JP2787545B2 - スキー滑走路およびスキー滑走路の形成方法 - Google Patents

スキー滑走路およびスキー滑走路の形成方法

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JP2787545B2
JP2787545B2 JP6215367A JP21536794A JP2787545B2 JP 2787545 B2 JP2787545 B2 JP 2787545B2 JP 6215367 A JP6215367 A JP 6215367A JP 21536794 A JP21536794 A JP 21536794A JP 2787545 B2 JP2787545 B2 JP 2787545B2
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【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、スキー滑走路およびそ
の形成方法に関する。
【0002】
【従来の技術】天然雪が降らないかまたは不十分である
ような地域や季節では、人工降雪機によって製造された
人工雪を積もらせたり、クラッシュアイスのような氷粒
をゲレンデに散布して人工スキー場としている。
【0003】ところで、一般にスキー場のゲレンデで
は、融雪、雪の移動、飛散等により積雪量が減少する
と、滑走条件が悪化し、また、地面が露出した場合に
は、滑走に危険を生じるため、常に十分な積雪量を確保
するのが好ましい。
【0004】このような積雪量の確保は、人工スキー場
においても該当するが、人工スキー場では、本来平均気
温が高い等の理由から、融雪を生じ易く、従って、最低
30〜40cmの積雪量を常に保持しなければならない。
しかしながら、人工雪や氷粒でこのような積雪量を確保
するには、次のような問題がある。
【0005】すなわち、積雪量に応じた大量の人工雪や
氷粒を製造しなければならず、そのために多大な電気エ
ネルギーとコストがかかり、しかも、これらをゲレンデ
に散布するのに長時間を要する。特に、人工雪は、気温
が−3℃以下、湿度が80%RH以下でないと製造できな
いため、そのような条件の日が例えば10日以上連続し
ないと目的とする積雪量を達成することができず、人工
スキー場のオープンが遅れるという問題がある。
【0006】また、上記積雪量を達成して人工スキー場
をオープンしても、融雪速度が速いので、十分な積雪量
を維持するために、頻繁かつ大量に人工雪や氷粒を造雪
し、補充しなければならず、ランニングコストも多大な
ものとなっていた。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、少量の積雪
量で円滑かつ安全な滑走ができ、特に、人工的に製造さ
れる雪または氷粒を用いる場合に、その製造のためのエ
ネルギー消費、製造コストおよび滑走路形成時間を大幅
に低減することができるスキー滑走路およびスキー滑走
路の形成方法を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】このような目的は、下記
(1)ないし(20)の本発明により達成される。
【0009】(1) 地面の上に敷設された滑走マット
と、該滑走マットを覆う雪または氷粒の層とで構成され
たスキー滑走路であって、前記滑走マットは、少なくと
も1つの開口を有する枠部材と該枠部材より立設された
複数の可撓性を有する突起とで構成された単位マットを
複数個連結してなるものであり、前記雪または氷粒の層
は、地面側から、前記開口内でかつ前記突起より下方
位置する第1の層と、前記突起を埋入する第2の層とを
有し、前記第1の層と前記第2の層とで、それらを構成
する雪または氷粒の性状が異なっており、前記第1の層
が地面側からの伝熱を抑制する機能を有していることを
特徴とするスキー滑走路。
【0010】(2) 地面の上に敷設された滑走マット
と、該滑走マットを覆う雪または氷粒の層とで構成され
たスキー滑走路であって、前記滑走マットは、少なくと
も1つの開口を有する枠部材と該枠部材より立設された
複数の可撓性を有する突起とで構成された単位マットを
複数個連結してなるものであり、前記雪または氷粒の層
は、地面側から、前記開口内でかつ前記突起より下方
位置する第1の層と、前記突起を埋入する第2の層と、
その上の第3の層とで構成され、前記第1の層と前記第
3の層とで、それらを構成する雪または氷粒の性状が異
なっており、前記第1の層が地面側からの伝熱を抑制す
る機能を有していることを特徴とするスキー滑走路。
【0011】(3) 前記単位マットの下部に、前記開
口を囲むように形成され、下端が接地して開口内の水が
地面の面方向に移動するのを阻止するリブを有する上記
(1)または(2)に記載のスキー滑走路。
【0012】(4) 前記枠部材と前記リブとで囲まれ
る空間に断熱層を有する上記(3)に記載のスキー滑走
路。
【0013】(5) 前記開口の合計開口面積が、前記
滑走マットの敷設総面積の25〜70%である上記
(1)ないし(4)のいずれかに記載のスキー滑走路。
【0014】(6) 前記雪または氷粒の層の層厚の平
均値が、前記滑走マットの厚さの5倍以内である上記
(1)ないし(5)のいずれかに記載のスキー滑走路。
【0015】(7) 前記第1の層は、雪または氷粒同
士が結合して固まった状態となっているものである上記
(1)ないし(6)のいずれかに記載のスキー滑走路。
【0016】(8) 前記第2の層に比べ前記第1の層
の含水率が高い上記(1)ないし(7)のいずれかに記
載のスキー滑走路。
【0017】(9) 前記雪または氷粒は、人工的に製
造されたものである上記(1)ないし(8)のいずれか
に記載のスキー滑走路。
【0018】(10) 前記第2の層における雪または氷
粒の平均粒径は、隣接する前記突起同士の間隙距離より
小さい上記(9)に記載のスキー滑走路。
【0019】(11) 地面と前記滑走マットとの間
に、多孔質性の素材で構成された多孔質マットが介挿さ
れている上記(1)ないし(10)のいずれかに記載の
スキー滑走路。
【0020】(12) 前記多孔質マットの素材は、天然
繊維の集合体で構成されている上記(11)に記載のスキ
ー滑走路。
