JP2785836B2 - トンネル出口空気圧音の低減装置およびその方法 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本発明は、列車が高速でトンネルに突入する時にトン
ネル出口で生じる空気圧音を、トンネル内の圧力波の圧
力勾配を小さくすることによって低減する方法に関する
ものである。

［従来の技術］ トンネル出口空気圧音が発生する原因は列車のトンネ
ル突入によって生じた圧力波がトンネル出口に達した
時、圧縮波の一部が坑口より外部に放射されるために起
こり、トンネル出口に到達する圧力波の波面前面の圧力
坑配が大きいほど空気圧音が大きい。

トンネル出口空気圧音を小さくするために、圧力波の
波面前面の切り立つ度合を小さくする方法として、トン
ネル入口フード（特公昭55−31274）、斜坑、立坑を利
用する方法等がとられた。

［発明が解決しようとする課題］ しかしながら、トンネル抗口の立地条件等により上記
対策が不可能な場合があった。

本発明の目的は、トンネル入口フード、斜坑立坑を利
用する方法に代わって、トンネル出口空気圧音を低減す
ることにある。

［課題を解決するための手段］ 本発明は、トンネル内に設けられたノズルから所定の
タイミングでトンネル内に水滴を噴霧することを特徴と
する。

また本発明は、前記水滴の噴霧を列車のトンネルへの
突入から所定のタイミングで行うことを特徴とする。

［作用］ 列車のトンネル突入によって生じたトンネル内を伝播
する圧力波は、水滴噴霧区間の水滴によって一部弱めら
れるため、水滴噴霧区間を透過する圧力波は入射波に比
べて圧力勾配が小さくなる。

［実施例］ 以下、本発明にかかるトンネル出口空気圧音の低減装
置の実施例を図面に基づいて具体的に説明する。符号１
は検知装置であって、トンネル８の一端部に設けられて
列車９の突入を検知する。前記検知装置１からの検知信
号は制御装置２に供給されている。

前記トンネル８内に水を噴霧する噴霧機構は、次のよ
うな構成となっている。符号３はコンプレッサーであっ
て、水噴霧のための圧縮空気を発生する。符号４は貯水
槽であって、この貯水槽４からノズル５へ配管L1を介し
て水が供給されるようになっている。前記コンプレッサ
ー３には配管L2が接続されていて、前記ノズル５の近く
の配管L1へ圧縮空気を供給するようになっている。すな
わち、ノズル５近くの配管L1へ圧縮空気を供給すること
により、ノズル５からトンネル８内へ霧吹き状に水滴６
が噴霧される。さらに、前記配管L1には弁V1が、配管L2
には弁V2がそれぞれ設けられており、これらの弁V1,V2
は、制御装置２によって制御されるようになっている。
すなわち、弁V1の開閉度を調整することにより水の供給
量を調整し、また、弁V2を開または閉とすることによ
り、水噴霧を開始または停止させることができるように
なっている。そして、トンネル８内に噴霧された水滴
は、トンネル８の底部に設けられた排水装置７を介して
外部に排出されるようになっている。

このように構成されたトンネル出口音低減装置の動作
とともに、トンネル出口音低減方法を説明する。

列車９がトンネル８内に突入すると、検知装置１がそ
の旨を検知し、検知信号を制御装置２へ供給する。制御
装置２は、前記検知装置１と水滴６の噴霧箇所との距離
に応じて予め設定された時間遅れの後（具体的には、列
車の突入により発生した圧力波が水液な噴霧位置に達す
る直前に）、弁V1,V2を開き、ノズル５から水滴６を噴
霧する。この結果、第２図に示すように、トンネル８内
の所定範囲が水滴６で満たされる。

このように、水滴６が満たされた領域へ第２図に示す
ように圧力波11が入射すると、この圧力波11が水滴６に
衝突することにより、水滴６が存在する領域より下流側
では、圧力波12の圧力勾配が低減される。さらに、圧力
波11の全部が水滴６の噴霧領域を通過した後、制御装置
２からの信号によって弁V1,V2を閉じると、水滴６の噴
霧が停止される。

［発明の効果］ 本発明は、水滴噴霧の水量を変えることにより透過圧
力波の低減効果を変更可能であり、新設、既設のトンネ
ルに適用可能である。

【図面の簡単な説明】

第１図はトンネルへの水滴噴霧発生装置の実施例を示す
構成図、第２図はトンネル内の入射圧力波と透過圧力波
と水滴噴霧区間の説明である。 １……検知装置、２……制御装置、３コンプレッサー、
４……貯水槽、５……ノズル、６……噴霧された水滴、
７……排水装置、８……トンネル、９……列車、10……
空気、11……入射圧力波、12……透過圧力波である。

Claims (4)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】トンネル内に水滴を噴霧するノズルを設
   け、該ノズルを所定のタイミングで作動させる制御装置
   を設けたことを特徴とするトンネル出口空気圧音の低減
   装置。
2. 【請求項２】特許請求の範囲の第１項において、前記制
   御装置は、トンネルへの列車の突入を検出する検知装置
   の検知信号に基づき、前記ノズルを所定のタイミングで
   作動させることを特徴とする特許請求の範囲の第１項記
   載のトンネル出口空気圧音の低減装置。
3. 【請求項３】トンネル内に水滴を噴霧することを特徴と
   するトンネル出口空気圧音の低減方法。
4. 【請求項４】特許請求の範囲の第３項において、トンネ
   ルへの列車の突入を検知し、トンネルへの列車の突入を
   検知した後に所定のタイミングでトンネル内へ水滴を噴
   霧することを特徴とする特許請求の範囲の第３項記載の
   トンネル出口空気圧音の低減方法。