JPH0521339A - 薄膜半導体装置とその製法 - Google Patents

薄膜半導体装置とその製法

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JPH0521339A
JPH0521339A JP3195905A JP19590591A JPH0521339A JP H0521339 A JPH0521339 A JP H0521339A JP 3195905 A JP3195905 A JP 3195905A JP 19590591 A JP19590591 A JP 19590591A JP H0521339 A JPH0521339 A JP H0521339A
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laser light
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thin film
silicon
laser
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JP3195905A
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English (en)
Inventor
Takeshi Hino
威 日野
Koichi Otaka
剛一 大高
Mitsugi Irinoda
貢 入野田
Yukito Sato
幸人 佐藤
Katsufumi Kumano
勝文 熊野
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Ricoh Research Institute of General Electronics Co Ltd
Ricoh Co Ltd
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Ricoh Research Institute of General Electronics Co Ltd
Ricoh Co Ltd
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  • Metal-Oxide And Bipolar Metal-Oxide Semiconductor Integrated Circuits (AREA)
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 基板上の任意の位置にP型半導体領域とn型
半導体領域よりなる不純物含有半導体領域と不純物を含
まない半導体領域が形成されたSOI基板を提供するこ
とにより、SOIデバイス・プロセスの工程を短縮さ
せ、歩留りを向上させること。 【構成】 絶縁性基板上に半導体薄膜が形成されている
薄膜半導体装置において、同一絶縁性基板上の前記半導
体薄膜には単結晶の領域と多結晶の領域が存在し、かつ
前記半導体薄膜にはP型活性領域とn型活性領域が存在
していることを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【技術分野】本発明は、絶縁性基板上に少くとも1つの
領域が単結晶よりなる薄膜半導体層をもつ薄膜半導体装
置に関する。
【0002】
【従来技術】絶縁性基板上に単結晶半導体薄膜を形成す
る手法、いわゆるSOI形成法については、従来より数
多く提案されている。これらの多くは絶縁性基板上に非
晶質あるいは多結晶半導体薄膜を形成し、この非晶質あ
るいは多結晶シリコン薄膜を種々の熱源により溶融再結
晶化させて単結晶化させるものである。この場合の熱源
としては、レーザ光、電子ビーム、種々のランプ光、ワ
イヤー状のカーボンヒーター等がある。これらの従来技
術では、溶融再結晶化させる際には、ノンドープで再結
晶化させ、この後、SOI上にデバイスを形成する際に
不純物を導入していた。これは、再結晶化する際に不純
物を導入すると再結晶化のための条件が変わるため、基
板上の任意の領域にP型半導体領域・n型半導体領域を
形成することが困難だったためである。このため、SO
Iを用いてデバイスを形成する際に、不純物を導入する
工程が必要となり、工程がはん雑なために歩留りを下げ
る原因となっていた。
【0003】
【目的】本発明の目的は、基板上の任意の位置にP型半