【0021】(13) 前記多孔質マットは、前記素材の
地面側の面に少なくとも1層の保水性を有する保水層を
有するものである上記(11)または(12)に記載のスキ
ー滑走路。
【0022】(14) 前記多孔質マットの内部および/
または表面に、少なくとも面方向に分散配置された種子
を有する上記(11)ないし(13)のいずれかに記載のス
キー滑走路。
【0023】(15) 前記多孔質マットの内部および/
または表面に、植物の発育を助成する養分を有する上記
(11)ないし(14)のいずれかに記載のスキー滑走路。
【0024】(16) 少なくとも1つの開口を有する
枠部材と該枠部材より立設された複数の可撓性を有する
突起とで構成された単位マットを連結してなる滑走マッ
トを地面の上に敷設した後、前記滑走マットを雪または
氷粒の層で覆い、さらに所定時間放置して前記開口内
かつ前記突起より下方の雪または氷粒同士が結合して固
まった状態にし、これにより前記雪または氷粒の層の融
雪を抑制することを特徴とするスキー滑走路の形成方
法。
【0025】(17) 少なくとも1つの開口を有する
枠部材と該枠部材より立設された複数の可撓性を有する
突起とで構成された単位マットを連結してなる滑走マッ
トを地面の上に敷設した後、人工的に製造された雪また
は氷粒を散布して、前記滑走マットを少なくとも前記突
起が埋入する程度まで雪または氷粒の層で覆い、さらに
所定時間放置して前記開口内でかつ前記突起より下方
雪または氷粒同士が結合して固まった状態にし、これに
より前記雪または氷粒の層の融雪を抑制することを特徴
とするスキー滑走路の形成方法。
【0026】(18) 前記雪または氷粒の散布量の調整
により、前記雪または氷粒の層の厚さを前記滑走マット
の厚さの5倍以内とする上記(17)に記載のスキー滑走
路の形成方法。
【0027】(19) 地面の上に多孔質性の素材で構成
された多孔質マットを敷設し、該多孔質マットの上に前
記滑走マットを敷設する上記(16)ないし(18)のいず
れかに記載のスキー滑走路の形成方法。
【0028】(20) 雪または氷粒の層の厚さが減少し
たとき、少なくともその減少分を補うように雪または氷
粒を補充する上記(16)ないし(19)のいずれかに記載
のスキー滑走路の形成方法。
【0029】
【実施例】以下、本発明のスキー滑走路およびスキー滑
走路の形成方法を添付図面に示す好適実施例に基づいて
詳述する。
【0030】図1は、本発明のスキー滑走路の構成例を
示す断面側面図、図2は、本発明のスキー滑走路に用い
る滑走マットの構成例を示す平面図、図3は、図2中の
III−III 線断面図である。
【0031】図1に示すように、本発明のスキー滑走路
1Aは、傾斜した地面2の上に形成される。なお、地面
2の平均傾斜角度θは、特に限定されないが、好ましく
はθ=1〜40°程度、より好ましくはθ=1〜25°
程度とすることができる。
【0032】スキー滑走路1Aは、滑走マット3と、該
滑走マット3を覆う雪または氷粒の層5と、滑走マット
3を地面2に対し固定する固定部材4とを有している。
以下、これらについて順次説明する。
【0033】図1および図2に示すように、滑走マット
3は、地面2の上に敷設されている。本実施例における
滑走マット3は、複数の単位マット30Aを縦および横
方向にそれぞれ連結してなる単位マット連結体で構成さ
れている。
【0034】図2に示すように、単位マット30Aは、
枠状に形成された枠部材31を有し、該枠部材31に
は、側壁313で囲まれたほぼ三角形の開口32が複数
形成されている。この開口32は、後述する第1の層5
1の雪または氷粒を充填する空間を形成している。な
お、開口32の形状は、図示のような形状に限らず、例
えば、円形、楕円形、矩形、五角形、六角形、八角形、
十文字形、星形等、任意の形状が可能である。
【0035】枠部材31の上部には、可撓性を有する突
起33が複数本立設されている。図3に示すように、各
突起33は、枠部材31に対しほぼ垂直に立設されてい
る。この場合、突起33は、枠部材31の枠長手方向に
沿って列状に配置され、突起33の高さは、枠の幅方向
中央部が最も高く、その両端に向かって順次低くなって
おり、各突起33の先端の軌跡が、全体として山型をな
すように構成されている。また、各突起33の外径は、
全て同一でもよいが、枠部材31の枠の幅方向中央部が
最も小さく、その両端に向かって順次大きくすることも
できる。
【0036】単位マット30Aにこのような突起33を
設けることにより、雪または氷粒の層5の厚さが減少
し、突起33が露出した場合でも、スキーが突起33と
接触して円滑な滑走を維持することができ、特に、各突
起33を前述したような構造とすることにより、枠部材
31の枠の幅方向中央部と両側部とで、突起33の可撓
性に差が生じ、かつ、滑走状況に応じてそのような突起
33へのスキーの接触順位(頻度)が異なることから、
スキーの直線状の滑降に対しては低摩擦でかつ安定した
ハイスピード滑降を可能とし、ターンの際には、スキー
のエッジの効きが向上し、スリップすることなくシャー
プなターンが可能となる。なお、突起33の表面に、例
えばシリコーン、ポリテトラフルオロエチレンのような
低摩擦材料によるコーティング層が設けられていてもよ
い。
【0037】また、図2に示すように、単位マット30
Aの外縁部には、凸部よりなる雄型嵌合部34と、凹部
よりなる雌型嵌合部35とが、互いに対向する位置に所
定数形成されている。隣接する単位マット30A同士
は、それらの雄型嵌合部34と雌型嵌合部35とを嵌合
することにより連結される。なお、雄型嵌合部34およ
び雌型嵌合部35は、これらを一旦嵌合すると、嵌合が
外れる逆方向へは移動し得ないような逆止機構を有する
ものであるのが好ましい。これにより、スキーの滑走に
伴う振動、衝撃等により雄型嵌合部34および雌型嵌合
部35の嵌合が解除されることが防止される。このよう
な逆止機構としては、雄型嵌合部34の外周部に沿って
雌型嵌合部35の開口縁部に係止する複数の爪341を
設けた構成が挙げられる。
【0038】なお、単位マット30A同士の連結機構
は、図示のごとき雄型嵌合部34および雌型嵌合部35
に限定されず、例えば、隣接する単位マット30Aの外
周部同士を別部材の連結部材(例えば、リベット)で連
結してもよい。
