JP2786469B2 - 低圧鋳造装置及び低圧鋳造方法 - Google Patents

低圧鋳造装置及び低圧鋳造方法

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JP2786469B2 JP7148189A JP7148189A JP2786469B2 JP 2786469 B2 JP2786469 B2 JP 2786469B2 JP 7148189 A JP7148189 A JP 7148189A JP 7148189 A JP7148189 A JP 7148189A JP 2786469 B2 JP2786469 B2 JP 2786469B2
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【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は低圧鋳造装置及び低圧鋳造方法の改良に関す
る。
(従来の技術) 従来より、自動車用エンジンのアルミニウム製シリン
ダヘッド等を鋳造する場合には、加圧手段により、るつ
ぼ内の溶湯の湯面を加圧して溶湯を押し上げ、押し上げ
られた溶湯をストークを介して鋳型のキャビティ内へ供
給して鋳造する低圧鋳造装置が用いられている。
この場合、溶湯がストーク内を上昇し鋳型の湯口に達
するまでは、溶湯の温度低下を防止するため急速に溶湯
の湯面を加圧することが望まれる一方、溶湯がキャビテ
ィ内に供給され始めてから充填されるまでの間は、製品
の形状などによって定まる適正な圧力で湯面を加圧する
ことが望まれ、さらに、溶湯がキャビティ内に充填され
た後は、溶湯を良好な状態で凝固させるため湯面を高い
圧力で加圧することが望ましい。
このため、従来から、特公昭54−28373号公報に示さ
れるように、鋳型にキャビティの背圧を検知する背圧検
知手段を複数個設け、これらの背圧検知手段の出力信号
に基づき、キャビティ内の溶湯レベルに応じて加圧パタ
ーンを変化させるようにした低圧鋳造装置が知られてい
る。また、特開昭61−71166号公報に示されるように、
ストークの湯口付近に通電式センサを設け、この通電式
センサの出力信号により、溶湯が充填される速度に応じ
て加圧パターンを変化させるようにした低圧鋳造装置が
知られている。さらに、溶湯がキャビティ内へ充填され
たことを検知して充電信号を出力する充填検知センサ
と、この充填検知センサからの充填信号により、湯面に
対する圧力が増大するよう加圧パターンを変化させる圧
力可変制御手段とを備えてなる低圧鋳造装置も知られて
いる。
(発明が解決しようとする課題) しかるに、溶湯の充填を検知する充填検知センサと、
この充填検知センサからの充填信号により加圧パターン
を変化させる圧力可変制御手段とを備えてなる低圧鋳造
装置においては、充填検知センサへの塗型剤の付着や、
鋳造時における充填検知センサ近傍へのエア溜まり発生
や、鋳造時における充填検知センサの配線系の断線、接
続不良等の原因により充填検知センサによる検知不良に
なることがあり、充填検知センサが検知不良状態のとき
には、圧力可変制御手段の加圧パターンを変えることが
できない。
従って、前記従来の低圧鋳造装置においては、充填検
知センサが検知不良の場合には、溶湯がキャビティ内に
充填された後であっても、溶湯の湯面に高い圧力を加え
ることができないため、溶湯を良好な状態で凝固させる
ことができないという問題がある。
特に、自動車用エンジンのアルミニウム製シリンダヘ
ッドを鋳造する場合等、鋳型の内部に鋳造用砂中子を配
置する場合には、溶湯の熱のために、鋳造用砂中子の内
部に混入されたバインダーがガス化して溶湯内に噴出
し、このガスが溶湯の結合力を低下させるので、製品に
巣ができて中空部でのエア洩れが発生したり、或いは製
品にクラックが発生する等の製品不良が生じることがあ
る。
前記に鑑みて、本発明は、充填検知センサが検知不良
状態の場合でも、製品の品質を許容レベル以上に維持
し、これにより、製品不良の発生を防止することを目的
とする。
(課題を解決するための手段) 前記の目的を達成するため、本発明は、キャビティへ
の溶湯の供給開始後、所定時間が経過すると、充填検知
センサからの充填信号が無くても加圧パターンを変化さ
せるものである。
具体的に、請求項1の発明の講じた解決手段は、湯面
に加えられる圧力によって押し上げられる溶湯が供給さ
