JP2773463B2 - 自動変速機の変速制御装置 - Google Patents

自動変速機の変速制御装置

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JP2773463B2
JP2773463B2 JP3126792A JP12679291A JP2773463B2 JP 2773463 B2 JP2773463 B2 JP 2773463B2 JP 3126792 A JP3126792 A JP 3126792A JP 12679291 A JP12679291 A JP 12679291A JP 2773463 B2 JP2773463 B2 JP 2773463B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、油圧操作により、それ
ぞれ独立してアップシフトないしはダウンシフト可能な
第1変速機部と第2変速機部とを備え、一方の変速機部
をアップシフトし、他方の変速機部をダウンシフトする
所定の同時変速により、全体としてアップシフトあるい
はダウンシフトの特定の変速を行う自動変速機の変速制
御装置の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】車両用自動変速機の急速な普及に伴い、
主に燃費の向上を意図して車速及びスロットル開度等に
関係して変速段を自動的に切換え得る主変速機部に、変
速比が1以下となる、いわゆるオーバードライブ装置を
副変速機部として直列に付設したものが多く採用されて
きている。
【0003】以降、このような複数の変速機部を備えた
自動変速機において、それぞれの変速部を第1変速機
部、あるいは第2変速機部と呼ぶ。例えば、前記主変速
機部を第1変速機部と呼び、副変速機部を第2変速機部
と呼ぶ。
【0004】又、こうしたオーバードライブ装置のよう
な低速段と高速段とに切換え得る第2変速機部としての
機能に着目し、これを第1変速機部の変速に積極的に同
調させ、第1変速機部と第2変速機部とを同時又は交互
にシフトさせることにより、例えば図3のA部分に示さ
れるような変速制御を行わせることによって、前進6段
の多段変速を達成するようにしたものも既に知られてい
る。
【0005】このように、複数の変速機部を直列関係に
配置することによって、既存の自動変速機を基礎とし、
設計変更を少なくして製造上有利としながら、容易に多
段変速が実現でき、燃費の向上、動力性能の向上、ある
いは変速段を多段にしたことによる摩擦材の負担低下等
の多くの利点を得ることができる。
【0006】しかしながら、このような所定の同時変速
による特定の変速を行う自動変速機においては、前述の
ような第1変速機部と第2変速機部とに関して、一方の
変速機部をアップシフトし、他方の変速機部をダウンシ
フトする所定の同時変速の際に、これら第1変速機部と
第2変速機部とのそれぞれのシフトを個別に制御した場
合に、変速ショックの増大や、ダウンシフト後のアップ
シフト、あるいはアップシフト後のダウンシフトという
ような奇妙な運転感覚の変速特性が生じてしまうという
問題がある。
【0007】従って、このような問題を解決するため
に、特開昭61−99745では、第1変速機部をアッ
プギヤシフトし、且つ第2変速機部をダウンシフトする
ことによって、自動変速機全体をアップシフトする際に
は、前記第1変速機部側のメンバがアップシフトへの回
転数変化を行っている間に、前記第2変速機部部のメン
バのダウンシフトへの回転数変化を開始・完了するよう
にしている。
【0008】又、特開昭61−99753では、第1変
速機部をダウンシフトし、且つ第2変速機部をアップシ
フトすることによって、自動変速機全体をダウンシフト
する際には、第1変速機部部のメンバがダウンシフトへ
の回転数変化を行っている間に、前記第2変速機部部の
メンバのアップシフトへの回転数変化を開始・完了する
ようにしている。
【0009】従って、これら特開昭61−99745及
