JP2777161B2 - Fe基軟磁性合金 - Google Patents

Fe基軟磁性合金

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    • H01F1/03Magnets or magnetic bodies characterised by the magnetic materials therefor; Selection of materials for their magnetic properties of inorganic materials characterised by their coercivity
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Description

【発明の詳細な説明】 [発明の目的] (産業上の利用分野) 本発明は、Fe基軟磁性合金に関する。
(従来技術) 従来から、スイッチングレギュレータなど高周波で使
用する磁心としては、パーマロイ、フェライトなどの結
晶質材料が用いられている。
しかしながら、パーマロイは比抵抗が小さいので高周
波での鉄損が大きくなる。また、フェライトは高周波で
の損失は小さいが、磁束密度もせいぜい5000Gと小さ
く、そのため、大きな動作磁束密度での使用時にあって
は、飽和に近くなりその結果鉄損が増大する。近時、ス
イッチングレギュレータに使用される電源トランス、平
滑チョークコイル、コモンモードチョークコイルなど高
周波で使用されるトランスにおいては、形状の小形化が
望まれているが、この場合、動作磁束密度の増大が必要
となるため、フェライトの鉄損増大は実用上大きな問題
となる。
このため、結晶構造を持たない非結晶磁性合金が、高
透磁率、低保磁力など優れた軟質磁気特性を示すので最
近注目を集め一部実用化されている。これらの非晶質磁
性合金、Fe、Co、Niなどを基本とし、これに非晶質化元
素(メタロイド)としてP、C、B、Si、Al、Geなどを
包含するものである。
しかしながら、これを非晶質磁性合金の全てが高周波
領域で鉄損が小さいというわけではない。例えば、Fe基
非晶質合金は、安価であり50〜60Hzの低高周波領域では
ケイ素鋼の約1/4という非常に小さい鉄損を示すが、10
〜50KHzという高周波領域にあっては著しく大きな鉄損
を示し、とてもスイッチングレギュレータ等の高周波領
域での使用に適合するものではない。これを改善するた
めに、Feの一部をNb、Mo、Cr等の非磁性金属で置換する
ことにより低磁歪化し、低鉄損、高透磁率を図っている
が、例えば樹脂モールド時の樹脂の硬化収縮等による磁
気特性の劣化も比較的大きく、高周波領域で用いられる
軟磁性材料としては、十分な特性を得られるに至ってい
ない。
一方、Co基非晶質合金は、高周波領域で低鉄損、高角
形比が得られるため可飽和リアクトルなどの電子機器用
磁性部品に実用化されているが、コストが比較的高いも
のである。
(発明が解決しようとする課題) 以上に述べたように、Fe基非晶質合金は安価な軟磁性
材料でありながら磁歪が比較的大きく、Co基非晶質合金
に比べ鉄損、透磁率とも劣っており、高周波領域におけ
る用途には問題があった。一方、Co基非晶質合金は磁気
特性は良好であるものの、素材の値段が高いため工業上
有利ではなかった。
したがって本発明は、上記問題点に鑑み、高周波領域
において高飽和磁束密度で優れた軟磁気特性を有する軟
磁性合金を提供することを目的とする。
[発明の概要] (課題を解決するための手段と作用) 上記目的を達成するために種々の合金について検討を
重ねた結果、一般式、 FeaCubVcMdM′eSifBgM″ M;Co,Niから選ばれる少なくとも1種以上 M′;Sc,Cr,Mn,Al,Y,希土類元素,白金属元素,Au,Sn,G
