JP2776488B2 - フィブリノゲン定量乾燥試薬 - Google Patents

フィブリノゲン定量乾燥試薬

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、フィブリノゲンを定量
するための乾燥試薬、乾燥材料及びこれらの製造方法に
関する。
【0002】
【従来の技術】フィブリノゲンの定量は、活性化部分ト
ロンボプラスチン時間(以下、APTTと略す)、プロ
トロンビン時間(以下、PTと略す。)とともに血液凝
固能の異常・正常を調べる検査、あるいは出血多量の患
者等に対しての緊急検査として広く測定されている検査
項目である。
【0003】従来のフィブリノゲン定量方法としては溶
液状の試薬(以下、溶液試薬という)を用いる方法とト
ロンビンを含有した乾燥試薬を用いる方法との2種の方
法に大別される。
【0004】溶液試薬を用いる方法には、トロンビン時
間法、重量法、塩析法、抗フィブリノゲン抗体を用いる
方法、ラテックス粒子を使用しての凝集法等が知られて
いる。
【0005】このうち、塩析法及び抗フィブリノゲン抗
体を用いる方法は、フィブリノゲン活性量ではなくフィ
ブリノゲン抗原量を測定しているため、血液凝固能の正
常・異常を見極める一般的な血液凝固検査では使用され
ていない。
【0006】又、重量法は、血漿中にトロンビンを加え
反応後、形成されたフィブリン塊の重量を直接測定する
方法であるが操作の煩雑性及び測定値にばらつきがある
点等の理由でほとんど使用されていない。
【0007】ラテックス粒子を使用しての凝集法による
定量方法は特開昭57−4551号等に示されている。
該定量方法はフィブリンモノマーのラテックス粒子に対
する強い親和性を利用したものである。即ち、まず、血
漿の希釈系列を作製し、該希釈液にラテックス粒子懸濁
液を添加混合し、培養後、該粒子の団塊化を調べ、力価
を記録する。次に同じ希釈液に対してトロンビンを含有
したラテックス粒子懸濁液を添加混合し、培養後、該粒
子の団塊化を調べ、力価を記録する。前者の力価は、血
漿中に存在するフィブリンモノマーの濃度に対応し、後
者の力価は、血漿中に存在するフィブリノゲンの濃度と
フィブリンモノマーの濃度の和に対応するので、後者の
力価から前者の力価を引くことでフィブリノゲンの濃度
を算出するものである。該定量方法は血漿中のフィブリ
ンモノマーとフィブリノゲンとを同時に定量するのに有
用であるが、測定開始してからフィブリノゲンを算出す
るまでにかなり時間を要する点及び試薬準備に時間がか
かる点で緊急検査には対応できない不具合がある。
【0008】溶液試薬を用いてのフィブリノゲン定量方
法で一般的に使用されているのは、Claussによって見い
だされたトロンビン時間法(Clauss A,Gerinungsphysiol
ogishe Schneiomethode Zur Bestimung des Fibrinogen
s,Acta Heamat,17,237,1957)である。該トロンビン時間
法は、一定量のトロンビンによるフィブリノゲンのフィ
ブリンへの変換速度は主としてフィブリノゲン濃度に依
存することを利用したものである。
【0009】該定量方法の測定法はまず血漿を任意の緩
衝液に希釈し、該希釈液を予備加温後、トロンビンを含
む試薬溶液を加えて凝固時間を測るものである。該測定
法の終点は、透過光の減衰を検知する光学的測定或は粘
度上昇を検知する物理学的測定で見いだす方法がとられ
ている。該測定法での凝固時間とは、トロンビン試薬溶
液を添加してから前出の終点までの時間を指す。
【0010】この定量方法及びこの定量方法に用いられ
るトロンビン試薬は広く世の中に受け入れられている。
しかし、トロンビン試薬を用いるフィブリノゲン定量方
法は、凍結乾燥されたトロンビン試薬を蒸留水等で復元
しなければならないこと(復元溶液試薬は長期の保存に
耐えない)、血漿希釈液を予備加温しなければならない
こと等で、測定するまでに時間を要するという欠点があ
った。さらに一度の希釈での定量範囲が狭いため、定量
範囲より低濃度のフィブリノゲンを含有した血漿の場合
は、希釈倍率を下げて再測定し、また、定量範囲より高
濃度のフィブリノゲンを含有した血漿の場合は、希釈倍
率を上げて再測定しなければならないという欠点があっ
た。
【0011】一方、トロンビンを含有した乾燥試薬を用
いる方法は、近年になって考えられたもので、特表平3
−504076号公報にその方法が示されている。該測
定方法に用いられるトロンビンを含有した乾燥試薬は、
任意のトロンビン試薬溶液及びプラスミノゲン試薬溶液
とを混合し、さらに該混合液に磁性粒子を添加した溶液
を反応スライドに一定量分注し、その後、凍結乾燥した
ものである。該乾燥試薬を用いた測定方法は、トロンビ
ンを含有した乾燥試薬を任意の反応保持手段上に置き、
次にトロンビンを含有した乾燥試薬に一定量の血漿を加
え、その直後に振動磁場と静止永久磁場の組合せをか
