JP2784922B2 - 中空糸型人工肺 - Google Patents

中空糸型人工肺

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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は、体外血液循環において血液中の二酸化炭素
を除去し、血液中に酸素を添加する中空糸型人工肺に関
する。
[従来の技術] 従来、人工肺は、大別して起泡型と膜型に分類され
る。積層型、コイル型、中空糸型の膜型人工肺は、起泡
型人工肺に比較して、溶血、蛋白変性、血液凝固、血液
付着等の血液損傷が少なく、機構上生体肺に非常に近い
ものとして広く認識されている。
しかしながら、これら膜型人工肺の気泡型人工肺に対
する優位性にもかかわらず、膜型人工肺のもつ以下の欠
点により、現在の開心術に用いられる人工肺としては気
泡型人工肺が主流となっている。すなわち、現在の膜型
人工肺において、十分な酸素添加能を得るためには、血
液層を薄くする必要があることから、また血液の流路が
狭く、大きな流路抵抗を生ずることから、患者と人工肺
との落差によって人工肺における血液の潅流を達成可能
とする、いわゆる落差潅流を行うことができない。した
がって、膜型人工肺を用いる血液回路は、人工肺の血液
流入口側すなわち静脈側にポンプを配置する必要があ
る。しかしながら、このように配置すると、ポンプの出
口付近の圧力が、送血カテーテル部分の圧力損失と人工
肺の圧力損失との和を越える大きさとなって、送血側回
路内圧が上昇するという問題があった。そして、過度の
場合には、ローラーポンプのチューブがふくらみ、破裂
の危険があった。さらには、開心術において、脳の部分
と下半身部分とに対し別々に体外循環を行う分離体外循
環では、2本の人工肺を必要とする不都合がある。加え
て、最近、生体に近い血液で体外循環を行い、術後の合
併症を軽減させる方法として、拍動流ポンプの使用が提
唱されているが、従来の膜型人工肺では、圧力損失が高
く拍動流が得られない等の問題がある。
そこで、中空糸膜の外側、すなわち中空糸膜とハウジ
ングとの間に血液を流し、中空糸膜の内側に酸素を流す
ことにより、酸素と炭酸ガスの交換を行うことが提案さ
れている(特開昭59−57661号)。
[発明が解決しようとする課題] しかしながら、この中空糸型人工肺にあっては、中空
糸束内に均一に血液が流入せず十分な酸素添加能を得る
ことができなかった。また、落差脱液を可能としつつ、
かつ十分なガス交換性能の得られる人工肺としては満足
のいくものではなかった。
本発明はかかる問題点に鑑みなされたもので、その目
的は、ハウジングと中空糸膜との間に血液を流し、かつ
中空糸膜に酸素ガスを流す中空糸型人工肺において、複
数の中空糸膜でなる中空糸束内に血液が均一に流入し、
十分な酸素添加能を得ることが可能であり、かつ人工肺
への血液流入は患者と人工肺の落差のみで可能であり、
しかも中空糸膜内に血液を流しガス交換を行う人工肺と
比較して、膜面積を減少させても十分な性能が得られる
小型の中空糸型人工肺を提供することにある。
[課題を解決するための手段] 上記従来の課題を達成するために、本発明は、ハウジ
ングと、このハウジング内においてその軸方向に沿って
配置された複数のガス交換用の中空糸膜からなる中空糸
束と、前記中空糸膜の両端部をその開口を閉塞しない状
態で前記ハウジングに液密に保持する隔壁と、前記中空
糸膜の内部空間に連通するガス流入部と、前記隔壁と前
記ハウジングの内壁と前記中空糸膜の外壁とで画成され
る血液室と、各々前記血液室に連通し前記ハウジングの
一端部付近の側壁に設けられた血液流入口及び前記ハウ
ジングの他端部付近の側壁に設けられた血液流出口とを
備え、前記ハウジングの内壁は、軸方向の中央部付近に
おける内径を最小とし、その最小内径部より少なくとも
一端方向に拡張するテーパ状をなしているとともに、前
記血液室に血液を流すとともに前記ガス流入部を介して
中空糸膜の内部空間に酸素ガスを流す中空糸型人工肺に
おいて、前記中空糸束の外周部分であって前記ハウジン
グの内壁に連続的に接触し該内壁により規制されている
部分の長さl1と中空糸束有効長l2とが、l1≧l2/4の関係
