JP2506573B2 - 電解銅箔の製造方法及び装置 - Google Patents

電解銅箔の製造方法及び装置

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JP2506573B2 JP2411764A JP41176490A JP2506573B2 JP 2506573 B2 JP2506573 B2 JP 2506573B2 JP 2411764 A JP2411764 A JP 2411764A JP 41176490 A JP41176490 A JP 41176490A JP 2506573 B2 JP2506573 B2 JP 2506573B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、電解銅箔の製造方法及
び装置に関する。
【0002】
【従来の技術】電解銅箔は、不溶性金属製の陽極(アノ
ード)と表面を鏡面研磨された金属製陰極(カソード)
胴(ドラム)との間に電解液を流しそして陽極及び陰極
胴間に電位を与えることにより、陰極胴表面に銅を電着
させそして所定厚となった電着物を陰極胴から剥離する
ことにより製造される。得られる銅箔は生箔と呼ばれ、
爾後に様々の表面処理を施して印刷回路その他向けの製
品とされる。
【0003】図5は、従来からの電解銅箔製造における
陰極胴と陽極との配置関係を示す説明図である。電解液
を収蔵する電解槽(図示なし)において、陰極胴1は電
解液に部分的に浸漬された状態で回転しうるよう設置さ
れる(ここでは時計方向)。陰極胴1の浸漬された、お
およそ下半部分を覆って且つ回転胴表面から一定間隔を
おいて例えば2枚の陽極5が配設される。電解槽内で2
枚の陽極5の間の6時の位置(短針の位置、以下同じ)
から電解液が供給されそして電解液は陰極胴と陽極との
間の間隙を通して流れて陽極上縁から溢出して循環され
る。整流器6が陰極胴と陽極との間に所定の電圧を維持
している。
【0004】陰極胴1が回転するにつれ、電解液から電
着する銅は厚みを増し、およそ12時の位置において所
定の厚さとなった生箔が適宜の剥離手段により剥離され
て巻き取られる。
【0005】このようにして製造された生箔は、陽極−
陰極間の距離、供給される電解液の流速あるいは供給さ
れる電気量等の不均一性により、その厚みにバラツキが
生じる。
【0006】一方で、電解銅箔製造設備においては、或
る一定期間の運転を終ると、特に陽極の減耗により陽極
及び陰極間の間隔にムラが生じて、使用に耐えない状態
となる。特に端部と中央部とでは電解液の流れ状況が異
なり、巾方向の厚みのバラツキが生じる。
【0007】このように、製造される電解銅箔は、図5
に示すように、長さ方向及び巾方向厚みにバラツキを生
じている。
【0008】電解銅箔の巾方向の厚みの均一化を達成す
るためには、従来次のような対策がとられてきた: (1)陽極ミリング:電解銅箔製造設備においては、陽
極は或る一定期間の運転を終ると、その減耗により陽極
及び陰極間にムラが生じ、使用に耐えない状態となる。
使用に耐えない状態とは、電解電圧が異常に上昇した状
態或いは製造された銅箔の厚みのバラツキが激しい状態
を云う。この状態を回避するために、一定期間使用され
た陽極は特殊な切削機械で表面を円筒加工する。 (2)陽極部分削り:陽極ミリング後製造された銅箔の
巾方向の厚みのバラツキを測定し、そのデータに応じて
陽極の表面を部分的に削り取り、銅箔の厚みを修正す
る。
【0009】この他、陽極の少なくとも一部を複数個の
巾方向厚み均一化用分割陽極として構成し、電解銅箔の
巾方向厚みが均一となるようこれら分割陽極への電気量
を個別に制御することが提唱され、これは操業中に巾方
向厚みを制御しうる点で優れており、大きな成果を挙げ
ている。
【0010】ところが、銅箔の長さ方向厚みのバラツキ
に関しては、これまで何故かほとんど問題認識されず、
現在に至っている。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】銅箔は主としてプリン
ト配線板に使用されるが、そのプリント配線板の高密度
化に伴い、回路の狭巾化、多層化による一層当たりの厚
みの低下により、銅箔の薄箔化が進展すると同時に、銅
箔の厚みの均一化への要求は益々厳しくなっている。
【0012】それに伴い、従来看過されてきた長さ方向
