JP2018054294A - 炭素複合材の分析方法および二次電池用炭素材の評価方法 - Google Patents

炭素複合材の分析方法および二次電池用炭素材の評価方法 Download PDF

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Toyo Yano
都世 矢野
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Takeshi Ikeuchi
武志 池内
阪井 敦
Atsushi Sakai
敦 阪井
東 隆行
Takayuki Azuma
隆行 東
宏之 藤本
Hiroyuki Fujimoto
宏之 藤本
大輝 武田
Daiki Takeda
大輝 武田
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Abstract

【課題】炭素複合材に存在する異なる種類の炭素質毎にその存在量を分析する簡便かつ正確な計測が可能な炭素複合材の分析方法及びその方法を用いた二次電池用炭素材の評価方法の提供。【解決手段】本発明の炭素複合材の分析方法は、ガス化剤の存在下で炭素複合材を昇温して加熱し、昇温時の炭素複合材のガス化量を計測して炭素複合材中の炭素質を分析する。好ましくは、ガス化剤の存在下で炭素複合材を一定速度で昇温して加熱し、昇温加熱時の重量変化を熱重量分析法により測定し、熱重量曲線の微分(DTG)曲線を用いて、非結晶質炭素と結晶質炭素のガス化領域を決定し、非結晶質炭素のガス化領域における炭素複合材の重量減少量から非結晶質炭素の定量を行う。【選択図】 図1

Description

本発明は、炭素材料を複合化させた炭素複合材の分析方法および二次電池用炭素材の評価方法に関する。
リチウムイオン二次電池の負極には、リチウムイオンを吸蔵および放出し得る炭素材料が一般に用いられている。炭素材料の中でも、リチウムイオン二次電池の負極活物質としては、コストと耐久性の面で、黒鉛材料や非晶質炭素が使用されることが多く、負極材料の高容量・高効率化の研究が進められている。
この流れの中、特許文献1などでは、黒鉛粒子の表面を非晶質炭素で被覆した炭素複合材が提案されている。これらの表面改質黒鉛系材料は、電解液の分解を押さえるので、電池容量の増加、サイクル特性の改善などに対して有効である。
しかしながら、黒鉛粒子の表面を非晶質炭素で被覆した炭素複合材は、基材の黒鉛粒子および被覆材の非晶質炭素ともに、主に炭素原子のみで構成されているため、炭素複合材中の黒鉛粒子と非晶質炭素の存在量を分離し分析することが、困難であった。
特許文献2には、X線回折法を用いた非晶質炭素の分析方法が、特許文献3には、k殻吸収端スペクトルを測定することによる非晶質炭素の分析方法が、また、特許文献4には、X線小角散乱の測定による非晶質炭素の分析方法が開示されている。これらの手法では、炭素複合材中に存在する非晶質炭素の確認およびその構造解析が可能であるが、黒鉛粒子と非晶質炭素の存在量を分離し分析することはできない。
特許文献5には、ジビニルベンゼン吸着量の測定およびラマン分光法を利用した炭素複合材中に存在する非晶質炭素の存在量の規格化が開示されている。ジビニルベンゼン吸着量の測定は、測定に供する炭素複合材量が多く必要であり、且つ、吸着量が試験雰囲気に依存するため、再現性に課題が残っている。また、ラマン分析法では、非晶質炭素の被覆厚みがナノメートルオーダーになると信号が検出できず、存在量が小さい試料については、測定精度に難がある。
特開平04−368778号公報 特開2005−158718号公報 特開2011−38821号公報 特開2013−98089号公報 特開2014−165079号公報
本発明の目的は、炭素複合材に存在する異なる種類の炭素質毎にその存在量を分析する簡便かつ正確な計測が可能な炭素複合材の分析方法及びその方法を用いた二次電池用炭素材の評価方法を提供することにある。
上記課題を解決するべく本発明者らが鋭意検討した結果、炭素複合材中の炭素質を選択的にガス化させ、炭素複合材中の炭素質を分析することにより、炭素材料を複合化させた炭素複合材中の炭素質を分離し分析できることを見出した。
