JP2792414B2 - 電気メッキ用貴金属系不溶性電極の寿命判定方法および装置 - Google Patents
電気メッキ用貴金属系不溶性電極の寿命判定方法および装置Info
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Description
化に対応し、電流密度の大きく変化する連続電気メッキ
プロセスで使用する、チタン基体に貴金属系被膜または
貴金属酸化物系被膜を被覆した貴金属系不溶性電極の寿
命を判定する方法および装置に関するものである。
ン基体に貴金属系または貴金属酸化物系{例、イリジウ
ム(Ir),Ir-Ox ,Pt(プラチナ)}被膜を被覆した貴金
属系不溶性電極が使用されている。以下、その1例であ
る、チタン基体にIr-Ox 被膜を被覆した電極(以下、
「Ir-Ox 電極」という)によって説明する。Ir-Ox 電極
を用いた電解技術は、ソーダ業界では確立しており、Ir
-Ox 電極の寿命判定(劣化度の判定)も容易である。Ir
-Ox 電極は、図1に示すように、電流を流し続けると、
電極表面から摩耗が生じ、その為にメッキセル電圧(ト
レイ電圧)が上昇する。そして、残存Ir-Ox 被膜量があ
る割合以下となると、急激にメッキセル電圧が上昇す
る。この時点が電極寿命である。図1はIr-Ox 電極の被
膜消耗量とメッキセル電圧との関係を示すグラフであ
り、Ir-Ox 被膜の膜厚は10g/m2、通電電流密度は120 A/
dm2 で一定である。ソーダプロセスでは、静止浴にてほ
ぼ定電流密度にて製造を行うため、Ir-Ox 被膜の消耗量
は通電時間と正比例する。従って、電極寿命の判定は容
易に行える。
気メッキ鋼板の製造ラインにおいては、装入鋼板(鋼ス
トリップ)サイズ、操業ラインスピード(鋼板の移動速
度)の変化に伴い電流密度も大きく変わる。1つの例と
して数値を挙げれば、その変化は30〜100A/dm2にもな
る。図2は電流密度とIr-Ox 電極の被膜消耗量との関係
を示すグラフである。なお、図2は純亜鉛用硫酸亜鉛め
っき浴の静止浴におけるデータを示す。電流密度の変化
とIr-Ox 電極の被膜消耗量とは、図2に示すように、電
流密度が上昇すると被膜消耗量も増加するという関係と
なる。このため、連続電気メッキにおけるIr-Ox 電極の
寿命判定は、通電時間および通電量では的確に行えない
問題がある。
は、電流密度、鋼板と電極との距離(以下、「極間」と
いう)、メッキ槽(トレイ)内の浴抵抗等に左右され
る。電気メッキ鋼板のメッキプロセスラインは連続ライ
ンであり、これらの要因が逐次に変化するために、電圧
の上昇はIr-Ox 被膜の消耗以外の要因によっても起こ
り、電圧の上昇による寿命判定は難しい。従って、早め
に電極を取替えることしか、ライン操業に影響を与えず
に電極管理を行う方法がなかった。
においては、上記の様に、通電時間によるIr-Ox 電極の
寿命判定は不可能であるために、残存Ir-Ox 被膜量の測
定により寿命判定をしなければならない。しかしなが
ら、電気メッキプロセス中に電極のIr-Ox 被膜量を測る
ためには、操業を中断しなければならず現実的でない。
また、電極のIr-Ox 被膜量を簡単に測定できる機器もな
い。従って、従来のテストデータによって、寿命と予測
される通電量に達するかなり前の時期に電極を取り替え
る必要があった。
電極の寿命判定の問題を解決する手段として、特開平3-
120397号公報には、測定点切り替え器、電位差計、計算
器および警報器とからなる装置を配置し、電極への陽極
側分岐点と各電極板との間の電位差を継続的に測定しこ
の電位差の変化から前記電極板の劣化度を判定する電気
メッキ用貴金属系電極の寿命識別方法および装置が開示
されている(以下、「先行技術1」という)。
術1においては、装置構成が複雑で設備構築上また経済
上不利であるという問題がある。
操業条件に影響されることなく電極寿命を的確に判定す
るすることができ、比較的簡単な装置によって構成する
ことができる、電気メッキ用貴金属系不溶性電極の寿命
判定方法および装置を提供することにある。
法は、チタン基体に貴金属系被膜または貴金属酸化物系
被膜を被覆した連続電気メッキ用貴金属系不溶性電極の
寿命判定に際して、メッキセル実績電圧および電気メッ
キの操業実績からメッキセル理論電圧を計算し、前記メ
ッキセル実績電圧と前記メッキセル理論電圧との電圧差
を常時求め、この電圧差から前記不溶性電極の劣化度を
判定することに特徴を有するものである。この発明の装
置は、メッキセル実績電圧および電気メッキ操業実績か
らメッキセル理論電圧を計算する計算器と、前記計算器
から得られる前記メッキセル理論電圧と前記メッキセル
実績電圧とを常時比較し、前記メッキセル理論電圧と前
記メッキセル実績電圧との差が一定値に達したときに警
報を発する警報器とからなることに特徴を有するもので
ある。
x 被膜の残膜量によって決定される。経時変化によりIr
