JP2785702B2 - 内燃機関の排気浄化装置 - Google Patents

内燃機関の排気浄化装置

Info

Publication number
JP2785702B2
JP2785702B2 JP6217417A JP21741794A JP2785702B2 JP 2785702 B2 JP2785702 B2 JP 2785702B2 JP 6217417 A JP6217417 A JP 6217417A JP 21741794 A JP21741794 A JP 21741794A JP 2785702 B2 JP2785702 B2 JP 2785702B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
deterioration
catalyst
degree
recovery
temperature
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP6217417A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH0882213A (ja
Inventor
明雄 磯部
忠樹 太田
尚志 青山
彰 田山
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nissan Motor Co Ltd
Original Assignee
Nissan Motor Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nissan Motor Co Ltd filed Critical Nissan Motor Co Ltd
Priority to JP6217417A priority Critical patent/JP2785702B2/ja
Publication of JPH0882213A publication Critical patent/JPH0882213A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP2785702B2 publication Critical patent/JP2785702B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、パラジウム系の三元触
媒を用いた内燃機関の排気浄化装置に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】内燃機関から排出される排気ガスを浄化
するため、空燃比を理論空燃比となるようにフィードバ
ック制御すると共に、排気通路にHC、C0の酸化と、
NOの還元を同時に行う三元触媒を配設したものが従来
から広く実用化されている。
【0003】この三元触媒に用いられる触媒金属として
は、機関始動直後、短時間のうちから良好に機能する、
低温活性に優れたパラジウムを主成分としたものが開発
されている(特開昭58−189037号公報参照)。
【0004】パラジウム(Pd)は常温で酸化物が安定
で、酸化パラジウム(PdO)として触媒作用を発揮す
る。
【0005】パラジウム系の触媒は、理論空燃比よりも
リッチ側の空燃比で高温の排気雰囲気に晒されると金属
パラジウム(Pd)に還元されて、一時的に触媒性能が
劣化する、いわゆる一時劣化を起こす。
【0006】この一時劣化に対して、ウォッシュコート
の熱変形による比表面積の減少、あるいは貴金属の分散
度の減少等によって触媒性能が劣化する場合は永久劣化
となり、永久劣化が進んだ触媒ほど一時劣化が顕著に現
れる。
【0007】触媒の一時劣化が起きれば、その間、排気
の浄化作用が低下して排気エミッションが増大するとい
う問題があり、本願出願人は特願平5−337960号
として、触媒の一時的な劣化が判定されると、排気温度
が所定値以上のときに、排気の空燃比をリーン側に制御
して触媒の劣化回復処理を行う排気浄化装置を提案し
た。
【0008】この装置では、機関始動直後に検出した触
媒の永久劣化度合に関連して劣化回復処理時期を判定
し、高温のリーン雰囲気で回復するパラジウム系触媒の
一時劣化は常温で放置による完全冷却によっても回復す
るため、機関始動直後に検出された初期劣化度合は、触
媒の回復不能な劣化である永久劣化を表しており、触媒
の劣化進行度を初期劣化度合に応じた基準値と比較する
ことにより、一時劣化と永久劣化とを合わせた全体の劣
化が許容範囲に達するまでの時期を判定して上記のよう
な劣化回復処理を行うものである。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】ところで、一時劣化の
回復処理中に機関を停止させた後、すぐに再始動を行う
ホットスタート時のような場合などでは、触媒の常温放
置による冷却が充分に行われないため、前回始動時の一
時劣化が回復していない場合がある。
【0010】しかしながら、上記従来の装置では、触媒
の常温放置による完全冷却が行われ、触媒の一時劣化が
完全に回復された状態を前提として始動直後の触媒性能
を基準とする劣化度合を判定するため、前回の運転で未
回復の一時劣化分がある場合には、あたかも著しく永久
劣化の進行した触媒であると判断し、劣化回復処理への
判断を誤らせ、劣化回復処理の不必要な触媒の劣化状態
であっても劣化回復処理が頻繁に行われてしまう場合が
あった。
【0011】そこで本発明は、上記問題点に鑑みてなさ
れたもので、ホットスタート時などでの未回復の一時劣
化を確実に検出すると共に、一時劣化を起こした触媒に
劣化回復処理を施し、触媒性能を速やかに回復すること
を目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】第1の発明は、図1に示
すように、触媒金属として主にパラジウムを担持させた
排気浄化用の触媒50と、この触媒50の劣化度合を検
出する劣化度合検出手段51と、触媒50に流入する排
気温度を検出する排気温度検出手段52と、検出された
触媒劣化度合に応じて触媒の劣化回復処理を行う時期を
判定する劣化回復処理時期判定手段53と、前記判定結
果が劣化回復処理時期で、かつ検出された排気温度が所
定値以上であるときに排気の空燃比を理論空燃比よりも
リーン側の劣化回復処理空燃比に制御して触媒の劣化回
復処理を行う劣化回復処理手段54とを備えた内燃機関
の排気浄化装置において、機関の始動直後に検出した前