け、該トロンビンを含有した乾燥試薬中に含有される磁
性粒子を運動させ、磁性粒子の運動シグナルを光学的に
モニターするところに特徴がある。該運動シグナルの下
降及び上昇がトロンビンを含有した乾燥試薬内の粘度上
昇及び下降に対応していることを利用して血漿中のフィ
ブリノゲン濃度とプラスミノゲン活性化因子濃度を同時
に測定できる可能性を示唆している。即ち、血漿を添加
して直後に現れる磁性粒子の運動シグナルの負の傾斜の
大きさは血漿中のフィブリノゲン濃度に比例し、磁性粒
子の運動シグナルがプラトーに達してから再度上昇し始
める溶解開始時間は、血漿中のプラスミノゲン活性化因
子の濃度に反比例するとしている。尚、上記公報におい
て、該乾燥試薬を用いたフィブリノゲンの定量方法に関
する技術的手段、その効果についての具体的説明、及び
溶液試薬を用いた定量方法との相関性等についての具体
的記載はなんらなされていない。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】上記に示したようなト
ロンビンを含有した乾燥試薬を用いてフィブリノゲンが
定量できれば、測定するまでに時間がかかるという現状
の問題点は克服できる。しかし、本発明者が、特表平3
−504076号公報の方法に準じて、乾燥試薬を作製
し、該乾燥試薬と任意の血漿とを用いて測定した結果、
得られる磁性粒子の運動シグナルの負の傾斜の大きさに
あまり再現性がみられないことがわかった。 又、既知
濃度のフィブリノゲンを含有する血漿を上記の方法で複
数測定してみたところ、得られる磁性粒子の運動シグナ
ルの負の傾斜の大きさが血漿中のフィブリノゲン濃度に
対応していない場合がかなりあることもわかった。従っ
て、特表平3−504076号公報の方法に示されてい
るトロンビンを含有した乾燥試薬を用いてのフィブリノ
ゲンの定量は実際には困難であることが判明した。
【0013】本発明が解決しようとする課題は、上記従
来技術の欠点を補う新しい技術、即ち、測定するまでに
時間を必要としなく且つ正確な定量が可能な乾燥試薬を
用いるフィブリノゲン定量方法の開発である。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、上記技術
課題を解決すべく鋭意研究を行ってきたところ、トロン
ビンを含有する試薬の溶解性がフィブリノゲンの定量性
能そのものに大きく影響を与えることが判った。即ち、
試薬溶解の均一性がフィブリノゲン定量における再現性
に、又、該試薬の溶解性の向上がフィブリノゲン定量範
囲の拡大につながることをつきとめ、さらに該試薬の溶
解性の均一性及びその向上は、特定の添加剤を用いるこ
とにより達成することができることを見いだし、本発明
を完成し、ここに提案するに至った。
【0015】 即ち、本発明は、検体と直接接触させて
使用するフィブリノゲン定量乾燥試薬であって、トロン
ビン活性を有する蛋白、磁性粒子、及びアミノ酸又はそ
の塩もしくは糖類を含有してなることを特徴とするフィ
ブリノゲン定量乾燥試薬、並びに緩衝液中にトロンビン
活性を有する蛋白、磁性粒子、及びアミノ酸又はその塩
もしくは糖類を含有させてなる混合液を凍結乾燥するこ
とを特徴とする上記フィブリノゲン定量乾燥試薬の製造
方法である。
【0016】 又、他の発明は、磁性粒子と組み合わせ
た後に検体と直接接触させて使用するフィブリノゲン定
量乾燥試薬用のフィブリノゲン定量乾燥材料であって、
トロンビン活性を有する蛋白、アミノ酸又はその塩もし
くは糖類を含有してなるフィブリノゲン定量乾燥材料、
並びに緩衝液中にトロンビン活性を有する蛋白、及びア
ミノ酸又はその塩もしくは糖類を含有させてなる混合液
を凍結乾燥することを特徴とする上記のフィブリノゲン
定量乾燥材料の製造方法である。
【0017】本発明のフィブリノゲン定量乾燥試薬の調
製方法を例示すれば、トロンビン活性を有する蛋白を任
意の緩衝液に溶解し、次に、該溶解液に磁性粒子と添加
剤としてアミノ酸又はその塩もしくは糖類とを添加して
最終溶液とした後、該最終溶液を任意の反応スライドに
一定量分注し、凍結後、凍結乾燥する方法が採用でき
る。
【0018】上記調製方法において使用する反応スライ
ドは、フィブリノゲン測定時、フィブリノゲン定量乾燥
試薬内の粘度上昇を磁性粒子の運動シグナルの減衰とし
て光学的にモニターできる反応スライドであれば、特に
限られるものではない。例示すると、図1及び図2に示
したような反応スライドが挙げられる。図1は、反応ス
ライドを上方から見た図である。図1の点線で囲んだ部
分が、フィブリノゲン定量乾燥試薬を調製するための最
終溶液の分注口と検体添加口とからなる主要部である。
主要部の構造を詳しく示したのが、図2である。白色の
ポリエステル板Cにまず、透明色のポリエステル板Bを
貼合わせ、次に、貼合わせた透明色のポリエステル板B
の上にさらに透明色のポリエステル板Aを貼合わせて主
要部を構成する。フィブリノゲン定量乾燥試薬用最終溶
液は、図1に示す分注口から注入され、Dの部分に該最