び特開昭61−99753で開示されている技術によれ
ば、複数の変速機部を備えた自動変速機において、1つ
の変速機部をアップシフトし、別の変速機部をダウンシ
フトする所定の同時変速により、自動変速機全体として
アップシフトあるいはダウンシフトの特定の変速を行う
際にも、該特定の変速期間中の変速特性は、終始アップ
シフト時の変速特性、あるいはダウンシフト時の変速特
性のいずれか一方の変速特性のみとすることができる。
【0010】
【発明が達成しようとする課題】しかしながら、従来、
前述の特開昭61−99745や特開昭61−9975
3を適用して、自動変速機全体の変速方向と同一方向の
変速を行う変速機部が回転数変化を行っている間に、こ
れとは逆方向の変速を行う変速機部の回転数変化を開始
・完了する際に、この逆方向の変速を行う変速機部の回
転数変化の開始時期の制御が困難であり、この逆方向の
変速を行う変速機部の変速の完了(回転数変化の完了)
が遅れ、これに従って、自動変速機全体と逆方向の変速
が変速終期に残存したり、自動変速機全体の変速の完了
も遅れてしまうという問題があった。
【0011】例えば、前述の特開昭61−99745の
実施例においては、第2速段から第3速段へのアップシ
フトを行う際に、ブレーキB2 の係合により、第1変速
機部のメンバがアップシフトへの回転数変化を開始した
(イナーシャ相が開始した)ことを検出して、ブレーキ
B0 の解放を行うための操作を行って、第2変速機部の
メンバのダウンシフトへの回転数変化を開始させるよう
にしている。
【0012】しかしながら、ブレーキB0 の解放の操作
を行ってから、実際に第2変速機部のメンバのアップシ
フトへの回転数変化が開始するまでは時間がかかってし
まう。
【0013】これは、ブレーキB0 の解放の制御を行う
油圧回路の遅れ時間によるものである。
【0014】従って、この特開昭61−99745の実
施例においては、第2変速機部のメンバのダウンシフト
への回転数変化の完了時期に遅れが生じてしまうことが
あった。このため、第1変速機部のメンバの回転数変化
の完了を第2変速機部のメンバの回転数変化の完了より
後とするには、第1変速機部のメンバのアップシフトへ
の回転数変化の完了時期も遅らせなければならず、自動
変速機全体の変速時間を延長させてしまうという問題を
生じてしまう。
【0015】又、一方の変速機部をアップシフトし、他
方の変速機部をダウンシフトする所定の同時変速によ
り、全体としてアップシフトあるいはダウンシフトの特
定の変速を行う際、これら2つの変速機部のアップシフ
トないしはダウンシフトの操作をまず同時に行ってしま
い、アップシフトないしはダウンシフトへのメンバの回
転数変化の開始が後になるべき方の変速機部に対して
は、電気回路や油圧回路等により、メンバの回転数変化
の開始を遅らせるということも考えることができる。
【0016】しかしながら、先にメンバの回転数変化を
させる変速機部の実際の回転数変化の開始時期等にはば
らつきが生じるものであり、長い余裕時間を設定しない
と回転数変化の開始が後になるべき方の変速機部の回転
数変化が先になってしまい、自動変速機全体の変速方向
と逆の方向から変速が開始されるという問題が生じてし
まう可能性がある。
【0017】本発明は、前記従来の問題点を解決するべ
くなされたもので、自動変速機全体の変速方向と逆方向
の変速を行う変速機部のメンバの回転数変化を開始させ
る操作を行ってから、実際にこの回転数変化が開始する
までの遅れ時間を短縮し、これにより、当該特定の変速
の変速時間全体の不必要な延長やエンジンの噴き上りや
違和感のある変速ショック増大の防止等の変速特性を向
上させることが可能な、自動変速機の変速制御装置を提
供することを目的とする。
【0018】
【課題を達成するための手段】本発明は、図1にその要
旨を示す如く、油圧操作により、それぞれ独立してアッ
プシフトないしはダウンシフト可能な第1変速機部と第
2変速機部とを備え、一方の変速機部をアップシフト
し、他方の変速機部をダウンシフトする所定の同時変速