記劣化度合に基づいて一時劣化の回復が未処理であるか
を判定する回復未処理判定手段55と、この判定結果が
回復未処理のときには前記劣化回復処理時期にかかわら
ず劣化回復処理を行う割り込み手段56とを備える。
【0013】また、第2の発明は、図2に示すように、
触媒金属として主にパラジウムを担持させた排気浄化用
の触媒50と、この触媒50の劣化度合を検出する劣化
度合検出手段51と、触媒50に流入する排気温度を検
出する排気温度検出手段52と、検出された触媒劣化度
合に応じて触媒50の劣化回復処理を行う時期を判定す
る劣化回復処理時期判定手段53と、前記判定結果が劣
化回復処理時期で、かつ検出された排気温度が所定値以
上であるときに排気の空燃比を理論空燃比よりもリーン
側の劣化回復処理空燃比に制御して触媒の劣化回復処理
を行う劣化回復処理手段54とを備えた内燃機関の排気
浄化装置において、機関の暖機運転中を判定する暖機判
定手段57と、機関の始動直後に検出した前記劣化度合
に基づいて一時劣化の回復が未処理であるかを判定する
回復未処理判定手段55と、この判定結果が回復未処理
のときには前記劣化回復処理時期にかかわらず劣化回復
処理を行う割り込み手段56と、前記回復未処理判定手
段55及び暖機判定手段57の判定結果が回復未処理か
つ暖機中のときにNOの排出を抑制する暖機制御手段5
8とを備える。
【0014】また、第3の発明は、前記第2の発明にお
いて、前記暖機制御手段58は、機関の空燃比を理論空
燃比にフィードバック制御するときのフィードバック制
御係数を補正して空燃比をリッチ側にシフトする。
【0015】また、第4の発明は、前記第2の発明にお
いて、前記暖機制御手段58は、排気の一部を吸気通路
へ導く。
【0016】また、第5の発明は、図2に示すように、
前記第1ないし第4の発明のいずれかひとつにおいて、
前記回復未処理判定手段55が、触媒の温度を検出する
手段59を備えて、機関の始動直後に検出した触媒温度
が所定値以下のときには同じく始動直後の劣化度合を永
久劣化と判定する一方、そうでない場合には一時劣化の
回復が未処理であると判定する。
【0017】また、第6の発明は、図2に示すように、
前記第1ないし第4の発明のいずれかひとつにおいて、
前記回復未処理判定手段55が、触媒50の温度を検出
する手段52と、機関の始動の度に劣化度合を学習する
手段60とを備え、機関の始動直後に検出した触媒温度
が所定値以下のときには同じく始動直後の劣化度合を永
久劣化と判定するとともに検出した前記劣化度合を今回
の永久劣化度合として学習する一方、触媒温度が所定値
を越え、かつ今回の劣化度合の検出値が前回までの学習
値を越えるときには一時劣化の回復が未処理であると判
定するとともに、前回の学習値を今回の永久劣化度合と
して学習する。
【0018】
【作用】したがって、第1の発明は、始動直後に検出し
た触媒の劣化度合が回復未処理と判定されると、劣化度
合に応じて設定される劣化回復処理時期にかかわらず速
やかに劣化回復処理空燃比に移行し、排気温度が所定値
以上になると高温のリーン雰囲気に晒すことでパラジウ
ム系の触媒に残留した一時劣化を永久劣化の初期状態へ
速やかに戻した後、機関の運転中は検出した劣化度合に
応じて設定される劣化回復処理時期に応じて劣化回復処
理が行われ、ホットスタート時などで一時劣化が未回復
である触媒を速やかに回復させてから永久劣化に応じた
回復処理を適切に行うことができる。
【0019】また、第2の発明は、触媒に回復未処理の
一時劣化があると判定されると、まず、機関の暖機中に
NOの排出を低減して未回復の一時劣化が残留したパラ
ジウム系の触媒性能の低下を補助した後、排気温度が所
定値以上になると劣化度合に応じて設定される劣化回復
処理時期にかかわらず速やかに劣化回復処理を行うこと
で触媒の一時劣化を回復して永久劣化の初期状態に戻す
ことができ、ホットスタート時などで前回の一時劣化が
未回復である触媒を速やかに回復するとともに、一時劣
化によって暖機中のNO浄化性能が低下したパラジウム
系触媒を補って排気エミッションの排出を抑制すること
ができる。
【0020】また、第3の発明は、暖機制御手段が空燃
比をリッチ側へシフトするため、暖機中において排気ガ
ス中のNOを低減することができ、未回復の一時劣化に
よって低下した暖機中の触媒のNOの浄化性能を補っ
て、排気エミッションの排出を抑制することができる。
【0021】また、第4の発明は、暖機制御手段が排気
の一部を吸気通路へ還流させるため、暖機中において排
気ガス中のNOを低減することができ、未回復の一時劣
化による暖機中の触媒のNOの浄化性能を補って、排気
エミッションの排出を抑制することができる。
【0022】また、第5の発明は、回復未処理判定手段
は触媒の温度に基づいて機関の始動状態を判定し、触媒
温度が所定値以下のコールドスタートのときには常温放
置による完全冷却が行われたと判定して始動直後の劣化
度合を永久劣化とする一方、触媒温度が所定値を越えて
いれば常温放置による冷却が不充分なホットスタートで
あると判定し、このホットスタートの場合では始動直後
に検出した劣化度合に未回復の一時劣化が含まれると判
定することができ、パラジウム系触媒の永久劣化と未回
復の一時劣化を含んだ状態とを容易に分離して、触媒の
劣化状態を正確に把握することができる。
【0023】また、第6の発明は、一時劣化の回復未処
理の判定を触媒温度に基づく機関始動状態に加えて永久
劣化の学習値と始動直後の劣化度合とから判定すること
で、触媒の永久劣化と未回復の一時劣化を確実に分離す
ることができ、触媒温度が所定値以下のコールドスター
トの場合には常温放置による完全冷却が行われるため始
動直後に検出した劣化度合を今回の永久劣化として学習
する一方、ホットスタートの場合には始動直後の劣化度
合が前回の学習値より大きいときに一時劣化が未回復で
あると判定し、検出した劣化度合に代わって前回までの
学習値を今回の永久劣化として学習することにより、学
習値は常に一時劣化を含まない永久劣化度合を示すこと
ができ、触媒の劣化度合の進行を正確に把握することで
未回復の一時劣化をより正確に判定することができ、劣
化回復処理を適切に行うことが可能となる。
【0024】
【実施例】以下、本発明の実施例を添付図面に基づいて
説明する。
【0025】図3は本発明の一実施例を示すもので、エ
ンジン7の吸気通路8には燃料噴射弁5が配設され、コ
ントローラ4からの信号に応じて燃料を噴射する。