厚みの均一化の解決も重大な課題となっている。
【0013】本発明の課題は、操業中の長さ方向の厚み
修正を可能とする新たな電解銅箔製造方法及び装置を開
発することである。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、陽極の少
なくとも一部を長さ方向厚み均一化用分割陽極として構
成し、製造された電解銅箔の長さ方向厚みの変化に応じ
て長さ方向厚みが均一となるよう分割陽極への電気量を
個別に制御することを想到した。電気量の制御は、分割
陽極に供給する電気量を個別に制御する整流器を設置す
るか若しくは分割陽極と陰極胴との間隔を調節して、該
長さ方向厚み均一化用分割陽極と陰極胴との間の電流密
度を個別に制御する分割陽極位置調節機構を設置するこ
とにより実現することができる。
【0015】この知見に基づいて、本発明は、(1)回
転自在の陰極胴と該陰極胴に対面する少なくとも1枚の
陽極との間に電解液を流し、該陰極胴表面に銅を電着さ
せそして電着した銅箔を該陰極胴から剥離する電解銅箔
の製造方法において、前記陽極の少なくとも一部を長さ
方向厚み均一化用分割陽極として構成し、そして該長さ
方向厚み均一化用分割陽極に供給する電気量を個別に制
御することにより銅箔の長さ方向厚みを均一化すること
を特徴とする電解銅箔の製造方法及び(2)長さ方向厚
み均一化用分割陽極に供給する電気量を、陰極胴一周当
たりの銅箔の長さ方向厚みのパターンに基づいて個別に
制御することを特徴とする前記(1)の電解銅箔の製造
方法を提供する。本発明はまた、(3)回転自在の陰極
胴と該陰極胴に対面する少なくとも1枚の陽極との間に
電解液を流し、該陰極胴表面に銅を電着させそして電着
した銅箔を該陰極胴から剥離する電解銅箔の製造装置に
おいて、前記陽極の少なくとも一部を長さ方向厚み均一
化用分割陽極として構成し、そして該長さ方向厚み均一
化用分割陽極に供給する電気量を個別に制御する整流器
を備えたことを特徴とする均一化された長さ方向厚みを
有する電解銅箔の製造装置並びに(4)回転自在の陰極
胴と該陰極胴に対面する少なくとも1枚の陽極との間に
電解液を流し、該陰極胴表面に銅を電着させそして電着
した銅箔を該陰極胴から剥離する電解銅箔の製造装置に
おいて、前記陽極の少なくとも一部を長さ方向厚み均一
化用分割陽極として構成し、そして該長さ方向厚み均一
化用分割陽極と陰極胴との間隔を調節して、該長さ方向
厚み均一化用分割陽極と陰極胴との間の電流密度を個別
に制御する分割陽極位置調節機構を備えたことを特徴と
する均一化された長さ方向厚みを有する電解銅箔の製造
装置をも提供する。
【0016】
【作用】本発明に従えば、電解銅箔生箔の長さ方向厚み
のばらつきを低減するために、図5において既に説明し
た陽極の、少なくとも一部、好ましくは少なくとも銅箔
取り出し側の1枚或いはその一部が巾方向に分割された
複数個の長さ方向箔厚み均一化用分割陽極として構成さ
れる。もちろん、既存の陽極に追加してこれら長さ方向
箔厚み均一化用分割陽極を補助陽極として設置すること
が出来る。
【0017】
【実施例】図1及び図2には、2枚の陽極のうちの銅箔
引出し側の陽極の一部を長さ方向箔厚み均一化用分割陽
極(以下、単に分割陽極という)9として構成した例を
示す。また、分割陽極は、巾方向に分割せずに1枚巾の
分割陽極としても良い。
【0018】図3は、長さ方向分割陽極を9を銅箔引出
し側陽極5の全体にわたって複数列設けた例であるり、
これら複数列の各々を巾方向に分割せずに1枚巾の分割
陽極としても良い。
【0019】図4は、銅箔引出し側のみならず、電着開
始側の陽極の一部をも長さ方向分割陽極として構成した
例を示す。
【0020】巾方向分割数並びに分割陽極の列数は、多
い程きめ細かな制御が出来るが、それだけ作製及びメン
テナンスが大変であり、製造すべき銅箔の巾並びに電解
銅箔製造設備の状況に応じて、一列当たり10〜40
個、通常20〜30個前後に分割される。
【0021】図1及び図2の例をもって、電解銅箔製造
の操業態様を説明する。
【0022】硫酸銅の硫酸溶液のような電解液を収蔵す
る電解槽(図示なし)において、例えばステンレス鋼或
いはチタン製の、回転円筒体である陰極胴1は電解液に
部分的に浸漬され、ここでは時計方向に回転しうるよう
支持装置によって設置されている。
