JP2790975B2 - 人孔内監視装置に使用する伝送装置 - Google Patents

人孔内監視装置に使用する伝送装置

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JP2790975B2
JP2790975B2 JP2032294A JP2032294A JP2790975B2 JP 2790975 B2 JP2790975 B2 JP 2790975B2 JP 2032294 A JP2032294 A JP 2032294A JP 2032294 A JP2032294 A JP 2032294A JP 2790975 B2 JP2790975 B2 JP 2790975B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、人孔内、特に地中送電
線路用人孔内の各種保守情報を人孔内部から無線信号に
より地上に伝送するための人孔内監視装置に使用する伝
送装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】送電線路は、電力エネルギーの供給業務
を果す上で、必要不可欠な設備であり、この設備の故障
または損傷は高度に電化した現代社会に極めて重大な影
響を及ぼし、場合によってはあらゆる方面での社会機能
が麻痺することも有り得る。このため、管路付設などに
より地下に埋設された地中送電線についても健全な設備
状態を維持するための保守管理が極めて重要な業務課題
となっている。
【0003】また、地中送電線用人孔に限らず、一般の
マンホールやその他の人孔においても、その内部の状況
を保守管理することは極めて重要である。
【0004】従来、人孔内の保守管理は、保守員が定期
的にあるいは必要に応じてその都度人孔部に入孔して点
検を実施しているのが現状である。人孔内に入孔して内
部を点検する場合には、次のような極めて煩雑かつ大掛
かりな作業を必要としていた。
【0005】(1) 人孔の地上開口部が主に道路上にある
ため、道路上作業許可申請が必要であり、かつ主要道路
上では作業時間帯の制限がある。
【0006】(2) 道路遮断作業安全確保のための安全
柵、標識などの設置及び交通整理員の配置が必要とな
り、また作業安全監視員の配置も必要となる。
【0007】(3) 入孔点検に先立ち、開蓋、排水、酸素
濃度測定等の付帯作業が必要である。
【0008】(4) 入孔点検中の酸素濃度測定監視及び送
風機による人孔内換気の継続が必要である。
【0009】そこで、保守員が入孔しなくても人孔内を
点検できるようにするために、人孔内に設置したセンサ
の保守情報を人孔内から無線信号により送信し、無線信
号を地上で受信して人孔内の状況を把握する方法が提案
されているが、種々の問題があり実用化には至っていな
い。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】無線を利用した監視手
法では上記(1) 〜(4) の入孔点検作業のような問題はな
いものの、人孔の地上開口部は強固な金属製外蓋がある
ため、単純に無線送信機を人孔内に設置したのでは、無
線信号が外蓋によって遮蔽されてしまう。特に、地中送
電線路用の人孔の地上開口部は、強固な金属製外蓋及び
水没防止用の金属製中蓋の二重蓋構造であるため、遮蔽
効果が顕著である。そのため、大出力の無線送信機が必
要となるが、無線送信機の出力が大きいと、他の無線設
備等に及ぼす影響が大きく、また消費電力が大きい等の
問題があり、実用化されていないのが現状である。
【0011】なお、従来、人孔内のボンベ圧力情報を無
線で地上側に伝送するものに、実開平3−44647号
公報がある。ここには、蓋が閉まった人孔内から無線信
号を地上側に取り出すための手段として、アンテナを人
孔内に設けて鍵孔から漏洩させたり、蓋をアンテナにし
たり、蓋上にアンテナを突き出したりすることが提案さ
れている。
【0012】しかしながら上記公報のものは、上記いず
