JPS6130588B2 - - Google Patents
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Description
【発明の詳細な説明】
発明の背景
技術分野
本発明はホローフアイバー型人工肺に関する。
先行技術
従来、人工肺は、気泡型が主流であり、この人
工肺を用いて、開心術、補助循環等に際し、体外
循環を行うには、第1図に示されるような回路構
成にて、患者の静脈から血液をとりだし、人工肺
10で酸素を加えたのち、送血ポンプPで動脈へ
返している。 一方、人工肺には、血液−ガス直接接触方式の
気泡型に対し、ガス交換膜を用いる膜型人工肺が
あり、膜型ではガス交換方式がより生理的である
ため、種々の利点をもち、人工肺の大勢は膜型に
移行しつつある。そして、膜型のうち、多孔性中
空糸をガス交換膜として用いるホローフアイバー
型人工肺は、耐圧強度が高く、装置単位体積当り
の膜面積が大きくとれ、又ガス交換性能が高く、
かつ安定であるなどの点で、小型堅牢で高性能な
よりすぐれた人工肺である。 ところで、体外循環では、脱血量と送血量は必
ずしも一致するものではなく、血管収縮や、心、
肺の虚血により体内の血液量が変化し、これに伴
い、脱血量が増減する。このため、体外循環回路
中には、血液量の増減を吸収する機能がなければ
ならず、従来の気泡型人工肺では、人工肺自体が
このような機能を果している。しかし、ホローフ
アイバー型人工肺には、このような機能はなく、
別途貯血槽を回路中に挿入しなければならない。
このため、ホローフアイバー型人工肺1を用いて
体外循環を行うには、第2図に示されるように、
2つの貯血槽R1,R2と2つの送血ポンプP1,P2
を用いるダブルポンプシステムや、第3図に示さ
れるように、脱血した血液を貯血槽に入れたの
ち、これを送血ポンプPを介して人工肺1に送る
シングルポンプシステムを用いている。 しかし、ダブルポンプシステムでは、ポンプが
2基必要であること、回路のプライミング量が増
大すること、操作が煩雑となること等の種々の欠
点がある。これに対し、第3図に示されるような
シングルポンプシステムでは、このような欠点は
ないが、他面、回路内圧が異常に高まる危険性が
あり、このため溶血が亢進したり、回路接続部な
どの破裂がおこる危惧があること;プライミング
時の泡抜きが不十分であつたとき、循環中に気泡
が人工肺から流出したり、何らかの条件でガス側
圧力が血液側圧力より高くなると、中空糸の細孔
から気泡が入りこむことがあり、人工肺から体内
に気泡が入りこむ危険性があること;送血ポンプ
の負担が重く、ラテツクスポンプチユーブのふく
らみ、破裂が生じる危惧があること等の欠点があ
る。 そこで、本発明者らは種々の面から検討を行
い、第4図に示される落差脱血シングルポンプシ
ステムを用いて体外循環を行えば、上記のような
不都合は解消するのではないかとの着想を得た。
この場合、脱血は手術台からの落差にて行い、こ
れをホローフアイバー型人工肺1を通した後、一
旦貯血槽Rを貯血し、送血ポンプPにて送血す
る。そして、このように構成すれば、ポンプは1
基のみでよく、プライミング量も少なく、操作が
楽である上、回路内圧が異常に高まる危険がな
く、溶血や回路破裂等の危惧がなく、また人工肺
中に気泡が生じてもそれは貯血槽で有効に除去さ
れ、更に送血ポンプの負担も軽くなる等の利点が
ある。 しかし、このようなシステムでは、手術台の高
さから、貯血槽Rの液面までの高さの差で脱血が
行われ、血液が流れなければならない。この落差
は、手技の態様によつて異なるが、通常の病院
で、1m程度なら確保できるものである。すなわ
ち、使用血液流量において、人工肺の圧力損失は
70mmHg程度以下でなければならない。 しかるに、従来のホローフアイバー型人工肺で
は、このような低い圧力損失を示すものはなく、
上記のような落差脱血シングルポンプシステムの
利点を発揮させることができない。 発明の目的 本発明は上記のような状況の中でなされたもの
であり、本発明者らによつて全く新たに着想され
た上記落差脱血シングルポンプシステムに適合す
るホローフアイバー型人工肺を実現し、このシス
テムの上記したような利点を有効に発揮せしめん
としてなされたものである。 より具体的には、本発明は、使用血液流量にお
いて圧力損失がが70mmHg以下であるホローフア
イバー型人工肺を提供し、落差脱血シングルポン
プシステムでの体外循環を可能にすることを、そ
の主たる目的とする。 本発明者らは、このような目的につき種々検討
を重ねた結果、以下のような知見を得た。すなわ
ち、人工肺に要求される血液流量としては、酸素
飽和度65%の静脈血を、95%以上に酸素化できる
血液流量(以下Q〓30とする)が一般の体外循環
における使用血液流量の目安とされている。一
方、このQ〓30と、人工肺の圧力損失とは、とも
に血液粘度に相関する。血液粘度については、そ
の測定の難しさから、今まで信頼に足る測定値は
得られていないが、本発明者らの実験によれば、
血液粘度はヘマトクリツト値Htと、温度とによ
つて決定されること、又ホローフアイバー型人工
肺の圧力損失はこの血液粘度と比例すること、そ
して種々のHtおよび温度における血液粘度とし
ては、常織的な体外循環条件の中で、Ht=35
%、37℃における値を最高粘度としてよいことが
確認された。 そこで、Ht=35%、37℃でのQ〓30における圧
力損失を、種々のホローフアイバー型人工肺を試
作して測定したところ、この圧力損失が70mmHg
以下となる条件は、使用する中空糸の平均内径
d、平均全長L、ガス交換膜として使用される有
効長lについて、d4/(L×l)が1.2×10-9cm2