導体領域とn型半導体領域よりなる不純物含有半導体領
域と不純物を含まない半導体領域が形成されたSOI基
板を提供することにより、SOIデバイス・プロセスの
工程を短縮させ、歩留りを向上させることである。本発
明の他の目的は、レーザ光の照射位置・出力の制御性の
良さを利用し、溶融再結晶化の際に、任意の位置に、P
型半導体領域・n型半導体領域よりなる不純物含有半導
体領域と不純物を含まない半導体領域を形成することで
ある。
【0004】
【構成】本発明の第1は、絶縁性基板上に半導体薄膜が
形成されている薄膜半導体装置において、同一絶縁性基
板上の前記半導体薄膜には単結晶の領域と多結晶の領域
が存在し、かつ前記半導体薄膜にはP型活性領域とn型
活性領域が存在していることを特徴とする薄膜半導体装
置に関する。本発明の第2は、同一絶縁性基板上に多結
晶半導体領域、P型不純物含有多結晶半導体領域および
n型不純物含有多結晶半導体領域を形成し、その上に表
面保護層を形成した後、半導体に吸収される第1のレー
ザ光と絶縁性基板に吸収される第2のレーザ光を、第2
のレーザ光の照射領域が第1のレーザ光の照射領域をカ
バーしており、かつ第2のレーザ光の照射領域は、前記
多結晶半導体領域、P型不純物含有多結晶領域およびn
型不純物含有多結晶領域の少くとも1つをカバーするよ
うに照射させ、第1のレーザ光照射部分を溶融再結晶化
することを特徴とする請求項1記載の薄膜半導体装置の
製法に関する。
【0005】以下、本発明の半導体薄膜層としては、シ
リコンについて詳述するが、本発明はシリコンに限ら
ず、周期率IV族、III-V族、II-VI族の単体、あるいは
化合物半導体であって、その結晶構造がダイヤモンド構
造、あるいはジンクブレンド構造を持つすべての材料に
適用可能であり、具体的には、Siの他Ge,SiC,
BN,BP,BAs,AlP,AlSb,GaP,Ga
As,GaSb,InP,InAs,InSb,Zn
S,ZnSe,ZnTe,CdS,CdSe,CdT
e,CdHg等である。
【0006】本発明に開示される薄膜半導体装置の製法
は絶縁性基板上に帯域溶融再結晶化法で単結晶シリコン
薄膜を形成する場合にシリコンに吸収されるレーザ光と
絶縁性基板に吸収されるレーザ光を同時に照射してシリ
コンを溶融して再結晶させ、さらには二つのレーザ光を
照射してシリコン層を溶融再結晶化させるときに二つの
レーザ光の出力、ビーム形状、照射位置等の照射条件を
変えることにより単結晶シリコン薄膜がP型領域とn型
領域をもつようにする。
【0007】絶縁性基板上に形成された非晶質あるいは
多結晶シリコンの溶融再結晶化法による単結晶シリコン
の形成の様子については以下のように説明できる。種々
の熱源により絶縁性基板上に形成された非晶質あるいは
多結晶シリコンを加熱溶融し(シリコンの融点1412
℃)、その加熱個所をシリコン層上で相対的に走査した
場合、溶融したシリコンはその熱源の移動に伴い冷却固
化し、再結晶化する。この時加熱により溶融している部
分の温度分布が図1に示すごとく中央部が高くて周辺部
が低くなっている状況では溶融シリコンの再結晶化は溶
融部の周辺から多数同時に開始し、その結果再結晶化シ
リコンは多結晶体となってしまう。そのような多結晶化
を防いで再結晶化を行なうためには、溶融領域における
温度プロファイル(本発明の中で述べられる温度プロフ
ァイルとはシリコンの溶融再結晶化過程、即ち加熱、溶
融、冷却、固化の一連の現象における温度の変化を表わ
し、具体的には前記の一つあるいは複数の状態における
温度、あるいは温度を表わす物理量を計測することで表
わされる。)を中央部が周辺より低い状態にすれば良い
ことが知られている。こうすることにより図2に示すご
とく再結晶化は常に中央部より始まることになり、再結
晶化シリコンは単結晶として得られることになる。これ
らの加熱源としてはレーザ光が主に用いられ、熱源の走
査速度は概ね数10cm/sec程度である。さらに絶縁性基
板上で溶融再結晶化法により単結晶シリコン薄膜を形成
するもう一つの方法としては帯域溶融再結晶化法(Zone
Melting Recrystallization)がある。この方法に単結
晶シリコンの形成の様子は以下のように述べられてい
る。図3にその概略を示したが溶融再結晶化を行なうシ
リコン層を帯状に加熱溶融するときに、帯状に溶融して
いる領域8以外のシリコン層はシリコンの融点近傍の温
