JP2776594B2 - 酸化物添加金属間化合物TiA▲l▼基合金 - Google Patents
酸化物添加金属間化合物TiA▲l▼基合金Info
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Description
【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は軽量かつ高温強度に優れた金属間化合物TiAl
基合金に関し、特に機械的性質を改善した金属間化合物
TiAl基合金に関するものである。
基合金に関し、特に機械的性質を改善した金属間化合物
TiAl基合金に関するものである。
耐熱材料として実用化の期待されている金属間化合物
TiAlは、展延性に乏しいために加工が難しい。TiAlの実
用化のための最大の障害であるこの低加工性改善のため
の手法は、大別して加工プロセスの応用と合金設計が挙
げられる。低加工性とは主として室温における延性の欠
如を指し、TiAlは圧延、鍛造といった従来行なわれてい
る加工法を直接室温で適用することはできない。
TiAlは、展延性に乏しいために加工が難しい。TiAlの実
用化のための最大の障害であるこの低加工性改善のため
の手法は、大別して加工プロセスの応用と合金設計が挙
げられる。低加工性とは主として室温における延性の欠
如を指し、TiAlは圧延、鍛造といった従来行なわれてい
る加工法を直接室温で適用することはできない。
加工プロセス適用の場合、粉末加工法に代表されるニ
アー・ネット・シェイプ化から従来の圧延、鍛造といっ
た加工法も含む。これまでにCo基超合金(S−816)を
用いての高温シース圧延(1100℃、圧延速度:1.5m/mi
n)による成型(特開昭61−213361号公報)や、800℃以
上、歪速度10-2sec-1以下における恒温鍛造(特開昭63
−171862号公報)等による加工形状付与化が報告されて
いる。こうした加工法の特徴は、TiAlの800℃以上にお
ける延性能の発現を利用したものであり、TiAlの機械的
性質に及ぼず歪速度依存性と併用することにより、成型
加工を可能にしている。但し充分な成型加工を行なうた
めの加工条件が、1000℃以上の高温であること、更に歪
速度をできるだけ低減化させなくてはならないことか
ら、大型設備の適用が必ずしも容易では無いという欠点
を有する。
アー・ネット・シェイプ化から従来の圧延、鍛造といっ
た加工法も含む。これまでにCo基超合金(S−816)を
用いての高温シース圧延(1100℃、圧延速度:1.5m/mi
n)による成型(特開昭61−213361号公報)や、800℃以
上、歪速度10-2sec-1以下における恒温鍛造(特開昭63
−171862号公報)等による加工形状付与化が報告されて
いる。こうした加工法の特徴は、TiAlの800℃以上にお
ける延性能の発現を利用したものであり、TiAlの機械的
性質に及ぼず歪速度依存性と併用することにより、成型
加工を可能にしている。但し充分な成型加工を行なうた
めの加工条件が、1000℃以上の高温であること、更に歪
速度をできるだけ低減化させなくてはならないことか
ら、大型設備の適用が必ずしも容易では無いという欠点
を有する。
一方、TiとAlの混合、圧粉成型後、高温高圧処理によ
る成型化が報告されている(特開昭63−140049号公
報)。この方法は上記加工プロセスとは異なり、成型化
と同時に様々な形への形状加工化が可能であることを長
所とする反面、問題点としてTiやAlといった活性金属を
用いることによる不純物混入が不可避であるという点が
指摘される。
る成型化が報告されている(特開昭63−140049号公
報)。この方法は上記加工プロセスとは異なり、成型化
と同時に様々な形への形状加工化が可能であることを長
所とする反面、問題点としてTiやAlといった活性金属を
用いることによる不純物混入が不可避であるという点が
指摘される。
これに対して添加元素による室温延性改善の報告は、
金属材料技術研究所によるMn添加(特開昭61−41740号
公報)、Ag添加(特開昭58−123847号公報)、そしてGe
