JP2791642B2 - 熱重量測定方法 - Google Patents

熱重量測定方法

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JP2791642B2 JP26305794A JP26305794A JP2791642B2 JP 2791642 B2 JP2791642 B2 JP 2791642B2 JP 26305794 A JP26305794 A JP 26305794A JP 26305794 A JP26305794 A JP 26305794A JP 2791642 B2 JP2791642 B2 JP 2791642B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、温度を変化させて試
料の重量変化を測定する熱重量測定方法に関する。
【0002】
【従来の技術】熱重量測定には熱天秤が用いられる。こ
の熱天秤で試料の重量変化を測定するには、試料温度の
変化方法として、いくつかの方法が知られている。最も
簡単な方法は、一定の昇温速度(または降温速度)で試
料を加熱(または冷却)する方法である。しかし、この
方法は、重量測定の分解能が劣るという欠点がある。重
量測定の分解能が劣るという意味は、重量変化の開始温
度や終了温度、また、その間の重量変化量などについ
て、その測定精度が劣るということである。等速昇温
(または降温)を用いると分解能が劣る理由は次の通り
である。試料に大きな重量変化が生じる場合にも試料温
度が一定速度で上昇または下降するので、試料の状態変
化が十分に完了しないうちに、別の試料温度に移行して
しまうことになる。このような欠点を回避するために、
昇温速度(または降温速度)を非常に小さくすることが
考えられる。しかし、このようにすると、測定時間が非
常に長くなって現実的でない。
【0003】一方、試料の重量減少が開始したら昇温を
停止する方法が知られている。すなわち、試料の重量減
少速度の絶対値が所定の設定値以上になったら昇温を停
止して試料を等温で保持し、成分の分解による重量減少
が完了して重量減少速度の絶対値が別の所定の設定値以
下になったら、再び昇温を開始する。このような温度制
御方法は、SIA(Stepwise Isothermal Analysis:ス
テップ式等温分析)と呼ばれ、文献「Thermochimica Ac
ta. 138(1989), p.107-114」に記載されている。この方
法によれば、分解温度が近接している複数の分解現象を
互いに精度良く分離することが可能になり、従来の一定
昇温方式よりも分解能が向上する。ただし、このSIA
方式は、試料の重量減少が開始したら昇温を停止してし
まうので、全体として測定時間が長くなる欠点がある。
また、昇温を完全に停止してしまうと、試料の分解反応
が中断して測定に悪影響を及ぼす場合もある。
【0004】そこで、このSIAを発展させて、試料の
減量速度に応じて昇温速度を連続的に変化させる温度制
御方法(以下、ダイナミック温度制御方法という。)
が、第29回熱測定討論会講演要旨集の第330〜33
1頁(日本熱測定学会発行、1993年)に発表されて
いる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】上述のダイナミック温
度制御方法は、比較的短時間で高精度の熱重量測定が可
能になり、今後の熱重量測定方法として非常に有望であ
る。そこで、本願発明者らは、このダイナミック温度制
御方法の応用分野について鋭意研究を重ねた結果、いく
つかの応用分野において顕著な結果を見出したものであ
る。この発明の目的は、医薬品の付着水と結晶水とを高
精度に分離定量することにある。この発明の別の目的
は、医薬品の付着水と結晶水のそれぞれの脱水温度を高
精度に測定することにある。この発明のさらに別の目的
は、セラミックス焼結原料の付着水と結晶水とを高精度
に分離定量することにある。この発明のさらに別の目的
は、高分子化合物に含まれる成分の熱分解開始温度と熱
