JPH06306693A

JPH06306693A - 金属ストリップの幅方向めっき付着量制御用めっき電極ならびにめっき付着量制御方法

Info

Publication number: JPH06306693A
Application number: JP10089293A
Authority: JP
Inventors: Yukio No; 由紀男野
Original assignee: Kawasaki Steel Corp
Current assignee: JFE Steel Corp
Priority date: 1993-04-27
Filing date: 1993-04-27
Publication date: 1994-11-01

Abstract

(57)【要約】【目的】ストリップの幅方向にめっき付着量を制御す
る。【構成】金属ストリップ１の表面に平行して設けられ
た略長方形の非消耗型めっき電極２であって、ラインの
進行方向に対し斜めの角度を持つ複数本の切断線によっ
て幅方向に台形あるいは３角形状の複数のアノード片2
a、2b・・・2gに分割され、かつ互いに電気的に絶縁さ
れていることを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、鋼帯等の金属ストリッ
プの連続電気めっき技術に関し、特に非消耗型めっき電
極（不溶性陽極）を使用し、幅方向にめっき付着量を任
意に制御することのできるめっき付着量制御用めっき電
極ならびにめっき付着量制御方法に関する。

【０００２】

【従来の技術】近年、自動車、家電製品等において耐食
性向上の要求が高まり、亜鉛めっきをはじめとする各種
めっき鋼板の需要は著しい増加を見せている。こうした
需要増に対処するため、近年、高能率生産の可能な高電
流密度による高速めっき法、とくにイリジウム系等の不
溶性陽極を用いて消費される金属イオンを連続的に補給
する非消耗型電極方式の方が多く採用される傾向にあ
る。また、めっき槽の中へ金属ストリップを浸漬させる
ため垂直あるいは斜めのパスルートを持つ従来型より
も、ストリップの通板制御が容易で高速運転に適するジ
ェットセル方式の水平型めっき設備が開発されている。
この場合、水平方向に上下に配置された電極（陽極）の
中間をストリップが水平に走行し、その間隙にめっき液
が循環噴射され、陽極の前後に配置されたコンダクタロ
ールを陰極として電気めっきが行われる。

【０００３】周知のように、電気めっきにおいて表面に
付着するめっき金属の量、いわゆる目付量は、流れる電
流にほぼ比例し、ライン速度に反比例する。すなわち、

【０００４】

【数１】

【０００５】の関係がある。また、単位表面積当たりの
めっき付着量は、電流密度に比例し、電流密度は、スト
リップと電極とが完全に平行であってもエッジ部と中央
部とでは幅方向に均一とはならず、エッジ部のめっき付
着量が過大になるエッジオーバコートはよく知られてい
る。また、前記のコンダクタロールとこれに対向するバ
ックアップロールとは通常硬度差が設けられているた
め、ストリップに反りが発生する。この反りがめっき槽
における張力の作用で幅方向の反り、いわゆるＣ反り
（１山のもの）やＷ反り（２山のもの）などに変化し、
電極との距離が変化するため電流密度も均一とならず、
距離の短い部分が厚めっきとなって、めっき付着量が幅
方向だけでなく表裏面間でも不均一となる。

【０００６】このようなストリップの反り傾向に対応し
て、あくまで均一なめっきを行うため、あるいは、スト
リップの反り傾向にかかわりなく意図的に不均一なめっ
きを行うため、特開昭62-40392号公報によれば、ストリ
ップの幅方向に傾斜分割し、一方を高電流密度、他方を
低電流密度に構成した電極を陽極とし、ストリップを陰
極として通電することを特徴とする幅方向差厚電気めっ
き方法が提案されている。これを図３、図４により説明
する。１はストリップ、２はめっき電極で、2a、2b、2c
は分割されためっき電極２の部分であるアノード片を表
す。

【０００７】図３の場合、（ａ）は電極付近の平面図、
（ｂ）はそのＢＢ矢視によるめっき後の金属ストリップ
の断面の概念図である。めっき電極２はラインの進行方
向、すなわちストリップ１のエッジに対し角度αをなす
八の字状の２本の切断線により2a、2b、2cに３分割され
ており、たとえば2a、2cは高電流密度、2bは低電流密度
となるように構成することにより、断面図（ａ）に示す
ように板幅中央部を薄めっき、両端部を厚めっきとする
幅方向差厚電気めっきを行うことができる。また、図４
の場合も、（ａ）は電極付近の平面図、（ｂ）はそのＣ
Ｃ矢視によるめっき後の金属ストリップ１の断面の概念
図で、電極２はストリップ１のエッジに対し角度α’を
なす１本の切断線により2a、2bに２分割されており、た
とえば2aを低電流密度、2bを高電流密度となるように構
成することにより、断面図（ａ）に示すように板幅片側
を薄めっき、他の片側を厚めっきとする幅方向差厚電気
めっきを行うことができる。

