JPH0892664A - 亜鉛の精練方法および装置 - Google Patents

亜鉛の精練方法および装置

Info

Publication number
JPH0892664A
JPH0892664A JP22767294A JP22767294A JPH0892664A JP H0892664 A JPH0892664 A JP H0892664A JP 22767294 A JP22767294 A JP 22767294A JP 22767294 A JP22767294 A JP 22767294A JP H0892664 A JPH0892664 A JP H0892664A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
zinc
iron
alloy
aluminum
zinc alloy
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP22767294A
Other languages
English (en)
Inventor
Nobuhiro Abe
信浩 阿部
Shu Yamaguchi
周 山口
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
ESUTEMU KK
Original Assignee
ESUTEMU KK
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by ESUTEMU KK filed Critical ESUTEMU KK
Priority to JP22767294A priority Critical patent/JPH0892664A/ja
Publication of JPH0892664A publication Critical patent/JPH0892664A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Manufacture And Refinement Of Metals (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 亜鉛合金からアルミニウムを選択的に安価に
除去可能な亜鉛の精練方法および装置を提供する。 【構成】 アルミニウムを含む溶融状態の亜鉛合金に亜
鉛ドロスを混合し、亜鉛合金中のアルミニウムと亜鉛ド
ロス中の鉄とから金属間化合物を生成させる。この金属
間化合物を亜鉛合金から除去することにより、亜鉛合金
からアルミニウムが選択的に除去される。一方、亜鉛ド
ロス中の亜鉛は、亜鉛合金中に移動して再生亜鉛の一部
となる。亜鉛ドロスに代えて、鉄または鉄を含む化合物
を使用することも可能である。金属間化合物の比重は亜
鉛合金の比重よりも小さいため、トップドロスとして亜
鉛合金の表面から容易に除去することができる。金属間
化合物の除去後、溶融塩フラックスを用いて亜鉛合金中
の残存アルミニウム濃度をさらに低下させることも可能
である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、亜鉛の精練方法および
装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】自動車などの型材に用いられる亜鉛ダイ
カスト合金には、亜鉛Znの他に数%程度のアルミニウ
ムAl、マグネシウムMg、用途によってはさらに銅C
uが添加されている。このため、他の亜鉛を用いる用途
に亜鉛ダイカスト合金を転用することは困難であり、従
来は、不要となった型材に使用されていた亜鉛ダイカス
ト合金を再利用するには、再度型材として使用すること
が主であった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、型材としての
需要は常に一定あるいは増加傾向にあるわけではないた
め、型材としての需要が減少すれば余剰の亜鉛ダイカス
ト合金の処理に困るといった事態が発生する。このた
め、亜鉛ダイカスト合金中の亜鉛を他の用途に使用可能
な程度に、しかも安価に精練して再生亜鉛を製造する方
法の開発が望まれている。
【0004】一般的に、亜鉛ダイカスト合金製品は、表
1に示すダイカスト用亜鉛合金塊(JIS H 2201) から製
造されている。
【0005】
【表1】
【0006】表1から判るように、ダイカスト用亜鉛合
金塊には94〜95%の亜鉛が含まれているが、同時に
3.9〜4.3%のアルミニウムが含まれている。亜鉛
ダイカスト合金を他の用途に使用するに当たり、最も問
題とされるのは亜鉛ダイカスト合金中に含まれるアルミ
ニウムである。これまでは、亜鉛ダイカスト合金からア
ルミニウムを選択的に安価に除去する方法が確立されて
いなかったため、限られた分野のみにしか余剰の亜鉛ダ
イカスト合金中の亜鉛を再利用することができなかっ
た。
【0007】本発明は、このような問題点を解決するた
