JP2775531B2 - ポリオルガノシロキサン系グラフト共重合体 - Google Patents

ポリオルガノシロキサン系グラフト共重合体

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JP2775531B2
JP2775531B2 JP20462491A JP20462491A JP2775531B2 JP 2775531 B2 JP2775531 B2 JP 2775531B2 JP 20462491 A JP20462491 A JP 20462491A JP 20462491 A JP20462491 A JP 20462491A JP 2775531 B2 JP2775531 B2 JP 2775531B2
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直己 山本
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、耐衝撃性、低温特性、
耐候性に優れ、更に塗装時の塗膜の密着強度に優れる成
形品を与えるポリオルガノシロキサン系グラフト共重合
体に関する。
【0002】
【従来の技術】耐衝撃性、低温特性、耐侯性に優れる熱
可塑性樹脂として、ポリオルガノシロキサンゴムに、ア
クリロニトリルやスチレン等のエチレン性不飽和結合を
有する単量体をグラフト重合させてなるポリオルガノシ
ロキサン系グラフト共重合体が特開昭61−10661
4号に開示されている。また、グラフト交叉剤を共重合
したポリオルガノシロキサン系重合体にエポキシ含有ビ
ニルモノマ−と他のビニルモノマ−を特定量グラフト重
合してなるグラフト共重合体が特開平2−138360
号に開示されている。
【0003】しかして、上記の特開昭61−10664
1号に開示される共重合体は耐衝撃性、低温特性、耐侯
性に優れるものの、この共重合体製造時にオルガノシロ
キサンオリゴマ−が副生し、このオリゴマ−を共重合体
から除去するは極めて困難である。そしてこの共重合体
を用いて成形した場合、このオリゴマ−が成形品の表面
ににじみ出してくるため、この共重合体からの成形品に
塗装を施した時、塗膜の密着強度が低いという問題を有
している。また、特開平2−138360号に開示され
るグラフト共重合体も耐衝撃性、低温特性、耐候性に優
れ、更にこの共重合体の成形品を塗装したときの塗膜の
密着性がかなり改善されるが、未だ十分なレベルをあた
えるものではなく、しかもグラフト共重合体中のポリオ
ルガノシロキサン重合体の含有量が大きくなると塗膜の
密着性は全く不良になるという問題を有している。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、耐衝撃性、
低温特性、耐候性に優れ、更にこの共重合体の成形品を
塗装したときの塗膜の密着性が極めて優れたポリオルガ
ノシロキサン系グラフト共重合体を提供することを目的
とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記のよう
な状況に鑑み、耐衝撃性、低温特性、耐侯性に優れ、塗
装成形品の塗膜の密着性に優れる樹脂を得るべく鋭意検
討した結果、ポリオルガノシロキサンゴムとポリアルキ
ル(メタ)アクリレートゴムが相互に分離不可能に一体
化してなる複合ゴムに、エポキシ基含有ビニル系単量体
グラフト重合したグラフト共重合体であって、エポキ
シ基含有ビニル系単量体成分が特定の割合で含まれるポ
リオルガノシロキサン系グラフト共重合体が上述の性能
を全て満足することを見出し本発明に到達した。更に、
このポリオルガノシロキサン系グラフト共重合体は接着
剤としても有用であり、特にポリエチレンテレフタレー
ト等のポリエステル、ポリフェニレンオキシド、ポリフ
ェニレンサルファイド等の芳香族系重合体を積層する際
に優れた接着性能を発揮するものである。
【0006】即ち本発明は、ポリオルガノシロキサンゴ
ムとポリアルキル(メタ)アクリレートゴムが相互に分
離不可能に一体化してなる複合ゴムに、エポキシ基含有
ビニル系単量体、又はエポキシ基含有ビニル系単量体を
含むエチレン性不飽和結合を有する単量体混合物がグラ
フト重合したグラフト共重合体であって、該グラフト共
重合体全体に占めるエポキシ基含有ビニル系単量体成分
の比率が1〜30重量%であることを特徴とするポリオ
ルガノシロキサン系グラフト共重合体にある。
【0007】本発明について詳しく説明する。本発明の
ポリオルガノシロキサン系グラフト共重合体は、上記の
とおり、ポリオルガノシロキサンゴムとポリアルキル
(メタ)アクリレ−トゴムが相互に分離不可能に一体化
してなる複合ゴムに、特定のビニル単量体をグラフト重
合したものであるので、これらの各成分について順次説
明する。
【0008】1.ポリオルガノシロキサンゴム成分 ポリオルガノシロキサンゴムはオルガノシロキサンとポ
リオルガノシロキサンゴム用架橋剤〔以下、単に架橋剤
(I)という〕と所望により更にポリオルガノシロキサ
ンゴム用グラフト交叉剤〔以下、単にグラフト交叉剤
(I)という〕とを乳化重合することによって微粒子と
して得ることができる。
【0009】ポリオルガノシロキサンゴムの調製に用い
られるオルガノシロキサンとしては、3員環以上の環状
オルガノシロキサンが用いられ、3〜6員環のものが好
ましく用いられる。このような環状オルガノシロキサン
の例としてヘキサメチルシクロトリシロキサン、オクタ
メチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペン
タシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン、
トリメチルトリフェニルシクロトリシロキサン、テトラ
メチルテトラフェニルシクロテトラシロキサン、オクタ
フェニルシクロテトラシロキサン等を挙げることができ
る。
【0010】ポリオルガノシロキサンゴムの調製に用い
られる架橋剤(I)としては3官能性または4官能性の
シラン、即ち、トリアルコキシアルキルあるいはアリ−
ルシランまたはテトラアルコキシシランが用いられ、こ
のような架橋剤(I)の具体例としてトリメトキシメチ
ルシラン、トリエトキシフェニルシラン、テトラメトシ
キシシラン、テトラエトキシシラン、テトラn−プロポ
キシシラン、テトラブトキシシラン等を例示できる。本
発明で用いられる架橋剤(I)としてはテトラアルコキ
シシランが好ましく、上記の中ではテトラエトキシシラ
ンが特に好ましく用いられる。
【0011】ポリオルガノシロキサンゴムの調製に、所
望に応じて用いられるグラフト交叉剤(I)としては次
【0012】
【化1】
【0013】
【化2】
【0014】
【化3】
【0015】
【化4】
【0016】(各式中R1はメチル基、エチル基、プロ
ピル基またはフェニル基を示し、R2は水素原子または
メチル基を示し、nは0、1または2を示し、pは1〜
6の整数を示す。)で表される単位を形成し得る化合物
等が用いられる。
【0017】化1で表される単位を形成し得る(メタ)
アクリロイルオキシアルキルシロキサンはグラフト効率
が高いため効率的にグラフト鎖を形成することが可能で
あり、耐衝撃性発現の点で有利である。(メタ)アクリ
ロイルオキシアルキルシロキサンの中ではメタクリロイ
ルオキシアルキルシロキサンが好ましく、この具体例と
してβ−メタクリロイルオキシエチルジメトキシメチル
シラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルメトキシジ
メチルシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルジメ
トキシメチルシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピ
ルトリメトキシジエチルシラン、γ−メタクリロイルオ
キシプロピルエトキシジエチルシラン、γ−メタクリロ
イルオキシプロピルジエトキシメチルシラン、δ−メタ
クリロイルオキシブチルジエトキシメチルシラン等が挙
げられる。
【0018】化2で表される単位を形成し得るビニルシ
ロキサンとしてはビニルメチルジメトキシシラン、ビニ
ルトリメトキシシラン等が挙げられ、化3で表される単
位を形成し得るメルカプトシロキサンとしてはγ−メル
カプトプロピルジメトキシメチルシラン、γ−メルカプ
トプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピ
ルジエトキシエチルシラン等を挙げることができる。ま
た、化4で表される単位を形成し得る化合物としては、
p−ビニルフェニルメチルジメトキシシラン等を挙げる
ことができる。
【0019】ポリオルガノシロキサンゴム中、環状オル
ガノシロキサンに由来する成分は60重量%以上、好ま
しくは70重量%以上であり、架橋剤(I)に由来する
成分の量は0.1〜30重量%であり、グラフト交叉剤
(I)に由来する成分の量は0〜10重量%所望により
0.1〜10重量%である。
【0020】このポリオルガノシロキサンゴム成分のラ
テックスの製造にあたっては例えば米国特許第2891
920号明細書、同第3294725号明細書等に記載
された方法を用いることができる。本発明の実施にあた
っては、オルガノシロキサンと架橋剤(I)と所望によ
りグラフト交叉剤(I)との混合液を、アルキルベンゼ
ンスルホン酸、アルキルスルホン酸等のスルホン酸系乳
化剤の存在下で、例えばホモジナイザ−等を用いて水と
剪断混合する方法で製造することが好ましい。スルホン
酸系乳化剤としては、アルキルベンゼンスルホン酸がオ
ルガノシロキサンの乳化剤として作用すると同時に重合
開始剤としても作用するので好ましく用いられる。この
際、アルキルベンゼンスルホン酸金属塩、アルキルスル
ホン酸金属塩等を併用するとグラフト重合を行う際にポ
リマ−の乳化状態を安定に維持するのに効果があるので
好ましい。
【0021】2.ポリアルキル(メタ)アクリレ−トゴ
ム成分 複合ゴムを構成するポリアルキル(メタ)アクリレ−ト
ゴム成分は以下に示すアルキル(メタ)アクリレ−ト
と、ポリアルキル(メタ)アクリレ−トゴム用架橋剤
〔以下、単に架橋剤(II)という〕と、ポリアルキル
(メタ)アクリレ−トゴム用グラフト交叉剤〔以下、単
にグラフト交叉剤(II)という〕を用いて合成すること
ができる。アルキル(メタ)アクリレ−トとしてはメチ
ルアクリレ−ト、エチルアクリレ−ト、n−プロピルア
クリレ−ト、n−ブチルアクリレ−ト、2−エチルヘキ
シルアクリレ−ト等のアルキルアクリレ−ト、およびヘ
キシルメタクリレ−ト、2−エチルヘキシルメタクリレ
−ト、n−ラウリルメタクリレ−ト等のアルキルメタク
リレ−トを例示でき、アルキル(メタ)アクリレ−トと
してはn−ブチルアクリレ−トを用いることが好まし
い。
【0022】架橋剤(II)としては多官能性(メタ)ア
クリレ−トを用いることができ、エチレングリコ−ルジ
メタクリレ−ト、プロピレングリコ−ルジメタクリレ−
ト、1,3−ブチレングリコ−ルジメタクリレ−ト、
