JP2774225B2 - 亜鉛の精練方法 - Google Patents

亜鉛の精練方法

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周 山口
国男 早川
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株式会社エステム
周 山口
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、亜鉛の精練方法に関す
るものである。
【0002】
【従来の技術】再生亜鉛の原料は、主に溶融亜鉛めっき
で発生するドロス−アッシュ低品位亜鉛となっている。
亜鉛の精練段階すなわち亜鉛屑類から再生亜鉛を製造す
るため、前記の低品位亜鉛をポット中で加熱溶解し、不
純物の除去を行なうに当たり、最も問題とされるのは低
品位亜鉛に介在するアルミニウムである。
【0003】めっき性能、めっき作業上の必要からアル
ミニウムを添加した溶融亜鉛めっき浴から派生する低品
位亜鉛は、現在はアルミニウムを選択的に安価に除去す
る方法が確立されていないため、再生亜鉛の原料として
採用されていない。本発明は、このような問題点を解決
するためになされたもので、低品位亜鉛中のアルミニウ
ムを選択的に安価に除去可能な亜鉛の精練方法を提供す
ることを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】前記目的を解決するため
の本発明による亜鉛の精練方法は、平衡酸素分圧がAl
23 よりも高い物質である水酸化ナトリウムを第1フ
ラックスとして使用することにより溶融中の亜鉛から選
択的にアルミニウムを酸化することを特徴とする。
【0005】平衡酸素分圧がAl23 よりも高い物質
である水酸化ナトリウムに代えて、水酸化カリウム、水
酸化セシウム等を用いることができる。亜鉛の精練方法
は、第2フラックスとして酸化亜鉛を水酸化ナトリウム
にさらに添加することが望ましい。亜鉛の精練方法は、
第3フラックスとして硝酸ナトリウムあるいは炭酸ナト
リウムを水酸化ナトリウムにさらに添加することが望ま
しい。
【0006】また亜鉛の精練方法は、窒素等の不活性ガ
ス、酸素または空気をフラックスのキャリアガスとして
使用することにより、フラックスと溶融亜鉛の反応界面
の面積を増すことが可能である。更に亜鉛の精練方法
は、亜鉛浴中に撹拌機構を採用することにより、フラッ
クスと溶融亜鉛の反応界面の面積を増すことが可能であ
る。
【0007】
【作用及び効果】本発明の亜鉛の精練方法によると、低
品位亜鉛中のアルミニウムを選択的に安価に除去可能で
あり、亜鉛のリサイクル利用を可能にし、省資源に貢献
する。
【0008】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明
する。本発明は、アルミニウムの酸化物と亜鉛の酸化物
の生成しやすさの差違を利用するプロセスである。図1
は、酸化亜鉛、酸化アルミニウムの活量を1とした場合
のZn/ZnO、Al/Al23 の酸化/還元平衡の
平衡酸素分圧と亜鉛浴中のアルミニウム濃度を示す。こ
の場合、理論上から明らかなとおり、Al2 3 はZn
Oよりも平衡酸素分圧が低いことから、アルミニウムを
含む亜鉛浴ではアルミニウムが優先的に酸化される。な
お図1中、Po2 は酸素分圧(atm )を示す。 (実施例1)実施例1は、亜鉛浴と濡れ性の高いNaO
Hをフラックスとすることによって、アルミニウムを選
択的に酸化させ亜鉛浴からのアルミニウム除去を行なっ
た。
【0009】この例では、亜鉛浴中のアルミニウム濃度
が比較的低いレベルでNaOHフラックスを使用する
と、460℃でNaOHフラックスがアルミニウムを含
む亜鉛浴と接触し、NaOHの分解反応により酸素分圧
はおおむね10-45 ppmに留まる。これは、Na活量
が1に、また生成する水素ガス分圧が1atmに留まる
ためであり、この条件ではZnOの活量が10-7.5以上
の場合には亜鉛は酸化されない。また、図1から平衡到
達におけるアルミニウム濃度は10-12 ppm以下とな
り、実質的にゼロとなる。 (実施例2)実施例2は、NaOHフラックスに酸化亜
鉛を第2のフラックスとして配合し、アルミニウムを選
択的に酸化させ亜鉛浴からのアルミニウム除去を行なっ
た。
【0010】この例では、NaOHフラックスに酸化亜
鉛を配合すると、フラックス中の酸素分圧はZn/Zn
O平衡である10-40 ppmに留まり、NaOHの分解
反応が緩和され、Na2 Oダストの発生が抑制され、環
境面の悪化をほとんど心配する必要がない。併せて、酸
化亜鉛が金属亜鉛に還元されることから、溶融亜鉛めっ
き工程で発生するアッシュから亜鉛の回収が可能となっ
た。 (実施例3、4)実施例3、4は、硝酸ナトリウムある
いは炭酸ナトリウムを第3のフラックスとしてNaOH
フラックスに配合した。
【0011】この例では、亜鉛浴中のアルミニウム濃度
がかなり高いレベルで所定時間内にアルミニウム除去を
行なうようにする。すなわち、高い酸化力を付加させる
ことで、アルミニウム除去は短時間で達成された。 (実施例5、6)実施例5、6は、NaOHフラックス
に、酸化亜鉛を第2フラックスとし、硝酸ナトリウムあ
るいは炭酸ナトリウムを第3フラックスとして配合し
た。
【0012】この例では、亜鉛浴中のアルミニウム濃度
がかなり高いレベルでは、所定時間内にアルミニウム除
去を行なうため、実施例3、4同様に高い酸化力を付加
させる。ただし、酸化力の付加に伴いNa2 Oダストの
発生量が増す。従って、Na 2 Oダストの発生量を抑え
ながら短時間でアルミニウム除去を行なうため、酸化亜
鉛をフラックスの第2構成要素とし、硝酸ナトリウムあ
るいは炭酸ナトリウムをフラックスの第3構成要素とし
てNaOHフラックスに配合した。これにより、アルミ
ニウムは比較的短時間で除去できた。 (実施例7、8)実施例7、8は、亜鉛浴にプロペラに
よる撹拌を加え、界面近傍の境界層を介しての物質移動
を促進した例である。フラックスを用いて合金中の低濃
度成分を効率よく酸化して除去するためには、フラック
ス−メタル間の反応を速やかに進行させる必要がある。
フラックス−メタル間の実効界面面積を増加させるとと
もに、総括的な反応速度を律速するメタル中のアルミニ
ウムの物質移動を早めるためである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例による亜鉛−アルミニウム二元
合金の平衡酸素分圧を示す図である。
【図2】本発明の実施例1におけるアルミニウム濃度時
間カーブを示す特性図である。
【図3】本発明の実施例2におけるアルミニウム濃度時
間カーブを示す特性図である。
【図4】本発明の実施例3におけるアルミニウム濃度時
間カーブを示す特性図である。
【図5】本発明の実施例4におけるアルミニウム濃度時
間カーブを示す特性図である。
【図6】本発明の実施例5におけるアルミニウム濃度時
間カーブを示す特性図である。
【図7】本発明の実施例6におけるアルミニウム濃度時
間カーブを示す特性図である。
【図8】本発明の実施例7におけるアルミニウム濃度時
間カーブを示す特性図である。
【図9】本発明の実施例8におけるアルミニウム濃度時
間カーブを示す特性図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平6−212303(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C22B 19/00 - 19/38