【0026】排気通路9には排気中のHC、COの酸化
と、NOの還元を同時に行う三元触媒1が介装される。
この三元触媒1はアルミナに触媒金属としてパラジウム
(Pd)を主に、その他セリア等を担持させたパラジウ
ム系の触媒で構成される。
【0027】三元触媒1の上流と下流には、触媒前酸素
センサ2と触媒後酸素センサ3がそれぞれ設置され、触
媒前酸素センサ2の出力に基づいて空燃比が理論空燃比
となるように、前記燃料噴射量をフィードバック制御し
ている。
【0028】また、触媒前酸素センサ2と、触媒後酸素
センサ3の出力がそれぞれリッチ、リーンに反転する回
数を比較して、後述するように反転周波数に基づいて触
媒の劣化度合を検出し、この劣化度合に対応して、所定
の運転時期に触媒の劣化回復処理を実行する。
【0029】コントローラ4には、エンジンの運転状態
を検出するため、エンジン冷却水温TWを検出する水温
センサ12、三元触媒1に流入する排気温度を検出する
温度センサ13、三元触媒1の内部の温度TBを検出す
る温度センサ20からの信号が入力される。また、図示
はしないが、エンジン7の吸入空気量Q、回転数Ne等
の運転状態を代表する信号も入力される。
【0030】そして、吸気通路8には排気通路9からの
排気の一部を還流する排気還流通路14が接続され、コ
ントローラ4によって排気還流制御弁15がエンジン7
の運転状態に応じて排気の還流量を制御し、排気中のN
Oを減少させる。
【0031】パラジウム系の三元触媒1は、理論空燃比
もしくはそれよりもリッチな高温排気雰囲気に晒すこと
により、触媒性能が一時的に劣化する特性を備えてい
る。
【0032】図4は温度が500℃で空燃比が理論空燃
比(λ=1)の高温排気に長時間にわたって三元触媒1
を晒したときの触媒転化率の変化の状態(一時劣化)を
表しており、時間の経過と共に触媒転化率は低下してい
くが、永久劣化の少ない図中触媒Aは変化が少ないが、
これに対して、触媒B、Cと永久劣化の進んだものほど
転化率の低下が顕著に表れる。
【0033】三元触媒1の一時劣化については、リーン
空燃比の高温排気雰囲気中へ三元媒媒1を晒すことで回
復させることができ、それぞれ永久劣化の最初の状態ま
で触媒性能は回復する。
【0034】したがって、触媒の一時劣化の状態を判定
したら、排気温度が所定の高温となる運転条件で、一時
的に空燃比をリーン側に制御することで一時劣化したパ
ラジウム系の三元触媒1を回復することができるのであ
る。
【0035】このような三元触媒1の劣化回復処理を行
うために、コントローラ4は図5〜図9に示すような制
御行う。
【0036】まず、図5、図6は三元触媒1の劣化を判
断するための制御ルーチンで、エンジン7の始動後に一
回だけ実行される。
【0037】ステップS1、S2で機関冷却水温TW
び三元触媒1の内部の温度TBを読み込んでから、ステ
ップS3では機関冷却水温TWが、例えば暖機終了後の
所定値T1以上かを判定し、次いで、ステップS4では
空燃比のフィードバック制御領域にあるかを判断する。
暖機終了後の空燃比フィードバック制御領域にあればス
テップS5以降の劣化診断処理へ進む一方、そうでない
場合にはステップS1へ戻る。
【0038】ステップS5、6では三元触媒1の上流の
触媒前酸素センサ2と、下流の触媒後酸素センサ3の出
力のリッチ、リーンの反転周波数F1、F2をそれぞれ読
み込む。
【0039】ステップS7ではこれら反転周波数F1
2の比FrをFr=F2/F1として算出する。この反
転周波数比Frは、図12に示すように、三元触媒1の
劣化が進行するほど1に近付き、三元触媒1が正常に機
能しているときは、排気中の酸素がストージされるの
で、三元触媒1の上流の排気中に含まれる酸素をそのま
ま三元触媒1の下流で検出することはできない。一方、
三元触媒1が劣化してくると、この酸素ストージ能力も
低下するため上流の排気中の酸素がそのまま下流に流れ
るため、三元触媒1の下流に配設した触媒後酸素センサ
3の出力の反転周波数F2は触媒前酸素センサ2の出力
の反転周波数F1に近似する。このため、反転周波数比
Frは三元触媒1の劣化度合を代表する値となる。
【0040】一方、ステップS8では反転周波数比Fr
の前回の始動時までの学習値であるFrmを図示しない
記憶手段より読み出す。この学習値Frmは機関の始動
毎に算出、学習された反転周波数比で、例えば次のよう
な任意の移動平均値Frm(t)で表される。
【0041】 Frm(t)=aFrm(t−1)+bFr(t) ただし、a、bは定数である こうして読み出した前回の始動時までの学習値Frmと
今回の始動後に検出した反転周波数比Frとから、ステ
ップS9では反転周波数比Frが学習値Frm以上であ
るかを判断する。
【0042】ここで、学習値Frmは永久劣化を、反転
周波数比Frが一時劣化を示すと仮定すると、反転周波
数比Frが学習値Frm以上の場合には直前のエンジン
停止後から常温放置による完全冷却が終了しておらず、
三元触媒1に一時劣化が生じていると判定してステップ
S11の処理へ進む一方、そうでない場合には永久劣化
のみであると判定して検出した反転周波数比Frで学習
値Frmを更新するステップS13の処理へ進む。
【0043】このステップS9で一時劣化と判定された
場合、すなわち、反転周波数比Frが学習値Frm以上
の場合にはステップS2で読み込んだ三元触媒1の内部
の温度TBが所定値T2以上のエンジン7のホットスター
ト状態であるかを判定する(ステップS10)。
【0044】ステップS10ではこの触媒内部の温度T
Bが所定値T2以上の場合には前回の機関停止からの経過
時間の少ないホットスタートであると判定してステップ
S11の処理へ進む一方、触媒内部の温度TBが所定値
2未満の場合には同じく前回の機関停止から充分時間
が経過して三元触媒1が常温放置によって完全に冷却さ
れたコールドスタート状態であると判定して上記と同様
に検出した反転周波数比Frを永久劣化として学習値F
rmに反映させるためステップS13の処理へ進むもの
で、機関始動直後の触媒の温度TBによってホットスタ
ート及びコールドスタートのいずれかを判定し、この機
関始動状態に応じて始動直後に検出した劣化度合が三元
触媒1の一次劣化及び永久劣化のいずれであるかを判定
するのである。
【0045】ステップS10でホットスタートであると
判定されてステップS11へ進む場合は、反転周波数比
Frが学習値Frm以上で三元触媒1の一時劣化が回復
未処理のホットスタート状態であるため、ステップS1
