JP2787535B2 - 球状結晶の製造方法および球状結晶アレイ - Google Patents

球状結晶の製造方法および球状結晶アレイ

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JP2787535B2 JP5284499A JP28449993A JP2787535B2 JP 2787535 B2 JP2787535 B2 JP 2787535B2 JP 5284499 A JP5284499 A JP 5284499A JP 28449993 A JP28449993 A JP 28449993A JP 2787535 B2 JP2787535 B2 JP 2787535B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、球状結晶の製造方法お
よび球状結晶アレイに関し、特に、金属や非金属、或い
は、半導体、誘電体、磁性体、超伝導体、等の球状結晶
を製造する方法と、半導体の単結晶からなる結晶基材上
に列状に複数形成した球状結晶アレイに関するものであ
る。
【0002】球状結晶は、融液の表面張力の作用により
球状に結晶を成長させることで製造できるが、この球状
結晶は、その外形が球状構造を反映した対称性を有する
ため、結晶内部の全体に亙って完全に原子配列の乱れの
ない欠陥の少ない単結晶が出来やすい。特に、重力の影
響の少ない環境下では、融液の表面張力に支配されたよ
り完全な球形に近い球状単結晶となるだけでなく、浮力
が作用しないため温度差があっても熱対流が起こらず結
晶成長にじょう乱を与えない。また、2つ以上の元素か
ら成る結晶を成長させる場合では、組成成分の比重差に
よる偏析が生じないなど、均一な組成で結晶性の良い球
状単結晶が得られる。このような高品質の球状結晶は、
結晶を利用する産業分野において極めて有望な可能性を
有し、その球状結晶をそのまま電子デバイス、光学素
子、機能素子部品等に適用することができる。
【0003】
【従来の技術】従来、半導体等の単結晶は、棒状、板
状、薄膜状に形成されることが多く、最初から球状に結
晶を成長させることはなかった。特に、板状や棒状の結
晶基材上に局部的に球状結晶を成長させる技術は、未だ
全く提案されていない。従来、半導体の単結晶を成長さ
せる技術として、融液から結晶に成長させる方法、溶媒
を用いた溶液から結晶を成長させる方法、気相から化学
的に析出させる方法により結晶を成長させる方法、の3
通りの技術が知られている。
【0004】上記融液から単結晶や結晶を成長させる技
術においては、通常、材料全体をルツボ、アンプル等の
容器内に収容し、高周波加熱や抵抗加熱を利用した電気
炉で、材料を加熱溶融し、種単結晶をその融液に接触さ
せ、回転を加えながら引き上げ、固化成長させることで
なされることが多い(CZ法)。また、ルツボを使用し
ない浮遊帯域溶融法(FZ法)も、従来からある有力な
単結晶成長方法の一つであるが、この結晶成長方法で
は、融液は、棒状の種結晶と多結晶との間で溶融帯域を
形成し、表面張力で保持されながら多結晶のある方向へ
移動し、単結晶化する。しかし、この成長法による安定
な浮遊帯の形成は、表面張力が大きく、かつ密度の小さ
な物質に限られる。
【0005】電気炉によらないレーザ光を加熱源とする
単結晶体製造技術として、スピネル(MgAl2 4
等の高融点材料を融解し、その融液から単結晶を育成す
ること、アモルファスシリコン薄膜をシリコンウェハー
上で溶融して薄膜結晶を得ること、等は公知である。し
かし、レーザー光等の加熱用ビームにより、半導体、誘
電体、磁性体、超伝導体、金属等の材料を融解し、直接
球状の単結晶体を製造する技術は、未だ知られていな
い。
【0006】従来、微小重力下における半導体やある種
の合金の結晶成長の試みはなされたし、また、無重力下
において融液が偶然漏出して球状結晶に固化したことは
公知であるが、意図的に球状結晶を成長させる方法は、
全く提案されていない。しかも、結晶を融液から球状に
成長させて球状結晶を製作するという着想は、全く提案
されておらず、球状結晶を活用した電子デバイス自体も
何ら提案されていない。ここで、本発明の発明者は、球
状結晶を電子デバイスや光学素子に適用した場合の種々
の可能性に着目しているが、従来の技術により、球状結
晶を製造するためには、結晶体を機械的に研磨したり、
化学的にエッチングしたりしなければ、製造することが
できない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】ルツボ等の容器内に材
料を収容して溶融、固化することで結晶を成長させる従
来の方法では、融解した材料と容器の材料とが反応し、
容器から不純物が溶け込み、高品質の結晶を成長させる
ことは困難であった。しかも、容器内で固化する際に、
容器壁との接触による不均質核生成や、冷却条件の不均
一から結晶内に内部歪みが発生しやすく、欠陥のない結
晶を成長させることは、非常に困難であった。さらに、
従来の方法では、容器内に材料を収容して溶融、固化す
るバルク成長を意図しているため、特定の限られた部位
に、限られた大きさ又は量の球状単結晶を自由に成長さ
せることは不可能である。例えば、結晶基材の一部に、
電子デバイスや光学素子の為の球状結晶を成長させるこ
とは、到底不可能であった。
【0008】また、従来のバルク材料を溶融し、種結晶
の一端から固化する方法により製造される単結晶は、棒
状や板状であるため、球のような3次元の対称性がない
ため、結晶内の原子配列の乱れや、熱歪みによる欠陥等
が発生しやすかった。ここで、無重力又は微小重力下
で、融解固化させれば、球状単結晶を成長させる可能性
が考えられるが、従来の方法では、電気炉や赤外線ラン
プ等の加熱手段を用いていたので、加熱、融解、固化の
時間が長く、自由落下無重力実験装置におけるような1
0秒以内程度の微小時間内での結晶成長に適用すること
はできず、宇宙での無重力下における結晶成長に限られ
ることから、球状結晶成長のコストは非常に高価なもの
になる。
【0009】本発明の目的は、ルツボを使用することな
く、しかも内部歪みや結晶欠陥のない結晶構造的に格段
に優れた球状結晶を、結晶基材上に簡単に形成する方
法、及び、複数の球状結晶を結晶基材上に形成して球状
の電子デバイス、光学素子、機能部品等を製作するのに
