JP2770445B2 - アルコール断熱エンジン - Google Patents

アルコール断熱エンジン

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JP2770445B2 JP18245589A JP18245589A JP2770445B2 JP 2770445 B2 JP2770445 B2 JP 2770445B2 JP 18245589 A JP18245589 A JP 18245589A JP 18245589 A JP18245589 A JP 18245589A JP 2770445 B2 JP2770445 B2 JP 2770445B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 この発明は、アルコール燃料を用いるアルコール断熱
エンジンに関する。
〔従来の技術〕
従来、断熱エンジンとして、シリンダライナ上部を有
するセラミック製ライナヘッドをシリンダヘッドの内側
に嵌合したものは、例えば、特開昭59−122765号公報に
開示されている。
更に、従来の2サイクルエンジンにおいて、シリンダ
ヘッドに形成した排気ポートに排気バルブを配置し、又
はシリンダライナ上部の全円周に排気孔を設け、掃気孔
をシリンダライナ下部の全円周に設け、掃気及び排気ガ
スが入り乱れるのを防止して掃気効率及び吸気効率を高
め、非対称掃気型で、且つ後吸気を行うことができるユ
ニフロー掃気式のものがある。
ところで、2サイクル断熱エンジンを構成する時、ク
ランク室をコンプレッサとして機能させることは一般的
に行われている。
また、エンジンから排気される排気ガスによる環境汚
染が問題になり、最近、アルコールエンジンが注目され
るようになっている。アルコールエンジンでは、排気ガ
ス中の炭酸ガス、炭化物の含有量は、ガソリン、軽油等
の燃料に比較して非常に少ないものである。
〔発明が解決しようとする課題〕
しかしながら、アルコール燃料を使う2サイクルエン
ジンでは、アルコール燃料の着火性が悪くなるという問
題点がある。即ち、アルコールは、ガソリン、軽油等に
比較して気化するための潜熱が高く、例えば、ガソリン
が燃料の0.7%の気化潜熱を要するのに対し、アルコー
ル燃料は燃料の5%の気化潜熱を要するものであり、気
化し難いという性質を有しているからである。しかも、
アルコールインジェクタ即ち燃料噴射ノズルから吸気通
路の空気中に噴射されたアルコール燃料は、吸気の温度
を低下させ、その状態で燃焼室に導入された時には着火
を悪化させることになる。
そこで、アルコールを燃料とする断熱エンジンでは、
エンジンボディ全体を高温度にし、吸入したアルコール
燃料を気化するために高温度になった壁面から熱を奪
い、気化潜熱を与えるように構成すれば、アルコール燃
料の気化が促進され良好な混合気が生成されることにな
る。
しかしながら、エンジン全体を高温度にした場合に
は、クランク室にオイルを収容することはできず、通
常、このような2サイクル断熱エンジンでは、クランク
軸のクランクジャーナル、コンロッド大径部及びコンロ
ッド小径部の回転摺動部を潤滑する潤滑系に種々の対策
が講じられている。また、ピストンリングとシリンダラ
イナとの摺動運動に対して、該摺動部が高温度になれ
ば、焼き付きの問題が発生する。そこで、これらの摺動
部に対して如何に潤滑系を構成するかの課題があった。
また、2サイクルの作動のエンジンでは、空気交換は
排気バルブが開弁し、排気ポートを通じて排気される
時、シリンダ内に圧力波即ちパルス波が発生し、排気ガ
スを押し出す現象になる。それによって、該排気ガスの
後流に発生した負の圧力ゾーンに新気がシリンダ下部か
ら流入するが、シリンダ下部はシリンダヘッドに比較し
てそれほど高温になっていないので、新気はシリンダ下
部の壁面温度の影響を余り受けない。このことは、特
に、断熱エンジンにおいて、2サイクルの作動を行って
シリンダ下部より新気を吸入すれば、掃気空気量或いは
吸入空気量が減少しないというメリットがある。
この発明の目的は、上記の課題を解決することであ
り、アルコールがガソリン、軽油等に比較して気化する
ための潜熱が高く、気化し難いという性質を有している
が、アルコールがセラミック材料に対して極めて優れた
潤滑作用を有していることに着眼し、シリンダライナ、
ピストンヘッド等のエンジンボディ全体を高温度に維持
し、特に燃焼室上部を断熱構造によって高温度にし、ア
ルコール燃料の気化を促進すると共に、摺動部を金属材
料で構成した場合には該金属材料が含水性の良いアルコ
ール中に含まれる水分によって腐食する現象が発生する
が、このエンジンでは、シリンダライナ、ピストンリン
グ、コンロッド、クランク軸等の摺動部或いは回転摺動