-Ox 被膜の摩耗が生じ、寿命が近づくと、メッキセル電
圧(メッキ槽電圧)が上昇する現象を利用し、操業条件
に合わせて計算されたメッキセル理論電圧値とメッキセ
ル実績電圧値とを連続的に比較監視し、実績電圧値の操
業条件による誤差をなくしたうえで、両者の電圧差によ
り電極寿命の判定を可能とする。
子およびそれらの電極の経時変化による変化について電
気亜鉛メッキプロセスを例にとって説明する。図3は連
続電気亜鉛メッキ槽の構成を示す概略断面図である。図
3において、1はIr-Ox 電極、2はコンダクターロー
ル、3は整流器、4はメッキ液である。図3に示す様な
セル構造によって電気メッキを行う際の理論メッキセル
電圧は、以下のように計算する。各抵抗別の電圧計算方
法を下記(1) 〜(5) に示す。 (1) 回路抵抗 整流器→電極 CDR→整流器 ブスバー+CDR接触+CDR+ブラシ接触 (2) 電極抵抗 チタン(Ti) 材料の抵抗×電流+基体と電極接触抵抗×
電流 (3) Ir-Ox 酸素過電圧:3V (4) メッキ浴抵抗 電圧=電導度×極間×電流密度 (5) 板抵抗 電圧=板抵抗(R)×電流 ここで、 板抵抗R=R1 ×R2 /R1 +R2 R1 =板抵抗×l1 /板厚×板幅 R2 =板抵抗×l2 /板厚×板幅 上記(1) 〜(5) に示す各電圧の和が、メッキセル理論電
圧となる。これらは、装入鋼板サイズ、極間、電流密
度、電流がわかれば求まる。
電圧変化の影響度を表1に示す。表1に示すように、メ
ッキセル理論電圧は、装入鋼板サイズ、極間、電流密
度、電流がわかれば求まる。
電圧上昇は、以下の理由により起こる。上記(3) に示す
Ir-Ox :酸素過電圧が上昇するため。上記(4) に示すメ
ッキ浴抵抗:電極の表面摩耗による劣化が進むと、放電
面積が減少する。電流は一定量流れるために、放電電流
密度が上昇するので、メッキ浴抵抗も上昇し、かくし
て、電圧上昇となる。
について説明する。電極劣化による電圧上昇以外に、
「理論電圧≠実績電圧」となる場合がある。噴流、板形
状の影響による極間変動(理論電圧計算に用いた極間値
との差)が生じることによるもので、これにより、電圧
のバラツキが発生する。図4は、電極正常時における電
圧のバラツキを示すグラフであり、設定極間は15mmであ
る。図4に示すように、電圧のバラツキは電流密度に相
関があるが、我々の調査によれば、例えば、電導度115
msのメッキ浴を有する電気亜鉛メッキ設備では、極間変
動は、最大で±1.5mm であることがわかっている。この
ことより、メッキセル電圧の最大バラツキは、理論電圧
の±0.013 で求められる。即ち、電極が正常時でも、実
績電圧と理論電圧とでは、最大1.3 %の誤差が発生す
る。
明する。前記の図2に示したデータからもわかる様に、
Ir-Ox 電極は寿命が近づくとメッキセル理論電圧と実績
電圧との電圧差が大きくなる。上述ののデータより、
電極劣化による影響が±1.3 %あるが、これを超えるバ
ラツキは電極劣化に起因するものである。
を示すグラフであり、操業条件は、、電流密度:30〜10
0 A/dm2 、最大電流25,000A、最大電圧:30V、Ir-Ox
電極膜厚:約50g/m2であった。実際の連続電気亜鉛メッ
キの操業データ(実ラインデータ)により、実績電圧と
理論電圧とのバラツキが2%を超えてからIr-Ox 電極が
寿命(最大電流時に過電圧が生じる)に至るまでには、
図5に示すように、通電時間にして少なくとも300 時間
はあることがわかる。
断すれば、寿命までに残りあと300時間(操業ベースで
2週間)と余裕があり、寿命までの間に電極取替え等の
対応をとることができる。従って {(実績電圧−理論電圧)/理論電圧}× 100=電圧のバラツキ・・・ として、上記式からこの値を監視し、電圧のバラツキ
が2%超えとなった時点で電極寿命が近いと判断し、操
業サイクルに合わせて取替時期の決定を行うことが可能
とする装置を設置することにより、個々の電極延命化お
よび適切な周期での電極取替を実行することが可能とな
る。
て説明する。15槽のメッキ槽を有する連続電気亜鉛メッ
キ装置を使用した鋼板の電気亜鉛メッキ製造ラインにお
いて、Ir-Ox 電極の寿命判定を行った。図6はメッキセ
ル理論電圧を求める制御手順のフローチャート、図7は
電極寿命判定装置の画面の正面図である。図6に示され
る制御方法により、No. 1〜15の各メッキ槽の各々のメ
ッキセル理論電圧値を計算する。図7中のAは、本ライ
ンが有する15のメッキ槽の各メッキセル実績電圧を表示
する表示盤、Bは各メッキ槽のメッキセル理論電圧値を
表示する表示盤、Cは理論電圧と実績電圧とのバラツキ
を示す表示盤、DはCのバラツキが±2%を超えたとき
に警報をだす警報器のランプである。
ータが表示盤A〜C、ランプDを常時監視できるように
したことにより、電極状態の把握、寿命の予測、取替時
期の決定が容易である。