度まで加熱しておいて、その溶融領域を移動させること
によりシリコンを固化再結晶させて単結晶シリコンを得
るものである。この時溶融シリコンの凝固の固液界面に
は図4に示すようにシリコンの融点1412℃を過ぎても液
体の状態を保っている過冷却状態の領域が存在し、シリ
コンの再結晶化の固液界面はこの過冷却領域の中でシリ
コンの結晶面の中で一番成長が遅い(111)面のファセ
ット(小さな結晶面)の集まりにより形成されるといわ
れている。単結晶シリコンの形成は帯状の溶融領域8の
移動に伴い、過冷却領域が移動しこの過冷却領域の中で
シリコンの(111)面で構成されるファセット面が連続
的に成長することによりなされるものである。この帯状
の溶融領域を形成する手法としては基板上に近接して置
かれた線状のカーボンヒータで加熱する方法、あるいは
RF誘導加熱法等がある。この手法における帯状の溶融
領域の移動速度は概ね数mm/sec程度であり、再結晶化
の固液界面においては熱平衡に近い状態が実現されてい
ることがこの手法の特徴であるといえる。このような帯
域溶融再結晶化法により形成された再結晶単結晶シリコ
ン薄膜で絶縁性基板が石英ガラスで(あるいはSiO2
層)、かつ再結晶化時の表面保護膜として熱CVDで形
成したSiO2の場合には種結晶を使用しないのにもか
かわらず再結晶化膜の結晶配向面は(100)面であるこ
とが知られている。
【0008】本発明者らはこの帯域溶融再結晶化法に着
目し、従来の加熱法とは異なった機能を持った加熱手段
を用いた帯域溶融再結晶化法を発明した。その結果、本
発明方法を用いて従来の帯域溶融再結晶化法においては
困難であったP型領域とn型領域を同一基板上に有する
再結晶化単結晶シリコン膜を得ることを可能ならしめた
ものである。本発明の技術的背景について述べる。本発
明においては加熱源としてシリコンに吸収されるレーザ
光(以下第1のレーザ光)と絶縁性基板に吸収されるレ
ーザ光(以下第2のレーザ光)の2種類のレーザ光を用
いている。これはこれらのレーザ光が絶縁性基板上に帯
域溶融再結晶化法で単結晶シリコンを形成するのに極め
て適した熱源であることによる。最初に帯域溶融再結晶
化法においてレーザ加熱法が他の加熱法に比べて有利な
点について述べる。図7は従来法による帯域溶融再結晶
化で加熱源として一般的に使用される線状のヒータによ
る加熱の様子を示したものである。シリコンの溶融点に
近い温度領域においては熱源の線状ヒータからの加熱は
輻射加熱が主体であり、このような場合基板上の任意の
点の熱源から受ける熱量は下記の式(1)により算出され
る。
【数1】 式(1)の記述からも明らかなように熱源と基板との距離
が2乗の重みで影響する。即ち輻射加熱により帯域溶融
再結晶を安定に行なうための温度プロファイルを実現す
る場合には熱源と基板との距離を精緻にコントロールし
なければならない。この熱源に対する要求は線状ヒータ
の場合に留まらず、他の熱源の場合でもその加熱の様式
が輻射加熱による限り必然的なものである。これに対し
て加熱源をレーザ光とする場合には熱の発生はレーザ光
の吸収によりなされるので、基板上の温度プロファイル
が基板とレーザ光源との距離に影響を受けず、またレー
ザ光の優れた平行性を考慮するならば光源を任意の位置
から基板上まで導くことが可能である。また従来の加熱
法を用いた帯域溶融再結晶化法では再結晶化の固液界面
において過冷却領域を形成する必要から冷却速度を小さ
くしなければならない。従って固液界面の熱勾配を小さ
くするために基板全体をシリコンの融点近傍まで加熱す
る必要があった。そのために帯域溶融再結晶化を行なっ
た後の基板は長時間にわたる高温の加熱のため熱変形を
引き起こすことがしばしばあった。また加熱装置が大が
かりになり、あるいは装置上の制約から基板の寸法が制
約される場合もある。これに対してレーザ光を熱源とす
る場合にはレーザ光が他の加熱法に比べて充分に高いエ
ネルギー密度を持っているために、レーザ照射領域は周
囲への熱の逃げに抗して、充分に高い温度に保つことが
可能である。よって基板全体をシリコンの融点近傍まで
高温に加熱する必要はなく、従来の帯域溶融再結晶化法
に見られた高温加熱による基板の変形の問題はなく、ま
た基板加熱のための装置上の制限もない。以上のような
レーザ光を加熱源とする場合の特徴に加え、レーザ光は
レンズ、ミラーといった種々の光学部品の組合せにより