neral Electric Corp.によるSi添加(米国特許:第4836
983号公報)、Ta添加(米国特許:第4842817号公報)、
Cr添加(米国特許:第4842819号公報)、B添加(米国
特許:第4842820号公報)が挙げられる。この中でGener
al Electric Corp.によるSi,Ta,Cr,Bの各合金系の成分
範囲は、四点曲げ試験による延性評価から決定している
が、いずれもチタンがアルミニウムと等量、あるいはア
ルミウムよりも高くなっている。また、高温延性改善の
ために、0.005〜0.2wt.%B添加(特開昭63−125634号
公報)、あるいは0.02〜0.3wt.%Bと0.2〜5.0wt.%Si
を複合添加(特開昭63−125634号公報)した報告があ
る。これまでのところ複合添加による特許例はこの一件
のみであるが、複数の特性の改善をはかる上で、第4及
び第5添加元素の検討も必要になる。すなわちこれらの
添加元素の効果を利用して延性能改善に加え、耐酸化性
の改善や耐クリープ特性の改善も含めて、幅広い合金成
分調整が行なう必要がある。延性能の目安は室温引張延
び値が3.0%といわれているが、どの添加元素の選択に
よる成分設計法によっても未だ達成されておらず、加工
プロセスとの併用による微細化等の組織制御を通した対
応が不可欠と考えられる。
金属材料技術研究所によるMn添加(特開昭61−41740号
公報)、Ag添加(特開昭58−123847号公報)、そしてGe
neral Electric Corp.によるSi添加(米国特許:第4836
983号公報)、Ta添加(米国特許:第4842817号公報)、
Cr添加(米国特許:第4842819号公報)、B添加(米国
特許:第4842820号公報)が挙げられる。この中でGener
al Electric Corp.によるSi,Ta,Cr,Bの各合金系の成分
範囲は、四点曲げ試験による延性評価から決定している
が、いずれもチタンがアルミニウムと等量、あるいはア
ルミウムよりも高くなっている。また、高温延性改善の
ために、0.005〜0.2wt.%B添加(特開昭63−125634号
公報)、あるいは0.02〜0.3wt.%Bと0.2〜5.0wt.%Si
を複合添加(特開昭63−125634号公報)した報告があ
る。これまでのところ複合添加による特許例はこの一件
のみであるが、複数の特性の改善をはかる上で、第4及
び第5添加元素の検討も必要になる。すなわちこれらの
添加元素の効果を利用して延性能改善に加え、耐酸化性
の改善や耐クリープ特性の改善も含めて、幅広い合金成
分調整が行なう必要がある。延性能の目安は室温引張延
び値が3.0%といわれているが、どの添加元素の選択に
よる成分設計法によっても未だ達成されておらず、加工
プロセスとの併用による微細化等の組織制御を通した対
応が不可欠と考えられる。
本発明は金属間化合物TiAl基合金の成分設計を行うこ
とにより加工プロセスとの併用を考慮しなくても、実用
性の十分高い高延性の合金を提供することを目的とす
る。
とにより加工プロセスとの併用を考慮しなくても、実用
性の十分高い高延性の合金を提供することを目的とす
る。
上記の目的を達成させるTiAl基合金は、二元系TiAl金
属間化合物において化学量論組成よりもチタン過剰側の
合金に、微細粉体酸化物を微量添加することによって、
常温で40%近くの圧縮変形能を付与させると同時に、常
温から高温までの強度を向上させることができることを
明らかにした。酸化物の選択は基本的には酸素との親和
力の強いものとし、具体的にはY2O3,CaO,Al2O3等が挙げ
られる。添加量はこれらの酸化物が微細に分散する程度
に抑えるために、0.01〜0.5重量%にとどめる。
属間化合物において化学量論組成よりもチタン過剰側の
合金に、微細粉体酸化物を微量添加することによって、
常温で40%近くの圧縮変形能を付与させると同時に、常
温から高温までの強度を向上させることができることを
明らかにした。酸化物の選択は基本的には酸素との親和
力の強いものとし、具体的にはY2O3,CaO,Al2O3等が挙げ
られる。添加量はこれらの酸化物が微細に分散する程度
に抑えるために、0.01〜0.5重量%にとどめる。