【０００８】また、ストリップの形状不良等によって、
分割されていない従来の電極でめっきを行えばめっき厚
が不均一となる場合に、この引用の発明を応用して不均
一を解消する方向に差厚めっきを施し、均一のめっきを
実現することもできる。一方、特公昭52-18650号公報に
よれば、めっき槽の出側に、ストリップの幅方向に複数
のめっき付着量計を設置するとともに、電極とストリッ
プの間に同じく幅方向に分割したグリッドを配置し、幅
方向のめっき付着量情報に基づいて対応するグリッドの
電位を調整して幅方向のめっき量を制御する方法が提案
されている。さらに、特開昭59-59895号公報によれば、
同様にめっき槽の出側にストリップの幅方向に複数のめ
っき付着量計を設置するとともに、ストリップの幅方向
に分割された複数個のアノード片よりなる制御用陽極を
ストリップ表面に対し所定間隔をおいて対面させて配置
し、めっき付着量検出信号に基づいて各アノード片の電
流を個別に制御することにより幅方向のめっき量を制御
することが提案されている。

【０００９】

【発明が解決しようとする課題】ところで、特開昭62-4
0392号公報記載の発明においては電極を幅方向に２ない
し３分割しているが、個々の電極について見れば２分
割、あるいは３分割としたことにより分割数は固定され
てしまい、形状に応じて分割数をその都度任意に変更す
るというわけには行かないから、ラインの事情によって
図３のケース、あるいは図４のケースを選択しなければ
ならない。また、この程度の分割数では、とくにストリ
ップ幅が大きい場合、きめ細かく均一なめっき付着量を
実現することは難しい。

【００１０】また、特公昭52-18650号公報、あるいは特
開昭59-59895号公報記載の発明においては、幅方向の分
割区分の境界位置においてめっき量が段階的に変化する
ため、筋状のマークが残ったり、このストリップにプレ
ス加工を施した際、押状マークと呼ばれる欠陥が生じる
ことがある、などの問題点がある。本発明は、このよう
な問題点を解消し、幅方向のめっき厚を任意に制御でき
るめっき方法を提供することを目的とする。

【００１１】

【課題を解決するための手段】本発明の金属ストリップ
の幅方向めっき付着量制御用めっき電極は、金属ストリ
ップの表面に平行して設けられた略長方形状の非消耗型
めっき電極であって、ラインの進行方向に対し斜めの角
度を持つ複数本の切断線によって台形あるいは３角形状
の複数のアノード片に分割され、かつ互いに電気的に絶
縁されていることを特徴とする。

【００１２】また、本発明の金属ストリップの幅方向め
っき付着量制御方法は、めっき槽の入側あるいは出側に
おいて前記金属ストリップの平面形状あるいは幅方向の
めっき付着量分布を測定するとともに、前記金属ストリ
ップの表面に平行して設けられた略長方形状の非消耗型
めっき電極を、ラインの進行方向に対し斜めの角度を持
つ複数本の切断線によって台形あるいは３角形状の複数
のアノード片に分割し、分割された各アノード片に、前
記金属ストリップの平面形状あるいはめっき付着量分布
に基づいて個々に電気条件を与えることを特徴とする。

【００１３】

【作用】本発明によれば、めっき電極が幅方向に複数
のアノード片に分割されており、個々に電気条件を与え
ることができるように構成されているから、幅方向に任
意の付着量制御を行うことができるとともに、その分割
は、ラインの進行方向に対して斜めの角度を持つ複数本
の切断線によっているから、めっき付着量が幅方向に段
階的でなく徐々に変化するので、めっき製品の表面に筋
状のマークが残ったり押状マークが生じることがない。

【００１４】

【実施例】本発明の一実施例を図１、図２により説明す
る。図１（ａ）はこの実施例におけるめっき電極付近の
平面図、（ｂ）はそのＡＡ矢視によるめっき後の金属ス
トリップ断面の概念図である。１は金属ストリップ、２
はめっき電極で、電極２はラインの進行方向、すなわち
ストリップ１のエッジに対し角度を持った３組６本の八
の字状の切断線により2a、2b・・・2gのアノード片に分
割され、これらは互いに電気的に絶縁されている。それ
ぞれのアノード片には別個に電位、あるいは電流密度を
制御することにより、例えば図１（ｂ）のような幅方向
に均一なめっき厚分布が得られる。