以上となりさえすればよいことが判明した。 本発明は、このような知見からなされたもので
ある。 すなわち本発明は、ほぼ円筒状のハウジング
と、当該ハウジング内の長手方向に多数並べて配
列された少なくとも内壁面が疎水性の多孔性中空
糸の集合体と、上記ハウジングの内壁面と当該中
空糸の外壁面との間に形成されるガス室と、当該
ガス室に連通するガス用入口および出口と、上記
ハウジング内において上記中空糸の両端部をそれ
ぞれ支持し、各中空糸の開口端を上記ガス室から
隔離する隔壁と、上記中空糸の内部中空に連通す
る血液用入口および出口とを具えたホローフアイ
バー型人工肺において、上記多孔性中空糸の平均
内径をd(cm)、その平均全長をL(cm)、全長か
ら両端の隔壁厚を差引いて得られる有効長さの平
均をl(cm)としたとき、 d4/(L×l)≧1.2×10-9cm2 なる関係をもち、上記平均内径dが0.01〜0.03cm
であり、上記隔壁内の中空糸の充填率が20〜60%
であり、上記中空糸の空孔率が20〜80%であり、
上記中空糸数が4000〜80000本であることを特徴
とするホローフアイバー型人工肺である。 なお、従来、上記のような関係をもつ多孔性中
空糸を用いるホローフアイバー型人工肺はまつた
く知られていない。 発明の具体的構成 以下本発明の具体的構成について詳細に説明す
る。 本発明において使用する多孔性中空糸は、少な
くともその内壁面、すなわち血液接触面が疎水性
のものであり、内壁面の水に対する接触角は、90
゜以上である。このため、多孔性中空糸として
は、ポリプロピロレン、ポリエチレンなどのポリ
オレフイン系樹脂、フツ素樹脂、シリコーン樹脂
等の疎水性樹脂製であつてもよく、あるいは、そ
の他の材料からなり、その少なくとも内壁面を、
シリコーン油や反応性シリコーン樹脂等で処理
し、疎水性としたものであつてもよい。これらの
うち、多孔性中空糸としては、ポリオレフイン系
樹脂、特にポロプロピレンから形成されるもので
あることが好ましい。 このような材質からなる多孔性中空糸は、その
中空内壁と外壁とを連動する微小細孔を多数有す
る。 微小細孔の平均細孔径には、特に制限はない
が、電子顕微鏡にて観察したとき、一般に、200
〜2000Åであることが好ましい。なお、微小細孔
の形状が長円状であるときには、細孔径は短径と
長径の相乗平均とし、その平均を求めればよい。 又、中空糸の平均空孔率にも特に制限はない
が、一般に20〜80%程度であることが好ましい。
更に、中空糸の平均肉厚は、一般に、概ね、10〜
50μ程度とすればよい。 このような前提の下で、上記のとおり、d4/
(L×l)は1.2×10-9cm2、一般に1.2〜2.8×10-9
cm2である。 この場合、dは使用する各多孔性中空糸の平均
内径を、又Lは各多孔性中空糸の全長を、それぞ
れ加算して、それを使用本数で除して平均して求
められる。又、lは各中空糸の全長から、後述す
るその両端部の隔壁厚を差引いたものを求め、こ
れを平均して求められる。 そして、膜面積、d,L,lの異同に拘らず、
Ht=35%、37℃でのQ〓30における圧力損失ΔP
は、上記の関係さえ満足すれば、常に70mmHg以
下となることが確認されている。これは後記実験
例からも明白になるであろう。 なお、このように確認された上記の関係は以下
のようにして求められたものである。 まず、ホローフアイバー型人工肺の圧力損失Δ
P〔mmHg〕は、円管内流体の圧力損失から算出
できると考えられ、それは下記(1)式で示される。 ΔP=32×u×L×μ/gc×d2×1.35 (1) この場合、uは中空糸内の平均流速〔cm/
Sec〕であり、gc=980〔cm/sec2〕は重力換算係
数、μは血液粘度〔ポイズ〕である。 そして、種々のヘマクリツト値Htおよび血液
温度に調整した血液を用い、各種ホローフアイバ
ー型人工肺のΔPを測定したところ、Htと温度
とが一定のとき、dおよびLならびにuを変化さ
せると、ΔPは一定のμで変化し、上式(1)が成立
することが確認された。 そこで、水、グリセリン水溶液等種々の粘度既
知の物質での圧力損失を求め、粘度と圧力損失の
関係を求めた。 次いで、牛血のHtと温度をかえながら圧力損
失を測定し、粘度に換算したところ、通常の手技
範囲内では、Ht=35%、37℃での0.025ポイズが
最高粘度を与えることを確認した。 加えて、(1)式は膜面積を変えた人工肺において
も成立していた。 従つて、これらから、Ht=35%、37℃でのホ
ローフアイバー型人工肺の圧力損失ΔP*の実験
式として、下記式(2)が導出される。 ΔP*=6.05×10-4×u×L/d2 (2) 一方、Ht35%、37℃において、膜面積1m2の
ホローフアイバー型人工肺を各種試作し、Q〓30
とdとの関係を求めたところ、Q〓30〔ml/
sec〕とd〔cm〕との積は、有効数字2桁にて
0.35〔cm4/sec〕であることが確認された。こ
のような関係は、Lおよびlの異同に拘らず、常
に、相関係数0.99程度で成立する。従つて、これ
らから、実験式として、膜面積1m2あたりのQ〓
30(以下〓30とする)は下記式(3)で示される。 〓30=0.35/d (3) なお、各種平均内径dをもつ中空糸を用い、そ
れぞれ各種面積をもつ人工肺を試作したところ、
dが同一の中空糸を用いた人工肺では、l,Lの
異同に拘らず、そのQ〓30は上記〓30に膜面積
を乗じた値となること、すなわちQ〓30が単位面
積換算可能であることが確認されている。 他方、上記uは、中空糸断面を円とすれば、下
記式(4)で示される。 u=〓30l/2500d (4) (4)式の導出過程は次のとおりである。まず、速
度uは次のとおりである。 u=Q/a Q:血液量、a:断面積 いま、人工肺の膜面積は先述のとおり A=πdlNであり、 かつここでは、A=10000cm2である。一方、a=
