JP2774822B2 - 塩化ビニリデン系重合体水性分散体の製造方法 - Google Patents

塩化ビニリデン系重合体水性分散体の製造方法

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JP2774822B2 JP18506689A JP18506689A JP2774822B2 JP 2774822 B2 JP2774822 B2 JP 2774822B2 JP 18506689 A JP18506689 A JP 18506689A JP 18506689 A JP18506689 A JP 18506689A JP 2774822 B2 JP2774822 B2 JP 2774822B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、塩化ビニリデン系重合体水性分散体の製造
方法、特に塩化ビニリデンを主成分とする単量体を乳化
重合させた後、他の単量体を加えて引続き乳化重合させ
る多段階重合法によつて、塩化ビニリデン系重合体を核
とし、その周囲にその他の単量体の重合体の殻を形成し
た多層構造を有する重合体粒子の水性分散体の製造方法
に関し、これをプラスチツクフイルムなどの基材に塗布
乾燥した後の塗膜が優れた基材との密着性、印刷インキ
接着性を有し、かつレトルトパウチ用包装材として用い
られる場合に、沸騰水に対し白化しにくいガスバリヤー
性に優れた塩化ビニリデン系重合体水性分散体の製造方
法に関するものである。
〔従来の技術〕
塩化ビニリデン系重合体水性分散体は、その乾燥塗膜
が耐溶剤性、耐薬品性、低透湿性及びガスバリヤー性な
どの特性に優れており、食品包装分野などにおいて使用
されるプラスチツクフイルムや紙などの表面加工などに
広く使用されている。
しかし、その分散体塗膜は、塗布後に塩化ビニリデン
系重合体の結晶化が生じるために、印刷インキなどとの
接着性が悪化する。そのため、セロハン用などに汎用さ
れている硝化綿系印刷インキなどの安価な印刷インキが
使用できず、ポリアミド系インキや二液型ポリウレタン
系インキなどの比較的高価な印刷インキの使用を余儀な
くされていた。
しかし、この種の印刷インキの分野において、特に硝
化綿系のものは、価格が安価なのに加えて、インキ塗膜
からの溶剤の離脱性が良好であり、ポリアミド系やポリ
ウレタン系のものよりも臭気が少なく取扱いが容易であ
るなどの利点があり、硝化綿系印刷インキが使用できな
いことは極めて不利である。
このような課題を解決するために、既に、塩化ビニリ
デン、ビニル単量体及び不飽和有機酸の混合物と、メタ
クリル酸メチル及びアクリル酸アルキルエステル、の混
合物とを多段階で乳化重合することによつて多層構造を
有する塩化ビニリデン系重合体粒子の水性分散体の製造
方法(特公昭62−59724号公報参照)が提案されてい
る。
〔発明が解決しようとする課題〕
しかしながら、このような塩化ビニリデン系重合体粒
子の水性分散体を、プラスチツクフイルムなどに塗布乾
燥した後の塗膜は、ガスバリヤー性に優れ、基材密着性
並びに印刷インキや接着性にすぐれているが、ボイル白
化しやすい欠点があつた。
すなわち、レトルトパウチの食品包装袋として塩化ビ
ニリデン樹脂コートポリエステルやナイロンのフイルム
が用いられるが、レトルトパウチ食品を沸騰水中でボイ
ル加熱した場合に包装袋が白化すると、美観を損ねるの
みならず、フイルムの変質、あるいはフイルム中の添加
物の食品中への移行を消費者に対して危惧させることに
なる。本発明は、ガスバリヤー性、基材密着性、印刷イ
ンキ接着性にすぐれ、かつ耐ボイル白化性にもすぐれた
塩化ビニリデン系重合体粒子の水性分散体を提供するこ
とを目的とする。
〔課題を解決するための手段〕
本発明者は、上記課題に鑑みて鋭意研究を重ねた結
果、多段階による乳化重合法において塩化ビニリデン系
重合体粒子に殻を形成する重合の際に、水酸基を含有す
る単量体を含むビニル単量体混合物を用いることによつ