【0023】陰極胴1の浸漬された、おおよそ下半部分
を覆って且つ陰極胴表面から一定間隔をおいて例えば2
枚の円弧状の不溶性陽極5が配設される。不溶性陽極
は、鉛、鉛とアンチモン、銀、インジウム等との鉛合金
等から作製される。別様には、この不溶性陽極は、DS
E或いはDSA(Dimension StableE
lecrode,Anode)と呼ばれる、チタンに代
表されるバルブ金属上に主として白金族金属或いはその
酸化物を被覆した構造のものとなしうる。陽極は、図示
のように陰極胴のおおよそ下1/4部分に沿って配設さ
れる2枚の陽極シートから構成するのが好ましいが、場
合によっては1枚、3枚或いは4枚といった、もっと多
くの陽極シートから構成することも出来る。
【0024】本具体例に従えば、こうした陽極の銅箔取
り出し側の1枚の一部が、前述したような分割陽極9と
して構成されるのである。適宜数の分割陽極9’、
9”、・・・・が形成される。前述したように、長さ方
向分割陽極9は、巾方向に分割せずに1枚巾の分割陽極
としても良い。
【0025】陰極胴と陽極との間隔は通常2〜100mm
の範囲で一定位置に維持される。間隔が狭い程、電気量
が少なくてすむが、膜厚及び品質の管理が難しくなる。
【0026】陰極胴と陽極との間隔は電解液の流通路を
形成する。2枚の陽極5間の6時の位置から電解液が槽
内の適宜のポンプ(図示なし)を通して供給されそして
電解液は陰極胴と陽極との間の間隙を通して両側に流れ
て各陽極上縁から溢出して循環される。
【0027】整流器6が陰極胴と陽極との間に所定の電
圧を維持している。
【0028】陰極胴1が回転するにつれ、電解液からの
銅の電着は、ほぼ3時の位置から始まり、次第に厚みを
増し、ほぼ9時の位置において電着を終えて所定の厚み
となり、おおよそ12時の位置において所定の厚みとな
った生箔が適宜の剥離手段により剥離されて巻き取られ
る。
【0029】しかしながら、前述したように、供給され
る電解液の流速あるいは供給される電気量等の不均一性
により、生箔に長さ方向厚みの局所的変動が生ずる。
【0030】本実施例に従えば、実際に製造された銅箔
サンプルの長さ及び巾方向幾つかの位置での陰極胴一周
当たりの厚みパターンを測定し、その測定結果に応じて
子整流器7が、個々の分割陽極と陰極胴との間の電流量
を調整する。
【0031】本発明において、陰極胴一周当たりの厚み
のパターンとは、陰極胴が一周したときに製造された銅
箔を、例えば長さ方向に36そして巾方向に20カ所に
分割した場合には36×20=720カ所の銅箔の厚み
を測定し、その720カ所の厚みの変動(バラツキ)の
状態を示したものをいう。
【0032】長さ方向及び巾方向の分割数を増やすほ
ど、銅箔の厚みの変動は少なくなるけれども、このため
の制御装置のメンテナンス等を考慮に入れると、通常は
10〜40が好ましい。
【0033】銅箔の巾方向の各位置での厚みの測定は、
適宜のサンプリングによって単位面積当たりの重量を測
定することにより簡易に行ないうるし、静電容量検知型
のような厚み測定装置を用いることも出来る。
【0034】各分割陽極間には好ましくは、絶縁シール
が設けられる。絶縁シール材としては、PVC板、常温
加硫ゴム(RTV:商品名)等が使用出来る。この外に
も、例えば、絶縁性接着剤で隣り合う分割陽極を接合す
ることにより或いは絶縁膜を挟んで分割陽極を一体化す
ることによりもたらされる。
【0035】本発明に従えば、分割陽極の個々の制御は
それぞれの設定位置を制御することによっても実施しう
る。電解液中で陽極を支持する支持装置とは別に、分割
陽極を個別に支持しそして個々の分割陽極を陰極胴に近
付け或いはそこから引離すための手段が設置される。こ
れら分割陽極が、螺子機構、ピストン−シリンダ機構等
の適宜の位置調節機構により前後に移動される。特定部
位に相当する特定の分割陽極の支持棒が位置調節機構に
より変位される。分割陽極が陰極胴に近付く程電流密度
は高まり、電着銅の厚みは増大する。逆に分割陽極を陰
極胴から引き離す程、電流密度は減少して電着銅厚みは
減少する。
【0036】こうして本発明に従えば、長さ方向箔厚み
均一化用分割陽極を利用して、そこに供給する電気量を
個別に制御するか、或いはその設定位置を個別に制御す
ることにより製造される電解銅箔の長さ方向厚みを均一
化することができる。
【0037】(実施例1)直径2.0m及び巾1.3m