終溶液が充填される。この種の反応スライドを使用した
場合、通常上記のフィブリノゲン定量乾燥試薬用最終溶
液を20〜30μl分注する。
【0019】以下に述べるフィブリノゲン定量乾燥試薬
中の各構成成分の含量は、特に断わりがない限り、図1
及び図2に示した反応スライドを使用して25μl分注
し、次いで凍結乾燥した場合のスライド1枚当りの重量
及び活性を示す。
【0020】本発明に用いるトロンビン活性を有する蛋
白は、フィブリノゲンからフィブリンへ変換できる蛋白
を指す。この蛋白として牛由来トロンビン、ヒト由来ト
ロンビン、トロンビン様活性を有するヘビ毒蛋白等が知
られているが、本発明においては、その由来は限定され
ない。フィブリノゲン定量乾燥試薬に含有されるトロン
ビン活性量は、特に限定されず、通常0.05NIHU
以上で選べば良いが、0.5NIHU〜1.5NIHU
の範囲が好適である。ところで、上記トロンビン活性を
有する蛋白は、凍結乾燥品として一般に販売され容易に
入手できるので、これを用いるのが簡便である。
【0021】本発明に用いる磁性粒子は、公知のものが
何等制限なく使用できる。例えば、四三酸化鉄粒子、三
二酸化鉄粒子、鉄粒子、コバルト粒子、ニッケル粒子、
酸化クロム粒子等が挙げられるが、得られる磁性粒子の
運動シグナルの強度の点で四三酸化鉄の微粒子が好適に
使用される。 磁性粒子の粒子径は特に限定されず、通
常平均粒子径0.01〜10μmのものから選べば良い
が、0.1〜3μmの平均粒子径のものが推奨できる。
フィブリノゲン定量乾燥試薬に含有される磁性粒子の量
は、特に限定されず、通常2×10ー6g〜2×10ー4
の範囲で選べば良いが、2×10ー5g〜1.2×10ー4
gの範囲が好適である。
【0022】本発明に用いるアミノ酸又はその塩として
は、中性アミノ酸又はその塩,酸性アミノ酸又はその
塩、及び塩基性アミノ酸又はその塩のいずれを使用して
もよいが、フィブリノゲン定量乾燥試薬に検体を添加し
た際の溶解性がより良好な点及び得られる磁性粒子の運
動シグナルがより再現性のある点で酸性アミノ酸又はそ
の塩が好適に使用できる。代表的な酸性アミノ酸または
その塩を例示すると、グルタミン酸,グルタミン酸ナト
リウム,アスパラギン酸,アスパラギン酸ナトリウム等
が挙げられる。また、中性アミノ酸又はその塩として
は、L−グリシン、L−グリシン塩酸塩、L−アラニン
等が、塩基性アミノ酸又はその塩としては、L−リジ
ン、L−リジン塩酸塩、L−アルギニン等が挙げられ
る。
【0023】本発明のフィブリノゲン定量乾燥試薬に含
有されるアミノ酸又はその塩の量は、0.02mg〜1
mgの範囲で選べばよいが、0.2mg〜0.8mgの
範囲が好適である。
【0024】本発明に用いる糖類は、単糖類及び多糖類
等の任意の糖類を選べば良いが、得られる磁性粒子の運
動シグナルがより再現性のある点で単糖類が好適に使用
できる。代表的な単糖類を例示するとグルコース,フル
クトース等が挙げられる。また、多糖類としては、ショ
糖、乳糖、デキストリン等が挙げられる。
【0025】本発明のフィブリノゲン定量試薬に含有さ
れる糖類の量は、0.02mg〜1mgの範囲で選べば
よいが、0.2mg〜0.8mgの範囲が好適である。
【0026】本発明の乾燥試薬及び乾燥材料において、
上記アミノ酸またはその塩、もしくは糖類を使用しない
場合は、試薬の溶解性が悪くなり、その結果磁性粒子の
運動シグナルが得られず、定量ができない。また、これ
ら以外の添加物を使用した場合は、同様に試薬の溶解性
が悪く磁性粒子の運動シグナルが得られないケースがあ
り、運動シグナルが得られたとしても試薬の溶解性にば
らつきがみられ、その結果運動シグナルの経時変化に再
現性がみられず結局再現性良く正確な定量ができな
い。。
【0027】凍結乾燥に先立ち、トロンビン活性を有す
る蛋白、磁性粒子、及びアミノ酸又はその塩もしくは糖
類を含有させる緩衝液は、PH6.0〜PH8.0の間
で緩衝作用があるものであれば特に限定されない。例示
すれば、20mMHEPES緩衝液(PH7.35))
又は20mMリン酸緩衝液(PH7.4)等が好適なも
のとして挙げられる。
【0028】上記必須成分を含む緩衝液溶液の乾燥方法
は、得られる磁性粒子の運動シグナルの強度やフィブリ
ノゲン濃度と凝固時間との相関等の点から凍結乾燥方法
が好ましい。即ち、風乾による乾燥では、試薬の溶解性
が悪いため運動シグナルが弱く終点の検知が難しい。ま
た、例え終点を見い出せたとしても終点から求められる
凝固時間がフィブリノゲン濃度に対応しない場合も生じ
る。 。
【0029】該凍結乾燥方法は特に限定されない。例示
すると、フィブリノゲン定量乾燥試薬用最終溶液を図1
に示した分注口から反応スライドに分注した後、該反応
スライドをドライアイスや液体窒素で瞬間凍結する等の
一般的な凍結方法が使用できる。又、凍結され最終試薬
の乾燥法も特に限定されないが、前出の凍結した反応ス
ライドを真空状態で−30℃から室温まで7時間から1