その大きさを任意に変えることができ、また任意の場所
に導くことができるので従来の加熱法では実現が困難で
あった基板内の一部分のみを選択的に帯域溶融再結晶化
のプロセスを行なうことが可能である。更には材料への
レーザ光の吸収は概ね材料の表面より数10μmの深さで
留まるのでレーザを加熱源とする場合には基板のごく表
面のみを加熱しているのに過ぎない。このことにより基
板表面に適切な耐熱層を形成することにより従来の帯域
溶融再結晶化法では実現できなかったシリコンの融点よ
り低い融点あるいは軟化点を持つ基板を支持体基板とし
て使用することも可能である。
【0009】本発明は以上のような帯域溶融再結晶化に
おいてレーザ光を加熱源とすることの利点に加えて上述
の2種類のレーザ光を使用したことから新たな特徴を有
している。図5に本発明が開示するような方法による帯
域溶融再結晶化の様子を示した。絶縁性基板1上に形成
されたシリコン層(半導体層)2に上述の第1のレーザ
光4および第2のレーザ光5を同時に照射すると第1の
レーザ光4はシリコン層2で吸収されここで発熱が生ず
る。また第2のレーザ光5は基板1内で吸収され発熱を
生ずる。即ちシリコン層2は第2のレーザ光5による予
備加熱を受けた状態で第1のレーザ光4により加熱され
ることになる。この時の2種類のレーザ光での加熱領域
の温度プロファイルは図6に示すように第2のレーザ光
のビーム径(α2)を大きく、第1のレーザビーム径
(α1)を狭くし、2種類のレーザ光の出力を最適化す
ることによりシリコンの溶融領域を形成することができ
る。このような温度プロファイルはレーザ光で加熱され
る領域においては先の図3に示したような帯域溶融再結
晶化を実現する温度プロファイルと本質的に同じであ
り、このような温度プロファイルを保持しつつビームを
基板と相対的に走査することにより前述の帯域溶融再結
晶化のメカニズムにより再結晶化単結晶シリコンが得ら
れる。さらに本手法では第1のレーザ光の照射による熱
の発生はシリコン薄膜層内で起こり、第2のレーザ光の
照射による熱の発生は絶縁性基板内で起こるというよう
な異なる場所での熱の発生を起こさせることが可能であ
る点に大きな特徴がある。本発明者らはこの2波長レー
ザ帯域溶融再結晶化法の特徴に着目し本手法による絶縁
性基板上にシリコン薄膜の帯域溶融再結晶化法を詳細に
検討し、本手法で無定形の絶縁性基板上でP型領域とn
型領域を有する単結晶シリコン薄膜を得ることが可能で
あるという結論に達した。以下にその詳細について述べ
る。
【0010】以下図8を用いて本発明における薄膜半導
体装置の構成要素について述べる。支持体基板11は絶縁
性材料で構成される。単体材料としては石英ガラス、セ
ラミック等の耐熱性の有する絶縁性材料が用いられる
が、金属、あるいは半導体の上に適当な絶縁膜を形成し
た基板もまた本発明の支持体基板として用いることがで
きる。具体的にはシリコンウエハー上に絶縁性材料とし
てSiO2,Si34等を形成したものである。あるい
はFe,Al,Cu等の金属の上にSiO2,Si34
等の絶縁性材料を形成したものもまた支持体基板として
使用可能である。さらには耐熱層を形成することにより
シリコンの融点より低い材料も支持体基板として用いる
ことができる。耐熱層を構成する材料としては絶縁性の
ものではSiO2,Al23,TiO2,ZrO2,Si3
4,BN等、また導電性のものではTiC,SiC等
がある。耐熱層を導電性のもので構成する場合には上記
の絶縁性材料と組み合わせて用いる必要がある。また場
合によっては耐熱性材料を複数組み合わせて使用するこ
ともできる。これらの材料をプラズマCVD法、熱CV
D法、光CVD法、LP-CVD法、MO-CVD法、ス
パッタ法、真空蒸着法、イオンビームクラスタ成膜法等
の各種成膜法や、イオン注入法等の各種材料改質のため
の手法を用いて形成する。半導体あるいは金属材料上に
絶縁性材料を形成して支持体基板として用いる場合、あ
るいは低融点材料上に耐熱層あるいは絶縁層を形成して
支持体基板として用いる場合には絶縁層、耐熱層の厚さ
は用いる材料の第2のレーザ光の吸収を考慮にいれて定
めることが望ましく、例えば第2のレーザ光に炭酸ガス
レーザ光を用い、絶縁層あるいは耐熱層材料としてSi
2を形成する場合にはその膜厚は50μm程度である。石
英ガラス基板のような絶縁性材料を単体で支持体基板と
して用いる場合にはその機械的強度を保つ要求から通例