により、全体としてアップシフトあるいはダウンシフト
の特定の変速を行う自動変速機の変速制御装置におい
て、前記特定の変速の実行の可否を判定して、前記第1
及び第2変速機部の前記所定の変速を同時に開始させる
変速指令手段と、変速を行う前の係合時の油圧値よりも
低く、且つ自動変速機全体の変速方向と逆方向の変速を
行う変速機部のイナーシャ相は開始させない第1油圧値
と、該変速機部のイナーシャ相を開始させる第2油圧値
とを決定する油圧値決定手段と、前記変速指令と共に、
自動変速機全体の変速方向と同一方向の変速を行う変速
機部の油圧操作を行う共に、逆方向の変速を行う変速機
部の前記第1油圧値への油圧操作を行う油圧操作手段
と、自動変速機全体の変速方向と同一方向の変速を行う
変速機部のイナーシャ相の開始を検出するイナーシャ相
開始検出手段と、前記イナーシャ相開始検出時に、前記
第1油圧値への油圧操作を行った変速機部に対して、前
記第2油圧値への油圧操作を行うイナーシャ相開始時油
圧操作手段と、を備えたことにより、前記課題を達成す
るものである。
【0019】なお、前記イナーシャ相とは、変速時に係
合ないしは解放を行う摩擦係合装置の作動によって、回
転メンバが変速のための回転速度変化を生じている期間
である。
【0020】
【作用】本発明においては、2つの変速機部の変速の方
向の異なる所定の同時変速による特定の変速の際、自動
変速機全体の変速方向と同一方向の変速を行う変速機部
のイナーシャ相の開始を検出してから、これとは逆方向
の変速を行う変速機部のイナーシャ相を開始させるため
の油圧操作を行うようにしている。
【0021】従って、本発明によれば、自動変速機全体
の変速方向と逆方向の変速を行う変速機部のイナーシャ
相の開始を、自動変速機全体の変速方向と同一方向の変
速を行う変速機部のイナーシャ相の開始よりも確実に遅
らせることができ、違和感のない変速特性とすることが
できる。
【0022】更に、本発明においては、後からイナーシ
ャ相の開始を行うべき変速機部に対して、イナーシャ相
の開始が先になるべき変速機部のイナーシャ相の開始の
油圧操作と同時に、まず第1油圧値への油圧操作を行う
ようにしている。この第1油圧値は、変速を行う前の係
合時の油圧値よりも低く、且つ後からイナーシャ相が開
始されるべき変速機部のイナーシャ相が開始されない程
度の油圧値である。即ち、イナーシャ相を開始させる際
には、比較的少ない油圧の変化でイナーシャ相を開始さ
せることができる油圧値である。
【0023】その上で先にイナーシャ相が開始されるべ
き変速機部のイナーシャ相の開始の検出と共に、後にイ
ナーシャ相が開始される変速機部の第2油圧値への油圧
操作を行うようにしている。この前記第2油圧値は、後
からイナーシャ相が開始されるべき変速機部の、実際に
イーシャ相の開始が可能な油圧値である。
【0024】即ち、本発明は、自動変速機の摩擦係合装
置の係合あるいは解放を行うために、油圧の低下ないし
は増加をさせる際に、この油圧の低下量や増加量が少な
い程、この操作のための油圧回路における遅れ時間を短
縮できることを見出だしてなされたものである。
【0025】このように、本発明によれば、自動変速機
全体の変速方向と同一方向の変速を行う変速機部のイナ
ーシャ相の開始後、これとは逆方向の変速を行う変速機
部のイナーシャ相の開始の遅れ時間を短縮することがで
きる。
【0026】
【実施例】以下、図面に基づいて本発明の実施例を詳細
に説明する。
【0027】図2に本発明が適用される車両用自動変速
機の全体概要を示す。
【0028】この自動変速機は、そのトランスミッショ
ン部2として、トルクコンバータ20と、第2変速機部
40と、前進3段、後進1段の第1変速機部60とを備
える。
【0029】前記トルクコンバータ20は、ポンプ2
1、タービン22、ステータ23、及びロックアップク
ラッチ24を備える。ポンプ21は、エンジン1のクラ
ンク軸10と連結され、タービン22は第2変速機部4
0における遊星歯車装置のキャリア41に連結されてい
る。