3時間かけて直線的に温度上昇させる方法が好ましい。
【0030】本発明のフィブリノゲン定量乾燥試薬を用
いてのフィブリノゲン定量は、該試薬を任意の反応保持
手段上に置き、次いで該試薬に一定量の検体を加え、そ
の直後に振動磁場と静止永久磁場の組合せをかけ、試薬
中に含有される磁性粒子を運動させ、そして、その磁性
粒子の運動シグナルを光学的にモニターする装置で行う
ことができる。
【0031】本発明のフィブリノゲン定量乾燥試薬を用
いてのフィブリノゲン定量に使用できる装置を例示する
と、商品名CG−01[(株)A&T販売],商品名C
OAG−1[和光純薬工業(株)販売]等が挙げられ
る。
【0032】本発明のフィブリノゲン定量乾燥試薬を用
いてのフィブリノゲン定量は、上記に述べたように該試
薬に検体を添加した後得られる磁性粒子の運動シグナル
強度の経時変化を基に行うことができる。
【0033】磁性粒子の運動シグナル強度の経時変化を
基に任意の検体のフィブリノゲン濃度を定量する方法
は、特に限定されない。検体を添加して直後に現れる磁
性粒子の運動シグナルの負の傾斜の大きさを利用する公
知の方法の他に、運動シグナル強度の任意の点を終点と
し、検体を添加してから該終点までの時間を凝固時間と
して、該凝固時間を利用する方法等が使用できる。
【0034】運動シグナル強度の任意の点を終点とし、
検体を添加してから該終点までの時間を凝固時間とする
方法を例示すると、得られた磁性粒子の運動シグナルの
ピーク値に対して所定の割合で減衰した点を終点とし、
検体を添加してから該終点までの時間を凝固時間とする
方法等が挙げられる。このような方法で得られた凝固時
間は検体中のフィブリノゲン濃度に相関している。
【0035】該凝固時間を利用しての任意の血漿のフィ
ブリノゲン定量法も特に限定されないが、代表的な例を
示すと、まず、フィブリノゲン濃度が既知で且つ濃度の
異なる3種類の血漿を任意の希釈緩衝液に希釈し、該希
釈液を検体として使用し、上記の方法でそれぞれの血漿
に対応する凝固時間を得た後、それを基に検量線を作成
する。次に任意の血漿を前出と同じ希釈緩衝液に同希釈
倍率で希釈し、該希釈液を検体として使用し、上記の方
法で任意の血漿に対応する凝固時間を得た後、前に作成
した検量線を使用して任意の血漿のフィブリノゲン濃度
を見いだす方法が挙げられる。尚、該方法に使用される
検量線は両対数グラフでX軸をフィブリノゲン濃度と
し、Y軸を凝固時間とした検量線が好適に使用できる。
【0036】 他の発明である、磁性粒子と組み合わせ
た後に検体と直接接触させて使用するフィブリノゲン定
量乾燥試薬用のフィブリノゲン定量乾燥材料であって、
トロンビン活性を有する蛋白、アミノ酸又はその塩もし
くは糖類を含有してなるフィブリノゲン定量乾燥材料の
調製方法を例示すれば、トロンビン活性を有する蛋白を
任意の緩衝液に溶解し、次に該溶解液に添加剤としてア
ミノ酸又はその塩もしくは糖類とを添加した最終溶液を
任意の反応カップに一定量分注し、凍結後、凍結乾燥す
る方法が採用できる。
【0037】該フィブリノゲン定量乾燥材料は、前述の
ごとく、予め溶液状態で磁性粒子を含ませた後に乾燥す
ることによりフィブリノゲン定量乾燥試薬となり得る
が、この定量乾燥材料とスチールボールとを組み合わせ
ることによっても以下のごとくフィブリノゲンの定量が
可能となる。
【0038】本発明のフィブリノゲン定量乾燥材料を使
用しての測定方法を例示する。KC−10A(アメルン
グ社製)の反応カップ中に前述の必須成分からなるフィ
ブリノゲン定量乾燥材料を調製する。ついで、該乾燥材
料上にスチールボール(バクスター社製)を入れた後、
検体を添加する。検体を添加してからスチールボールが
動き出すまでの時間を凝固時間として測定する。このよ
うな方法で得られた凝固時間は検体中のフィブリノゲン
濃度に相関している。該凝固時間を利用しての任意の血
漿のフィブリノゲン定量法は特に限定されないが、先
ず、フィブリノゲン濃度が既知で且つ濃度の異なる3種
類の血漿を任意の希釈緩衝液に希釈し、該希釈液を検体
として使用し、上記の方法でそれぞれの血漿に対応する
凝固時間を得た後、それを基に検量線を作成する。次に
任意の血漿を前出と同じ希釈緩衝液に同希釈倍率で希釈
し、該希釈液を検体として使用し、上記の方法で任意の
血漿に対応する凝固時間を得た後、前に作成した検量線
を使用して任意の血漿のフィブリノゲン濃度を見いだす
方法が挙げられる。尚、該方法に使用される検量線は両
対数グラフでX軸をフィブリノゲン濃度とし、Y軸を凝
固時間とした検量線が好適に使用できる。
【0039】上記フィブリノゲン定量乾燥材料に含有さ
れるトロンビン活性を有する蛋白の含量は特に限定され
ず、通常0.5NIHU以上で選べばよいが、5NIH
U〜15NIHUの範囲が好適である。
【0040】同じく上記フィブリノゲン定量乾燥材料に
含有されるアミノ酸又はその塩、もしくは糖類の含量
は、0.2mg〜10mgの範囲で選べばよいが、2.