れるキャビティを有する鋳型と、前記キャビティ内へ溶
湯が充填されたことを検知して充填信号を出力する充填
検知センサと、該充填検知センサからの充填信号により
前記湯面に加えられる圧力の加圧パターンを変化させる
圧力可変制御手段とを備えた低圧鋳造装置を前提とし、
前記キャビティ内への溶湯の供給開始後、所定時間が経
過したときに経過信号を出力するタイマと、該タイマか
らの経過信号により加圧パターンを変えるよう前記圧力
可変制御手段を作動させる加圧パターン制御手段とを備
える構成としたものである。
また、請求項2の発明の講じた解決手段は、湯面に加
えられる圧力によって押し上げられる溶湯がキャビティ
内へ充填されたことを検知する充填検知センサからの充
填信号により前記湯面に加えられる圧力の加圧パターン
を変更する低圧鋳造方法を前提とし、前記キャビティ内
への溶湯の供給開始後、所定時間が経過したとき、前記
加圧パターンを変更する構成としたものである。
(作用) 前記の構成により、請求項1及び2の発明では、充填
検知センサの検知状態が正常の場合には、キャビディ内
に溶湯が充填されると充填検知センサからの充填信号に
より加圧パターンが変えられる。一方、充填検知センサ
の検知状態が不良の場合には、キャビティ内への溶湯の
供給が開始されてから所定時間が経過すると、この経過
信号により加圧パターンが変えられる。
(実施例) 以下、本発明の一実施例を図面に基づいて説明する。
第1図は、本発明の一実施例に係る低圧鋳造装置Aの
全体構成を示し、10は低圧鋳造装置Aの保温炉であっ
て、この保温炉10は上部が開放された箱状に形成されて
いる。保温炉10の内部には溶湯(金属溶湯)を収納する
るつぼ12が担台14上に載置されて収納され、保温炉10の
内壁面には、るつぼ12内の溶湯を加熱するヒータ16が配
設されている。また、保温炉10の上部開放口は着脱可能
な炉蓋18によって気密状に閉塞されており、これによ
り、保温炉10の内部には、るつぼ12を覆う気密状の加圧
室20が形成されている。
炉蓋18の中央部には貫通孔18aが形成され、この貫通
孔18aにはストーク22がその上端フランジ22aを炉蓋18上
面に当接せしめ、且つ、下部をるつぼ12内の溶湯に浸漬
せしめて嵌装されている。
炉蓋18の上面には、上型24、下型26及びサイド型28よ
りなる鋳型30が炉蓋18とでストーク22の上端フランジ22
aを挾圧するように固定されている。これら上型24、下
型26及びサイド型28の各内面により形成されるキャビテ
ィ32の内部には、上から順次オイルジャケット中子34、
ウォータージャケット中子36及びポート中子38が配置さ
れており、また、このキャビティ32は、下型26に形成さ
れた湯口40を介してストーク22の上端開口部に連通され
ている。
加圧室20には、この加圧室20へ加圧エアを供給するエ
ア供給路42が連通されており、このエア供給路42を介し
て供給される加圧エアの圧力により、るつぼ12内の溶湯
は押し上げられ、押し上げられた溶湯はストーク22を介
して鋳型30のキャビティ32内に供給されて充填されるこ
とにより鋳物が製造される。
エア供給路42には加圧エアの供給及び停止の切換えを
する開閉式給気弁44が介設されていると共に、この開閉
式給気弁44よりも上流側のエア供給路42には、前記加圧
エアの圧力を調整する圧力制御弁46が介設されている。
また、この圧力制御弁46にはその開度を制御するサーボ
機構48が付設されており、これら圧力制御弁46及びサー
ボ機構48により、溶湯に加えられる圧力の加圧パターン
を変化させる圧力可変制御手段50が構成されている。
鋳型30の上型24にはリング状の絶縁体52が挿着され、
この絶縁体52の両側における上型24の各々の上部に、キ
ャビティ32内に溶湯が充填されたときに導通する2本の
配線54が接続されているとともに、両配線54は、これら
両配線54が互いに導通したときに充填信号を送出する溶
湯充填検知回路56に接続されている。前記絶縁体52、配
線54及び溶湯充填検知回路56によって、溶湯のキャビテ
ィ32内への充填を検出する充填検知センサ58が構成され
ている。
また、第1図において、60は、溶湯のキャビディ32内
への供給開始後、予め設定された所定時間が経過したと
きに経過信号を送出するタイマ、62はCPUを内蔵し、充
填検知センサ58からの充填信号又はタイマ60からの経過