【0030】前記第2変速機部40においては、このキ
ャリア41によって回転可能に支持されたプラネタリピ
ニオン42がサンギヤ43及びリングギヤ44と噛合し
ている。又、サンギヤ43とキャリア41との間には、
クラッチC0 及び一方向クラッチF0 が設けられてお
り、サンギヤ43とハウジングHu との間には、ブレー
キB0 が設けられている。
【0031】前記第1変速機部60には、遊星歯車装置
としてフロント側及びリヤ側の2列が備えられている。
この遊星歯車装置は、それぞれ共通のサンギヤ61、リ
ングギヤ62、63、プラネタリピニオン64、65、
及びギヤリア66、67からなる。
【0032】第2変速機部40のリングギヤ44は、ク
ラッチC1 を介して前記リングギヤ62に連結されてい
る。又、前記リングギヤ44とサンギヤ61との間には
クラッチC2 が設けられている。更に、前記キャリア6
6は、前記リングギヤ63と連結されており、これらキ
ャリア66及びリングギヤ63は出力軸70と連結され
ている。一方、前記キャリア67とハウジングHuとの
間には、ブレーキB3及び一方向クラッチF2 が設けら
れており、更に、サンギヤ61とハウジングHu との間
には、一方向クラッチF1 を介してブレーキB2 が設け
られ、又、サンギヤ61とハウジングHu との間には、
ブレーキB1 が設けられている。
【0033】この自動変速機は、上述の如きトランスミ
ッション部2を備え、エンジン1の負荷状態を反映して
いるスロットル開度を検出するスロットルセンサ10
0、及び車速を検出する車速センサ102等の信号を入
力された中央処理装置(ECU)104によって、予め
設定された変速パターンに従って、油圧制御回路106
内の電磁ソレノイドバルブS1、S2、SU、SLが駆
動・制御され、図3のB部分に示されるような、各クラ
ッチ、ブレーキ等の係合の組合せが行われて変速制御が
なされる。
【0034】なお、図3において○印は係合状態を示
し、又、×印はエンジンブレーキ使用時にのみ係合状態
となることを示している。
【0035】前記電磁ソレノイドバルブS1、S2は、
第1変速機部60の変速制御を行い、前記電磁ソレノイ
ドバルブSUは、第2変速機部40の高速側及び低速側
の制御を行い、又、前記電磁ソレノイドバルブSLはト
ルクコンバータ20のロックアップクラッチ24の制御
を、それぞれ行うようになっている。
【0036】なお、図2において符号110はシフトポ
ジションセンサで、運転者によって操作されるN、D、
R等の位置を検出するもの、112はパターンセレクト
スイッチで、E(経済走行)、P(パワー走行)等を選
択するものであり、又、114はエンジンの冷却水温度
を検出する水温センサを示し、116はフットブレー
キ、118はサイドブレーキの作動を検出するブレーキ
スイッチを、それぞれ示している。
【0037】ここにおいて、この実施例では、前記中央
処理装置104に、これらの入力信号の他に、第1変速
機部60の変速に伴うクラッチC2 の回転数変化の開始
及び完了を認識するための回転速度センサSC2からの
回転速度信号Nc2と、第2変速機部の変速によるクラッ
チC0 の回転数変化中の回転速度を検出するための回転
速度センサSC0からの回転速度信号Nc0が併せて入力
されている。
【0038】図4は、前記中央処理装置(ECU)10
4で行われる制御フローを示す流れ図である。
【0039】この図4では、第2速段から第3速段への
変速時の第1変速機部60のブレーキB2 と、第2変速
機部40のブレーキB0 の制御フローが示されている。
【0040】この第2速段から第3速段への、自動変速
機全体としてはアップシフトの変速は、前述の図3に示
される如く、第1変速機部60がアップシフトし、第2
変速機部40がダウンシフトするというものである。
【0041】従って、この第2速段から第3速段へのア
ップシフトの変速は、第1変速機部60のイナーシャ相
期間中に、第2変速機部40のイナーシャ相の開始及び
完了が行われるという変速である。
【0042】又、この第1変速機部60の変速は、ブレ