れの手段を使うにしても、人孔内で発信された無線信号
を中継することなく外蓋から取り出すようにしているた
め、人孔内に電波障害物があると、それによって放射無
線電界強度が弱まり、地上で人孔内の情報を確実に得る
ことができなかった。特に、外蓋の他に中蓋を有する2
重蓋構造の人孔にあっては、中蓋によって電波が遮蔽さ
れてしまうため、情報が得られない。
【0013】本発明の目的は、上記した従来技術の解題
を解決し、人孔内に入孔することなく、人孔内の状況を
地上から容易に監視できる人孔内監視装置に使用する伝
送装置を提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明の人孔内監視装置
に使用する伝送装置は、地上側開口部が金属製の外蓋に
より閉じられる人孔内に設けられる装置であって、前記
人孔内の保守情報を収集するセンサの出力を人孔内から
前記地上開口部に向けて発信する無線送信機と、前記外
蓋の下面側に設けられ、前記無線送信機が発信する無線
信号を一旦前記人孔内で受信する受信用中継アンテナ
と、前記外蓋を放射用アンテナとすべく前記受信用中継
アンテナと前記外蓋とをインピーダンス整合して電気的
に接続するインピーダンス整合回路とを備えた人孔内監
視装置に使用する伝送装置において、前記地上側開口部
を閉じる前記外蓋の下面側に、これと所定間隔をあけて
中蓋が設けられており、前記中蓋に窓部を設けて該窓部
に前記インピーダンス整合回路を取り付け、前記中蓋の
下面側に前記受信用中継アンテナを設けて、該受信用中
継アンテナと前記外蓋とを前記中蓋の窓部に取り付けた
インピーダンス整合回路に電気的に接続したことを特徴
とする。
【0015】前記インピーダンス整合回路がその出力端
に電極を有し、該電極と前記外蓋との間に形成される空
間的な静電容量によって前記外蓋と電気的に接続されて
いてもよい。
【0016】また、前記インピーダンス整合回路が、そ
の出力端に導電性の弾性部材を有し該導電性弾性部材を
前記外蓋に接触させることによって前記外蓋と電気的に
接続されていてもよい。
【0017】さらに、本発明の人孔内監視装置に使用す
る伝送装置は、地上側開口部が金属製の外蓋により閉じ
られる人孔内に設けられる装置であって、前記人孔内の
保守情報を収集するセンサの出力を人孔内から前記地上
開口部に向けて発信する無線送信機と、前記外蓋の下面
側に設けられ、前記無線送信機が発信する無線信号を一
旦前記人孔内で受信する受信用中継アンテナと、前記外
蓋の下面側に設けられ、該受信用中継アンテナで受信し
た信号を、前記外蓋から漏洩させるべく該外蓋に向けて
放射させる放射用中継アンテナと、前記受信用中継アン
テナと前記放射用中継アンテナとをインピーダンス整合
して電気的に接続するインピーダンス整合回路とを備え
た人孔内監視装置に使用する伝送装置において、前記地
上側開口部を閉じる前記外蓋の下面側に、これと所定間
隔をあけて中蓋が設けられており、前記中蓋に窓部を設
けて該窓部に前記インピーダンス整合回路を取り付け、
前記中蓋の下面側に前記受信用中継アンテナを、上面側
に前記放射用中継アンテナをそれぞれ設け、前記受信用
中継アンテナと前記放射用中継アンテナとを前記中蓋の
窓部に取り付けたインピーダンス整合回路に電気的に接
続したものでもよい。
【0018】
【作用】人孔内に設置したセンサの保守情報を人孔内か
ら無線信号により送信し、無線信号を地上で受信して人
孔内の状況を把握しようとする場合、上記の通り出力の
大きい無線送信機は他の無線設備への影響が懸念される
等の理由により使用できない。このため、無線送信機と
しては特定小電力無線設備を使用する必要がある。
【0019】しかし、人孔の地上開口部には強固な金属
製外蓋があるため、特定小電力無線設備では人孔内で発
信した無線信号を人孔外部に放射することは困難であ
る。特に、内部に電波障害物のある人孔、例えば金属製
の外蓋及び中蓋の二重蓋構造を採用している地中送電線
路用人孔では極めて困難である。