レーザの吸収厚さに比べて充分に厚い寸法が選ばれる。
その値は通常0.3mm〜5.0mmであり、望ましくは0.5mm〜
2.0mmである。支持体基板11上で2波長レーザ帯域溶融
再結晶化法により単結晶化されるシリコン層12は多結晶
シリコンあるいは非晶質シリコンで構成される。このシ
リコン層12はプラズマCVD法、熱CVD法、光CVD
法、LP-CVD法、MO-CVD法、スパッタ法、真空
蒸着法、イオンビームクラスタ成膜法等の各種成膜法
や、イオン注入法等の各種材料改質のための手法を用い
て形成する。またこのシリコン層12は帯域溶融再結晶化
過程において必要と判断される場合には通常のフォトリ
ソグラフィーの手法を用いて任意の形状に加工される場
合もある。具体的にはストライプ状あるいは島状、ある
いは連結島状に加工する。これらの目的はいずれも支持
体基板11上でシリコン融液の移動を制限し、よってファ
セット成長の安定性の向上を目的としたものであり、従
来より帯域溶融再結晶化法によってしばしば用いられる
手法である。不純物源としてドープされた多結晶シリコ
ンストライプ部13,14を多結晶シリコン部12と同様の手
法を用いて形成する。前記13と14は、一方がP型ならば
他方はn型というようにお互に逆の型にドープされた多
結晶シリコンとする。前記12,13,14のストライプ間隔
は1μm以下がのぞましい。この様子は図9に示す。シ
リコン層12,13,14の膜厚は0.1μm〜5.0μmの範囲で再
結晶化に使用でき、望ましくは0.3μm〜1.0μmの範囲で
ある。表面保護膜15は帯域溶融再結晶化手法による単結
晶シリコン薄膜の形成において不可欠なものである。こ
れは帯域溶融再結晶化過程において溶融シリコンの蒸発
あるいは表面張力による丸まり現象(ビードアップ現
象)を防ぐ目的で形成される。この表面保護層15は絶縁
性材料により構成され、望ましい材料としてはSi
2,SiO,Si34,SiNであり、これらを単独
にあるいは複数組み合わせてシリコン層12に形成する。
表面保護膜15の形成方法としてはプラズマCVD法、熱
CVD法、光CVD法、LP-CVD法、MO-CVD
法、スパッタ法、真空蒸着法、イオンビームクラスタ成
膜法等の各種成膜法や、イオン注入法等の各種材料改質
のための手法等である。膜厚は概ね0.5μm〜5.0μmの範
囲で最適化されて形成されるが、望ましくは1.0μm〜2.
0μmである。この表面保護層3は本発明による薄膜半導
体装置を原料として半導体素子を形成する工程において
除去される場合もある。
【0011】本発明の2波長レーザ帯域溶融再結晶化法
における第1のレーザ光としてはシリコンに吸収帯域
(おおよそ1.2μmより短波長側)にある波長の光を出す
レーザ光を広く使用できる。具体的には短波長領域の各
種のエキシマレーザ、He-Cdレーザ、Arレーザ、
He-Neレーザ、ルビーレーザ、アレキサンドライト
レーザ、YAGレーザ、あるいは半導体レーザ等が使用
可能である。帯域溶融再結晶化に必要な温度プロファイ
ルを形成する熱源とするという観点からは取りだし可能
な出力が比較的大きいこと、また連続発振が可能なレー
ザであることが望ましく、Arレーザ、YAGレーザ、
あるいは高出力の半導体レーザから選ぶことが望まし
い。これらのレーザ光はその照射領域を広くするためビ
ームの途中にレーザビームエクスパンダを挿入しビーム
を拡大することも可能であり、さらにはレーザビームを
複数本用いてビームを合成して使用することも可能であ
る。シリコン層に照射する場合のビーム形状としては帯
域溶融再結晶化法の実現に好適なように均一な線状ビー
ムが好ましい。種々の光学機械を用いてビーム形状を線
状で均一にすることが可能である。また前述のごとく複
数本のビームにより均一で線状のビームを形成すること
が可能である。さらにはビームの高速走査により擬似的
に線状のビームを形成することも可能である。基板の予
備加熱に用いられる第2のレーザ光としては絶縁性材料
に吸収のあるレーザ光を広く使用することができる。赤
外領域のレーザ光は広く絶縁性材料に吸収されるので第
2のレーザ光としては好適である。具体的には炭酸ガス
レーザあるいは一酸化炭素ガスレーザ等が使用できる。
第2のレーザビームのビーム形状としては必ずしも線状
である必要はない。前述の第1のレーザビームに重ねて
照射する場合において、第1のレーザの加熱により溶融
