JP2792663B2 - イオントフォレーシス用電極 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は、イオントフォレーシス用電極に関する。

生体皮膚表面を覆う角質層は、厚さ数十〜数百ミクロ
ンの極めて薄い膜ではあるが、生体内外を物理的化学的
に隔てる強力なバリヤ層である。

この角質層は、イオントフォレーシス即ち電気経皮投
薬の際も重大な障害となっている。

角質層の除去は比較的容易に行なえるが、生体の代謝
機能により除去部分の回復も同時に始まる。

上記に鑑み本発明は、角質層を除去又は一部除去する
と同時に、電気的経皮投薬を行なう為の構造を有するイ
オントフォレーシス電極を提供することを目的とする。

本発明の特徴は、角質層を除去させる手段の内で、最
も手軽で且つ苦痛を与えずに済む回転又は摺動手段を合
わせ持つイオントフォレーシス用電極を構成した点であ
る。

より具体的には、本発明は角質層の除去を薬液を浸透
させた多孔質層によって行ない、生体に貼付した状態で
角質層の除去を行なうことを可能とした合理的且つ効率
的なイオンフォレーシス用電極を提供するものである。

尚、角質層の除去は、目に見えない程度のマイクロク
ラックで充分であり、この除去により、特にペプタイド
等分子量の大きな薬剤の経皮投与を可能にならしめる。

本発明に於ける多孔質部材は、例えば多孔性アルミ
ナ、素焼等、窯業的に生産される多孔材や多孔質プラス
チック、木、紙等の多孔質体を指称する。

次に本発明の一実施例を図面を参照して詳細に説明す
る。

第１図及び第２図に於いて、硬質性樹脂等を成形加工
して得られた本体（１）内部には、電池及びモータ駆動
回路（４）、イオントフォレーシス用回路（５）よりな
るパワーサプライユニット（３）が収納され、本体
（１）上部には、上記パワーサプライユニット（３）の
動作を開始させる為のコントロールスイッチ（２）が設
けられている。

本体（１）には更に、モータ及び変速装置よりなる回
転手段（６）が収納され、回転手段（６）の出力軸に
は、導電部材（７）及び薬液リザーバ（８）及び素焼等
の多孔質セラミックス（９）の積層体が設置されてい
る。

多孔質セラミックス（９）の周辺を取り囲むようにし
て、対極用導電部材（10）が本体（１）に設置されてい
る。

導電部材（７）とイオントフォレーシス用回路（５）
との電気的接続は、導電部材（７）が回転していること
から、直流モータを構成する際使用される方法と同様の
方法、即ちブラシを用いて回転する導電部材（７）との
電気的接続を行なう（図示せず）方法を取る。

更にイオントフォレーシス用回路（５）は、対極用導
電性部材（10）と電気的接続が行なわれている。

次に第１図、第２図で示した実施例の動作を説明す
る。

コントロールスイッチ（２）を操作することにより、
モータ駆動回路（４）及びイオントフォレーシス用回路
（５）は各々電気出力を行なう。

モータ駆動回路（４）の電気出力は、回転手段（６）
で、所望の回転速度を有する回転運動に変換される（例
えば回転数60rpm,回転時間数秒〜数分；尚、回転数：及
び回転時間は特に限定されない）。

この回転運動によって、導電部材（７）及び薬液リザ
ーバ（８）及び多孔質セラミックス（９）の積層体も回
転する。

イオントフォレーシス用回路（５）の電気出力は導電
部材（７）に供給される。

対極用導電性部材（10）及び多孔質セラミックス
（９）を生体皮膚表面へ当接する。この当接により、導
電性部材（７）、薬液リザーバ（８）、多孔質セラミッ
クス（９）、生体、導電性部材（10）で電気的閉回路が
形成される。

薬液リザーバ（８）中の薬液は、回転する多孔質セラ
ミックス（９）を浸透して生体皮膚表面に到達し、多孔
質セラミックス（９）の回転によって掘削された角質層
間を縫って、電気力により浸透していくものである。

尚、イオントフォレーシス用回路の電気出力浸透効果
等に関する具体的開示としては、例えば特開昭60年第15
6475号、特開昭61年第31169号公報等に示されている。

尚、上記実施例の他、本発明は、第３図及び第４図に
示すように超小型モータ（24）、小型電池を含むパワー
サプライユニット（23）を使用することにより、携帯用
ユニットとして形成し、包帯、固定用バンドで生体に装
着使用される他、粘着剤、導電性粘着ゲルを更に携帯用
ユニットに添付することにより、生体に貼着使用される
ものであってもよい。

尚、第３図、第４図に示した実施例は、薬液を直接多
孔質セラミックス（29）に含浸させたもので、これと導
電性部材（７）との積層体を超小型モータ（24）の回転
軸（28）に接続したものである。（22）はブラシで、回
転する導電性部材（７）とパワーサプライユニット（2
3）との接続を行っている。

以上詳述の如く本発明は、イオントフォレーシスに適
した皮膚状態を無痛且つ迅速に形成し、且つ投薬も又、
支承なく行なえ、更には長時間、断続又は連続的な制御
投薬を実施できる等の効果を有するものである。

【図面の簡単な説明】

第１図は、本発明の一実施例を示す一部断面図である。
第２図は、第１図に示す実施例の底面を示す図である。
第３図は、本発明の他の実施例を示す断面図、第４図
は、第３図に示す実施例の上面を示す図である。 １……本体、 ２……コントロールスイッチ、 3,23……パワーサプライユニット、 ４……モータ駆動回路、 ５……イオントフォレーシス用回路、 ６……回転手段、 ７……導電部材、 ８……薬液リザーバ、 ９……多孔質セラミックス、 10……対極用導電部材、 Ａ……生体表面、 22……ブラシ、 24……超小型モータ、 29……薬剤含有多孔質セラミックス。

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】導電性部材及び薬液を浸透させて生体と接
   触させるべく構成された多孔質部材から成り、前記多孔
   質部材を回転又は摺動させることを特徴とするイオント
   フォレーシス用電極。