の陰極胴と図示したように陰極胴のほぼ下半部分に沿っ
て配設された巾1.3mの、2枚の陽極を使用して硫酸
銅溶液を用いて厚み35μmの銅箔の製造を行なった。
本発明に従う陽極構成としては、図1及び図2に示した
構成を使用し、そして長さ方向分割陽極を20個の分割
陽極から構成した。
【0038】そして、あらかじめ測定された、陰極胴一
周当たりの長さ方向厚みのパターン(巾方向:20×長
さ方向:36=720)に基づいて、個々の陽極をパソ
コンを用い、0.1〜10A/dm2 の範囲で調節し
た。この結果、本発明方法によって長さ方向の厚みの変
動は小さくなり、従来の約3%の変動から0.5%以下
の変動へと低減することができた。
【0039】(実施例2)本発明に従う陽極構成として
は、図5に示した銅箔の引き出し側の既存の陽極上に2
0個の分割陽極から成る長さ方向分割陽極を配設するこ
とにより構成し、実施例1と同様に厚み35μmの銅箔
を製造した。得られた銅箔の長さ方向の厚みの変動は
0.5%以下であった。
【0040】
【発明の効果】従来あまり考慮されることのなかった、
供給される電解液の流速あるいは供給される電気量等の
不均一性に起因する長さ方向の厚みのバラツキを低減す
ることに成功した。巾方向厚みのバラツキを制御する手
段と併用することにより、厚みの均一な高品質銅箔が製
造出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】2枚の陽極のうちの銅箔引出し側の陽極の一部
を箔厚み均一化用分割陽極として構成した実施例の、陰
極胴と陽極との配置関係を示す概略斜視図である。
【図2】図1の陽極の斜視図である。
【図3】図2の銅箔引出し側陽極全体を複数列の長さ方
向分割陽極として構成した具体例の陽極の斜視図であ
る。
【図4】電着側陽極の一部をも長さ方向分割陽極として
構成した例を示す。
【図5】従来からの電解銅箔製造における陰極胴と陽極
との配置関係を示す説明図である。
【符合の説明】
1 陰極胴 2 中心軸 4 外周壁 5 陽極 6 整流器 7 子整流器 9 分割陽極

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 回転自在の陰極胴と該陰極胴に対面する
    少なくとも1枚の陽極との間に電解液を流し、該陰極胴
    表面に銅を電着させそして電着した銅箔を該陰極胴から
    剥離する電解銅箔の製造方法において、前記陽極の少な
    くとも一部を長さ方向厚み均一化用分割陽極として構成
    し、そして該長さ方向厚み均一化用分割陽極に供給する
    電気量を個別に制御することにより銅箔の長さ方向厚み
    を均一化することを特徴とする電解銅箔の製造方法。
  2. 【請求項2】 長さ方向厚み均一化用分割陽極に供給す
    る電気量を、陰極胴一周当たりの銅箔の長さ方向厚みの
    パターンに基づいて個別に制御することを特徴とする請
    求項1の電解銅箔の製造方法。
  3. 【請求項3】 回転自在の陰極胴と該陰極胴に対面する
    少なくとも1枚の陽極との間に電解液を流し、該陰極胴
    表面に銅を電着させそして電着した銅箔を該陰極胴から
    剥離する電解銅箔の製造装置において、前記陽極の少な
    くとも一部を長さ方向厚み均一化用分割陽極として構成
    し、そして該長さ方向厚み均一化用分割陽極に供給する
    電気量を個別に制御する整流器を備えたことを特徴とす
    均一化された長さ方向厚みを有する電解銅箔の製造装
    置。
  4. 【請求項4】 回転自在の陰極胴と該陰極胴に対面する
    少なくとも1枚の陽極との間に電解液を流し、該陰極胴
    表面に銅を電着させそして電着した銅箔を該陰極胴から
    剥離する電解銅箔の製造装置において、前記陽極の少な
    くとも一部を長さ方向厚み均一化用分割陽極として構成
    し、そして該長さ方向厚み均一化用分割陽極と陰極胴と
    の間隔を調節して、該長さ方向厚み均一化用分割陽極と
    陰極胴との間の電流密度を個別に制御する分割陽極位置
    調節機構を備えたことを特徴とする均一化された長さ方
    向厚みを有する電解銅箔の製造装置。
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