分解終了温度とを高精度に測定することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段及び作用】この発明では、
ダイナミック温度制御方法の最も効果的な応用分野とし
て、(1)医薬品に含まれる付着水と結晶水とを分離定
量すること、(2)医薬品に含まれる付着水と結晶水の
それぞれの脱水温度を測定すること、(3)セラミック
ス焼結原料に含まれる付着水と結晶水とを分離定量する
こと、(4)高分子化合物に含まれる成分の熱分解開始
温度と熱分解終了温度とを測定すること、が非常に有望
であることを見出した。
【0007】医薬品に含まれる水分としては、構造の一
部分として不可欠な結晶水と、単に付着している付着水
(自由水とも呼ばれる。)とがある。そして、医薬品の
結晶構造、分子式、純度の決定には、結晶水量を正確に
測定することが必要である。また、医薬品の安定性、薬
効、製剤特性などに対しては、結晶水と付着水ではその
影響が異なるので、結晶水と付着水の量をそれぞれ求め
る必要がある。しかしながら、従来の等速昇温による熱
重量測定方法では、付着水と結晶水の減量がほとんど連
続して起こり、これらを明瞭に区別するのは困難であっ
た。したがって、熱重量曲線だけで結晶水か付着水かを
判定するのは危険である、との指摘がなされている。
【0008】これに対して、医薬品の結晶水と付着水の
分離定量のためにダイナミック温度制御方法を適用する
と、結晶水と付着水を明瞭に分離定量でき、従来の等速
昇温法の場合と比較して、格段に優れた結果が得られ
た。
【0009】また、医薬品を乾燥する場合や、乾燥して
保管する場合において、医薬品の結晶水と付着水のそれ
ぞれの脱水温度を正確に測定することが必要になる。す
なわち、医薬品を昇温していくと、最初に比較的低い温
度で付着水が脱水し、その後に、もっと高い温度で結晶
水が脱水する。医薬品を乾燥させる場合には、付着水の
脱水温度よりも高く、かつ、結晶水の脱水温度よりも低
い温度で、乾燥させる必要がある。また、医薬品を乾燥
状態で保管する場合も、この温度で保管するのが好まし
い。このような目的のために、結晶水と付着水のそれぞ
れの脱水温度を正確に測定する必要があり、ダイナミッ
ク温度制御方法を用いると、これらの脱水温度を正確に
測定できる。
【0010】セラミックス焼結原料の水分量は、最終成
形性に大きな影響を与える。セラミックス焼結原料中に
は、結合力の弱い付着水と、セラミックスと強く結合し
た結合水とが存在する。また、セラミックス焼結原料中
には、融解状態または粉末状態でバインダが混入されて
いる。そして、結合水がバインダと均質に混合されると
成形性が良好になると言われている。このため、混入す
る水分量の管理が重要となる。一般に、乾燥法によっ
て、例えば40℃で4時間で分解するものを付着水、1
00℃で4時間で分解するものを結合水として、定量し
ているが、この方法では精度が悪い。また、従来の等速
昇温による熱重量測定も行われているが、結合水とバイ
ンダの熱分解が重複して起こるため、結合水量の測定精
度は劣っている。
【0011】これに対して、セラミックス焼結原料の結
晶水と付着水の分離定量のためにダイナミック温度制御
方法を適用すると、結晶水と付着水を明瞭に分離定量で
き、従来の等速昇温法の場合と比較して、格段に優れた
結果が得られた。
【0012】高分子化合物では、これを昇温していく
と、残留溶媒モノマーや各種の添加剤が比較的低温で熱
分解または揮発し、これに伴う重量減少が観測される。
そして、これに引き続いて、高分子化合物の主成分の熱
分解が1段階または多段階で起こる。従来の等速昇温法
によると、残留溶媒モノマーや各種の添加剤に起因する
最初の熱分解と、その後の主成分の熱分解とが重複して
しまい、主成分の熱分解開始温度を正確に測定すること
が困難であった。
【0013】これに対して、高分子化合物の熱分解開始
温度と熱分解終了温度の測定のためにダイナミック温度
制御方法を適用すると、これらの温度を精度良く測定で
き、従来の等速昇温の場合と比較して、格段に優れた結
果が得られた。
【0014】この発明で使われているダイナミック温度
制御方法は、試料の減量速度に応じて試料の昇温速度が