めになされたもので、亜鉛合金からアルミニウムを選択
的に安価に除去可能な亜鉛の精練方法および装置を提供
することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するた
めに、本発明の請求1記載の亜鉛の精練方法は、亜鉛合
金に鉄または鉄を含む化合物を添加し、鉄または鉄を含
む化合物中の鉄と亜鉛合金中に含まれるアルミニウムと
から生成する金属間化合物を亜鉛合金から除去すること
により、亜鉛合金からアルミニウムを除去することを特
徴とする。
【0009】また、本発明の請求項2記載の亜鉛の精練
方法は、請求項1記載の亜鉛の精練方法であって、溶融
状態の亜鉛合金に鉄または鉄を含む化合物を混合するこ
とを特徴とする。また、本発明の請求項3記載の亜鉛の
精練方法は、請求項1または2記載の亜鉛の精練方法で
あって、金属間化合物と亜鉛合金との比重の差を利用し
て亜鉛合金から金属間化合物を分離することを特徴とす
る。
【0010】また、本発明の請求項4記載の亜鉛の精練
方法は、請求項1から3のいずれか一項記載の亜鉛の精
練方法であって、鉄または鉄を含む化合物は、亜鉛ドロ
スであることを特徴とする。また、本発明の請求項5記
載の亜鉛の精練方法は、溶融状態の亜鉛合金に鉄または
鉄を含む化合物を混合して鉄または鉄を含む化合物中の
鉄と亜鉛合金中のアルミニウムとから金属間化合物を生
成させる段階と、金属間化合物を亜鉛合金の表面に浮上
させる段階と、亜鉛合金の表面から金属間化合物を除去
する段階とからなる一次脱アルミ処理と、一次アルミ処
理を実施した後の亜鉛合金にフラックスを加え、フラッ
クスにより亜鉛合金中の残存アルミニウムを除去する二
次脱アルミ処理と、からなることを特徴とする。
【0011】また、本発明の請求項6記載の亜鉛の精練
装置は、請求項5記載の亜鉛の精練方法を実施するため
の装置であって、攪拌機を備えた第1の反応槽と、前記
第1の反応槽に亜鉛合金を供給する亜鉛合金供給部と、
前記第1の反応槽に鉄または鉄を含む化合物を供給する
鉄分供給部と、前記第1の反応槽の内容物を移送可能に
設けられる第2の反応槽と、前記第2の反応槽にフラッ
クスを供給するフラックス供給部とを備えたことを特徴
とする。
【0012】また、本発明の請求項7記載の亜鉛の精練
装置は、請求項6記載の亜鉛の精練装置であって、前記
第1の反応槽と前記第2の反応槽との間に、亜鉛合金の
表面に金属間化合物を浮上させ除去する金属間化合物分
離槽をさらに備えたことを特徴とする。
【0013】
【作用および発明の効果】本発明の請求項1記載の亜鉛
の精練方法によると、亜鉛合金に鉄分を添加することに
より、亜鉛合金中のアルミニウムと鉄とから金属間化合
物が生成する。この金属間化合物を亜鉛合金から除去す
ることにより、亜鉛合金からアルミニウムを選択的に除
去して亜鉛合金中の亜鉛を精練することが可能である。
【0014】また、本発明の請求項2記載の亜鉛の精練
方法によると、溶融状態の亜鉛合金に鉄または鉄を含む
化合物を混合することにより、亜鉛合金中に鉄分を迅速
に拡散させることが容易であり、金属間化合物の生成が
促進される。また、本発明の請求項3記載の亜鉛の精練
方法によると、金属間化合物の比重と亜鉛合金の比重と
の違いを利用して亜鉛合金の表面に金属間化合物を浮上
させるかあるいは亜鉛合金の下部に金属化合物を沈下さ
せることにより、亜鉛合金から金属間化合物を容易に取
り除くことができる。
【0015】また、本発明の請求項4記載の亜鉛の精練
方法によると、鉄または鉄を含む化合物として亜鉛ドロ
スを用いるため、亜鉛合金からのアルミニウムの除去と
亜鉛ドロスからの鉄の除去とを同時に行うことができ
る。すなわち、亜鉛合金中の亜鉛と亜鉛ドロス中の亜鉛
とを同時に再生できるという効果がある。また、本発明
の請求項5記載の亜鉛の精練方法によると、亜鉛合金中
のアルミニウムと鉄とから生成する金属間化合物を亜鉛
合金から取り除く一次脱アルミ処理によって亜鉛合金中
のアルミニウム濃度をある程度まで低下させ、次いで一
次脱アルミ処理後の亜鉛合金に対してフラックスを用い
る二次脱アルミ処理を行うことによってアルミニウム濃
度をさらに低下させる。
【0016】具体的には、アルミニウムを0.2%以
上、例えば4%程度含む亜鉛合金に対して一次脱アルミ
処理を行うことにより、アルミニウム濃度を1000〜
7000ppm程度、例えば3000ppm程度にまで
低下させる。一次脱アルミ処理後の亜鉛合金は、例えば
船体などの防蝕、防錆用塗料、タイヤなどのゴムに添加
される酸化亜鉛などに再利用可能である。次いで、一次
脱アルミ処理後の亜鉛合金に対して二次脱アルミ処理を
実施することにより、アルミニウム濃度を数100pp
m以下に低下させる。二次脱アルミ処理を実施した亜鉛
合金は、亜鉛メッキ浴用の亜鉛として、あるいは銅が含
まれている場合には真ちゅう用原料として再利用可能で
ある。
【0017】アルミニウムを比較的多量に含む亜鉛合金