πd2N/4であるから a=d・πdN/4=Ad/4l =10000d/4l=2500d/l 従つて、u=Q・l/2500d そこで、Q=〓30とおけば(4)式がえられる。 従つて、上式(2),(3),(4)から、Ht35%、37℃
でのQ〓30におけるΔP(以下ΔP≠とする)
は、下記式(5)で示されることになる。 ΔP≠=8.53×10-8×l×L/d4 (5) そこで、式(5)から、ΔP≠≦70mmHgの関係を
満たす条件を求めると、上記したd4/(L×l)
≧1.2×10-9が導出される。そして、上記したと
おり、d4/(L×l)が1.2×10-9cm2以上であれ
ば、d,l,Lおよび膜面積に拘りなく、常に、
Ht35%、37℃でのQ〓30におけるΔP≠は70mm
Hg以下となることが実際の各種試作人工肺にて
確認されたものである。 なお、中空糸の平均内径dについては、dが余
りに大きくなると、酸素加性能がおち、又dが余
りに小さくなると中空糸閉塞が生じるので、100
〜300μの範囲であることが好ましい。 本発明のホローフアイバー型人工肺は、このよ
うな多孔性中空糸を複数本集束し、その両端部に
おいて、高分子重合体隔壁内に埋めこみ開口して
なる。そして、この各多孔性中空糸内部を血液流
路とし、その肉厚部の微小細孔を介しガス交換を
行う。この場合、用いる中空糸の本数について特
に制限はなく、使用本数に拘りなく、d4/(L×
l)が同一であれば同一の圧力損失を与えるもの
である。ただ、使用本数により膜面積が変わり、
Q〓30やプライミングボリユームが変わるので、
通常は、4000〜80000本程度を用いるのが一般的
である。 なお、膜面積は、中空糸本数をNとしたとき、
πdlNで与えられる。すなわち、dとlが本発明
に従い決定していれば、膜面積はNで決定され、
Nは圧力損失とは無関係であるので圧力損失は膜
面積にかかわらず一義的に決定する。 このような多孔性中空糸の複数本を、その両端
部において埋めこみ開口し、所定のハウジング内
に支持する隔壁は、高分子重合体から形成され
る。高分子重合体としては、ポツテイング材とし
て知られるポリウレタン樹脂等から形成すればよ
い。そして、この両端隔壁厚を全長から差引い
て、上記有効長lは求められる。 このようにして構成されるホローフアイバー型
人工肺の具体的1例が第5図に示される。 同図に示されるように、人工肺1は、ハウジン
グ2をもつ。このハウジング2は、例えば筒状体
21の両端に取り付けカバー22,23を取り付
けて構成される。そして、このハウジング2内に
は、複数の多孔性中空糸3,…がほぼ平行に配列
されている。 他方、この多孔性中空糸3,…の両端部は、ハ
ウジング2の例えば取り付けカバー22,23内
において、上記のように、隔壁41,45によつ
て、その開口を露出して支持固定されている。こ
の場合、隔壁41,45内の中空糸3,…の実質
的充填率は、概ね20〜60%程度とすればよい。充
填率は圧力損失と無関係であるが、これは、必要
酸素量に比較して、多孔性中空糸の透過酸素量が
十分に大きいためであると思われる。又、隔壁4
1,45の厚さは、概ね0.5〜5cm程度とすれば
よい。なお、第5図に示される例では、隔壁4
1,45は遠心注型によつて形成される結果、そ
の内壁面は凹面をなす。このような場合には、平
均有効長lは、平均全長Lから、中空糸の実質的
な集束部分における隔壁厚の平均を両隔壁41,
45につき差し引いて求めればよい。 このような隔壁41,45は、同時に、ハウジ
ング2内において、閉塞したガス室5を形成して
いる。そして、取り付けカバー22,23には、
それぞれガス用入口および出口61,65が設け
られ、ガス室5内に空気流路が形成されている。
なお、第5図に示される例では、筒状体21は、
このガス用入口および出口61,65に対向する
ごとく延長され、リブ251,255を形成し、
吹送されるガスの短絡がおこらないよう配慮され
ている。 他方、隔壁41,45の外端面は、ヘツドカバ
ー71,75によつてそれぞれ覆われており、こ
のヘツドカバー71,75には血液用入口および
出口81,85が設けられている。なお、第5図
に示される人工肺1では、ハウジング2の筒状体
21内に、絞り部215が形成され、中空糸3の
充填率が端部にゆくにつれ疎になる構造となつて
いる。このような構造を採用する必要は必ずしも
ないが、これによりCO2除去能がより高いものと
なる。 発明の具体的作用効果 以上詳述してきた本発明のホローフアイバー型
人工肺は、血液用入口81から血液を導入し、血
液を多孔性中空糸内部を通過させ、血液用出口8
5から排出するとともに、酸素、空気等をガス用
入口61、ガス室5、ガス用出口65の経路で吹
送して使用する。このとき、多孔性中空糸の微小
細孔を介し、血液への酸素添加と、血液からの
CO2除去とが行われる。 この場合、本発明のホローフアイバー型人工肺
は、通常の体外循環条件における使用最高血液流
量において、その圧力損失が70mmHg以下であ
る。このため、上述したところの、本発明者らの
着想に係る第4図に示されるような落差脱血シン
グルポンプシステムによる体外循環が可能とな
る。すなわち、本発明のホローフアイバー型人工
肺を用いれば操作性が良好で、プライミング量が
少なく、又回路内圧が異常に高まらず、かつポン
プの負担が軽く、しかも溶血や回路破裂の危惧が
なく、更には体内への気泡混入の危険のない体外
循環が可能となる。 このような結果、本発明のホローフアイバー型
人工肺は、開心術あるいは補助循環において、上
記したような落差脱血シングルポンプシステムの
体外循環に用いて、きわめて有用である。 本発明者らは、本発明の効果を確認するため種