を有するとともに前記ハウジングの内壁は、その最小内
径部と前記隔壁部における中空糸束の外周包絡線とを結
ぶ直線よりも軸方向側に傾斜するテーパ状をなしている
ことを特徴とする中空糸型人工肺を提案するものであ
る。
更に本発明においては、 (i)前記中空糸束の最大の充填率d1(%)と当該中空
糸膜の外径2r(μm)とがd1/2r=0.16〜0.23の関係を
有すること。
(ii)前記d1/2rは0.17〜0.22の範囲にあること。
(iii)前記隔壁部での充填率d2(%)と中空糸の外径2
r(μm)が0.05≦d2/2r≦0.15の関係を有すること。
(iv)前記充填率d1が40〜70(%),d2が40(%)以下
であることが好ましい。
[作用] 上記構成により本発明の中空糸型人工肺においては、
ハウジングの血液流入口から流入した血液は、中空糸束
の外周部分であってハウジングの内壁に連続的に接触す
る部分の長さl1が中空糸束有効長l2の1/4以上に維持さ
れているため、中空糸束内に均一に流入し中空糸膜内の
酸素含有ガスから十分かつ均一な酸素を受取った後、血
液流出口から流出する。そして、このときハウジングの
内壁が、その最小内径部と隔壁部における中空糸束の外
周包絡線と結ぶ直線よりも中心軸方向に傾斜して形成さ
れているので、中空糸束と上記内壁との間の連続的接触
が確実に維持されると共に、血液流入口付近の中空糸束
の充填率を小さくすることができ、従って、圧力損失を
少なくすることができる。このように、連続的に接触し
ている中空糸束の外周部分が全体長をなす中空糸束有効
長に対して一定長存在するように構成することにより、
血液の流路の望ましくない短絡(チャネリング)を防止
し、中空糸束の充填率を上げることなく圧力損失を低く
抑えることにより、落差のみでの血液の流れ、いわゆる
落差脱血を可能にするとともに十分なガス交換性能を得
ることができる。
さらに、中空糸束の最大充填率d1と中空糸膜の外径2r
との関係をd1/2r=0.16〜0.23に保つことにより、上記
血液の人工肺への流入は患者と人工肺との落差だけで行
なわれる。
[実施例] 以下、図面を参照して本発明の実施例を説明する。第
1図は本発明の一実施例に係る中空糸型人工肺の構成を
示すものである。図中、1はハウジングであり、このハ
ウジング1は筒状本体2の両端部に環状の取付カバー
3、4が設けられている。ハウジング1内には、全体に
広がって多数、例えば10,000〜60,000本の所定の割合で
捲縮の付けられた多孔性中空糸膜5がハウジング1の軸
方向に沿って並列的に相互に離間配置されている。そし
て、この多孔性中空糸膜5の両端部は、取付カバー3、
4内においてそれぞれの開口が閉塞されない状態で隔壁
6によりそれぞれ液密に支持されている。また、各隔壁
6は、多孔性中空糸膜5の外周面とハウジング1の内面
と共に血液室7を構成し、かつ多孔性中空糸膜5の内部
に形成される酸素含有ガス流通空間(図示しない)と血
液室7を隔離するものである。また、ハウジング1の一
端部付近の側壁には血液を供給する血液流入口8が設け
られており、ハウジング1の他端部付近の側壁には血液
を排出する血液流出口9が設けられている。ハウジング
1の筒状本体2の内面には、軸方向の中央に位置して突
出するテーパ状の絞り用拘束部10を設けている。すなわ
ち、この絞り用拘束部10は筒状本体2の内面に筒状本体
2と一体に形成されており、筒状本体2内に挿通される
多数の多孔性中空糸膜5からなる中空糸束11の外周を締
め付けるようになっている。こうして、中空糸束11は軸
方向の中央において絞り込まれ、絞り部12を形成してい
る。したがって、多孔性中空糸膜5の充填率は軸方向に
沿う各部において異なり、中央部分付近において最も高
くなっている。また、取付カバー3、4にはそれぞれ酸
素含有ガス導入口13、および導出口14が形成されてい
る。
上記多孔性中空糸膜5としてはマイクロポーラス膜が
用いられている。すなわち、多孔性中空糸膜5は、多孔
性ポリオレフィン系樹脂、例えばポリプロピレン、ポリ
エチレンといったものからなり、特に、ポリプロピレン
が好適である。この中空糸膜5は、壁の内部と外部を連
通する該数の細孔を有している。中空糸膜5の内径は10
0〜600μm、肉厚は10〜200μm、平均孔径は200〜2,00