から二段階に分けてアルミニウムを除去することによ
り、二次脱アルミ処理で使用するフラックスの使用量を
少なくすることができる。また、本発明の請求項6記載
の亜鉛の精練装置によると、攪拌機を備えた第1の反応
槽に亜鉛合金と鉄分とを供給し、次いで前記第1の反応
槽の内容物を第2の反応槽に移送してフラックスを供給
することにより、請求項6記載の亜鉛の精練方法を効率
よく実施することができる。
【0018】また、本発明の請求項7記載の亜鉛の精練
装置によると、第1の反応槽と前記第2の反応槽との間
に設けた金属間化合物分離槽により、前記第1の反応槽
の内容物を前記第2の反応槽に移送する前に前記第1の
反応槽において生成した金属間化合物を確実に除去する
ことができる。
【0019】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明
する。本発明は、アルミニウムを比較的多量に含む亜鉛
ダイカスト合金などの亜鉛合金からアルミニウムを選択
的に安価に除去する方法を提供するものである。本発明
の実施例では、一次脱アルミ処理において亜鉛ダイカス
ト合金に添加する鉄源として亜鉛メッキを行う際などに
生じる副生成物である亜鉛ドロスを用いた。この亜鉛ド
ロスはFeZn13を主成分とするZn−Fe合金であ
り、約3〜4%の鉄と約94〜95%の亜鉛とを含む。
FeZn13は535℃以上では下記(1)式のように分
解する。
【0020】 FeZn13→FeZn7 +6Zn ・・・(1) 亜鉛ダイカスト合金に亜鉛ドロスを投入すると、亜鉛ダ
イカスト合金中のアルミニウムと(1)式により生じた
FeZn7 とが以下のように反応する。 2FeZn7 +5Al→Fe2 Al5 +14Zn ・・・(2) FeZn7 +3Al→FeAl3 +7Zn ・・・(3) 2FeAl3 →Fe2 Al5 +Al ・・・(4) したがって、全体収支は次のようになる。
【0021】 5Al+2FeZn13→Fe2 Al5 +26Zn ・・・(5) 上記(1)〜(4)式の反応により、亜鉛ダイカスト合
金に含まれるアルミニウムと亜鉛ドロス中のFeとが反
応して金属間化合物を生成し、亜鉛ダイカスト合金の表
面に浮上する。同時に、亜鉛ドロス中のZnは単体の亜
鉛として亜鉛ダイカスト合金中に移動する。したがっ
て、亜鉛ダイカスト合金からのアルミニウムの除去と亜
鉛ドロスからの鉄の除去とが同時に行われる。すなわ
ち、亜鉛ダイカスト合金中の亜鉛と亜鉛ドロス中の亜鉛
とを同時に再生できる。
【0022】このとき、亜鉛ドロスは一度に投入して
も、また複数回に分けて投入してもよいが、亜鉛ダイカ
スト合金中に投入する亜鉛ドロスの合計量は、金属化合
物生成後の亜鉛ダイカスト合金中のアルミニウム濃度が
0.12〜0.13wt%以上となる量とする。これ
は、アルミニウム濃度が0.12〜0.13wt%以下
になると上記(5)式の反応が進行せず、過剰のFeZ
nは亜鉛ダイカスト合金よりも比重が大きく反応槽の底
に沈殿して除去が困難になるためである。
【0023】また、二次脱アルミ処理で使用するフラッ
クスとしては、ZnCl2 −NaCl系フラックスを用
いた。一次脱アルミ処理後の亜鉛ダイカスト合金中に
は、一次脱アルミ処理における残存アルミニウムのほか
にマグネシウムが含まれている。このアルミニウムおよ
びマグネシウムとフラックス中のZnCl2 とが以下の
ように反応する。
【0024】 Mg+ZnCl2 →MgCl2 +Zn ・・・(6) 2Al2 +3ZnCl2 →2AlCl3 +3Zn ・・・(7) 生じたMgCl2 およびAlCl3 はフラックス中に捕
集される。このとき、アルミニウムに比べて塩化物とな
りやすいマグネシウムが優先的にMgCl2 となる。し
たがって、二次脱アルミ処理によってアルミニウムと共
にマグネシウムも除去される。ここで、NaClは溶融
塩の安定化のために加えられている。
【0025】(第1実施例)本発明の方法により、一次
脱アルミ処理を行った第1実施例を以下に示す。加熱装
置と攪拌機とを備えた反応槽中で、亜鉛ダイカスト合金
を530〜550℃に加熱溶解した。この時点で、反応
槽中のアルミニウム濃度は7.03wt%であった。
【0026】この溶融状態の亜鉛ダイカスト合金を攪拌
しながら凝固状態の亜鉛ドロスを投入し、亜鉛ドロスが
溶解して亜鉛ダイカスト合金と十分混合するまで攪拌を
続けた。亜鉛ドロス中の鉄と亜鉛ダイカスト合金中のア
ルミニウムが反応して金属間化合物が生成した。亜鉛ダ
イカスト合金の比重よりもこの金属間化合物の比重の方
が小さいため、金属間化合物の一部は亜鉛ダイカスト合
金の表面に浮上したが、攪拌により金属間化合物の一部
は亜鉛ダイカスト合金中に懸濁した。この時点で、反応
槽中のアルミニウム濃度は2.409wt%、鉄の濃度
は1.196wt%であった。
【0027】次いで、攪拌機を止めて約450℃で約3
〜4時間反応槽を静置したところ、亜鉛ダイカスト合金
中に懸濁していた金属間化合物が表面に浮上してトップ