好適な球状結晶アレイを提供することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】請求項1の球状結晶の製
造方法は、金属又は金属酸化物又は非金属材料からなる
結晶基材に、その表面部から突出するように、金属又は
金属酸化物又は非金属材料の結晶からなる細径の突起部
を設ける第1工程と、上記突起部の先端に、加熱用ビー
ムを照射し、上記突起部の少なくとも一部を融解させる
第2工程と、上記突起部に対する加熱用ビームの照射を
止め、上記融解した部分を、表面張力の作用により、ほ
ぼ球状の球状結晶に固化させる第3工程とを踏んで球状
結晶を製造する方法である。
【0011】請求項2の球状結晶の製造方法は、半導体
の単結晶からなる結晶基材に、その表面部から一体的に
突出する細径の突起部を形成する第1工程と、上記突起
部の先端に、加熱用ビームを照射し、上記突起部の少な
くとも一部を融解させる第2工程と、上記突起部に対す
る加熱用ビームの照射を止め、上記融解した部分を、表
面張力の作用により、ほぼ球状の球状結晶に固化させる
第3工程とを踏んで球状結晶を製造する方法である。
【0012】請求項3の球状結晶の製造方法は、半導体
の結晶基材に、その表面部から突出するように、半導体
の単結晶からなる細径の突起部を設ける第1工程と、上
記突起部の先端に、加熱用ビームを照射して、上記突起
部の少なくとも一部を融解させる第2工程と、上記突起
部に対する加熱用ビームの照射を止め、上記融解した部
分を、表面張力の作用により、ほぼ球状の球状結晶に固
化させる第3工程とを踏んで球状結晶を製造する方法で
ある。
【0013】請求項4の球状結晶の製造方法は、半導体
の単結晶からなる結晶基材に、その表面部から一体的に
突出する突起部であって、少なくとも先端に上記単結晶
と異なるドーピング用不純物或いは異種結晶形成の為の
異種の元素の被膜を形成した突起部を形成する第1工程
と、上記突起部の先端に、加熱用ビームを照射し、上記
突起部の少なくとも一部を融解させる第2工程と、上記
突起部に対する加熱用ビームの照射を止め、上記融解し
た部分を、表面張力の作用により、ほぼ球状の球状結晶
に固化させる第3工程とを踏んで球状結晶を製造する方
法である。
【0014】請求項5の球状結晶の製造方法は、半導体
の結晶基材に、その表面部から突出するように、半導体
の単結晶からなる細径の突起部であって、少なくとも先
端に上記単結晶と異なるドーピング用不純物或いは異種
結晶形成の為の異種の元素の被膜を形成した突起部を設
ける第1工程と、上記突起部の先端に、加熱用ビームを
照射して、上記突起部の少なくとも一部を融解させる第
2工程と、上記突起部に対する加熱用ビームの照射を止
め、上記融解した部分を、表面張力の作用により、ほぼ
球状の球状結晶に固化させる第3工程とを踏んで球状結
晶を製造する方法である。
【0015】ここで、第2工程において上記突起部の先
端部を融解させる構成(請求項1〜請求項5の何れか1
項に従属の請求項6)、第2工程において、加熱用ビー
ムとしてレーザ光を用いる構成(請求項1〜請求項5の
何れか1項に従属の請求項7)、第2工程において、加
熱用ビームとして集光レンズで絞った赤外線を用いる構
成(請求項1〜請求項5の何れか1項に従属の請求項
8)、第2工程と第3工程とを真空中で行い、第2工程
において加熱用ビームとして電子ビームを用いる構成
(請求項1〜請求項5の何れか1項に従属の請求項
9)、
【0016】少なくとも第3工程を、無重力又は微小重
力下で行う構成(請求項1〜請求項5の何れか1項に従
属の請求項10)、第2工程と第3工程とを、不活性ガ
ス雰囲気中で行う構成(請求項1〜請求項5の何れか1
項に従属の請求項11)、第2工程と第3工程とを、ド
ーピング用の不純物のガスを含む雰囲気中で行う構成
(請求項2又は請求項3に従属の請求項12)、第1工
程において、複数の突起部を少なくとも1列状に形成
し、第2工程以降の工程において、1列状の複数の突起
部に対して、加熱用ビームを走査する構成(請求項1〜
請求項5の何れか1項に従属の請求項13)、
【0017】請求項14の球状結晶アレイは、金属又は
金属酸化物又は非金属材料からなる基材と、この基材の
表面部から突出するように、基材に少なくとも1列状に
設けられた複数の突起部であって金属又は金属酸化物又
は非金属材料からなる複数の突起部と、複数の突起部の
先端部に夫々一体的に形成されたほぼ球状の球状結晶と
を備えたものである。
【0018】請求項15の球状結晶アレイは、半導体か
らなる結晶基材と、結晶基材の表面部から一体的に突出
するように、結晶基材に少なくとも1列状に形成された
前記半導体と同一又は異なる半導体からなる複数の突起
部と、複数の突起部の先端部に夫々一体的に形成された
半導体からなるほぼ球状の球状結晶とを備えたものであ
る。
【0019】
【発明の作用及び効果】請求項1の球状結晶の製造方法
においては、第1工程において、図1に示すように、金
属又は金属酸化物又は非金属材料からなる結晶基材10
に、その表面部から突出するように、金属又は金属酸化
物又は非金属材料の結晶からなる細径の突起部11を設
ける。但し、基材10と同じ結晶からなる突起部11
を、基材10と一体的に形成してもよいし、或いは、基
材10と同一又は異なる結晶からなる突起部11を、基
材10の表面に貼り付けたり接合したりして固定しても
よい。次に、第2工程において、図2に示すように、上
記突起部11の先端に、加熱用ビーム12を照射し、上
記突起部11の少なくとも一部を融解させる。次に、第
3工程において、図3に示すように、上記突起部11に
対する加熱用ビーム12の照射を止め、上記融解した部
分を、表面張力の作用により、ほぼ球状の球状結晶13
に固化させる。
【0020】上記金属材料として、単体の金属や種々の
合金金属を適用できる。金属酸化物又は非金属材料とし
て、特に、種々の半導体、種々の誘電体、種々の磁性
体、種々の超伝導体、等の材料を適用できる。上記金属
又は金属酸化物又は非金属材料の結晶からなる突起部
は、単結晶又は単結晶以外の多結晶の結晶で構成され、
加熱用ビームとしては、レーザ光、集光した赤外線ビー
ム、電子ビーム等の種々の高エネルギー密度の加熱用ビ
ームを適用できる。
【0021】表面張力の作用によりほぼ球状の球状結晶
