JP2792687B2 - 車高調整装置用アッパブラケット - Google Patents

車高調整装置用アッパブラケット

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Description

【発明の詳細な説明】 〔発明の目的〕 (産業上の利用分野) この発明は、自動2輪車の車高調整装置であって、フ
ロントサスペンションおよびリヤクッションユニットの
長さを変えて車高を調整する車高調整装置に用いられる
車高調整装置用アッパブラケットに関する。
(従来の技術) フロントサスペンションおよびリヤクッションユニッ
トを用いて、ライダが自動2輪車の車高を調整すること
ができるようにした車高調整装置は、実願平1−3854号
出願の明細書に記載されているが、一般には公にされて
いない。
上記実願平1−3854号明細書に記載された車高調整装
置は、フロントサスペンションおよび車高調整部間と、
車高調整部およびリヤクッションユニット間をそれぞれ
油圧ホースで連結し、車高調整部からこれら油圧ホース
を経て、フロントサスペンションおよびリヤクッション
ユニットの油圧ジャッキへ圧力油を供給しあるいは排出
させることにより、フロントサスペンションおよびリヤ
クッションユニットの長さを変えて、車高を調整してい
る。
(発明が解決しようとする課題) 上述の車高調整装置では、油圧ホースがフォークキャ
ップを介してフロントサスペンションに接続されている
ので、組立工場内でフロントサスペンションから構成さ
れるフロントフォークを車体フレームに組み付け、ある
いは組み外す際には、フォークキャップをフロントサス
ペンションから一旦取り外さなければ、ステアリングシ
ャフトを車体フレームのヘッドパイプに通した後、アッ
パブラケットを所定位置に設置することができない。
つまり、一般のアッパブラケットでは、第1図(A)
の二点鎖線で示すように、スリットの幅lが約2mmであ
るため、フォークキャップに接続された油圧ホースがこ
のスリットを通過できない。このため、アッパブラケッ
トをフロントサスペンションに取り付け、または取り外
す際に、フォークキャップをフロントサスペンションか
ら取り外さなければならず、フロントフォークの組付け
・組外しが煩雑となる。
また、一旦フォークキャップを取り外すと、油圧ホー
ス内にエアが混入してしまい、再組付の際にはこのエア
を抜き取らなければならない。
この発明は、上記事情を考慮してなされものであり、
車高調整装置の組付け・組外し時に、油圧ホースが接続
されたフォークキャップをフロントサスペンションから
取り外す必要がなくなって組付性を容易にできるととも
に、油圧ホースへのエア混入も防止できる車高調整装置
用のアッパブラケットを提供することを目的とする。
〔発明の構成〕
(課題を解決するための手段) この発明は、車高を調整可能とする油圧ジャッキを備
えたリヤクッションユニットと、車高を調整可能とする
油圧ジャッキを備えたフロントサスペンションと、上記
リヤクッションユニット内の圧力油の油圧を油圧ホース
を介して上記両油圧ジャッキへ伝達可能とする車高調整
部と、を有する車高調整装置において、上記フロントサ
スペンションを車体フレームに支持するアッパブラケッ
トには、上記フロントサスペンションを挿通して挟持す
るフロントサスペンション挟持部に上記油圧ホースを通
過可能とするスリットが形成されたことを特徴とするも
のである。
(作用) 油圧ホースは、フォークキャップを介してフロントサ
スペンションに接続され、圧力油をフロントサスペンシ
ョンの油圧ジャッキへ導く。この発明に係る車高調整装
置用アッパブラケットは、フロントサスペンション挟持
部にスリットが形成され、このスリットの幅が油圧ホー
スを通過し得る大きさに形成されている。したがって、
フロントサスペンションから構成されるフロントフォー
クを車体フレームに組み付けあるいは組み外すために
は、油圧ホースを上記アッパブラケットの上記スリット
に通過させるだけでアッパブラケットを取り付けまたは
取り外すことができ、フォークキャップをフロントサス
ペンションから取り外す必要がない。このため、車高調
整装置の組付性を容易にすることができる。
また、フォークキャップを取り外す必要がないので、
油圧ホース16内にエアが混入することがなく、組付時に
おけるエア抜き作業も不要となる。
(実施例) 以下、この発明の実施例を図面に基づいて説明する。
第1図(A)はこの発明に係る車高調整装置用アッパ
ブラケットの一実施例を示す平面図、第1図(B)は第
1図(A)のアッパブラケットとフロントフォークとの
組付状態を示す部分斜視図、第2図は第1図(A)およ
