JP2786177B2 - クレーンの制御方法 - Google Patents

クレーンの制御方法

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JP2786177B2
JP2786177B2 JP34831596A JP34831596A JP2786177B2 JP 2786177 B2 JP2786177 B2 JP 2786177B2 JP 34831596 A JP34831596 A JP 34831596A JP 34831596 A JP34831596 A JP 34831596A JP 2786177 B2 JP2786177 B2 JP 2786177B2
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英昭 吉松
憲彦 林
秀樹 絹川
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、旋回可能なブームを備
えたクレーンにおいて、そのブームの旋回動作を制御す
る方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】一般に、旋回可能なブームを備えたクレ
ーンでは、その座屈、転倒等を防ぐため、作業状態が安
全領域を超えた場合に強制的にクレーンを自動停止させ
るといった安全動作が行われるようになっている。
【0003】従来、このようなクレーンでは、許容条件
が旋回角に拘らず360°全域に亘って同等に設定され
ていたが、クレーンに備えられるアウトリガジャッキは
常に完全に張出されるとは限らず、小幅の道路等、作業
場所によっては一部のアウトリガジャッキの張出し量が
各々異なることがあるため、この場合には旋回角によっ
ても許容条件を変える必要がある。
【0004】そこで、特開昭57−27893号公報に
は、クレーンの作業状態を時々刻々検出し、その検出値
と各状態に対応して記憶された吊上げ能力の設定値から
クレーンの定格荷重を定め、この定格荷重と実荷重との
比較に基づいて安全動作を行うようにしたものが示され
ている。
【0005】また、実開昭62−89289号公報に
は、各アウトリガジャッキの張出し量に応じてブームの
旋回許容範囲を記憶しておき、実際の作業状態がこの範
囲を超えた場合に旋回駆動およびブーム駆動を停止させ
るようにしたものが示されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】特開昭57−2789
3号公報の装置では、算出された定格荷重と実荷重とを
比較するものであるため、ブーム長および作業半径が固
定された状態で現在の荷重を吊上げられるか否かを判断
するには都合がよいが、この荷重を吊上げた状態でどの
位置まで旋回できるかといった限界作業領域を把握する
のは困難である。従って、ブームの旋回によって限界作
業領域を超える場合の安全動作を制御することは実質上
不可能である。
【0007】また、実開昭62−89289号公報に示
される装置では、ブームがその旋回によって許容作業領
域を超えた瞬間に制動をかけるようにしているが、ブー
ムには旋回による慣性力が働くため、上記旋回を急に止
めることはできず、実際には制動をかけてもブームは所
定角度旋回することになるため、ブームが実際に停止す
る位置は限界作業領域から外れてしまう。しかも、上記
旋回をなるべく短時間で止めようとして急停止をかける
と、慣性力の影響で吊り荷に大きな振れが生じ、安全性
を損うことになる。
【0008】本発明は、このような事情に鑑み、ブーム
の旋回状態と限界作業領域との関係を考慮して的確に安
全動作を行うことができるクレーンの制御方法を提供す
ることを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
の手段として、本発明は、旋回可能なブームを備えたク
レーンの動作を制御する方法であって、現在のクレーン
の運転状態に基づいてブームの限界作業領域を設定し、
現在のブーム位置から上記限界作業領域の境界に至るま
での残り旋回角度に基づいて、吊り荷の触れを残さずに