【0020】そこで、第1の発明は、人孔内に設置した
無線送信機が発信する無線信号を、外蓋の下面側に設置
した中継アンテナにより一旦受信し、この中継アンテナ
をインピーダンス整合回路を介して外蓋の下面に電気的
に接続するようにしてある。そのため、人孔内に電波障
害物があっても、中継によりこの障害物を通過させるこ
とができる。通過後、外蓋はアンテナとして機能し、外
蓋の上面から無線信号を人孔の外部に放射することがで
きる。この外蓋から放射された無線信号を、地上側に設
置した無線受信機もしくは保守員が携帯する無線受信機
により受信することで、地上側で人孔内の保守情報を収
集することができる。
【0021】また、インピーダンス整合回路が中蓋に設
けた窓部に取り付けられ、その出力端を中蓋の上面側に
取り出すことができるので、中蓋があっても送信の障害
とならない。
【0022】また第2の発明は、インピーダンス整合回
路の出力端を電極とし、この電極と外蓋とを空間的な静
電容量によって接続しているので、電気的接続が容易で
ある。
【0023】また第3の発明は、インピーダンス整合回
路の出力端に導電性弾性部材を有し、この弾性部材を外
蓋に接触させることにより接続しているので、振動等に
対して電気的接続が安定する。
【0024】また、第4の発明は、無線信号を受信用中
継アンテナにより一旦受信するところまでは、上述した
発明と同じであるが、インピーダンス整合回路を介して
電気的に接続するのは、外蓋の下面側に設けた放射用中
継アンテナである。そのため外蓋と電気的に接続する必
要がない。また、人孔内に電波障害物があっても、中継
によりこの障害物を通過させることができる。放射用中
継アンテナから放射した信号は、外蓋を漏洩して人孔の
外部に取り出すことができる。この外蓋から漏洩した無
線信号を、地上側に設置した無線受信機もしくは保守員
が携帯する無線受信機により受信することで、地上側で
人孔内の保守情報を収集することができる。
【0025】また、出力端に放射用中継アンテナが接続
されるインピーダンス整合回路が中蓋に形成された窓部
に設置されているので、中蓋があっても送信の障害とな
らない。
【0026】
【実施例】以下、本発明の人孔内監視装置の実施例を2
つあげて詳しく説明する。第1実施例は外蓋をアンテナ
として機能させるもの、第2実施例は外蓋とは別個に放
射用中継アンテナを設けるものである。
【0027】(第1実施例) 図1は、本発明の一実施例を示す透過斜視図であり、人
孔1の内部には地中送電線(電力ケーブル)2が布設さ
れており、必要に応じて地中送電線2,2間を接続する
電力ケーブル接続部3が設けられている。人孔1の地上
側開口部1aを塞ぐ蓋は、外径がそれぞれ700〜90
0mm程度の外蓋4と水没防止用の中蓋5の二重蓋構造に
なっている。外蓋4と中蓋5との間隔は、200〜30
0mmが一般的である。
【0028】92は地中送電線2の保守情報収集のため
のセンサ、91はセンサ信号処理回路部である。8は電
波法に定める特定小電力タイプ(空中線電力が0.01
ワット以下)の無線送信機であり、送信アンテナ8aを
備えている。この送信アンテナ8aは、例えば最も汎用
的なロッドアンテナで構成することができる。センサ信
号処理回路部91及び無線送信機8は人孔1の内壁1b
に固定されている。なお、一般に人孔1内には保守情報
となる種々の物理量を測定する複数のセンサが設けられ
るが、本実施例ではセンサ92のみを示してある。
【0029】61は中蓋5の下面に設置され、無線送信
機8の無線信号を一旦受信する受信用中継アンテナであ
り、例えば最も汎用的なダイポール型で構成することが
できる。受信用中継アンテナ61は、その向きを無線送
信機8の送信アンテナ8aと平行にすることが好まし
い。62は中蓋5の上面に設置され、入力端が受信用中
継アンテナ61と接続されているインピーダンス整合回
路であり、受信用中継アンテナ61と外蓋4とをインピ
ーダンス整合する。71はインピーダンス整合回路62