て、特にバリヤー性、印刷インキ接着性及び耐ボイル白
化性のバランスにすぐれた塗膜を与える塩化ビニリデン
系重合体水性分散体の得られることを見出して本発明を
完成するに至つた。
すなわち、本発明は、塩化ビニリデンを主成分とする
単量体を乳化重合させて核の重合体粒子を形成させた
後、他の単量体を加えて引き続き乳化重合を行なつて前
記核の表面に殻の重合体層を形成させる多段階重合法に
よる、塩化ビニリデン系重合体を核とし、その周囲にそ
の他の単量体の重合体の殻を形成した多層構造を有する
重合体粒子の水性分散体の製造方法において、前記核を
形成する塩化ビニリデンを主成分とする単量体として、
下記に示す(a)及び(b)を必須成分とする単量体混
合物〔I〕を使用し、前記殻を形成する単量体として、
下記に示す(c)、(d)及び(e)を必須成分とする
単量体混合物〔II〕を前記単量体混合物〔I〕100重量
部に対して0.5〜20重量部の割合で使用することを特徴
とする塩化ビニリデン系重合体水性分散体の製造方法を
提供するものである。
[I]単量体混合物 単量体混合物[I]100重量%に対して (a)塩化ビニリデン85〜95重量%、及び (b)メタクリル酸メチル、アクリル酸メチル及びアク
リロニトリルから選ばれた単量体の一種或いはそれらの
混合物5〜15重量% [II]単量体混合物 単量体混合物[II]100重量%に対して (c)メタクリル酸メチル、ビニル芳香族化合物からな
る群より選ばれた単量体の一種或いはそれらの混合物20
〜65重量%、及び (d)アクリル酸アルキルエステル、メタクリル酸アル
キルエステル(メタクリル酸メチルを除く)及びビニル
エステルからなる群より選ばれた単量体の一種或いはそ
れらの混合物35〜80重量%、及び (e)水酸基含有単量体0.2〜5重量%。
〔発明の具体的説明〕
(1) 構成成分 本発明においては、先ず、塩化ビニリデン系重合体を
核とした重合体を形成し、その後、その周囲にその他の
単量体の重合体の殻を形成することによつて、多層構造
を有する重合体粒子の水性分散体を製造する。
そのために、先ず、塩化ビニリデンを主成分とする単
量体混合物〔I〕を乳化重合させた後、他の単量体混合
物〔II〕を加えて引続き乳化重合させる多段階重合法が
採用される。
単量体混合物〔I〕 本発明において核の形成に用いられる塩化ビニリデン
を主成分とする単量体混合物としては、以下に示す
(a)及び(b)を必須成分とする単量体混合物〔I〕
を使用する。
(a)成分 (a)成分として使用される単量体は、塩化ビニリデ
ンである。該塩化ビニリデンは、分散体塗膜を形成した
際に、ガスバリヤー性、低透湿性、ヒートシール性など
の特性を塗膜に付与する作用がある。
そして、その使用割合が単量体混合物〔I〕に対して
95重量%を超えると、重合体の結晶化の進行が早すぎ
て、重合体粒子の凝集が起こり、重合安定性が悪化す
る。或いは、重合は可能であつても貯蔵安定性が悪化す
る。また、その使用割合が単量体混合物〔I〕に対して
85重量%未満であると、重合体粒子中の塩化ビニリデン
含量が低くなり過ぎて、上記したガスバリヤー性などの
塩化ビニリデン系重合体の特性を発揮できなくなる。
(b)成分 (b)成分として使用される単量体は、メタクリル酸
メチル、アクリル酸メチル及びアクリロニトリルから選
ばれる単量体の一種或いはそれらの混合物である。
このような単量体の共重合比率を変化させることによ
つて水性分散体の最低造膜温度や、耐溶剤性などの物性
を調整することができる。これら単量体の使用割合が単
量体混合物〔I〕に対して5重量%未満では結晶化の進
行が早すぎて低い造膜温度が得られない。また、同割合
が単量体混合物〔I〕に対して15重量%を超えると塩化
ビニリデンの共重合比率が低くなりすぎて、塩化ビニリ
デンの共重合体の結晶性が低下し、塗膜としてのガスバ
リヤー性が得られなくなる。
これら、(a)、(b)の成分以外に、水酸基含有単
量体、アクリルアミド、メタクリルアミド、アクリル
酸、メタクリル酸等の官能基含有単量体を2重量%以下