ドロスとなった。このトップドロスを柄杓ですくい取
り、溶融状態の亜鉛ダイカスト合金表面から除去した。
この時点で、反応槽中のアルミニウム濃度は0.594
4wt%、鉄の濃度は0.0187wt%であった。
【0028】以上の結果を表2にまとめた。
【0029】
【表2】
【0030】亜鉛ダイカスト合金中に7.03wt%含
まれていたアルミニウムがトップドロス分離後には0.
5944wt%(約6000ppm)まで除去された。
また、トップドロス分離後には、反応に用いた鉄も0.
0187wt%(約200ppm)と再生亜鉛の利用に
問題がない程度まで除去されている。金属間化合物と亜
鉛ダイカスト合金との比重の違いにより、鉄分を加えた
溶融状態の亜鉛ダイカスト合金を静置してトップドロス
をすくい取るという簡単な操作で亜鉛ダイカスト合金と
金属間化合物とを分離可能であることが判る。
【0031】(第2実施例)第1実施例と同様の操作で
一次脱アルミ処理を行った後、さらに二次脱アルミ処理
を行った第2実施例を以下に示す。一次脱アルミ処理 加熱装置と攪拌機とを備えた反応槽中で、亜鉛ダイカス
ト合金を530〜550℃に加熱溶解した。この時点
で、反応槽中のアルミニウム濃度は4.26wt%であ
った。
【0032】この溶融状態の亜鉛ダイカスト合金を攪拌
しながら凝固状態の亜鉛ドロスを投入し、亜鉛ドロスが
溶解して亜鉛ダイカスト合金と十分混合するまで攪拌を
続けた。亜鉛ドロス中の鉄と亜鉛ダイカスト合金中のア
ルミニウムが反応して金属間化合物が生成した。第1実
施例と同様に、金属間化合物の一部は亜鉛ダイカスト合
金の表面にトップドロスとして浮上したが、攪拌により
金属間化合物の一部は亜鉛ダイカスト合金中に懸濁し
た。この時点で、反応槽中のアルミニウム濃度は1.2
5wt%、鉄の濃度は1.13wt%であった。
【0033】次いで、攪拌機を止めて約450℃で約3
〜4時間反応槽を静置したところ、亜鉛ダイカスト合金
中に懸濁していた金属間化合物が表面に浮上してトップ
ドロスとなった。このトップドロスを柄杓ですくい取っ
た。この時点で、反応槽中のアルミニウム濃度は0.2
6wt%、鉄の濃度は0.016wt%であった。二次脱アルミ処理 一次脱アルミ処理を行った後の亜鉛ダイカスト合金を反
応槽中で溶融状態に保ち、ZnCl2 とNaClとを
2.2:1.0wt%の重量比で含むフラックスを加え
た。一定時間反応槽を加熱保持しながら攪拌し、亜鉛ダ
イカスト合金中に残存したアルミニウムをAlCl3
してフラックス中に捕集した。この時点で、亜鉛ダイカ
スト合金中のアルミニウム濃度は0.0014wt%、
鉄の濃度は0.020wt%であった。
【0034】以上の結果を表3にまとめた。
【0035】
【表3】
【0036】亜鉛ダイカスト合金中に4.26wt%含
まれていたアルミニウムが、一次脱アルミ処理によって
0.26wt%(約2600ppm)まで除去された。
この残存アルミニウムは、二次脱アルミ処理によってさ
らに0.0014wt%(14ppm)まで除去するこ
とができた。ここで、アルミニウムを4%程度含む亜鉛
ダイカスト合金に対して直接二次脱アルミ処理を行い、
アルミニウム濃度を数100ppm以下に低下させるこ
とも理論上は可能である。しかし、二次脱アルミ処理の
みで多量のアルミニウムを除去しようとするとフラック
スを大量に必要とするため、実操業には不向きである。
【0037】例えば、アルミニウムを4%含む亜鉛ダイ
カスト合金1000kg(アルミニウム含有量40k
g)に対して直接二次脱アルミ処理を行ってアルミニウ
ムを除去する場合を想定する。 NaOH系フラックスを使用した場合、脱アルミ反応
は下記のように起こる。 6NaOH+2Al→Al23 +3Na2 O+3H2 ・・・(9) 理論的NaOH必要量は約180kgであり、過剰分を
30%見込むと約230kgのフラックスを必要とす
る。 本発明の第2実施例と同様にZnCl2 −NaCl系
フラックスを使用した場合、脱アルミ反応は以下のよう
に起こる。
【0038】 3ZnCl2 +2Al→2AlCl3 +3Zn ・・・(10) 理論的ZnCl2 必要量は約300kgであり、さらに
溶融塩の安定化のためZnCl2 と同量のNaClが必
要である。ZnCl2 の過剰分を30%見込むと約79
0kgのフラックスを必要とする。本発明の第2実施例
においては、一次脱アルミ処理で亜鉛ダイカスト合金中
のアルミニウム濃度を数1000ppm程度に低下させ
てから二次脱アルミ処理を行うため、フラックスの使用
量を低減することができるという効果がある。
【0039】(第3実施例)亜鉛ダイカスト合金中のア
ルミニウム濃度から、亜鉛ドロスを投入したときのアル
ミニウムと鉄との反応状態を調べた。反応槽内で、アル
ミニウムを約5.8wt%含む亜鉛ダイカスト合金3
7.7kgを470〜490℃に保持し、攪拌しながら
溶融状態の亜鉛ドロスを段階的に投入した。各段階での
亜鉛ドロス投入量を表4に示す。
【0040】
【表4】