種実験を行つた。以下にその1例を示す。 実験例 下記表1に示されるように、平均内径が300
μ、250μ、200μおよび180μの4種のポリプロ
ピレン製多孔性中空糸を用意した。これら4種の
各多孔性中空糸の平均肉厚は、いずれも25μであ
り、又その平均空孔率はともに50%、平均細孔径
は電子顕微鏡による測定の結果、ともに700Åで
あつた。 このような4種の多孔性中空糸を用い、第5図
に示されるようなホローフアイバー型人工肺1計
19種を作製した。この場合、19種の人工肺No.1〜
19は、その平均全長Lを下記表1に示されるよう
にかえ、又、ポリウレタンから形成した隔壁4
1,45厚をそれぞれかえて、その平均有効長l
を表1に示されるようにかえ、更に、中空糸使用
本数を表1に示されるようにかえ、それぞれ膜面
積1m2として作製したものである。この場合、ハ
ウジングは内径が同一で長さがそれぞれ中空糸の
全長に等しいものを用い、その隔壁内の中空糸充
填率は表1のとおりであつた。そして、この各人
工肺No.1〜19のd4/(L×l)の値は表1に併記
される。 次いで、この各人工肺No.1〜19を用い、第6図
に示されるように、静脈血作製肺D、貯血槽
R1、ポンプP1、熱交換器HE、人工肺1、貯血槽
R2、ポンプP2を順次接続して回路を作製し、Q
〓30およびQ〓30における人工肺1の圧力損失Δ
P≠を測定した。 すなわち、静脈血作製肺Dには、ヘマトクリツ
ト値Ht35%、ヘモグロビン量Hb12g/dlの新鮮
ヘパリン加牛血を充填した。又、静脈血作製肺D
には、CO2,O2,N2の混合ガスを吹送し、
SvO265±2%、PvCO250mmHgの静脈血を作製
し、熱交換器HEにより、血液温度を37℃として
循環した。なお、人工肺1のガス室5への吹送ガ
スは100%O2ガスとし、その流量は1/minと
した。 各人工肺1におけるこのような循環において、
それぞれ血液流量をかえながら循環を行い、人工
肺1の出口の酸素飽和度を測定し、血液流量と酸
素飽和度とをプロツトした後、ラグランジエの補
間法により、3点補間で、各人工肺No.1〜19のQ
〓30を測定した。計19種の人工肺につき、それぞ
れ3個の人工肺を作製し、これら各3個につき、
それぞれ3回づつの測定を行い、9個の測定値を
平均した結果を、下記表1に示す。 次に、このようにして得られたQ〓30の血液流
量にて、各種人工肺につき同様の循環を行い、人
工肺1の入口および出口の回路内圧を測定し、そ
の差を求め、Q〓30における人工肺1の圧力損失
ΔP≠を求めた。結果を表1に併記する。 表1に示される結果から、d4/(L×l)が
1.2×10-9cm2以上であるとき、人工肺の圧力損失
ΔP≠は70mmHgになることがわかる。 なお、上記と同様の中空糸を用い、膜面積が、
3.3m2、5.4m2となるような各種人工肺を作製し、
同様の測定を行つたところ、Q〓30は膜面積に比
例して大きくなるが、ΔP≠はd4/(L×l)が
同一のときには、ほとんど同一の値となることが
確認された。 【表】
工肺を用いて、開心術、補助循環等に際し、体外
循環を行うには、第1図に示されるような回路構
成にて、患者の静脈から血液をとりだし、人工肺
10で酸素を加えたのち、送血ポンプPで動脈へ
返している。 一方、人工肺には、血液−ガス直接接触方式の
気泡型に対し、ガス交換膜を用いる膜型人工肺が
あり、膜型ではガス交換方式がより生理的である
ため、種々の利点をもち、人工肺の大勢は膜型に
移行しつつある。そして、膜型のうち、多孔性中
空糸をガス交換膜として用いるホローフアイバー
型人工肺は、耐圧強度が高く、装置単位体積当り
の膜面積が大きくとれ、又ガス交換性能が高く、
かつ安定であるなどの点で、小型堅牢で高性能な
よりすぐれた人工肺である。 ところで、体外循環では、脱血量と送血量は必
ずしも一致するものではなく、血管収縮や、心、
肺の虚血により体内の血液量が変化し、これに伴
い、脱血量が増減する。このため、体外循環回路
中には、血液量の増減を吸収する機能がなければ
ならず、従来の気泡型人工肺では、人工肺自体が
このような機能を果している。しかし、ホローフ
アイバー型人工肺には、このような機能はなく、
別途貯血槽を回路中に挿入しなければならない。
このため、ホローフアイバー型人工肺1を用いて
体外循環を行うには、第2図に示されるように、
2つの貯血槽R1,R2と2つの送血ポンプP1,P2
を用いるダブルポンプシステムや、第3図に示さ
れるように、脱血した血液を貯血槽に入れたの
ち、これを送血ポンプPを介して人工肺1に送る
シングルポンプシステムを用いている。 しかし、ダブルポンプシステムでは、ポンプが
2基必要であること、回路のプライミング量が増
大すること、操作が煩雑となること等の種々の欠
点がある。これに対し、第3図に示されるような
シングルポンプシステムでは、このような欠点は
ないが、他面、回路内圧が異常に高まる危険性が
あり、このため溶血が亢進したり、回路接続部な
どの破裂がおこる危惧があること;プライミング
時の泡抜きが不十分であつたとき、循環中に気泡
が人工肺から流出したり、何らかの条件でガス側
圧力が血液側圧力より高くなると、中空糸の細孔
から気泡が入りこむことがあり、人工肺から体内
に気泡が入りこむ危険性があること;送血ポンプ
の負担が重く、ラテツクスポンプチユーブのふく
らみ、破裂が生じる危惧があること等の欠点があ
る。 そこで、本発明者らは種々の面から検討を行
い、第4図に示される落差脱血シングルポンプシ
ステムを用いて体外循環を行えば、上記のような
不都合は解消するのではないかとの着想を得た。
この場合、脱血は手術台からの落差にて行い、こ
れをホローフアイバー型人工肺1を通した後、一