に固化させる関係上、上記突起部は、表面張力の作用が
支配的となる程度に細い太さに形成する必要がある。上
記突起部の太さは、例えば、数mm以下、半導体等では
数100μmにすることもある。但し、突起部の断面形
状は、円形にかぎらず、矩形、正方形等の種々の形状で
もよい。上記の細い突起部の先端に、加熱用ビームを短
時間又は瞬間的に照射すると、突起部の少なくとも一部
が融解する。但し、突起部の高さが小さい場合には、突
起部全体が融解することもある(図4、図5、図6参
照)。
【0022】上記加熱用ビームで融解した部分は、その
融液の表面張力の作用によりほぼ球状になる。その後、
加熱用ビームの照射を止めると、融解した部分は、主と
して突起部を介して結晶基板への吸熱により、その球状
のまま急速に固化して球状結晶となる。このとき、融液
に接する融解していない部分(突起部又は結晶基材)の
種結晶を核として結晶が成長するが、結晶成長の核が、
固相と液相の界面にあり、固化潜熱の流出が種結晶側に
おいて急速に行われるので、種結晶側から結晶の成長が
急速に進行する。そして、種結晶側から結晶が成長して
いくと、球状部の外周側よりも先に球状部の中心部にお
ける結晶成長が進行し、球状部の中心部から外周側へ向
かって結晶が成長し、固化が進行する。特に、必要に応
じて、雰囲気温度を高く設定すれば、融液の外周側から
の放熱を抑制することができる。
【0023】このように、結晶の成長が球状部の中心部
から外周側へ向かって進行するため、また、結晶成長方
向の温度勾配が急峻で、組成的過冷却等による結晶成長
面での乱れが発生しにくいため、球状結晶に内部歪みや
結晶欠陥が生じることがない。しかも、融解した部分が
表面張力の作用によりほぼ球状に保持されたまま固化す
るため、球面の対称性により、また、結晶の成長が球対
称的に進行するため、球状結晶の内部構造も球対称的な
構造となり、原子配列の乱れがなく、球状結晶の表面が
ミラー指数一定の結晶面となり、結晶欠陥が殆どない理
想的な結晶になる。特に、機械的又は化学的処理により
球状に形成する場合のような損傷や加工歪みが発生せ
ず、球状結晶の表面は、理想的な球状鏡面となる。
【0024】以上のようにして、加熱用ビームにより融
解し、その後固化させることにより、結晶基材上に球状
結晶を、非常に簡単に形成することができる。特に、半
導体を機械的又は化学的に加工処理して球状結晶を製作
する場合に比較して、格段に簡単・安価に球状結晶を形
成することができる。上記球状結晶の表面は理想的な球
状鏡面となり、結晶表面に発生しやすい欠陥が発生しに
くい。しかも、球状結晶を熱処理する場合に、酸化膜に
よる不均一な熱膨張差に起因する応力が表面に誘発され
にくいため半導体ウェハーのように熱歪みが発生しにく
い。
【0025】更に、突起部の少なくとも一部を融解させ
結晶化する際、融液が種結晶としての突起部の結晶又は
結晶基材の結晶としか接触しないので、ルツボ等の容器
内に収容して結晶を成長させる場合のように、外部から
不純物が混入したり、容器への吸熱の不均一による融液
の熱対流や成長核が不規則に発生したりして多結晶化し
たり、容器と成長結晶間の熱歪みにより結晶欠陥が発生
したりすることがなく、高品質の球状結晶を形成でき
る。しかも、種結晶側から吸熱しつつ融液を結晶化させ
るため、成長核が種結晶に限定されつつ結晶の成長が急
速に進行し、組成的過冷却現象も発生しにくいので、高
品質の球状結晶となる。加えて、上記のように、融液の
表面張力の作用によりほぼ球状に保持して結晶化するた
め、一定形状の球状結晶を形成することができる。
【0026】最後に補足すると、突起部の先端部に球状
結晶を形成する場合、シリコン等の半導体の単結晶の突
起部を適用すれば、半導体の単結晶の球状結晶を形成す
ることができ、また、誘電体の突起部を適用すれば、誘
電体の球状結晶を形成することができ、また、磁性体の
突起部を適用すれば、磁性体の球状結晶を形成すること
ができ、また、超伝導体の突起部を適用すれば、超伝導
体の球状結晶を形成することができる。
【0027】請求項2の球状結晶の製造方法において
は、第1工程において、半導体の単結晶からなる結晶基
材に、その表面部から一体的に突出する細径の突起部を
形成する。第2工程と第3工程は、請求項1と同様であ
る(図1〜図3、図4〜図6参照)。この方法では、結
晶基材として、半導体の単結晶からなる結晶基材を適用
し、その結晶基材に一体的に突起部を形成し、請求項1
と同様に、その突起部の先端に加熱用ビームを照射し
て、突起部の少なくとも一部を融解させ、固化させて球
状結晶を形成するため、半導体の単結晶の結晶基材と一
体の突起部の先端部に、又は、半導体の単結晶の結晶基
材の表面に、半導体の単結晶の球状結晶を形成すること
ができる。請求項1で説明したのと同様に、この球状結
晶は、内部歪みが殆どなく、球状結晶の内部構造も球対
称的な構造となり、原子配列の乱れがなく、球状結晶の
表面がミラー指数一定の結晶面となり、結晶欠陥が殆ど
ない理想的な結晶になる。
【0028】請求項3の球状結晶の製造方法において
は、第1工程において、図7に示すように、半導体の結
晶基材20に、その表面部から突出するように、半導体
の単結晶からなる細径の突起部21を貼り付けたり又は
接合したりして設ける。第2工程と第3工程は、請求項
1と同様であり、図8と図9において符号22は加熱用
ビーム、23は球状結晶である。尚、結晶基材は単結晶
の結晶基材でもよく、単結晶以外の多結晶の結晶基材で
もよいが、上記突起部21が、半導体の単結晶からなる
ので、球状結晶も半導体の単結晶に成長する。従って、
請求項1と同様に、半導体の結晶基材に設けた半導体の
単結晶の突起部の先端に、又は、半導体の結晶基材の表
面に、半導体の単結晶からなる球状結晶を形成すること
ができる(図7〜図9、図10〜図12参照)。尚、そ
の他の作用・効果については、請求項1と同様であるの
で説明を省略する。
【0029】請求項4の球状結晶の製造方法において
は、第1工程において、図13に示すように、半導体の
単結晶からなる結晶基材30に、その表面部から一体的
に突出する突起部31であって、少なくとも先端に上記
単結晶と異なるドーピング用不純物或いは異種結晶形成
の為の異種の元素の被膜32を形成した突起部31を形
成する。第2工程と第3工程は、請求項1と同様であ