1ではHot未回復状態信号TBmに1をセットして三元
触媒1の一時劣化が未回復であることを設定し、次い
で、ステップS12では今回検出した反転周波数比Fr
を前回までの永久劣化を示す学習値Frmに置き換え
て、今回の始動直後に検出した劣化度合、すなわち、反
転周波数比Frが永久劣化を代表する学習値Frmに反
映させない。
【0046】このステップS12では、今回検出した反
転周波数比Frが回復未処理の一時劣化を生じたホット
スタート後のもので、永久劣化に一時劣化が加算された
ものと推定できるため、永久劣化を示す学習値Frmへ
反映させず、前回までの学習値Frmを今回の永久劣化
度合として代用し、永久劣化度合の変動を抑制するた
め、学習値Frmは永久劣化度合の進行に応じた値とし
て扱うことが可能となり、学習値Frmに基づく一次劣
化の判断を正確に行うことがきるのである。
【0047】こうして、学習値Frmを更新した後にス
テップS20の劣化検出時ルーチンへ進む。一方、ステ
ップS9で反転周波数比Frが永久劣化を示すと判定さ
れた場合またはステップS10の判定で触媒ベッド温度
Bが所定値T2未満のコールドスタートである場合に
は、ステップS13で学習値Frmを三元触媒1の永久
劣化の進行に対応させるために、今回検出した反転周波
数比Frの移動平均値に基づいて学習値Frmを更新し
た後、ステップS14で反転周波数比Frが所定値Fr
a以上であるかを判定する。なお、学習値Frmは反転
周波数比Frの移動平均値としたが、単純に前回始動時
の反転周波数比Frとしてもよい。
【0048】ステップS14の判定は、永久劣化が所定
値Fra以上に進行したかを判定するもので、反転周波
数比Frが所定値Fra以上のときはステップS20の
劣化検出時ルーチンへ進む一方、そうでない場合にはそ
のまま終了する。
【0049】以上の制御はエンジン7が始動される度
に、始動直後に一回だけ実行されるが、触媒ベッド温度
Bによってホットスタートとコールドスタートの場合
に分けることで検出した劣化度合(反転周波数比Fr:
以下で初期劣化度合という)は回復が可能な一時劣化と
永久劣化とに分けて取り扱うことができるのである。
【0050】次に、図7の劣化検出時ルーチンにおい
て、ステップS21では反転周波数比Frに基づいて図
10に示すテーブルから、数段階に設定した触媒の劣化
度合Rmと、触媒性能の許容範囲内でそのまま排気に晒
すことが可能な暴露可能時間Tcと、劣化度合に応じて
決まる劣化回復処理時間に相当する回復処理判定値Tr
とをそれぞれ読み出す。
【0051】この劣化度合Rmは反転周波数比Frに対
応し、また、始動直後に検出した初期劣化度合は永久劣
化度合に対応していることから、三元触媒1の暴露可能
時間Tcは、この永久劣化の状態を基礎にして、排気温
度が所定値よりも高いときに、そのまま運転を継続した
ときに進行すると予測される触媒の劣化度合との加算値
が触媒性能の許容限度に達するまでの時間として設定さ
れている。そして、この暴露可能時間Tcに応じて回復
処理判定値Trは設定される。
【0052】ステップS22では上記ステップS10で
エンジン7の始動状態がホットスタートで一時劣化の回
復未処理と判定されたかをHot未回復信号Tbm=1
であるかどうかによって判断し、このTbmが1であれ
ば一時劣化による三元触媒1のNO浄化性能の低下を補
うために、ステップS23の処理へ進む一方、永久劣化
のみの場合にはステップS30の暴露可能時間算出・回
復処理ルーチンへ進む。
【0053】ここで、ステップS23では一時劣化が未
回復のホットスタートであると判定されたHot未回復
状態信号=1であるときに、ステップS21で読み込ん
だ劣化度合Rmに応じて空燃比フィードバックの制御定
数をリッチ側へ変更し、NOの排出を抑制する処理を行
ってからステップS30の暴露可能時間算出・回復処理
ルーチンへ進む。この場合、一次劣化を生じたパラジウ
ム系の三元触媒1は触媒性能の低下によって暖機完了前
のNO排出量が増大する。このため、劣化度合に応じて
空燃比をリッチ側へシフトさせることでNOの排出量を
低減し、一次劣化の回復以前の三元触媒1の性能を補う
ものである。
【0054】なお、ステップS23におけるリッチ側へ
の空燃比制御の代わりに、排気還流制御弁15を駆動し
て排気の一部を吸気通路8へ還流させる排気還流率(E
GR率)を増大させてもよく、この場合も排気中のNO
を低減することができる。
【0055】上記劣化検出時処理ルーチンはエンジン7
が停止するまでの間、所定の周期で繰り返し実行される
(ステップS24)。
【0056】図8、図9は前記した暴露時間算出・回復
処理ルーチンの詳細であり、図8は暴露可能時間算出
を、図9は回復処理をそれぞれ示す。
【0057】まず、ステップS31ではHot未回復状
態信号Tbmに基づいて三元触媒1に一時劣化が生じた
場合のホットスタートであるかを判定し、Tbm=1と
なるHot未回復状態の場合には、まず図9に示すステ
ップS39以降の劣化回復処理へ進んで三元触媒1の一
次劣化を速やかに回復させる一方、そうでない場合には
ステップS32より高温の排気に晒された時間に比例し
た一次劣化を検出するため暴露時間の算出を行う。
【0058】ステップS32では後述する積算値Tin
=0にセットし、ステップS33でタイマTi=0とし
てからタイマの計数を開始するとともに、ステップS3
4でそのときの温度センサ20からの排気の触媒入口温
度Tに基づいて図11のテーブルから重み係数Kcを読
み出す。
【0059】この重み係数Kcは、単位時間当たりに進
行する触媒の劣化度(これは回復度にも対応)を表すも
ので、厳密には排気温度と空燃比をパラーメータとする
二次元マップとなるが、排気温度の影響がより大きいた
め、温度のみに基づくテーブル設定でもよい。
【0060】ステップS35では排気の触媒入口温度T
を重み係数Kcを選んだときの設定温度範囲と比較し、
この温度範囲にある時間をステップS36、S37で積
算する。ただし、この積算値Tinは、Tin=Tin
+Kc×Tiとして算出し、触媒入口温度Tに基づいて
求めた重み係数Kcと設定温度範囲にあるときの時間T
iとの乗算分を加算することによって積算値Tinを増
大していく。
【0061】ステップS35で触媒入口温度Tが所定の
温度範囲から変化したら、ステップS36でタイマTi
の計数を停止し、ステップS37を経由して再びステッ
プS33へ戻り、暴露時間の積算を継続する。
【0062】そして、ステップS38でこの積算値Ti