【0039】図3に示すように、単位マット30Aの枠
部材31の下面には、開口32の全周を囲むリブ311
が突出形成され、単位マット30Aを地面2上に敷設し
たとき、該リブ311の下端が地面2に接地するよう構
成されている。このリブ311の外面に形成された側壁
313により、開口32が画成される。
【0040】このリブ311は、単位マット30Aの軽
量化を図りつつ十分な補強効果を得るのに有効であると
ともに、雪または氷粒が融けて開口32内に生じた水が
地面2の面方向(図3中横方向)に移動するのを阻止す
る機能、すなわちダムのような機能を有する。
【0041】また、枠部材31と対向する一対のリブ3
11とで囲まれる空間312に断熱空気層が形成されて
いる。なお、図示と異なり、空間312内に、例えばポ
リウレタンのような弾性材料よりなる発泡体や、ガラス
繊維、樹脂繊維、織布、不織布のような各種断熱材を充
填して断熱層を構成してもよい。なお、リブ311の下
端部は、例えば地面2より地中に埋入されていてもよ
い。
【0042】このような単位マット30Aにおいて、各
突起33、リブ311、雄型嵌合部34は、それぞれ、
枠部材31とともに一体成型により形成されているのが
好ましい。具体的には、単位マット30Aを後述する高
分子材料を用いて射出成型により製造することができ
る。
【0043】単位マット30Aに要求される特性として
は、十分な強度および靱性、耐久性(特に低温下の耐久
性)、低摩擦係数、耐摩耗性、製造の容易性等が挙げら
れる。このような特性の多くを満足し得る単位マット3
0Aの構成材料としては、例えば、ポリエチレン、ポリ
プロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体等のポリオ
レフィン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリアミ
ド、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフ
タレート等のポリエステル、ポリウレタン等の各種ポリ
マー、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、スチレン−ブ
タジエンゴム、クロロプレンゴム、ニトリルゴム、ブチ
ルゴム、エチレン−プロピレンゴム、アクリル系ゴム、
シリコーンゴム等の各種弾性材料等のうち1種または2
種以上(例えばポリマーアロイ)を主材料とするものが
挙げられるが、そのなかでも特に、ポリエチレンまたは
ポリプロピレンを主材料とするものが好ましい。
【0044】また、このような単位マット30Aの構成
材料には、必要に応じ、例えば、充填材、可塑剤、潤滑
剤、劣化防止剤、安定剤、顔料のような各種添加剤が添
加されていてもよい。
【0045】滑走マット3においては、各開口32の合
計開口面積が、滑走マット3の敷設総面積の25〜70
%であるのが好ましく、30〜60%であるのがより好
ましく、33〜55%であるのがさらに好ましい。開口
32の合計開口面積が小さ過ぎると、開口32内の水が
地面2から地中に浸透する面積が小さくなり、例えば地
面2が粘土質の場合、排水不良を生じ易くなる。逆に、
開口32の合計開口面積が大き過ぎると、第1および第
2の層51、52における雪または氷粒の固定が不十分
となる。
【0046】このような滑走マット3は、固定部材4に
より地面2に対し固定されている。図1および図2に示
すように、本実施例における固定部材4は、一対のほぼ
平行な棒状の埋込部41と、両埋込部41の一端部同士
を連結する連結部42とよりなるコ字状の杭(スパイ
ク)で構成されている。
【0047】このような固定部材4による滑走マット3
の固定は、連結部42が枠部材31の上部に当接し、両
埋込部41を地中に埋入することによりなされる。この
場合、各固定部材4は、埋込部61を地面2に対しほぼ
垂直に埋入するのが好ましい。また、図示されていない
が、固定部材4の抜けを防止するための手段として、埋
込部41の外面に凹凸やかえし等が形成されていてもよ
い。
【0048】固定部材4による固定点の密度(間隔)
は、特に限定されず、例えば、単位マット30A毎に1
または2以上の固定部材4で固定する方法、単位面積毎
に固定部材4で固定する方法(例えば、固定部材数0.
2〜10個/m2 )等、いずれでもよい。さらに、固定部
材4による固定点の密度は、不均一であってもよい。こ
の場合、例えば急斜面のような滑走マット3のズレ、浮
き上がり等が生じ易い箇所においては、固定部材4によ
る固定を密に行うのが好ましい。
【0049】なお、固定部材4の構造は、図示のものに
限定されず、例えば、1本の埋込部41を有するL字状
のもの、アンカーボルト、枠部材31への固定具等、滑
走マット3を固定可能なものであれば、任意の構成のも
のを用いることができる。また、本発明では、このよう
な固定部材を用いなくてもよい。
【0050】図3に示すように、滑走マット3の各開口
32内には、雪または氷粒が充填され、これにより、
口32内の突起33より下方に第1の層51が形成され
。また、第1の層51の上には、雪または氷粒による
第2の層52が形成されている。この第2の層52内
に、各突起33のほぼ全体が埋入している。これら第1
の層51と第2の層52とで雪または氷粒の層5が構成
される。
【0051】このような第1の層51と第2の層52と
では、雪または氷粒の性状が異なっている。本実施例で
は、第1の層51は、雪または氷粒同士が結合して固ま
った状態、すなわち、シャーベット状または氷状となっ
ており、第2の層52は、雪または氷粒同士がほとんど
結合していないかまたはその結合の程度が第1の層51
に比べ低い。換言すれば、第2の層52に比べ前記第1
の層51における雪または氷粒の充填密度が高く、ま
た、第2の層52に比べ前記第1の層の含水率が高い。
【0052】また、第1の層51と第2の層52との性
状が異なる他の例としては、例えば、第1の層51と第
2の層52とで雪または氷粒の粒径を異ならせたもの、
特に、第1の層51を氷粒で構成し、第2の層52を前
記氷粒より粒径の小さい氷粒または雪で構成したもの
や、第1の層51または第2の層52中に添加剤を添加
したもの、特に、第1の層51中に保冷剤、凝固点降下
剤、結合剤等の各種薬品を添加したもの等が挙げられ