の割合で使用してもよい。
単量体混合物〔II〕 上記塩化ビニリデンを主成分とする単量体混合物
〔I〕少くとも95重量%を乳化重合させて核を形成させ
た後、引続いて乳化重合が行なわれる際に、残存する上
記塩化ビニリデンを主成分とする単量体混合物〔I〕の
外に、単量体混合物〔II〕が添加されて多段階重合が行
なわれる。
このような単量体混合物〔II〕としては、以下に示す
(c)、(d)及び(e)を必須成分とするものであ
る。
(c)成分 (c)成分として使用される単量体は、メタクリル酸
メチル又はビニル芳香族化合物からなる群より選ばれた
単量体の一種或いはそれらの混合物である。このような
単量体(c)は、分散体の乾燥塗膜を形成した際に、適
度の塗膜硬度を付与せしめる作用を示し、該塗膜の耐ブ
ロツキング性を向上せしめる。上記ビニル芳香族化合物
としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、ビ
ニルトルエンなどが挙げられる。
これら単量体(c)の使用割合が単量体混合物〔II〕
に対して20重量%未満では上記塗膜に対して十分な硬度
及び耐ブロツキング性を付与する効果が得られないし、
その使用割合が単量体混合物〔II〕に対して65重量%を
超えると、ガラス転移温度、すなわち、最低造膜温度が
高くなり過ぎて、造膜性に悪影響を及ぼすようになる。
(d)成分 (d)成分として使用される単量体は、アクリル酸ア
ルキルエステル、メタクリル酸アルキルエステル(メタ
クリル酸メチルを除く)及びビニルエステルからなる群
より選ばれた単量体の一種或いはそれらの混合物であ
る。このような単量体(d)は分散体の塗膜を形成した
際に、可撓性を付与する作用がある。
このようなアクリル酸アルキルエステル及びメタクリ
ル酸アルキルエステルとしては、炭素数2〜8のアルコ
ール(例えば、メタノール、イソプロパノール、n−プ
ロパノール、n−ブタノール、2−エチルヘキサノール
など)とアクリル酸又はメタクリル酸とのエステル、及
びアクリル酸メチルが挙げられる。また、上記ビニルエ
ステルとしては、例えば、酢酸ビニル及びプロピオン酸
ビニルなどが挙げられる。
これら単量体(d)の使用割合が単量体混合物〔II〕
に対して35重量%未満では乾燥塗膜に対して十分な可撓
性を付与できないし、その使用割合が単量体混合物〔I
I〕に対して80重量%を超えると、逆に乾燥塗膜が粘着
性をおびるようになり、耐ブロツキング性などに問題が
生じる。
(e)成分 (e)成分として使用される単量体は、水酸基含有単
量体である。このような水酸基含有単量体を単量体混合
物〔II〕中に配合することによつて、多段階乳化重合法
における塩化ビニリデン系重合体の殻に水酸基を導入す
ることができる。この水酸基を重合体粒子に導入するこ
とによつて、ガスバリヤー性を低下させずに印刷性、基
材接着性を向上させ、しかもすぐれた耐ボイル白化性を
もたせることができる。
このような水酸基含有単量体としては、例えば、ヒド
ロキシエチルアクリレート、ヒドロキシプロピルアクリ
レートのようなヒドロキシアルキルアクリレートや、ヒ
ドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシプロピルメ
タクリレートのようなヒドロキシアルキルメタクリレー
トや、ポリオキシエチレンモノアクリレート、ポリオキ
シエチレンモノメタクリレート、N−メチロールアクリ
ルアミド、N−メチロールメタクリルアミド、アリルア
ルコールなどが挙げられる。これら水酸基含有単量体の
中では、特にヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキ
シエチルメタクリレート、N−メチロールアクリルアミ
ド、N−メチロールメタクリルアミドが好ましい。
これら単量体の使用割合が単量体混合物〔II〕に対し
て0.2重量%未満では塗膜の接着力及び印刷性が不十分
となる。また、同割合が単量体混合物〔II〕に対して5
重量%を超えると親水性部分が増加するため塗膜のガス