1,4−ブチレングリコ−ルジメタクリレ−ト、アリル
メタクリレ−ト等をその具体例として例示できる。
【0023】グラフト交叉剤(II)としては反応性の異
なる2種の不飽和基を有する化合物が用いられ、このよ
うな化合物の例としてアリルメタクリレ−ト、トリアリ
ルシアヌレ−ト、トリアリルイソシアヌレ−ト等を挙げ
ることができる。(なお、トリアリルシアヌレ−ト、ト
リアリルイソシアネ−トはいずれも3つのアリル基の反
応性が等しいように見えるが、最初のアリル基が反応し
た後の第2、第3のアリル基が反応するときの反応性は
最初のアリル基が反応するときの反応性と異なるため、
反応性の異なる不飽和基を有しているとみなすことがで
きる。またアリルメタクリレ−トの場合は、2つの不飽
和基のうち、反応性の低いほうのものも1部重合中に反
応して架橋サイトとして働き、しかも重合時にこれらが
全て反応することがないので残った不飽和基がその後の
グラフト重合時にグラフトサイトとして働くものであ
る。)
【0024】これらの架橋剤(II)やグラフト交叉剤
(II)は各々単独あるいは2種以上組み合わせ用いるこ
とができる。なおアリルメタクリレ−トにこれら両者を
兼ねさせること、即ちポリアルキル(メタ)アクリレ−
トゴム用の架橋剤およびグラフト交叉剤として、それぞ
れアリルメタクリレ−トを用いることが好ましい。
【0025】これら架橋剤(II)およびグラフト交叉剤
(II)の使用量は各々ポリアルキル(メタ)アクリレ−
トゴム成分中0.1〜10重量%である。架橋剤(II)
およびグラフト交叉剤(II)としてアリルメタクリレ−
トを用いる場合はポリアルキル(メタ)アクリレ−トゴ
ム成分中0.2〜20重量%用いればその他の架橋剤
(II)やグラフト交叉剤(II)を更に用いなくてもよい
という効果がある。
【0026】3.複合ゴム 複合ゴムは、ポリオルガノシロキサンゴムラテックス中
に、上記アルキル(メタ)アクリレ−トと架橋剤(II)
とグラフト交叉剤(II)とを添加し、重合させてポリア
ルキル(メタ)アクリレ−トゴム成分を形成させること
により調製することができる。この際の添加は一括添加
でも良く、重合系への滴下でも良い。重合の進行ととも
にポリアルキル(メア)アクリレ−トゴム成分がポリオ
ルガノシロキサンゴム成分と両者の界面において相互に
絡み合って一体化した架橋網目を形成し、ポリオルガノ
シロキサンゴム成分の重合にあたってグラフト交叉剤
(I)を用いた場合はポリオルガノシロキサンゴム成分
へのポリアルキル(メタ)アクリレ−トゴム成分のグラ
フトも生じ、いずれにせよ両ゴム成分が実質上相互に分
離できない複合ゴムラテックスが得られる。
【0027】この複合ゴムはポリオルガノシロキサンゴ
ム成分とポリアルキル(メタ)アクリレ−トゴム成分と
が一部絡み合って一体化し、その状態で架橋しているた
めアセトン、トルエン等の通常の有機溶剤では抽出分離
できないものである。本発明で用いる複合ゴムとしては
ポリオルガノシロキサンゴム成分の環状オルガノシロキ
サンに由来する成分がジメチルシロキサンの繰り返し単
位を有し、ポリアルキル(メタ)アクリレ−トゴム成分
のアルキル(メタ)アクリレ−トがn−ブチルアクリレ
−トであるものが好ましい。
【0028】本発明において用いられる複合ゴムとして
はポリオルガノシロキサンゴム成分1〜99重量%とポ
リアルキル(メタ)アクリレ−トゴム成分99〜1重量
%とが分離できないように相互に一体化した構造を有
し、且つポリオルガノシロキサンゴム成分とポリアルキ
ル(メタ)アクリレ-トゴム成分との合計量が100重量
%であるものが用いられる。
【0029】複合ゴムとしてポリオルガノシロキサンゴ
ム成分が99重量%を超えたものを用いると得られるグ
ラフト共重合体を成形した成形品に対する塗膜の密着強
度が低下し、また、ポリアルキル(メタ)アクリレ−ト
ゴム成分が99重量%を超えたものを用いると得られる
グラフト共重合体の耐衝撃性が低いものとなる。このた
め、本発明において用いる複合ゴムとしては複合ゴムを
構成する2種のゴム成分のいずれも1〜99重量%(た
だし、両ゴム成分の合計量は100重量%)の範囲にあ
ることが必要であり、好ましくはポリオルガノシロキサ
ンゴム成分が5〜80重量%、ポリアルキル(メタ)ア
クリレ−トゴム成分が95〜20重量%のものである。
【0030】本発明の構成成分としての複合ゴムは乳化
重合法で製造するのが好適であり、まず、ポリオルガノ
シロキサンゴムを乳化重合法で調製し、次にこのポリオ
ルガノシロキサンゴムラテックス存在下でアルキル(メ
タ)アクリレ−トゴム合成用の単量体を乳化重合するの
が好ましい。かくの如くして得られた複合ゴムは、エチ
レン性不飽和結合を有する単量体、特にビニル系単量体
とグラフト共重合可能である。
【0031】4.グラフト共重合体 本発明のポリオルガノシロキサン系グラフト共重合体
は、上記の複合ゴムに、エポキシ基含有ビニル系単量
体、又はエポキシ基含有ビニル系単量体を含むエチレン
性不飽和結合を有する単量体混合物をグラフト重合して
なるものである。ここにおいて、エポキシ基含有ビニル
系単量体を含むエチレン性不飽和結合を有する単量体混
合物は、2種以上のエポキシ基含有ビニル系単量体の単
量体混合物、又は1種以上のエポキシ基含有ビニル系単
量体と1種以上の他のエチレン性不飽和結合を有する単
量体との単量体混合物である。上記のグラフト共重合体
において、エポキシ基含有ビニル系単量体成分はグラフ
ト共重合体中に1〜30重量%好ましくは2〜30重量
%含まれるようにする。そして、エポキシ基含有ビニル