0mg〜8.0mgの範囲が好適である。
【0041】その他、各構成成分の具体例、乾燥材料の
調製法等は、前出のフィブリノゲン定量乾燥試薬と同様
である。
【0042】また、該乾燥材料の乾燥方法も、前記理由
と同じ理由により凍結乾燥法を採用することが好まし
い。
【0043】このフィブリノゲン定量乾燥材料を用いる
ことにより、従来の溶液試薬用のフィブリノゲン定量装
置をそのまま使用して、しかしながら予備加温等の面倒
な操作をすることなしにフィブリノゲンを定量すること
が可能となった。
【0044】
【発明の効果】本発明のフィブリノゲン定量乾燥試薬を
用いることにより、溶液試薬を用いたトロンビン時間法
によるフィブリノゲン定量方法に比して、トロンビン試
薬の復元などの試薬準備及び検体加温時間が不要とな
り、血漿の希釈のみで迅速にフィブリノゲン定量ができ
るようになった。又、該乾燥試薬は、フィブリノゲンの
定量範囲が広いため、溶液試薬の場合のように定量範囲
から外れたフィブリノゲン濃度をもつ血漿では希釈倍率
を変えて再測定するという操作が実質的に不要となっ
た。ちなみに、従来の溶液試薬では検体の20倍希釈で
150〜800mg/dlの濃度範囲しか測定できない
のに対して、本発明の乾燥試薬を用いれば検体の20倍
希釈で50〜800mg/dlの濃度範囲の測定が可能
で、本発明の乾燥試薬は感度が高く低濃度領域まで同一
希釈で測定できるという特徴を有する。。
【0045】さらに、本発明のフィブリノゲン定量乾燥
試薬を用いてフィブリノゲンを定量した結果と溶液試薬
を用いてフィブリノゲンを定量した結果との相関が、従
来のトロンビンを含有した乾燥試薬より極めて良くな
り、且つ定量の再現性も好成績が得られ、より信頼性の
ある測定を可能ならしめた。
【0046】以上の結果、本発明のフィブリノゲン定量
乾燥試薬が開発されたことにより、測定装置が小型化で
き更に操作が簡便になったため、ベッドサイドでのしか
も必ずしも熟練者を必要としない緊急検査に対応できる
ようになった。
【0047】
【0048】
【実施例】本発明を一般的に説明してきたが、以下の具
体的な実施例を参照することによりさらに理解できる。
ここに示す実施例は説明の目的だけのものであり、特記
しない限り限定の意図は有しない。
【0049】実施例1及び比較例1 添加剤の種類によ
る磁性粒子の運動シグナルの経時変化の比較 乾燥試薬を使用してフィブリノゲンを定量する装置とし
てCG−01[(株)A&T販売]を使用し、乾燥試薬
としては、グルコースを含有するトロンビン試薬(以
下、グルコース試薬と略す。)と、L−グルタミン酸ナ
トリウム一水和物を含有するトロンビン試薬(以下、グ
ルタミン酸試薬と略す。)と、牛血清アルブミンを含有
するトロンビン試薬(以下、アルブミン試薬と略す。)
と、Tween80を含有するトロンビン試薬(以下、
Tween80試薬と略す。)と、PEG6000を含
有するトロンビン試薬(以下、PEG6000試薬と略
す。)と、グリセロールを含有するトロンビン試薬(以
下、グリセロール試薬と略す。)の6種類として、各乾
燥試薬の磁性粒子の運動シグナルの経時変化を比較し
た。 グルコース試薬の調製は、以下のように行った。
トロンビン試薬(デイド社製)に純水を加えて、100
U/mlのトロンビン水溶液を作製した。該水溶液と
1.5%グルコース(和光純薬工業製)を含有した30
mMHEPES(同仁化学製)緩衝液(PH7.35)
とを1:2に混合した。さらに該混合液に最終濃度5m
g/mlになるように磁性粒子(レアメタリック社製)
を添加混合して、グルコース試薬用最終溶液とした。該
最終溶液25μlを図1に示す反応スライドに分注し
た。該反応スライドを液体窒素で瞬間凍結し、凍結後、
凍結乾燥することでグルコース試薬を調製した。凍結乾
燥の条件は、真空状態で、−30℃から20℃まで8時
間かけて直線的に上昇させる方法で行った。
【0050】又、グルタミン酸試薬の調製は、以下のよ
うに行った。トロンビン試薬(デイド社製)に純水を加
えて、100U/mlのトロンビン水溶液を作製した。
該水溶液と3.0%L−グルタミン酸ナトリウム一水和
物(和光純薬工業製)を含有した30mMHEPES
(同仁化学製)緩衝液(PH7.35)とを1:2に混
合した。さらに該混合液に最終濃度5mg/mlになる
ように磁性粒子(レアメタリック社製)を添加混合し
て、グルタミン酸試薬用最終溶液とした。該最終溶液2
5μlを上と同じ反応スライドに分注した。該反応スラ
イドの凍結・凍結乾燥条件は、前出のグルコース試薬の
方法と同様な方法で行った。
【0051】次に、アルブミン試薬の調製は、以下のよ
うに行った。トロンビン試薬(デイド社製)に純水を加
えて、100U/mlのトロンビン水溶液を作製した。
該水溶液と4.5mg/ml牛血清アルブミン(シグマ
社製)を含有した30mMHEPES(同仁化学製)緩
衝液(PH7.35)とを1:2に混合した。さらに該
混合液に最終濃度5mg/mlになるように磁性粒子
(レアメタリック社製)を添加混合して、アルブミン試
薬用最終溶液とした。該最終溶液25μlを上と同じ反
応スライドに分注した。該反応スライドの凍結・凍結乾
燥条件は、前出のグルコース試薬の方法と同様な方法で
行った。
【0052】さらに、Tween80試薬の調製は、以
下のように調製した。トロンビン試薬(デイド社製)に
純水を加えて、100U/mlのトロンビン水溶液を作
製した。該水溶液と0.075%Tween80(和光
純薬工業製)を含有した30mMHEPES(同仁化学
製)緩衝液(PH7.35)とを1:2に混合した。さ