a,In,Sbから選ばれる少なくとも1種以上 M″;C,N,P,Geから選ばれる少なくとも1種以上 a+b+c+d+e+f+h=100(原子%) 0.1≦b≦3.5 5<c≦10 0≦d≦15 0≦e≦5 3≦g≦12 h≦5 17≦f+g+h≦30 で表わされ、微細結晶を有し、該微細結晶は合金中に面
積比で50%以上存在し、その中で結晶粒径50〜300Åの
結晶が80%以上存在することを特徴とする合金が高飽和
磁束密度で優れた軟磁気特性を有することを初めて見い
出し、本発明に至ったものである。
本発明は上記組成を有する合金中に特に微細結晶粒を
有することを特徴とする。
以上に、本発明合金の組成限定理由および微細結晶粒
の限定理由について説明する。
まず、組成限定理由について説明する。
Cuは耐食性を高め、結晶粒の粗大化を防ぐと共に、鉄
損、透磁率など軟磁性特性を改善するのに有効な元素で
ある。特にbcc相の低温での早期析出に有効である。こ
の量があまり少ないと添加の効果が得られず、逆にあま
り多いと磁気特性の劣化を生じる傾向が増加すると共に
脆化により例えば薄帯の製造が困難であるため、その範
囲を0.1〜3.5原子%とした。
Vは結晶粒径の均一化に有効であると共に、磁歪およ
び磁気異方性を低減させ軟磁気特性の改善、温度変化に
対する磁気特性の改善、耐脆化性の向上および切断等の
加工性の向上に有効な元素である。特にbcc相を安定化
させるのに有効であり、Cuとの複合添加によりbcc相を
より広い温度範囲で安定化させることができる。その量
があまり少ないと添加の効果が得られず、逆にあまり多
いと非結晶質化がなされず、さらに飽和磁束密度が低く
なるため、その量を5原子%より大きく10原子%以下と
した。好ましくは6〜8原子%である。さらにVは角形
比の改善に有効であり、磁場熱処理を行なわなくとも、
90%以上の角形比を得ることができる。
Mは軟磁気特性の改善に有効な元素であるが、その量
があまり多いと磁気異方性が増大するため、その量を15
原子%以下とした。Mの中でも特にNiは耐食性の改善に
も有効な元素であり、Coは飽和磁束密度の改善に有効な
元素である。
M′は軟磁気特性の改善に有効な元素である。しか
し、その量があまり多いと飽和磁束密度が低下するため
その量を5原子%以下とした。この中で特にAlは結晶粒
の微細化、磁気特性の改善およびbcc相の安定、Mnは耐
脆化性の改善に、Cuおよび白金属元素は耐食性、耐摩耗
性の改善に有効な元素である。
SiおよびBは製造時における合金の非結晶化を促進す
る元素であり、結晶化温度の改善ができ磁気特性向上の
ための熱処理に対して有効である。その中でも特にSiは
微細結晶粒の主成分であるFeに固溶し磁歪、磁気異方性
の低減に効果があるが、その量があまり少ないと軟磁特
性の改善が顕著でなく、逆にその量があまり多いと超急
冷効果が小さく、μmレベルの比較的粗大な結晶粒が析
出し良好な軟磁気特性は得られない。さらに規格格子を
構成する必須元素であり、この規則格子出現のためには
特に10〜22原子%が好ましい。またBはあまりその量が
少ないと比較的粗大な結晶粒が析出し良好な特性が得ら
れず、逆にその量があまり多いと熱処理によりB化合物
が析出しやすくなり軟磁気特性を劣化させるため、その
量を3〜12原子%とした。なおSiとBの比(Si/B)が1
以上の場合が特に優れた軟磁気特性を得るのに好まし
い。
特に、Si量を12〜20原子%にすることにより磁歪λs
〜0が得られ、樹脂モールドによる磁気特性劣化がなく
なり、初期の優れた軟磁気特性が有効になる。
また、Yの非晶質化するのに有効な元素であり、特に
薄帯の厚板化などに有効であるが、あまりその量が多す
ぎると軟磁気特性の劣化をまねくため、その量を5原子
%以下とした。
特にN、Cは熱処理条件の拡大に、Geはbcc相の安定
化に有効である。
上記本発明のFe基軟磁性合金は、例えば液体急冷法に
より非晶質合金薄帯を得た後あるいはアトマイズ法、メ
カニカルアロイング法などにより粉末を得た後、前記非
