JP2775203B2 - 吸収促進組成物 - Google Patents

吸収促進組成物

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JP2775203B2 JP3135422A JP13542291A JP2775203B2 JP 2775203 B2 JP2775203 B2 JP 2775203B2 JP 3135422 A JP3135422 A JP 3135422A JP 13542291 A JP13542291 A JP 13542291A JP 2775203 B2 JP2775203 B2 JP 2775203B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は酢酸エステル類、低級ア
ルコールおよび極性溶媒を必須成分とする吸収促進組成
物並びにそれに薬物を含有した吸収促進組成物に関す
る。又、これらの組成物は経皮投与を目的とする外用製
剤として適用されるものである。
【0002】
【従来の技術】従来、経皮吸収型製剤は、経口投与が
困難な患者への投与方法として有用である。経口投与
などに見られるような肝臓の初回通過効果等を回避しや
すい。薬物の吸収速度のコントロ−ルが容易であり、
持続的な投与あるいは過剰投与による副作用の防止が可
能である。疾患部位に対し局所的にあるいは全身的に
薬物を作用させることが可能である。等の利点があるこ
とから、近年その開発が注目されるようになってきた。
しかし、正常な皮膚は外界からの刺激に対する保護作用
を有するため、薬物の吸収、透過は比較的困難なものと
なっている。従って、薬物単独あるいは軟膏、クリー
ム、ゲル、または貼付剤の剤型で投与しても、目的とす
る薬効を十分に発現するために必要な薬物の皮膚透過量
を得ることは困難である。従って、薬物の吸収を高める
ために種々の方法が試みられている。その中の一つとし
て、アルコールと水の2成分からなる組成が知られてお
り、アルコールの皮膚への作用に着眼し薬物の吸収、透
過を促進させる方法が検討されている。例えば Journal
of Controlled Release, 12, 103-112 (1990)において
は,種々のアルコールの経皮吸収促進効果について報告
している。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、アルコ
ールと水だけの2成分系では薬物の透過量が十分とは言
い難く、期待する薬理効果を発現するには至らないのが
現状である。また,薬物の皮膚透過性を向上させるため
にアルコール濃度を高くし過ぎると、皮膚への脱脂作用
により刺激性が非常に強く現れる。そこで本発明者ら
は、経皮投与を目的とし、皮膚に対する薬物の吸収およ
び透過を大幅に改善する吸収促進組成物を提供すること
にある。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、薬物の皮
膚透過性を増強させるために、アルコールと極性溶媒の
2成分系に酢酸エステル類を添加した3成分系とするこ
とで前記問題を解決した。より具体的には、アルコール
と極性溶媒の2成分系のみ又は酢酸エステル類単独では
薬物の皮膚透過性を大きく促進することはないが、これ
らの溶媒が3成分系として組み合わされて使用された場
合には薬物の皮膚透過性が著しく促進されることを見出
したのである。本発明のアルコール、極性溶媒及び酢酸
エステル類の3成分系、及び薬物よりなる吸収促進組成
物、並びにその配合処方は全く文献未載の新規知見であ
り、本発明者らによって初めて見出されたものである。
【0005】次に本発明の各成分について具体的に説明
する。本発明で用いられる酢酸エステル類としては、例
えば酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸イソプロピル、酢
酸アリル、酢酸イソプロペニル、酢酸ブチル、酢酸イソ
ブチル、酢酸sec.−ブチル、酢酸tert. −ブチル、酢酸
アミル、酢酸イソアミル、酢酸sec.−アミル、酢酸ter