すなわち、本発明は、以下の構成からなることを特徴とする。
〔1〕 炭素複合材の分析方法であって、ガス化剤の存在下で炭素複合材を昇温して加熱し、昇温時の炭素複合材のガス化量を計測して炭素複合材中の炭素質を分析する炭素複合材の分析方法。
〔2〕 前記炭素質複合体材が、異なる熱履歴を有する炭素複合材、異なる結晶構造を有する炭素複合材及び異なる出発原料から製造された炭素複合材のいずれかである前記〔1〕に記載の炭素複合材の分析方法
〔3〕 前記ガス化剤が、水蒸気、水素及び一酸化炭素のいずれか一種類以上、二酸化炭素又は酸素である前記〔1〕または前記〔2〕に記載の炭素複合材の分析方法
〔4〕 前記ガス化剤が水蒸気である前記〔3〕に記載の炭素複合材の分析方法
〔5〕 前記昇温時の炭素複合材のガス化量を計測して炭素複合材中の炭素質を分析する方法が、炭素複合材の昇温加熱時の重量変化を熱重量分析法により測定し、熱重量曲線の微分(DTG)曲線を用いて、非結晶質炭素と結晶質炭素のガス化領域を決定し、非結晶質炭素のガス化領域における炭素複合材の重量減少量から非結晶質炭素の定量を行う前記〔1〕〜〔4〕のいずれかに記載の炭素複合材の分析方法。
〔6〕 前記〔1〕〜〔5〕のいずれかに記載の炭素複合材の分析方法を用いて二次電池用炭素材の炭素質を評価する二次電池用炭素材の評価方法。
本発明の炭素複合材の分析方法によれば、炭素複合材に存在する異なる炭素質を分離し、その存在量を簡便に、且つ再現性高く分析することができる。
本発明の二次電池用炭素材の評価方法によれば、炭素複合材の非晶質炭素および結晶性炭素の存在量を分析することが可能であることから、二次電池用炭素材としての炭素複合材の品質管理手法として用いることができる。例えば、非晶質炭素の存在量が一定以上の場合、炭素複合材を好適な二次電池用炭素材であると判定することができる。
上記、黒鉛粒子の表面を非晶質炭素で被覆した炭素複合材に代表される炭素原子のみからなる炭素材料を複合化させた炭素複合材は、二次電池負極材のみならず多くの分野において有用である。
本発明における熱重量測定チャートの一例 非晶質炭素存在量(実測値)と仕込み被覆量の関係 ガス化前後試料のラマンスペクトル
本発明の炭素複合材の分析方法は、ガス化剤の存在下で炭素複合材を昇温して加熱し、昇温時の炭素複合材のガス化量を計測して炭素複合材中の炭素質を分離し分析する炭素複合材の分析方法である。
本発明において分析の対象となる「炭素複合材」とは、炭素材料の複合材を意味し、主として炭素原子のみで構成されているにもかかわらず、さまざまな種類の炭素材料を包括する。
炭素材料には、例えば、天然黒鉛、人造黒鉛及び炭素繊維、メソカーボンマイクロビーズ、メソフェーズピッチ粉末、等方性ピッチ粉末、樹脂それぞれの炭化品・黒鉛化品及びこれらの混合物、ダイヤモンド、ダイヤモンドライクカーボン(DLC)、テトラヘドラルアモルファスカーボン、フラーレン、カーボンナノチューブ、カーボンナノコイルなどがある。
上記炭素材料に他の炭素材料を組み合わせたものを「炭素複合材」といい、異なる熱履歴を有する炭素複合材、異なる結晶構造を有する炭素複合材及び異なる出発原料から製造された炭素複合材等がある。
異なる熱履歴を有する炭素複合材としては、例えば、粒子状の天然黒鉛にピッチを被覆したものを炭化した材料が挙げられる。ここで、天然黒鉛は非常に結晶性の高い炭素材料であり、被覆炭素は700〜1500℃にて炭化させた結晶性の低い炭素材料である。
異なる結晶構造を有する炭素複合材としては、例えば、天然黒鉛に石炭系または石油系ピッチ、または高分子樹脂を被覆し炭化した材料が挙げられる。ここで、天然黒鉛は結晶性の高い炭素材料であり、被覆炭素は結晶構造が異なる1つ以上の炭素材料から構成される。被覆材料である石炭系ピッチは易黒鉛化性炭素であるが、高分子樹脂は難黒鉛化性炭素であり、炭化後の被覆炭素は異なる結晶構造を有している。
さらに、異なる結晶構造を有する炭素複合材としては、炭素繊維強化炭素複合材がある。炭素繊維強化炭素複合材とは、炭素繊維を強化材としてこれに母材(充填材)として炭化残留率の高い樹脂を含浸又は塗布して積層形成したのち、硬化及び焼成炭化処理を施して製造される。