の出力端に接続された電極である。電極71は外蓋4と
の間で静電容量を形成するように、適当な大きさの表面
積を持ち、例えば銅もしくは真ちゅう等の銅合金から形
成することができる。
【0030】図2は図1における蓋部構造の詳細を示す
説明図であり、受信用中継アンテナ61は例えば銅もし
くは真鍮等の銅合金製の2枚の金属片からなり、その受
信面の長さLは無線信号の半波長分の長さ、例えば35
0mm程度に設定されている。インピーダンス整合回路6
2は容量CとインダクタンスLとから構成される。回路
を収容した中継アンテナ用固定絶縁体63は、中蓋5に
形成した窓部5aにはめ込まれて中蓋5を上下に貫通
し、その入力端が中蓋5の下面側に突き出し、その出力
端が中蓋5の上面側に突き出している。
【0031】受信用中継アンテナ61は、インピーダン
ス整合回路62の入力端に接続され中蓋5の下面側に設
置されている。中蓋5の上面側に突き出したインピーダ
ンス整合回路62の出力端には静電容量形成用の電極7
1が接続される。電極71は例えば175mm程度の長さ
で形成されており、電極71と外蓋4との間に空間的な
静電容量Cが形成される。この静電容量結合により外蓋
4はアンテナとして機能する。
【0032】なお、人孔1内の保守情報を人孔内部から
無線信号により地上に伝送するための伝送装置は、上記
無線送信機、受信用中継アンテナ及びインピーダンス整
合回路から主に構成される。
【0033】次に本実施例による人孔内の監視方法につ
いて説明する。センサ92で収集した保守情報は、セン
サ信号処理回路部91を介して無線送信機8に送られ、
無線送信機8から無線信号として送信される。無線送信
機8だけでは人孔1の外部に無線信号を放射できないた
め、中蓋5の下面に設置した受信用中継アンテナ61に
よって無線信号の送信電力を抽出し、インピーダンス整
合回路62、及びこれに接続された電極71と外蓋4の
下面との間の静電容量Cを通して外蓋4に最大電力を給
電する。これにより外蓋4はアンテナとして機能するた
め、無線信号は人孔1の外部に放射され、その無線信号
を地上側の無線受信機100で受信することにより人孔
1内の状況を把握する。なお、無線受信機100は地上
に設置されていても良いし、保守員が携帯しているもの
でも良い。
【0034】なお、中継するとき、前記電波法で定める
範囲内で増幅するようにしておけば、地上側での受信を
より確実にすることができる。
【0035】このように本実施例においては、外蓋と無
線送信機との間に介在する中蓋に受信用中継アンテナと
インピーダンス整合回路を組み込み、整合回路の出力を
外蓋に電気的に接続する。これにより、受信用中継アン
テナで受けた無線信号の送信電力を最大電力で外蓋に供
給して外蓋をアンテナとして機能させるため、人孔内か
ら外部へ放射する無線電界強度を大幅に改善できる。し
たがって、人孔内の無線送信機が発する電波を極めて効
率よく人孔外部の地上へ放射することができ、外蓋及び
中蓋を開けずに地上において容易に人孔内の保守情報の
収集が可能となる。また、受信用中継アンテナとインピ
ーダンス整合回路は中蓋に設置されているだけであり、
作業者が人孔内に出入りする場合に、中蓋の開閉に支障
を来すことはない。
【0036】なお、上記実施例では、インピーダンス整
合回路と外蓋との電気的接続は、インピーダンス整合回
路の出力端に電極を接続し、この電極と外蓋との間に形
成される静電容量で結合するようにしたが、図3に示す
ように、インピーダンス整合回路の出力端に導電性弾性
部材例えばスプリング状のリード線72の一端を接続
し、他端を外蓋4の下面に接触させるようにしてもよ
い。このようにすれば、静電結合よりも外蓋との電気的
接続が安定で確実になる。
【0037】(第2実施例) 図4は第2実施例を示す透過斜視図であり、図1の第1
実施例と異なる点は、外蓋4をアンテナ兼用とせず、放
射用中継アンテナ74を別個に設けた点である。放射用
中継アンテナ74を別個に設けるのは、第1実施例で必