晶質合金の結晶化温度に対し−50〜150℃までの範囲、
好ましくは−30〜100℃までの範囲の温度で30分〜50時
間、好ましくは0.5時間〜25時間の熱処理を行い、意図
する微細結晶を析出させる方法、あるいは液体急冷法の
急冷速度を制御して微細結晶粒を直接析出させる方法等
により得ることが可能になる。
次に、本発明のFe基軟磁性合金の微細結晶粒について
述べる。
本発明の合金中において、あまり微細結晶粒が少ない
と、すなわち非晶質相があまり多いと鉄損が大きく、透
磁率が低く、磁歪が大きく、樹脂モールドによる磁気特
性の劣化が増大するので微細結晶粒は面積比で50%以上
存在することが好ましい。
さらに上記微細結晶粒中においても結晶粒径があまり
小さいと、磁気特性の改善が図れず、逆にあまり大きい
と磁気特性の劣化が発生するため、特に上記微細結晶粒
中においても、結晶粒径50〜300Aの結晶が80%以上存在
することが好ましい。
本発明のFe基軟磁性合金は高周波での軟磁気特性に優
れているため、例えば、磁気ヘッド、薄膜ヘッド、大電
力用を含む高周波トランス、可飽和リアルトル、コモン
モードチョークコイル、ノーマルモードチョークコイ
ル、平滑チョークコイル、高電圧パルス用ノイズフィル
タ、平面インダクタ、ダストコア、レーザ電源等に用い
られる磁気スイッチなど高周波で用いられる磁心、電流
センサー、方位センサー、セキュリティセンサー、トル
クセンサー等の各種センサー用の磁性材料等、磁性部品
用の合金として優れた特性を示している。
(実施例) 第1表に示す本発明合金組成(試料1〜11)について
単ロール法によって幅5mm板厚14μmの非晶質合金薄帯
を得た。得られた薄帯を巻回し、外径18mm、内径12mmの
トロイダル状磁心を得た。得られた磁心をそれぞれの合
金の結晶化温度(昇温速度10℃/minで測定)の80℃上で
120分間の熱処理を行った。
次に、これらの磁心についてU関数計、インピーダン
スアナライザを用い、2KG、100KHzでの鉄損P
2KG/100KHz(mW/cc)と1KHzの初透磁率μ′1KHz(励磁
界5mOe)を測定した。また、BHトレーサーを用いて50KH
zでのBH曲線から角形比Br/B1(%)と保磁力Hc(Oe)を
測定した。その結果を第1表に示す。
また比較として本願発明外の合金組成よりなる合金
(試料12,13)についても同様の工程により磁心を作成
し、同様の熱処理を施した後、同様の測定を行った。そ
の結果も併せて第1表に示す。
上記結果より明らかなように、本願発明の合金は高透
磁率、低鉄損でかつ高周波で高角形比、高保磁力を有す
ることができる。
なお本願発明の合金はX線の回析結果から規則析子の
回析線がみられている。
[発明の効果] 本発明の合金は、所望の合金組成において、微細結晶
粒を設けることにより、高周波領域において高飽和磁束
密度で、優れた軟磁気特性を有するFe基軟磁性合金を提
供することができる。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】一般式 FeaCubVcMdM′eSifBgM″ M;Co、Niから選ばれる少なくとも1種以上 M′;Sc、Cr、Mn、Al、Y、希土類元素、白金族元素、A
    u、Sn、Ga、In、Sbから選ばれる少なくとも1種以上 M″;C、N、P、Geから選ばれる少なくとも1種以上 a+b+c+d+e+f+g=100(原子%) 0.1≦b≦3.5 5<c≦10 0≦d≦15 0≦e≦5 3≦g≦12 h≦5 17≦f+g+h≦30 で表わされ、微細結晶を有し、該微細結晶は合金中に面
    積比で50%以上存在し、その中で結晶粒径50〜300Åの
    結晶が80%以上存在することを特徴とする高飽和磁束密
    度で優れた軟磁気特性を有するFe基軟磁性合金。
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