ーキB2 が係合することによって行われる。又、第2変
速機部40のダウンシフトの変速は、ブレーキB0 が解
放し、クラッチC0 が係合することによって行われる。
【0043】なお、図4の制御フローや図6において
は、クラッチC0 の係合については記されていないが、
クラッチC0 の係合はエンジンブレーキ確保のためであ
り、若干遅れても支障がないため、問題の生じないとき
からゆっくりと係合される。
【0044】図4の制御フローにおいて、まずステップ
302では、エンジン負荷のチェックを行う。このエン
ジン負荷は、スロットルセンサ100から入力されるス
ロットル開度信号より検出される。
【0045】ステップ304では、自動変速機が搭載さ
れた車両の車速チェックが行われる。この車速チェック
は、トランスミッション部2に取付けられている車速セ
ンサ102から入力される車速信号No によって検出さ
れる。
【0046】ステップ306では、ステップ302で検
出されたエンジン負荷とステップ304で検出された車
速とに主に従って、第2速段から第3速段への変速の実
行の可否を判定する。又、このステップ306で第2速
段から第3速段への変速を実行すると判定された場合に
は、次にステップ308へ進む。一方、このステップ3
06で第2速段から第3速段への変速を実行しないと判
定された場合には、この図4の制御フローに示される全
ての処理を終了する。
【0047】ステップ308では、ステップ302でチ
ェックされたエンジン負荷(スロットル開度)と、パタ
ーンセレクトスイッチ112で選択されたE(経済走
行)、あるいはP(パワー走行)をどちらであるかによ
り、図5の線図に示されるテーブルを用いながら、後述
するステップ312あるいはステップ316で用いられ
る第1油圧値及び第2油圧値の決定を行う。なお図5の
各数字は、コントロール可能幅を100%としたときの
油圧低下量(%)を示している。
【0048】第1油圧値は第2変速機部40のブレーキ
B0 が変速前に係合していたときの油圧値より低く、且
つイナーシャ相は開始させない油圧値、具体的にはイナ
ーシャ相が開始する直前の油圧値であり、第2油圧値
は、イナーシャ相が開始し得る油圧値である。
【0049】ステップ310では、第1変速機部60の
アップシフト(この第1変速機部60の3つの変速段
の、第1速段から第2速段への変速)を行うため、この
第1変速機部60のブレーキB2 油圧のアプライを行
う。このステップ310の後、このブレーキB2 の油圧
は、時間と共に上昇し、このブレーキB2 は次第に係合
されていく。
【0050】ステップ312では、第2変速機部40の
ブレーキB0 の油圧の、前述のステップ308で決定さ
れた第1油圧値への油圧低下が開始される。このステッ
プ312での第1油圧低下指令は、この第2変速機部4
0の変速のイナーシャ相を開始させるための操作を行う
際の遅れ時間を短縮することを目的としており、このス
テップ312での第1油圧低下指令によっては、この第
2変速機部40変速のイナーシャ相は開始されない。
【0051】ステップ314では、車速センサ102か
ら入力される車速信号No と、回転速度センサSC2か
ら入力される回転速度信号Nc2とを用いて次式により第
1変速機部60で行われているアップシフトのイナーシ
ャ相が開始されたか判定する。
【0052】 No /ρ1 −Nc2≧ΔN1 …(1)
【0053】なお、ρ1 は第1変速機部60のフロント
プラネタリ歯数比であり、ΔN1 はこの判定のための定
数である。
【0054】このステップ314は、このイナーシャ相
が開始されていない場合は、ループ処理となり、又、こ
のイナーシャ相が開始されると共に、ステップ316へ
進む。
【0055】ステップ316では、前出のステップ31
4における第1変速機部60のイナーシャ相開始の検出
により、第2変速機部40のダウンシフトのイナーシャ
相を開始させるために、この第2変速機部40のブレー
キB0 の油圧の、前述のステップ308で決定された第