してシリコンの再結晶化の熱プロファイルを制御するの
に充分な大きさのビーム形状であれば良く図10のごとく
線状に形成した第1のレーザビームの長さをL1とする
と第2のレーザのこの方向での長さL2はL2>L1が必
要であり、望ましくはL2>1.2L1である。なお、レー
ザビームは通常は丸形で得られるが、種々の手段により
細長い楕円状や実質長方形の形状にしたりして使用する
ことができる。
【0012】第2のレーザは第1のレーザ光と共にシリ
コン層の帯域溶融再結晶化の熱源として用いられるが、
第1のレーザ光での加熱が主としてシリコンを溶融する
ことを目的として用いられるのに対して第2のレーザ光
での加熱は溶融シリコンの冷却固化再結晶化過程を制御
するために用いられる。そのため第2のレーザ光で加熱
される領域は均一な温度プロファイルを示すようにしな
ければならない。そのために第2のレーザ光のビームは
第1のレーザ光のビームに比べて広い領域で均一なパワ
ー密度であることが必要である。カライドスコープ、セ
グメントミラー等の種々の光学機器を用いてビーム出力
を平坦化することが可能である。また前述の第1のレー
ザ光の場合と同様に複数のレーザビームを合成して平坦
な合成ビームを形成しても良い。またビームを走査する
ことで加熱部の温度プロファイルを平坦化することも可
能である。またこれらのレーザ光としては連続発振型の
他にパルス発振型のレーザ光を使用することも可能であ
る。このようにして第2のレーザ光のビームは概ね第1
のレーザ光のビームを囲うような配置で基板上に照射さ
れるが、第2のレーザ光のビームの外周近傍においては
ビーム内部とビーム外部の大きな温度差によりたとえビ
ーム強度が均一であっても温度勾配が生ずる場合があ
る。このような場合にはビームの外周部を強調したビー
ムプロファイルを用いて温度の平坦化を図ることもでき
る。
【0013】2波長レーザ帯域溶融再結晶化法において
用いられる第1のレーザ光と第2のレーザ光は前述の構
成の他にそれぞれのレーザ光の強度が照射している場所
の温度の変化に応じて変調できなければならない。溶融
シリコンの温度の範囲あるいは固液界面のファセット面
の傾きを決定する温度勾配のような溶融再結晶化温度プ
ロファイルを実現するためには照射するレーザ光の出力
をフィードバックにより制御することが必要である。何
故なら第1のレーザ光あるいは第2のレーザ光の吸収に
より発生する熱量は吸収する層の膜厚、表面の反射率等
様々な要因により変化する。従って帯域溶融再結晶化過
程を通じて温度プロファイルを安定に制御するためには
光強度のフィードバック制御が必要である。更には前に
述べた理由により配向性の制御のためには温度プロファ
イルのコントロールが必要である。このようなレーザの
光強度のフィードバック制御については平成3年5月15
日に出願した整理番号9101208号で詳述したとおりであ
る。このように、レーザ光は光学部品を用いることによ
って、レーザ光の照射位置を制御して、図8の薄膜半導
体装置のうち、単結晶化するべき多結晶シリコン・スト
ライプだけに照射したり、隣接する不純物源となるドー
プと多結晶シリコン・ストライプも同時に照射したりす
ることができる。また、レーザ光の出力を制御すること
により、単結晶化するシリコン層へ導入する不純物の量
を制御し、不純物が入ることにより変わる再結晶化条件
に対応する。以下に本発明の具体的な実施例について述
べる。
【0014】
【実施例】実施例1 本実施例では第1のレーザ光としてArレーザ光、第2
のレーザ光として炭酸ガスレーザ光を用いた。再結晶化
膜を形成する基板は以下のようにして作成する。図11に
おいて支持体基板11は厚さ1.0mmの透明石英ガラス基板
を用いた。このガラス支持体基板11を常法により洗浄し
減圧化学気相成長装置(LPCVD装置)を用い帯域溶
融再結晶化法により単結晶化されるシリコン層12として
多結晶シリコン薄膜を形成した。その膜厚は3500Åであ
る。つぎにこの多結晶シリコン薄膜12をフォトリソグラ
フィーの手法により図12のように巾500μmのストライプ
に加工した。このストライプの両脇に、前述と同様の手
法により、P型多結晶シリコン・ストライプ13とn型多
結晶シリコン・ストライプ14を形成した。P型多結晶シ
リコン・ストライプとn型多結晶シリコン・ストライプ
の巾は50μmとし、ストライプ間の間隔は1μmとした。