要とされた外蓋との電気的接続を解消するためである。
【0038】放射用中継アンテナ74は中蓋5の上面に
設置され、その放射向きを外蓋4に向けている。中蓋5
の下面には無線送信機8の無線信号を一旦受信する受信
用中継アンテナ61が設置されている。放射用中継アン
テナ74と受信用中継アンテナ61とは、図では示され
ていないが、インピーダンス整合回路を介して接続され
ている。なお、受信用中継アンテナ61と放射用中継ア
ンテナ74の構造は、図示するように基本的に同じであ
り、第1実施例の受信用中継アンテナと同様な構成とす
ることができる。
【0039】図5の詳細な蓋部構造に示すように、中蓋
5は、地上開口部付近の人孔内壁1bに沿って取り付け
られているリング状の中蓋支持金具1c上に、隙間が生
じないように設置されている。無線送信機8は、中蓋支
持金具1cの最大突出部から降ろした垂線より人孔内方
側へはみ出さないように、無線送信機用取付部材1dに
設置されている。
【0040】中蓋5には窓部5aが形成され、ここにイ
ンピーダンス整合回路62が組み込まれている。インピ
ーダンス整合回路62は、窓部5aにはめ込まれた中継
アンテナ用固定絶縁体63内に内蔵されている。中蓋5
の下面には固定絶縁体63により受信用中継アンテナ6
1が固定されており、中蓋5の上面近傍には同じく固定
絶縁体63により放射用中継アンテナ74が固定されて
いる。
【0041】したがって、中蓋5の下面に設置した受信
用中継アンテナ61によって無線信号の送信電力を抽出
し、インピーダンス整合回路62を介して接続されてい
る放射用中継アンテナ74から無線信号が放射され、金
属製外蓋4から人孔1の外部に漏れる。なお、この漏れ
た信号を地上側の無線受信機で受信することにより人孔
1内の状況を把握するのは第1実施例と同じである。
【0042】さて、上記したように第2実施例では、第
1実施例と異なり、外蓋4から直接電波を放射せず、外
蓋4の内側に設けた放射用中継アンテナ74から放射す
るようになっており、アンテナ74と地上側との間に金
属製の外蓋4が介在するため、無線送信機8からの電波
を有効に取り出さなければならない。そのためには無線
送信機8の中蓋5からの距離と、人孔1から所定距離離
れた地点における電界強度との関係が重要となる。
【0043】そこで、無線送信機8の中蓋5からの距離
と、人孔から所定距離離れた地点における電界強度との
関係についての2つの実験を行なった。
【0044】まず、人孔からの距離10m地点での電界
強度についての第1の実験を行なった。中蓋5として、
中継アンテナ61,74等を設置した本実施例による中
継アンテナ設置中蓋と、加工していない比較用の通常中
蓋との2種類を用意し、通常中蓋については、さらに人
孔内壁との間に隙間が有るものと、無いものとに分け
た。無線送信機8は人孔内で中蓋5の下面側に配置さ
せ、中蓋5からの距離を9cm、4cmと変える。また、無
線送信機8のアンテナと中継アンテナとの向きについて
も検討した。
【0045】そして図6に示すように、無線送信機8を
人孔1の内壁1bから離れた中心部付近に配置させる。
地上無線受信機100との間で無線交信を行ない、無線
送信機8の出力を、人孔1の中心部から距離10m離れ
た地点10eにおける地上高1mの電界強度として測定
した。測定結果を表1に示す。
【0046】
【表1】
【0047】この結果から、無線送信機8のアンテナ8
aと受信用中継アンテナ61とを平行にし、人孔1内の
無線送信機8を中蓋5の下部の受信用中継アンテナ61
に近づければ良いことがわかる。
【0048】しかし、無線送信機8は入孔するのに障害
とならない内壁1b沿いの位置に設置する必要がある。
すなわち、中蓋5の支持金具1cの最大突出部より無線
送信機8が内側へはみ出さないようにしなければならな
い。
【0049】そこで次のような第2の実験を行なった。
人孔内壁1b沿いに設置する無線送信機8を中蓋5の下
面からの距離を変えて設置し、人孔1内の無線送信機8