連続的に変化するように、試料温度を制御するようにし
たものである。すなわち、試料の重量が時々刻々変化す
る場合に、その減量速度を算出して、その減量速度に適
した昇温速度を設定し、そのような昇温速度になるよう
に試料の温度を制御するようにしたものである。昇温速
度は、減量速度に対して連続的に変化するようにする。
換言すれば、昇温速度は減量速度の連続関数として表す
ことができる。このような制御方法は、あらかじめ設定
した重量減少速度に達したか否かで一定昇温と昇温停止
とを切り換えるようにした従来のSIA方式とは基本的
に異なっている。
【0015】試料の昇温速度は、試料の減量速度の連続
関数となる。このことは、減量速度が変化していった場
合に、それに連れて昇温速度が連続的に変化することを
意味する。使用可能な連続関数の例としては、有理整関
数、無理関数、指数関数、対数関数を挙げることができ
る。
【0016】また、試料の昇温速度の絶対値が、試料の
減量速度の絶対値の単調減少関数となるようにするのが
好ましい。このことは、試料の減量速度が大きれば大き
いほど、試料の昇温速度が小さくなることを意味する。
使用可能な単調減少関数の例としては、上述の連続関数
の例のうちで、単調減少となっている領域を使うことが
できる。
【0017】この発明のように試料の減量速度に応じて
昇温速度を時々刻々変化させるには、試料の加熱炉とし
て、制御応答性が良好なものを使うことが望ましい。そ
のためには、赤外線加熱炉が最適である。
【0018】この発明においてダイナミック温度制御を
実施するには次のようにする。熱天秤において試料の減
量速度を測定し、その測定結果に応じて試料の昇温速度
を変化させる。試料の昇温速度は減量速度の連続関数と
して表すことができ、これを目標値として、試料の温度
を例えばPID制御方式で制御する。試料の昇温速度
は、試料の減量速度に応じて最適に変化させることがで
きる。最も好ましい制御方法は、試料の減量速度の絶対
値が小さいときは試料の昇温速度の絶対値を相対的に大
きくし、試料の減量速度の絶対値が大きくなったら試料
の昇温速度を相対的に小さくすることである。これによ
り、試料の重量減少がゆるやかなときには、昇温速度を
速くすることができ、測定時間を短縮することができ
る。また、試料の重量減少が急激なときには、昇温速度
をゆるやかにすることができ、熱重量測定の分解能を向
上させることができる。そして、昇温速度は減量速度に
応じて連続的に変化するので、測定時間の短縮化と分解
能の向上とを兼ね備えた最適な温度制御が可能となる。
【0019】
【実施例】図1は、この発明を実施するための熱天秤の
概略構成を示す正面断面図である。この熱天秤は、石英
製の保護管10の内部に測定試料容器12と標準試料容
器14とがあり、これらの容器は試料ホルダ16で支持
されている。二つの容器12、14の周囲にはPt製ま
たはNi製の均熱筒(図示せず)が配置されている。保
護管10の周囲には、合計4本の赤外線ランプ20があ
り、この赤外線ランプ20は楕円集光鏡22の焦点の位
置に配置されている。試料の温度は、容器12、14を
支持する感熱板に接着された示差熱電対18で測定でき
る。
【0020】試料ホルダ16の下端は天秤ビーム24の
先端に支持されている。天秤ビーム24の他端には平衡
用分銅28があり、その先にスクリーン30が固定され
ている。光源ランプ32からの光は、スクリーン30を
通過して光電素子34に入射する。試料ホルダ16の重
量変化は光電素子34の出力変化として現れる。一方、
試料ホルダ16の下端には磁石26と分銅36が固定さ
れている。光電素子34の出力は天秤制御回路38に入
力され、この天秤制御回路38は、試料ホルダ16の重
量に応じて制御コイル40に電流を流す。すなわち、試
料ホルダ16の重量が制御コイル40にフィードバック
される。そして、制御コイル40の電流に応じて磁石2
6に力が加わる。これにより、試料ホルダ16の位置が
保たれる。
【0021】示差熱電対18で測定された試料温度はプ
ログラム自動温度制御装置42に入力される。また、示
差熱電対18で測定された示差熱温度は直流増幅器44