旦貯血槽Rを貯血し、送血ポンプPにて送血す
る。そして、このように構成すれば、ポンプは1
基のみでよく、プライミング量も少なく、操作が
楽である上、回路内圧が異常に高まる危険がな
く、溶血や回路破裂等の危惧がなく、また人工肺
中に気泡が生じてもそれは貯血槽で有効に除去さ
れ、更に送血ポンプの負担も軽くなる等の利点が
ある。 しかし、このようなシステムでは、手術台の高
さから、貯血槽Rの液面までの高さの差で脱血が
行われ、血液が流れなければならない。この落差
は、手技の態様によつて異なるが、通常の病院
で、1m程度なら確保できるものである。すなわ
ち、使用血液流量において、人工肺の圧力損失は
70mmHg程度以下でなければならない。 しかるに、従来のホローフアイバー型人工肺で
は、このような低い圧力損失を示すものはなく、
上記のような落差脱血シングルポンプシステムの
利点を発揮させることができない。 発明の目的 本発明は上記のような状況の中でなされたもの
であり、本発明者らによつて全く新たに着想され
た上記落差脱血シングルポンプシステムに適合す
るホローフアイバー型人工肺を実現し、このシス
テムの上記したような利点を有効に発揮せしめん
としてなされたものである。 より具体的には、本発明は、使用血液流量にお
いて圧力損失がが70mmHg以下であるホローフア
イバー型人工肺を提供し、落差脱血シングルポン
プシステムでの体外循環を可能にすることを、そ
の主たる目的とする。 本発明者らは、このような目的につき種々検討
を重ねた結果、以下のような知見を得た。すなわ
ち、人工肺に要求される血液流量としては、酸素
飽和度65%の静脈血を、95%以上に酸素化できる
血液流量(以下Q〓30とする)が一般の体外循環
における使用血液流量の目安とされている。一
方、このQ〓30と、人工肺の圧力損失とは、とも
に血液粘度に相関する。血液粘度については、そ
の測定の難しさから、今まで信頼に足る測定値は
得られていないが、本発明者らの実験によれば、
血液粘度はヘマトクリツト値Htと、温度とによ
つて決定されること、又ホローフアイバー型人工
肺の圧力損失はこの血液粘度と比例すること、そ
して種々のHtおよび温度における血液粘度とし
ては、常織的な体外循環条件の中で、Ht=35
%、37℃における値を最高粘度としてよいことが
確認された。 そこで、Ht=35%、37℃でのQ〓30における圧
力損失を、種々のホローフアイバー型人工肺を試
作して測定したところ、この圧力損失が70mmHg
以下となる条件は、使用する中空糸の平均内径
d、平均全長L、ガス交換膜として使用される有
効長lについて、d4/(L×l)が1.2×10-9cm2
以上となりさえすればよいことが判明した。 本発明は、このような知見からなされたもので
ある。 すなわち本発明は、ほぼ円筒状のハウジング
と、当該ハウジング内の長手方向に多数並べて配
列された少なくとも内壁面が疎水性の多孔性中空
糸の集合体と、上記ハウジングの内壁面と当該中
空糸の外壁面との間に形成されるガス室と、当該
ガス室に連通するガス用入口および出口と、上記
ハウジング内において上記中空糸の両端部をそれ
ぞれ支持し、各中空糸の開口端を上記ガス室から
隔離する隔壁と、上記中空糸の内部中空に連通す
る血液用入口および出口とを具えたホローフアイ
バー型人工肺において、上記多孔性中空糸の平均
内径をd(cm)、その平均全長をL(cm)、全長か
ら両端の隔壁厚を差引いて得られる有効長さの平
均をl(cm)としたとき、 d4/(L×l)≧1.2×10-9cm2 なる関係をもち、上記平均内径dが0.01〜0.03cm
であり、上記隔壁内の中空糸の充填率が20〜60%
であり、上記中空糸の空孔率が20〜80%であり、
上記中空糸数が4000〜80000本であることを特徴
とするホローフアイバー型人工肺である。 なお、従来、上記のような関係をもつ多孔性中
空糸を用いるホローフアイバー型人工肺はまつた
く知られていない。 発明の具体的構成 以下本発明の具体的構成について詳細に説明す
る。 本発明において使用する多孔性中空糸は、少な
くともその内壁面、すなわち血液接触面が疎水性
のものであり、内壁面の水に対する接触角は、90
゜以上である。このため、多孔性中空糸として
は、ポリプロピロレン、ポリエチレンなどのポリ
オレフイン系樹脂、フツ素樹脂、シリコーン樹脂
等の疎水性樹脂製であつてもよく、あるいは、そ
の他の材料からなり、その少なくとも内壁面を、
シリコーン油や反応性シリコーン樹脂等で処理
し、疎水性としたものであつてもよい。これらの
うち、多孔性中空糸としては、ポリオレフイン系
樹脂、特にポロプロピレンから形成されるもので
あることが好ましい。 このような材質からなる多孔性中空糸は、その
中空内壁と外壁とを連動する微小細孔を多数有す
る。 微小細孔の平均細孔径には、特に制限はない
が、電子顕微鏡にて観察したとき、一般に、200
〜2000Åであることが好ましい。なお、微小細孔
の形状が長円状であるときには、細孔径は短径と
長径の相乗平均とし、その平均を求めればよい。 又、中空糸の平均空孔率にも特に制限はない
が、一般に20〜80%程度であることが好ましい。
更に、中空糸の平均肉厚は、一般に、概ね、10〜
50μ程度とすればよい。 このような前提の下で、上記のとおり、d4/
(L×l)は1.2×10-9cm2、一般に1.2〜2.8×10-9
cm2である。 この場合、dは使用する各多孔性中空糸の平均
内径を、又Lは各多孔性中空糸の全長を、それぞ
れ加算して、それを使用本数で除して平均して求
められる。又、lは各中空糸の全長から、後述す
るその両端部の隔壁厚を差引いたものを求め、こ
れを平均して求められる。 そして、膜面積、d,L,lの異同に拘らず、