系単量体成分前記の量含まれるようにすれば、エポキ
シ基含有ビニル系単量体以外の他のエチレン性不飽和結
合を有する単量体を共にグラフト重合させても良い。
【0032】エポキシ基含有ビニル系単量体としては、
グリシジルメタクリレ−ト、グリシジルアクリレ−ト、
ビニルグリシジルエ−テル、アリルグリシジルエ−テ
ル、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレ−トのグリシ
ジルエ−テル、ポリアルキレングリコ−ル(メタ)アク
リレ−トのグリシジルエ−テル、グリシジルイタコネ−
トなどを例示することができ、これらは単独でまたは2
種以上組み合わせて用いられる。これらの中、グリシジ
ルメタクリレ−トがより好ましく用いられる。
【0033】エポキシ基含有ビニル系単量体と共重合可
能なエチレン性不飽和結合を有する単量体としては、ス
チレン、ハロゲン置換スチレン、α−メチルスチレン、
ビニルトルエン、ビニルピリジン等の芳香族アルケニル
化合物メチルメタクリレ−ト、2−エチルヘキシルメタ
クリレ−ト等のメタクリル酸エステル;メチルアクリレ
−ト、エチルアクリレ−ト、ブチルアクリレ−ト等のア
クリル酸エステル;アクリロニトリル、メタクリロニト
リル等のシアン化ビニル化合物を例示でき、これらは単
独でまたは2種以上組み合わせて用いられる。
【0034】グラフト共重合体において、グラフトされ
たエチレン性不飽和結合を有する単量体成分の割合は、
グラフト共重合体の重量を100%としたとき、5〜9
5重量%であることが好ましく、10〜90重量%であ
ることがより好ましく、さらに10〜50重量%が最も
好ましい。
【0035】また、本発明のポリオルガノシロキサン系
グラフト共重合体は、その平均粒子系が0.08〜0.
6μmの範囲にあることが好ましく、平均粒子径が0.
08μmより小さくなると十分な衝撃強度を得るのが困
難になり、0.6μmより大きくなると得られる共重合
体からの成形品の表面外観が悪化するおそれがある。こ
のような平均粒子径を有するポリオルガノシロキサン系
グラフト共重合体は上述の複合ゴムラテックス存在下
で、エポキシ基含有ビニル系単量体、又はエポキシ基含
有ビニル系単量体を含むエチレン性不飽和結合を有する
単量体混合物を一段または多段で乳化グラフト重合する
ことにより得ることができる。また、エポキシ基含有ビ
ニル系単量体を含むエチレン性不飽和結合を有する単量
体混合物として、エポキシ基含有ビニル系単量体に他の
エチレン性不飽和結合を有する単量体を含む単量体混合
物を用いて多段でグラフト重合する場合は、最終段でエ
ポキシ基含有ビニル系単量体を添加するのが好ましい。
【0036】なお、グラフト重合においてはグラフト共
重合体の枝にあたる成分(ここではエポキシ基含有ビニ
ル系単量体、又はエポキシ基含有ビニル系単量体を含む
エチレン性不飽和結合を有する単量体混合物)が幹成分
(ここでは複合ゴム)にグラフトせずに枝成分だけで単
独に重合して得られる所謂フリーポリマーも副生し、グ
ラフト共重合体とフリーポリマーの混合物として得られ
るが、本発明においてはこの両者を合わせてグラフト共
重合体という。
【0037】本発明のポリオルガノシロキサン系グラフ
ト共重合体は耐衝撃性、低温特性、耐侯性に優れ、更に
これを成形して塗装したとき、その塗膜の密着性は極め
て優れたものとなり、更に、接着剤としても有用でアル
ミニウムのような金属、木材、紙、ガラス等の接着、種
々の構造用ラミネ−ト製品の接着に使用することがで
き、特に芳香族系重合体成形品接着用の溶融型接着剤と
して有用である。この芳香族系重合体としては、ポリエ
チレンテレフタレ−ト、ポリブチレンテレフタレ−ト、
ポリエチレンテレフタレ−ト・イソフタレ−ト、ポリエ
チレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレ−ト、ポリ
フェニレンテレフタレ−ト、ビスフェノ−ルA・テレフ
タル酸重縮合体、ビスフェノ−ルA・テレフタル酸・イ
ソフタル酸共重縮合体などの芳香族系ポリエステルや、
置換または非置換ポリフェニレンオキシド、置換または
非置換ポリフェニレンサルファイドを例示できる。これ
らの中ではポリエチレンテレフタレ−ト、ポリブチレン
テレフタレ−ト、置換または非置換ポリフェニレンオキ
シド、置換または非置換ポリフェニレンサルファイドを
本発明のグラフト共重合体による好ましい接着対象とし
て挙げることができる。
【0038】
【実施例】以下に実施例を用いて本発明を更に詳しく説
明する。なお、各実施例、比較例において「部」及び
「%」は別に規定しない限りは重量部、重量%を表す。
また、塗膜の密着性は平板を成形し、その表面に2液型
アクリルウレタン塗料(トリレンジイソシアネ−トとア
クリルポリオ−ルとの反応物)を塗布し、乾燥後、塗装
面に1mm間隔で縦横11本づつの切り傷をつけて10
0個の碁盤目を作り、これにセロファン粘着テ−プを貼
り付け、テ−プを垂直方向に引きはがしたときの剥がれ
た塗膜の目数で塗膜の密着性を評価した。そして、剥が
れた塗膜の数が、10枚以下のものを◎、11〜20枚
のものを〇、21〜40枚のものを△、41枚以上のも
のを×とした。
【0039】アイゾット衝撃強度は、1/4”ノッチ付
き試片を用い、ASTMD 256に従って測定した。
耐侯性は、サンシャインウェザ−メ−タ−中で1000
時間暴露後、色調の変化を目視により評価し、変化のな
いものを〇、やや黄変したものを△、黄変したものを×
とした。平均粒子径は、準弾性光散乱法(MALVER
N SYSTEM 4600、測定温度25℃、散乱角