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 平衡酸素分圧がAl23 よりも高い物
    質である水酸化ナトリウムを第1フラックスとして使用
    することにより溶融亜鉛浴中から選択的にアルミニウム
    を酸化することを特徴とする亜鉛の精練方法。
  2. 【請求項2】 第2フラックスとして酸化亜鉛を前記水
    酸化ナトリウムにさらに添加することを特徴とする請求
    項1記載の亜鉛の精練方法。
  3. 【請求項3】 第3フラックスとして硝酸ナトリウムあ
    るいは炭酸ナトリウムを前記水酸化ナトリウムにさらに
    添加すること特徴とする請求項1または2記載の亜鉛の
    精練方法。
  4. 【請求項4】 不活性ガス、酸素または空気をフラック
    スのキャリアガスとして使用することにより、フラック
    スと溶融亜鉛の反応界面の面積を増すことを特徴とする
    請求項1、2、3のいずれか一項記載の亜鉛の精練方
    法。
  5. 【請求項5】 亜鉛浴中に撹拌機構を採用することによ
    り、フラックスと溶融亜鉛の反応界面の面積を増すこと
    を特徴とする請求項1、2、3、4のいずれか一項記載
    の亜鉛の精練方法。
  6. 【請求項6】 前記水酸化ナトリウムに代えて、水酸化
    カリウムまたは水酸化セシウムを用いることを特徴とす
    る請求項1、2、3、4、5のいずれか一項記載の亜鉛
    の精練方法。
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JPH0892664A (ja) * 1994-09-22 1996-04-09 Esutemu:Kk 亜鉛の精練方法および装置
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