多結晶シリコン12、P型多結晶シリコン13、n型多結晶
シリコン14の上にLPCVD装置を用いて帯域溶融再結
晶化の時の表面保護層としてSiO2薄膜15を厚さ1.2μ
mに形成した。このように形成した多結晶シリコン薄膜
試料を前述のArレーザ光(第1のレーザ光)と炭酸ガ
スレーザ光(第2のレーザ光)で同時に照射加熱溶融し
帯域溶融再結晶化法により単結晶化する。以下に、レー
ザの照射方法を述べる。再結晶化後にノンドープの単結
晶シリコンを得るには図13のように照射する。第1のレ
ーザ光、第2のレーザ光とも多結晶シリコン・ストライ
プ12だけに照射されるように調節する(第1のレーザ照
射領域を16、第2のレーザ照射領域を17で示す)。再結
晶化時には、試料はレーザ光を照射するだけではなく、
炉中にて900℃に予備加熱を行なった。レーザ光の走査
速度は1.0mm/sであった。レーザ光の出力条件はレン
ズ等の収束のさせ方により一概に述べることはできない
が、Arレーザ(第1のレーザ光)1W、炭酸ガスレー
ザ光(第2のレーザ光)10Wで、良好に再結晶化する条
件を得ることができた。以下に述べるP型単結晶シリコ
ン薄膜あるいはn型単結晶シリコン薄膜を得るため溶融
再結晶化法は、レーザ光の照射位置と出力条件、あるい
は必要に応じて、レーザの使用本数を増やすことによっ
て行なう。走査速度、炉の温度は前に述べたものと同じ
条件で行なう。P型単結晶シリコン薄膜を得る方法を図
14に示す。炭酸ガスレーザ光(第2のレーザ光)17がP
型多結晶シリコン・ストライプ13にもかかるように照射
する。P型多結晶シリコン・ストライプ13は炭酸ガスレ
ーザ光17が照射されるが、溶融はしない。P型多結晶シ
リコン・ストライプ13に含まれるP型不純物元素は炭酸
ガスレーザ光の加熱によって拡散し、多結晶シリコン・
ストライプ12が溶融再結晶化を行なう際に、溶け込んで
再結晶化する。図14よりも、さらに、不純物元素の含有
量を増やす方法を図15に示す。Arレーザ光(第1のレ
ーザ光)16も炭酸ガスレーザ光(第2のレーザ光)17も
P型多結晶シリコン・ストライプ13にかかるように照射
する。この場合には、P型多結晶シリコン・ストライプ
13も溶融が行なわれ、図14の場合よりも多くのP型不純
物元素を出すことになる。次に、n型単結晶シリコン薄
膜を得る方法を図16、図17に示す。上でP型単結晶シリ
コン薄膜を得たのと同じ方法により、図17は図16の照射
方法より不純物含有量の多いn型単結晶シリコン薄膜を
得ることができる。図14、図15、図16、図17の照射条件
の場合には、図13の照射条件に比較して、不純物元素が
入るため、過冷却になりやすいため、Arレーザの出力
を出力密度にして図13の場合よりも、10%程度低くす
る。以上のように、溶融再結晶化の走査中に、レーザ光
の照射位置と出力を調整することにより、図18のよう
な、P型領域13とn型領域14をもった単結晶シリコン薄
膜を得ることができる。図18は、図13、図14、図15、図
16、図17よりも引き延ばして見た図であり、再結晶化工
程中に、ノンドープ領域、P型領域13、n型領域14を任
意に形成できることを示している。このような薄膜半導
体装置の応用例としてはP型とn型の単結晶領域を利用
して相補型のFETデバイス(C-MOS)の形成があ
る。
【0015】
【効果】本発明により、1つの半導体層上の特定領域毎
にP型とn型の領域をもつ不純物単結晶半導体領域と、
不純物を含まない単結晶または多結晶の半導体領域をも
つもので構成された新らしいタイプの薄膜半導体装置を
提供できた。本発明によれば、同一基板上に目的、用途
に適した物性を有する各種半導体領域が存在しているの
で、デバイス設計、製造プロセス等の面での自由度が広
がるとともに、高性能のデバイスを提供することができ
る。本発明の薄膜半導体装置は同一の絶縁性基板上に、
P型の領域とn型の領域の2つの不純物半導体領域を有
しているので、この部材を用いて半導体デバイスを形成
する場合に、イオン打ち込み等の不純物導入の工程を省
略できるので、工程を短くすることができ、歩留りを向
上することができる。また、本発明の方法を用いれば、
レーザ光の制御性の良い特徴を利用して、本発明の薄膜
半導体装置を効率よく得ることができる。本発明は、単
結晶化されるべき領域の周辺に、P型およびn型の両方
の型の不純物源があるため、単結晶化工程中にレーザ照
射方法を選定することにより、任意にノンドープ領域、