り、図14と図15において符号33は加熱用ビーム、
34は球状結晶である。
【0030】従って、請求項1と同様に、この方法によ
れば、半導体の単結晶からなる結晶基材に一体的に形成
した半導体の単結晶の突起部の先端に、又は、半導体の
単結晶からなる結晶基材の表面に、ドーパントを含んだ
p形やn形半導体の単結晶や未融解の突起部と異なる結
晶からなる球状結晶を形成することができる。但し、図
16に示すように、突起部31の先端だけでなく、突起
部31の全表面又は一部の表面に、蒸着等の方法によ
り、ドーピング用不純物或いは異種結晶成長の為の異種
の元素の被膜32を形成してもよい。尚、その他の作用
・効果については、請求項1と同様であるので説明を省
略する。
【0031】請求項5の球状結晶の製造方法において
は、半導体の結晶基材(単結晶基材又は多結晶基材)を
適用し、この結晶基材に、半導体の単結晶からなる突起
部であって、少なくとも先端に上記単結晶と異なるドー
ピング用不純物或いは異種結晶形成の為の異種の元素の
被膜を形成した突起部を、貼り付けたり接合したりして
設ける点において、請求項4と異なるのみであり、基本
的に請求項4とほぼ同様の作用・効果が得られる。
【0032】請求項6の球状結晶の製造方法において
は、第2工程において、加熱用ビームを照射して、突起
部の先端部を融解させるため、突起部の先端部に球状結
晶を形成することができる。請求項7の球状結晶の製造
方法においては、第2工程において加熱用ビームとし
て、レーザ光を用いる。レーザ光は、エネルギー密度が
高く、微小の径に絞ることがことができるので、数10
μm〜数100μmのオーダーの微小の太さの突起部の
先端を融解させるのに好適である。複数の突起部を列状
に形成しておき、その列状の突起部の先端に、レーザ光
を走査させることで、第2工程と第3工程とを瞬間的な
短時間で急速に行うことができる。特に、自由落下式の
微小重力実験装置内や放物線飛行する飛行機内で、球状
結晶を製造する場合に適用でき、微小重力下での結晶成
長のコスト低減の面で非常に有利である。
【0033】また、レーザ光を適用する場合には、融解
すべき部分以外を殆ど加熱することなく、融解すべき部
分のみを加熱融解できるし、また、レーザ光の出力や走
査速度を調節することで入熱量を適宜調節でき、また、
突起部の一部や突起部の全部等、所望の部分のみを効率
よく加熱でき、また、必要に応じて、突起部の先端にド
ーピング用の又は混晶を形成する為の異種の元素を付着
させておいて突起部と共に融解させて球状結晶に固化す
ることもできる。
【0034】請求項8の球状結晶の製造方法において
は、加熱用ビームとして、集光レンズで絞った赤外線を
適用するが、赤外線はレーザ光程エネルギー密度が高く
ないが、低融点の材料からなる突起部の一部を融解させ
るのに適用可能である。請求項9の球状結晶の製造方法
においては、第2工程と第3工程とを真空中で行い、第
2工程において加熱用ビームとして電子ビームを用いる
が、特に、高融点の金属酸化物や非金属材料を融解させ
るのに適用可能である。
【0035】請求項10の球状結晶の製造方法において
は、少なくとも第3工程を無重力又は微小重力下で行う
ことにより、融解した部分に作用する重力の影響が殆ど
なくなるので、表面張力の作用により、球状結晶をほぼ
完全な球状に形成することができ、また、重力による対
流が無視でき、球状結晶の品質を高めることができる。
更に、比重差のある複数種の物質で混晶や化合物の球状
結晶を形成する場合、比重差による分離、沈降、浮力が
なくなるので、均一組成の単結晶に成長させることがで
きる。
【0036】請求項11の球状結晶の製造方法において
は、第2工程と第3工程とを不活性ガス雰囲気中で行う
ことにより、球状結晶の表面が酸化したり、内部に酸素
原子等が侵入するのを防止することができ、球状結晶の
品質を高めることができる。また、不活性ガスの圧力を
高めることにより、蒸気圧が高い元素を含む化合物や混
晶結晶の熱分解を防止しながら球状結晶を成長させるこ
とができる。請求項12の球状結晶の製造方法において
は、第2工程と第3工程とを、ドーピング用の不純物の
ガスを含む雰囲気中で行うことにより、球状結晶にドー
パントとしての不純物を導入させ、p形又はn形の半導
体からなる球状結晶に形成することができる。
【0037】請求項13の球状結晶の製造方法において
は、第1工程において、複数の突起部を少なくとも1列
状に形成し、第2工程以降の工程において、1列状の複
数の突起部に対して、加熱用ビームを走査することによ
り、複数の突起部の融解と固化とを行い、複数の球状結
晶を能率的に製造することができる。加熱用ビームを走
査させて極く短時間で加熱できるため、自由落下無重力
実験装置により10秒以内で融解して固化させるのに好
適である。その他の作用・効果については、請求項1と
同様であるので、その説明は省略する。
【0038】請求項14の球状結晶アレイにおいては、
金属又は金属酸化物又は非金属材料からなる基材と、こ
の基材の表面部から突出するように、基材に少なくとも
1列状に設けられた複数の突起部であって金属又は金属
酸化物又は非金属材料からなる複数の突起部と、複数の
突起部の先端部に夫々一体的に形成されたほぼ球状の球
状結晶とを備えているため、高融点金属材料の結晶から
なる球状結晶に形成すれば、複数の放電電極を有する電
極ユニット等に適用でき、また、発光機能のある球状結
晶に形成すれば、複数の発光素子を有する発光ユニット
に適用できる。尚、基材に、マトリック状に複数列複数
行の突起部及び突起部と一体の球状結晶を設けることも
有り得る。
【0039】また、受光機能のある球状結晶に形成すれ
ば、複数の受光素子を有する受光ユニットに適用でき、
その他種々の機能を有する球状結晶に形成できるので、
種々の産業上の利用可能性がある。更に、球状結晶は、
融解した材料を、表面張力の作用により、ほぼ球状に保
持しつつ固化することで形成でき、その場合、球面の対
称性から、球状結晶の表面は、ミラー指数一定の結晶面
となり、結晶欠陥の殆どない理想的な結晶構造に形成で
きることから、光学素子用の半導体又はその他の半導体
として種々の用途に活用可能である。
【0040】請求項15の球状結晶アレイにおいては、
半導体からなる結晶基材に、その表面部から一体的に突