バリヤー性が悪化する。
核と殻の量比 本発明においては、上記の(a)及び(b)単量体を
含有する単量体混合物〔I〕100重量部に対して上記
(c)、(d)及び(e)単量体を含有する単量体混合
物〔II〕を0.5〜20重量部の割合で使用する。単量体混
合物〔II〕の上記割合が少なすぎると、得られる分散体
の乾燥塗膜の印刷インキに対する接着性向上効果などが
十分でなくなる。また、逆にその使用割合が多過ぎる
と、重合体粒子中の塩化ビニリデン含量が低下し過ぎ
て、塩化ビニリデン系重合体の特性、すなわち、分散体
塗膜を形成した際に、優れた塗膜のガスバリヤー性、低
透湿性及びヒートシール性などを発揮することができな
くなる。
本発明の製造方法において行なわれる乳化重合は、通
常の乳化重合法を用いて容易に実施することができる。
例えば、上記の単量体混合物〔I〕、乳化剤、重合開
始剤及び水からなる混合系で、一段目の乳化重合を行な
い、その重合が実質的に終了した後、その重合系に更に
単量体混合物〔II〕及び重合開始剤を添加して、二段目
の重合を行なわせる。
上記一段目の重合が実質的に終了した後とは、単量体
混合物〔I〕の少なくとも95重量%以上が重合によつて
消費された状態をいい、この場合、生成重合体粒子を良
好な二層構造とするには、二段目の乳化重合において乳
化剤を全く追加しないか、或いは、追加するとしても、
乳化剤は新しい粒子の形成を生じない程度の少量にとど
め、二段目の重合が一段目の乳化重合で形成された重合
体粒子上において実質的に進行するようにするのが望ま
しい。
本発明における多段重合は、もちろん、二段重合のみ
に限られず、三段又はそれ以上の多段重合として実施す
ることができる。すなわち、単量体混合物〔I〕の重合
系への添加を段階的に二段又はそれ以上に分割して行な
い、しかも、その各段において添加する単量体混合物
〔I〕の組成を変化させることもできる。また、場合に
よつては、単量体混合物〔II〕の添加も同様に段階的に
二段又はそれ以上に分割して行なうことができる。この
ようにして全重合を三段又はそれ以上の多段重合として
実施した場合には、得られる重合体粒子が三層又はそれ
以上の多層構造のものとなる。
本発明の乳化重合において用いられる乳化剤及び重合
開始剤としては、種々のものを挙げることができる。
上記乳化剤としては、例えば高級アルコール硫酸エス
テル塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、ポリオキシエ
チレンアルキルサルフエート塩、ポリオキシエチレンア
ルキルフエノールエーテルサルフエート塩などの陰イオ
ン性界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルフエノー
ルエーテル、ソルビタン誘導体などの非イオン性界面活
性剤が好適に使用できる。
また、上記重合開始剤としては、例えば過硫酸カリウ
ム、過硫酸アンモニウムなどの過硫酸塩、過酸化水素、
ベンゾイルペルオキシド、クメンヒドロペルオキシド、
t−ブチルヒドロペルオキシドなどの過酸化物、アゾビ
スイソブチロニトリルなどが一般的に使用され、特に水
溶性開始剤及び水溶性のレドツクス型開始剤が好適に使
用することができる。
(2) 塩化ビニリデン系重合体水性分散体 このようにして得られる塩化ビニリデン系重合体水性
分散体は、塩化ビニリデンを主成分とする単量体混合物
〔I〕の重合体を核とし、その周囲に単量体混合物〔I
I〕の重合体が殻を形成しているか、或は外側を中心に
分布した構造を有していると考えられる。このことは、
電子顕微鏡を用いた粒子の観察で二次粒子が認められな
かつたことや、前に述べた物性上の特徴により推測され
る。
この水性分散体は、紙やプラスチツクフイルムなど
に、ロール、ブレード、エアーナイフ、サイズプレスな
どの通常の塗布方法などによつて塗布乾燥して塗膜を形
成することができる。
得られた塗膜は基材との密着性並びに汎用の印刷イン
キに対する接着性に優れていると共に、優れたガスバリ