即ち、本発明は、チタン64.0〜68.4重量%、アルミニ
ウム31.6〜36.0重量%を基本とした金属間化合物に、Y2
O3,CaO,Al2O3の少なくとも一種を添加し、常温強度を損
なうことなく常温圧縮率を向上させ、さらに1000℃まで
の高温強度を向上させる金属間化合物TiAl基合金を提供
すること、及び組織の微細化を施した材料を提供するも
のである。
ウム31.6〜36.0重量%を基本とした金属間化合物に、Y2
O3,CaO,Al2O3の少なくとも一種を添加し、常温強度を損
なうことなく常温圧縮率を向上させ、さらに1000℃まで
の高温強度を向上させる金属間化合物TiAl基合金を提供
すること、及び組織の微細化を施した材料を提供するも
のである。
以下詳細に説明する。
溶解原料としては、高純度チタン、高純度アルミニウ
ム、酸化物を用い、酸素、窒素等の気体不純物の混入を
回避するために、好ましくはチタンゲッター同時溶解に
よる高真空雰囲気制御可能な多極式アルゴンアーク溶解
法により、TiAl基合金を溶製する。成分元素の偏析によ
る不均質性を防止するためには、多数回溶解を行なった
方が良く、更に1050℃で48時間程度の均質化熱処理を、
1×10-5Torrより高真空下で行なう。本発明のTiAl基合
金の成分が上記のように限定される理由は以下の通りで
ある。
ム、酸化物を用い、酸素、窒素等の気体不純物の混入を
回避するために、好ましくはチタンゲッター同時溶解に
よる高真空雰囲気制御可能な多極式アルゴンアーク溶解
法により、TiAl基合金を溶製する。成分元素の偏析によ
る不均質性を防止するためには、多数回溶解を行なった
方が良く、更に1050℃で48時間程度の均質化熱処理を、
1×10-5Torrより高真空下で行なう。本発明のTiAl基合
金の成分が上記のように限定される理由は以下の通りで
ある。
チタン:63.5〜67.9重量%; TiAlの単相領域は、チタンが室温において59.2〜64.9
重量%の範囲内であり、それよりチタン過剰側ではTi3A
lが、アルミニウム過剰側ではTiAl2が晶出する。Ti−Al
二元系における室温圧縮試験によれば、化学量論組成よ
りもわずかにチタン過剰側で圧縮特性が優れている。こ
れらのことから、圧縮特性に優れた組成は上記組成と
し、さらに高圧縮特性を安定して得るためには、チタン
は64.0〜65.8重量%が好ましい。第1図はTi−Al二元系
において広範な組成範囲における圧縮試験結果を、圧縮
率についてプロットしたものである。なおここでいう圧
縮率は{(試験片の初期高さ)−(応力歪線上で試験片
が破断する直前の試験片の高さ)}/(試験片の初期高
さ)×100とする。また圧縮破断強度は応力・歪線図上
で応力低下を開始する直前の荷重を初期断面積で除した
値とする。同図より、圧縮率が高い組成が、TiAlの化学
量論組成(64.0重量%Ti−36.0重量%Al)よりもわずか
にチタン過剰側であることがわかる。
重量%の範囲内であり、それよりチタン過剰側ではTi3A
lが、アルミニウム過剰側ではTiAl2が晶出する。Ti−Al
二元系における室温圧縮試験によれば、化学量論組成よ
りもわずかにチタン過剰側で圧縮特性が優れている。こ
れらのことから、圧縮特性に優れた組成は上記組成と
し、さらに高圧縮特性を安定して得るためには、チタン
は64.0〜65.8重量%が好ましい。第1図はTi−Al二元系
において広範な組成範囲における圧縮試験結果を、圧縮
率についてプロットしたものである。なおここでいう圧
縮率は{(試験片の初期高さ)−(応力歪線上で試験片
が破断する直前の試験片の高さ)}/(試験片の初期高
さ)×100とする。また圧縮破断強度は応力・歪線図上
で応力低下を開始する直前の荷重を初期断面積で除した
値とする。同図より、圧縮率が高い組成が、TiAlの化学
量論組成(64.0重量%Ti−36.0重量%Al)よりもわずか
にチタン過剰側であることがわかる。
アルミニウム:31.3〜35.8重量%; アルミニウムの成分範囲はチタンと酸化物元素の残部
となり、結果的に31.3〜35.8重量%の範囲となる。
となり、結果的に31.3〜35.8重量%の範囲となる。