90°)によりラテックスを水で稀釈したものを試料液
として測定した。
【0040】実施例1 (ポリオルガノシロキサンラテックスの調製)テトラエ
トキシシラン2部、γ−メタクリロイルオキシプロピル
ジメトキシメチルシラン0.5部およびオクタメチルシ
クロテトラシロキサン97.5部を混合し、シロキサン
混合物100部を得た。ドデシルベンゼンスルホン酸ナ
トリウムおよびドデシルベンゼンスルホン酸それぞれ1
部を溶解した蒸留水200部に上記混合シロキサン10
0部を加え、ホモミキサ−を用いて10,000rpm
で予備撹拌した後、ホモジナイザ−を用い300Kg/
cm2の圧力で乳化させ、オルガノシロキサンラテック
スを得た。このラテックスをコンデンサ−及び撹拌翼を
備えたセパラブルフラスコに移し、撹拌混合しながら8
0℃で5時間加熱した後20℃で48時間放置し、その
後、水酸化ナトリウム水溶液でこのラテックスのpHを
7.0に中和することにより重合を完結させ、ポリオル
ガノシロキサンラテックス(ポリオルガノシロキサンラ
テックス−1という)を得た。得られたポリオルガノシ
ロキサンゴムへの転化率は89.7%であり、ポリオル
ガノシロキサンゴムの平均粒子径は0.16μmであっ
た。
【0041】(複合ゴムラテックスの調製)このポリオ
ルガノシロキサンラテックス−1を150部採取し、撹
拌器を備えたセパラブルフラスコに入れ、蒸留水185
部を加え、窒素置換した後50℃に昇温し、n−ブチル
アクリレ−ト45部、アリルメタアクリレ−ト0.9部
およびtert−ブチルヒドロパ−オキサイド0.10
8部の混合液を加え、30分間撹拌してこれらの成分を
ポリオルガノシロキサンゴム粒子中に浸透させた。次い
で硫酸第一鉄0.001部、エチレンジアミン四酢酸二
ナトリウム塩0.003部、ロンガリット0.108部
および蒸留水10部の混合液をこれに加え、ラジカル重
合を行った。その後内温70℃で2時間保持して重合を
完結させ複合ゴムラテックスを得た。ブチルアクリレ−
ト系ゴム成分の重合率は98.8%であった。
【0042】(グラフト共重合体の製造)この複合ゴム
ラテックスを40部採取し、これに蒸留水260部、ド
デシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.5部を加え、
グリシジルメタクリレ−ト10部、アクリロニトリル2
4部、スチレン56部およびtert−ブチルヒドロパ
−オキサイド0.216部の混合液を加え、窒素置換し
た後、50℃に昇温し、さらに硫酸第一鉄0.001
部、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム塩0.003
部、ロンガリット0.108部および蒸留水10部の混
合液をこれに加えラジカル重合を行った。その後、内温
70℃で4時間保持して複合ゴムへのグラフト重合を完
了した。グリシジルメタクリレ−ト、アクリロニトリル
及びスチレンの重合率は97.5%、グラフト重合体ラ
テックスの平均粒径は0.20μmであった。得られた
グラフト共重合体ラテックスを塩化カルシウム水溶液で
凝固後、瀘別、乾燥しポリオルガノシロキサン系グラフ
ト共重合体(以下S−1と称する)の乾粉を得た。
【0043】S−1をバレル温度230℃の押出機で押
出してペレットとした後、射出成形機(東芝機械(株)
製、IS−100)を用いシリンダ−温度230℃、金
型温度60℃で100mm×100mm×3mmの平板
を作成した。これらの板の表面をメタノ−ルで脱脂し、
アクリルウレタン系塗料で塗装し、塗膜の剥離試験を行
った。また同様の射出条件で衝撃強度評価用試験片を成
形し、耐衝撃性を評価した。その結果を表1に示す。
【0044】実施例2 複合ゴムラテックスにグラフト重合するモノマ−組成と
してグリシジルメタクリレ−ト10部、アクリロニトリ
ル24部、スチレン56部の代わりにグリシジルメタク
リレ−ト10部とスチレン80部の混合物を用いた以外
は実施例1と同様にして平均粒径0.20μmのポリオ
ルガノシロキサン系グラフト共重合体(以下S−2と称
する)を得た。このグラフト共重合体を実施例1と同様
にして評価した結果を表1に示す。
【0045】比較例1 実施例1に沿って得たポリオルガノシロキサンラテック
ス−1を33部採取し、これに蒸留水267部とドデシ
ルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.5部を加え、更
に、グリシジルメタクリレ−ト10部、アクリロニトリ
ル24部、スチレン56部及びtert−ブチルヒドロ
パ−オキサイド0.216部の混合液を加え、窒素置換
した後、50℃に昇温し、更に硫酸第1鉄0.001
部、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム塩0.003
部、ロンガリット0.108部及び蒸留水10部の混合
液をこれに加え、ラジカル重合を行った。その後、内温
70℃で4時間保持してポリオルガノシロキサンゴムへ
のグラフト重合を完了した。グリシジルメタクリレ−
ト、アクリロニトリル及びスチレンの重合率は96.3
%、グラフト重合体ラテックスの平均粒径0.21μm
であった。得られたグラフト共重合ラテックスを塩化カ
ルシウム水溶液で凝固後、瀘別、乾燥し、ポリオルガノ
シロキサン系グラフト共重合体(以下S−3と称する)
の乾粉を得た。実施例1と同様にしてS−3を評価した
結果を表1に示す。
【0046】実施例3 複合ゴムにグラフト重合するモノマ−組成としてグリシ
