JP2775148B2 - 靴 - Google Patents

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JP2775148B2
JP2775148B2 JP30993695A JP30993695A JP2775148B2 JP 2775148 B2 JP2775148 B2 JP 2775148B2 JP 30993695 A JP30993695 A JP 30993695A JP 30993695 A JP30993695 A JP 30993695A JP 2775148 B2 JP2775148 B2 JP 2775148B2
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  • Footwear And Its Accessory, Manufacturing Method And Apparatuses (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、甲皮の一部をプラ
スチックで成形すると共に、この甲皮に皮革等のシート
材を縫着して装飾している靴に関する。
【0002】
【従来の技術】甲皮の一部ないしほぼ全体をプラスチッ
クで成形した靴は開発されている。この靴は、甲皮と底
を、塩化ビニルやウレタン等の軟質のプラスチックで一
体的に成形している。この靴は、甲皮を立体的に足に沿
う形状に成形でき、しかも皮革に比べて伸縮性と柔軟性
とにすぐれるので、履いた最初から運動靴のように快適
に足にフィットする特長がある。この靴は、甲皮の全体
をプラスチックで成形するのではなくて、甲皮の一部
に、天然皮革や合成皮革等の装飾甲皮を縫着することに
よって、美しくて高級なデザインにできる特長もある。
また、図1に示すように、甲皮の足先部の上面、すなわ
ち、上甲皮に装飾甲皮2を縫着することにより、底と一
体的に成形された成形甲皮1を、金型である中子から簡
単に外すことができる特長も実現される。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】この構造の靴は、図2
の断面図で示すように、成形甲皮1に装飾甲皮2を縫着
して簡単に製造できる。この図の靴は、成形甲皮1を成
形するときに、装飾甲皮2を縫着する段差部9を設けて
いる。成形甲皮1の段差部9にはめこむ形状に装飾甲皮
2を裁断し、装飾甲皮2を成形甲皮1に縫着している。
この構造は、簡単に縫着できる特長はあるが、装飾甲皮
2の切断部10を綺麗に仕上げるのが難しい。切断部1
0が成形甲皮1と装飾甲皮2の境界に表出されるからで
ある。さらに、この構造の靴は、成形甲皮1を厚く成形
する必要があって、縫着部4を柔軟にして履き心地のよ
い靴とするのが難しい欠点もある。
【0004】装飾甲皮の縫着部を美しく仕上げるには、
図3に示すように、装飾甲皮2と成形甲皮1を内側に折
り返して縫着すればよい。この構造にすると、装飾甲皮
2の裁断面が外部に表出しなくなる。このため、縫着部
4の外観を綺麗に仕上げられる。しかしながら、この構
造の靴は、成形甲皮1と装飾甲皮2の両方を、甲皮の内
側に折曲するので、縫着部4の甲皮が内側に突出し、突
出部11が足の表面を突いて履き心地を悪くする欠点が
ある。縫着部4の幅を狭くすると、甲皮内面への突出量
を少なくできるが、縫着部4の強度が弱くなって、この
部分が破損しやすくなる欠点がある。このため、履き心
地を良くして、甲皮の縫着部が破損しないようにするの
が難しい欠点がある。
【0005】本発明は、さらにこの欠点を解決すること
を目的に開発されたものである。本発明の重要な目的
は、快適な履き心地にできると共に、甲皮の縫着の強度
を強靱にできる靴を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、軟質のプラス
チックで甲皮の一部ないしほぼ全体が立体的な形状に成
形されている靴を改良したものである。靴は、立体的に
成形された成形甲皮1に、裁断された装飾甲皮2を縫着
して、成形甲皮1と装飾甲皮2とで甲皮を構成してい
る。さらに、本発明の靴は、成形甲皮1と装飾甲皮2の
縫着部4が下記の全ての構成を有することを特徴として
いる。 (a) 成形甲皮1は、装飾甲皮2を縫着する部分に縫
着片1Aを有する。 (b) 縫着片1Aは成形甲皮1に一体的に成形されて