Ht=35%、37℃でのQ〓30における圧力損失ΔP
は、上記の関係さえ満足すれば、常に70mmHg以
下となることが確認されている。これは後記実験
例からも明白になるであろう。 なお、このように確認された上記の関係は以下
のようにして求められたものである。 まず、ホローフアイバー型人工肺の圧力損失Δ
P〔mmHg〕は、円管内流体の圧力損失から算出
できると考えられ、それは下記(1)式で示される。 ΔP=32×u×L×μ/gc×d2×1.35 (1) この場合、uは中空糸内の平均流速〔cm/
Sec〕であり、gc=980〔cm/sec2〕は重力換算係
数、μは血液粘度〔ポイズ〕である。 そして、種々のヘマクリツト値Htおよび血液
温度に調整した血液を用い、各種ホローフアイバ
ー型人工肺のΔPを測定したところ、Htと温度
とが一定のとき、dおよびLならびにuを変化さ
せると、ΔPは一定のμで変化し、上式(1)が成立
することが確認された。 そこで、水、グリセリン水溶液等種々の粘度既
知の物質での圧力損失を求め、粘度と圧力損失の
関係を求めた。 次いで、牛血のHtと温度をかえながら圧力損
失を測定し、粘度に換算したところ、通常の手技
範囲内では、Ht=35%、37℃での0.025ポイズが
最高粘度を与えることを確認した。 加えて、(1)式は膜面積を変えた人工肺において
も成立していた。 従つて、これらから、Ht=35%、37℃でのホ
ローフアイバー型人工肺の圧力損失ΔP*の実験
式として、下記式(2)が導出される。 ΔP*=6.05×10-4×u×L/d2 (2) 一方、Ht35%、37℃において、膜面積1m2の
ホローフアイバー型人工肺を各種試作し、Q〓30
とdとの関係を求めたところ、Q〓30〔ml/
sec〕とd〔cm〕との積は、有効数字2桁にて
0.35〔cm4/sec〕であることが確認された。こ
のような関係は、Lおよびlの異同に拘らず、常
に、相関係数0.99程度で成立する。従つて、これ
らから、実験式として、膜面積1m2あたりのQ〓
30(以下〓30とする)は下記式(3)で示される。 〓30=0.35/d (3) なお、各種平均内径dをもつ中空糸を用い、そ
れぞれ各種面積をもつ人工肺を試作したところ、
dが同一の中空糸を用いた人工肺では、l,Lの
異同に拘らず、そのQ〓30は上記〓30に膜面積
を乗じた値となること、すなわちQ〓30が単位面
積換算可能であることが確認されている。 他方、上記uは、中空糸断面を円とすれば、下
記式(4)で示される。 u=〓30l/2500d (4) (4)式の導出過程は次のとおりである。まず、速
度uは次のとおりである。 u=Q/a Q:血液量、a:断面積 いま、人工肺の膜面積は先述のとおり A=πdlNであり、 かつここでは、A=10000cm2である。一方、a=
πd2N/4であるから a=d・πdN/4=Ad/4l =10000d/4l=2500d/l 従つて、u=Q・l/2500d そこで、Q=〓30とおけば(4)式がえられる。 従つて、上式(2),(3),(4)から、Ht35%、37℃
でのQ〓30におけるΔP(以下ΔP≠とする)
は、下記式(5)で示されることになる。 ΔP≠=8.53×10-8×l×L/d4 (5) そこで、式(5)から、ΔP≠≦70mmHgの関係を
満たす条件を求めると、上記したd4/(L×l)
≧1.2×10-9が導出される。そして、上記したと
おり、d4/(L×l)が1.2×10-9cm2以上であれ
ば、d,l,Lおよび膜面積に拘りなく、常に、
Ht35%、37℃でのQ〓30におけるΔP≠は70mm
Hg以下となることが実際の各種試作人工肺にて
確認されたものである。 なお、中空糸の平均内径dについては、dが余
りに大きくなると、酸素加性能がおち、又dが余
りに小さくなると中空糸閉塞が生じるので、100
〜300μの範囲であることが好ましい。 本発明のホローフアイバー型人工肺は、このよ
うな多孔性中空糸を複数本集束し、その両端部に
おいて、高分子重合体隔壁内に埋めこみ開口して
なる。そして、この各多孔性中空糸内部を血液流
路とし、その肉厚部の微小細孔を介しガス交換を
行う。この場合、用いる中空糸の本数について特
に制限はなく、使用本数に拘りなく、d4/(L×
l)が同一であれば同一の圧力損失を与えるもの
である。ただ、使用本数により膜面積が変わり、
Q〓30やプライミングボリユームが変わるので、
通常は、4000〜80000本程度を用いるのが一般的
である。 なお、膜面積は、中空糸本数をNとしたとき、
πdlNで与えられる。すなわち、dとlが本発明
に従い決定していれば、膜面積はNで決定され、
Nは圧力損失とは無関係であるので圧力損失は膜
面積にかかわらず一義的に決定する。 このような多孔性中空糸の複数本を、その両端
部において埋めこみ開口し、所定のハウジング内
に支持する隔壁は、高分子重合体から形成され
る。高分子重合体としては、ポツテイング材とし
て知られるポリウレタン樹脂等から形成すればよ
い。そして、この両端隔壁厚を全長から差引い
て、上記有効長lは求められる。 このようにして構成されるホローフアイバー型
人工肺の具体的1例が第5図に示される。 同図に示されるように、人工肺1は、ハウジン
グ2をもつ。このハウジング2は、例えば筒状体
21の両端に取り付けカバー22,23を取り付
けて構成される。そして、このハウジング2内に
は、複数の多孔性中空糸3,…がほぼ平行に配列
されている。 他方、この多孔性中空糸3,…の両端部は、ハ
ウジング2の例えば取り付けカバー22,23内
において、上記のように、隔壁41,45によつ
て、その開口を露出して支持固定されている。こ
の場合、隔壁41,45内の中空糸3,…の実質
的充填率は、概ね20〜60%程度とすればよい。充