t. −アミル、酢酸ヘキシル、酢酸シクロヘキシル、酢
酸フェニル、酢酸クレシル、酢酸オクチル、酢酸イソオ
クチル、酢酸ベンジル、酢酸2−エチルヘキシル、酢酸
フェネチル、酢酸ノニル、酢酸デシル、酢酸テルピニ
ル、酢酸ゲラニル、酢酸シトロネリル、酢酸シンナミ
ル、酢酸リナリル等が挙げられ、組成中に0.01〜90重量
部、好ましくは 0.1〜50重量部配合される。
【0005】低級アルコールとしては、炭素数が2から
4のものが好ましく、例えばエタノール、プロパノー
ル、イソプロピルアルコール、ブタノール等があげら
れ、組成中に5〜50重量部配合され、好ましくは5〜30
重量部配合される。
【0006】極性溶媒としては、エチレングリコール、
プロピレングリコール、グリセリン等のグリコール類、
又は緩衝液、又は水等を単独又は併用して用いることが
でき、組成中に5〜95重量部含めることができ、好まし
くは20〜90重量部配合される。
【0007】本発明で用いられる薬物は、皮膚浸透性あ
るいは透過性が低いためにその増強を必要とするもので
あれば特に限定はなく、例えば、非麻薬性鎮痛剤、麻薬
性鎮痛剤、抗生物質、化学療法剤、静菌剤、殺菌剤、消
毒剤、抗真菌剤、非ステロイド系抗炎症剤、ステロイド
系抗炎症剤、抗癌剤、向精神剤、局所麻酔剤、抗パーキ
ンソン病剤、性ホルモン剤、抗発汗剤、サンスクリーン
剤、抗アレルギー剤、抗不整脈剤、抗高血圧剤、血管拡
張剤、血管補強剤、筋弛緩剤、制吐剤、乾癬治療剤、皮
膚軟化剤、皮膚緩和剤、プロスタグランジン剤、脂溶性
ビタミン剤、酵素剤、ペプチドホルモン類、糖尿病治療
剤、多糖類、動植物抽出エキス類、菌体エキス類、等が
挙げられる。
【0008】また、これらの3成分系から成る皮膚透過
組成物に、第4成分として薬物の溶解性を向上させるよ
うな溶解補助剤を添加することにより、さらに薬物の皮
膚透過、浸透を促進することもできる。
【0009】本発明の皮膚透過組成物が適用できる剤型
としては、例えば、クリーム剤、ゲル剤、エアゾール
剤、リニメント剤、湿布剤、貼付剤等の種々の剤型が考
えられる。まずクリーム剤について説明する。クリーム
剤は、例えば酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸シクロヘキ
シル等の酢酸エステルとエタノール、イソプロピルアル
コール、ブタノール等の低級アルコール、及び水、緩衝
液、グリセリン等の極性溶媒、乳剤型基剤としてミリス
チン酸エステル等の高級脂肪酸エステル類、セタノール
等の高級アルコール類、乳化剤としてコレステロール、
アラビアゴム等の天然型乳化剤、ポリエチレングリコー
ル型界面活性剤、多価アルコール型界面活性剤等の合成
乳化剤より選択される基剤に展延性を改善するために流
動パラフィン、イソプロピルミリステート、ヘキサデシ
ルアルコール、あるいはスクアレン、保湿剤としてプロ
ピレングリコール、グリセリン、あるいはソルビトー
ル、防腐剤としてパラオキシ安息香酸エステル類、又製
状にあわせて白色ワセリン等が必要に応じ配合され、生
理活性物質を配合することで乳剤を調製することができ
る。
【0010】次にクリーム剤の具体的な処方例を記す。 酢酸エステル類 20 重量部以下 低級アルコール 20 重量部以下 水 80 重量部以下 高級脂肪酸エステル 25 重量部以下 高級アルコール 20 重量部以下 乳化剤 10 重量部以下 保存剤 0.5重量部以下 薬物 適量 先ず、高級脂肪酸エステル、酢酸エステル、高級アルコ
ール、乳化剤を混合し、50〜100 ℃に加熱融解し、薬物
を水と低級アルコールの混合物に溶解若しくは懸濁した
後に加えることによりクリーム剤を得ることができる。
【0011】次にゲル剤について述べる。ゲル剤は酢酸
エステル(例えば酢酸ブチル、酢酸シクロヘキシル
等)、低級アルコール(例えばエタノール、イソプロピ
ルアルコール等)、極性溶媒(例えば水、緩衝液、グリ
セリン等)、ゲル化剤(例えばカルボキシメチルセルロ
ース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロー
ス、カルボキシビニルポリマー、ポリビニルアルコー
ル、ポリアクリル酸等)、中和剤(例えばトリエタノー
ルアミン、水酸化ナトリウム、ジイソプロパノールアミ
ン等)から選択された基剤を適量配合し、必要に応じ防
腐剤、保湿剤等を配合し、さらに薬物を配合することが
できる。尚、薬物が難溶性のである場合可溶化剤として
脂肪酸エステル類、界面活性剤などを配合し調製するこ
とができる。
【0012】次にゲル剤の処方例を記す。 酢酸エステル類 20 重量部以下 低級アルコ−ル 40 重量部以下 水 80 重量部以下 保湿剤 40 重量部以下 ゲル化剤 10 重量部以下 中和剤 適量 薬物 適量 先ず水にゲル化剤を添加して充分攪拌し、更に低級アル
コール及び酢酸エステルを加える。これとは別に薬物を
溶解剤に溶解又は懸濁したものを調製し、これを前述の
溶液に加え、更に中和剤を適量加えゲル剤を得る。尚、
上記製造方法は一例にしかすぎず配合順序の一部変更等
は可能である。
【0013】次にエアゾール剤について説明する。エア
ゾール剤は酢酸エステル(例えば酢酸ブチル、酢酸シク
ロヘキシル等)20重量部以下、低級アルコール(例えば
エタノール、イソプロピルアルコール、ブタノール等)
80重量部以下、極性溶媒(例えば水、緩衝液、グリセリ
ン等)80重量部以下、分散剤として界面活性剤5重量部
以下、薬物適量、更に必要により防腐剤5重量部以下、
溶解剤としてプロピレングリコール30重量部以下、ジメ
チルエーテル40重量部以下、LPGを40重量部以下で加
圧下、エアゾール容器に充填することで得ることができ
る。
【0014】次にリニメント剤について説明する。リニ
メント剤は酢酸ブチル、酢酸シクロヘキシル等の酢酸エ
ステル20重量部以下、エタノール、イソプロピルアルコ
ール、ブタノール等の低級アルコール80重量部以下、
水、緩衝液、グリセリン等の極性溶媒80重量部以下、公
知の基剤である脂肪酸エステル類、高級脂肪酸、アラビ
アゴム、あるいはトラガント50重量部以下、更に必要に
応じて防腐剤5重量部以下を配合し、これに薬物を添加
することにより得られる。
【0015】次に湿布剤について説明する。湿布剤は、
酢酸ブチル、酢酸シクロヘキシル等の酢酸エステル、エ
タノール、イソプロピルアルコール、ブタノール等の低
級アルコール、水、緩衝液、グリセリン等の極性溶媒、
粘着剤としてポリアクリル酸ナトリウム、ポリアクリル
酸、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポ
リエチレンオキシド、ポリビニルメタアクリレート等の
合成水溶性高分子、アラビアゴム、デンプン、ゼラチ
ン、ゼラチン誘導体、メチルセルロース、ヒドロキシプ
ロピルセルロース、アルギン酸、アルギン酸アンモニウ
ム、カルボキシメチルセルロースナトリウム等の天然合
成高分子、浸潤剤として例えばグリセリン、プロピレン
グリコール、ソルビトール、ポリエチレングリコール、
充填剤として例えばカオリン、酸化亜鉛、タルク、酸化
チタン、ベントナイト、シリカ、溶解補助剤として例え
ば炭酸プロピレン、クロタミトン、アジピン酸ジイソプ
ロピル、ハッカ油、ツバキ油、オリーブ油、サフラワー
油、ゴマ油、肝油、牛脂、硬化油、オレンジ油、豚油、
ヤシ油、ユーカリ油、ラッカセイ油、流動パラフィン、
粘着付与剤として例えばロジン、ロジン誘導体、ポリブ
テン、ポリアクリレート、ポリメタクリレートポリマ
ー、ポリ酢酸ビニル等から選択される基剤に、必要に応
じて保存剤を配合し、更に薬物を適量配合することによ
り調製される。
【0016】次に湿布剤の処方例を記す. 酢酸エステル 20 重量部以下 低級アルコ−ル 30 重量部以下 水 95 重量部以下 増粘剤 20 重量部以下 湿潤剤 40 重量部以下 溶解補助剤 8 重量部以下 充填剤 50 重量部以下 粘着付与剤 20 重量部以下 薬物 適量 酢酸エステル、低級アルコール、増粘剤、湿潤剤を適量
秤量して均一になるように充分混和した後、水、溶解補
助剤、充填剤、粘着付与剤、薬物、その他を添加し均一