【0041】起電力から濃度換算して亜鉛ダイカスト合
金中のアルミニウム量を測定することにより、アルミニ
ウムと鉄との反応状態を観察した。その結果を図2、3
に示す。図2、3において、a〜lは表4に示した亜鉛
ドロスを投入した時期を表わす。図2、3より、亜鉛ド
ロスの投入直後から亜鉛ダイカスト合金中のアルミニウ
ム濃度が減少している。したがって、鉄とアルミニウム
との反応が速やかに起こることが判る。
【0042】第3実施例の亜鉛ドロス投入量とアルミニ
ウム濃度との関係を図4に示す。第3実施例の実験範囲
内では、亜鉛ドロス投入量とともにアルミニウム濃度が
低下していることが判る。 (第4実施例)第3実施例と同様に、亜鉛ダイカスト合
金中のアルミニウム濃度から、亜鉛ドロスを投入したと
きのアルミニウムと鉄との反応状態を調べた。
【0043】反応槽内で、アルミニウムを約5.6wt
%含む亜鉛ダイカスト合金39.2kgを470〜49
0℃に保持し、攪拌しながら溶融状態の亜鉛ドロスを投
入した。第4実施例においては、使用する亜鉛ドロスの
大部分を最初に投入した。各段階での亜鉛ドロス投入量
を表5に示す。
【0044】
【表5】
【0045】起電力から濃度換算して亜鉛ダイカスト合
金中のアルミニウム量を測定することにより、アルミニ
ウムと鉄との反応状態を観察した。その結果を図5、6
に示す。図5、6において、m〜pは表5に示した亜鉛
ドロスを投入した時期を表わす。図5、6より、亜鉛ド
ロスを少しずつ投入した第3実施例と同様に、大部分の
亜鉛ドロスを一度に投入した第4実施例においても亜鉛
ドロスの投入直後から亜鉛ダイカスト合金中のアルミニ
ウム濃度が減少しており、鉄とアルミニウムとの反応が
速やかに起こることが判る。
【0046】(第5実施例)本発明による一次脱アルミ
処理および二次脱アルミ処理を実施するための亜鉛の精
練装置を図1に示す。攪拌機12を有する第1の反応槽
10には、亜鉛合金供給部4からポンプ43により溶解
槽41内の亜鉛ダイカスト合金15が供給され、また、
亜鉛ドロス供給部5からポンプ53により溶解槽51内
の亜鉛ドロス55が供給される。
【0047】トップドロス分離槽20は、トップドロス
分離槽20内を深さ方向に仕切る仕切板221、22
2、223、224、225、226がトップドロス分
離槽20の上下から交互に延びている。仕切り板221
の図1に示す左側に、ポンプ23により第1の反応槽1
0内の亜鉛ダイカスト合金15が供給される。攪拌機3
2を有する第2の反応槽30には、ポンプ33によりト
ップドロス分離槽20内の亜鉛ダイカスト合金15が供
給され、また、フラックス供給部6からポンプ63によ
りフラックス65が供給される。ポンプ33のトップド
ロス分離槽20側には、バルブ24が設けられている。
第2の反応槽30内の亜鉛ダイカスト合金15は、ポン
プ73により再生亜鉛抜出部7の型71に流し込まれ、
冷却されて最終製品である再生亜鉛となる。
【0048】上記の装置による亜鉛ダイカスト合金15
の精練は以下のように行われる。 (1) 亜鉛合金供給部4の溶解槽41内で亜鉛ダイカスト
合金15を400℃以上に加熱し溶解する。本発明の第
5実施例では、約430℃で亜鉛ダイカスト合金15の
加熱溶解を行った。 (2) 亜鉛ドロス供給部5の溶解槽51内で亜鉛ドロス5
5を420℃以上に加熱溶解する。このとき、攪拌機5
2により溶融状態の亜鉛ドロスを攪拌し、ツェータ晶
(535℃以上ではデルタ1晶)の沈殿を防止する。本
発明の第5実施例では、約550〜570℃で亜鉛ドロ
スの加熱溶解を行った。 (3) ポンプ43により溶融状態の亜鉛ダイカスト合金1
5を第1の反応槽10に供給し、ポンプ53により溶融
状態の亜鉛ドロス55を第1の反応槽10に供給する。
反応を促進するため、攪拌機12により亜鉛ダイカスト
合金15と亜鉛ドロス55とを攪拌する。亜鉛ダイカス
ト合金15中のアルミニウムと亜鉛ドロス55とが反応
し、FeAl3 とFe2 Al3 とからなる金属間化合物
11を生成する。攪拌機12が攪拌を続けているため金
属間化合物11の一部は亜鉛ダイカスト合金15中に懸
濁するが、一部は亜鉛ダイカスト合金15の表面に浮上
する。浮上した金属間化合物11は適当な手段で除去さ
れる。 (4) 金属間化合物11の生成が十分進行した時点で、ポ
ンプ23により第1の反応槽10の内容物をトップドロ
ス分離槽20に移送し、約420℃〜500℃で約3〜
4時間放置して亜鉛ダイカスト合金15中に懸濁した金
属間化合物11を浮上させる。このとき、亜鉛ダイカス
ト合金15と金属間化合物11との分離を促進するため
には、亜鉛ダイカスト合金15の融点以上の範囲でなる
べく低い温度に亜鉛ダイカスト合金15を保持すること
が有利である。トップドロス分離槽20内の亜鉛ダイカ
スト合金15の放置温度は、約420℃〜450℃とす
ることが好ましい。仕切板221、222、226、2
24、225、226によって浮上した金属間化合物1
1の除去を容易にすると共に、トップドロス分離槽20