nを前記ステップS21で読み込んだ暴露可能時間Tc
と比較し、この時間Tcに達するまではステップS33
〜S37までの積算動作を繰り返し、そのときの排気の
触媒入口温度Tに応じて積算を継続する。そして、積算
結果がTin>Tcとなると図9に示すステップS39
以降の回復処理に移行する。
【0063】三元触媒1の一次劣化は高温のリッチ雰囲
気に晒されている時間に応じて進行するため、上記ステ
ップS32〜S38のように積算した暴露時間Tinと
暴露可能時間Tcとの関係で、劣化の進行状態を判断す
るのである。
【0064】こうして積算値Tinが暴露可能時間Tc
を経過するとステップS39では、まず積算値Timを
0にリセットし、ステップS40では読み込んだ排気の
触媒入口温度Tが、劣化回復処理が可能な所定値以上の
高温状態であるかを判断し、さらにステップS41で
は、運転条件が高負荷のリッチ空燃比領域(KMR域)
にあるかを判段する。
【0065】この高負荷のリッチ空燃比領域では、触媒
の劣化回復処理のために空燃比をリーン側へシフトしよ
うとしても、運転性を確保する点からKMR域が優先さ
れるためにリーンシフトできず、ステップS39へ戻っ
てそれまでの劣化回復処理を最初からやり直す。
【0066】一方、KMR域にないときは次のように三
元触媒1の劣化回復処理を行う。
【0067】まず、ステップS42でタイマTiを0に
リセットするとともに計数を開始し、ステップS43で
排気の触媒入口温度Tに基づいて図11のテーブルから
重み係数Krを読み出す。
【0068】そして、ステップS44で空燃比フィード
バック制御の制御係数(例えば、比例値、積分値)を変
更して、空燃フィードバック制御の制御中心をリーン側
にシフトし、劣化した三元触媒1を高温のリーン雰囲気
へ晒すことで一次劣化の回復処理を行う。
【0069】このとき、同時に排気還流制御弁15を駆
動して排気還流率(EGR率)を増大し、空燃比をリー
ン化することで三元触媒1で浄化処理できなくなったN
Oの排出量を低減し、排気浄化性能の低下を補助する。
【0070】前述のように、三元触媒1に流入する排気
温度が高温の状態において、空燃比をリーン側へシフト
することで劣化したパラジウム系の触媒は、永久劣化を
除いて一時劣化の回復を図ることがき、三元触媒1は永
久劣化の初期状態まで劣化度合を回復する。
【0071】ステップS45〜S47で排気の温度が一
定値以上の状態となる時間を積算する。この積算値Ti
mは上記ステップS43で読み出した重み係数Krから
Tim=Tim+Kr×Tiとして算出される。
【0072】ステップS45で触媒入口温度Tが所定の
温度範囲から変化したら、ステップS46でタイマTi
の計数を停止し、ステップS47を経由して再びステッ
プS40へ戻り、劣化回復処理時間の積算を継続する。
【0073】なお、この場合も、劣化の回復がリーン雰
囲気の排気の温度に大きく影響されるため、排気の触媒
入口温度Tにのみ依存して設定した図11のテーブルか
ら重み計数Krを設定することができるのである。
【0074】ステップS48では、積算値Timを前記
ステップS21で読み込んだ回復処理判定値Trと比較
することにより、劣化回復処理が完了したかを判定す
る。このようにして、検出された三元触媒1の劣化度合
に対応した劣化回復処理時間を経過すれば、触媒の一時
劣化は前記したように初期状態まで回復(ただし永久劣
化分を除く)したものと判定し、ステップS49へ進ん
で空燃比のフィードバック制御の制御係数と、排気還流
率を通常の運転状態の値に戻して劣化回復処理を終了す
る。
【0075】ここで、エンジン7の始動後に検出した触
媒温度TBが所定値以上となるホットスタートで、かつ
反転周波数比Frが前回の学習値Frmより大きい場
合、三元触媒1は常温放置による一時劣化の回復が不充
分であると判定でき、このような三元触媒1では図13
の図中破線に示すように性能が劣化している。
【0076】一時劣化したパラジウム系の触媒は特に暖
機終了前のNOの排出量が増大するため、上記ステップ
S23のように劣化回復処理へ入る前に空燃比をリッチ
側へシフトすることで一時劣化による触媒性能の低下を
補って、NOの排出量を低減し、さらに、一時劣化を生
じたホットスタートの場合には暴露時間の算出を行わず
に速やかに回復処理を行って永久劣化の初期状態まで回
復させるようにしたため、排気エミッションの増大を抑
制しながら三元触媒1の劣化回復処理を迅速に行うこと
ができるのであり、この場合に検出した反転周波数比F
rは学習値Frmへ反映させないため、学習値Frmは
一時劣化を含むことはなく、常時永久劣化の度合として
扱うことが可能となって、三元触媒1の劣化状態を一次
劣化と永久劣化に分離して正確に把握することが可能と
なるのである。
【0077】一方、エンジン7のコールドスタートの場
合には、検出した反転周波数比Frが永久劣化の進行度
合を示すため、これを学習値Frmへ反映させることで
三元触媒1の永久劣化の度合を正確に把握し、高温のリ
ッチ雰囲気への暴露時間に応じて運転中に進行した三元
触媒1の一時劣化を判定するとともに劣化回復処理を行
うようにしたため、低温活性及び経済性に優れたパラジ
ウム系の触媒の一時劣化を随時回復しながら内燃機関か
らの排気エミッションを抑制することが可能となるので
ある。
【0078】こうして、一時劣化が未回復のホットスタ
ートの場合には、暴露時間の算出を行わずに速やかに劣
化回復処理を行って永久劣化の初期状態まで回復させる
ようにしたため、前記従来例のように未回復の一時劣化
を永久劣化が著しく進行した状態と判定して頻繁に劣化
回復処理を行うことがなくなって、必要以上に空燃比を
リーン化することなく良好な運転性を確保しながらパラ
ジウム系の触媒の一時劣化を随時回復することが可能と
なり、さらにホットスタート時で未回復の一時劣化があ
る場合には暖気運転中に空燃比をリッチ側へシフトする
ことで一時劣化による触媒性能の低下を補って、NOの
排出量を低減し、幅広い運転域で排気エミッションを抑
制することができるのである。
【0079】次に、図14、図15に示す他の実施例に
ついて説明する。
【0080】三元触媒1の劣化の進行度が、永久劣化度
合、すなわちコールドスタート時に検出した機関始動直
後の初期劣化度合に関連していることから、この劣化度
合に応じた基準値に基づいて、一時劣化と永久劣化とを
合わせた総合の劣化が許容限度に達するまでの時期を判
定するようにしたものである。