2油圧値への油圧低下を行う。このステップ316で行
われる第2油圧低下指令の目的は、第2変速機部40の
ダウンシフトのイナーシャ相を開始させ、適度な速度で
所定の回転メンバの変速のための回転速度変化を行わせ
る前記第2油圧値を用いて、この第2変速機部のダウン
シフトを開始・完了させることである。
【0056】ステップ318では、ステップ316の後
イナーシャ相が開始され、所定の回転メンバの変速のた
めの回転速度変化が生じている第2変速機部の変速が完
了した否かの判定を行う。このステップ318での第2
変速機部の変速完了の判定は、車速センサ102から入
力される車速信号No と、回転速度センサSC2から入
力される回転速度信号Nc2と、回転速度センサSC0か
ら入力される回転速度信号Nc0とを用いて、次式により
行う。
【0057】 i3・No +ρ2 ・Nc2−Nc0≦ΔN2 …(2)
【0058】なお、ρ2 は第1変速機部60のリヤプラ
ネタリ歯数比であり、i3は第1変速機部60のこの実行
中の変速の完了後のギヤ比であり、ΔN2 はこの判定の
ための定数である。
【0059】このステップ318で第2変速機部の変速
が完了していないと判定された場合には、このステップ
318の処理はループとなり、このステップ318で第
2変速機部の変速が完了したと判定されると共に、ステ
ップ320に進む。
【0060】ステップ320では、前述のステップ31
8での第2変速機部の変速完了の検出と共に、第2変速
機部40のブレーキB0 の油圧の完全解放を行い、確実
に解放状態とする。
【0061】なお、このステップ320での第2変速部
40のブレーキB0 の油圧完全解放は、第2油圧値PB
02からの油圧解放であるが、図6を用いて後述するよ
うに、単一操作で完全に油圧を解放するものではなく、
第3油圧値PB03を経由して油圧を完全解放するもの
である。
【0062】図6は、第2変速機部のクラッチC0 の回
転速度と、トランスミッション部の出力軸トルクと、ブ
レーキB0 の油圧と、ブレーキB2 の油圧との、経過時
間に対する変化を示す線図である。
【0063】この図6において、破線は本実施例を示
し、二点鎖線はブレーキB0 の第1油圧値PB01への
油圧低下過程を一部異ならせた本実施例の変形例であ
る。
【0064】一方、一点鎖線は第1変速機部のイナーシ
ャ相開始の検出と共に、第2変速機部のブレーキB0 の
油圧低下を行う従来例(第2変速機部の変速遅れ有り)
であり、実線は第1変速機部のブレーキB2 の油圧のア
プライと共に、第2変速機部のブレーキB0 の油圧低下
をも同時に行う従来例である。
【0065】この図6において、時刻t1で第2速段から
第3速段への変速が判定される。この判定は、前述の図
4のステップ306に対応するものである。
【0066】この時刻t1において、第2速段から第3速
段への変速を行うと判定した場合には、第1変速機部6
0のブレーキB2 の油圧のアプライが行われる。
【0067】時刻t2においては、ブレーキB2 の係合に
よる第1変速機部60のイナーシャ相の開始が検出され
る。
【0068】一点鎖線で示される従来例においては、時
刻t2より第2変速機部40のブレーキB0 の油圧低下を
行っている。このため、符号Bに示される如く、第2変
速機部40のイナーシャ相の開始は、時刻t4まで遅れて
しまい、符号b に示されるような全体の変速の終了時期
付近において、不必要な出力軸トルクの低下が発生して
しまっている。
【0069】又、実線で示される従来例においては、時
刻t1において、第2変速機部40のブレーキB0 の油圧
低下を開始している。このため、符号Aで示されるよう
に、第2変速機部40のイナーシャ相が第1変速機部6
0のイナーシャ相の開始(時刻t2) よりも早くなってし
まっており、符号a で示されるような、不必要な出力軸
トルクの低下が発生してしまっている。
【0070】一方、破線で示される本実施例において
は、時刻t1で第2変速機部40のブレーキB0 の油圧を
第1油圧値PB01まで低下させると共に、第1変速機