異なる出発原料から製造された炭素複合材としては、例えば、天然黒鉛に、ピッチおよび/またはビニル系樹脂、フェノール系樹脂、セルロース系樹脂などからなる高分子樹脂を被覆し炭化した材料が挙げられる。
本発明の手法を用いることにより、炭素複合材中の熱履歴が異なる炭素複合材、結晶構造が異なる炭素複合材、出発原料が異なる炭素複合材中の異なる炭素質をそれぞれ分離して、その存在量を分析することができる。
本発明における「ガス化剤」は、水蒸気、水素、二酸化炭素、一酸化炭素及び酸素など、炭素複合材中の炭素と反応して、当該炭素をガス化することのできるガス種であれば、なんら限定されるものではなく、これらのガス種は、水蒸気、水素及び一酸化炭素のいずれか一種類以上、二酸化炭素又は酸素を用いることができる。
上記ガス化剤はガス化剤単独で、または、窒素、アルゴンおよびヘリウム等の不活性ガスと混合して用いることができる。
上記ガス化剤の中でも、水蒸気が最も好ましく、不活性ガスと混合して用いることがより好ましい。
ガス化剤中の水蒸気分圧は特に限定されないが、0.1〜60kPaが好ましい。
水蒸気分圧が高くなると、ガス流路および熱重量測定装置内にて結露することがある。装置内にて結露が生じるとガス化量の測定が困難になる。
さらに、水蒸気分圧が小さすぎるとガス化反応速度が遅くなり、また一定の測定時間におけるガス化量が小さくなるため測定が困難となるため、可能な範囲で高いことが望ましい。
上記の理由より、水蒸気分圧は分析する全温度域および装置内において結露しない水蒸気分圧で、且つ高い水蒸気分圧であることが好ましく、1〜60kPaがより好ましく、5〜50kPaの水蒸気分圧がさらに好ましい。
不活性ガスへの水蒸気の混合は、いかなる手法により実施してもよい。例えば、一定温度の水に不活性ガスをバブリングさせ、その温度における飽和蒸気圧分の水蒸気を付与する方法、またはシリンジポンプ等を用いて定量的に水をガス流に添加し、加熱により気化する方法などが利用できる。
炭素複合材のガス化は、温度制御可能な電気炉中に炭素複合材を入れた開放型の反応容器を設置し、ガス化剤を流通させた雰囲気下で、炉内温度を昇温させることにより炭素複合材を加熱してガス化させる。
ガス化剤を電気炉中に流通させることにより、ガス化剤を連続供給でき、且つ、炭素からガス化したガスや発生するタール成分を連続除去することが可能となり、再現性の高いガス化量の測定が実現できる。
昇温加熱時の昇温速度は、特に限定されるものではないが一定速度で昇温するのが好ましい。
ここで、昇温速度が遅すぎると、分析に時間がかかり迅速な分析法にはならない。一方、昇温速度が速すぎると、目的の炭素質のガス化反応が完了するより前に、他方の炭素質のガス化反応が開始するため、炭素質の分離が困難となる。
上記の理由より、昇温速度は5〜20℃/minであることが好ましい。
昇温加熱時の昇温速度は、昇温途中で変化させてもよい。
例えば、測定の初期は早い昇温速度で加熱し、評価温度付近では5〜20℃/minの昇温速度で計測することにより、測定時間の短縮を図ることができる。
炭素複合材のガス化量の計測は、昇温加熱時のガス化反応による重量変化および/または発生ガスに含まれる炭素量を計測することにより行う。
昇温加熱時のガス化反応による重量変化の計測方法は、いかなる手法であってもよく、例えば、温度制御可能な電気炉内に設置された天秤を用いて、加熱昇温時の炭素複合材の重量変化を計測すればよい。
ここで、温度制御可能な電気炉内に設置された天秤は、連続的に重量変化を計測できる天秤であれば、その種類等は特に限定はされず、例えば上皿天秤の他にも吊り天秤などを使用することができ、上皿天秤の場合は反応容器を天秤上皿に置いて、吊り天秤の場合は反応容器を吊り下げて測定する。
炭素複合材のガス化量の計測を発生ガスに含まれる炭素量で計測する方法は、ガス化剤が、水蒸気、水素又は酸素を用いる場合に適用できる。そして、昇温加熱時のガス化反応により発生したガスに含まれる炭素量の計測は、いかなる手法であってもよく、例えば、温度制御可能な電気炉から排出するガス流量及びガス中の炭素含有ガスの濃度を測定することにより分析することができる。ガス流量は流量計を、ガス中の炭素含有ガスの濃度はガス分析装置を用いて測定することができる。