酸化物:0.01〜0.8重量%; Y2O3,CaO,Al2O3の微細粉体酸化物を0.01重量%以上添
加するのは、これらの酸化物が10μm程度に均一に分散
すると同時にマトリックスの微細化をもたらすことが可
能であるからである。このことは、分散微細酸化物粒子
が塑性変形の際の転位の移動度及び発生源として影響を
あたえることに帰結される。0.01重量%以下ではこうし
た効果を認めることはできない。
加するのは、これらの酸化物が10μm程度に均一に分散
すると同時にマトリックスの微細化をもたらすことが可
能であるからである。このことは、分散微細酸化物粒子
が塑性変形の際の転位の移動度及び発生源として影響を
あたえることに帰結される。0.01重量%以下ではこうし
た効果を認めることはできない。
またY2O3,CaO,Al2O3の微細粉体酸化物を0.8重量%以
下にする必要性は、これを超えた添加は酸化物の凝集化
を引き起こし、変形特性及び強度の低下につながるから
である。第2図及び第3図にY2O3添加材の圧縮試験結果
について破断強度及び圧縮率の添加量依存性をプロット
する。
下にする必要性は、これを超えた添加は酸化物の凝集化
を引き起こし、変形特性及び強度の低下につながるから
である。第2図及び第3図にY2O3添加材の圧縮試験結果
について破断強度及び圧縮率の添加量依存性をプロット
する。
すなわち、第2図において、Y2O3を微量(0.01重量
%)添加することにより急激に破断強度を増加し、添加
量0.4重量%をピークにして破断強度の下降を示し、添
加量1.0重量%で、Y2O3無添加の場合より該強度が低下
する。
%)添加することにより急激に破断強度を増加し、添加
量0.4重量%をピークにして破断強度の下降を示し、添
加量1.0重量%で、Y2O3無添加の場合より該強度が低下
する。
また、第3図においても同様の傾向を示し、従ってY2
O3添加量を0.01〜0.8重量%の範囲とする。
O3添加量を0.01〜0.8重量%の範囲とする。
なお、破断強度、圧縮率における最適範囲は0.01〜0.
5重量%である。また、CaO,Al2O3の酸化物についても同
様の結果が得られた。
5重量%である。また、CaO,Al2O3の酸化物についても同
様の結果が得られた。
こうして製造されたTiAl基合金は、酸化物無添加組成
でみられた粗大粒を微細粒へと変化させ、酸化物自体も
均一に微細分散することが、X線マイクロアナライザー
等によって明らかになった。さらにチタンやアルミニウ
ムの構成元素も酸化物周辺で、偏析及び逆偏析を起こす
こと無くマトリックスの均一性も保持されていることが
明らかになった。
でみられた粗大粒を微細粒へと変化させ、酸化物自体も
均一に微細分散することが、X線マイクロアナライザー
等によって明らかになった。さらにチタンやアルミニウ
ムの構成元素も酸化物周辺で、偏析及び逆偏析を起こす
こと無くマトリックスの均一性も保持されていることが
明らかになった。
第4図は酸化物を添加しない場合のTiAl基合金(a)
と酸化物としてY2O3を0.18重量%添加したTiAl基合金
(b)の光学顕微鏡写真である。第4図(b)の組織の
結晶粒が添加材の均一分散により微細化していることが
わかる。
と酸化物としてY2O3を0.18重量%添加したTiAl基合金
(b)の光学顕微鏡写真である。第4図(b)の組織の
結晶粒が添加材の均一分散により微細化していることが
わかる。
一方X線回折実験から、TiAl及びTi3Al以外のピーク
は見られず、これらの酸化物を最大限0.8重量%添加し
たとしても、体積分率としてはX線回折実験の分解能以
下であることがわかる。そして酸化物添加による格子定
数変化について詳細に調べた結果、格子定数変化は非常
に小さく、格子歪の導入は殆ど無いと考えられる。TiAl
は面心正方晶構造の金属間化合物として存在し、結晶格
子はc軸方向に伸びており、c/aは1以上であることが
知られている。化学量論組成におけるc/a値は1.02であ
ることが知られているが、酸化物添加によってもこの値
に殆ど変化は見出されなかった。これらのことから、添
加酸化物はTiAlのマトリックスには殆ど固溶することな
く、粒界およびマトリックスの別なく均一に分散すると