出するように、少なくとも1列状に前記半導体と同一又
は異なる半導体からなる複数の突起部が形成され、それ
ら複数の突起部の先端部に夫々一体的に半導体からなる
ほぼ球状の球状結晶が形成されているので、球状結晶ア
レイをフォトダイオード等の光学素子として適用するよ
うな場合に、太陽光線のように入射する光の方向が変化
するような光線を対象とする光学素子に好適なものとな
る。更に、球状結晶は、融解した材料を、表面張力の作
用により、ほぼ球状に保持しつつ結晶化することで形成
でき、その場合、球面の対称性から、球状結晶の表面
は、ミラー指数一定の結晶面となり、結晶欠陥の殆どな
い理想的な単結晶に形成できることから、光学素子用の
半導体又はその他の半導体として種々の用途に活用可能
である。尚、基材に、マトリック状に複数列複数行の突
起部及び突起部と一体の球状結晶を設けることも有り得
る。
【0041】
【実施例】以下、本発明の実施例について図面を参照し
つつ説明するが、以下の実施例は、球状結晶の製造方法
と、その方法で製造した結晶基材に形成した球状結晶ア
レイについての説明を含むものである。 実施例1・・・図17、図18参照 最初に、図17に示すように、シリコン単結晶からなる
結晶基板40(これが、結晶基材に相当する)であっ
て、厚さ0.3 mmの矩形状の結晶基板40を準備し、この
結晶基板40の端面に、5個の角柱状の突起部41を結
晶基板40と一体的に1列状に形成した。これら突起部
41の頂面は(111)の結晶面とし、各突起部41
は、1辺が0.3mm 角で、付け根からの高さは0.9mm あ
る。これら突起部41は、1.20mmピッチの配列で、突起
部41と突起部41間に溝42を形成することにより、
これらの突起部41を、結晶基板40と一体的に形成し
た。
【0042】更に、上記複数の突起部41を下方に向け
た状態にして結晶基板40を保持具で垂直に保持し、こ
の保持具を介して、これら複数の突起部41を含むシリ
コン単結晶からなる結晶基板40を、一定の速度で矢印
Aの方向に移動させることのできる装置に取付けた。
【0043】次に、上記結晶基板40に形成した複数の
突起部41を融解する為の加熱用ビームとしてのレーザ
ー光を発生させる炭酸ガスレーザ装置を用意した。この
炭酸ガスレーザ装置のレーザ光43の発振波長は10.6μ
m で、炭酸ガスレーザ装置の出力は30ワット、パルス
繰り返し周波数は5KHz であり、レーザ光43は集光レ
ンズ44によってビーム径が0.1mm になるよう絞って照
射できるようにした。照射する際の雰囲気は空気であ
り、温度は室温で約27℃であった。
【0044】上記複数の突起部41と一体の結晶基板4
0を、矢印Aの方向に0.5mm/Sec の速度で移動させなが
ら、右端側の突起部41から順に、突起部41の先端面
(下端面)にレーザ光43を垂直に照射した。このレー
ザー光の照射と同時に照射された先端部が融解し、その
融解した融液45が、表面張力の作用により、球面を保
持したまま体積を増して球状に成長し、レーザー光が除
かれると、瞬間的に、突起部41と同じシリコン単結晶
からなる球状結晶46として固化した。この球状結晶4
6は、図17に示すように、種結晶としての突起部41
の先端部に一体的に成長し、この球状結晶46の直径は
約0.45mmで、表面は滑らかな光沢のある球面状になっ
た。上記球状結晶46が理想的なシリコン単結晶となる
理論については、前記請求項1の作用及び効果の欄に記
載した通りであるので、ここに重複記載するのを省略す
る。
【0045】以上のようにして製造された結晶基材に形
成された球状結晶アレイ47は、図18に示すように、
シリコン単結晶からなる結晶基板40と、この結晶基板
40の表面部から一体的に突出するように、結晶基板4
0に1列状に形成されたシリコン単結晶からなる複数の
突起部41と、複数の突起部41の先端部に夫々一体的
に形成されたシリコン単結晶からなるほぼ球状の球状結
晶46とを備えたものであり、この球状結晶アレイ47
の製作後、上記複数の球状結晶46の夫々の表面部に、
ドーピング用の不純物を導入したり、さらにシリコンの
表面に気相成長法等により薄膜結晶を成長させたり、集
積回路を形成したり、電極や金属細線を接続することに
より、種々の電子デバイスや光学素子や機能素子部品と
して適用し得る可能性がある。また、球状結晶46を結
晶基板40から切り離して球状を有する新しい電子デバ
イスや光学素子や機能素子部品として用いる可能性があ
る。
【0046】実施例2・・・図19〜図22参照 最初に、シリコン単結晶からなる正方形板状の結晶基板
50(これが、結晶基材に相当する)であって、厚さが
1.2mm で、主面が(111)の面方位を有する結晶基板
50を準備した。この結晶基板50の主面のX、Y方向
に夫々6条ずつ、ダイヤモンドプレートで深さ0.9mm 幅
0.4mm の溝51を形成し、これにより、結晶基板50の
外縁部以外の部分に、シリコン単結晶からなる角柱状の
突起部52を5行5列形成した。各突起部52は、先端
面が0.3mm ×0.3mm で、高さは0.9mm であり、各突起部
52は、その根本において元のシリコン単結晶からなる
結晶基板50に一体的に連結されている。
【0047】次に、上記結晶基板50をX、Y方向に2
次元的に移動できるキャリアに取付け、突起部52の先
端面52aを下に向けて実施例1と同様にレーザー光
を、1行分X方向に走査させてから、Y方向へ1ピッチ
移動させるのを繰り返して、各列の突起部52の先端面
52aに対して垂直に実施例1と同様のレーザー光を逐
次走査させた。このようにして、実施例1と略同様のシ
リコン単結晶からなる25個の球状結晶53を、図2
1、図22に図示のように極めて短時間に製作できた。
尚、上記球状結晶53が理想的なシリコン単結晶となる
理論については、前記請求項1の作用及び効果の欄に記
載した通りであるので、ここに重複記載するのを省略す
る。
【0048】以上のようにして製造された結晶基材に形
成した球状結晶アレイ54は、図21、図22に示すよ
うに、シリコン単結晶からなる結晶基板50と、この結
晶基板50の表面部から突出するように、結晶基板50
に複数列状に形成されたシリコン単結晶からなる複数の
突起部52と、これら複数の突起部52の先端部に夫々
一体的に形成されたシリコン単結晶からなるほぼ球状の