部60のイナーシャ相の開始が検出される時刻t2で、ブ
レーキB0 の油圧を更に油圧値PB02まで低下させて
いる。
【0071】このような破線で示される本実施例によれ
ば、第1変速機部60のイナーシャ相の開始後の早い時
期である時刻t3で、第2変速機部のイナーシャ相をも開
始させることができる。
【0072】又、この破線で示される本実施例によれ
ば、第2変速機部のイナーシャ相の開始が、第1変速機
部のイナーシャ相の開始よりも早くなってしまうことを
確実に防止することもでき、前述した符号a で示される
ような、不必要な出力軸トルクの低下をも防止すること
ができる。
【0073】なお、二点鎖線で示される本実施例の変形
例においては、時刻t1において、第2変速機部40のブ
レーキB0 の油圧を第1油圧値PB01まで一度に低下
させずに、所定時間の間、一時的に第1油圧値PB01
aで保持するようにしている。
【0074】図6の時刻t1〜t2で示される破線の本実施
例と、二点鎖線の本実施例の変形例に示される通り、本
発明は特定の変速の実行の開始(本実施例においては、
2速段から第3速段への変速指令時)に、自動変速機全
体の変速方向と逆方向の変速を行う変速機部の第1油圧
値への前油圧操作を直接行うことに限定するものではな
く、本実施例の変形例の如く、第1油圧値PB01a 等
に一時的に油圧を保持するものであってもよい。即ち、
少なくともイナーシャ相を開始させる操作の前までに
(図6においては時刻t2の前までに)、結果としてイナ
ーシャ相を開始させる最適油圧値(第2油圧値)へ操作
が容易な第1油圧値まで油圧を変更しておくものであれ
ばよい。
【0075】又、この図6の時刻t5と時刻t6で示される
ように、破線で示される本実施例及び二点鎖線で示され
る本実施例の変形例のように、時刻t5で自動変速機全体
の変速方向と逆方向の変速を行う変速機部のイナーシャ
相の完了が検出されると共に、第3油圧値PB03へブ
レーキB0 の油圧を移行させると共に、この時刻t5より
時間ta経過後の時刻t6において、完全にこのブレーキB
0 の油圧を0にするようにしている。しかしながら、本
発明はこれに限定するものではない。
【0076】又、前述の本実施例においては、2つの変
速機部の変速の方向の異なる所定の同時変速による特定
の変速が第2速段から第3速段への変速となっており、
このときの各変速機部の変速は第1変速機部がアップシ
フトで、第2変速機部がダウンシフトであるが、本発明
はこれに限定するものではなく、2つの変速機部の変速
の方向の異なる所定の同時変速による変速であってもよ
い。
【0077】又、前述の実施例においては、図4の制御
フローに示される如く、ステップ306で行われる第2
速段から第3速段への変速が、エンジン負荷と車速とに
主に従って決定されるものであるが、本発明はこれに限
定するものではない。
【0078】又、この図4の制御フローのステップ30
8で示される油圧低下量の決定方法は、本実施例におい
ては、エンジン負荷と車速とシフトパターンとに主に従
って決定されているが、本発明はこれに限定するもので
はなく、変速前の係合時の油圧より低く、且つイナーシ
ャ相は開始させない第1油圧値と、イナーシャ相を開始
させる第2油圧値とを適切に決定することができるもの
であればよい。
【0079】例えば、これら第1油圧値や第2油圧値は
2つの変速機部の変速の方向の異なる所定の同時変速の
変速種類毎に設けられている固定値であってもよく、
又、特に第2油圧値は、フィードバック制御により常時
変化する値であってもよい。
【0080】なお、本実施例の如く、エンジン負荷や車
速により油圧低下量を決定するようにした場合には、エ
ンジン負荷や車速によってイナーシャ相が開始する油圧
値の変化に従って、これら第1油圧値及び第2油圧値を
より適切に決定することができる。
【0081】
【発明の効果】以上説明した通り、本発明によれば、油
圧操作により、それぞれ独立してアップシフトないしは
ダウンシフト可能な第1変速機部と第2変速機部とを備