ジルメタクリレ−ト10部、アクリロニトリル24部、
スチレン56部の代わりにグリシジルメタクリレ−ト2
0部、アクリロニトリル21部、スチレン49部の混合
物を用いた以外は実施例1と同様にして平均粒径0.2
0μmのポリオルガノシロキサン系グラフト共重合体
(以下S−4と称する)を得た。このグラフト共重合体
を実施例1と同様にして評価した結果を表1に示す。
【0047】実施例4 複合ゴムへのグラフト共重合における複合ゴムラテック
ス採取量を80部、これに加える蒸留水の量を230
部、モノマ−組成としてグリシジルメタクリレ−ト10
部、アクリロニトリル21部とスチレン49部の混合物
を用いた以外は実施例1と同様にしてポリオルガノシロ
キサン系グラフト共重合体(以下S−5と称する)を
得、これを実施例1と同様にして評価した。その結果を
表1に示す。なお、グリシジルメタクリレ−ト、アクリ
ロニトリル、スチレンの重合率は98.1%、グラフト
共重合ラテックスの平均粒径は0.21μmであった。
【0048】実施例5 複合ゴムへのグラフト共重合における複合ゴムラテック
ス採取量を120部、これに加える蒸留水の量を200
部、モノマ−組成としてグリシジルメタクリレ−ト10
部、アクリロニトリル18部とスチレン42部の混合物
を用いた以外は実施例1と同様にしてポリオルガノシロ
キサン系グラフト共重合体(以下S−6と称する)を
得、これを実施例1と同様にして評価した。その結果を
表1に示す。なお、グリシジルメタクリレ−ト、アクリ
ロニトリル、スチレンの重合率は98.1%、グラフト
共重合体ラテックスの平均粒径は0.20μmであっ
た。
【0049】比較例2 実施例1で得たポリオルガノシロキサンラテックス−1
を99部採取し、これに蒸留水を218部、ドデシルベ
ンゼンスルホン酸ナトリウム0.5部を加え、グリシジ
ルメタクリレ−ト10部、アクリロニトリル18部とス
チレン42部及びtert−ブチルヒドロキシペルオキ
シド0.216部の混合液を仕込みこれらの成分をポリ
オルガノシロキサンゴム粒子中に浸透させ、窒素置換し
た後、50℃に昇温し、更に硫酸第1鉄0.001部、
エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム塩0.003部、
ロンガリット0.108部及び蒸留水10部の混合液を
加えポリオルガノシロキサンゴムへのグラフト重合を行
った。その後内温70℃で4時間保持してグラフト重合
を完結させてポリオルガノシロキサン系グラフト共重合
体のラテックスを得た。これを塩化カルシウム水溶液で
凝固後、瀘別、乾燥しポリオルガノシロキサン系グラフ
ト共重合体(以下S−7と称する)の乾粉を得た。これ
を実施例1と同様にして評価した。その結果を表1に示
す。なお、グリシジルメタクリレ−ト、アクリロニトリ
ル、スチレンの重合率は96.3%、グラフト共重合体
ラテックスの平均粒径は0.20μmであった。
【0050】実施例6 複合ゴムへのグラフト共重合における複合ゴムラテック
ス採取量を160部、これに加える蒸留水の量を170
部、モノマ−組成としてグリシジルメタクリレ−ト10
部、アクリロニトリル15部とスチレン35部の混合物
を用いた以外は実施例1と同様にしてポリオルガノシロ
キサン系グラフト共重合体(以下S−8と称する)を
得、これを実施例1と同様にして評価した。その結果を
表1に示す。なお、グリシジルメタクリレ−ト、アクリ
ロニトリル、スチレンの重合率は98.1%、グラフト
共重合体ラテックスの平均粒径は0.20μmであっ
た。
【0051】実施例7 複合ゴムへのグラフト共重合における複合ゴムラテック
ス採取量を200部、これに加える蒸留水の量を140
部、モノマ−組成としてグリシジルメタクリレ−ト10
部、アクリロニトリル12部とスチレン28部の混合物
を用いた以外は実施例1と同様にしてポリオルガノシロ
キサン系グラフト共重合体(以下S−9と称する)を
得、これを実施例1と同様にして評価した。その結果を
表1に示す。なお、グリシジルメタクリレ−ト、アクリ
ロニトリル、スチレンの重合率は97.8%、グラフト
共重合体ラテックスの平均粒径は0.18μmであっ
た。
【0052】実施例8 複合ゴムへのグラフト共重合における複合ゴムラテック
ス採取量を240部、これに加える蒸留水の量を110
部、モノマ−組成としてグリシジルメタクリレ−ト10
部、アクリロニトリル9部とスチレン21部の混合物を
用いた以外は実施例1と同様にしてポリオルガノシロキ
サン系グラフト共重合体(以下S−10と称する)を
得、これを実施例1と同様にして評価した。その結果を
表1に示す。なお、グリシジルメタクリレ−ト、アクリ
ロニトリル、スチレンの重合率は98.2%、グラフト
共重合体ラテックスの平均粒径は0.18μmであっ
た。
【0053】比較例3 実施例1と同様にして得たポリオルガノシロキサンラテ
ックス−1を200部採取し、これに蒸留水を150
部、ドデシルベンゼスルホン酸ナトリウム0.5部を加
え、グリシジルメタクリレ−ト10部、アクリロニトリ
ル9部とスチレン21部及びtert−ブチルヒドロキ
シペルオキシド0.15部の混合液を仕込みこれらの成
分をポリオルガノシロキサンゴム粒子中に浸透させ窒素
置換した後50℃に昇温し、更に硫酸第1鉄0.001
部、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム塩0.003
部、ロンガリット0.1部及び蒸留水10部の混合液を
加えポリオルガノシロキサンゴムへのグラフト重合を行
った。その後内温70℃で4時間保持してグラフト重合