0Å、かつ空孔率は20〜80%である。このようなマイク
ロポーラス膜からなる多孔性中空糸膜5を用いる場合に
は、気体の移動が体積流として行われるため、気体の移
動における膜抵抗が少なくなり、高いガス交換性能を得
ることが可能となる。
尚、多孔性中空糸膜5は、必ずしもマイクロポーラス
膜によらず、気体の移動を溶解、拡散によって行うシリ
コーン製膜等を用いるものを用いることもできる。
次に、上記隔壁6の形成について述べる。前述したよ
うに隔壁6は、多孔性中空糸膜5の内部と外部を隔離す
るという重要な機能を果たすものである。通常、この隔
壁6は、極性の高い高分子ポッティング剤、例えば、ポ
リウレタン、シリコーン、エポキシ等の樹脂をハウジン
グ1の両端内壁面に遠心注入法を利用して流し込み、硬
化させることにより作られる。
更に詳述すれば、まず、ハウジング1の長さより長い
多数の多孔性中空糸膜5が束状になった中空糸束11を用
意し、この中空糸束11をハウジング1の筒状本体2内に
挿入し、中空糸束11端面を分散させる。その後、取付カ
バー3、4の径以上の大きさの型カバーの内面に粘度の
高い樹脂を薄く塗り、この型カバーを分散させた中空糸
束11の側のハウジング1に被せることによって、多孔性
中空糸膜5の目止めをする。続いて、反対側も同様に分
散させ、目止めを行った後、ハウジング1を円盤状の遠
心機に放射状方向に設置して遠心機を回転させることに
より、ハウジング1を回転させながら血液流出口8また
は血液流入口9よりポッティング剤を流入させる。反対
側の端部においても同様な操作を行う。流し終って樹脂
が硬化すれば、型カバーを外して樹脂の外側面部を鋭利
な刃物で切断し、多孔性中空糸膜5の両開口端を表面に
露出させる。このようにして隔壁6が形成されることに
なる。
このような前提において、本実施例の人工肺において
は、ハウジング1の内壁規制部分の長さl1と中空糸束有
効長l2には所定の制限が設けられている。すなわち、ハ
ウジング1の内壁規制部分の長さl1と中空糸束有効長l2
との関係が、l1≧l2/4となっている。上記ハウジング1
の内壁規制部分の長さl1は、ハウジング1の筒状本体2
の内壁2aに中空糸束11が連続的に接触しこの内壁2aによ
って規制されている部分の直線距離である。ここで、
「連続的に接触している」部分とは内壁2aにより規制さ
れている部分の一端部から他端部までの全体が接触して
いる状態をいい、部分的に接触している箇所が複数連続
しているような状態は含まれない。
また、中空糸束有効長l2は、上下の隔壁6間において
ハウジング1の中心軸方向に沿った中空糸束11の最大長
laと最小長lbとの平均値であり、次の式で求められる。
l2=(la+lb)/2 ハウジング1の内壁規制部分の長さl1が中空糸束有効
長l2の1/4以上に長く設定されると、ハウジング1の内
壁面をチャネリング(ショートパス)する血液を少なく
でき、少ない膜面積で大きな酸素移動量が得られる。す
なわち血液流入口8から流入した血液は、中空糸束11内
に均一に流入し多孔性中空糸膜5間に一様に分布して酸
素添加され、この結果高い酸素添加能が得られる。逆
に、l1がl2の1/4未満に設定されると、ハウジング1の
内壁面をチャネリングする血液が多くなり、そのため血
液が中空糸束11内に均一に流れず、十分な酸素添加能を
得ることができない。
尚、ハウジング1の内壁2aは、最小内径部である絞り
用拘束部10と隔壁部6における中空糸束11の外周包絡線
とを結ぶ直線よりもハウジング1の中心軸方向に傾斜し
たテーパ形状をなしたものが望ましい。
第1図に示した中空糸型人工肺では、内壁2aを前記直
線と一致するテーパ形状に形成しているが、本発明は第
2図に示すように内壁2aが前記直線よりもハウジング1
の中心軸方向に傾斜したテーパ形状をなす構成を特徴と
するものである。すなわち、第3図に示すように、内壁
2aの傾斜を絞り用拘束部10と隔壁部6における中空糸束
11の外周包絡線15とを結ぶ直線16の傾斜よりも中心軸側
に向くように設定することにより、内壁2aと中空糸束11
との間を確実に連続して接触した状態とすることができ
る。
このような構成とすることにより、高い酸素添加能を
得ることができるだけでなく、血液流入口8付近におけ
る中空糸束11の充填率を小さくすることができ、この結