で増幅されて、記録計46で記録される。また、天秤制
御回路38の出力すなわち試料ホルダ16の重量も、記
録計46で記録される。
【0022】プログラム自動温度制御装置42には、示
差熱電対18からの試料温度データと、天秤制御回路3
8からの重量データとが入力される。そして、このプロ
グラム自動温度制御装置42は、試料の減量速度に応じ
た昇温速度になるように、赤外線ランプ20に電流を流
す。また、プログラム自動温度制御装置42には、制御
係数設定装置48からの信号が入力されて、制御係数が
指定される。
【0023】図1に示す赤外線加熱炉は、抵抗加熱炉と
比較して熱慣性が小さく、温度制御の応答性に優れてい
る。
【0024】次に、試料の温度制御方法について説明す
る。試料の昇温速度は試料の減量速度に応じて次の式
(1)で表される。
【0025】
【数1】 ここで、V:昇温速度(℃/秒) Vm:最大昇温速度(℃/秒) U:減量速度(%/秒) Um:限界減量速度(%/秒) n:べき指数
【0026】試料の重量は、初期重量に対する百分率
(パーセント)で求めており、試料の減量速度の単位
は、毎秒当たりのパーセントである。試料が減量してい
く場合には、減量速度は負の値となるが、その絶対値を
とって減量速度Uとしている。式(1)の物理的意味は
次の通りである。試料の減量速度Uがゼロになると(す
なわち、試料の重量が変化しないときは)、昇温速度V
は最大昇温速度Vmに等しくなる。このVmの値は、試
料の性質に応じてあらかじめ決定しておく。試料の減量
速度Uが大きくなるにつれて昇温速度Vは小さくなって
いき、減量速度Uが限界減量速度Umに等しくなると、
昇温速度Vはゼロになる。すなわち、昇温が停止する。
この限界減量速度Umも試料の性質に応じてあらかじめ
決定しておく。一般的には、予定した測定温度範囲内に
おいて減量速度Uが限界減量速度Umを越えないよう
に、Umを設定しておく。式(1)において、もし減量
速度Uが限界減量速度Umを越えると、形式的にはVの
値が負となるが、実際の温度制御では昇温を停止するだ
けであって降温に転ずることはない。すなわち、式
(1)はU≦Umの条件でのみ有効である。式(1)は
図1のプログラム自動温度制御装置に記憶されている。
また、式(1)のVm,Um,nの数値は、図1の制御
係数設定装置48で設定できる。
【0027】減量速度UがゼロからUmの範囲内では、
昇温速度Vは減量速度Uの単調減少関数となる。単調減
少関数の意味は次の通りである。すなわち、任意の二つ
の減量速度U1、U2に対して昇温速度がそれぞれV
1、V2と定まる場合に、U2>U1ならば、常にV2
≦V1となる。なお、この実施例の式(1)の場合に
は、U2>U1ならば常にV2<V1となる。
【0028】式(1)における減量速度Uを実際に求め
るには、次のような手順を用いている。まず、試料の重
量をサンプリング間隔Δtで測定する。i番目のサンプ
リング時(以下、時刻iと呼ぶ。)の重量がWi 、ひと
つ手前の時刻(i−1)の重量がWi-1 とすると、時刻
iの時点での減量速度Ui は(Wi-1 −Wi )/Δtと
なる。次に、この減量速度Ui の4点移動平均Uai
求める。すなわち、Uai =(Ui +Ui-1 +Ui-2
i-3 )/4である。この4点移動平均の減量速度Ua
i を時刻iの減量速度とすることができる。この減量速
度を式(1)における減量速度Uに代入すればよい。
【0029】ところで、上述の4点移動平均の減量速度
は、重量測定のバラツキをならして平均的な減量速度を
算出している点で好ましいものであるが、過去の減量速
度を利用しているので、現在の減量速度さらには今後の
減量速度から見ると若干遅れたデータとなっている。そ
こで、今後の減量速度を予測して、その予測した減量速
度を式(1)の減量速度Uに代入すれば、温度制御の目
標追従性がより向上する。そこで、例えば、現在から数
個前のサンプリングまで遡った複数個の4点移動平均減
量速度Uaを基にして、将来の時刻(i+1)の減量速
度Uai+1 を予測することができ、この予測減量速度を
式(1)に代入することができる。予測値を算出する方