を完結させてポリオルガノシロキサン系グラフト共重合
体のラテックスを得た。これを塩化カルシウム水溶液で
凝固後、瀘別、乾燥しポリオルガノシロキサン系グラフ
ト共重合体(以下S−11と称する)の乾粉を得た。こ
れを実施例1と同様にして評価した。その結果を表1に
示す。なお、グリシジルメタクリレ−ト、アクリロニト
リル、スチレンの重合率は96.5%、グラフト共重合
体ラテックスの平均粒径は0.21μmであった。
【0054】比較例4 複合ゴムラテックスにグラフト重合するモノマ−組成と
してグリシジルメタクリレ−ト10部、アクリロニトリ
ル24部、スチレン56部の代わりにアクリロニトリル
27部とスチレン63部の混合物を用いた以外は実施例
1と同様にしてポリオルガノシロキサン系グラフト共重
合体(以下S−12と称する)を得た。このグラフト共
重合体を実施例1と同様にして評価した結果を表1に示
す。
【0055】
【表1】
【0056】表1において、PDMSはポリジメチルシ
ロキサン、PBAはポリブチルアクリレ−ト、GMAは
グリシジルメタクリレ−ト、ANはアクリロニトリル、
Stはスチレンをそれぞれ示す。また、N.B.は破壊
しなかったことを示す。
【0057】実施例9 実施例1に沿って得た複合ゴムラテックスを290部採
取し、窒素置換した後、50℃に昇温し、硫酸第1鉄
0.00025部、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウ
ム0.00075部、ロンガリット0.025部及び蒸
留水10部の混合液を加え、これにグリシジルメタクリ
レ−ト10部とtert−ブチルヒドロパ−オキサイド
0.024部の混合液を30分かけて滴下し、内温70
℃で4時間保持して複合ゴムへのグラフト重合を行っ
た。得られたグラフト共重合体ラテックスを塩化カルシ
ウム水溶液で凝固後、瀘別、乾燥し、ポリオルガノシロ
キサン系グラフト共重合体(以下S−13と称する)の
乾粉を得た。グリシジルメタクリレ−トの重合率は9
8.5%、グラフト重合体ラテックスの平均粒径は0.
20μmであった。
【0058】このS−13を2枚のポリエチレンテレフ
タレ−トフィルム(東レ(株)製、商品名:ルミナ−、
膜厚100μm)ではさみ、200℃、10Kg/cm
2で10分間熱圧着し、中間層が20μmである3層シ
−トを作製した。このシ−トから幅10mmの試験片を
切取り、23℃および0℃で180度剥離することによ
り層間接着強度を測定した。その結果を表2に示す。
【0059】実施例10 実施例1に沿って得たポリオルガノシロキサンラテック
ス−1を210部採取し、これに加えた蒸留水の量を1
43部とし、n−ブチルアクリレ−トの添加量を27
部、アリルメタクリレ−トおよびtert−ブチルヒド
ロパ−オキサイドの添加量を各々0.454部及び0.
065部とし、硫酸第一鉄、エチレンジアミン四酢酸二
ナトリウム塩及びロンガリットの添加量を各々0.00
037部、0.00111部及び0.089部とした以
外は実施例1と同様にして複合ゴムラテックスを得、こ
のゴムラテックスにグリシジルメタクリレ−ト10部と
tert−ブチルヒドロパ−オキサイド0.024部の
混合液を30分かけて滴下し、内温70℃で4時間保持
し、複合ゴムへのグラフト重合を完了した。グリシジル
メタクリレ−トの重合率は98.1%、グラフト重合体
ラテックスの平均粒径0.20μmであった。得られた
グラフト共重合体ラテックスを塩化カルシウム水溶液で
凝固後、瀘別、乾燥し、ポリオルガノシロキサン系グラ
フト共重合体(以下S−14と称する)の乾粉を得た。
実施例9と同様にしてS−14を評価した結果を表2に
示す。
【0060】実施例11 ポリオルガノシロキサンラテックス−1の採取量を90
部、蒸留水の添加量を227部、n−ブチルアクリレ−
ト、アリルメタクリレ−トおよびtert−ブチルヒド
ロパ−オキサイドの添加量を各々63部、1.26部及
び0.151部、硫酸第一鉄、エチレンジアミン四酢酸
二ナトリウム塩及びロンガリットの添加量を各々0.0
0073部、0.0022部及び0.18部とした以外
は実施例10と同様にしてポリオルガノシロキサン系グ
ラフト共重合体(以下S−15という)の乾粉を得、実
施例9と同様にして評価した。その結果を表2に示す。
なお、グリシジルメタクリレ−トの重合率は97.2
%、グラフト重合体ラテックスの平均粒径0.21μm
であった。
【0061】実施例12 複合ゴムラテックスの採取量を360部とし、グリシジ
ルメタクリレ−ト10部の代わりにグリシジルメタクリ
レ−ト5部とブチルアクリレ−ト5部の混合物を用いた
以外は実施例9と同様にして複合ゴムへのグラフト重合
を行って、グラフト共重合体のラテックスを得、これを
塩化カルシウム水溶液で凝固後、瀘別乾燥し、ポリオル
ガノシロキサン系グラフト共重合体(以下S−16と称
する)の乾粉を得た。グリシジルメタクリレ−トとブチ
ルアクリレ−トの重合率は97.3%、グラフト重合体
ラテックスの平均粒径は0.20μmであった。S−1
6を実施例9と同様にして評価した結果を表2に示す。
【0062】実施例13 ブチルアクリレ−ト5部の代わりにメチルメタクリレ−
ト5部を用いた以外は実施例12と同様にしてグラフト
共重合体のラテックスを得、これを凝固、瀘別、乾燥し
てポリオルガノシロキサン系グラフト共重合体(S−1
7と称する)の乾粉を得、これを実施例9と同様にして
評価した。その結果を表2に示す。なお、グリシジルメ
タクリレ−トとメチルメタクリレ−トの重合率は97.