る。このような相違は、後述するスキー滑走路1Bにお
ける第1の層51と第3の層53にも該当する。
【0053】なお、第2の層52の全部または一部は、
その上面が例えば図3中のAで示すレベルとなるよう
に、突起33の途中までを埋入するものでもよい。ま
た、第1の層51と第2の層52との境界が明確でな
く、両層51、52の性状が連続的に変化するものでも
よい。
【0054】第2の層52における雪または氷粒の平均
粒径は、隣接する突起33同士の間隙距離より小さいの
が好ましく、具体的には、隣接する突起33同士の間隙
距離の3/4〜1/100程度であるのが好ましく、1
/2〜1/40程度であるのがより好ましい。これによ
り、雪または氷粒が突起33同士の間隙に容易に入り込
み、スキーが突起33に接触した場合に、突起33の倒
れ(湾曲変形)を抑制し、スキーと突起33との摩擦力
を低値に維持できるので、直線状およびターンのそれぞ
れにおいて円滑な滑走が可能となり、また、突起33の
傷付きや劣化も少ないので、滑走マット3の寿命も長
い。
【0055】なお、雪または氷粒の層5の雪または氷粒
は、天然のもの、人工的に製造されたもの、またはこれ
らを混合したもののいずれでもよいが、主に、人工的に
製造されたものであるのが好ましく、例えば、人工降雪
機(ファンタイプ、ガンタイプ等)により造雪される人
工雪や、氷粒製造機により製造されるクラッシュアイス
(プレートアイス、フレークアイス等)が挙げれらる。
【0056】次に、スキー滑走路1Aの作用について説
明する。一般に、融雪の主な原因としては、スキーの滑
走により雪が移動しまたは撹拌されること、土の混入に
より雪が茶色に着色し、太陽光の吸収量が増大して温度
が上昇すること、地熱の伝搬により、雪層が地面側から
融けること、雪が融けた水が雪層の下部に溜り、地面に
沿って流れ、その流水が雪層を地面側から侵食すること
等が挙げられる。
【0057】これに対し、本発明のスキー滑走路1Aで
は、以下に述べるような作用、効果を有する。第1の層
51は、開口32内に充填されており、かつ、前述した
性状であるため、滑走時に雪または氷粒の移動を生じ
ず、地面2からの土の移行を阻止し、地熱の第2の層5
2への伝搬を阻止する。また、第2の層52(特に、ス
キーと接触する第2の層52の上部)は、前述した性状
であるため、滑走に適しており、しかも、第2の層52
は、移動しない第1の層51と結合し、かつ、突起33
が埋入されているため、第2の層52の雪または氷粒も
移動し難く、さらに、土の混入により太陽熱の吸収量が
増大することもない。
【0058】また、第2の層52では、突起33の間隙
に雪または氷粒が入り込んでいるため、スキーが突起3
3に接触した場合でも円滑な滑走が維持される。この場
合、空間312の断熱空気層の存在により、その上方、
すなわち突起33同士の間隙内や突起33の近傍にある
雪または氷粒が融けるのが防止される。
【0059】また、雪または氷粒が融けて開口32内に
水が生じた場合、この水は、第1の層51の下方へ移動
し、地面2から地中に浸透する。このとき、リブ311
がダムのような機能を持つため、この水が地面2に沿っ
て流れ、隣接する開口32の下部へ移行することが阻止
される。そのため、流水が第1の層51を地面2側から
侵食して融雪を生じることが防止される。
【0060】以上のような第1の層51、第2の層5
2、空間312およびリブ311の持つ相乗効果によ
り、融雪が有効に防止される。一方、滑走マット3にお
いては、雪または氷粒の層5により覆われているため、
滑走マット3上を直接滑走する場合に比べ、滑走マット
3の枠部材31の変形や突起33の損傷、劣化がほとん
ど生じず、滑走マット3の寿命が長い。しかも突起33
が第2の層52中に埋入されていることおよび雪または
氷粒と接触して低温となっていることから、突起33の
可撓性が抑制され、スキーとの摩擦抵抗が減少し、円滑
な滑走が可能となる。
【0061】このように、本発明のスキー滑走路1A
は、滑走マット3が雪または氷粒の層5の融雪を防止
し、その雪または氷粒の層5が滑走マット3を保護しか
つ円滑な滑走を得るという相互作用を有する。
【0062】図4は、本発明のスキー滑走路の他の実施
例を示す断面側面図である。同図に示すスキー滑走路1
Bは、雪または氷粒の層5の構成が異なる以外は、前記
スキー滑走路1Aと同様である。すなわち、スキー滑走
路1Bにおける雪または氷粒の層5は、前記と同様の第
1の層51および第2の層52を有し、さらに第2の層
52の上に雪または氷粒の第3の層53を有する構成で
ある。第3の層53を設けたことにより、スキーの滑走
の際、突起33が雪または氷粒の層5の表面に露出する
ことがほとんどなくなり、円滑な滑走が安定的に維持さ
れる。
【0063】このような雪または氷粒の層5において
は、第1の層51と第3の層53との性状が異なってい
る。すなわち、第1の層51は、雪または氷粒同士が結
合して固まった状態、すなわち、シャーベット状または
氷状となっており、第3の層53は、雪または氷粒同士
がほとんど結合していないかまたはその結合の程度が第
1の層51に比べ低い。換言すれば、第3の層53に比
べ前記第1の層51における雪または氷粒の充填密度が
高く、また、第3の層53に比べ前記第1の層の含水率
が高い。
【0064】この場合、第2の層52は、第1の層51
の性状と同一または近似するもの、第3の層53の性状
と同一または近似するもの、第1の層51と第3の層5
3の中間の性状を有するもののいずれでもよい。
【0065】このようなスキー滑走路1Bでは、第1の
層51は、前記と同様の作用を有し、第2の層52は、
移動しない第1の層51と結合し、かつ、突起33が埋
入されているため、第2の層52の雪または氷粒も移動
し難い。そして、第3の層53(特に、スキーと接触す
る第3の層53の上部)は、前述した性状であるため、
滑走に適しており、しかも、第3の層53は、移動し難
い第2の層52と結合しているので、その少なくとも下
部は移動し難く、さらに、土の混入により太陽熱の吸収
量が増大することもない。従って、雪または氷粒の層5
の融雪が有効に防止される。
【0066】なお、第2の層52が第1の層51の性状
と同一または近似するものである場合には、第2の層5