ガス分析装置には、発生ガス中のガス濃度を連続で定量分析できる装置であれば、特に限定はされず、例えばガスクロマトグラフ装置や赤外線方式ガス分析計などを用いて分析することができる。ガス化により発生する炭素含有ガスは、通常、一酸化炭素、二酸化炭素、メタン及びエタンである。
本発明における炭素複合材の炭素量の分析は、発生ガス量が少なく定量分析が困難である場合もあるため、昇温加熱時の重量変化より計測することが望ましい。
昇温加熱時の重量変化の計測の好ましい例としては、熱重量測定(Thermo Gravimetry、以下TGと略することもある)を用いる方法をあげることができる。
熱重量測定は試料を一定の速度で加熱・冷却したとき、あるいは一定の温度で保持したときの重量変化を測定する手法で蒸発、分解、酸化、還元、吸着等の重量変化を伴う化学的、物理的変化などを分析する装置である。
本発明においてTG曲線は、炭素複合材の炭素質がガス化する温度(℃)と熱重量(g)との関係を示すものであり、このTGを微分した微分熱重量測定(Derivative Thermo Gravimetry、以下、DTGと略すこともある)は、温度と熱重量変化速度(g/秒)との関係を示すものである。
なお、TG曲線およびDTG曲線の測定は、熱重量測定が可能な公知の熱分析装置を用いることができる。
本発明は、炭素複合材に存在する炭素質の種類により、ガス化する温度および速度(DTG)が異なる点を利用する。例えば、結晶性炭素質と非結晶性炭素質からなる炭素複合材の場合、非結晶性炭素質の方がより低い温度、もしくは早い速度でガス化反応が進行する。
昇温加熱時のTG曲線およびDTG曲線を解析することにより、結晶性炭素質と非結晶性炭素質のガス化反応を分離することができ、該当するガス化量を計測することにより、各炭素質の存在量を分析することができる。
熱重量測定装置に導入する炭素複合材の形状は、測定容器に導入できれば特に限定されないが、均一な状態であることが好ましい。また、装置に導入する炭素複合材の形状、重量、寸法もしくは体積は天秤および/または試料容器に導入できれば特に限定されない。
次に、本発明の炭素複合材の分析方法を用いて二次電池用炭素材の炭素質を評価する二次電池用炭素材の評価方法について説明する。
結晶性炭素である黒鉛材料の表面を、非晶質炭素材で被覆した黒鉛系炭素複合材が二次電池用炭素材として開発され、電池容量の増加、サイクル特性の改善などに対して有効であることが示されている。しかしながら、上記二次電池用炭素材に含まれる非晶質成分の存在量が設計範囲を下回る場合は目的とするサイクル特性が得られず、また設計範囲を超える場合は材料の電池容量が目的値よりも低下するため好ましくないため、非晶質成分の存在量を正確に把握することが求められている。
本発明による炭素複合材の分析方法を用いることにより、二次電池用炭素材に存在する非晶質炭素量を簡便かつ正確に分析することができる。
例えば、非晶質炭素量の設計値が10重量%である二次電池用炭素材のガス化量を測定し、その非晶質炭素存在量を分析し、得られた分析値が9〜12重量%であれば二次電池用炭素材として可であると判断できる等、二次電池用炭素材製造工程における品質管理に本発明の技術を用いることができる。
(評価試料)
下記実施例において用いた炭素複合材は、結晶性炭素である黒鉛粒子を非晶質炭素である非晶質炭素により被覆した炭素複合材であり、非晶質炭素被覆量が異なる複数の試料である。昇温加熱時のガス化反応は、非晶質炭素の方が黒鉛粒子よりもより低温で生じる。
(熱重量分析方法)
熱重量測定装置には、水蒸気作動型示差熱天秤(株式会社リガク製TG−DTA/HUM−1)を用いた。
昇温加熱時のガス化量は、以下のようにして算出した。初期試料重量をW0とする。昇温加熱時にTG曲線が減少し始める温度(T1)のときの重量をW1、T1より高い温度でDTG曲線の変曲点温度(T2)における重量をW2とする。ガス化量(ΔW)は、ΔW=W1−W2である。