び(B)のアッパブラケット並びに車高調整装置が適用
された自動2輪車を示す全体側面図である。
第2図に示すように、前輪1を支持するフロントフォ
ーク2が、車体フレーム3の前方に配設され、車体フレ
ーム3の後方にはリヤサスペンション4によって支持さ
れた後輪5が配設される。車体フレーム3の上方にはシ
ート6が配置され、ライダはこのシート6に跨り、ハン
ドル7を操って運転する。
フロントフォーク2は倒立型フロントフォークであ
り、左右2本のフロントサスペンション8および9を備
えて構成される。これらのフロントサスペンション8お
よび9は、アンダブラケット11および後に詳述するアッ
パブラケット10によって、第2図に図示しないステアリ
ングシャフトおよびヘッドパイプを介し車体フレーム3
に支持される。これらのフロントサスペンション8,9
が、前輪1からの衝撃を吸収し、振動を減衰させる。
また、リヤサスペンション4は、後輪5を軸支しピボ
ット12によって車体フレーム3に支持されたスイングア
ーム13と、上端が車体フレーム3に支持され、下端がリ
ンク機構(図示せず)を介してスイングアーム13に支持
されたリヤクッションユニット14と、を備えて構成され
る。ピボット12を中心としたスイングアーム13の上下の
揺動をリヤクッションユニット14が吸収し、振動を減衰
することにより、後輪5における衝撃が緩和される。
さて、上記フロントサスペンション8および9並びに
リヤクッションユニット14には後述の油圧ジャッキ42,4
1がそれぞれ形成されると共に、リヤクッションユニッ
ト14の近傍に車高調整部15が配置される。フロントサス
ペンション8,9の油圧ジャッキ42と車高調整部15とが車
両前方側油圧ホース16によって連結され、またリヤクッ
ションユニット14の油圧ジャッキ41と車高調整部15とが
車両後方側油圧ホース17によって連結されて、車高調整
装置18が構成される。
なお、第2図中、符号20はフロントフェンダ、符号21
はヘッドランプハウジング、符号22は車体フレーム3の
シートレール、符号23はスタンド、そして符号24はエン
ジンであり、符号25はこのエンジン24に接続されたエキ
ゾーストパイプである。
第3図に示すように、リヤクッションユニット14は、
リヤオイルダンパ26の外周にコイルスプリング27が配置
されたものである。リヤオイルダンパ26は、そのシリン
ダ28内に充填された圧力油が、ピストン29の小孔やバル
ブ29Aを通るときの抵抗によって、コイルスプリング27
の振動を急速に減衰させるものである。このシリンダ28
内は、連結ホース30および車高調整部15の油路を介し
て、第5図および第6図に示すリザーブタンク31の油室
32と連通されて、シリンダ28内の圧力油の油量が調整さ
れる。なお、リザーブタンク31内は、ピストン33によっ
て、上記油室32と空気室34とに区画されている。
また、第4図に示すフロントサスペンション8,9は、
前輪1のホイール側に支持されたインナチューブ35と、
フロントオイルダンパを内蔵したアウタチューブ36によ
って構成される。フロントオイルダンパは、インナチュ
ーブ35内に配設されたスプリング37の振動を急速に減衰
させるものである。
さて、第3図および第5図に示すように、車高調整装
置18の車高調整部15は、調整部本体38の中央位置にスプ
ールバルブ39が回動自在に配置され、このスプールバル
ブ39に第6図に示す調整操作部40が一体に結合されたも
のである。この調整操作部40を回動操作することによ
り、スプールバルブ39が車高を高くするHigh側に、ある
いは車高を低くするLow側に切り換えられる。
つまり、調整操作部40を操作してスプールバルブ39を
High側に切り換えると、スイングアーム13の揺動によ
り、第3図に示すリヤオイルダンパ26内のピストン29が
上下動して、シリンダ28内の圧力油が矢印AおよびB、
さらに第5図に示す矢印CおよびD、そして第3図に示
す矢印Eのように流れて、矢印Fに示すように車体後方
側油圧ホース17を経てリヤクッションユニット14の油圧
ジャッキ41へ流入する。さらに、車高調整部15内を矢印
Eのように流れた圧力油は、矢印Gに示すように2本の
車両前方側油圧ホース16内を経てフロントサスペンショ
ン8および9の油圧ジャッキ42へ伝達される。
上記油圧ジャッキ41は、第3図に示すように、ジャッ
キシリンダ室43内にジャッキピストン44が配置され、こ
のジャッキピストン44の移動量がスペーサ45を介してス
プリングガイド46へ伝達され、スプリング27のイニシャ
ル荷重を変動するものである。したがって、油圧ジャッ
キ41のジャッキシリンダ室43内へ車高調整部15から圧力
油が流入すると、ジャッキピストン44が移動しスプリン
