他方の主表面
    から第5の半導体層内に延び第5の半導体層より高不純
    物濃度を有する一方導電型の第6の半導体層と、他方の
    主表面から第5の半導体層内に延び第6の半導体層から
    離れ第5の半導体層より高不純物濃度を有する一方導電
    型の第7の半導体層とを有する半導体基体、 半導体基体の一方の主表面において、第2の半導体層に
    低抵抗接触する第1の主電極、 半導体基体の他方の主表面において、第3の半導体層,
    第4の半導体層,第5の半導体層及び第7の半導体層に
    低抵抗接触する第2の主電極、 半導体基体の他方の主表面において、第4の半導体層と
    第6の半導体層との間に露出する第3の半導体層,第1
    の半導体層及び第5の半導体層表面に絶縁膜を介して形
    成された第1の制御電極、 半導体基体の他方の主表面において、第6の半導体層と
    第7の半導体層との間に露出する第5の半導体層表面に
    絶縁膜を介して形成された第2の制御電極を具備するこ
    とを特徴とする複合半導体装置。
  4. 【請求項4】請求項3において、第1の制御電極及び第
    2の制御電極が半導体基体の他方の主表面の一方向に延
    びていることを特徴とする複合半導体装置。
  5. 【請求項5】請求項3または4において、第1の制御電
    極の一方向と直角方向の幅が第2の制御電極のそれより
    長いことを特徴とする複合半導体装置。
  6. 【請求項6】一対の直流端子と、 交流出力の相数と同数の交流端子と、 一対の直流端子間に接続され、それぞれスイッチング素
    子と逆極性のダイオー ドの並列回路を2個直列接続した
    構成からなり、並列回路の相互接続点が異なる交流端子
    に接続された交流出力の相数と同数のインバータ単位と
    を具備し、スイッチング素子が一対の主表面を有し、一
    方導電型の第1の半導体層と、一方の主表面及び第1の
    半導体層とに隣接し第1の半導体層より高不純物濃度を
    有する他方導電型の第2の半導体層と、他方の主表面か
    ら第1の半導体層内に延び第1の半導体層より高不純物
    濃度を有する他方導電型の第3の半導体層と、他方の主
    表面から第3の半導体層内に延び第3の半導体層より高
    不純物濃度を有する一方導電型の第4の半導体層と、他
    方の主表面から第1の半導体層内に延び一部が第1の半
    導体層及び第3の半導体層に接し第4の半導体層から離
    れ第3の半導体層より高不純物濃度を有する一方導電型
    の第5の半導体層と、第1の半導体層及び第5の半導体
    層との間に位置し第3の半導体層から離れ第1の半導体
    層と第5の半導体層との間の不純物濃度を有する他方導
    電型の第6の半導体層とを有する半導体基体、 半導体基体の一方の主表面において、第2の半導体層に
    低抵抗接触する第1の主電極、 半導体基体の他方の主表面において、第3の半導体層及
    び第4の半導体層に低抵抗接触する第2の主電極、 半導体基体の他方の主表面において、第4の半導体層と
    第5の半導体層との間に露出する第3の半導体層表面に
    絶縁膜を介して形成された制御電極を具備することを特
    徴とする電力変換装置。
  7. 【請求項7】一対の直流端子と、 交流出力の相数と同数の交流端子と、 一対の直流端子間に接続され、それぞれスイッチング素
    子と逆極性のダイオードの並列回路を2個直列接続した
    構成からなり、並列回路の相互接続点が異なる交流端子
    に接続された交流出力の相数と同数のインバータ単位と
    を具備し、スイッチング素子が一対の主表面を有し、一
    方導電型の第1の半導体層と、一方の主表面及び第1の
    半導体層とに隣接し第1の半導体層より高不純物濃度を
    有する他方導電型の第2の半導体層と、他方の主表面か
    ら第1の半導体層内に延び第1の半導体層より高不純物
    濃度を有する他方導電型の第3の半導体層と、他方の主
    表面から第3の半導体層内に延び第3の半導体層より高
    不純物濃度を有する一方導電型の第4の半導体層と、他
    方の主表面から第1の半導体層内に延び第1の半導体層
    より高不純物濃度を有する他方導電型の第5の半導体層
    と、他方の主表面から第5の半導体層内に延び第5の半
    導体層より高不純物濃度を有する一方導電型の第6の半
    導体層と、他方の主表面から第5の半導体層内に延び第
    6の半導体層から離れ第5の半導体層より高不純物濃度
    を有する一方導電型の第7の半導体層とを有する半導体
    基体、 半導体基体の一方の主表面において、第2の半導体層に
    低抵抗接触する第1の主電極、 半導体基体の他方の主表面において、第3の半導体層,
    第4の半導体層,第5の半導体層及び第7の半導体層
    低抵抗接触する第2の主電極、半導体基体の他方の主表面において、第4の半導体層と
    第6の半導体層との間に露出する第3の半導体層,第1
    の半導体層及び第5の半導体層表面に絶縁膜を介して形
    成された第1の制御電極、 半導体基体の他方の主表面において、第6の半導体層と
    第7の半導体層との間に露出する第5の半導体層表面に
    絶縁膜を介して形成された第2の制御電極 を具備するこ
    とを特徴とする電力変換装置。
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