限界作業領域内でブームの旋回を停止させるためのブー
ムの旋回の制動開始のタイミングを決定するものであ
る。
【0010】
【作用】上記方法では、現在のブーム位置から限界作業
領域の境界に至るまでの残り旋回角度に基づいて旋回制
動の開始タイミングを決定するので、吊り荷の振れを残
さずに、しかも限界作業領域の内側で確実にブームを停
止させることが可能である。
【0011】
【実施例】本発明の一実施例を図面に基づいて説明す
る。
【0012】図9に示されるクレーン10は、鉛直方向
の旋回軸101回りに旋回可能なブームフット102を
備え、このブームフット102に、N個のブーム部材B
1〜BNからなる伸縮可能なブームBが取付けられてい
る。このブームBは、水平方向の回動軸103を中心に
回動可能(起伏可能)に構成され、その先端部(ブーム
ポイント)にロープ104で吊り荷Cが吊下げられてい
る。なお、以下の説明でBn(n=1,2,…,N)は
ブームフット102側から数えてn番目のブーム部材を
示すものとする。
【0013】また、このクレーン10のロアフレームの
前後左右の4隅には、側方に張出されるアウトリガジャ
ッキ(張出し可能な支持部材)105が配設されてい
る。
【0014】このクレーン10には、図1に示されるよ
うなブーム長センサ11、ブーム角センサ12、シリン
ダ圧力センサ13、アウトリガジャッキ張出し量センサ
14、旋回角センサ15、角速度センサ16、およびロ
ープ長センサ17が配設され、各センサの検出信号が演
算制御装置20に入力されるとともに、この演算制御装
置20からは、警報器31、ディスプレイ画面をもつ表
示装置32、および旋回駆動用の油圧システム33に制
御信号が出力されるようになっている。
【0015】図2は、上記演算制御装置20の機能構成
を示したものである。この演算制御装置20は、大別し
て、1)負荷率に関する演算制御、2)限界作業領域に
関する演算制御の2つを行うように構成されている。
【0016】1)負荷率の演算制御に関する機能構成 図において、作業半径算出手段21は、ブーム長センサ
11およびブーム角センサ12により各々検出されたブ
ーム長LB およびブーム角φから吊り荷Cの作業半径R
を算出するものである。吊上げ荷重算出手段22は、上
記ブーム長LB、ブーム角φ、およびシリンダ圧力セン
サ13により検出されたブームアッパのシリンダ圧力p
により、実際に吊上げられた吊り荷Cの荷重Wを算出す
るものである。
【0017】定格荷重算出手段221は、上記作業半径
R、ブーム長LB、安全係数α、旋回角センサ15によ
り検出された旋回角θ、およびアウトリガジャッキ張出
し量センサ14により検出された各張出し量d1,d2
3,d4に基づいて定格荷重Wo を算出するものであ
る。負荷率算出手段23は、上記定格荷重Wo に対する
実際の吊上げ荷重Wの比、すなわち、負荷率W/Woを
算出するものである。
【0018】第1警告制御手段291は、上記負荷率算
出手段23により算出された負荷率W/Wo が90%以
上となった時点で警報器31へ制御信号を出力し、警報
を行わせるものである。第1停止制御手段292は、上
記負荷率W/Wo が100%を超えた時点で油圧システ
ム30に制御信号を出力し、旋回を除くクレーン動作
(ブームBの伸長・倒伏、吊り荷Cの巻上げ等)を強制
的に停止させるものである。
【0019】以上の手段によって、負荷率W/Wo が算
出され、この負荷率W/Woに基づいて安全動作が制御
される。
【0020】2)限界作業領域の演算制御に関する機能
構成 限界作業領域設定手段24は、上記吊上げ荷重W、上記
アウトリガジャッキ張出し量センサ14で検出された各
アウトリガジャッキ105の張出し量d1〜d4、および
ブーム長LBに基づき、上記条件下でのクレーン10の
限界作業領域、すなわち安全な範囲でブームBの先端が
移動できる領域を算出するものである。この領域は、旋
回角θと作業半径Rとの関係式θ=f(R)で与えられ
る。また、残り角度算出手段25は、ブームBが現在の
位置から上記限界作業領域を超えるまでに旋回できる残
り旋回角度θc を算出するものである。