らに該混合液に最終濃度5mg/mlになるように磁性
粒子(レアメタリック社製)を添加混合して、Twee
n80試薬用最終溶液とした。該最終溶液25μlを上
と同じ反応スライドに分注した。該反応スライドの凍結
・凍結乾燥条件は、前出のグルコース試薬の方法と同様
な方法で行った。
【0053】PEG6000試薬の調製は、以下のよう
に行った。トロンビン試薬(デイド社製)に純水を加え
て、100U/mlのトロンビン水溶液を作製した。該
水溶液と1.5%PEG6000(コッホライト社製)
を含有した30mMHEPES(同仁化学製)緩衝液
(PH7.35)とを1:2に混合した。さらに該混合
液に最終濃度5mg/mlになるように磁性粒子(レア
メタリック社製)を添加混合して、PEG6000試薬
用最終溶液とした。該最終溶液25μlを上と同じ反応
スライドに分注した。該反応スライドの凍結・凍結乾燥
条件は、前出のグルコース試薬の方法と同様な方法で行
った。
【0054】 グリセロール試薬の調製は、以下のよう
に行った。トロンビン試薬(デイド社製)に純水を加え
て、100U/mlのトロンビン水溶液を作製した。該
水溶液と0.75%グリセロール(和光純薬工業製)を
含有した30mMのHEPES(同仁化学製)緩衝液
(PH7.35)とを1:2に混合した。さらに該混合
液に最終濃度5mg/mlになるように磁性粒子(レア
メタリック社製)を添加混合して、グリセロール試薬用
最終溶液とした。該最終溶液25μlを上と同じ反応ス
ライドに分注した。該反応スライドの凍結・凍結乾燥条
件は、前出のグルコース試薬の方法と同様な方法で行っ
た。比較方法は、先ず、200mg/dlのフィブリノ
ゲンを含有する血漿をオーレン緩衝液(シグマ社製)で
20倍希釈する。次に、フィブリノゲン定量装置CG−
01に上記6種類の乾燥試薬をセットし、前出の希釈液
(希釈した血漿からなる検体のことである。以下の実施
例及び比較例においても測定直前に添加する希釈液は検
体と同義である。)25μlを添加した後、各試薬から
得られる磁性粒子の運動シグナルを光学的にモニターす
ることで行った。
【0055】希釈液を添加後の磁性粒子の運動シグナル
の経時変化を見たのが、図3である。Aのグラフは、グ
ルコース試薬を用いた場合のグラフであり、Bのグラフ
は、グルタミン酸試薬を用いた場合のグラフであり、C
のグラフは、アルブミン試薬を用いた場合のグラフであ
り、Dのグラフは、Tween80試薬を用いた場合の
グラフであり、Eのグラフは、PEG6000試薬を用
いた場合のグラフであり、Fのグラフは、グリセロール
試薬を用いた場合のグラフである。図3から容易に判る
ように、磁性粒子の運動シグナルの経時変化が試薬中の
粘度上昇に対応しているのは、グルコース試薬とグルタ
ミン酸試薬とグリセロール試薬である。他の試薬では試
薬の溶解性が悪く、磁性粒子の運動シグナルが試薬中の
粘度上昇に対応していない。
【0056】比較例2 添加剤を使用しない乾燥試薬 乾燥試薬を使用してフィブリノゲンを定量する装置とし
てCG−01[(株)A&T販売]を使用し、乾燥試薬
としては、添加剤を添加しない乾燥試薬(以下、無添加
試薬と略す。)を以下のように調製して磁性粒子のの運
動シグナルの経時変化を調べた。
【0057】トロンビン試薬(デイド社製)に純水を加
えて、100U/mlのトロンビン水溶液を作製した。
該水溶液と30mMHEPES(同仁化学製)緩衝液
(PH7.35)とを1:2に混合した。さらに該混合
液に最終濃度5mg/mlになるように磁性粒子(レア
メタリック社製)を添加混合して、無添加試薬用最終溶
液とした。該最終溶液25μlを図1に示す反応スライ
ドに分注した。該反応スライドを液体窒素で瞬間凍結
し、凍結後、凍結乾燥することで、凍結乾燥試薬を作製
した。凍結乾燥の条件は、真空状態で、−30℃から2
0℃まで8時間かけて直線的に上昇させる方法で行っ
た。
【0058】測定方法は、先ず、200mg/dlのフ
ィブリノゲンを含有する血漿をオーレン緩衝液(シグマ
社製)で20倍希釈する。次に、フィブリノゲン定量装
置CG−01に上記乾燥試薬をセットし、前出の希釈液
25μlを添加した後、無添加試薬から得られる磁性粒
子の運動シグナルを光学的にモニターすることで行っ
た。
【0059】無添加試薬を用いた場合は、比較例1のP
EG6000試薬の場合と同様のグラフとなり磁性粒子
の運動シグナルは得られず、定量不能であった。 実施例2及び比較例3 凝固時間の再現性 実施例1及び比較例1のグルコース試薬、グルタミン酸
試薬、グリセロール試薬及び特表平3−504076号
公報で示されている従来の乾燥試薬の4種類の試薬を使
用し、又、フィブリノゲンを定量する装置としてCG−
01[(株)A&T販売]を使用して、上記の各試薬で
得られる凝固時間の再現性を調べた。
【0060】試験方法は、まず、200mg/dlのフ
ィブリノゲンを含有する血漿をオーレン緩衝液(シグマ
社製)で20倍希釈する。次に、フィブリノゲン定量装
置CG−01に上記試薬をセットし、前出の希釈液25
μlを添加した後、試薬から得られる磁性粒子の運動シ
グナルを光学的にモニターすることで行った。この操作
を各試薬につき5回行った。
【0061】終点の検知方法及び凝固時間の認識方法
は、図4に示した磁性粒子の運動シグナルの経時変化グ
ラフに対して、運動シグナルのピーク値に対して30%
減衰した点を終点とし、検体を添加してから該終点まで
の時間を凝固時間とする方法を採用した。即ち、図4中
のAが終点であり、図4中のBが凝固時間である。
【0062】結果を示したのが表1である。表1を見て