【0081】図14の処理は、エンジン7を始動する度
に一回だけ実行されるもので、ステップS51〜S58
までは図5に示した処理のステップS1〜S8と同一で
あり、ステップS59において反転周波数比Frに基づ
いて図10のテーブルから劣化度合Rmを初期劣化度R
moとして記憶し、ステップS60でこの初期劣化度R
moに基づいて図16のテーブルから基準値Rmcを読
み込む。この基準値Rmcは、Rmo+Rmcが触媒性
能の劣化限度となるように定められ、初期劣化度Rmo
が大きくなるほどRmcは小さくなる。
【0082】つまり、ここでは、エンジン7の始動後に
一回だけ行われる触媒の劣化判定から、この劣化度合R
mを初期劣化度Rmoとして記憶しておく。
【0083】次に、図15の処理に移行する。この処理
は機関始動後の所定時間毎に実行されるもので、触媒の
劣化の進行度を判定する。
【0084】ステップS61〜S68までは、同じく上
記ステップS1、S3〜S8までと同一であり、ここで
は排気の触媒入口温度Tが所定値以上のときの反転周波
数比Frを算出したら、ステップS69でこのFrに基
づいて図10のテーブルから劣化度合Rmを読み出し、
この劣化度合Rmと前記初期劣化度Rmoとの差で表さ
れる一時劣化の進行度ΔRmを、ΔRm=Rm−Rmo
として算出する。エンジン7の始動直後に検出した初期
劣化度Rmoは永久劣化度合に対応するから、このΔR
mは回復可能な触媒の一時劣化を表す。
【0085】ステップS70では算出した一時劣化進行
度ΔRmをステップS60で読み出した基準値Rmcと
比較する。永久劣化が進んでいるほど基準値Rmcは小
さい値となり、それだけ一時劣化の許容度も小さい値と
なる。
【0086】ここで、一時劣化進行度ΔRmが基準値R
mc以下でない場合には触媒の劣化回復処理ルーチンに
進むためステップS71へ進んで図17のテーブルから
一時劣化進行度ΔRmに応じた回復処理判定値Trを読
み出す。
【0087】そして、ステップS72へ進んで上記ステ
ップS9〜S12と同様にして始動状態及び一時劣化の
有無を判定した後、ステップS71で得た回復処理判定
値Trに基づいて前記と同様にステップS20以降の劣
化回復処理を行う。
【0088】こうして、エンジン7の始動直後に検出し
た初期劣化度合Rmも応じた基準値Rmcに基づいて、
一時劣化と永久劣化とを合わせた全体の劣化度合が許容
限度に達するまでの時期を判定するので、触媒の劣化回
復処理を劣化の進行状態に応じて正確に判断しながら適
切な時期に行うことができるのである。
【0089】なお、上記劣化回復処理において排気の空
燃比をリーン化するには上記のようにフィードバック制
御係数を補正する他に、三元触媒1の上流かつ触媒前酸
素センサ2の下流に2次空気を導入する図示しない装置
を設け、三元触媒1の上流へ2次空気を導入して三元触
媒1へ流入する排気をリーン化してもよい。この場合エ
ンジン7の空燃比は通常の理論空燃比とすることがで
き、三元触媒1の劣化回復処理を行いながらも良好な運
転性を確保できるのである。
【0090】
【発明の効果】以上説明したように第1の発明は、触媒
金属として主にパラジウムを担持させた排気浄化用の触
媒と、この触媒の劣化度合を検出する劣化度合検出手段
と、触媒に流入する排気温度を検出する排気温度検出手
段と、検出された触媒劣化度合に応じて触媒の劣化回復
処理を行う時期を判定する劣化回復処理時期判定手段
と、前記判定結果が劣化回復処理時期で、かつ検出され
た排気温度が所定値以上であるときに排気の空燃比を理
論空燃比よりもリーン側の劣化回復処理空燃比に制御し
て触媒の劣化回復処理を行う劣化回復処理手段とを備え
た内燃機関の排気浄化装置において、機関の始動直後に
検出した前記劣化度合に基づいて一時劣化の回復が未処
理であるかを判定する回復未処理判定手段と、この判定
結果が回復未処理のときには前記劣化回復処理時期にか
かわらず劣化回復処理を行う割り込み手段とを備え、ホ
ットスタート時などで前回の一時劣化が未回復である触
媒を永久劣化の初期状態へ速やかに回復した後に、永久
劣化に応じた回復処理時期で回復処理を行うことが可能
となり、前記従来例のように未回復の一時劣化をあたか
も永久劣化の著しく進んだ状態と判定して頻繁に回復処
理を行うことがなくなって、空燃比のリーン化を必要以
上に行うことがなくなって良好な運転性を確保すること
ができ、パラジウム系の触媒の一時劣化特性に対応しな
がら排気エミッションの排出の低減を行うことが可能と
なる。
【0091】また、第2の発明は、触媒金属として主に
パラジウムを担持させた排気浄化用の触媒と、この触媒
の劣化度合を検出する劣化度合検出手段と、触媒に流入
する排気温度を検出する排気温度検出手段と、検出され
た触媒劣化度合に応じて触媒の劣化回復処理を行う時期
を判定する劣化回復処理時期判定手段と、前記判定結果
が劣化回復処理時期で、かつ検出された排気温度が所定
値以上であるときに排気の空燃比を理論空燃比よりもリ
ーン側の劣化回復処理空燃比に制御して触媒の劣化回復
処理を行う劣化回復処理手段とを備えた内燃機関の排気
浄化装置において、機関の暖機運転中を判定する暖機判
定手段と、機関の始動直後に検出した前記劣化度合に基
づいて一時劣化の回復が未処理であるかを判定する回復
未処理判定手段と、この判定結果が回復未処理のときに
は前記劣化回復処理時期にかかわらず劣化回復処理を行
う割り込み手段と、前記回復未処理判定手段及び暖機判
定手段の判定結果が回復未処理かつ暖機中のときにNO
の排出を抑制する暖機制御手段とを備え、ホットスター
ト時などで前回の一時劣化が未回復である触媒を速やか
に永久劣化の初期状態に回復するとともに、劣化回復処
理が可能となる以前の機関の暖機中は排気エミッション
を低減することができ、未回復の一時劣化によるパラジ
ウム系の触媒のNO浄化特性を補うことが可能となっ
て、排気エミッションの排出を確実に抑制することが可
能となる。
【0092】また、第3の発明は、前記暖機制御手段
は、機関の空燃比を理論空燃比にフィードバック制御す
るときのフィードバック制御係数を補正して空燃比をリ
ッチ側にシフトし、未回復の一時劣化によって低下した
暖機中の触媒のNO浄化性能を補うことが可能となっ
て、パラジウム系触媒の一時劣化特性に対応しながら排
気エミッションの排出を抑制することができる。
【0093】また、第4の発明は、前記暖機制御手段
は、排気の一部を吸気通路へ導くようにしたため、未回
復の一時劣化によって低下した暖機中の触媒のNO浄化