から亜鉛ダイカスト合金15を抜取る時に金属間化合物
11が再び亜鉛ダイカスト合金15中に巻込まれること
を防止している。 (5) バルブ24を開き、ポンプ33によりトップドロス
分離槽20の底部付近の壁面から亜鉛ダイカスト合金1
5を抜取り、第2の反応槽30内に移送する。次いで、
ポンプ63によりフラックス供給部6の溶解槽61内で
溶解されたNaCl−ZnCl2 系フラックス65を第
2の反応槽30に供給する。攪拌機32により亜鉛ダイ
カスト合金15を攪拌し、フラックス65により亜鉛ダ
イカスト合金15中のアルミニウムおよびマグネシウム
が塩化物として除去されることを促進する。 (6) 亜鉛ダイカスト合金15中のアルミニウム濃度が目
標値以下に低下した後、ポンプ73により第2の反応槽
30から亜鉛ダイカスト合金15を抜取り、再生亜鉛抜
出部7の型71に流し込み冷却して最終製品とする。
【0049】本発明の第5実施例によると、一次脱アル
ミ処理において、第1の反応槽10で亜鉛ダイカスト合
金15中のアルミニウムと亜鉛ドロス55中の鉄とから
金属間化合物11を生成し、トップドロス分離槽20に
より金属間化合物11を亜鉛ダイカスト合金15から確
実に除去することができる。次いで、トップドロス分離
槽20の下部から一次脱アルミ処理後の亜鉛ダイカスト
合金15を抜取り第2の反応槽30で二次脱アルミ処理
を実施することにより、アルミニウムを比較的多量に含
む亜鉛ダイカスト合金から工業的に再生亜鉛を得ること
が可能である。
【0050】なお、本発明の第5実施例においては第1
の反応槽、トップドロス分離槽および第2の反応槽を備
えた亜鉛の精練装置を用いたが、トップドロス分離槽を
省いて第1の反応槽または第2の反応槽内で鉄分を添加
した亜鉛ダイカスト合金を静置して金属間化合物を浮上
させ、トップドロスを分離除去することも可能である。
さらに、第1の反応槽内にフラックスを供給するように
フラックス供給部を設けることにより、第1の反応槽内
でトップドロスを除去した亜鉛ダイカスト合金を第2の
反応槽に移送することなく、第1の反応槽内で二次脱ア
ルミ処理を行うことも可能である。
【0051】また、本発明の第1〜第5実施例において
は一次脱アルミ処理における鉄分の供給源として亜鉛ド
ロスを使用したが、鉄分の供給源としては、最終製品に
影響を与えずかつ鉄に対してアルミニウムよりも親和力
の低い金属と鉄との合金を使用することも可能である。
さらに、鉄分の供給源として純鉄を用いることもでき
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による亜鉛の精練方法を実施するための
装置を示す概略図である。
【図2】本発明の第3実施例によるアルミニウムと鉄と
の反応状態を示すデータ図である。
【図3】本発明の第3実施例によるアルミニウムと鉄と
の反応状態を示すデータ図である。
【図4】本発明の第3実施例による亜鉛ドロス添加量と
アルミニウム濃度との関係を示すデータ図である。
【図5】本発明の第4実施例によるアルミニウムと鉄と
の反応状態を示すデータ図である。
【図6】本発明の第4実施例によるアルミニウムと鉄と
の反応状態を示すデータ図である。
【符号の説明】
4 亜鉛合金供給部 5 亜鉛ドロス供給部 6 フラックス供給部 7 再生亜鉛抜出部 10 第1の反応槽 11 金属間化合物 12 攪拌機 15 亜鉛ダイカスト合金 20 トップドロス分離槽 30 第2の反応槽 32 攪拌機 55 亜鉛ドロス 65 フラックス

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 亜鉛合金に鉄または鉄を含む化合物を混
    合し、鉄または鉄を含む化合物中の鉄と亜鉛合金中に含
    まれるアルミニウムとから生成する金属間化合物を亜鉛
    合金から除去することにより、亜鉛合金からアルミニウ
    ムを除去することを特徴とする亜鉛の精練方法。
  2. 【請求項2】 溶融状態の亜鉛合金に鉄または鉄を含む
    化合物を混合することを特徴とする請求項1記載の亜鉛
    の精練方法。
  3. 【請求項3】 金属間化合物と亜鉛合金との比重の差を
    利用して亜鉛合金から金属間化合物を分離することを特
    徴とする請求項1または2記載の亜鉛の精練方法。
  4. 【請求項4】 鉄または鉄を含む化合物は、亜鉛ドロス
    であることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項
    記載の亜鉛の精練方法。
  5. 【請求項5】 溶融状態の亜鉛合金に鉄または鉄を含む
    化合物を混合して鉄または鉄を含む化合物中の鉄と亜鉛
    合金中のアルミニウムとから金属間化合物を生成させる
    段階と、金属間化合物を亜鉛合金の表面に浮上させる段
    階と、亜鉛合金の表面から金属間化合物を除去する段階
    とからなる一次脱アルミ処理と、 一次アルミ処理を実施した後の亜鉛合金にフラックスを