同時に、TiAlの構造変化を何等引き起こしていないこと
がわかった。
は見られず、これらの酸化物を最大限0.8重量%添加し
たとしても、体積分率としてはX線回折実験の分解能以
下であることがわかる。そして酸化物添加による格子定
数変化について詳細に調べた結果、格子定数変化は非常
に小さく、格子歪の導入は殆ど無いと考えられる。TiAl
は面心正方晶構造の金属間化合物として存在し、結晶格
子はc軸方向に伸びており、c/aは1以上であることが
知られている。化学量論組成におけるc/a値は1.02であ
ることが知られているが、酸化物添加によってもこの値
に殆ど変化は見出されなかった。これらのことから、添
加酸化物はTiAlのマトリックスには殆ど固溶することな
く、粒界およびマトリックスの別なく均一に分散すると
同時に、TiAlの構造変化を何等引き起こしていないこと
がわかった。
塑性変形の観点から判断すると、一般に第二相はその
剛性率の違いから転位運動に対するある種の障害となり
強度の上昇を招くが、変形能に関しては第二相の形態及
び性質によって大きく異なる。TiAlは変形に関わる転位
が面心立方格子由来の普通転位以外に、金属間化合物特
有の超格子転位及び部分転位、そして双晶転位が挙げら
れるが、これらの転位の移動度及び、辷りや双晶をおこ
す変形転位の活性化が変形のポイントと考えられる。本
発明の合金系においては、変形特性の向上がみられたこ
とから、微細酸化物相はこれらの転位挙動に影響を与え
たと推察される。また1000℃近傍まで硬度が無添加材よ
りも向上しているのは、TiAlの硬度の温度依存性が1000
℃近傍まで低下しないことと併せて、酸化物による強化
はマトリックスの強度変化が起こるまでは保持されるこ
とがわかった。一般に硬度と強度は正の相関があること
から、1000℃近傍までの強度は添加材の方が無添加材に
比べて高いと考えられる。以上のことをまとめると、酸
化物添加は微細に均一分散することにより変形能を向上
させると同時に、強化機構も働き、TiAl自体の熱的な機
械的性質に関わる安定性が保証される温度範囲まで強度
の増加がみいだされることが、本発明により明らかにな
った。
剛性率の違いから転位運動に対するある種の障害となり
強度の上昇を招くが、変形能に関しては第二相の形態及
び性質によって大きく異なる。TiAlは変形に関わる転位
が面心立方格子由来の普通転位以外に、金属間化合物特
有の超格子転位及び部分転位、そして双晶転位が挙げら
れるが、これらの転位の移動度及び、辷りや双晶をおこ
す変形転位の活性化が変形のポイントと考えられる。本
発明の合金系においては、変形特性の向上がみられたこ
とから、微細酸化物相はこれらの転位挙動に影響を与え
たと推察される。また1000℃近傍まで硬度が無添加材よ
りも向上しているのは、TiAlの硬度の温度依存性が1000
℃近傍まで低下しないことと併せて、酸化物による強化
はマトリックスの強度変化が起こるまでは保持されるこ
とがわかった。一般に硬度と強度は正の相関があること
から、1000℃近傍までの強度は添加材の方が無添加材に
比べて高いと考えられる。以上のことをまとめると、酸
化物添加は微細に均一分散することにより変形能を向上
させると同時に、強化機構も働き、TiAl自体の熱的な機
械的性質に関わる安定性が保証される温度範囲まで強度
の増加がみいだされることが、本発明により明らかにな
った。
純度99.9%の高純度チタン(酸素量400ppm以下)63.0
〜68.4重量%、純度99.99%のアルミニウム31.0〜36.0
重量%に、純度99.9%で粒径約26μmの酸化イットリウ
ム(Y2O3)0.01〜0.8重量%あるいは純度99.99%で粒径
約5μmの高純度カルシア(CaO)0.01〜0.8重量%を添
加してなる溶解原料を、高真空雰囲気制御可能な多極式
アルゴンアーク溶解法により溶製した。溶解に際しては
成分元素のマウロ偏析を回避するために3回溶解を行な
い、また酸化物粉体の飛散を極力回避するために、添加
酸化物粉体は99.99%アルミニウム箔(約0.3mm厚)と層
状に積層後、簡易プレス装置で圧加を課して装入させ