性能を補うことが可能となって、パラジウム系触媒の一
時劣化特性に対応しながら排気エミッションの排出を抑
制することができる。
【0094】また、第5の発明は、前記回復未処理判定
手段が、触媒の温度を検出する手段を備えて、機関の始
動直後に検出した触媒温度が所定値以下のときには同じ
く始動直後の劣化度合を永久劣化と判定する一方、そう
でない場合には一時劣化の回復が未処理であると判定す
るため、常温放置による冷却が完全に行われたコールド
スタートと、同じく常温放置による冷却が不充分なホッ
トスタートを確実に判断することができ、ホットスター
トの場合には未回復の一時劣化が含まれると判定して速
やかに劣化回復処理へ移行することができ、機関始動直
後のパラジウム系触媒の劣化度合を永久劣化と未回復の
一時劣化を含んだ状態とに確実に判断して、パラジウム
系触媒の一時劣化特性に対応した劣化回復処理を適切に
実行して排気エミッションの排出を抑制することが可能
となる。
【0095】また、第6の発明は、前記回復未処理判定
手段が、触媒の温度を検出する手段と、機関の始動の度
に劣化度合を学習する手段とを備え、機関の始動直後に
検出した触媒温度が所定値以下のときには同じく始動直
後の劣化度合を永久劣化と判定するとともに検出した前
記劣化度合を今回の永久劣化度合として学習する一方、
触媒温度が所定値を越え、かつ今回の劣化度合の検出値
が前回までの学習値を越えるときには一時劣化の回復が
未処理であると判定するとともに、前回の学習値を今回
の永久劣化度合として学習するため、触媒温度に基づく
機関始動状態に加えて永久劣化の学習値と始動直後に検
出した劣化度合とから触媒の劣化状態を永久劣化と未回
復の一時劣化を含んだ状態とに正確に分離することが可
能となり、触媒の劣化度合の進行を正確に把握しながら
パラジウム系触媒の一時劣化特性に対応した劣化回復処
理をさらに適切に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の発明に対応するクレーム対応図である。
【図2】第2の発明に対応するクレーム対応図である。
【図3】本発明の実施例を示すブロック図である。
【図4】触媒性能の変遷状態を示す説明図である。
【図5】三元触媒の劣化検出の制御動作を示すフローチ
ャートの前半である。
【図6】同じくフローチャートの後半である。
【図7】劣化検出時ルーチンの制御動作を示すフローチ
ャートである。
【図8】暴露時間設定の制御動作を示すフローチャート
である。
【図9】回復処理の制御動作を示すフローチャートであ
る。
【図10】反転周波数比Frと劣化度合等との関係を示
す説明図である。
【図11】触媒入口温度と重み係数との関係を示す説明
図である。
【図12】反転周波数比と触媒性能の劣化の関係を示す
説明図である。
【図13】触媒温度と転化性能との関係を示す図であ
る。
【図14】他の実施例を示す制御動作のフローチャート
である。
【図15】同じくフローチャートである。
【図16】初期劣化度と基準値との関係を示す説明図で
ある。
【図17】劣化進行度と基準値との関係を示す説明図で
ある。
【符号の説明】
1 三元触媒 2 触媒前酸素センサ 3 触媒後酸素センサ 4 コントローラ 9 排気通路 13 排気温度センサ 20 触媒温度センサ 50 触媒 51 劣化度合検出手段 52 排気温度検出手段 53 劣化回復処理時期判定手段 54 劣化回復処理手段 55 回復未処理判定手段 56 割り込み手段 57 暖機状態判定手段 58 暖機制御手段 59 触媒温度検出手段 60 学習手段
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI F02D 41/14 310 B01D 53/36 104A (72)発明者 田山 彰 神奈川県横浜市神奈川区宝町2番地 日 産自動車株式会社内 (56)参考文献 特開 平7−238854(JP,A) 特開 平7−217480(JP,A) 特開 平6−200811(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) F01N 3/08 - 3/38

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 触媒金属として主にパラジウムを担持さ
    せた排気浄化用の触媒と、この触媒の劣化度合を検出す
    る劣化度合検出手段と、触媒に流入する排気温度を検出
    する排気温度検出手段と、検出された触媒劣化度合に応
    じて触媒の劣化回復処理を行う時期を判定する劣化回復
    処理時期判定手段と、前記判定結果が劣化回復処理時期
    で、かつ検出された排気温度が所定値以上であるときに
    排気の空燃比を理論空燃比よりもリーン側の劣化回復処
    理空燃比に制御して触媒の劣化回復処理を行う劣化回復
    処理手段とを備えた内燃機関の排気浄化装置において、
    機関の始動直後に検出した前記劣化度合に基づいて一時
    劣化の回復が未処理であるかを判定する回復未処理判定
    手段と、この判定結果が回復未処理のときには前記劣化
    回復処理時期にかかわらず劣化回復処理を行う割り込み
    手段とを備えたことを特徴とする内燃機関の排気浄化装
    置。
  2. 【請求項2】 触媒金属として主にパラジウムを担持さ
    せた排気浄化用の触媒と、この触媒の劣化度合を検出す
    る劣化度合検出手段と、触媒に流入する排気温度を検出
    する排気温度検出手段と、検出された触媒劣化度合に応
    じて触媒の劣化回復処理を行う時期を判定する劣化回復
    処理時期判定手段と、前記判定結果が劣化回復処理時期
    で、かつ検出された排気温度が所定値以上であるときに
    排気の空燃比を理論空燃比よりもリーン側の劣化回復処
    理空燃比に制御して触媒の劣化回復処理を行う劣化回復
    処理手段とを備えた内燃機関の排気浄化装置において、
    機関の暖機運転中を判定する暖機判定手段と、機関の始
    動直後に検出した前記劣化度合に基づいて一時劣化の回
    復が未処理であるかを判定する回復未処理判定手段と、
    この判定結果が回復未処理のときには前記劣化回復処理
    時期にかかわらず劣化回復処理を行う割り込み手段と、
    前記回復未処理判定手段及び暖機判定手段の判定結果が
    回復未処理かつ暖機中のときにNOの排出を抑制する暖