    加え、フラックスにより亜鉛合金中の残存アルミニウム
    を除去する二次脱アルミ処理と、 からなることを特徴とする亜鉛の精練方法。
  6. 【請求項6】 請求項5記載の亜鉛の精練方法を実施す
    るための装置であって、 攪拌機を備えた第1の反応槽と、 前記第1の反応槽に亜鉛合金を供給する亜鉛合金供給部
    と、 前記第1の反応槽に鉄または鉄を含む化合物を供給する
    鉄分供給部と、 前記第1の反応槽の内容物を移送可能に設けられる第2
    の反応槽と、 前記第2の反応槽にフラックスを供給するフラックス供
    給部とを備えたことを特徴とする亜鉛の精練装置。
  7. 【請求項7】 前記第1の反応槽と前記第2の反応槽と
    の間に、亜鉛合金の表面に金属間化合物を浮上させ除去
    する金属間化合物分離槽をさらに備えたことを特徴とす
    る請求項6記載の亜鉛の精練装置。
JP22767294A 1994-09-22 1994-09-22 亜鉛の精練方法および装置 Pending JPH0892664A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP22767294A JPH0892664A (ja) 1994-09-22 1994-09-22 亜鉛の精練方法および装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP22767294A JPH0892664A (ja) 1994-09-22 1994-09-22 亜鉛の精練方法および装置

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH0892664A true JPH0892664A (ja) 1996-04-09

Family

ID=16864527

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP22767294A Pending JPH0892664A (ja) 1994-09-22 1994-09-22 亜鉛の精練方法および装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH0892664A (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6364930B1 (en) * 1998-02-11 2002-04-02 Andritz Patentverwaltungsgellschaft Mbh Process for precipitating compounds from zinc metal baths by means of a hollow rotary body that can be driven about an axis and is dipped into the molten zinc
RU2778931C1 (ru) * 2022-04-28 2022-08-29 Общество с ограниченной ответственностью "ПК "Беллит" Способ рафинирования гартцинка от примеси железа и алюминия

Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS5059218A (ja) * 1973-09-27 1975-05-22
JPS5479122A (en) * 1977-12-08 1979-06-23 Mitsui Mining & Smelting Co Purification of metallic zinc containing substantial quantity of aluminum and iron
JPH06212305A (ja) * 1993-01-14 1994-08-02 Esutemu:Kk 亜鉛の精練方法

Patent Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS5059218A (ja) * 1973-09-27 1975-05-22
JPS5479122A (en) * 1977-12-08 1979-06-23 Mitsui Mining & Smelting Co Purification of metallic zinc containing substantial quantity of aluminum and iron
JPH06212305A (ja) * 1993-01-14 1994-08-02 Esutemu:Kk 亜鉛の精練方法