グガイド46を押し下げて、リヤクッションユニット14が
伸長し、車高を高くする。
また、フロントサスペンション8および9の上記油圧
ジャッキ42は、第4図に示すように、アウタチューブ36
内に設置されたジャッキシリンダ室47内にジャッキピス
トン48が配置され、ジャッキピストン48の移動量がプラ
ンジャ49、リング50およびスペーサ51を経てスプリング
ガイド52へ伝達されるものである。また、2本の車両前
方側油圧ホース16は、左右の各フロントサスペンション
のフォークキャップ52Aにそれぞれ接続されて、車両前
方側油圧ホース16内の圧力油をジャッキシリンダ室47内
へ導く。したがって、車高調整部15から油圧ジャッキ42
内へ圧力油が流入すると、ジャッキピストン48が下方へ
移動し、スプリングガイド52がスプリング37を押し下げ
てこのスプリング37のイニシャル荷重を上昇させ、フロ
ントサスペンション8および9が伸長して、車高を高く
する。
車高を低くする場合には、調整操作部40を回動操作し
てスプールバルブ39をLow側に切り換える。すると、車
両の重量によって、リヤクッションユニット14の油圧ジ
ャッキ41(第3図参照)内の圧力油が、車両後方側油圧
ホース17および車高調整部15の油路内を経てリザーブタ
ンク31の油室32内へ戻る。さらに、フロントサスペンシ
ョン8および9の油圧ジャッキ42(第4図参照)内の圧
力油も、車両の重量によって、車高調整部15を経てリザ
ーブタンク31の油室32内へ同時に戻る。こうして、リヤ
クッションユニット14のコイルスプリング27およびフロ
ントサスペンション8および9のスプリング37のイニシ
ャル荷重を下げて、リヤクッションユニット14およびフ
ロントサスペンション8,9を収縮し、車高を低くする。
なお、調整部本体38には、第5図に示すように第1ブ
ローバルブ53および第2ブローバルブ54が配置される。
第1ブローバルブ53は、ピストン55がスプリング56によ
って付勢されて構成される。この第1ブローバルブ53
は、スプールバルブ39のHigh側切換時に、リヤオイルダ
ンパ26から連結ホース30(第3図参照)を経て流入する
圧力油が所定圧以上になったときに、ピストン55がスプ
リング56の付勢力に抗して上昇し、上記圧力油の一部を
矢印Hのようにリザーブタンク31の油室32内へ排出す
る。
また、第2ブローバルブ54は、ボール57がプッシュピ
ース58に遊嵌され、このプッシュピース58とスプリング
ガイド59との間にスプリング60が配設されたものであ
り、スプリングガイド59が調整部本体38に螺装される。
スプールバルブ39のHigh側切換状態で車両走行中にジャ
ンプしたとき、リヤクッションユニット14の油圧ジャッ
キ41およびフロントサスペンション8,9の油圧ジャッキ4
2内の圧力油の油圧が上昇すると、ボール57がスプリン
グ60の付勢力に抗して移動し、車両前方側油圧ホース16
および車両後方側油圧ホース17内の圧力油を、矢印Iの
ようにリザーブタンク31の油室32内へ戻す。これによ
り、両油圧ホース16および17の破損を防止する。
ところで、前述のアッパブラケット10は、第1図
(A)および(B)に示すように、両端部にフロントサ
スペンション挟持部61が開口して形成され、このフロン
トサスペンション挟持部を臨む位置にスリット62が形成
されて構成される。スリット62は、車両前方側油圧ホー
ス16を通過可能とする幅Lに形成される。例えば、車両
前方側油圧ホース16の直径が約8mmの場合には、スリッ
ト62のスリット幅Lは約10mmに形成される。このスリッ
ト62は、ボルト66を締め付けてフロントサスペンション
挟持部61に挿通されたフロントサスペンショ8,9を挟持
するための緊縛力く与える機能と、上述のようにボルト
66を緩めて油圧ホース16を通過させる機能とを有する。
また、アッパブラケット10の中央位置には、ステアリン
グシャフト挿通孔63が開口される。
2本のフロントサスペンション8および9をアンダブ
ラケット11で並列に組み付けた後、ステアリングシャフ
ト64(第1図(B))を車体フレーム3のヘッドパイプ
65に挿通し、これらフロントサスペンション8および9
並びにステアリングシャフト64の上部にアッブラケット
10を取り付ける。このとき、アッパブラケット10のフロ
ントサスペンション挟持部61に左右のフロントサスペン
ション8および9をそれぞれ挿通し、ボルト66を締め付
けてこれらのフロントサスペンション8および9を挟持
する。これと同時に、アッパブラケッット10のステアリ
ングシャフト挿通孔63にステアリングシャフト64の先端
を挿通し、このステアリングシャフト64の先端にナット