【0021】一方、制動角加速度算出手段26は、上記
作業半径R、吊上荷重W、定格荷重Wo、ブーム長LB
ブーム角φ、角速度センサ16とロープ長センサ17に
より各々検出される角速度Ωoおよび吊り荷の振れ半径
l、および図3に示される横曲げ安全係数設定手段26
0により設定される横曲げ安全係数α′に基づき、実際
の制動角加速度βを算出するものである。具体的には、
図3に示されるようなブーム慣性モーメント算出手段2
61、許容角加速度算出手段262、および実際角加速
度算出手段263を備え、停止時に吊り荷Cの振れを残
さず、かつ制動、停止時の慣性力に対するブームBの横
曲げ強度を考慮した制動角加速度βを算出する。
【0022】所要角度算出手段27は、旋回制動開始前
の角速度Ωo に基づき、上記制動角加速度βで制動を開
始してから停止するまでにブームBが旋回する角度(所
要角度)|θr|を算出するものである。余裕角度算出
手段28は、上記残り旋回角度θc と所要角度|θr|
の差である余裕角度Δθを算出するものである。
【0023】第2警告制御手段293は、算出された余
裕角度Δθが所定値以下となった時点で警報器31に制
御信号を出力し、警報を行わせるものである。第2停止
制御手段294は、上記余裕角度Δθが0となった時点
で油圧システム33内のモータへ制御信号を出力し、上
記制動角加速度βでブームBの旋回を制動・停止させる
とともに、作業半径が大きくなる動作を強制的に停止さ
せるものである。
【0024】以上の手段によって、限界作業領域が設定
され、この領域と現在の作業状態との比較により安全動
作が制御されるようになっている。
【0025】次に、この演算制御装置20が実際に行う
演算内容および制御内容を説明する。
【0026】1)負荷率に関する演算制御 作業半径算出手段21は、まず、ブーム長LB およびブ
ーム角φによってブームBの撓みを考慮に入れない作業
半径R′およびブームBの撓みによる半径増加分ΔRを
求め、両者から作業半径Rを算出する。吊上げ荷重算出
手段22は、算出された作業半径R、ブーム長LB 、お
よびシリンダ圧力pから、実際に吊上げられた吊り荷C
の荷重Wを算出する。定格荷重算出手段221は、上記
作業半径R、ブーム長LB 、アウトリガジャッキ105
の張出し量d1〜d4、および予め定められた安全係数α
に基づき、現在の旋回角θに対応する定格荷重Woを、
設定された定格荷重を記憶したメモリの中から呼び出す
か、あるいは同メモリの値から補間演算で算出する。さ
らに、負荷率算出手段23は、上記定格荷重Woに基づ
いて負荷率W/Woを算出する。
【0027】この負荷率W/Woが90%以上の場合に
は、第1警告制御手段291の出力信号を受けた警報器
31から警報が発せられるため、作業者は、吊上げた荷
Cによる荷重Wが定格荷重Woに近いことを知ることが
できる。また、負荷率W/Woが100%を超える場
合、すなわち、実荷重Wが定格荷重Woを上回る場合に
は、危険防止のため、第1停止制御手段292の出力信
号により旋回を除くクレーン動作(ブームBの伸長・倒
伏、吊り荷Cの巻上げ等)が強制的に停止される。
【0028】2)限界作業領域に関する演算制御 限界作業領域設定手段24は、上記吊上げ荷重W、各ア
ウトリガジャッキ105の張出し量d1〜d4、およびブ
ーム長LBに応じた限界作業領域を設定する。
【0029】その設定要領を図4に示す。まず、クレー
ン10の旋回中心Oから各アウトリガジャッキ105の
張出し位置FL,FR,RL,RRへ直線を引き、アウ
トリガジャッキ105の張出し量が少ない側(この図で
はクレーン10の左側)に引いた直線から予め定められ
た一定の角度ψだけ中心側にずらした線を境界線41,
42とする。そして、この境界線41,42を境として
クレーン10の右側の領域を安定区間とし、この区間に
は、実際の吊上げ荷重Wに応じた最大の許容作業半径
(第1の許容作業半径)r1を設定する。すなわち、こ
の区間の限界作業領域は、上記半径r1をもつ円弧43
で囲まれた扇形になる。また、4本のアウトリガジャッ
キ105を全て最大に張出すと、半径r1をもつ全円の
内側全てが限界作業領域となる。