法としては公知の予測演算手法を利用できる。
【0030】図2は式(1)をグラフ表示した例であ
る。図2の(A)は、べき指数n=1の条件で、限界減
量速度Umを変更したときに昇温速度曲線がどのように
変化するかを示したグラフである。最大昇温速度Vmが
同じ条件であっても、限界減量速度Umが小さく設定さ
れていればいるほど、減量速度Uの増加に対して昇温速
度Vが急激に小さくなる。すなわち、限界減量速度Um
は、昇温速度Vの減量速度Uに対する感度係数として作
用する。実用的なUmの数値は、0.0001〜0.2
%/秒である。
【0031】また、図2の(B)は、最大昇温速度Vm
と限界減量速度Umとを同じにした条件において、べき
指数nの影響を示したグラフである。縦軸は昇温速度V
を最大昇温速度Vmで規格化したものであり、横軸は減
量速度Uを限界減量速度Umで規格化したものである。
n=1では昇温速度Vは減量速度Uの1次曲線(すなわ
ち直線)となる。n=2では昇温速度Vは減量速度Uの
2次曲線となる。U/Umは1より小さいので、この2
次曲線は下に凸となる。n=0.5では逆に上に凸の曲
線となる。nの値は、減量速度の変化割合に対する昇温
速度の変化割合(すなわち曲線の傾き)が、減量速度の
値に応じて、どのように変化するかを決定するものであ
る。すなわち、nが1より大きいときは、減量速度の値
が小さい領域において曲線の傾きが大きくなり、逆に、
nが1より小さいときは、減量速度の値が大きい領域に
おいて曲線の傾きが大きくなる。結局、べき指数nは、
昇温速度Vの減量速度Uに対する局所的な感度係数とし
て作用する。このnの値も、試料の性質に応じて決定す
る。実用的なnの数値は0.1〜3.0の範囲である。
【0032】図3は、医薬品の結晶水と付着水を分離定
量する発明の実施例の熱重量曲線のグラフである。医薬
品の試料としては、和光純薬製のキニーネ硫酸塩二水和
物を用いた。測定条件は次の表1の通りである。この表
1において、制御開始温度とは、ダイナミック温度制御
の開始温度である。
【0033】
【表1】試料の量 5.74mg 試料容器 直径5mm、深さ2mmの開放型アル
ミニウム皿 測定雰囲気 乾燥窒素ガスを毎分100ミリリット
ルの流量で流す 制御開始温度 35℃ 式(1)のVm 40℃/分 式(1)のUm 1×10-3%/秒 式(1)のn 0.5
【0034】図3の(A)は、横軸に時間、縦軸に重量
と温度をとったグラフであり、(B)は、同じ測定デー
タに対して、横軸に温度、縦軸に重量をとったグラフで
ある。(A)のグラフから分かるように、時間の経過に
対して、温度は一定の昇温速度にはならずに、減量速度
に応じて複雑に変化している。(B)のグラフから分か
るように、ダイナミック温度制御方法で得られた熱重量
曲線50では、室温から第1段目の減量が完了するまで
に、0.31%の減量があったものと決定でき、これが
付着水量である。次に、第2段目の減量として、4.5
5%の減量があったものと決定でき、これが結晶水量で
ある。付着水が脱水した後の試料の重量を基準にする
と、結晶水の量は4.56%に相当し、分子式から求め
られる結晶水量4.61%に対して、熱天秤の測定誤差
内で一致した。
【0035】(B)のグラフの破線の曲線52は、毎分
10℃の従来の等速昇温法を用いて同じ試料を測定した
結果を比較して示したものである。試料の量、試料容
器、測定雰囲気などの条件は、ダイナミック温度制御の
場合と同じにした。この曲線52から分かるように、従
来の等速昇温法では、第1段目の付着水の脱水現象と第
2段目の結晶水の脱水現象が、ほとんど連続的に観測さ
れてしまい、両者の分離定量は不可能であった。
【0036】また、(B)のグラフから、付着水の脱水
温度と結晶水の脱水温度を特定することができる。付着
水は室温から45℃付近まで徐々に脱水していくことが
分かり、45℃から58℃の区間では、ほぼ減量がなく
なる。また、結晶水は60℃において脱水する。したが
って、この医薬品の付着水のみを脱水乾燥させるには、
45℃から58℃の範囲の温度まで医薬品を加熱すれば
足り、かつ、60℃を越えないようにすることが必要で
ある。