67を螺合する。このようにして、2本のフロントサスペ
ンション8および9により構成されたフロントフォーク
が車体フレーム3に組み付けられる。
上記実施例によれば、不整地等を走行するときには、
車高調整部15の調整操作部40を回動操作してスプールバ
ルブ39をHigh側に切り換えることにより、リヤクッショ
ンユニット14の油圧ジャッキ41並びにフロントサスペン
ションユニット8および9の油圧ジャッキ42へ、リヤク
ッションユニット14内の圧力油を車高調整部15を介して
圧送して、リヤクッションユニット14並びにフロントサ
スペンションユニット8および9の長さを伸長し、車高
を上げてロードクリアランスを大きくする。また、市街
地等を走行するときには、車高調整部15のスプールバル
ブ39をLow側に切り換えて油圧ジャッキ41および42内の
圧力油を排除し、リヤクッションユニット14並びにフロ
ントサスペンションユニット8および9の長さを短くし
て車高を低くし、足付き性を向上させることができる。
また、第1図(A)および(B)に示すように、アッ
パブラケット10のフロントサスペンション挟持部61を臨
む位置には、車両前方側油圧ホース16を通過可能とする
スリット62が形成されている。したがって、フォークキ
ャップ52Aに車両前方側油圧ホース16が接続されていて
も、フロントサスペンション8,9を車体フレーム3のヘ
ッドパイプ65に組み付けあるいは組み外しする際には、
ボルト65を緩めてスリット幅Lを広くすれば、油圧ホー
ス16がこのスリット62を通過するので、フォークキャッ
プ52Aをフロントサスペンション8,9から取り外すことな
く、アッパブラケット10をフロントサスペンション8お
よび9から取り外しあるいは取り付けることができる。
故に、フロントフォーク2の組付け、ひいては車高調整
装置18の組付性を向上させることができる。
また、フォークキャップ52Aを取り外す必要がないの
で、フロントフォーク2の組付けあるいは組外し時に油
圧ホース16内にエアが混入することがなく、再組付時に
おけるエア抜き作業も不要となる。
〔発明の効果〕
以上のように、この発明に係る車高調整装置用アッパ
ブラケットによれば、フロントサスペンションを車体フ
レームに支持するアッパブラケットには、フロントサス
ペンションを挿通して挟持するフロントサスペンション
挟持部に油圧ホースを通過可能とするスリットが形成さ
れたことから、車高調整装置の組付け・組外し時に油圧
ホースをスリットに通過させてアッパブラケットを取付
け、取外しすることができるので、油圧ホースが接続さ
れたフォークキャップをフロントサスペンションから取
り外す必要がなくなり、車高調整装置の組付性を向上さ
せることができる。と同時に、油圧ホースへのエア混入
も防止できる。
【図面の簡単な説明】
第1図(A)はこの発明に係る車高調整装置用アッパブ
ラケットの一実施例を示す平面図、第1図(B)は第1
図(A)のアッパブラケットとフロントフォークとの組
付状態を示す部分斜視図、第2図は第1図(A),
(B)のアッパブラケット並びに車高調整装置が適用さ
れた自動2輪車を示す全体側面図、第3図は第2図のリ
ヤクッションユニットおよび車高調整部等を示す断面
図、第4図は第2図のフロントサスペンションを示す断
面図、第5図は第3図のV−V線に沿う断面図、第6図
は第3図のVI矢視図である。 2……フロントフォーク、3……車体フレーム、8,9…
…フロントサスペンション、10……アッパブラケット、
14……リヤクッションユニット、15……車高調整部、16
……車両前方側油圧ホース、18……車高調整装置、41,4
2……油圧ジャッキ、61……フロントサスペンション挟
持部、62……スリット、65……ヘッドパイプ、66……ボ
ルト。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】車高を調整可能とする油圧ジャッキを備え
    たリヤクッションユニットと、車高を調整可能とする油
    圧ジャッキを備えたフロントサスペンションと、上記リ
    ヤクッションユニット内の圧力油の油圧を油圧ホースを
    介して上記両油圧ジャッキへ伝達可能とする車高調整部
    と、を有する車高調整装置において、上記フロントサス
    ペンションを車体フレームに支持するアッパブラケット
    には、上記フロントサスペンションを挿通して挟持する
    フロントサスペンション挟持部に上記油圧ホースを通過
    可能とするスリットが形成されたことを特徴とする車高
    調整装置用アッパブラケット。
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