【0030】これに対し、上記境界線41,42を境に
してクレーン10の左側の領域は不安定区間とする。従
来、この不安定区間には上記第1の許容作業半径r1
りも小さな第2の許容作業半径r2をもつ円弧44から
なる限界作業領域が設定されていたが(図4の二点鎖線
参照)、この装置では、図5にも示されるように、各境
界線41,42上の境界点P1,P2から円弧44に接線
1,L2を引き、これらの接線L1,L2および上記円弧
44の一部で囲まれる領域を限界作業領域として設定す
る。
【0031】従って、この限界作業領域設定手段24で
設定される限界作業領域の境界線は、一般に旋回角θと
作業半径Rとの関係式θ=f(R)で表される。具体的
に、安定区間ではR=r1(一定)、不安定区間中の最
不安定区間(円弧44の部分)ではR=r2≦r1(一
定)となる。また、これ以外の領域、すなわち接線
1,L2の部分については、図5に示されるように、円
弧44から直線L1へ移行するときの旋回角をθo とす
ると、次式が成立する。
【0032】
【数1】
【0033】従って、接線L1は次の関係式で表され
る。
【0034】
【数2】
【0035】なお、上記許容作業半径r1,r2は、吊上
げ荷重Wに応じて逐次算出するようにしてもよいし、吊
上げ荷重Wを何段階かに分けて各段階別にメモリに記憶
させておいてもよい。例えば、各アウトリガジャッキ1
05の張出し量d1〜d4が一定の場合には、図6に示さ
れるように、各吊上げ荷重Wに応じた限界作業領域は全
て略相似形になる(実線62、二点鎖線61,63,6
4参照)。
【0036】残り角度算出手段25は、現在の作業半径
Rおよび旋回角θに基づき、旋回によって上記限界作業
領域を超えるまでの残り旋回角度θc を算出する。例え
ば、図6において、クレーンが10tの荷重を吊り下げ
ている場合、限界作業領域は太い実線62の内側とな
る。また、現在のブームポイントの位置をAとし、A→
D→Cの方向に同一作業半径で旋回している場合、旋回
中心Oを中心として位置Aを通る円弧と限界作業領域の
領域線との交点をCとすると、直線OA,OCのなす角
度が残り旋回角度θc となる。
【0037】一方、制動角加速度算出手段26は、次の
手順を経ることにより、ブームBの横曲げ強度を考慮
し、かつ荷振れを残さない制動角加速度βを算出する。
【0038】まず、ブーム慣性モーメント算出手段26
1は、各ブーム部材Bn の慣性モーメントInを次式に
基づいて算出する。
【0039】
【数3】
【0040】ここで、Inoはφ=0の状態における各ブ
ーム部材Bnの重心回りの慣性モーメント(定数)を示
し、Wnは各ブーム部材Bnの自重、gは重力加速度、R
nは各ブーム部材Bnの重心の旋回半径を示す。
【0041】許容角加速度算出手段262は、次のよう
にして許容角加速度β1を求める。
【0042】一般に、クレーン10のブームBおよびブ
ームフット102は十分な強度を有しているが、ブーム
長LBが長くなると、旋回制動時に発生する慣性力に起
因してブームBに大きな横曲げ力が作用する。この横曲
げ力による強度的な負担はブームフット102付近で最
大となるので、ここでは、旋回軸101回りのモーメン
トに基づいて強度評価を行うようにしている。
【0043】具体的に、旋回制動時のブームBの角加速
度をβ′、吊り荷Cの角加速度をβ″とすると、ブーム
Bの旋回に起因してその旋回中心に作用するモーメント
Bは次式で表される。
【0044】
【数4】
【0045】ここで、Wは上記吊上げ荷重算出手段22
で算出された吊上げ荷重である。一方、ブームBの吊上
定格荷重をWo 、横曲げに対する評価係数をα′とする
と、ブームBの横曲げに対する強度についての許容条件
は次の(2)式で表される。
【0046】
【数5】
【0047】この(2)式に(1)式を代入すると、次の(3)
式が得られる。
【0048】
【数6】
【0049】一方、吊り荷Cの荷振れがなく、かつブー
ムBと吊り荷Cがともに角速度Ωoで旋回している状態
からブームBを以下に示す条件で等角加速度で制動した
場合、上記ブームBの角加速度β′および吊り荷Cの角
加速度β″は、図11に示されるような関係を有するこ