球状結晶53とを備えたものであり、前記実施例の球状
結晶アレイ47と同様に、電子デバイスや光学素子や機
能素子部品として種々適用できる可能性がある。
【0049】実施例3・・・図23〜図26参照 最初に、実施例1と同様のシリコン単結晶からなる結晶
基板60(これが、結晶基材に相当する)を用意した。
但し、突起部61を形成する前に、結晶基板60の端面
に、シリコンとの混晶形成用のゲルマニウムを約1.0 μ
m の厚さに真空装着してから、溝62を形成することに
より、各突起部61の先端面61aに、上記ゲルマニウ
ム被膜63を形成した点で、実施例1と異なる。次に、
実施例1と同様にしてレーザー光を走査させて照射し、
突起部61の先端部を融解させ、ゲルマニウムとシリコ
ンを融合させ、ゲルマニウム−シリコンの混晶の単結晶
からなる球状結晶64を形成した。尚、上記球状結晶6
4が理想的な単結晶となる理論については、前記請求項
1の作用及び効果の欄に記載した通りであるので、ここ
に重複記載するのを省略する。このシリコンとゲルマニ
ウムの混晶単結晶は、シリコンよりも禁制帯のエネルギ
ーギャップが小さく、ゲルマニウムのそれよりも大き
い。フォトダイオードやヘテロ接合として高速トランジ
スタの製作に利用できるなどの特長がある。
【0050】以上のようにして製造された結晶基材に形
成した球状結晶アレイ65は、図25、図26に示すよ
うに、シリコン単結晶からなる結晶基板60と、この結
晶基板60の端面から突出するように、結晶基板60に
1列状に形成されたシリコン単結晶からなる複数の突起
部61と、複数の突起部61の先端部に夫々一体的に形
成されたシリコン−ゲルマニウム混晶の単結晶からなる
ほぼ球状の球状結晶64とを備えたものである。この実
施例においては、球状結晶64をシリコン−ゲルマニウ
ム混晶の単結晶となるように形成したが、上記ゲルマニ
ウム被膜63の代わりに、ドーピング用の不純物(ドナ
ーとしての不純物)としてのリン、砒素、アンチモン等
の被膜を形成したり、又は、ドーピング用不純物(アク
セプタとしての不純物)としての硼素、アルミニウム、
ガリウム、インジウム等の被膜を形成したりすることも
でき、これらの場合には、球状結晶64をn形やp形の
半導体単結晶に構成できる。但し、これらドーピング用
不純物は、被膜で付与する以外に、必要に応じて、気相
からのガス拡散や気相からの化学析出等の方法で被着
し、球状結晶中に導入することもできる。
【0051】更に、n形やp形の半導体単結晶からなる
球状結晶の表面に、酸化膜の形成とエッチング及び気相
成長法等により、n形やp形の半導体単結晶層を積層し
たり、蒸着法やフォトエッチ法により電極や配線路を形
成することによって、集積回路、発光ダイオード、フォ
トダイオード、等種々の電子デバイスを構成することが
できる。そして、このことは、実施例1の球状結晶4
6、実施例2の球状結晶53についても同様である。
【0052】次に、上記実施例に適用して、又は上記実
施例の一部を変更して、実施し得る種々の態様について
説明する。 1〕 上記実施例は何れも重力1Gの環境下で行い球状
結晶を形成したが、突起部を融解する工程の後、少なく
とも、融解した部分を結晶に固化する工程を、無重力又
は微小重力下において実施する。この場合、融解した部
分の融液に作用する重力の影響が殆どなくなるため、融
液の表面張力の作用が一層支配的となって、より真球に
近い形状の球状結晶を形成することができる。このこと
は、体積の大きい場合や自重の影響が大きい場合の球状
結晶成長に有利である。更に、融液内の温度分布によっ
て生ずる熱対流による融液の攪拌や、比重の異なる複数
の組成の混晶や化合物の結晶成長において場所的な組成
の不均一が生じにくく、高品質の球状結晶を形成するこ
とができる。
【0053】2〕 上記実施例における雰囲気は空気で
あったが、融解する材料に応じて、融解する工程と結晶
化して固化する工程を、アルゴン、ヘリウム、窒素など
の不活性ガス雰囲気中で実施することが望ましい場合も
あり、これも実施可能である。このように、不活性ガス
雰囲気中で実施する場合、融解する材料が例えば砒化ガ
リウムの結晶の結晶の成分である砒素のように、平衡蒸
気圧が高く、融解中に分解蒸発するおそれのある場合に
は、これら不活性ガスのガス圧を高く設定して球状結晶
を成長させることが好ましい。そして、不活性ガス雰囲
気の温度も融液の表面からの放熱が少なくなるように適
宜設定することもある。
【0054】3〕 上記実施例における雰囲気は空気で
あったが、突起部を融解する工程と、結晶化して固化さ
せる工程とを、ドーピング用の不純物のガス中で行うこ
とにより、球状結晶にドーピング用不純物を導入するこ
ともできる。
【0055】4〕 上記実施例における炭酸ガスレーザ
の代わりに、YAGレーザやルビーレーザのQスイッチ
レーザも適用可能であり、融解する材料の種類に応じて
波長の異なる他のレーザ光を使用して突起部の少なくと
も一部を融解させて球状結晶を形成することができる。
更に、上記レーザ光に代えて、集光レンズで細く絞った
赤外線ビームを適用し、その赤外線ビームによって融解
させることも可能であるし、また、真空雰囲気中におい
て融解と固化とを行わせる場合には、レーザ光や赤外線
ビームを用いる代わりに、細く絞った電子ビームを適用
することも可能である。
【0056】5〕 上記結晶基材は、必ずしも板状に形
成する必要はなく、棒状やバルク状に形成してもよい。
また、上記突起部は、必ずしも角柱状に形成する必要は
なく、円柱状に形成してもよく、経済的に円柱状に形成
し得る場合には、円柱状に形成することが望ましく、円
柱状の突起部の方がより真球に近い球状結晶を形成する
ことができる。 6〕 上記実施例においては、突起部を結晶基材(結晶
基板)に一体的に形成したが、突起部を結晶基材に一体
的に形成せずに、金属や金属酸化物や非金属の結晶或い
は半導体単結晶からなる突起部を別途製作しておいて、
その突起部を、金属や金属酸化物や非金属の結晶基材或
いは半導体の結晶基材の表面に貼り合わせたり、或いは
接合したりして、その突起部の少なくとも一部、又は、
突起部の全部と結晶基板の一部とを、融解させて結晶化
して固化することもできる。
【0057】7〕 上記シリコン単結晶からなる結晶基
板とそれと一体の突起部の代わりに、その他の種々の半
導体、誘電体、磁性体又は超電導体からなる突起部から