も判るとおり、得られる凝固時間に再現性が見られるの
は、本発明のグルコース試薬とグルタミン酸試薬のみで
ある。
【0063】その他の試薬は、試薬の溶解性が均一でな
いために得られる磁性粒子の運動シグナルの経時変化に
再現性が見られない。そのために、得られる凝固時間に
再現性がみられなくなることが判明した。
【0064】
【表1】
【0065】実施例3及び比較例4 乾燥方法の違いに
よる磁性粒子の運動シグナルの経時変化の比較 乾燥試薬を使用してフィブリノゲンを定量する装置とし
てCG−01[(株)A&T販売]を使用し、乾燥試薬
としては、製造方法の異なるL−グルタミン酸ナトリウ
ム一水和物を添加剤としたフィブリノゲン定量乾燥試薬
の2種類として、2種の乾燥試薬の磁性粒子の運動シグ
ナルの経時変化を比較した。
【0066】製造方法の異なる乾燥試薬とは、凍結後、
凍結乾燥した乾燥試薬(以下、凍結乾燥試薬と略す。)
と風乾した乾燥試薬(以下、風乾試薬と略す。)の2種
類である。
【0067】凍結乾燥試薬の調製は、以下のように行っ
た。トロンビン試薬(デイド社製)に純水を加えて、1
00U/mlのトロンビン水溶液を作製した。該水溶液
と3.0%L−グルタミン酸ナトリウム一水和物(和光
純薬工業製)を含有した30mMHEPES(同仁化学
製)緩衝液(PH7.35)とを1:2に混合した。さ
らに該混合液に最終濃度5mg/mlになるように磁性
粒子(レアメタリック社製)を添加混合して、凍結乾燥
試薬用最終溶液とした。該最終溶液25μlを図1に示
す反応スライドに分注した。該反応スライドを液体窒素
で瞬間凍結し、凍結後、凍結乾燥することで、凍結乾燥
試薬を作製した。凍結乾燥の条件は、真空状態で、−3
0℃から20℃まで8時間かけて直線的に上昇させる方
法で行った。 一方、風乾試薬の調製方法は以下のよう
に行った。上記と同様な最終溶液を使用し、該最終溶液
25μlを上と同じ反応スライドに分注した。該反応ス
ライドを真空状態で30℃,12時間の処理を行うこと
によって、風乾試薬を作製した。
【0068】比較方法は、先ず、200mg/dlのフ
ィブリノゲンを含有する血漿をオーレン緩衝液(シグマ
社製)で20倍希釈する。次に、フィブリノゲン定量装
置CG−01に上記2種類の乾燥試薬をセットし、前出
の希釈液25μlを添加した後、各試薬から得られる磁
性粒子の運動シグナルを光学的にモニターすることで行
った。
【0069】希釈液を添加後の磁性粒子の運動シグナル
の経時変化を見たのが、図5である。
【0070】Aのグラフは、凍結乾燥試薬を用いた場合
のグラフであり、Bのグラフは、風乾試薬を用いた場合
のグラフである。風乾試薬を用いた場合は、得られる磁
性粒子の運動シグナルが弱いが、凍結乾燥試薬を用いた
場合は、得られる磁性粒子の運動シグナルが十分に強
く、又、再現性の良いものであった。
【0071】実施例4 フィブリノゲン濃度と得られる
凝固時間の相関性 使用するフィブリノゲン定量乾燥試薬を実施例3の凍結
乾燥試薬とし、フィブリノゲンを定量する装置としてC
G−01[(株)A&T販売]を使用して、得られる凝
固時間とフィブリノゲンの濃度との相関性を調べた。
【0072】終点の検知方法及び凝固時間の認識方法
は、実施例2と同様に行った。凝固時間とフィブリノゲ
ン濃度との相関性を調べる方法は、以下のように行っ
た。先ず、800mg/dlのフィブリノゲンを含有す
るヒト血漿と、フィブリノゲン欠乏ヒト血漿(ジョ−ジ
キング社製)とを使用して、50〜800mg/dlま
でのヒト血漿の希釈系列を作製した。次いで、該希釈系
列の血漿をそれぞれオーレン緩衝液(シグマ社製)で2
0倍希釈した。そして、フィブリノゲン定量装置CG−
01に上記凍結乾燥試薬をセットし、前出の希釈液25
μlを添加し、上記の方法で各々の希釈液の凝固時間を
求める。最後に、両対数グラフのX軸をフィブリノゲン
濃度とし、Y軸を得られる凝固時間としてデータをプロ
ットし、作製したグラフに直線性が見られるか否かで相
関性の有無を調べた。
【0073】図6にフィブリノゲン濃度と得られる凝固
時間との相関図を示した。図6を見ても判るように、フ
ィブリノゲン濃度と凝固時間との間では直線関係が得ら
れ、相関があることが明確である。又、図6の結果は、
血液凝固能検査で必要とされる50〜800mg/dl
のフィブリノゲン濃度範囲の全領域が20倍希釈で一度
に定量できることを示している。
【0074】さらに、上記血漿を10倍希釈して凝固時
間を測定した場合でも、40倍希釈して凝固時間を測定
した場合でも、20倍希釈した場合と比して定量範囲は
異なるものの、得られた凝固時間と血漿中フィブリノゲ
ン濃度との間では直線関係が得られることが確認でき
た。
【0075】実施例5 溶液試薬法と本発明の乾燥試薬
法との相関 ヒト血漿41検体を用い、溶液試薬を用いる従来の方法
でフィブリノゲンを定量した結果と本発明の乾燥試薬を
使用してフィブリノゲンを定量した結果との相関を比較
した。
【0076】溶液状の試薬を用いる従来の方法を使用し
てのフィブリノゲンの定量は、試薬をデータファイ・フ
ィブリノゲン(デイド社製)とし、測定装置をKC−1
0(アメルング社製)とし、データファイ・フィブリノ
ゲンの能書に示された方法で定量した。
【0077】本発明の乾燥試薬を使用してのフィブリノ
ゲンの定量は、以下のように行った。使用するフィブリ
ノゲン定量乾燥試薬を実施例3の凍結乾燥試薬とし、フ
ィブリノゲンを定量する装置としてCG−01[(株)
A&T販売]を使用して行った。尚、終点の検知方法及
び凝固時間の認識方法は、実施例2と同じ方法をとっ