【0037】図4は、セラミックス焼結原料の結晶水と
付着水を分離定量する発明の実施例の熱重量曲線のグラ
フである。セラミックス焼結原料の試料としては、バイ
ンダとしてポリマーを添加した、スラリー状の原料を用
いた。測定条件は次の表2の通りである。
【0038】
【表2】試料の量 23.00mg 試料容器 直径5mm、深さ2mmの開放型アル
ミニウム皿 測定雰囲気 乾燥窒素ガスを毎分100ミリリット
ルの流量で流す 制御開始温度 35℃ 式(1)のVm 3℃/分 式(1)のUm 2×10-3%/秒 式(1)のn 0.1
【0039】この図4は、横軸に温度、縦軸に重量をと
ったグラフである。実線の曲線54はこの発明のダイナ
ミック制御方法による測定結果であり、破線の曲線56
は毎分2℃の従来の等速昇温法による測定結果である。
曲線54から分かるように、第1段目の減量は9.93
%と決定でき、これが付着水量である。第2段目の減量
は5.63%と決定でき、これが結晶水量である。さら
に、第3段目の減量が6.15%観測され、これがバイ
ンダの一部の減量分である。従来法の曲線56と比較し
て特に顕著なことは、従来法では、第2段目の減量と第
3段目の減量が重複していて、両者の分離定量が困難に
なっているのに対して、この発明のダイナミック温度制
御方法では、第2段目の減量と第3段目の減量の境界が
明瞭に現れていて、結合水の分離定量が精度良く測定で
きることである。
【0040】図5は、高分子化合物の熱分解開始温度と
熱分解終了温度を測定する発明の実施例の熱重量曲線の
グラフである。高分子化合物の試料としては、小さく刻
んだポリウレタンを用いた。測定条件は次の表3の通り
である。
【0041】
【表3】試料の量 9.44mg 試料容器 直径5mm、深さ2.5mmの開放型
アルミニウム皿 測定雰囲気 乾燥空気を毎分100ミリリットルの
流量で流す 制御開始温度 50℃ 式(1)のVm 5℃/分 式(1)のUm 4.5×10-3%/秒 式(1)のn 1.0
【0042】この図5は、横軸に温度、縦軸に重量をと
ったグラフである。実線の曲線58はこの発明のダイナ
ミック温度制御方法による測定結果であり、破線の曲線
60は毎分5℃の従来の等速昇温法による測定結果であ
る。ダイナミック温度制御による曲線58から分かるこ
とは、まず、室温から60℃付近まで若干の減量が見ら
れる。これは、溶媒または水の分離による減量であると
思われる。その後は、平坦な基線が続くが、165℃付
近から熱重量曲線が基線から離れ始める。したがって、
熱分解開始温度は165℃である。また、JIS K7
120(1987)に規定する熱重量曲線の読み方に従
うと、このときの熱分解開始温度は201.7℃とな
る。その後は、温度上昇とともに複雑な熱分解過程が進
行するが、最終的には全ての試料が蒸発し、減量が10
0%となる。このときの熱分解終了温度は、基線に戻る
ときの温度で測定すると468.2℃となり、上述のJ
ISの方法で測定すると420.8℃となる。このよう
なダイナミック温度制御方法に対して、従来の等速昇温
法の曲線60では、同じ試料に対して、JIS方式の測
定によれば、熱分解開始温度が238.5℃、熱分解終
了温度が458.3℃となる。したがって、熱分解の開
始温度及び終了温度は、ダイナミック温度制御方法にお
けるJIS方式の測定温度よりも、かなり高めに測定さ
れてしまう。
【0043】本発明の熱重量測定方法を実施するための
熱天秤としては、図1に示すような示差熱天秤だけでな
く、示差走査熱量天秤なども利用でき、任意の形式の熱
天秤に有効である。また、試料ホルダについても、図1
に示すような共通の試料ホルダだけでなく、測定試料容
器と標準試料容器のそれぞれに対して別個に試料ホルダ
を設けた、いわゆる差動形の試料ホルダを用いてもよ
い。
【0044】
【発明の効果】医薬品の付着水と結晶水を分離定量する
のにダイナミック温度制御方法を用いたので、医薬品の
付着品と結晶水を高精度に分離定量できた。また、医薬
品の付着水と結晶水の脱水温度をそれぞれ高精度に測定
でき、これらの脱水温度は、医薬品の乾燥温度を決定す
るのに有効に利用できる。