【００１５】図２はこの実施例におけるめっき槽付近の
ライン構成を示す側面図で、３はコンダクタロール、４
はめっき槽、５はブスバー、６は整流器、７は制御装
置、８はプロフィルセンサ、９はめっき付着量計であ
る。（なお、この図で、めっき槽４や整流器６などがラ
イン進行方向に複数基並列して描かれているが、これは
本発明にいう幅方向の分割ではなく、ライン速度を向上
させるため、めっき槽を進行方向に複数基設けて構成し
ているものである。）図１に示した電極の分割された各
アノード片には、整流器６、ブスバー５を介して図２の
制御装置７から個別に制御が行われるから、めっき槽１
基毎に整流器６、ブスバー５はそれぞれ７基必要であ
る。

【００１６】プロフィルセンサ８はたとえばレーザ距離
計、めっき付着量計９はＸ線アナライザなどが好適であ
る。いずれも、少なくとも電極の分割数に対応した信号
が出力できるよう、幅方向に分割されていることが必要
である。また、これらは、一方を主とし、他方をバック
アップとしてもよいし、いずれか一方を省略することも
できる。めっき付着量計９はめっき槽４の出側に配置せ
ざるをえないが、プロフィルセンサ８はめっき槽４の前
後いずれの側にも配置することができ、入側とした場合
はフィードフォワード制御となる。いずれにしても、ス
トリップ１のプロフィル、あるいはめっき付着量の幅方
向分布状況によって幅方向に分割された電極の各アノー
ド片にこれを是正、あるいは変更する方向の電位制御あ
るいは電流制御を行い、均一なめっき厚、あるいは意図
的に偏りを持たせためっき厚の分布を与えることができ
る。

【００１７】なお、このような分割電極をラインの全め
っき槽に設けてもよいが、一部のみとし、他のめっき槽
には分割されない通常の電極を設けてもよい。また、消
耗型電極においてこのような分割を行うことも不可能で
はないが、頻繁な電極交換を考慮すると現実的ではな
く、非消耗型めっき電極に適用することが望ましい。

【００１８】

【発明の効果】本発明によれば、ストリップの幅方向に
きめ細かくめっき付着量を調整することができるから、
Ｃ反り、Ｗ反りなどにも対応して均一なめっき付着量が
得られ、また、場合によっては部分的にめっき厚を変え
るなどの任意のめっき厚制御が可能となり、めっき製品
の品質が向上するというすぐれた効果がある。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の実施例を示す（ａ）は平面図、（ｂ）
はそのＡＡ矢視である。

【図２】本発明の実施例におけるめっき設備を示す側面
図である。

【図３】従来の技術を示す（ａ）は平面図、（ｂ）はそ
のＢＢ矢視である。

【図４】他の従来の技術を示す（ａ）は平面図、（ｂ）
はそのＣＣ矢視である。

【符号の説明】

１ストリップ２めっき電極３コンダクタロール４めっき槽５ブスバー６整流器７制御装置８プロフィルセンサ９めっき付着量計

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】金属ストリップ（１）の表面に平行して
設けられた略長方形状の非消耗型めっき電極（２）であ
って、ラインの進行方向に対し斜めの角度を持つ複数本
の切断線によって幅方向に台形あるいは３角形状の複数
のアノード片（2a、2b・・・2g）に分割され、かつ互い
に電気的に絶縁されていることを特徴とする金属ストリ
ップの幅方向めっき付着量制御用めっき電極。
【請求項２】めっき槽の入側あるいは出側において金
属ストリップ（１）の平面形状あるいは幅方向のめっき
付着量分布を測定するとともに、前記金属ストリップ
（１）の表面に平行して設けられた略長方形状の非消耗
型めっき電極（２）を、ラインの進行方向に対し斜めの
角度を持つ複数本の切断線によって幅方向に台形あるい
は３角形状の複数のアノード片（2a、2b・・・2g）に分
割し、分割された各アノード片に、前記金属ストリップ
（１）の平面形状あるいはめっき付着量分布に基づいて
個々に電気条件を与えることを特徴とする金属ストリッ
プの幅方向めっき付着量制御方法。