2の雪または氷粒の固定がさらに強固になされ、雪また
は氷粒の層5の融雪防止効果がさらに向上する。
【0067】また、雪または氷粒が融けて開口32内に
生じた水が地面2に沿って流れるのを阻止することによ
る融雪防止効果や、滑走マット3の保護効果についても
前記と同様である。なお、本発明では、雪または氷粒の
層5は、圧雪または非圧雪状態のいずれでもよい。
【0068】本発明において、雪または氷粒の層5の層
厚T1 の平均値は、滑走マット3の厚さT2 の5倍以内
であるのが好ましく、4倍以内であるのがより好まし
く、1〜3倍であるのがさらに好ましい(図1参照)。
本発明では、上述したように、雪または氷粒の層5の融
雪防止効果を有し、その層厚T1 の変化が少ないため、
層厚T1 がT2 の5倍以内であっても、安定した滑走が
持続できる。そして、雪または氷粒の層5を人工的に製
造された雪または氷粒で構成する場合には、層厚T1
2 の5倍以内であるため、製造する雪または氷粒の量
が大幅に減少し、散布に要する時間も短くなり、エネル
ギーの節減およびコストダウンが図れ、スキー場をオー
プンするための条件も有利となる。
【0069】図5は、本発明に用いられる単位マットの
他の構成例を示す底面図である。同図に示す単位マット
30Bは、八角形の開口37が複数形成された枠部材3
6を有し、該枠部材36の上部には、前記と同様の複数
の突起が枠部材36に対しほぼ垂直に立設されている。
【0070】枠部材36の下面には、開口37の全周を
囲むように前記と同様のリブ311が突出形成され、単
位マット30Bを地面2上に敷設したとき、該リブ31
1の下端が地面2に接地するよう構成されている。この
リブ311の表面に形成された側壁313により、開口
37が画成される。また、前記と同様、枠部材36と各
リブ311とで囲まれる空間312に断熱空気層が形成
されている。
【0071】また、単位マット30Bの外縁部には、前
記と同様の雄型嵌合部34および雌型嵌合部35が形成
され、単位マット30B同士は、それらの雄型嵌合部3
4と雌型嵌合部35とを嵌合することにより連結され
る。
【0072】図6は、本発明のスキー滑走路の他の実施
例を示す断面側面図である。同図に示すスキー滑走路1
Cは、地面2と滑走マット3との間に、多孔質性の素材
で構成された多孔質マット6が介挿されており、それ以
外の構成は、前記スキー滑走マット1Aまたは1Bと同
様である。なお、固定部材4は、多孔質マット6を貫通
して地中に埋入される。
【0073】図7は、多孔質マット6の構成例を模式的
に示す断面図である。同図に示すように、多孔質マット
6は、繊維の集合体のような多孔質性の素材61で構成
されている。この素材61は、以下に述べるような繊維
の不織布、織編物や、各種紙類、短繊維の集合体または
これらを任意に組み合わせたもの等が挙げられるが、不
織布または織編物が好ましく、不織布がさらに好まし
い。
【0074】なお、織編物とは、織物、編物またはこれ
に類するもの(例えばメッシュ)を含む。織物組織とし
ては、実用に供されている全ての種類のもの、例えば、
平織、斜文織、朱子織が使用可能である。また、編物組
織についても特に限定はなく、例えば、よこ編み(平編
み)、たて編み(トリコット編み)、丸編み、平打ち、
メリヤス編み等が挙げられる。
【0075】このような繊維の充填密度(嵩密度)は特
に限定されないが、多孔質マット6を介しての種子の発
芽を妨げず、かつ屋外環境下での過酷な条件に耐え得る
十分な強度を有する程度とされる。具体的には、繊維の
種類や集合形態にもよるが、不織布または織編物の場
合、繊維の充填密度(嵩密度)は、0.02〜0.7g/
cm3 程度が好ましく、0.03〜0.5g/cm3 程度がよ
り好ましく、0.05〜0.3g/cm3 程度がさらに好ま
しい。
【0076】多孔質マット6の素材61を構成する繊維
としては、天然繊維、合成繊維のいずれでもよいが、環
境保護の観点から天然繊維が好ましい。天然繊維として
は、各種タンパク繊維、セルロース繊維または鉱物繊維
が挙げられ、例えば、ヤシ繊維、樹木繊維(パルプ)、
亜麻、マニラ麻、大麻、ワラ、ムギ、パイナップル、
綿、絹、羊毛、カボック、ラミー、リンター、アスベス
ト等のうちの1種または2種以上を組み合わせて(混
合、混紡、または多層積層体等)用いることができる
が、この中でも特に、ヤシ繊維、亜麻、大麻のような高
張力天然繊維(高弾性力天然繊維)またはこれを主とす
るものが好ましく、さらには、ヤシ繊維を主とするもの
が好ましい。
【0077】このような高張力天然繊維は、繊維の充填
密度を比較的低くしても十分な強度および自己形状保持
性を有するからである。すなわち、繊維の充填密度を高
くすれば強度はより増大し自己形状保持性も高まるが、
その反面、繊維間の空孔(隙間)がより小さくなり、後
述する種子の発芽、育成を阻害することとなり、よっ
て、高張力天然繊維を用いれば、強風等の過酷な環境条
件に耐え得る十分な強度および自己形状保持性と、種子
の発芽に有利な開孔率との双方得ることができる範囲が
広がる。なお、前記自己形状保持性とは、他の補強部材
や包材等を装着しなくても、それ自体で、繊維のほぐ
れ、崩れ、切断等を生じて変形することがない性質を言
う。
【0078】また、多孔質マット6は、天然繊維同士を
結合する結合剤を担持しているのが好ましい。これによ
り、繊維同士の結合力が増し、強度および自己形状保持
性がより増大する。
【0079】結合剤としては、例えば、ニカワ、カゼイ
ン、アラビアゴム、天然ゴム、澱粉糊等の天然接着剤
や、例えば、フェノール樹脂、レゾルシン樹脂、フラン
樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、ポリエステル、ポリウ
レタン、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂等の熱硬化性樹
脂、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、ポリ塩化
ビニル、ポリビニルブチラール、ポリアクリル酸エステ
ル、ニトロセルロース等の熱可塑性樹脂、ブタジエン−
アクリロニトリルゴム、ネオプレンゴム等の各種ゴム等
を主成分とする合成接着剤を用いることができる。