ヤー性、耐ボイル白化性、を備えている。
また、印刷インキに対して優れた接着力を示し印刷適
性にも優れている。
また、この水性分散体は、塩化ビニリデン系重合体本
来の特性に加えて、その特有の粒子構造に基づき種々の
物質に対する接着性が優れているから、食料品の包装分
野のみならず、塗料用バインダーに、また、繊維用の難
燃剤などに使用することができる。
〔実施例〕
以下に実施例及び比較例を挙げて本発明を詳細に説明
する。なお、これらの例における部及び%は、特に記載
しない限り重量基準による。
また、評価は以下の方法に従つて行なつた。
酸素透過性 二軸延伸ポリプロピレンフイルム(膜厚18μm)に、
各塩化ビニリデン系水性分散体を乾燥膜厚が5μmとな
るように塗布し、100℃で3分間乾燥させた。
測定装置はモーコン社製OXTRANを使用した。
(絶乾時) 測定条件を20℃、湿度0%RHで測定した。
(湿潤下) 塗布フイルムを20℃で1週間純水に浸漬した後、取り
出して、直ちに20℃、湿度100%RHで測定した。
評価数値はcc/m2・24hr・atmの単位で表わした。
印刷適性 前記酸素透過性と同じ塗布フイルムを使用した。
印刷インキはセロフアン用硝化綿系インキ(東洋イン
キ(株)製商品名セロカラーST)を使用した。
(インキ濡れ性) 印刷インキを塗膜面上に滴下し、液滴の広がり具合を
下記の三段階で評価した。
A:大きく広がる。
B:ある程度広がる。
C:液滴のままで広がらない。
(インキ密着性) インキを塗布後、十分に乾燥し、セロテープを用いた
剥離試験を行なつて、下記に示す四段階でインキ密着性
を評価した。
A:完全に残つている。 95%以上 B:ほとんど残つている。 60〜95% C:あまり残つていない。 1〜60% D:全く残つていない。 0% (耐ボイル白化性) 2軸延伸ナイロン6フイルム(肉厚20ミクロン)の表
面に、各塩化ビニリデン系重合体水性分散体を、乾燥膜
厚が5μとなるように塗布し100℃で5分乾燥させた。
この塗布フイルムを沸騰水に15分間浸漬した後とり出
してその直後に、そのフイルムの白化の程度を下記の3
段階で評価した。
A 白化全くなし B やや白化にかすんでいるが透明性あり C 白色に変色し不透明。
保存成膜性 水性分散体を20℃で長期保存した後の成膜性により、
成膜性を有する保存期間で評価した。
比較例1 一段乳化重合 温度調節器、撹拌機、供給容器、温度計及び窒素ガス
導入管を備えた反応器に、 水 200部 ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム 1部 過硫酸カリウム 1.6部 を仕込み、内部を窒素ガスで置換し、その後減圧にし、
更に窒素ガスを導入した後、再び減圧にした。
次いで、この反応容器内の温度を50℃に保つて撹拌し
ながら、この反応容器内に窒素ガス置換をした別容器内
より、 塩化ビニリデン 455部 アクリル酸メチル 35部 ヒドロキシエチルアクリレート 10部 水 250部 ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム 10部 よりなる混合物を、定量ポンプを用いて10時間かけて連
続的に送入した。
所定量の混合物の送入完了後、反応容器の内圧が0kg/
cm2Gになるまで50℃で重合を継続させ、固形分含有量が
55%の塩化ビニリデン系重合体水性分散体を得た。
実施例1 一段目乳化重合 比較例1において用いた反応容器と同一の反応容器内
に 水 200部 ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム 1.5部 過硫酸カリウム 2.5部 を仕込み、比較例1と同様にして窒素ガス置換した後、
減圧にし、その反応容器内を50℃に保つて撹拌しなが
ら、これに窒素ガス置換をした別容器より、 塩化ビニリデン 455部 アクリル酸メチル 35部 ヒドロキシエチルアクリレート 10部 水 250部 ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム 10部 よりなる混合物を定量ポンプで10時間かけて送入した。