とが確認されている。
【0050】この図は、後述の(8)式において導入され
る自然数nを1とした場合のブームBの角速度Ωおよび
吊り荷Cの角速度Ωoを各々実線81および破線82で
示したものである。この図に示されるように、制動を開
始してから時間t=TでブームBが完全停止するような
等角加速度停止制御を行った場合、ブームBの角速度Ω
は直線的に減少するのに対し、吊り荷Cの角速度Ωo
は、制動開始直後と停止直前では緩やかに、中間領域で
は急激に減少する。すなわち、吊り荷Cの角速度Ωo
は、完全停止時までに1周期分の振動をしており、制動
を開始してから時間t=T/2を経過した時点でブーム
Bの角速度Ωと等しくなる。しかも、この時点で吊り荷
Cの角加速度β″はブームBの角加速度β′の2倍とな
る。
【0051】これに対し、上記自然数nが2以上の場合
には、ブームBの角速度Ωの勾配が1/nとなり、吊り
荷Cの角速度Ωoは制動開始から停止までにn周期分の
振動を行うことになるが、n=1の場合と同様に、吊り
荷Cの角加速度β″は最小時(絶対値をとれば最大時)
でブームBの角加速度β′の2倍となる。
【0052】従って、理論的には、β″=2β′として
演算を進めることにより、クレーンの安全を確保できる
ことになるが、実際には旋回制動開始時に吊り荷Cが振
れている場合があり、このような振れがあると、制動中
の吊り荷Cの角加速度β″はブームBの角加速度β′の
2倍を超えることになる。
【0053】よって、実際の制御を行うにあたっては、
安全率を考慮して、k>2となるような係数kを導入
し、β″=kβ′として演算を進めるのが望ましい。
【0054】そこで、この式β″=kβ′を上記(3)式
に代入すると、次の(4)式が得られる。
【0055】
【数7】
【0056】従って、この(4)式を満たす最大の角加速
度β′を許容角加速度β1に設定すればよい。なお、上
記評価係数α′は、一定の値に定めてもよいが、ブーム
Bの撓みなどを考慮して、ブーム長LBや作業半径Rが
大きくなるほど小さい値に設定するようにしてもよい。
【0057】実際角加速度算出手段263は、このよう
にして算出された許容角加速度β1と、角速度センサ1
6およびロープ長センサ17の検出結果から求められる
ブーム角速度(減速前の角速度)Ωo および荷振れ径l
とに基づいて、実際の制動角加速度βを算出する。
【0058】その算出要領を説明する。まず、クレーン
10に吊下げられた吊り荷Cについて、図7に示される
ような単振り子のモデルを考える。この系の微分方程式
は次式で与えられる。
【0059】
【数8】
【0060】ここで、ηは吊り荷Cの振れ角、Vは時間
tとともに変化するブームポイントの旋回速度、Vo は
同ブームポイントの旋回停止開始前の旋回速度(=RΩ
o )、aはその加速度を示す。(6)式の両辺を時間tで
微分して(5)式の右辺に代入し、初期条件(t=0でη
=0,ηドット=0)の下で積分すると、次の(7)式が
得られる。
【0061】
【数9】
【0062】この式をηドット/ωとηとに関する位相
平面上に表すと、図8に示されるように、点A(0,−
a/g)を中心として原点O(0,0)を通る円を描く
ことになる。この円を1周するための時間、すなわち単
振り子の状態が原点Oから変化して同状態に復帰する周
期Tは、T=2π/ωで与えられるため、クレーンの旋
回停止制御を開始した時点(A点)から時間nT(nは
自然数)後に完全停止するように角加速度βを設定すれ
ば、吊り荷の振れを残さずにクレーンを停止させること
ができる。一方、上記ωは重力加速度gおよび振れ半径
lで決定される一定値であるため、荷振れの残らない旋
回停止制御が可能な角加速度βは次式より求めることが
できる。
【0063】
【数10】
【0064】また、ブームBの横曲げ強度に関しては|
β|≦β1が条件であるため、この条件を満たす範囲内
で最小の自然数nを選択することにより、必要最小時間
で荷振れを残さずにクレーンを制動、停止させるための
実際の制動角加速度βを得ることができる。
【0065】所要角度算出手段27は、現在の角速度
(すなわち制動前の角速度)Ωo に基づき、上記制動角