【0045】セラミックス焼結減量の付着水と結晶水を
分離定量するのにダイナミック温度制御方法を用いたの
で、セラミックス焼結原料の付着品と結晶水を高精度に
分離定量できた。
【0046】高分子化合物に含まれる成分の熱分解開始
温度と熱分解終了温度とを測定するのにダイナミック温
度制御方法を用いたので、高分子化合物の成分の熱分解
開始温度と熱分解終了温度とを高精度に測定できた。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明を実施するための熱天秤の概略構成図
である。
【図2】条件を変更したときの昇温速度曲線の変化を示
すグラフである。
【図3】医薬品の熱重量曲線のグラフである。
【図4】セラミックス焼結原料の熱重量曲線のグラフで
ある。
【図5】高分子化合物の熱重量曲線のグラフである。
【符号の説明】
10 保護管 12 測定試料容器 14 標準試料容器 16 試料ホルダ 18 示差熱電対 20 赤外線ランプ 22 楕円集光鏡 24 天秤ビーム 42 プログラム自動温度制御装置 48 制御係数設定装置 50 ダイナミック温度制御方法による曲線 52 等速昇温法による曲線
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 日本化学学会第68秋季年会(含連合討 論会),化学関係学協会連合協議会研究 発表会,中部化学関係学協会支部連合協 議会秋季大会 合同大会講演予稿集(シ ンポジウム・一般研究発表)、P.340 右上欄 第29回熱測定討論会講演要旨集,(平 成5年10月15日),日本熱測定学会, P.330−331 (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) G01N 5/04 G01N 25/20

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 熱重量測定の試料として医薬品を用い、
    この医薬品の減量速度に応じて医薬品の昇温速度が連続
    的に変化するように医薬品の温度を制御して熱重量変化
    曲線を求め、この曲線に基づいて、医薬品に含まれる付
    着水と結晶水とを分離定量することを特徴とする熱重量
    測定方法。
  2. 【請求項2】 熱重量測定の試料として医薬品を用い、
    この医薬品の減量速度に応じて医薬品の昇温速度が連続
    的に変化するように医薬品の温度を制御して熱重量変化
    曲線を求め、この曲線に基づいて、医薬品に含まれる付
    着水と結晶水のそれぞれの脱水温度を測定することを特
    徴とする熱重量測定方法。
  3. 【請求項3】 熱重量測定の試料としてセラミックス焼
    結原料を用い、このセラミックス焼結原料の減量速度に
    応じてセラミックス焼結原料の昇温速度が連続的に変化
    するようにセラミックス焼結原料の温度を制御して熱重
    量変化曲線を求め、この曲線に基づいて、セラミックス
    焼結原料に含まれる付着水と結晶水とを分離定量するこ
    とを特徴とする熱重量測定方法。
  4. 【請求項4】 熱重量測定の試料として高分子化合物を
    用い、この高分子化合物の減量速度に応じて高分子化合
    物の昇温速度が連続的に変化するように高分子化合物の
    温度を制御して熱重量変化曲線を求め、この曲線に基づ
    いて、高分子化合物に含まれる成分の熱分解開始温度と
    熱分解終了温度とを測定することを特徴とする熱重量測
    定方法
  5. 【請求項5】 請求項1から4までのいずれか1項に記
    載の熱重量測定方法において、試料の昇温速度の絶対値
    が試料の減量速度の絶対値の単調減少関数となるように
    試料温度を制御することを特徴とする熱重量測定方法。
  6. 【請求項6】 請求項1から4までのいずれか1項に記
    載の熱重量測定方法において、試料を加熱するのに赤外
    線加熱炉を用いることを特徴とする熱重量測定方法。
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