DTG曲線の変曲点温度(T2)とは、DTG曲線の傾きが変化する温度から決定した。具体的には、T1より高い温度で、DTGの絶対値が増大し始めるDTG曲線に変曲点を取る温度をT2とした。
非晶質炭素の存在量(質量%)は、ΔWを用いて以下の式により算出される。本実施例の試料の場合、W0=W1であるため、
非晶質存在量(質量%)=ΔW/W0×100
=(W1−W2)/W1×100
〔実施例1〕
中心粒径が(D50)が17μmの中国製天然黒鉛90重量部と石炭系等方性ピッチ10重量部をナウタミキサーで混合した。天然黒鉛と等方性ピッチの混合物を窒素雰囲気中、1100℃で1時間(昇温速度50℃/hr)熱処理し、天然黒鉛を非晶質炭素で被覆した複合炭素材を得た。
上記で得られた複合炭素材をおよそ10mg、0.01mgまで精秤し、熱重量測定装置に導入した。ここにガス化剤として水蒸気と窒素を混合したガスを300ml/min流した。このときの水蒸気分圧は20kPaとした。ガス化剤を流通した条件で、10℃/min昇温速度で1350℃まで昇温し、TG曲線およびDTG曲線を計測した。
得られたTG曲線およびDTG曲線の代表例を図1に示した。
TG曲線が減少し始める温度(T1)は950℃、DTG曲線の変曲点温度(T2)は1129℃であり、水蒸気雰囲気におけるガス化反応は2つのガス化領域に分離できる。
T1〜T2の温度範囲をガス化領域1、T2より高い温度領域をガス化領域2とする。被覆炭素である非晶質炭素はガス化領域1でガス化する。
ガス化領域1に対してTG曲線およびDTG曲線よりガス化量の解析を実施し、非晶質炭素の存在量を算出した。結果を表1に示した。
ガス化領域1における重量減少量ΔW=1.146mg、初期重量W0=10.480mgより、非晶質炭素の存在量は、1.146/10.480×100=10.9重量%と得られた。
同じ測定を2回繰り返し実施したところ、繰り返し測定の結果は完全に一致し、再現性高く分析できることを確認した。
〔実施例2〕
水蒸気分圧が30kPaに変更した以外は、前記実施例1と同様である。結果を表1に併せて示した。非晶質炭素の存在量は10.6重量%であり、実施例1と同等の結果が得られた。
〔実施例3〕
水蒸気分圧が45kPaに変更した以外は、前記実施例1と同様である。結果を表1に併せて示した。非晶質炭素の存在量は、10.8重量%であり、実施例1および実施例2と同等の結果が得られた。
実施例1〜3の結果より、本発明の手法に従うと、ガス化剤の水蒸気分圧の影響を受けずに、非晶質炭素の存在量を精度高く計測できることが確認できた。これはガス化反応の生じる温度領域は水蒸気分圧に依存せず、ガス化反応速度が一定であるためである。
〔実施例4〕
ガス化剤である水蒸気を含まない条件に変更した以外は、前記実施例1と同様である。結果を表1に併せて示した。ガス化反応は計測されなかった。
実施例4の結果より、本発明の手法にはガス化剤が必要であることが確認できた。
〔実施例5〕
中国製天然黒鉛と石炭系等方性ピッチの混合比を95重量部と5重量部に変更した以外は、前記実施例1と同様である。結果を表1に併せて示した。非晶質炭素の存在量は6.4重量%と得られた。
〔実施例6〕
水蒸気分圧が30kPaに変更した以外は、前記実施例5と同様である。結果を表1に併せて示した。非晶質炭素の存在量は6.6重量%であり、実施例5と同等の結果が得られた。
〔実施例7〕
水蒸気分圧が45kPaに変更した以外は、前記実施例5と同様である。結果を表1に併せて示した。非晶質炭素の存在量は6.7重量%であり、実施例5および実施例6と同等の結果が得られた。
実施例5〜7より、評価試料中に含まれる非晶質炭素被覆量(仕込み)を5%に低下させても、ガス化剤の水蒸気分圧の影響を受けずに、非晶質炭素の存在量を精度高く計測できることが確認できた。
〔実施例8〕
中国製天然黒鉛と石炭系等方性ピッチの混合比を85重量部と15重量部に変更した以外は、前記実施例1と同様である。結果を表1に併せて示した。非晶質炭素の存在量は15.1重量%と得られた。
〔実施例9〕