    機制御手段とを備えたことを特徴とする内燃機関の排気
    浄化装置。
  3. 【請求項3】 前記暖機制御手段は、機関の空燃比を理
    論空燃比にフィードバック制御するときのフィードバッ
    ク制御係数を補正して空燃比をリッチ側にシフトするこ
    とを特徴とする請求項2に記載の内燃機関の排気浄化装
    置。
  4. 【請求項4】 前記暖機制御手段は、排気の一部を吸気
    通路へ導くことを特徴とする請求項2に記載の内燃機関
    の排気浄化装置。
  5. 【請求項5】 前記回復未処理判定手段が、触媒の温度
    を検出する手段を備えて、機関の始動直後に検出した触
    媒温度が所定値以下のときには同じく始動直後の劣化度
    合を永久劣化と判定する一方、そうでない場合には一時
    劣化の回復が未処理であると判定することを特徴とする
    請求項1ないし請求項4のいずれかひとつに記載の内燃
    機関の排気浄化装置。
  6. 【請求項6】 前記回復未処理判定手段が、触媒の温度
    を検出する手段と、機関の始動の度に劣化度合を学習す
    る手段とを備え、機関の始動直後に検出した触媒温度が
    所定値以下のときには同じく始動直後の劣化度合を永久
    劣化と判定するとともに検出した前記劣化度合を今回の
    永久劣化度合として学習する一方、触媒温度が所定値を
    越え、かつ今回の劣化度合の検出値が学習値を越えると
    きには一時劣化の回復が未処理であると判定するととも
    に、前回までの学習値を今回の永久劣化度合として学習
    することを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれ
    かひとつに記載の内燃機関の排気浄化装置。
JP6217417A 1994-09-12 1994-09-12 内燃機関の排気浄化装置 Expired - Fee Related JP2785702B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP6217417A JP2785702B2 (ja) 1994-09-12 1994-09-12 内燃機関の排気浄化装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP6217417A JP2785702B2 (ja) 1994-09-12 1994-09-12 内燃機関の排気浄化装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH0882213A JPH0882213A (ja) 1996-03-26
JP2785702B2 true JP2785702B2 (ja) 1998-08-13

Family

ID=16703888

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP6217417A Expired - Fee Related JP2785702B2 (ja) 1994-09-12 1994-09-12 内燃機関の排気浄化装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2785702B2 (ja)

Families Citing this family (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
GB9910379D0 (en) * 1999-05-05 1999-06-30 Ford Global Tech Inc Engine management system
DE19963903A1 (de) 1999-12-31 2001-07-12 Bosch Gmbh Robert Verfahren zum Betreiben einer Brennkraftmaschine insbesondere eines Kraftfahrzeugs

Also Published As

Publication number Publication date
JPH0882213A (ja) 1996-03-26

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US6629408B1 (en) Exhaust emission control system for internal combustion engine
JP2000265825A (ja) エンジンの排気浄化装置
JPH10121944A (ja) NOxトラップの状態を診断する方法
JP2000274228A (ja) エンジンの排気浄化装置
JP3063517B2 (ja) 内燃機関の排気浄化装置
JP2003524110A (ja) エンジンの排気浄化装置
JP3606211B2 (ja) エンジンの排気浄化装置
JP3988518B2 (ja) 内燃機関の排ガス浄化装置
JP2785702B2 (ja) 内燃機関の排気浄化装置
JP2962127B2 (ja) 内燃機関の制御装置
JP3603797B2 (ja) エンジンの排気浄化装置
JP2996084B2 (ja) 内燃機関の排気浄化装置
JPH0674765B2 (ja) 内燃機関の空燃比制御方法
US6835357B2 (en) Exhaust emission control system for internal combustion engine
JP2003049685A (ja) エンジンの排気浄化装置
JP3627561B2 (ja) 多気筒内燃機関の空燃比制御装置
JPH0972211A (ja) 内燃機関の排気浄化装置
JPH08270438A (ja) 触媒劣化判定装置
JP3327238B2 (ja) 内燃機関の排気浄化装置
JP4015707B2 (ja) 内燃機関の排気浄化装置
JP2001317344A (ja) 内燃機関の排気浄化装置
JP2001234788A (ja) エンジンの排気浄化装置
JP2001317388A (ja) 内燃機関の排気浄化装置
JP2003172131A (ja) 2次燃焼制御方法
JP3147866B2 (ja) エンジンの触媒劣化診断装置

Legal Events

Date Code Title Description
LAPS Cancellation because of no payment of annual fees