その送入が完了した後、反応容器の内圧が0kg/cm2Gにな
るまで50℃の温度を保持して重合を継続させた。
二段目乳化重合 次いで、その反応容器内を55℃に保つて撹拌しなが
ら、これに窒素ガス置換をした別容器より、 水 25部 ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム 10部 メタクリル酸メチル 6部 アクリル酸n−ブチル 6部 ヒドロキシエチルアクリレート 0.5部 よりなる混合物を定量ポンプで0.5時間かけて連続的に
送入すると共に、同時に更に別容器より、 水 5部 過硫酸カリウム 0.14部 よりなる開始剤水溶液を連続的に送入し、これらの送入
が終了した後、更に55℃で4時間攪拌しながら反応させ
た。
次いで、生成物を冷却して固形分含量が約55%の塩化
ビニリデン系重合体水性分散体を得た。
上記の実施例1における各重合段階で用いた単量体の
組成、各重合段階間の単量体重量比、及び、得られた分
散体の塗布試験の結果は第1表に示す通りであつた。
実施例2〜4、比較例2〜4 第1表に示す様に配合組成で実施した以外は、実施例
1と同様にして行なつた。
その結果を第1表に示す。
実施例5 二段目の乳化重合の後に、第1表に示す様に配合組成
の三段目の乳化重合を行なつた以外は、実施例1と同様
にして行なつた。
その結果を第1表に示す。
〔発明の効果〕 本発明の塩化ビニリデン系重合体水性分散体の製造方
法によつて得られる塩化ビニリデン系重合体水性分散体
は、塩化ビニリデンを主成分とする単量体混合物〔I〕
の重合体を核とし、その周囲に単量体混合物〔II〕の重
合体の殻が形成された多層構造の重合体であると考えら
れ、それを塗布乾燥して得た塗膜は、基材との密着性並
びに汎用の印刷インキに対する接着性に優れていると共
に、優れたガスバリヤー性、耐ボイル白化性を備えてお
り、しかも、印刷適性にも優れている。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】塩化ビニリデンを主成分とする単量体を乳
    化重合させて核の重合体粒子を形成させた後、他の単量
    体を加えて引き続き乳化重合を行って前記核の表面に殻
    の重合体層を形成させる多段階重合法による、塩化ビニ
    リデン系重合体を核とし、その周囲にその他の単量体の
    重合体の殻を形成した多層構造を有する重合体粒子の水
    性分散体の製造方法において、前記核を形成する塩化ビ
    ニリデンを主成分とする単量体として、下記に示す
    (a)及び(b)を必須成分とする単量体混合物[I]
    を使用し、前記殻を形成する単量体として、下記に示す
    (c)、(d)及び(e)を必須成分とする単量体混合
    物[II]を前記単量体混合物[I]100重量部に対して
    0.5〜20重量部の割合で使用することを特徴とする塩化
    ビニリデン系重合体水性分散体の製造方法。 [I]単量体混合物 単量体混合物[I]100重量%に対して (a)塩化ビニリデン85〜95重量%、及び (b)メタクリル酸メチル、アクリル酸メチル及びアク
    リロニトリルから選ばれた単量体の一種或いはそれらの
    混合物5〜15重量% [II]単量体混合物 単量体混合物[II]100重量%に対して (c)メタクリル酸メチル、ビニル芳香族化合物からな
    る群より選ばれた単量体の一種或いはそれらの混合物20
    〜65重量%、及び (d)アクリル酸アルキルエステル、メタクリル酸アル
    キルエステル(メタクリル酸メチルを除く)及びビニル
    エステルからなる群より選ばれた単量体の一種或いはそ
    れらの混合物35〜80重量%、及び (e)水酸基含有単量体0.2〜5重量%。
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