信号に基づき、圧力可変制御手段50の加圧パターンを変
化させる加圧パターン制御手段である。
以下、第2図のフローチャート及び第3図の加圧パタ
ーン図に基づき、低圧鋳造装置Aの加圧制御方法を説明
する。
まず、ステップST1で、エア供給路42から加圧室20へ
加圧エアを供給し、るつぼ12内の溶湯を押し上げ、この
溶湯をストーク22を介して鋳型30のキャビティ32へ供給
して鋳造を開始すると共に、ステップST2でタイマ60が
起動する。この場合、第3図における加圧パターン
(a)に示すように、加圧エアの供給開始後、溶湯が鋳
型30の湯口40に達する予定の時間t1が経過するまでの間
は、圧力を急速に上昇させて溶湯を速やかに押し上げ、
溶湯の温度低下を防止し、溶湯が湯口40に達する予定時
間t1経過後は、溶湯が砂中子同志の間にスムーズに充填
されるよう圧力上昇速度を低下させる。
次に、ステップST3で、充填信号の有無により、充填
検知センサ58が溶湯の充填を検知したか否かを判断し、
充填検知センサ58が充填を検知した場合には、ガスが砂
中子から溶湯中に噴出するのを防止するため、ステップ
ST4で、第3図の加圧パターン(b)に示すように加圧
室20内の圧力を高めると共に、充填検知センサ58が正常
に機能しているため、ステップST5でタイマ60を停止す
る。
また、ステップST3で充填検知センサ58が溶湯の充填
を検知しない場合は、ステップST6で、加圧エア供給開
始後、所定時間t2経過後にタイマ60から出力される経過
信号を受けて第3図の加圧パターン(c)に示すように
加圧室20内の圧力を高める。このようにすると、充填検
知センサ58が検知不良の場合でも、加圧エアの供給開始
後、所定時間t2の経過と共に加圧室20内の圧力を高める
ことができるので、製品不良の発生を防止できる。
次に、ステップST7でタイマ30をリセットして次の鋳
造工程に備えると共に、ステップST8で鋳造を完了す
る。
第4図は前記実施例に係る低圧鋳造装置Aの加圧制御
系統図を示し、同図において、64は開閉式給気弁44がオ
ン操作され、加圧室20への加圧エアの供給が開始された
ときにオン信号を出力する加圧開始信号スイッチ、66は
溶湯がキャビティ32に充填されたとき充填検知センサ58
より送出される充填信号によりオン信号を出力する充填
信号スイッチ、68は鋳造が完了したときにオン信号を出
力する鋳造完了スイッチである。また、タイマ60は、加
圧開始信号スイッチ64からオン信号を受けると起動する
と共に、起動後、所定時間t2が経過するとオン信号を出
力し、鋳造完了スイッチ68からオン信号を受けるとリセ
ットするよう設定されている。
また、第4図において、70は、加圧開始信号スイッチ
64からオン信号を受けると圧力可変制御手段50を制御し
て、加圧室20内の圧力を急速に上昇させ、加圧開始後、
所定時間t1が経過した後は圧力上昇速度を遅くし、充填
信号スイッチ66又はタイマ60のいずれかからオン信号を
受けるとその時の圧力を維持し、鋳造完了スイッチ68か
らオン信号を受けると加圧室20内の圧力を常圧に戻す加
圧パターンの第1の加圧信号を出力する第1CPUである。
また、同図において、72は、加圧開始信号スイッチ64又
はタイマ60のいずれかからオン信号を受けると加圧室20
内の圧力を上昇させ、この圧力が所定値に達するとその
時の圧力を維持し、鋳造完了スイッチ68からオン信号を
受けると加圧室20内の圧力を常圧に戻す加圧パターンの
第2加圧信号を出力する第2CPUである。さらに、74は前
記第1加圧信号と第2加圧信号とを加算する加算回路で
あって、前記第1CPU70、第2CPU72及び加算回路74によっ
て加圧パターン制御手段62が構成されている。
第5図は前記実施例における加圧制御方法の具体的な
加圧パターンを示し、加圧室20内の加圧開始と同時に第
1CPU70及びタイマ60が起動し、加圧開始8秒後に第1CPU
70は圧力上昇速度を遅くし、充填検知センサ58が充填信
号を出力すると(通常、加圧開始13秒後)、第1CPU70が
そのときの圧力を維持する一方、第2CPU72が加圧室20の
圧力を上昇させ、加圧室20内の圧力が所定値に達すると
(通常、加圧開始20秒後)、第2CPU72もそのときの圧力
を維持する。この場合、タイマ60は加圧開始18秒後にオ
ン信号を出力して第2CPU72を起動させるよう設定されて
おり、充填検知センサ58が検知不良の場合でも加圧開始