中国製天然黒鉛と石炭系等方性ピッチの混合比を92.5重量部と7.5重量部に変更した以外は、前記実施例1と同様である。結果を表1に併せて示した。非晶質炭素の存在量は8.8重量%と得られた。
〔実施例10〕
評価試料として非晶質炭素を被覆しないものに変更した以外は、前記実施例1と同様である。結果を表1に併せて示した。非晶質炭素の存在量は2.8重量%と得られた。
図2は、実測された非晶質炭素存在量と仕込み被覆量の関係を示したものである。実施例1、実施例5および実施例8〜9より、非晶質炭素の存在量と仕込み被覆量の間には、直線関係が成立することが確認できた。
従って、本発明の手法を用いることにより、非晶質炭素の存在量を精度高く計測できることが確認でき、製造工程における品質管理手法として有効であることが確認できた。
〔ラマン分光法による検証〕
実施例1の条件で、熱重量測定時の最高温度をT2までで停止し、非晶質炭素がガス化除去された試料を回収した。このガス化前後の試料のラマンスペクトルを測定し、結晶性を確認した。ラマン分光分析は、ラマン顕微鏡 XploRA (堀場製作所)を用いて、532nmのグリーンレーザーにより、ラマンシフト800〜2000cm−1の範囲において測定した。
ガス化前試料及びガス化後試料並びに非晶質炭素を被覆する前の黒鉛粒子を測定した結果を図3に示す。ラマンスペクトルは、ガス化前試料及びガス化後試料の両方に1580cm−1付近に強いピークと1360cm−1付近に弱いピークが表れている。これらは、グラファイト固有のスペクトルであるGバンドおよびDバンドにそれぞれ対応する。
G−バンドとD−バンドの相対強度であるI(G)/I(D)比は一般的にR値と言われ、炭素質の結晶度の目安となる値である。ガス化前試料のR値は0.4、ガス化後試料のR値は0.2と得られ、ガス化後試料の方が炭素質の結晶性が高いことが確認された。
さらに、ガス化後試料のラマンスペクトル(図中(b))は、黒鉛粒子のラマンスペクトル(図中(c))と完全に一致した。すなわち、ガス化後試料は黒鉛粒子と同等であり、被覆した非晶質炭素はすべてガス化できているといえる。
上記ラマンスペクトルの測定より、本発明の手法の一つである水蒸気をガス化剤とする手法により、黒鉛粒子と被覆された非晶質炭素を分離してガス化できることが確認できた。
本発明の手法を用いることにより、炭素複合材中の熱履歴が異なる炭素複合材、結晶構造が異なる炭素複合材、出発原料が異なる炭素複合材中の異なる炭素質をそれぞれ分離して、その存在量を分析することができ、二次電池負極材のみならず多くの分野において、炭素複合材の製造工程における簡便かつ正確な品質管理手法を提供することができる。

Claims (6)

  1. 炭素複合材の分析方法であって、ガス化剤の存在下で炭素複合材を昇温して加熱し、昇温時の炭素複合材のガス化量を計測して炭素複合材中の炭素質を分析する炭素複合材の分析方法。
  2. 前記炭素質複合体材が、異なる熱履歴を有する炭素複合材、異なる結晶構造を有する炭素複合材及び異なる出発原料から製造された炭素複合材のいずれかである請求項1に記載の炭素複合材の分析方法
  3. 前記ガス化剤が、水蒸気、水素及び一酸化炭素のいずれか一種類以上、二酸化炭素又は酸素である請求項1または請求項2に記載の炭素複合材の分析方法
  4. 前記ガス化剤が水蒸気である請求項3に記載の炭素複合材の分析方法
  5. 前記昇温時の炭素複合材のガス化量を計測して炭素複合材中の炭素質を分析する方法が、炭素複合材の昇温加熱時の重量変化を熱重量分析法により測定し、熱重量曲線の微分(DTG)曲線を用いて、非結晶質炭素と結晶質炭素のガス化領域を決定し、非結晶質炭素のガス化領域における炭素複合材の重量減少量から非結晶質炭素の定量を行う請求項1〜4のいずれかに記載の炭素複合材の分析方法。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載の炭素複合材の分析方法を用いて二次電池用炭素材の炭素質を評価する二次電池用炭素材の評価方法。


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