判定装置導入前(比較例)と判定装置導入後(本発明実
施例)とで調査比較した。調査は、装置導入前後各1年
間に渡り実施した。その結果を表2に示す。
替えた回数n が61回あり、その各々の取替までの通電時
間の平均2,418 時間(h) で、突発取替が6回あった。実
施例では、電極を取替えた回数n が26回あり、その各々
の取替までの通電時間の平均2,892 時間(h) で、突発取
替はなかった。このように、判定装置を導入した本発明
実施例によれば、判定装置導入前(比較例)よりも、電
極の効率活用が可能となり、電極平均寿命が474 時間も
長くなり、更に、突発的な電極取替が解消されたことが
わかる。
ば、連続電気メッキ用の貴金属系不溶性電極の寿命判定
において、個々のメッキセル(メッキ槽)毎の電極の劣
化状況を連続的に測定するので、個々の電極の寿命を的
確に識別することができ、このため、各メッキセル毎に
電極の適切な交換が可能となり、劣化した電極の使用に
よる品質トラブルが避けられ、同時に、電極の無駄な消
費および突発取替によるトラブルを回避することがで
き、製品品質の向上、省資源化および安定操業化に大き
く貢献することができ、かくして、工業上有用な効果が
もたらされる。
関係を示すグラフである。
示すグラフである。
である。
フである。
フである。
チャートである。
Claims (2)
- 【請求項1】 チタン基体に貴金属系被膜または貴金属
酸化物系被膜を被覆した連続電気メッキ用貴金属系不溶
性電極の寿命判定に際して、 メッキセル実績電圧および電気メッキの操業実績からメ
ッキセル理論電圧を計算し、前記メッキセル実績電圧と
前記メッキセル理論電圧との電圧差を常時求め、この電
圧差から前記不溶性電極の劣化度を判定することを特徴
とする電気メッキ用貴金属系電極の寿命判定方法。 - 【請求項2】 メッキセル実績電圧および電気メッキ操
業実績からメッキセル理論電圧を計算する計算器と、前
記計算器から得られる前記メッキセル理論電圧と前記メ
ッキセル実績電圧とを常時比較し、前記メッキセル理論
電圧と前記メッキセル実績電圧との差が一定値に達した
ときに警報を発する警報器とからなることを特徴とする
電気メッキ用貴金属系不溶性電極の寿命判定装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP30345193A JP2792414B2 (ja) | 1993-11-09 | 1993-11-09 | 電気メッキ用貴金属系不溶性電極の寿命判定方法および装置 |
Applications Claiming Priority (1)
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JP30345193A JP2792414B2 (ja) | 1993-11-09 | 1993-11-09 | 電気メッキ用貴金属系不溶性電極の寿命判定方法および装置 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH07138798A JPH07138798A (ja) | 1995-05-30 |
JP2792414B2 true JP2792414B2 (ja) | 1998-09-03 |
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ID=17921150
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JP30345193A Expired - Fee Related JP2792414B2 (ja) | 1993-11-09 | 1993-11-09 | 電気メッキ用貴金属系不溶性電極の寿命判定方法および装置 |
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Country | Link |
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JP (1) | JP2792414B2 (ja) |
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---|---|---|---|---|
WO2013058151A1 (ja) * | 2011-10-18 | 2013-04-25 | 株式会社シンク・ラボラトリー | 製版消耗材の遠隔管理方法 |
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1993
- 1993-11-09 JP JP30345193A patent/JP2792414B2/ja not_active Expired - Fee Related
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