た。溶製材は1050℃で48時間の均質化熱処理を1×10-5
Torr以上の高真空下で行い、さらに均質化のための熱処
理を施した。
〜68.4重量%、純度99.99%のアルミニウム31.0〜36.0
重量%に、純度99.9%で粒径約26μmの酸化イットリウ
ム(Y2O3)0.01〜0.8重量%あるいは純度99.99%で粒径
約5μmの高純度カルシア(CaO)0.01〜0.8重量%を添
加してなる溶解原料を、高真空雰囲気制御可能な多極式
アルゴンアーク溶解法により溶製した。溶解に際しては
成分元素のマウロ偏析を回避するために3回溶解を行な
い、また酸化物粉体の飛散を極力回避するために、添加
酸化物粉体は99.99%アルミニウム箔(約0.3mm厚)と層
状に積層後、簡易プレス装置で圧加を課して装入させ
た。溶製材は1050℃で48時間の均質化熱処理を1×10-5
Torr以上の高真空下で行い、さらに均質化のための熱処
理を施した。
溶製インゴットから断面が3mmφで高さ4.5mmの圧縮試
験片をワイヤーカット装置で採取し、圧縮面を精密平行
研磨した後に、インストロン型試験機を用いて室温圧縮
試験を行なった。圧縮試験の信頼度を向上させるために
試験は5個の試験片の平均値をとり、各機械的特性値の
バラツキ精度は最大、最小値が平均値から15%以内とし
た。
験片をワイヤーカット装置で採取し、圧縮面を精密平行
研磨した後に、インストロン型試験機を用いて室温圧縮
試験を行なった。圧縮試験の信頼度を向上させるために
試験は5個の試験片の平均値をとり、各機械的特性値の
バラツキ精度は最大、最小値が平均値から15%以内とし
た。
第1表に上記試験試料組成の化学分析値を酸化物を添
加しない比較例とともに示す。該比較例の溶製方法及び
試験方法は本発明の実施例の場合と同様である。
加しない比較例とともに示す。該比較例の溶製方法及び
試験方法は本発明の実施例の場合と同様である。
第2表に上記試験試料の圧縮特性を示す。これによ
り、本発明のTiAl基合金の破断特性及び圧縮率が比較例
に比較して著るしく上昇していることが証明された。
り、本発明のTiAl基合金の破断特性及び圧縮率が比較例
に比較して著るしく上昇していることが証明された。
なお、試料No.3の高温硬度を測定した結果を第5図に
示す。この図に示すように、本発明材(×印)は酸化物
無添加材(○印)に比較して、1000℃近傍まで硬度が高
くなっており、従って高温強度が高いことを示してい
る。
示す。この図に示すように、本発明材(×印)は酸化物
無添加材(○印)に比較して、1000℃近傍まで硬度が高
くなっており、従って高温強度が高いことを示してい
る。
〔発明の効果〕 本発明は、組織の微細化及び添加酸化物の均一分散化
をもたらすことにより、圧縮変形特性を向上させると同
時に高温まで強化が保持されるものであり、機械的性質
を総じて向上させることが可能である。このことから圧
縮応力が支配的な圧延、鍛造といった加工プロセスへの
適用が可能となり、成型部材の製造に有利となった。ま
た添加元素量は微量であることから、TiAlのもつ従来の
軽量性を損なわず、航空機部材への適用も可能になるな
ど工業的効果は大きい。
をもたらすことにより、圧縮変形特性を向上させると同
時に高温まで強化が保持されるものであり、機械的性質
を総じて向上させることが可能である。このことから圧
縮応力が支配的な圧延、鍛造といった加工プロセスへの
適用が可能となり、成型部材の製造に有利となった。ま
た添加元素量は微量であることから、TiAlのもつ従来の
軽量性を損なわず、航空機部材への適用も可能になるな
ど工業的効果は大きい。
第1図はTiAl基二元合金におけるチタン濃度と圧縮率と
の関係を示す図であり、 第2図は本発明合金におけるY2O3添加量と圧縮0.2%耐
力及び破断強度との関係を示す図であり、 第3図は本発明合金のY2O3添加量と圧縮率との関係を示
す図であり、 第4図は本発明合金と比較合金の顕微鏡金属組織写真で
あり、 第5図は本発明合金と比較合金の温度とビッカース硬度
の関係を示す図である。
の関係を示す図であり、 第2図は本発明合金におけるY2O3添加量と圧縮0.2%耐