【0080】結合剤の担持方法としては、例えば、上記
結合剤を含む溶液または分散液を多孔質マット素材61
に対し、ディッピング、スプレー、塗布等により含浸さ
せ、その後乾燥することにより行うことができる。
【0081】なお、図示されていないが、多孔質マット
6の内部および/または表面には、後述する種子9が設
けられていてもよく、さらには後述する養分10が設け
られていてもよい。また、多孔質マット6は、同一また
は異なる構成の層を2層以上積層したものであってもよ
い。この場合、それらの層間に種子9や養分10が配置
されていてもよい。
【0082】地面2と滑走マット3との間に以上のよう
な多孔質マット6を敷設することにより、次にような作
用を生じる。すなわち、まず第1に、多孔質マット6が
土壌の移動、変形、侵食を抑制し、地面2が安定するの
で、特に急斜面でも凹凸の少ないスキー滑走面が安定的
に得られる。第2に、多孔質マット6による断熱、保温
作用により、雪または氷粒の層5への地熱の伝搬を抑制
し、融雪防止に寄与する。第3に、多孔質マット6は、
通水性があるため、雪または氷粒が融けて開口32内に
生じた水は、多孔質マット6内に形成された空孔を排水
路として円滑に排水され、地面2から地中に浸透する。
よって、第1の層51を地面2側から侵食することがな
く、融雪防止に寄与する。
【0083】図8は、多孔質マットの他の構成例を示す
断面側面図である。同図に示す多孔質マット7は、前記
多孔質マット6の素材61と同様の素材71を有し、そ
の片面(地面2側の面)に、保水性を有する保水層8が
接合された構成のものである。ここで、保水性とは、水
分を含浸し、湿潤状態を維持し得る性質をいう。
【0084】多孔質マット7の素材71がそれ自体保水
性を有さないかまたは保水性に乏しい場合、このような
保水層8を設けることにより、種子9への水分の供給が
十分に確保され、発芽率がさらに向上する。
【0085】保水層8としては、前述した天然繊維のよ
うな天然素材で構成されているのが好ましい。保水層8
に用いられる天然繊維としては、例えば、木材または非
木材を繊維原料とする各種パルプ(紙材原料)、綿、
絹、羊毛、リンターが挙げられ、これらのうちの1種ま
たは2種以上を組み合わせて(混合、混紡、または多層
積層体等)用いるのが好ましい。そして、比較的細い繊
維をより高密度(空孔サイズを小さく)で配設するの
が、保水性向上のために好ましい。
【0086】なお、保水層8は、その吸水性および保水
性をさらに向上するために、親水化処理が施されていて
もよい。親水化処理としては、例えば、各種界面活性剤
を付与する方法、紫外線、放射線等を照射する方法が挙
げられる。
【0087】素材71と保水層8との接合面は、例え
ば、前述したような結合剤や繊維同士の絡み合い、ある
いは糸等による縫合、結紮により結合力を有しているの
が好ましいが、単に接合されて結合力を有さない状態で
あってもよい。
【0088】このような多孔質マット7の内部および/
または表面には、少なくともマットの面方向に沿って、
例えば芝や各種草花の種子9が分散配置されているのが
好ましい。図8に示す構成では、素材71と保水層8と
の接合面付近に、種子9が好ましくはマット面方向に均
一に分散配置されている。
【0089】多孔質マット7が地面2に敷設されている
状態で、保水層8が湿潤すると、種子9は所定の季節に
発芽する。種子9から出た根は、保水層8の空孔(繊維
の隙間)を通って下方(地面2側)へ伸び、種子9から
出た芽は、素材71の空孔(繊維の隙間)を通って上方
へ伸び、素材71の表面から開口32内に突出する。こ
のように、種子9が各所で地面2に根を張ることによ
り、多孔質マット7が地面2に対し、強固に固定され
る。この場合、前述したように、素材71の空孔の開孔
率が十分に確保されているため、種子9の発芽率が極め
て高い(例えば70%以上)。
【0090】開口32内に例えば芝が生えていると、地
面2からの土の移行がさらに抑制され、また、開口32
内における第1の層51の固定がさらに強固になされ
る。これは、冬期に芝が枯れた場合も同様である。な
お、多孔質マット7において、種子9は、保水層8の内
部や、保水層8の地面2との接触面に設置されていても
よい。
【0091】このような多孔質マット7の内部および/
または表面には、種子9の発育を助成する養分(肥料)
10を有するのが好ましい。図8に示す構成では、保水
層8の内部および表面に、養分10がマット面方向に均
一に分散配置されている。
【0092】養分10としては、例えば、窒素、カリウ
ム、リン、石灰、マグネシウム、ケイ酸、マンガン、亜
鉛、銅等のうちの少なくとも一種を含む有機質または無
機質の肥料が挙げられ、その形態は、例えば、粒状、粉
状、鱗片状、針状等の固体のものが用いられるが、液体
として含浸されていてもよい。この養分10は、水と接
触して溶出し、保水層8の各所へ拡散し、種子9の発芽
または発芽後の発育を助成する。
【0093】多孔質マット6、7の厚さ(積層体の場合
総厚)は、特に限定されないが、1〜30mm程度が好ま
しく、1.5〜15mm程度がより好ましく、2.0〜1
0mm程度がさらに好ましい。厚さが薄過ぎると、繊維の
種類や結合の度合いによっては、強度が不足することが
あり、また、厚さが厚過ぎると、種子9の厚さ方向の位
置によっては、発芽に際しての抵抗が増大し、発芽率が
低下する。次に、本発明のスキー滑走路の形成方法の好
適例について説明する。
【0094】[1]スキー滑走路1Aの形成方法 まず、地面2の上に滑走マット3を敷設する。この作業
は、各単位マット30A(または30B)をそれらの雄
型嵌合部34と雌型嵌合部35とを嵌合して順次連結す
ることにより行う。
【0095】次に、固定部材4により滑走マット3を地
面2に対し固定する。次に、例えば人工降雪機により人
工雪を製造し、滑走マット3上に散布して、滑走マット
3の各開口32内に、人工雪よりなる第1の層51を形
成する。さらに、人工雪の製造、散布を行い、滑走マッ
ト3の突起33を埋設する第2の層52を形成する。こ
のとき、人工雪は、突起33同士の間隙にも挿入する。
【0096】第1の層51および第2の層52を形成し
た後(または第1の層51の形成後、第2の層52の形
成前に)、例えば一昼夜放置すると、第1の層51で