いる。 (c) 縫着片1Aと成形甲皮1の内面には、プラスチ
ックで成形甲皮1と縫着片1Aとを成形するときに裏地
3をインサートしている。 (d) 裏地3は、クッション性を有するシート材であ
る。 (e) 装飾甲皮2は、縫着部4で内側にU曲されてお
り、このU曲された折曲片2Aが、ほとんど折曲されな
い縫着片1Aの表面側に位置されて、装飾甲皮2が成形
甲皮1に縫着されており、成形甲皮1の縫着片1AがU
曲されている折曲片の内側を被覆している。
【0007】本発明の靴は、図4の断面図に示すよう
に、装飾甲皮2を折り返して、縫着片1Aの上面に位置
させて縫着している。この構造の靴は、装飾甲皮2の折
り返し部分を、成形甲皮1の縫着片1Aで被覆できる。
縫着片1Aは、成形甲皮1と一体的に成形されるとき
に、柔軟でクッション性のある裏地3をインサートして
いるので、足にソフトな感触で接触する。この裏地3
は、縫着部4を覆って、足と装飾甲皮2との間にあっ
て、縫着部4を極めて快適に足に接触させる。さらに、
縫着片1Aは成形甲皮1を成形するときに一体的に成形
されるので、足の感触を快適にするために、特別に成形
する必要がない。さらに、縫着片1Aの内面に設けられ
るクッション性のある裏地3も、成形甲皮1を成形する
ときに成形甲皮1にインサートされる裏地3を使用する
ので、特別に成形する必要がない。このため、本発明の
靴は、簡単かつ安価に多量生産して、足へのフィット感
を快適にできる特長がある。
【0008】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施例を図面に基
づいて説明する。ただし、以下に示す実施例は、本発明
の技術思想を具体化するための靴を例示するものであっ
て、本発明は靴を下記のものに特定しない。
【0009】さらに、この明細書は、特許請求の範囲を
理解し易いように、実施例に示される部材に対応する番
号を、「特許請求の範囲の欄」、および「課題を解決す
るための手段の欄」に示される部材に付記している。た
だ、特許請求の範囲に示される部材を、実施例の部材に
特定するものでは決してない。
【0010】図9に示す靴は、足先部の上面を除く甲皮
のほぼ全体をプラスチックで成形して、成形甲皮1と
し、足先部の上面にプラスチックで成形されない装飾甲
皮2を縫着して綺麗に仕上げている。成形甲皮1の成形
に使用されるプラスチックは、軟質のプラスチックであ
る。このプラスチックとしては、軟質塩化ビニル樹脂と
軟質ウレタン樹脂を単独で、あるいはこれ等を混合した
ものが最適である。プラスチックには天然ゴムを添加す
ることもできる。一体成形される成形甲皮1の表面は、
天然皮革の表面模様と同じ立体模様に成形される。プラ
スチックで成形されない装飾甲皮2には、天然あるいは
合成皮革、布地等のシート材が使用される。
【0011】図4は、成形甲皮1と装飾甲皮2の縫着部
4の断面図である。この図に示すように、成形甲皮1
は、装飾甲皮2と縫着される部分に縫着片1Aを備え、
装飾甲皮2は、成形甲皮1と縫着される部分に折曲片2
Aを備える。折曲片2Aは、内側にU曲して折り返さ
れ、縫着片1Aの上面に位置されている。縫着片1Aと
折曲片2Aは、この状態で縫着され、成形甲皮1と装飾
甲皮2は固定される。
【0012】成形甲皮1は、内面に裏地3がインサート
される。裏地3は、成形甲皮1を一体成形するときに、
成形甲皮1にインサートされる。成形甲皮1の内面にイ
ンサートされる裏地3は、縫着片1Aの内面まで延長し
てインサートされる。縫着片1Aの内面に延長される裏
地3は、さらに縫着片1Aから突出して延長される。こ
の構造は、成形甲皮1を成形するときに、内面に裏地3
を設け、さらに、縫着片1Aの内面を裏地3で被覆でき
る。裏地3は、足に接触する感触の良い布地が最適であ
る。裏地3は、繊維を編組した布地、あるいは繊維を立
体的に集合して交点で結合した不織布、さらに、軟質の
プラスチックフォームに布地や不織布を積層して接続し
たシート材が使用される。
【0013】裏地3は、好ましくは、押圧すると弾性的
に押し潰されて薄くなる弾性シートが最適である。弾性
シートは、図示しないが、連続気泡のプラスチックフォ
ームや不織布であるクッション材の両側に布地や不織布
等のシート材を接着して積層している。クッション材で
あるプラスチックフォームには、ウレタンフォーム、軟
