JP2770588B2 - 光磁気記録媒体 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は光磁気記録媒体に関す
る。

【０００２】

【従来の技術】光磁気ディスクは大容量、かつランダム
アクセスが可能で、可換媒体のファイルとして既に製品
化されている。従来の光磁気ディスク媒体の記録膜の膜
厚は、反射膜を付けた４層ディスクでは２ｎｍから３０
ｎｍである。また、反射膜を付けていない３層ディスク
や、交換結合した２層あるいは３層の記録膜の膜厚は２
０ｎｍ以上である。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】従来の単一の記録膜も
しくは交換結合した記録膜において、保護膜などの変更
なしで記録感度を現在以上に上げるためには記録膜の膜
厚をより薄くすればよいが、記録膜の膜厚を２０ｎｍ未
満にすると垂直磁気異方性が小さくなり、ついには面内
磁化膜になってしまうという問題があった。面内磁化膜
を現在の光磁気ディスクに適用しても、記録密度が上が
らない、再生信号振幅が小さい等、多くの問題が生じる
ために、実用上使用できない。本発明は、このような課
題を解決して、２０ｎｍ未満の記録膜を有する光磁気記
録媒体を、垂直磁気異方性を減じることなしに提供する
ことを目的とする。

【０００４】

【課題を解決するための手段】本発明は、膜厚２０ｎｍ
未満の記録膜を使用する光磁気記録媒体であって、記録
膜の下地の表面荒さが２ｎｍ以下であることを特徴とす
る光磁気記録媒体である。

【０００５】

【作用】薄膜の形成は、飛来原子同士の相互作用、飛来
原子と基板の相互作用、基板温度、基板表面状態などの
影響を受ける。磁性薄膜においては、特に垂直磁気異方
性は基板表面状態に大きく左右され、しかも影響の程度
は薄膜の膜厚が薄いほど顕著である。従って膜厚の薄い
磁性薄膜では、下地の表面状態を制御することで垂直磁
気異方性を制御することが可能であり、下地体の表面荒
さが２ｎｍ以下であれば、垂直磁気異方性を減じること
なく維持できる。

【０００６】

【実施例】次に、本発明の実施例について説明する。図
２は本発明による光磁気記録媒体の一実施例の断面図
で、ガラス基板１上に、透明誘電体膜２および４、記録
膜３が合計３層積層されている。透明誘電体膜２および
４は、Ｓｉ₃Ｎ₄を反応性ＲＦスパッタ法で作製した。記
録膜３は、（Ｇｄ₉₀Ｔｂ₁₀）₂₂（Ｆｅ₈₀Ｃｏ₂₀）₇₈非晶
質膜をＤＣマグネトロン・スパッタ法で作製した。透明
誘電体膜２の記録膜３と接する面の成膜直後の表面荒さ
は、４ｎｍであった。その面をＡｒイオンで叩くことに
よって、表面荒さは小さくなり、表面をＡｒイオンで叩
く時間で表面荒さは制御できた。また、その表面荒さは
原子間力顕微鏡（ＡＦＭ）で測定した。

【０００７】表１に本実施例における各層の膜厚と種類
を示す。試料面に垂直な方向の磁化曲線は室温で振動試
料形磁力計（ＶＳＭ）で測定した。図１は、表面荒さの
違いによる試料面に垂直な方向の磁化曲線を示したもの
で、（ａ），（ｂ），（ｃ）および（ｄ）は、表面荒さ
がそれぞれ４ｎｍ，３ｎｍ，２ｎｍおよび１ｎｍの場合
を示す。同図より表面荒さが２ｎｍより大きいときには
面内磁化膜であり、表面荒さが２ｎｍ以下のときに垂直
磁化膜が実現できることがわかる。また、この結果、光
磁気ディスクのキャリア／ノイズ比（Ｃ／Ｎ比）、記録
磁界特性等の記録・再生特性は、面内磁化膜の場合と比
べて飛躍的に向上する。

【０００８】

【表１】実施例における各層の膜厚とその種類 ─────────────────────────────── 透明誘電 記録膜３ 透明誘電 体膜２ 体膜４ ─────────────────────────────── 種類 Si₃N₄ (Gd₉₀Tb₁₀)₂₂(Fe₈₀Co₂₀)₇₈ Si₃N₄ 膜厚(nm) 80 10 80 ───────────────────────────────

【０００９】

【発明の効果】以上、説明したように、本発明によれ
ば、垂直磁気異方性を減じることなく２０ｎｍ未満の記
録膜を有する光磁気記録媒体が提供される。

【図面の簡単な説明】

【図１】下地の各表面荒さにおける試料面に垂直な方向
の磁化曲線を示す図である。

【図２】本発明による光磁気媒体の一実施例の断面図で
ある。

【符号の説明】

１ ガラス基板 ２，４ 透明誘
電体膜 ３ 記録膜

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 膜厚２０ｎｍ未満の記録膜を使用する光
   磁気記録媒体であって、記録膜の下地の表面荒さが２ｎ
   ｍ以下であることを特徴とする光磁気記録媒体。