18秒後には第2CPU72が起動する。
第6図は前記加圧制御方法の変形例の加圧パターンを
示し、この変形例においては、鋳型30の下型26に、溶湯
が湯口40を通過するときに通過信号を出力する湯口通過
センサを配置すると共に、第1CPU70及び第2CPU72の他に
第3CPUを設置しておく。そして、湯口通過センサが通過
信号を出力すると(通常、加圧開始9秒後)、第1CPU70
はそのときの圧力を維持する一方、第2CPU72は加圧室20
内の圧力を上昇させ、充填検知センサ58からの充填信号
(通常、加圧開始13秒後)に基づき、第2CPU72はそのと
きの圧力を維持する一方、第3CPUは加圧室20内の圧力を
上昇させるような加圧パターンに設定しておく。この場
合、タイマ60を、加圧開始15秒後及び湯口通過センサか
らの通過信号を受けてから5秒後のうちのいずれか早い
ときにオン信号を出力して第3CPUを起動させるよう設定
しておく。
この変形例のように加圧パターンを設定すると、時間
の経過と溶湯の上昇程度との間に発生する誤差を少なく
設定することができるため、第3CPUを加圧開始15秒後に
起動でき、前記具体例の場合(加圧開始18秒後)よりも
早く起動できるので、充填検知センサ58が検知不良の場
合でも製品の品質を高く維持できる。また、湯口通過セ
ンサが設けられているため、溶湯が湯口40を通過するま
での圧力上昇速度を具体例の場合よりも早くすることが
できるので、溶湯の温度低下を防止できる。さらに、湯
口通過センサが必要になる反面、第1CPU70として単純な
機能のCPUを使用できるのでコスト的に有利にもなる。
(発明の効果) 以上説明したように、請求項1及び2の発明による
と、充填検知センサが正常の場合には充填信号により、
充填検知センサが検知不良の場合には経過信号により、
加圧パターンを変えるので、充填検知センサの検知状態
の正常、不良を問わず加圧パターンが変えられる。この
ため、充填検知センサに検知不良が発生した場合でも、
製品の品質を許容レベル以上に維持することができるの
で、製品不良の発生を防止できる。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の一実施例に係る低圧鋳造装置の全体構
成図、第2図及び第3図は前記低圧鋳造装置の加圧制御
方法を示し、第2図はフローチャート図、第3図は加圧
パターン図、第4図は前記低圧鋳造装置の加圧制御系統
図、第5図は前記低圧鋳造装置の具体的な加圧制御方法
を示す加圧パターン図、第6図は前記低圧鋳造装置の加
圧制御方法の変形例を示す加圧パターン図である。 A……低圧鋳造装置 30……鋳型 32……キャビティ 50……圧力可変制御手段 58……充填検知センサ 60……タイマ 62……加圧パターン制御手段
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) B22D 18/04 B22D 18/08

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】湯面に加えられる圧力によって押し上げら
    れる溶湯が供給されるキャビティを有する鋳型と、前記
    キャビティ内へ溶湯が充填されたことを検知して充填信
    号を出力する充填検知センサと、該充填検知センサから
    の充填信号により前記湯面に加えられる圧力の加圧パタ
    ーンを変化させる圧力可変制御手段とを備えた低圧鋳造
    装置において、前記キャビティ内への溶湯の供給開始
    後、所定時間が経過したときに経過信号を出力するタイ
    マと、該タイマからの経過信号により加圧パターンを変
    えるよう前記圧力可変制御手段を作動させる加圧パター
    ン制御手段とを備えたことを特徴とする低圧鋳造装置。
  2. 【請求項2】湯面に加えられる圧力によって押し上げら
    れる溶湯がキャビティ内へ充填されたことを検知する充
    填検知センサからの充填信号により前記湯面に加えられ
    る圧力の加圧パターンを変更する低圧鋳造方法におい
    て、前記キャビティ内への溶湯の供給開始後、所定時間
    が経過したとき、前記加圧パターンを変更することを特
    徴とする低圧鋳造方法。
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