た。先ず、ヒト血漿をそれぞれオーレン緩衝液(シグマ
社製)で20倍希釈した。次いで、フィブリノゲン定量
装置CG−01に上記凍結乾燥試薬をセットし、前出の
希釈液25μlを添加し、上記の方法で各々の希釈液の
凝固時間を求める。最後に、実施例4の図6に示したグ
ラフを検量線として使用して、得られる凝固時間から血
漿中のフィブリノゲン濃度を見いだす方法を使用した。
【0078】図7に溶液試薬を用いる従来の方法で定量
したフィブリノゲン定量値と本発明の方法で定量したフ
ィブリノゲン定量値の相関図を示した。
【0079】図7をみて判る通り、溶液試薬を用いる従
来の方法で定量したフィブリノゲン定量値と本発明の方
法で定量したフィブリノゲン定量値には相関性が高いこ
とが明確である。
【0080】実施例6 フィブリノゲン定量乾燥材料に
よる凝固時間とフィブリノゲン濃度との相関性 KC−10A(アメルング社製)に適用するフィブリノ
ゲン定量乾燥材料は以下のように調製した。
【0081】トロンビン試薬(デイド社製)に純水を加
えて、100U/mlのトロンビン水溶液を作製した。
該水溶液と3.0%L−グルタミン酸ナトリウム一水和
物(和光純薬工業製)を含有した30mMHEPES緩
衝液(同仁化学製)緩衝液(PH7.35)とを1:2
に混合し、フィブリノゲン定量乾燥材料用最終溶液とし
た。該最終溶液300μlを反応カップ(バクスター社
製)に分注した。該反応カップを液体窒素で瞬間凍結
し、凍結後、凍結乾燥することでフィブリノゲン測定乾
燥材料を調製した。凍結乾燥の条件は、真空状態で、−
30℃から20℃まで8時間かけて直線的に上昇させる
方法で行った。
【0082】測定方法は、該フィブリノゲン定量乾燥材
料をKC−10Aにセット後、スチールボール(バクス
ター社製)をいれ、次いで、検体300μlを添加して
からスチールボールが動き出す時間を凝固時間とする方
法を採用した。
【0083】得られる凝固時間とフィブリノゲン濃度と
の相関性を調べる方法は、以下のように行った。まず、
実施例4で作製した200、300、400、500、
600、700mg/dlのフィブリノゲン濃度を有す
る6種類のヒト血漿をそれぞれオーレン緩衝液(シグマ
社製)で20倍希釈した。次に、その希釈液を検体とし
て用い、上記の方法で各々の希釈液の凝固時間を求め
た。最後に、両対数グラフのX軸をフィブリノゲン濃度
とし、Y軸を得られる凝固時間としてデータをプロット
し、作製したグラフに直線性が見られるか否かで相関性
の有無を調べた。図8にフィブリノゲン濃度と得られる
凝固時間との相関図を示した。図8をみても判るよう
に、フィブリノゲン濃度と凝固時間との間では直線関係
が得られ、相関があることが明確である。従って、この
本発明のフィブリノゲン定量乾燥材料を使用すれば、溶
液試薬用のフィブリノゲン定量装置をそのまま使用して
予備加温等の面倒な準備操作をすることなしにフィブリ
ノゲンを定量することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明のフィブリノゲン定量乾燥試薬による
フィブリノゲン定量に使用する代表的な反応スライドの
例である。
【図2】 図1の反応スライドの部分分解図である。
【図3】 各種乾燥試薬に検体を添加してからの磁性粒
子の運動シグナルの強さの経時変化を示した図である。
【図4】 フィブリノゲン定量乾燥試薬を使用してフィ
ブリノゲン量に対応する凝固時間を得る場合の終点解析
方法を示す図である。
【図5】 凍結乾燥試薬と風乾試薬の磁性粒子の運動シ
グナルの強さの経時変化の違いを示した図である。
【図6】 図4の終点解析法を使用して得られる凝固時
間と血漿中フィブリノゲン濃度の関係を示した図であ
る。
【図7】 従来の溶液試薬法でのフィブリノゲン定量値
と本発明のフィブリノゲン定量乾燥試薬を用いた場合の
フィブリノゲン定量値の相関図である。
【図8】 フィブリノゲン定量乾燥材料を用いて得られ
る凝固時間と血漿中フィブリノゲン濃度の関係を示した
図である。
【符号の説明】
A 透明樹脂板 B 透明樹脂板 C 白色樹脂板 D 試薬充填部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) G01N 33/86

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 検体と直接接触させて使用するフィブリ
    ノゲン定量乾燥試薬であって、トロンビン活性を有する
    蛋白、磁性粒子、及びアミノ酸又はその塩もしくは糖類
    を含有してなることを特徴とするフィブリノゲン定量乾
    燥試薬。
  2. 【請求項2】 緩衝液中にトロンビン活性を有する蛋
    白、磁性粒子、及びアミノ酸又はその塩もしくは糖類を
    含有させてなる混合液を凍結乾燥することを特徴とする
    請求項1のフィブリノゲン定量乾燥試薬の製造方法。
  3. 【請求項3】 磁性粒子と組み合わせた後に検体と直接
    接触させて使用するフィブリノゲン定量乾燥試薬用のフ
    ィブリノゲン定量乾燥材料であって、トロンビン活性を
    有する蛋白、アミノ酸又はその塩もしくは糖類を含有し
    てなるフィブリノゲン定量乾燥材料。
  4. 【請求項4】 緩衝液中にトロンビン活性を有する蛋
    白、アミノ酸又はその塩もしくは糖類を含有させてなる
    混合液を凍結乾燥することを特徴とする請求項3のフィ
    ブリノゲン定量乾燥材料の製造方法。
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