加速度βで旋回停止制御を行う場合に制動を開始してか
ら完全に停止するまでに必要な旋回角度(所要角度)|
θr|を算出する。具体的に、制動を開始してから完全
停止するまでの所要時間をtとすると、次の2式が成立
する。
【0066】
【数11】
【0067】従って、これらの式からtを消去すること
により、所要角度|θr|が得られる。具体的には、次
の値が得られる。
【0068】
【数12】
【0069】余裕角度算出手段28は、制動を開始する
までに現在の角速度Ωo で旋回できる角度、すなわち余
裕角度Δθ(=θc−|θr|)を算出する。例えば図6
において、位置Cで完全停止するために制動を開始しな
ければならない位置をDとすると、上記余裕角度Δθは
直線OA,ODのなす角度となる。
【0070】第2停止制御手段294は、この算出され
た余裕角度Δθが0となった時点、例えば図6ではブー
ムBが位置Dに到達した時点で、油圧システム33に制
御信号を出力することにより、ブームBの旋回制動およ
び作業半径が大きくなる動作の強制停止を行う。このと
き、吊り荷Cの停止時の振れを無くすため、上記制動角
加速度βで制動、停止するように油圧モータ圧力PB
設定する。
【0071】この油圧モータ圧力PBの算出要領の一例
を示す。いま、ブームB以外の旋回部材に関する慣性モ
ーメントの総和をIuとすると、旋回制動に必要なトル
クTBは、次のようになる。
【0072】
【数13】
【0073】一方、このトルクTBは油圧モータ側の条
件(油圧モータの差圧ΔP)と図12の実線90に示さ
れるような関係にあり、式で表わすと次のようになる。
【0074】
【数14】
【0075】なお、上記モータ差圧ΔP1は、上記(10)
式で表わされる直線と、上記(11)式で表わされる直線と
の交点におけるモータ差圧ΔPの値を表わす。
【0076】従って、この(10)式または(11)式を上記
(9)式に代入することにより、油圧モータの差圧ΔPを
得ることができる。
【0077】さらに、油圧モータの駆動側圧力をPA
すると、下記(12)式によって、油圧モータの制動側圧力
Bを得ることができる。
【0078】
【数15】
【0079】これに対し、第2警告制御手段293は、
上記余裕角度Δθが0でなく所定値以下になった時点で
警報器31に制御信号を出力し、警報を行わせる。これ
によって作業者は、あと残り僅かな旋回で、自動的に制
動がかけられることを知ることができる。
【0080】さらに、この演算制御装置20は、各値に
関する情報信号を表示装置32に出力し、図6に示され
るような画面表示を行わせる。すなわち表示装置32
は、その画面上に、クレーン10のロアフレームの位
置、各アウトリガジャッキ105の張出し位置FL,F
R,RL,RR、限界作業領域(例えば吊上げ荷重Wが
10tの場合には実線62)、さらには作業半径Rおよ
び旋回角θの双方を示す線分60を表示する。これによ
って作業者は、現在の作業状態と限界作業領域との関係
を一目で把握することができる。
【0081】3)実際に行われる制御動作の具体例 ここでは、上記クレーンにおいて、10tの吊り荷Cが
吊り下げられ、かつ作業半径Rが拡大されながら(すな
わちブームBが伸長あるいは倒伏しながら)旋回が行わ
れる時の制御動作例を図10に基づいて説明する。
【0082】まず、吊り荷Cが安定区間内において限界
作業領域の境界線(実線62)に到達する場合、すなわ
ち残り旋回角度が制動の所要角度|θr |となる前に作
業半径Rが拡大されてr1となり、負荷率が100%と
なる場合について説明する(矢印A1参照)。
【0083】この場合には、作業半径Rがr1となった
地点(点Q1)で、第1停止制御手段292の出力信号
により、ブームBの伸長・倒伏および吊り荷Cの巻上げ
が強制的に停止されるが、まだ残り旋回角度θc は所要
角度|θr |よりも大きな状態にあるので、旋回半径R
がr1に固定された状態で旋回が続行される。すなわ
ち、限界作業領域の境界線に沿って旋回が行われる。そ
して、残り旋回角度θc が所要角度|θr |となった地
点(点Q2)で第2停止制御手段294の出力信号によ
り旋回の制動が開始され、安定区間と不安定区間の領域