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6364930B1 (en) * 1998-02-11 2002-04-02 Andritz Patentverwaltungsgellschaft Mbh Process for precipitating compounds from zinc metal baths by means of a hollow rotary body that can be driven about an axis and is dipped into the molten zinc
US6656415B2 (en) 1998-02-11 2003-12-02 Andritz Patentverwaltungsgesellschaft M.B.H. Process and device for precipitating compounds from zinc metal baths by means of a hollow rotary body that can be driven about an axis and is dipped into the molten zinc
RU2778931C1 (ru) * 2022-04-28 2022-08-29 Общество с ограниченной ответственностью "ПК "Беллит" Способ рафинирования гартцинка от примеси железа и алюминия

Similar Documents

Publication Publication Date Title
Grandfield et al. Direct-chill casting of light alloys: science and technology
Beddoes et al. Principles of metal manufacturing processes
CA1153895A (en) Process for purifying aluminum
US7550028B2 (en) Method for recycling aluminum-lithium-type alloy scrap
Taylor Metal-related castability effects in aluminium foundry alloys
EP0396389A1 (en) Production of aluminum master alloy rod
CN100406159C (zh) 一种使Mg-Al-Zn基铸造镁合金获得高强度高韧性的方法
US4832911A (en) Method of alloying aluminium
KR20220158850A (ko) 금속-코팅된 강철 스트립
US4767455A (en) Process for the preparation of pure alloys based on rare earths and transition metals by metallothermy
US4430174A (en) Method for refinement of impure aluminum
JPH0770666A (ja) アルミニウムスクラップの連続精製方法及び装置
Szajnar et al. Influence of electromagnetic field on pure metals and alloys structure
JPH0236653B2 (ja)
JPH0892664A (ja) 亜鉛の精練方法および装置
US4075008A (en) Method for the reclamation of zinc from galvanizing baths
EP1460141B1 (en) Method for the production a magnesium-based alloy
JP3458840B2 (ja) アルミニウム処理方法
Khaliq Thermodynamics and kinetics of transition metal borides formation in molten aluminium
CA2124024A1 (en) Method for the extraction of the metallic phase from dispersed mixtures of light metals and nonmetallic components
US3993474A (en) Fluid mold casting slag
US4808375A (en) Process for producing aluminium-silicon alloy with content of silicon of 2-22% by mass
SU1157137A1 (ru) Способ очистки ковшей
RU2234551C2 (ru) Способ получения магниево-титаново-ниобиевой лигатуры
EP1073774A1 (en) Magnesium alloying