8%、グラフト重合体ラテックスの平均粒径は0.21
μmであった。
【0063】実施例14 複合ゴムラテックスの採取量を240部採取とし、グリ
シジルメタクリレ−ト10部の代わりにグリシジルメタ
クリレ−ト20部とブチルアクリレ−ト10部とメチル
メタクリレ−ト10部の混合物を用い、tert−ブチ
ルヒドロパ−オキサイドの添加量を0.096部とした
以外は実施例9と同様にして複合ゴムへのグラフト重合
を行って、グラフト共重合体のラテックスを得、これを
塩化カルシウム水溶液で凝固後、瀘別乾燥し、ポリオル
ガノシロキサン系グラフト共重合体(以下S−18と称
する)の乾粉を得た。グリシジルメタクリレ−ト、ブチ
ルアクリレ−トおよびメチルメタクリレ−トの重合率は
98.8%、グラフト重合体ラテックスの平均粒径は
0.21μmであった。これをを実施例9と同様にして
評価した結果を表2に示す。
【0064】実施例15 実施例5で得たポリオルガノシロキサン系グラフト共重
合体S−6を用いて実施例9と同様にして評価した結果
を表2に示す。
【0065】実施例16 実施例6で得たポリオルガノシロキサン系グラフト共重
合体S−8を用いて実施例9と同様にして評価した結果
を表2に示す。
【0066】実施例17 グリシジルメタクリレ−ト5部の代わりにグリシジルア
クリレ−ト5部を用いた以外は実施例13と同様にして
グラフト共重合体のラテックスを得、これを凝固、瀘
別、乾燥してポリオルガノシロキサン系グラフト共重合
体(S−19と称する)の乾粉を得た。グリシジルアク
リレ−トとメチルメタクリレ−トの重合率は97.2
%、グラフト共重合体ラテックスの平均粒径は0.21
μであった。これを実施例9と同様に評価した結果を表
2に示す。
【0067】実施例18 グリシジルメタクリレ−ト5部の代わりにジグリシジル
イタコネ−ト5部を用いた以外は実施例13と同様にし
てグラフト共重合体のラテックスを得、これを凝固、瀘
別、乾燥してポリオルガノシロキサン系グラフト共重合
体(S−20と称する)の乾粉を得た。ジグリシジルイ
タコネ−トとメチルメタクリレ−トの重合率は98.0
%、グラフト共重合体ラテックスの平均粒径は0.20
μであった。これを実施例9と同様にして評価した結果
を表2に示す。
【0068】比較例5 実施例1と同様にして得た複合ゴムラテックスを360
部採取し、メチルメタクリレ−ト10部とtert−ブ
チルヒドロパ−オキサイド0.024部の混合液を加
え、内温70℃で4時間保持して複合ゴムへのグラフト
重合を行った。メチルメタクリレ−トの重合率は98.
8%、グラフト重合体ラテックスの平均粒径は0.20
μmであった。得られたラテックスを塩化カルシウム水
溶液で凝固後、瀘別乾燥し、ポリオルガノシロキサン系
グラフト共重合体(S−21と称する)を乾粉として得
た。これを実施例9と同様にして評価した結果を表2に
示す。
【0069】比較例6 エチレン−グリシジルメタクリレ−ト共重合体(住友化
学工業(株)製、商品名ボンドファ−スト−E:S−2
2と称する)を用いて実施例9と同様にして3層積層シ
−トを作成し、同様に評価した。その結果を表2に示
す。
【0070】
【表2】
【0071】
【発明の効果】本発明のポリオルガノシロキサン系グラ
フト共重合体は、耐衝撃性、低温特性、耐候性に優れ、
更にその成形品には塗膜の密着強度が極めて優れた塗装
を施すことができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C08F 285/00 C08F 283/12 C08F 291/02

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ポリオルガノシロキサンゴムとポリアルキ
    ル(メタ)アクリレートゴムが相互に分離不可能に一体
    化してなる複合ゴムに、エポキシ基含有ビニル系単量
    体、又はエポキシ基含有ビニル系単量体を含むエチレン
    性不飽和結合を有する単量体混合物がグラフト重合した
    グラフト共重合体であって、該グラフト共重合体全体に
    占めるエポキシ基含有ビニル系単量体成分の比率が1〜
    30重量%であることを特徴とするポリオルガノシロキ
    サン系グラフト共重合体。
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