点である点Q3で旋回が完全停止される。
【0084】従って、この場合には、まず第1停止制御
手段292によって作業半径Rが固定され、その後に第
2停止制御手段294によって旋回の制動・停止が行わ
れる。
【0085】次に、吊り荷Cが限界作業領域の境界線に
到達する前に旋回制動が開始される場合、すなわち、作
業半径Rの拡大により負荷率が100%となる前に残り
旋回角度θcが旋回制動の所要角度|θr|となる場合に
ついて説明する(矢印A2参照)。
【0086】この場合には、上記残り旋回角度θc が所
要角度|θr|となった地点(点Q4)で、第2停止制御
手段294の出力信号によって旋回制動が開始されると
ともに、ブームBの伸長・倒伏、すなわち作業半径Rが
大きくなるような動作も強制的に停止され、作業半径R
はこの時点での半径r3に固定される。
【0087】ここで、作業半径Rを固定するのは、作業
半径が拡大されながら制動が行われると、最終的な停止
地点が限界作業領域を超えてしまうからである。すなわ
ち、このように作業半径Rがr3に固定されたまま制動
が開始されることにより、旋回は限界作業領域の境界線
上の点Q5で完全停止される。
【0088】従って、この場合には、作業半径Rの固定
および旋回の制動・停止の双方が第2停止制御手段29
4で行われることになる。
【0089】なお、作業半径Rが小さくなるような動
作、すなわちブームBの収縮や起立については、このよ
うな動作を行っても安全性は損われにくいので、上記の
ような強制停止は原則的には行われない。
【0090】以上の説明のように、この方法では、吊り
荷Cの振れを残さずに旋回を制動、停止させるための所
要角度|θr|と、限界作業領域を超えるまでに旋回で
きる残り旋回角度θc とを算出し、両角度の比較に基づ
いて旋回停止制御や警報などの安全動作を行うようにし
ているので、限界作業領域内で安全かつ確実にクレーン
を停止させることができる。具体的には、両角度が一致
する前の時点で警報を行うことにより、作業者に旋回速
度の抑制を促すとともに、両角度が一致する点では、荷
振れが残らない制動角加速度で自動的に旋回制動がかけ
られる。
【0091】また、表示装置32においては、作業半径
Rおよび旋回角θを表す線分60と限界作業領域とを同
一画面上に表示するようにしているので、クレーン作業
者は旋回角速度も含めた旋回状況と限界作業領域との関
係を一目で正確に把握することができ、これにより、安
全性を考慮した的確な旋回運転をすることができる。
【0092】なお、本発明はこのような実施例に限定さ
れず、例として次のような態様をとることもできる。
【0093】(1) 上記実施例では、安全動作の制御お
よび画面表示の双方を行っているが、安全動作の制御の
みを行うようにしてもよい。この安全動作についても、
旋回の制動停止と警報の双方を行うのではなく、旋回の
制動、停止のみを行うようにしてもよい。
【0094】(2) 上記実施例では、余裕角度Δθが0
となった時点で制動を開始するようにしているが、余裕
をみて上記角度Δθが所定値以下になったときに制動を
かけるようにしてもよい。
【0095】(3) 上記実施例では、余裕角度Δθが所
定値以下となった場合に警告を開始するようにしている
が、この余裕角度Δθを角速度Ωo で除した余裕時間Δ
tが一定値(例えば3sec 等)以下となった時点で警告
を行うようにしてもよい。このような制御を行えば、角
速度Ωo に拘らず、警告が始まってから制動が始まるま
でに常に一定時間だけ余裕が与えられることになる。ま
た、旋回停止制御開始のタイミングについても、同様に
余裕時間Δtで設定するようにしてもよい。
【0096】(4) 上記表示装置32では、限界作業領
域および線分60を表示するようにしているが、これら
に加え、旋回制動を開始しなければならない点(図6で
は点D)も表示するようにすれば、より効果的となる。
【0097】(5) 本発明では、限界作業領域の具体的
な形状は問わず、例えば、従来のように第1の許容作業
半径r1をもつ円弧43と図1の許容作業半径をもつ円
弧44とからなる領域に基づいて制御するようにしても