填率は圧力損失と無関係であるが、これは、必要
酸素量に比較して、多孔性中空糸の透過酸素量が
十分に大きいためであると思われる。又、隔壁4
1,45の厚さは、概ね0.5〜5cm程度とすれば
よい。なお、第5図に示される例では、隔壁4
1,45は遠心注型によつて形成される結果、そ
の内壁面は凹面をなす。このような場合には、平
均有効長lは、平均全長Lから、中空糸の実質的
な集束部分における隔壁厚の平均を両隔壁41,
45につき差し引いて求めればよい。 このような隔壁41,45は、同時に、ハウジ
ング2内において、閉塞したガス室5を形成して
いる。そして、取り付けカバー22,23には、
それぞれガス用入口および出口61,65が設け
られ、ガス室5内に空気流路が形成されている。
なお、第5図に示される例では、筒状体21は、
このガス用入口および出口61,65に対向する
ごとく延長され、リブ251,255を形成し、
吹送されるガスの短絡がおこらないよう配慮され
ている。 他方、隔壁41,45の外端面は、ヘツドカバ
ー71,75によつてそれぞれ覆われており、こ
のヘツドカバー71,75には血液用入口および
出口81,85が設けられている。なお、第5図
に示される人工肺1では、ハウジング2の筒状体
21内に、絞り部215が形成され、中空糸3の
充填率が端部にゆくにつれ疎になる構造となつて
いる。このような構造を採用する必要は必ずしも
ないが、これによりCO2除去能がより高いものと
なる。 発明の具体的作用効果 以上詳述してきた本発明のホローフアイバー型
人工肺は、血液用入口81から血液を導入し、血
液を多孔性中空糸内部を通過させ、血液用出口8
5から排出するとともに、酸素、空気等をガス用
入口61、ガス室5、ガス用出口65の経路で吹
送して使用する。このとき、多孔性中空糸の微小
細孔を介し、血液への酸素添加と、血液からの
CO2除去とが行われる。 この場合、本発明のホローフアイバー型人工肺
は、通常の体外循環条件における使用最高血液流
量において、その圧力損失が70mmHg以下であ
る。このため、上述したところの、本発明者らの
着想に係る第4図に示されるような落差脱血シン
グルポンプシステムによる体外循環が可能とな
る。すなわち、本発明のホローフアイバー型人工
肺を用いれば操作性が良好で、プライミング量が
少なく、又回路内圧が異常に高まらず、かつポン
プの負担が軽く、しかも溶血や回路破裂の危惧が
なく、更には体内への気泡混入の危険のない体外
循環が可能となる。 このような結果、本発明のホローフアイバー型
人工肺は、開心術あるいは補助循環において、上
記したような落差脱血シングルポンプシステムの
体外循環に用いて、きわめて有用である。 本発明者らは、本発明の効果を確認するため種
種実験を行つた。以下にその1例を示す。 実験例 下記表1に示されるように、平均内径が300
μ、250μ、200μおよび180μの4種のポリプロ
ピレン製多孔性中空糸を用意した。これら4種の
各多孔性中空糸の平均肉厚は、いずれも25μであ
り、又その平均空孔率はともに50%、平均細孔径
は電子顕微鏡による測定の結果、ともに700Åで
あつた。 このような4種の多孔性中空糸を用い、第5図
に示されるようなホローフアイバー型人工肺1計
19種を作製した。この場合、19種の人工肺No.1〜
19は、その平均全長Lを下記表1に示されるよう
にかえ、又、ポリウレタンから形成した隔壁4
1,45厚をそれぞれかえて、その平均有効長l
を表1に示されるようにかえ、更に、中空糸使用
本数を表1に示されるようにかえ、それぞれ膜面
積1m2として作製したものである。この場合、ハ
ウジングは内径が同一で長さがそれぞれ中空糸の
全長に等しいものを用い、その隔壁内の中空糸充
填率は表1のとおりであつた。そして、この各人
工肺No.1〜19のd4/(L×l)の値は表1に併記
される。 次いで、この各人工肺No.1〜19を用い、第6図
に示されるように、静脈血作製肺D、貯血槽
R1、ポンプP1、熱交換器HE、人工肺1、貯血槽
R2、ポンプP2を順次接続して回路を作製し、Q
〓30およびQ〓30における人工肺1の圧力損失Δ
P≠を測定した。 すなわち、静脈血作製肺Dには、ヘマトクリツ
ト値Ht35%、ヘモグロビン量Hb12g/dlの新鮮
ヘパリン加牛血を充填した。又、静脈血作製肺D
には、CO2,O2,N2の混合ガスを吹送し、
SvO265±2%、PvCO250mmHgの静脈血を作製
し、熱交換器HEにより、血液温度を37℃として
循環した。なお、人工肺1のガス室5への吹送ガ
スは100%O2ガスとし、その流量は1/minと
した。 各人工肺1におけるこのような循環において、
それぞれ血液流量をかえながら循環を行い、人工
肺1の出口の酸素飽和度を測定し、血液流量と酸
素飽和度とをプロツトした後、ラグランジエの補
間法により、3点補間で、各人工肺No.1〜19のQ
〓30を測定した。計19種の人工肺につき、それぞ
れ3個の人工肺を作製し、これら各3個につき、
それぞれ3回づつの測定を行い、9個の測定値を
平均した結果を、下記表1に示す。 次に、このようにして得られたQ〓30の血液流
量にて、各種人工肺につき同様の循環を行い、人
工肺1の入口および出口の回路内圧を測定し、そ
の差を求め、Q〓30における人工肺1の圧力損失
ΔP≠を求めた。結果を表1に併記する。 表1に示される結果から、d4/(L×l)が
1.2×10-9cm2以上であるとき、人工肺の圧力損失
ΔP≠は70mmHgになることがわかる。 なお、上記と同様の中空糸を用い、膜面積が、
3.3m2、5.4m2となるような各種人工肺を作製し、
同様の測定を行つたところ、Q〓30は膜面積に比
例して大きくなるが、ΔP≠はd4/(L×l)が
同一のときには、ほとんど同一の値となることが