な練合物を調製する。この練合物を布、不織布、あるい
はその他の支持体に展延し、ポリエチレン、ポリプロピ
レン、塩化ビニル、あるいはシリコン加工紙等の剥離被
覆物により被覆することで湿布剤が得られる。
【0017】次に貼付剤について述べる。酢酸ブチル、
酢酸シクロヘキシル等の酢酸エステル、エタノール、イ
ソプロピルアルコール、ブタノール等の低級アルコー
ル、水、緩衝液、グリセリン等の極性溶媒、流動パラフ
ィン、アーモンド油、オリーブ油、ツバキ油、バーシッ
ク油、ラッカセイ油、オレイン酸等の油脂又は高級脂肪
酸、ロジン、ロジン変性マレイン酸、水添ロジンエステ
ル等の粘着付与剤、アクリル酸エステル、酢酸ビニル、
シリコン、ポリイソブチレンゴム、天然ゴム、スチレン
−イソプレン−スチレン共重合体等の高分子基剤、から
選択される混合物に更に必要に応じて保存剤等を添加
し、薬物を配合後、ポリプロピレン、ポリエステル、不
織布等の支持体に展延し剥離被覆剤を被覆することによ
り貼付剤を調製することができる。
【0018】尚,上記製造方法は一例にしかすぎず、配
合順序等の一部変更などは可能である。また、上記ゲル
剤、クリーム剤、リニメント剤、貼付剤等の組成を用
い、多孔膜あるいは高分子膜等の放出制御膜を皮膚接触
部位に設けることによりリザーバー型貼付剤を調製する
ことができる。
【0019】
【実施例】以下、本発明を実施例によりさらに具体的に
説明するが、勿論、本発明はこれらの実施例にのみ限定
されるものではない。実施例を表1に示す。
【0020】
【表1】
【0021】試験例(皮膚透過試験) 雄性ヘアレスラット(体重 130〜160 g)の腹部より皮
膚を摘出し、2チャンバー拡散セルに固定した。セルの
真皮側に生理食塩水 2.7ml、角質層側に表1に示す実施
例、比較例に従い塩酸モルヒネ懸濁液 2.7mlをそれぞれ
加えて調製した。例えば実施例1ではエタノール2g、
水 7.5g酢酸ブチル 0.5gをよく混和し、この溶液に塩
酸モルヒネ 1.5gを加え、その後、この塩酸モルヒネ懸
濁液を37℃で一晩インキュベートすることにより調製を
行った。又、循環型ウォーターバスにより37℃に保ち、
真皮側の生理食塩水 1.0mlを経時的にサンプリングし、
真皮側には新たに生理食塩水を 1.0ml加え容積を一定に
保った。塩酸モルヒネの定量は、常法に従い液体クロマ
トグラフィーにより行なった。試験結果を表2に示す。
【0022】
【表2】
【0023】
【作用】表2から明らかなように、酢酸エステルを添加
した場合、実験開始後8時間における累積皮膚透過量
は、比較例1に対して実施例1ではその約 110倍,実施
例3では約 150倍にまで増加した。実施例8では約 100
倍にまで増加されることが判明した。すなわち、本発明
の組成物は皮膚に対して顕著な吸収促進作用を有するも
のである
【0024】
【発明の効果】本発明の酢酸エステル類、低級アルコー
ルおよび極性溶媒を必須成分とする組成物は難吸収性の
薬物を皮膚に対して著しく吸収促進させる作用を有する
ため、経皮吸収性製剤としての応用が可能であり、今ま
で実用化されなかった経皮吸収型の製剤開発の進展に大
きく貢献するものと考えられ、医薬産業上大変有用であ
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) A61K 47/14

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一般式 CH3COOR(式中、Rは炭素数1〜
    10のアルキル基を意味する)で表わされる酢酸エステル
    類、低級アルコールおよび極性溶媒を必須成分とする吸
    収促進組成物。
  2. 【請求項2】 一般式 CH3COOR(式中、Rは炭素数1〜
    10のアルキル基を意味する)で表わされる酢酸エステル
    類、低級アルコール、極性溶媒および薬物を含有する吸
    収促進組成物。
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