果、圧力損失を少なくすることが可能となる。
なお、ハウジング1の内壁規制部分の長さl1と中空糸
束有効長l2との関係がl1≧l2/4となること及び内壁2aの
傾斜が前記直線16と一致するか又は直線16よりも中心軸
側を向いていることという上記制限は、必ずしもハウジ
ング1における絞り用拘束部10の上下両方向に設ける必
要はなく、第4図及び第5図に示すようにハウジング1
における絞り用拘束部10の上下方向のいずれか一方向に
設けるようにしてもよい。ここで、第4図に示した中空
糸型人工肺は、内壁2aの傾斜上を血液流入口8側では前
記直線16の傾斜よりも中心軸側に向くように設定し、血
液流出口9側ではこの関係が逆になるように設定したも
のである。一方、第5図に示した中空糸型人工肺は、内
壁2aの傾斜を血液流出口9側では前記直線16の傾斜より
も中心軸側に向くように設定し、血液流入口8側ではこ
の関係が逆になるように設定したものである。尚、l1
l2との関係は好ましくはl1≧l2/3であり、より好ましく
はl1≧2l2/3である。
また、l1≧l2/4の制限を満す中空糸型人工肺として、
第6図に示すようにハウジング1の内壁2aを筒状に形成
し、この内壁2aによって中空糸束11を内側に絞込むこと
により内壁2aと中空糸束11との間を連続的に接触させた
ものであってもよい。
ここで、第7図及び第8図に示した中空糸型人工肺1
7,18は本発明の比較例である。第7図の中空糸型人工肺
17は、内壁2aが中空糸束11の外周中央部のみを規制し、
かつこの内壁2aが絞り用拘束部10と隔壁部6における中
空糸束11の外周包絡線とを結ぶ直線よりも中心軸から離
れた形状に設定されている。また、第8図の中空糸型人
工肺18は、内壁2aが中空糸束11の外周の中央部と上下の
両端部との3個所を規制するようになっている。
中空糸型人工肺がこのような構造の場合には、血液流
入口8から流入した血液は圧力損失の少ない内壁2aと中
空糸束11間の隙間19及び20に流入し、したがって中空糸
束11内に均一に流入せず十分な酸素添加能を得ることが
できない。
第1図乃至第6図に示した中空糸型人工肺において
は、中空糸束11の充填率にも所定の制限を設けることが
好ましい。すなわち、充填率の最大値(最大充填率)を
示す絞り部12の充填率d1(%)と中空糸膜の外径2r(μ
m)との関係を、 d1/2r=0.16〜0.23 とするものである。ここで、充填率dは中空糸束11の外
周包絡線で囲まれた面積で、全中空糸の外径面積の総計
を除したものであり、次式で求められる。
d=n・πr2/πR2(%) (n:中空糸数、2R:中空糸束の外周包絡線で囲まれた部
分の平均直径) 第9図は、中空糸束の外周包絡線で囲まれた部分の平
均直径2Rを示すための断面図であり、図中、Aが中空糸
束の外周包絡線を示している。
また、中空糸膜の外径2rは、中空糸膜10〜20本をセロ
ハンテープ上に並列に配置し、これらを鋭利な剃刀で長
さ数mmに切断した後、投影機器上に置き、倍率100倍で
直角をなす2方向の内径および膜厚を測定し、その測定
値から外径を算出することにより求められる。
d1/2rが0.23を越えると、圧力損失が増大し、落差脱
血が不可能となる。より具体的に説明するならば、落差
脱血を行うためには、第10図に示されるように手術台O
と床面Fまでの高さΔHは、約100cm(一般に90〜120c
m)とされる。すなわち、圧力損失は60mmHg以下でない
と落差脱血が困難である。
一方、血液量は、最大6.0/min程度は必要である。
そして、人工肺の酸素添加能としては、血流量6.0/mi
nにて、酸素移動量240ml/min以上が必要である。
d1/2rが0.16以上であれば、これら要求特性は満足さ
れる。d1/2rが0.16より小さくなると酸素移動量が必要
限界よりも小さくなってしまい、実用に耐えない。
この場合、d1/2rは0.17〜0.22となると、より好まし
い結果を得る。d1/2rが0.17より小さくなると、中空糸
の外径が大きくなり、その結果全体が大型化して人工肺
のコンパクト性に欠けることになり、また血液充填量が
増加して好ましくない。
さらに、上記条件に加え、中空糸束11における血液流
入側の隔壁6部の充填率d2と中空糸の外径2rの関係は0.