よい。ただし、上記実施例のように第1の許容作業半径
1から第2の許容作業半径r2まで連続的に変化する領
域を設定するようにすれば、より広い作業可能範囲を確
保できる。特に、限界作業領域を表示装置32に表示す
る場合には、領域形状が自然なので作業者に違和感を与
えず、作業者は容易に領域を把握することができる利点
がある。
【0098】(6) 本発明における旋回角速度の検出
は、それ専用のセンサを設けてもよいし、あるいは旋回
角センサの時間微分値から得るようにしてもよい。
【0099】(7) 上記実施例では、アウトリガジャッ
キを備えたものを示したが、その他、車体の幅方向に張
出し可能なクローラを備えたクローラクレーンについて
も本発明を適用することができる。すなわち、このよう
なクローラクレーンにおいても、左右のクローラの張出
し幅が異なる状態で使用する場合には、旋回方向によっ
て吊上能力が変化するので、本発明の適用によって上記
と同様の優れた効果を得ることができる。
【0100】
【発明の効果】以上のように本発明は、現在のクレーン
の運転状態に基づいてブームの限界作業領域を設定し、
現在のブーム位置から上記限界作業領域の境界に至るま
での残り旋回角度に基づいて、適正なブームの旋回の制
動開始のタイミングを決定するものであるので、荷振れ
を残すことなく確実に、ブームを限界作業領域内で停止
させることができる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例におけるクレーンに備えられ
た演算制御装置の入出力関係を示した図である。
【図2】上記演算制御装置の機能構成図である。
【図3】上記演算制御装置における制動角加速度算出手
段の機能構成図である。
【図4】上記演算制御装置により設定される限界作業領
域を示すR−θ平面図である。
【図5】上記限界作業領域の要部を示すR−θ平面図で
ある。
【図6】表示装置により表示される画像を示すR−θ平
面図である。
【図7】吊り荷の状態を単振り子として表わした説明図
である。
【図8】上記吊り荷の振れ角と振れ速度に関する式を位
相空間上に表わしたグラフである。
【図9】上記クレーンの側面図である。
【図10】上記クレーンにおいて実際に行われる制御動
作を説明するための説明図である。
【図11】吊り荷の角速度およびブームの角速度の変化
の特性を示すグラフである。
【図12】油圧モータの差圧と制動トルクとの関係を示
すグラフである。
【符号の説明】
10 クレーン 105 アウトリガジャッキ 11 ブーム長センサ 12 ブーム角センサ 14 アウトリガジャッキ張出し量センサ 20 演算制御装置 21 作業半径算出手段 24 限界作業領域算出手段 25 残り角度算出手段 26 制動角加速度算出手段 27 所要角度算出手段 28 余裕角度算出手段 293 第2警告制御手段 294 第2停止制御手段 B ブーム C 吊り荷 R 作業半径 β 制動角加速度 θc 残り旋回角度 θr 所要角度
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平2−291392(JP,A) 特開 昭58−202291(JP,A) 特開 昭57−27893(JP,A) 実開 昭61−197089(JP,U) 実開 昭62−89289(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) B66C 23/00

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 旋回可能なブームを備えたクレーンの動
    作を制御する方法であって、現在のクレーンの運転状態
    に基づいてブームの限界作業領域を設定、現在のブー
    ム位置から上記限界作業領域の境界に至るまでの残り旋
    回角度に基づいて、吊り荷の触れを残さずに限界作業領
    域内でブームの旋回を停止させるためのブームの旋回の
    制動開始のタイミングを決定することを特徴とするクレ
    ーンの制御方法。
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