P型領域、n型領域を形成できる。そのため、ASIC
等のようにプロセスが変わることが予想される回路の部
材として好適なものが提供できた。
【図面の簡単な説明】
【図1】溶融再結晶法における温度分布の具合によって
は多結晶化することを示す概略図である。
【図2】溶融再結晶法における温度分布の具合によって
は単結晶化することを示す概略図である。
【図3】(a)は、再結晶化の方向(矢印)におけるシリコ
ン薄膜の好ましい温度分布を示し、シリコンの融点1412
℃を上まわる温度の個所が溶融再結晶化が行われている
個所である。 (b)は、シリコン薄膜の層を有する絶縁性基板よりなる
薄膜半導体装置の概略図であり、8はシリコンの溶融部
分を示す。
【図4】溶融シリコンの固液界面の状態図である。
【図5】本発明の帯域溶融再結晶化の状態を示す薄膜半
導体の断面図である。
【図6】本発明の2種類のレーザ光による加熱領域の温
度プロファイルを示す。
【図7】線状ヒータを用いた帯域溶融法の概略図であ
る。
【図8】本発明の薄膜半導体装置の1例を示す断面図で
ある。
【図9】図8のX−X線の個所からみた平面図である。
【図10】本発明の薄膜半導体装置に用いる2波長レーザ
帯域溶融再結晶法が可能な第1レーザ光と第2レーザ光
との好適な相対的位置関係を示した図である。
【図11】本発明実施例の薄膜半導体装置の断面図であ
る。
【図12】図11のX−X線の個所からみた平面図である。
【図13】本発明における第1のレーザ光と第2のレーザ
光の照射条件を説明するための概略図である。
【図14】本発明における第1のレーザ光と第2のレーザ
光の他の照射条件を説明するための概略図である。
【図15】本発明における第1のレーザ光と第2のレーザ
光の他の照射条件を説明するための概略図である。
【図16】本発明における第1のレーザ光と第2のレーザ
光の他の照射条件を説明するための概略図である。
【図17】本発明における第1のレーザ光と第2のレーザ
光の他の照射条件を説明するための概略図である。
【符号の説明】
1 絶縁性基板 2 半導体層(シリコン層) 3 表面保護層 4 第1のレーザ光 5 第2のレーザ光 8 溶融帯域 11 絶縁性基板 12 不純物を含まない半導体領域 13 P型活性半導体領域 14 n型活性半導体領域 15 表面保護層 16 第1のレーザ光(照射部分) 17 第2のレーザ光(照射部分)
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 H01L 29/784 // H01L 21/268 B 8617−4M (72)発明者 大高 剛一 宮城県名取市高舘熊野堂字余方上5番地の 10 リコー応用電子研究所株式会社内 (72)発明者 入野田 貢 宮城県名取市高舘熊野堂字余方上5番地の 10 リコー応用電子研究所株式会社内 (72)発明者 佐藤 幸人 宮城県名取市高舘熊野堂字余方上5番地の 10 リコー応用電子研究所株式会社内 (72)発明者 熊野 勝文 宮城県名取市高舘熊野堂字余方上5番地の 10 リコー応用電子研究所株式会社内

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 絶縁性基板上に半導体薄膜が形成されて
    いる薄膜半導体装置において、同一絶縁性基板上の前記
    半導体薄膜には単結晶の領域と多結晶の領域が存在し、
    かつ前記半導体薄膜にはP型活性領域とn型活性領域が
    存在していることを特徴とする薄膜半導体装置。
  2. 【請求項2】 同一絶縁性基板上に多結晶半導体領域、
    P型不純物含有多結晶半導体領域およびn型不純物含有
    多結晶半導体領域を形成し、その上に表面保護層を形成
    した後、半導体に吸収される第1のレーザ光と絶縁性基
    板に吸収される第2のレーザ光を、第2のレーザ光の照
    射領域が第1のレーザ光の照射領域をカバーしており、
    かつ第2のレーザ光の照射領域は、前記多結晶半導体領
    域、P型不純物含有多結晶領域およびn型不純物含有多
    結晶領域の少くとも1つをカバーするように照射させ、
    第1のレーザ光照射部分を溶融再結晶化することを特徴
    とする請求項1記載の薄膜半導体装置の製法。
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