05≦d2/2r≦0.15であることが好ましい。d2/2rが0.15を
超えると、中空糸束11中への血液の流入が不十分とな
り、圧力損失が増し、酸素移動量も低下する。一方、0.
05未満であると、ハウジング1が大きくなり過ぎてしま
う。また、この制限の下において、人工肺のコンパクト
性の点から中空糸束11がハウジング1と接触している部
分のうち最小の部分のハウジング内径φは90mm以下と
するのが好ましい。
さらに、充填率d1は40〜70%、d2は40%以下であるこ
とが好ましい。d1が70%より大きくなると落差脱血が困
難となり、d1が40%未満では酸素添加能の点で実用に供
しえない。また、d2が40%より大きくなると落差脱血が
困難となり、かつ酸素添加能の点で実用に供しえない。
本発明の人工肺は、第10図に示したように、出口側に
ローラポンプ21を配置し、患者と人工肺との落差のみに
よる落差脱血を行うことができる。この場合、落差ΔH
=100cm程度にて圧力損失を60mmHg以下にできるので、
十分な血液量が確保される。しかも、6.0/minの血液
量で240ml/min以上の酸素移動量が得られる。
この場合、中空糸膜の内側に血液を流す人工肺と比較
して、約半分の膜面積で同等の酸素添加能を得ることが
でき、小型軽量化や材料コスト低減の点で極めて有用で
ある。
さらに、本発明の人工肺は、第11図に示すように、出
口側に2つのローラポンプ22、23を接続して分離体外循
環を支障なく行うことができる。また、第12図に示すよ
うに拍動流ポンプ24を用いることもできる。
本発明者は、上記本発明の効果を確認するために次の
ような実験を行った。
(実験例1) 先ず、上記実施例に係る中空糸型人工肺において、中
空糸束11がハウジング1の内壁に接触して規制されてい
る部分の長さl1と中空糸束有効長l2との比を種々変化さ
せて酸素移動量に関する比較実験を行った。その条件及
び結果を表1に示す。なお、φは中空糸束がハウジン
グと接触している部分のうち最大となる部分のハウジン
グ内径である。
本実験においては、血液量4.0/minでの条件実験を
行った。血液量4.0/minでは、酸素移動量は実用上190
ml以上必要である。
実験結果より、l1/l2が25(%)以上である実験例1
〜3の場合には上記要求が満足され、l1/l2が25(%)
未満である比較例1,2の場合には上記要求が満足されな
いことが明らかになった。
(実験例2) 次に、ポリプロピレン樹脂製で表2の条件の中空糸膜
A,Bを用いて、第1図に示した人工肺を作成して酸素移
動量及び圧力損失を測定した。
またφ=76mm、有効長を80mmとした。d1およびd2
各種変えた人工肺を作成し、これにHtが35%、37℃の牛
血流量QB=6/min、酸素ガス量V=6/minにて循環
させた。
前述の通り、酸素移動量の限界点は、6/minの血液
量において240ml/minである。また、落差脱血の際の圧
力損失ΔPの限界点は、6/minの血液量において60mm
Hgである。
第13図、第14図にそれぞれAの中空糸を用いたときの
d1/2rと酸素移動量、d1/2rと圧力損失ΔPとの関係を示
す。また、第15図、第16図にそれぞれBの中空糸を用い
たときのd1/2rと酸素移動量、d1/2rと圧力損失ΔPとの
関係を示す。
これらよりd1/2rが0.23以内であれば、落差脱血の際
の圧力損失が60mmHg以内であり、またd1/2rが0.16以上
であれば、酸素移動量が240ml/minより大きくなり、し
たがって人工肺として適していることが明らかである。
[発明の効果] 以上のように本発明によれば、ハウジングと中空糸膜
との間に血液を流し、かつ、中空糸膜内に酸素ガスを流
す中空糸型人工肺において、中空糸束の外周部分であっ
てハウジングの内壁に連続的に接触し該内壁により規制
されている部分の長さl1と中空糸束有効長l2とがl1≧l2
/4の関係を有するため、血液が中空糸束内に均一に流入
して一様に分布し、この結果高い酸素添加能を得ること
ができる。特に、ハウジングの内壁を、その最小内径部
と隔壁部における中空糸束の外周包絡線とを結ぶ直線と
一致するか又はこの直線よりも中心軸方向に傾斜する形
状に形成することにより、高い酸素添加能を得ることが
できるだけでなく、血液流入口付近の中空糸束の充填率