力及び破断強度との関係を示す図であり、 第3図は本発明合金のY2O3添加量と圧縮率との関係を示
す図であり、 第4図は本発明合金と比較合金の顕微鏡金属組織写真で
あり、 第5図は本発明合金と比較合金の温度とビッカース硬度
の関係を示す図である。
Claims (4)
- 【請求項1】重量%でチタン:63.5〜67.9%、アルミニ
ウム:31.3〜35.8%からなる二元系Ti−Al合金に微細粉
体酸化物を0.01〜0.8%添加したことを特徴とする圧縮
変性特性及び高温硬度に優れた酸化物添加金属間化合物
TiAl基合金。 - 【請求項2】微細粉体酸化物がY2O3である請求項1記載
の金属間化合物TiAl基合金。 - 【請求項3】微細粉体酸化物がCaOである請求項1記載
の金属間化合物TiAl基合金。 - 【請求項4】微細粉体酸化物がAl2O3である請求項1記
載の金属間化合物TiAl基合金。
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---|---|---|---|
JP1335796A JP2776594B2 (ja) | 1989-12-25 | 1989-12-25 | 酸化物添加金属間化合物TiA▲l▼基合金 |
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JP1335796A JP2776594B2 (ja) | 1989-12-25 | 1989-12-25 | 酸化物添加金属間化合物TiA▲l▼基合金 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH03197633A JPH03197633A (ja) | 1991-08-29 |
JP2776594B2 true JP2776594B2 (ja) | 1998-07-16 |
Family
ID=18292528
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP1335796A Expired - Lifetime JP2776594B2 (ja) | 1989-12-25 | 1989-12-25 | 酸化物添加金属間化合物TiA▲l▼基合金 |
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Country | Link |
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JP (1) | JP2776594B2 (ja) |
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US11846006B2 (en) | 2019-10-03 | 2023-12-19 | Tokyo Metropolitan Public University Corporation | Heat-resistant alloy, heat-resistant alloy powder, heat-resistant alloy structural component, and manufacturing method of the same |
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-
1989
- 1989-12-25 JP JP1335796A patent/JP2776594B2/ja not_active Expired - Lifetime
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JPH0368724A (ja) * | 1989-08-04 | 1991-03-25 | Sumitomo Light Metal Ind Ltd | アルミナイド基複合材の製造方法 |
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JPH03197633A (ja) | 1991-08-29 |
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