え、一方の変速機部をアップシフトし、他方の変速機部
をダウンシフトする所定の同時変速により、全体として
アップシフトあるいはダウンシフトの特定の変速を行う
自動変速機の変速制御装置において、前記所定の同時変
速による前記特定の変速の際、自動変速機全体の変速方
向と逆方向の変速を行う変速機部のイナーシャ相を開始
させる操作を行ってから、実際にイナーシャ相が開始す
るまでの遅れ時間を短縮し、これにより該特定の変速の
変速時間全体の不必要な延長や、エンジンの噴き上りや
変速ショック増大の防止等の変速特性を向上させること
ができるという優れた効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の要旨を示すブロック図であ
る。
【図2】図2は、本発明の実施例が適用された自動変速
機の変速制御装置の全体構成図である。
【図3】図3は、前記自動変速機の各摩擦係合装置の係
合状態を示す線図である。
【図4】図4は、前記変速制御装置の制御フローを示す
流れ図である。
【図5】図5は、前記変速制御装置における第1油圧値
及び第2油圧値と、エンジン負荷との関係を示す線図で
ある。
【図6】図6は、前記実施例における、クラッチC0 の
回転速度と、トランスミッション部の出力軸トルクと、
ブレーキB0 の油圧と、ブレーキB2 の油圧との、時間
経過に対する変化を示すグラフである。
【符号の説明】
1…エンジン、 2…トランスミッション、 40…第2変速機部、 60…第1変速機部、 102…車速センサ、 SC0、SC2…回転速度センサ、 C0 …クラッチ、 B0 、B2 …ブレーキ、 Nc0…クラッチC0 の回転速度、 t1〜t6…時刻。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 北條 康夫 愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自 動車株式会社内 (56)参考文献 特開 昭62−165050(JP,A) 特開 平2−113163(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) F16H 59/00 - 61/12 F16H 61/16 - 61/24 F16H 63/40 - 43/48

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】油圧操作により、それぞれ独立してアップ
    シフトないしはダウンシフト可能な第1変速機部と第2
    変速機部とを備え、一方の変速機部をアップシフトし、
    他方の変速機部をダウンシフトする所定の同時変速によ
    り、全体としてアップシフトあるいはダウンシフトの特
    定の変速を行う自動変速機の変速制御装置において、 前記特定の変速の実行の可否を判定して、前記第1及び
    第2変速機部の前記所定の変速を同時に開始させる変速
    指令手段と、変速を行う前の係合時の油圧値よりも低く、且つ 自動変
    速機全体の変速方向と逆方向の変速を行う変速機部のイ
    ナーシャ相は開始させない第1油圧値と、該変速機部の
    イナーシャ相を開始させる第2油圧値とを決定する油圧
    値決定手段と、 前記変速指令と共に、自動変速機全体の変速方向と同一
    方向の変速を行う変速機部の油圧操作を行う共に、逆方
    向の変速を行う変速機部の前記第1油圧値への油圧操作
    を行う油圧操作手段と、 自動変速機全体の変速方向と同一方向の変速を行う変速
    機部のイナーシャ相の開始を検出するイナーシャ相開始
    検出手段と、 前記イナーシャ相開始検出時に、前記第1油圧値への油
    圧操作を行った変速機部に対して、前記第2油圧値への
    油圧操作を行うイナーシャ相開始時油圧操作手段と、 を備えたことを特徴とする自動変速機の変速制御装置。
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