球状結晶を形成することも可能である。以下の物質は、
本発明の方法により形成される球状結晶の材料の例示で
ある。
【0058】 a)金属酸化物単結晶 Nd3 Ga5 2 LiTaO3 誘電体結晶、焦電材料 LiNbO3 同上 PbTiO3 同上 GGG(Gd3 Ga5 12) 磁気化学結晶 YAG(Y3 Al5 12) レーザ用光学結晶(Nd3+をドープする) Al2 3 同上 (Cr3+をドープする)
【0059】 b)化合物半導体結晶 GaAs、GaP、InAs、InSb、GaSb III-V 族 ZnS、ZnSe、CdTe II-VI 族 SiC IV-IV 族
【0060】 c)混晶半導体結晶 Six Ge1-x IV-IV族 AlGa1-x P III-V 族 AlGa1-x As III-V 族 AlGa1-x Sb III-V 族 Gax In1-x P III-V 族 Gax In1-x Sb III-V 族 Gax In1-x Asy 1-y III-V 族 ZnSx Se1-x II-VI 族 Cd1-x Znx Te II-VI 族 Hg1-x Cdx Se II-VI 族 Pb1-x Snx Te IV-VI 族 Pb1-x Snx Se IV-VI 族
【0061】7〕 上記実施例においては、半導体単結
晶からなる結晶基材と突起部とを適用たが、結晶基材と
しては、金属材料単結晶や混晶単結晶や多結晶、或い
は、金属酸化物材料の単結晶や混晶単結晶や多結晶、或
いは、非金属材料の単結晶や混晶単結晶や多結晶、或い
は、上記の材料を種々組み合わせた材料を適用すること
もできる。結晶基板と一体的に又は別体的に形成される
突起部としては、金属材料単結晶や混晶単結晶や多結
晶、或いは、金属酸化物材料の単結晶や混晶単結晶や多
結晶、或いは、非金属材料の単結晶や混晶単結晶や多結
晶、或いは、上記の材料を種々組み合わせた材料を適用
することもできる。尚、金属材料や金属酸化物材料の球
状結晶アレイは、例えば、複数の放電電極を備えた放電
電極ユニットとして産業上の利用可能性がある。
【0062】8〕 上記実施例における例えば球状結晶
アレイ54に、気相成長や気相拡散、酸化膜形成、電極
形成等の処理を施して、球状結晶アレイ54の各球状結
晶をフォトダイオードに構成すれば、様々な方向から入
射する光を受光できる優れた受光用の光学素子を製作す
ることができる。 9〕 上記実施例における突起部は、結晶基板と一体的
に形成したが、突起部は、必ずしも結晶基板と一体的に
形成する必要はなく、結晶基板とは別体に構成した複数
の突起部を、結晶基板の表面にに貼り付けたり、接合し
たりすることにより固着してもよい。この場合にも、突
起部から結晶基板に確実に吸熱可能に構成することが必
要である。
【0063】10〕 上記実施例では、突起部を下向き
の姿勢に保持して、溶融と固化とを行ったが、突起部を
上向き姿勢に保持して溶融と固化とを行なうことも不可
能ではない。 11〕 上記実施例における突起部の代わりに、図27
に示すように、結晶基材としての結晶基板70に相対向
するように一体的に突出する1対の突起部71を形成
し、それら突起部71の先端部に加熱用ビームを照射し
て融解してから固化させることにより、、両突起部71
の先端部に球状結晶72を形成することもできる。
【0064】12〕 上記実施例では、突起部を結晶基
材の下面側に位置させ、突起部の下方から突起部の先端
面にレーザ光を照射したが、突起部を結晶基材の上側に
位置させ、突起部の先端に上方からレーザ光を照射して
もよい。 13〕 上記実施例の方法により製造した球状結晶は、
それに集積回路や電極や端子等を組み込んでから、又は
組み込む前に、突起部または結晶基板から分離して電子
デバイス、光学素子、機能素子部品として活用すること
も有り得る。 14〕 加熱用ビームは、必要に応じて、複数の同一波
長のレーザ光、又は複数の異なる波長のレーザ光、又は
複数の集光した赤外線ビーム、又はこれらを組合せたも
のを使用して上記の球状結晶を形成することも有り得
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】請求項1に係る結晶基材と突起部の概念説明用
側面図である。
【図2】図1の結晶基材と突起部(融解状態)の概念説
明用側面図である。
【図3】図1の結晶基材と突起部(固化状態)の概念説
明用側面図である。
【図4】請求項1に係る結晶基材と突起部の概念説明用
側面図である。
【図5】図4の結晶基材と突起部(融解状態)の概念説
明用側面図である。
【図6】図4の結晶基材と突起部(固化状態)の概念説
明用側面図である。
【図7】請求項3に係る結晶基材と突起部の概念説明用
側面図である。
【図8】図7の結晶基材と突起部(融解状態)の概念説
明用側面図である。
【図9】図7の結晶基材と突起部(固化状態)の概念説
明用側面図である。
【図10】請求項3に係る結晶基材と突起部の概念説明
用側面図である。
【図11】図10の結晶基材と突起部(融解状態)の概
念説明用側面図である。
【図12】図10の結晶基材と突起部(固化状態)の概
念説明用側面図である。
【図13】請求項4に係る結晶基材と突起部と被膜の概
念説明用側面図である。
【図14】図13の結晶基材と突起部(融解状態)の概
念説明用側面図である。
【図15】図13の結晶基材と突起部(固化状態)の概
念説明用側面図である。
【図16】請求項4に係る結晶基材と突起部と被膜の概
念説明用側面図である。
【図17】実施例1に係る結晶基板と突起部と球状結晶
等の斜視図である。
【図18】実施例1に係る球状結晶アレイの斜視図であ
る。
【図19】実施例2に係る結晶基板と突起部の側面図で
ある。
【図20】実施例2に係る結晶基板と突起部の底面図で
ある。
【図21】実施例2に係る球状結晶アレイの縦断側面図
(図22の21−21線断面図)である。
【図22】図21の球状結晶アレイの底面図である。
【図23】実施例3に係る結晶基板と突起部と被膜の側
面図である。
【図24】実施例3に係る結晶基板と突起部と被膜の底
面図である。
【図25】実施例3に係る球状結晶アレイの側面図であ
る。
【図26】図25の球状結晶アレイの底面図である。
【図27】変形例に係る結晶基板と突起部の平面図であ
る。
【図28】図27のものから製作した結晶基板と突起部