の出力を、地上10m地点を中心にする2m四方内を1
m間隔(図6参照)の地点10a〜10iで地上高1m
の電界強度を測定した。その結果を図7に示す。黒丸は
各地点10a〜10iの電界強度から求めた平均値であ
る。
【0050】この第2実験結果から、人孔の内壁沿いの
位置に無線送信機8を設置する場合においては無線送信
機8を中蓋5から135mm以内に近づければ人孔からの
距離10m付近の地上電界強度が著しく強くなることが
わかる。
【0051】しかし、図5からもわかるように、通常、
中蓋5の支持金具1cの高さhが約65mmあり、無線送
信機8のアンテナ8aの突起を考慮すると、無線送信機
8を75mm以内には近づけられない。近づけすぎれば、
金具1cが邪魔をして受信用中継アンテナ61に直接電
波が届かなくなる。したがって、無線送信機8と中蓋5
との距離は75〜135mmと設定することが特に好まし
い。
【0052】このように第2実施例においては、無線送
信機と中蓋との距離を最適に設定し、中蓋に組み込んだ
インピーダンス整合回路により受信用中継アンテナと送
信用中継アンテナとをインピーダンス整合して最大電力
を取り出すようにしたことにより、外蓋の存在にもかか
わらず、人孔内の無線送信機が発信する信号を極めて効
率よく人孔外部の地上側へ放射することができ、外蓋及
び中蓋を開けずに地上において容易に人孔内の保守情報
の収集が可能となる。また、外蓋をアンテナとする代り
に放射用中継アンテナを別個に設けるようにしたので、
外蓋との電気的接続が不要となり、接続上のトラブルが
ない。また、受信用中継アンテナ、インピーダンス整合
回路及び放射用中継アンテナは、中蓋に設置されている
だけであり、作業者が人孔内に出入りする場合に、中蓋
の開閉に支障を来すことはない。
【0053】
【発明の効果】(1) 請求項1に記載の発明によれば、中
蓋の窓部に取り付けたインピーダンス整合回路と外蓋と
を電気的に接続するようにしたので、中蓋があっても送
信の障害とならない。また、受信用中継アンテナ、イン
ピーダンス整合回路は中蓋に設置されているので、中蓋
の開閉に支障を来すことはない。
【0054】(2) 請求項2に記載の発明によれば、イン
ピーダンス整合回路の出力を空間的な静電容量によって
外蓋に接続しているので、接続構造が容易である。
【0055】(3) 請求項3に記載の発明によれば、イン
ピーダンス整合回路の出力を導電性弾性部材で外蓋に接
触させているので、電気的接続が安定である。
【0056】(4) 請求項4に記載の発明によれば、中蓋
の窓部に取り付けたインピーダンス整合回路と、中蓋の
上面側に配置した放射用中継アンテナとを接続するよう
にしたので、中蓋があっても送信の障害とならない。ま
た、受信用中継アンテナ、インピーダンス整合回路、放
射用中継アンテナは中蓋に設置されているので、中蓋の
開閉に支障を来すことはない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例を示す透過斜視図である。
【図2】第1実施例における蓋部構造の詳細を示す説明
図である。
【図3】蓋部構造の変形例の詳細を示す説明図である。
【図4】本発明の第2実施例を示す透過斜視図である。
【図5】第2実施例の蓋部構造の詳細を示す説明図であ
る。
【図6】無線送信機の高さを変えたときに地上での測定
点を示す説明図である。
【図7】無線送信機の高さを変えたときに人孔からの距
離10m付近の電界強度を示す実験データの説明図であ
る。
【符号の説明】
1 人孔 1a 地上側開口部 1b 人孔内壁 1c 中蓋支持金具 1d 無線送信機用取付部材 2 地中送電線(電力ケーブル) 3 地中送電線接続部 4 外蓋 5 中蓋 5a 窓部 61 受信用中継アンテナ 62 インピーダンス整合回路 63 中継アンテナ用固定絶縁体 71 電極 72 スプリング状リード線 74 放射用中継アンテナ 8 無線送信機 8a 送信アンテナ 91 センサ信号処理回路部 92 センサ 100 無線受信機