は、温度履歴により雪同士が結合し、シャーベット状ま
たは氷状となり、第2の層52、特にその上部表面は、
雪同士の結合が少ない滑走に適した状態が維持される。
これにより、スキー滑走路1Aが完成する。なお、人工
雪の散布後、圧雪して第1の層51および第2の層52
を形成してもよい。
【0097】この方法では、例えば温度−3℃、湿度8
0%RHの条件下で1m2当たり6〜25kg程度の人工雪を
連続的または断続的に散布すればよく、その散布量は、
従来の人工スキー場に比べ、大幅に低減される。従っ
て、散布時間(日数)も短く、早期にスキー場をオープ
ンすることができる。
【0098】スキーの滑走や、温度上昇、強風、降雨等
の環境条件により、雪または氷粒の層5の厚さが減少し
たときは、その厚さを一定(初期設定値)に保持するよ
うに、人工雪を補充する。この補充量も従来に比べ少な
く、補充に要する時間も短い。
【0099】[2]スキー滑走路1Bの形成方法 第2の層52の形成までは前記[1]と同様に行い、さ
らに、人工雪の製造、散布を行い、第2の層52の上に
第3の層53を形成する。
【0100】その後(または、第1の層51あるいは第
2の層52の形成後)、例えば一昼夜放置すると、第1
の層51では、温度履歴により雪同士が結合し、シャー
ベット状または氷状となり、第3の層53、特にその上
部表面は、雪同士の結合が少ない滑走に適した状態が維
持される。これにより、スキー滑走路1Bが完成する。
【0101】この場合、人工雪の散布量を調整すること
等により、前述したように、雪または氷粒の層5の層厚
1 の平均値を滑走マット3の厚さT2 の好ましくは5
倍以内、より好ましくは4倍以内、さらに好ましくは1
〜3倍とする。なお、人工雪の散布後、圧雪して第1の
層51、第2の層52および第3の層53を形成しても
よい。
【0102】この方法では、例えば温度−3℃、湿度8
0%RHの条件下で1m2当たり15〜50kg程度の人工雪
を連続的または断続的に散布すればよく、その散布量
は、従来の人工スキー場に比べ、大幅に低減される。ま
た、雪または氷粒の層5の厚さが減少したときは、前記
[1]と同様に、人工雪を補充する。
【0103】[3]スキー滑走路1Cの形成方法 まず、地面2の上に前述した多孔質マット6または7を
敷設する。次に、多孔質マット6または7上に滑走マッ
ト3を敷設し、その後、前記[1]または[2]と同様
にして雪または氷粒の層5を形成し、それを維持する。
【0104】多孔質マット7を用いた場合、多孔質マッ
ト7内の種子9が発芽し、例えば芝となり、冬期には枯
れ、その上に雪または氷粒の層5が形成される。また、
秋季以降に多孔質マット7を敷設すると、種子9は発芽
せずに越冬するので、その冬は、その状態で雪または氷
粒の層5を形成する。そして、種子9は翌年の春季に発
芽し、次の冬期には枯れ、その上に再び雪または氷粒の
層5が形成される。
【0105】上記[1]〜[3]においては、人工雪に
代わり、氷粒製造機により製造される氷粒(クラッシュ
アイス)を用いてもよく、また、これらを混合または組
み合わせて用いてもよい。さらには、全部または一部が
天然雪であってもよい。
【0106】以上のようなスキー滑走路の形成方法によ
れば、融雪が防止され、少ない雪または氷粒の量で短期
にスキー滑走路を形成することができ、その維持も容易
である。
【0107】以上、本発明のスキー滑走路およびスキー
滑走路の形成方法を添付図面に示す好適実施例に基づい
て説明したが、本発明は、図示の構成に限定されるもの
ではなく、前述した各構成要素は、それと同様の機能を
生じる他の構成のものと置換することができる。本発明
は、屋外のみならず、屋内の人工スキー場にも適用する
ことができ、また、スキーのみならず、スノーボードや
そりの滑走路としても適用し得る。
【0108】
【発明の効果】以上述べたように、本発明のスキー滑走
路およびスキー滑走路の形成方法によれば、最適なスキ
ー滑走面を提供するとともに、融雪を防止するので、少
ない積雪量で円滑かつ安全な滑走が可能となる。特に、
天然雪のスキー場の場合には、着雪の条件が緩和され、
早期にスキー場をオープンすることができ、人工の雪ま
たは氷粒を用いた人工スキー場の場合には、雪または氷
粒の製造および散布の量を大幅に減少することができ、
エネルギーの節約およびコストダウンが図れるととも
に、早期にスキー場をオープンすることができ、その維
持も容易である。
【0109】また、雪または氷粒の層による滑走マット
の保護効果があるので、滑走マットの寿命が長く、滑走
マットを何シーズンも交換することなく使用することが
でき、維持のための手間とコストが低減される。
【0110】また、地面と滑走マットとの間に多孔質マ
ットを設けた場合、特に、種子を有する多孔質マットを
設けた場合には、土壌の安定化が図れ、また、断熱、保
温効果、排水路の確実な確保等により上記効果がより顕
著に発揮される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のスキー滑走路の実施例を示す断面側面
図である。
【図2】本発明のスキー滑走路における滑走マットの構
成例を示す平面図である。
【図3】図2中のIII −III 線断面図である。
【図4】本発明のスキー滑走路の他の実施例を示す断面
図である。
【図5】本発明のスキー滑走路における単位マットの他
の構成例を示す底面図である。
【図6】本発明のスキー滑走路の他の実施例を示す断面
側面図である。
【図7】本発明のスキー滑走路における多孔質マットの
構成例を示す断面側面図である。
【図8】本発明のスキー滑走路における多孔質マットの
他の構成例を示す断面側面図である。
【符号の説明】
1A、1B、1C スキー滑走路 2 地面 3 滑走マット 30A、30B 単位マット 31 枠部材 311 リブ 312 空間 313 側壁 32 開口 33 突起 34 雄型嵌合部 341 爪 35 雌型嵌合部 36 枠部材 37 開口 4 固定部材 41 埋込部 42 連結部 5 雪または氷粒の層 51 第1の層 52 第2の層 53 第3の層 6、7 多孔質マット 61、71 素材 8 保水層 9 種子 10 養分
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) A63C 19/10 E01C 13/12