確認された。 【表】
第1図は、従来の気泡型人工肺を用いて体外循
環を行うときの回路を説明するための模式図であ
る。第2図は、ホローフアイバー型人工肺を用い
た体外循環を行うときのダブルポンプシステムを
説明するための模式図であり、第3図は、ホロー
フアイバー型人工肺を用いて体外循環を行うとき
の、通常のシングルポンプシステムを説明するた
めの模式図である。第4図は、ホローフアイバー
型人工肺を用いて体外循環を行うときの、落差脱
血シングルポンプシステムを説明するための模式
図である。第5図は、本発明のホローフアイバー
型人工肺の1例を示す、その半分を断面にて表わ
す正面図である。第6図は、実験例における、Q
〓30における人工肺の圧力損失を測定するための
回路を説明するための模式図である。 10……気泡型人工肺、1……ホローフアイバ
ー型人工肺、2……ハウジング、3……多孔性中
空糸、41,45……隔壁。
環を行うときの回路を説明するための模式図であ
る。第2図は、ホローフアイバー型人工肺を用い
た体外循環を行うときのダブルポンプシステムを
説明するための模式図であり、第3図は、ホロー
フアイバー型人工肺を用いて体外循環を行うとき
の、通常のシングルポンプシステムを説明するた
めの模式図である。第4図は、ホローフアイバー
型人工肺を用いて体外循環を行うときの、落差脱
血シングルポンプシステムを説明するための模式
図である。第5図は、本発明のホローフアイバー
型人工肺の1例を示す、その半分を断面にて表わ
す正面図である。第6図は、実験例における、Q
〓30における人工肺の圧力損失を測定するための
回路を説明するための模式図である。 10……気泡型人工肺、1……ホローフアイバ
ー型人工肺、2……ハウジング、3……多孔性中
空糸、41,45……隔壁。
Claims (1)
- 【特許請求の範囲】 1 ほぼ円筒状のハウジングと、当該ハウジング
内の長手方向に多数並べて配列された少なくとも
内壁面が疎水性の多孔性中空糸の集合体と、上記
ハウジングの内壁面と当該中空糸の外壁面との間
に形成されるガス室と、当該ガス室に連通するガ
ス用入口および出口と、上記ハウジング内におい
て上記中空糸の両端部をそれぞれ支持し、各中空
糸の開口端を上記ガス室から隔離する隔壁と、上
記中空糸の内部中空に連通する血液用入口および
出口とを具えたホローフアイバー型人工肺におい
て、上記多孔性中空糸の平均内径をd(cm)、そ
の平均全長をL(cm)、全長から両端の隔壁厚を
差引いて得られる有効長さの平均をl(cm)とし
たとき、 d4/(L×l)≧1.2×10-9cm2 なる関係をもち、上記平均内径dが0.01〜0.03cm
であり、上記隔壁内の中空糸の充填率が20〜60%
であり、上記中空糸の空孔率が20〜80%であり、
上記中空糸数が4000〜80000本であることを特徴
とするホローフアイバー型人工肺。 2 2.8×10-9cm2≧d4/(L×l) ≧1.2×10-9cm2 なる関係をもつ特許請求の範囲第1項記載のホロ
ーフアイバー型人工肺。 3 多孔性中空糸がポリオレフイン系樹脂性であ
る特許請求の範囲第1項または第2項のいずれか
に記載のホローフアイバー型人工肺。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2399781A JPS57139355A (en) | 1981-02-20 | 1981-02-20 | Hollow fiber type artificial lang |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2399781A JPS57139355A (en) | 1981-02-20 | 1981-02-20 | Hollow fiber type artificial lang |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPS57139355A JPS57139355A (en) | 1982-08-28 |
JPS6130588B2 true JPS6130588B2 (ja) | 1986-07-14 |
Family
ID=12126211
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2399781A Granted JPS57139355A (en) | 1981-02-20 | 1981-02-20 | Hollow fiber type artificial lang |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPS57139355A (ja) |
Families Citing this family (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS60249969A (ja) * | 1984-05-25 | 1985-12-10 | テルモ株式会社 | 中空繊維膜型人工肺 |
NL233514A (ja) * | 1984-07-04 | |||
JPH029816Y2 (ja) * | 1986-01-23 | 1990-03-12 |
-
1981
- 1981-02-20 JP JP2399781A patent/JPS57139355A/ja active Granted
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPS57139355A (en) | 1982-08-28 |
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