フロントページの続き (72)発明者 中▲鶴▼ 良昭 大阪府大阪市北区中之島3丁目3番22号 関西電力株式会社内 (72)発明者 菱田 康之 茨城県日立市日高町5丁目1番1号 日 立電線株式会社オプトロシステム研究所 内 (72)発明者 松原 亮滋 茨城県日立市日高町5丁目1番1号 日 立電線株式会社オプトロシステム研究所 内 (72)発明者 金丸 公春 茨城県日立市日高町5丁目1番1号 日 立電線株式会社オプトロシステム研究所 内 (56)参考文献 特開 昭50−140207(JP,A) 特開 平6−11534(JP,A) 実開 平3−44647(JP,U)

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】地上側開口部が金属製の外蓋により閉じら
    れる人孔内に設けられる装置であって、 前記人孔内の保守情報を収集するセンサの出力を人孔内
    から前記地上開口部に向けて発信する無線送信機と、 前記外蓋の下面側に設けられ、前記無線送信機が発信す
    る無線信号を一旦前記人孔内で受信する受信用中継アン
    テナと、 前記外蓋を放射用アンテナとすべく前記受信用中継アン
    テナと前記外蓋とをインピーダンス整合して電気的に接
    続するインピーダンス整合回路とを備えた人孔内監視装
    置に使用する伝送装置において、 前記地上側開口部を閉じる前記外蓋の下面側に、これと
    所定間隔をあけて中蓋が設けられており、前記中蓋に窓
    部を設けて該窓部に前記インピーダンス整合回路を取り
    付け、前記中蓋の下面側に前記受信用中継アンテナを設
    けて、該受信用中継アンテナと前記外蓋とを前記中蓋の
    窓部に取り付けたインピーダンス整合回路に電気的に接
    続したことを特徴とする人孔内監視装置に使用する伝送
    装置。
  2. 【請求項2】前記インピーダンス整合回路がその出力端
    に電極を有し、該電極と前記外蓋との間に形成される空
    間的な静電容量によって前記外蓋と電気的に接続されて
    いることを特徴とする請求項1記載の人孔内監視装置に
    使用する伝送装置。
  3. 【請求項3】前記インピーダンス整合回路が、その出力
    端に導電性の弾性部材を有し該導電性弾性部材を前記外
    蓋に接触させることによって前記外蓋と電気的に接続さ
    れていることを特徴とする請求項1または2に記載の人
    孔内監視装置に使用する伝送装置。
  4. 【請求項4】地上側開口部が金属製の外蓋により閉じら
    れる人孔内に設けられる装置であって、 前記人孔内の保守情報を収集するセンサの出力を人孔内
    から前記地上開口部に向けて発信する無線送信機と、 前記外蓋の下面側に設けられ、前記無線送信機が発信す
    る無線信号を一旦前記人孔内で受信する受信用中継アン
    テナと、 前記外蓋の下面側に設けられ、該受信用中継アンテナで
    受信した信号を、前記外蓋から漏洩させるべく該外蓋に
    向けて放射させる放射用中継アンテナと、 前記受信用中継アンテナと前記放射用中継アンテナとを
    インピーダンス整合して電気的に接続するインピーダン
    ス整合回路とを備えた人孔内監視装置に使用する伝送装
    置において、 前記地上側開口部を閉じる前記外蓋の下面側に、これと
    所定間隔をあけて中蓋が設けられており、前記中蓋に窓
    部を設けて該窓部に前記インピーダンス整合回路を取り
    付け、前記中蓋の下面側に前記受信用中継アンテナを、
    上面側に前記放射用中継アンテナをそれぞれ設け、前記
    受信用中継アンテナと前記放射用中継アンテナとを前記
    中蓋の窓部に取り付けたインピーダンス整合回路に電気
    的に接続したことを特徴とする人孔内監視装置に使用す
    る伝送装置。
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