を小さくすることができ、したがって圧力損失を少なく
することができる。このように、連続的に接触している
中空糸束の外周部分が全体長をなす中空糸束有効長に対
して一定長存在するよう構成することにより、血液の流
路の望ましくない短絡(チャネリング)を防止し、中空
糸束の充填率を上げることなく圧力損失を低く抑えるこ
とにより、落差のみでの血液の流れ、いわゆる落差脱血
を可能にするとともに十分なガス交換性能を得ることが
できる。中空糸束の最大充填率d1と中空糸の外径2rとの
関係をd1/2r=0.16〜0.23とすることにより、人工肺へ
の血液流入が患者と人工肺との落差のみで可能であり、
しかも中空糸膜内に血液を流してガス交換を行う人工肺
と比較して、膜面積を減少させても十分な性能が得られ
るとともに小型化を図ることのできる中空糸型人工肺を
提供できる。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の一実施例に係る中空糸型人工肺の断面
図、第2図は本発明の他の実施例に係る中空糸型人工肺
の断面図、第3図は第2図の要部を示す部分拡大断面
図、第4図乃至第6図はそれぞれ本発明のさらに他の実
施例に係る中空糸型人工肺の断面図、第7図及び第8図
はそれぞれ上記実施例の比較例として用いる中空糸型人
工肺の断面図、第9図は第1図の中空糸型人工肺の断面
図、第10図乃至第12図はそれぞれ第1図の人工肺の作用
を説明するための模式図、第13図は実験例2におけるd1
/2rと酸素移動量との関係を示す図、第14図は同じくd1/
2rと圧力損失との関係を示す図、第15図は同じく実験例
2におけるd1/2rと酸素移動量との関係を示す図、第16
図は同じくd1/2rと圧力損失との関係を示す図である。 1……ハウジング、3,4……取付カバー 5……多孔性中空糸膜、6……隔壁 7……血液室、8……血液流入口 9……血液流出口、10……絞り用拘束部 11……中空糸束、12……絞り部 15……外周包絡線

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ハウジングと、このハウジング内において
    その軸方向に沿って配置された複数のガス交換用の中空
    糸膜からなる中空糸束と、前記中空糸膜の両端部をその
    開口を閉塞しない状態で前記ハウジングに液密に保持す
    る隔壁と、前記中空糸膜の内部空間に連通するガス流入
    部と、前記隔壁と前記ハウジングの内壁と前記中空糸膜
    の外壁とで画成される血液室と、各々前記血液室に連通
    し前記ハウジングの一端部付近の側壁に設けられた血液
    流入口及び前記ハウジングの他端部付近の側壁に設けら
    れた血液流出口とを備え、前記ハウジングの内壁は、軸
    方向の中央部付近における内径を最小とし、その最小内
    径部より少なくとも一端方向に拡張するテーパ状をなし
    ているとともに、前記血液室に血液を流すとともに前記
    ガス流入部を介して中空糸膜の内部空間に酸素ガスを流
    す中空糸型人工肺において、 前記中空糸束の外周部分であって前記ハウジングの内壁
    に連続的に接触し該内壁により規制されている部分の長
    さl1と中空糸束有効長l2とが、l1≧l2/4の関係を有する
    とともに前記ハウジングの内壁は、その最小内径部と前
    記隔壁部における中空糸束の外周包絡線とを結ぶ直線よ
    りも軸方向側に傾斜するテーパ状をなしていることを特
    徴とする中空糸型人工肺。
  2. 【請求項2】前記中空糸束の最大の充填率d1(%)と当
    該中空糸膜の外径2r(μm)とがd1/2r=0.16〜0.23の
    関係を有する請求項1に記載の中空糸型人工肺。
  3. 【請求項3】前記d1/2rは0.17〜0.22の範囲にある請求
    項2に記載の中空糸型人工肺。
  4. 【請求項4】前記隔壁部での充填率d2(%)と中空糸の
    外径2r(μm)が0.05≦d2/2r≦0.15の関係を有する請
    求項2に記載の中空糸型人工肺。
  5. 【請求項5】前記充填率d1が40〜70(%),d2が40
    (%)以下である請求項4に記載の中空糸型人工肺。
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