Claims (20)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 地面の上に敷設された滑走マットと、該
    滑走マットを覆う雪または氷粒の層とで構成されたスキ
    ー滑走路であって、 前記滑走マットは、少なくとも1つの開口を有する枠部
    材と該枠部材より立設された複数の可撓性を有する突起
    とで構成された単位マットを複数個連結してなるもので
    あり、 前記雪または氷粒の層は、地面側から、前記開口内でか
    つ前記突起より下方に位置する第1の層と、前記突起を
    埋入する第2の層とを有し、前記第1の層と前記第2の
    層とで、それらを構成する雪または氷粒の性状が異なっ
    おり、前記第1の層が地面側からの伝熱を抑制する機
    能を有していることを特徴とするスキー滑走路。
  2. 【請求項2】 地面の上に敷設された滑走マットと、該
    滑走マットを覆う雪または氷粒の層とで構成されたスキ
    ー滑走路であって、 前記滑走マットは、少なくとも1つの開口を有する枠部
    材と該枠部材より立設された複数の可撓性を有する突起
    とで構成された単位マットを複数個連結してなるもので
    あり、 前記雪または氷粒の層は、地面側から、前記開口内でか
    つ前記突起より下方に位置する第1の層と、前記突起を
    埋入する第2の層と、その上の第3の層とで構成され、
    前記第1の層と前記第3の層とで、それらを構成する雪
    または氷粒の性状が異なっており、前記第1の層が地面
    側からの伝熱を抑制する機能を有していることを特徴と
    するスキー滑走路。
  3. 【請求項3】 前記単位マットの下部に、前記開口を囲
    むように形成され、下端が接地して開口内の水が地面の
    面方向に移動するのを阻止するリブを有する請求項1ま
    たは2に記載のスキー滑走路。
  4. 【請求項4】 前記枠部材と前記リブとで囲まれる空間
    に断熱層を有する請求項3に記載のスキー滑走路。
  5. 【請求項5】 前記開口の合計開口面積が、前記滑走マ
    ットの敷設総面積の25〜70%である請求項1ないし
    4のいずれかに記載のスキー滑走路。
  6. 【請求項6】 前記雪または氷粒の層の層厚の平均値
    が、前記滑走マットの厚さの5倍以内である請求項1な
    いし5のいずれかに記載のスキー滑走路。
  7. 【請求項7】 前記第1の層は、雪または氷粒同士が結
    合して固まった状態となっているものである請求項1な
    いし6のいずれかに記載のスキー滑走路。
  8. 【請求項8】 前記第2の層に比べ前記第1の層の含水
    率が高い請求項1ないし7のいずれかに記載のスキー滑
    走路。
  9. 【請求項9】 前記雪または氷粒は、人工的に製造され
    たものである請求項1ないし8のいずれかに記載のスキ
    ー滑走路。
  10. 【請求項10】 前記第2の層における雪または氷粒の
    平均粒径は、隣接する前記突起同士の間隙距離より小さ
    い請求項9に記載のスキー滑走路。
  11. 【請求項11】 地面と前記滑走マットとの間に、多孔
    質性の素材で構成された多孔質マットが介挿されている
    請求項1ないし10のいずれかに記載のスキー滑走路。
  12. 【請求項12】 前記多孔質マットの素材は、天然繊維
    の集合体で構成されている請求項11に記載のスキー滑
    走路。
  13. 【請求項13】 前記多孔質マットは、前記素材の地面
    側の面に少なくとも1層の保水性を有する保水層を有す
    るものである請求項11または12に記載のスキー滑走
    路。
  14. 【請求項14】 前記多孔質マットの内部および/また
    は表面に、少なくとも面方向に分散配置された種子を有
    する請求項11ないし13のいずれかに記載のスキー滑
    走路。
  15. 【請求項15】 前記多孔質マットの内部および/また
    は表面に、植物の発育を助成する養分を有する請求項1
    1ないし14のいずれかに記載のスキー滑走路。
  16. 【請求項16】 少なくとも1つの開口を有する枠部材
    と該枠部材より立設された複数の可撓性を有する突起と
    で構成された単位マットを連結してなる滑走マットを地
    面の上に敷設した後、前記滑走マットを雪または氷粒の
    層で覆い、さらに所定時間放置して前記開口内でかつ前
    記突起より下方の雪または氷粒同士が結合して固まった
    状態にし、これにより前記雪または氷粒の層の融雪を抑
    制することを特徴とするスキー滑走路の形成方法。
  17. 【請求項17】 少なくとも1つの開口を有する枠部材
    と該枠部材より立設された複数の可撓性を有する突起と
    で構成された単位マットを連結してなる滑走マットを地
    面の上に敷設した後、人工的に製造された雪または氷粒
    を散布して、前記滑走マットを少なくとも前記突起が埋
    入する程度まで雪または氷粒の層で覆い、さらに所定時
    間放置して前記開口内でかつ前記突起より下方の雪また
    は氷粒同士が結合して固まった状態にし、これにより前
    記雪または氷粒の層の融雪を抑制することを特徴とする
    スキー滑走路の形成方法。
  18. 【請求項18】 前記雪または氷粒の散布量の調整によ
    り、前記雪または氷粒の層の厚さを前記滑走マットの厚
    さの5倍以内とする請求項17に記載のスキー滑走路の
    形成方法。
  19. 【請求項19】 地面の上に多孔質性の素材で構成され
    た多孔質マットを敷設し、該多孔質マットの上に前記滑
    走マットを敷設する請求項16ないし18のいずれかに
    記載のスキー滑走路の形成方法。
  20. 【請求項20】 雪または氷粒の層の厚さが減少したと
    き、少なくともその減少分を補うように雪または氷粒を
    補充する請求項16ないし19のいずれかに記載のスキ
    ー滑走路の形成方法。
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