質ポリ塩化ビニルフォーム、ポリエチレンフォーム、エ
チレン酢酸ビニルフォーム等が使用できる。クッション
材は、成形甲皮との境界部分に内側シートを接着してい
る。内側シートは、布地や不織布で、網目を粗くし、あ
るいは、ここに凹凸を設け、プラスチックで成形された
成形甲皮や縫着片と強固に接着する。さらに、クッショ
ン材は、足に接触する表面に布地や不織布等の表面シー
トを接着して肌触りを快適にする。
【0014】さらに、成形甲皮1の縫着片1Aは、好ま
しくは、厚さを装飾甲皮2の折曲片2Aよりも厚くす
る。たとえば、成形甲皮は、縫着片の厚さを、1.5m
m〜3mm、好ましくは、約2mmとし、装飾甲皮は、
折曲片の厚さを、0.8〜1.5mm、好ましくは約1
mmとする。成形甲皮1の縫着片1Aを、装飾甲皮2の
折曲片2Aよりも厚くすると、折り返された折曲片2A
を縫着片1Aに縫着したとき、縫着片1Aは、ほとんど
曲がらずに折曲片2AをU曲した状態に保持できる。こ
の状態に保持される縫着部4は、折曲片2Aおよび縫着
片1Aが内側に突出することがない。内側に突出しない
折曲片2Aや縫着片1Aは、足の表面を突くことがな
く、履き心地を良くすることができる。
【0015】装飾甲皮2は、天然あるいは合成皮革、布
地等のシート材を、甲皮の足先部の上面の形に裁断した
ものである。装飾甲皮2は、成形甲皮1と縫着される外
周部分を内側に折り曲げて折曲片2Aとしている。さら
に、図4に示す装飾甲皮2は、内面に裏地7を有する。
この裏地7は、成形甲皮1の内面にインサートされる裏
地3と、同じ材質のものが使用できる。裏地7は、接着
あるいは、縫着によって、装飾甲皮2に固定される。内
面に裏地7を有する装飾甲皮2は、さらに履き心地を快
適にすることができる。
【0016】また、装飾甲皮2は、縫着部4のやや外側
に、装飾部材8を縫着している。この部分に縫着される
装飾部材8は、成形甲皮1と装飾甲皮2の縫着部4を綺
麗に仕上げることができる。装飾部材8は、たとえば、
薄くて平らで、細長い天然皮革や合成皮革等が使用でき
る。装飾部材8は、その両脇を内側に巻き込み紐状とし
ている。装飾部材8は、そのほぼ中央を、装飾甲皮2に
縫着して固定される。装飾部材8は、成形甲皮1と装飾
甲皮2が縫着される前に、装飾甲皮2の所定の位置に縫
着される。
【0017】さらに図4に示す縫着片1Aと折曲片2A
は、縫着部4の対向する位置に、貫通孔であるモカ孔5
を設けている。モカ孔5は、縫着片1Aと折曲片2Aを
縫着するときに、モカ糸6を通す孔であり、一定の間隔
で設けられている。縫着片1Aのモカ孔5は、成形甲皮
1をプラスチックで成形するときに、金型により設けら
れ、折曲片2Aのモカ孔は、装飾甲皮2を裁断したのち
穿設される。縫着片に設けるモカ孔は、成形甲皮をプラ
スチックで成形したのち穿設することもできる。このモ
カ孔5にモカ糸6を通して縫着片1Aと折曲片2Aを縫
着する。図で示すように、縫着部4は、外部からは見え
ない。したがって、モカ糸6には、太くて丈夫な糸を使
用できる。太くて丈夫な糸は、成形甲皮1と装飾甲皮2
をより強固に縫着できる。
【0018】上記の構造を持つ成形甲皮と装飾甲皮は、
次のようにして縫着される。 図5に示すように、最初に通すモカ孔5の近傍で、
装飾甲皮2で隠れる位置へ針を突いて糸を通し、裏側か
ら、最初のモカ孔5へ、針を出す。 図6のように装飾甲皮2を通した後、成形甲皮1の
元のモカ孔5へ戻す。 図7のように成形甲皮1を通した後、隣のモカ孔5
から針を出し、装飾甲皮2の元のモカ孔5へ戻す。外か
ら、モカ糸6が見えない用に注意しながら、装飾甲皮2
の折曲片2Aを、うまく折り込みながら縫う。 図8に示すように、〜の工程を繰り返しながら
モカ縫いをしてゆく。 同じ調子でモカ縫いを続けて、図9に示すように最
後のモカ孔5へ通す。 最後に通したモカ孔5の近傍で、装飾甲皮2に隠れ
る位置へ針を出してくる。図10のように、最後のモカ
孔5で2本通っているモカ糸6の内の1本を柱にして、
これに結びつける。 結び目を付けた後、見えないようにはさみで切り、
始末する。
【0019】上記のようにして縫着される成形甲皮1と
装飾甲皮2は、縫着するモカ糸6が外から見えない。し
たがって、縫着部4を綺麗に仕上げることができる。た
だ、本発明の靴は、成形甲皮と装飾甲皮の縫着方法を上
記の方法に限定しない。成形甲皮と装飾甲皮は、図示し