と球状結晶の平面図である。
【符号の説明】
10,20,30,40,50,60,70 結
晶基板 11,21,31,41,52,61,71 突
起部 13,23,34,46,53,64,72 球
状結晶 12 加熱用ビーム 43 レーザ光 32 ドーピング用不純物の被膜又は異種結晶成
長の為の異種の元素 47,54,65 球状結晶アレイ

Claims (15)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 金属又は金属酸化物又は非金属材料から
    なる結晶基材に、その表面部から突出するように、金属
    又は金属酸化物又は非金属材料の結晶からなる細径の突
    起部を設ける第1工程と、 上記突起部の先端に、加熱用ビームを照射し、上記突起
    部の少なくとも一部を融解させる第2工程と、 上記突起部に対する加熱用ビームの照射を止め、上記融
    解した部分を、表面張力の作用により、ほぼ球状の球状
    結晶に固化させる第3工程と、 を踏んで球状結晶を製造することを特徴とする球状結晶
    の製造方法。
  2. 【請求項2】 半導体の単結晶からなる結晶基材に、そ
    の表面部から一体的に突出する細径の突起部を形成する
    第1工程と、 上記突起部の先端に、加熱用ビームを照射し、上記突起
    部の少なくとも一部を融解させる第2工程と、 上記突起部に対する加熱用ビームの照射を止め、上記融
    解した部分を、表面張力の作用により、ほぼ球状の球状
    結晶に固化させる第3工程と、 を踏んで球状結晶を製造することを特徴とする球状結晶
    の製造方法。
  3. 【請求項3】 半導体の結晶基材に、その表面部から突
    出するように、半導体の単結晶からなる細径の突起部を
    設ける第1工程と、 上記突起部の先端に、加熱用ビームを照射して、上記突
    起部の少なくとも一部を融解させる第2工程と、 上記突起部に対する加熱用ビームの照射を止め、上記融
    解した部分を、表面張力の作用により、ほぼ球状の球状
    結晶に固化させる第3工程と、 を踏んで球状結晶を製造することを特徴とする球状結晶
    の製造方法。
  4. 【請求項4】 半導体の単結晶からなる結晶基材に、そ
    の表面部から一体的に突出する突起部であって、少なく
    とも先端に上記単結晶と異なるドーピング用不純物或い
    は異種結晶形成の為の異種の元素の被膜を形成した突起
    部を形成する第1工程と、 上記突起部の先端に、加熱用ビームを照射し、上記突起
    部の少なくとも一部を融解させる第2工程と、 上記突起部に対する加熱用ビームの照射を止め、上記融
    解した部分を、表面張力の作用により、ほぼ球状の球状
    結晶に固化させる第3工程と、 を踏んで球状結晶を製造することを特徴とする球状結晶
    の製造方法。
  5. 【請求項5】 半導体の結晶基材に、その表面部から突
    出するように、半導体の単結晶からなる細径の突起部で
    あって、少なくとも先端に上記単結晶と異なるドーピン
    グ用不純物或いは異種結晶形成の為の異種の元素の被膜
    を形成した突起部を設ける第1工程と、 上記突起部の先端に、加熱用ビームを照射して、上記突
    起部の少なくとも一部を融解させる第2工程と、 上記突起部に対する加熱用ビームの照射を止め、上記融
    解した部分を、表面張力の作用により、ほぼ球状の球状
    結晶に固化させる第3工程と、 を踏んで球状結晶を製造することを特徴とする球状結晶
    の製造方法。
  6. 【請求項6】 第2工程において上記突起部の先端部を
    融解させることを特徴とする請求項1〜請求項5の何れ
    か1項に記載の球状結晶の製造方法。
  7. 【請求項7】 第2工程において、加熱用ビームとして
    レーザ光を用いることを特徴とする請求項1〜請求項5
    の何れか1項に記載の球状結晶の製造方法。
  8. 【請求項8】 第2工程において、加熱用ビームとして
    集光レンズで絞った赤外線を用いることを特徴とする請
    求項1〜請求項5の何れか1項に記載の球状結晶の製造
    方法。
  9. 【請求項9】 第2工程と第3工程とを真空中で行い、
    第2工程において、加熱用ビームとして電子ビームを用
    いることを特徴とする請求項1〜請求項5の何れか1項
    に記載の球状結晶の製造方法。
  10. 【請求項10】 少なくとも第3工程を、無重力又は微
    小重力下で行うことを特徴とする請求項1〜請求項5の
    何れか1項に記載の球状結晶の製造方法。
  11. 【請求項11】 第2工程と第3工程とを、不活性ガス
    雰囲気中で行うことを特徴とする請求項1〜請求項5の
    何れか1項に記載の球状結晶の製造方法。
  12. 【請求項12】 第2工程と第3工程とを、ドーピング
    用の不純物のガスを含む雰囲気中で行うことを特徴とす
    る請求項2又は請求項3に記載の球状結晶の製造方法。
  13. 【請求項13】 第1工程において、複数の突起部を少
    なくとも1列状に形成し、第2工程以降の工程におい
    て、1列状の複数の突起部に対して、加熱用ビームを走
    査することを特徴とする請求項1〜請求項5の何れか1
    項に記載の球状結晶の製造方法。
  14. 【請求項14】 金属又は金属酸化物又は非金属材料か
    らなる基材と、 この基材の表面部から突出するように、基材に少なくと
    も1列状に設けられた複数の突起部であって金属又は金
    属酸化物又は非金属材料からなる複数の突起部と、 複数の突起部の先端部に夫々一体的に形成されたほぼ球
    状の球状結晶と、 を備えたことを特徴とする球状結晶アレイ。
  15. 【請求項15】 半導体からなる結晶基材と、 結晶基材の表面部から一体的に突出するように、結晶基
    材に少なくとも1列状に形成された前記半導体と同一又
    は異なる半導体からなる複数の突起部と、 複数の突起部の先端部に夫々一体的に形成された半導体
    の結晶からなるほぼ球状の球状結晶と、 を備えたことを特徴とする球状結晶アレイ。
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