ないが、縫着片と折曲片を密着させた状態で、内面と外
面を突き抜けて縫着することもできる。このとき、縫着
部の縫い目は、外から見えるので、装飾部を綺麗に見せ
る糸を使用する。また、このときは、縫着片と折曲片に
モカ孔を設ける必要はない。
【0020】
【発明の効果】本発明の靴は、簡単かつ容易に、成形甲
皮と装飾甲皮の縫着部の縫着の強度を、強靱にできると
共に、履き心地を快適にすることができる特長がある。
それは、本発明の靴が、装飾甲皮の成形甲皮を縫着する
部分に、内側にU曲される折曲片を有し、成形甲皮の装
飾甲皮を縫着する部分に、成形甲皮に一体的に成形され
ている縫着片を有すると共に、成形甲皮と縫着片の内面
には、成形甲皮と縫着片をプラスチックで成形するとき
に裏地をインサートしているからである。この構造の靴
は、装飾甲皮の折曲片を成形甲皮の縫着片の上面に位置
させて、装飾甲皮と成形甲皮を縫着する。これらの縫着
片と折曲片は、縫着するのに十分な幅を有するので、太
くて丈夫な糸を用いて装飾甲皮と成形甲皮を強く縫着で
きると同時に、縫着部を綺麗に仕上げることができる特
長がある。
【0021】さらに、本発明の靴は、装飾甲皮の折り返
した折曲片を、成形甲皮の縫着片で被覆できる。また、
成形甲皮と縫着片は、一体成形するときに、柔軟でクッ
ション性のある裏地をインサートしている。したがっ
て、縫着部を覆う裏地が、足と装飾甲皮との間にあり、
縫着部を極めて快適に足に接触させることができる。さ
らに、縫着部を覆う裏地は、成形甲皮を成形するときに
成形甲皮にインサートされる裏地を使用するので、特別
に成形する必要がない。このため、本発明の靴は、簡単
かつ安価に多量生産して、足へのフィット感を快適にで
きる特長がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来の靴を示す側面図
【図2】従来の靴の成形甲皮と装飾甲皮の縫着部を示す
拡大断面図
【図3】従来の靴の成形甲皮と装飾甲皮の縫着部の他の
一例を示す拡大断面図
【図4】本発明の実施例にかかる成形甲皮と装飾甲皮の
縫着部を示す拡大断面図
【図5】本発明の実施例にかかる装飾甲皮を成形甲皮に
縫着する工程を示す側面図
【図6】本発明の実施例にかかる装飾甲皮を成形甲皮に
縫着する工程を示す側面図
【図7】本発明の実施例にかかる装飾甲皮を成形甲皮に
縫着する工程を示す側面図
【図8】本発明の実施例にかかる縫着部の縫い目を示す
拡大断面図
【図9】本発明の実施例にかかる装飾甲皮を成形甲皮に
縫着する工程を示す斜視図
【図10】本発明の実施例にかかる装飾甲皮を成形甲皮
に縫着する工程を示す斜視図
【符号の説明】
1…成形甲皮 1A…縫着片 2…装飾甲皮 2A…折曲片 3…裏地 4…縫着部 5…モカ孔 6…モカ糸 7…裏地 8…装飾部材 9…段差部 10…切断部 11…突出部

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 軟質のプラスチックで甲皮の一部ないし
    ほぼ全体が立体的な形状に成形されており、立体的に成
    形された成形甲皮(1)に、裁断された装飾甲皮(2)が縫着
    されて、成形甲皮(1)と装飾甲皮(2)とで甲皮が構成され
    ている靴において、成形甲皮(1)と装飾甲皮(2)の縫着部
    (4)が下記の全ての構成を有することを特徴とする靴。 (a) 成形甲皮(1)は、装飾甲皮(2)を縫着する部分に
    縫着片(1A)を有する。 (b) 縫着片(1A)は成形甲皮(1)に一体的に成形され
    ている。 (c) 縫着片(1A)と成形甲皮(1)の内面には、プラス
    チックで成形甲皮(1)と縫着片(1A)とを成形するときに
    裏地(3)をインサートしている。 (d) 裏地(3)は、柔軟でクッション性を有するシー
    ト材である。 (e) 装飾甲皮(2)は、縫着部(4)で内側にU曲されて
    おり、このU曲された折曲片(2A)が、ほとんど折曲され
    ない縫着片(1A)の表面側に位置されて、装飾甲皮(2)が
    成形甲皮(1)に縫着されており、成形甲皮(1)の縫着片(1
    A)が、U曲されている折曲片(2A)の内側を被覆してい
    る。
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