部に対してアルコール燃料と非反応性のセラミック材料
で構成してアルコールによる腐食を防止し、更に、クラ
ンク室に吸入空気を送り込む吸気通路にアルコールイン
ジェクタを設けて、アルコール燃料を先ずクランク室に
導入して該クランク室から燃料室へ送り込むように構成
し、セラミック材料から成る摺動部、ピストンリングと
シリンダライナとの摺動部をアルコールによって摺動作
用を補助する潤滑材として機能させることを特徴とする
アルコール燃料を用いるアルコール断熱エンジンを提供
することである。
〔課題を解決するための手段〕
この発明は、上記目的を達成するため、次のように構
成されている。即ち、この発明は、断熱材を配置して断
熱構造に構成した燃料室上部及びピストンヘッド部、ア
ルコール燃料と非反応性のセラミック材から成るシリン
ダライナ及びピストンリング、クランク軸及びコンロッ
ドの回転摺動部に配置したセラミック材から成るベアリ
ング、シリンダライナ下部の周方向に多数形成した吸気
口とクランク室とを連通する第1吸気通路、及び吸入空
気をクランク室内に導入する第2吸気通路に設けたアル
コールインジェクタから成るアルコール断熱エンジンに
関する。
また、このアルコール断熱エンジンにおいて、前記シ
リンダライナと前記ピストンリングの摺動面を構成する
前記セラミック材はアルコール燃料と非反応性のジルコ
ニア或いは炭化珪素を選定したものである。
〔作用〕
この発明によるアルコール断熱エンジンは、上記のよ
うに構成され、次のように作用する。即ち、このアルコ
ール断熱エンジンは、断熱材を配置して断熱構造に構成
した燃焼室上部及びピストンヘッド部、アルコール燃料
と非反応性のセラミック材から成るシリンダライナ及び
ピストンリング、クランク軸及びコンロッドの回転摺動
部に配置したセラミック材から成るベアリング、シリン
ダライナ下部の周方向に多数形成した吸気口とクランク
室とを連通する第1吸気通路、及び吸入空気をクランク
室内に導入する第2吸気通路に設けたアルコールインジ
ェクタから構成したので、ピストンの下死点B.D.C.付近
の周方向に多数開口している前記吸気口から吸入空気に
混合してアルコール燃料がシリンダ内に吸入されると、
アルコールの未気化成分或いは霧化成分がシリンダライ
ナ内壁面に付着し、アルコールの液膜を形成する。セラ
ミック材料同士の摺動接触については、境界潤滑となる
ものであり、摺動摩擦抵抗が大きくなると、セラミック
材料を構成する粒子が脱落し即ち粒子脱落となって潤滑
されており、しかも、セラミック材料同士の摺動運動で
は両者間のフリックションを低減するため、セラミック
材料の表面に存在するポロシティー即ちポアー部に流体
を保持することが好ましいものである。ポロシティーに
保持される該流体として上記液膜が機能し、該液膜が潤
滑膜となってピストンの上昇行程によってシリンダライ
ナとピストンリング或いはピストンスカートとの間の摺
動運動に対してセラミック材料同士の摺動運動がスムー
スになるように補助し、更に該潤滑膜はシリンダライナ
内壁面に停留し、ピストンの下降行程での該摺動部の摺
動を助ける。また、第2吸気通路から吸入空気に混合し
てアルコール燃料がクランク室内に吸入されると、アル
コールの未気化成分或いは霧化成分がピストンスカート
壁面に付着し、アルコールの潤滑膜を形成し、同様に、
ピストンの往復動で上記摺動部の摺動運動を助ける。
また、エンジンボディ全体が高温度に維持できるの
で、クランク室内に溜まったアルコールも、クランク等
の回転によってミストが維持或いは生成されて順次気化
して前記燃焼室へ送り込まれ、燃焼される。しかも、前
記クランク室に吸入されたアルコールは、クランク軸の
クランクジャーナル、コンロッドの大径部及び小径部の
回転摺動部がセラミック製のベアリングで構成されてい
るので、これらの摺動部の腐食は発生しなく、アルコー
ル自体は該摺動部の潤滑を助けて、摺動特性を向上させ
る。
更に、アルコールはガソリン、軽油等に比較して気化
するための潜熱が高く、気化し難いので、シリンダヘッ
ド下面部及びシリンダライナ上部の外周に断熱材を配置
して断熱構造に構成し、それによって、アルコール燃料
の気化を促進すると共に、前記クランク室への吸入空気
及びアルコール燃料の混合気の導入によって前記クラン
ク室を高圧にしてガスの吹き抜けを防止している。
〔実施例〕
以下、図面を参照して、この発明によるアルコール断
熱エンジンの実施例を説明する。
第1図において、この発明によるアルコール断熱エン
ジンの一実施例が示されている。このアルコール断熱エ
ンジンは、シリンダヘッド3に排気バルブ1を配置し且
つシリンダライナ4の下部周囲方向に多数の吸気口20を
有するユニフロー掃気タイプに構成され、クランク室を
コンプレッサに利用した2サイクル作動のエンジンであ
り、掃気作用をシリンダ中心線に対して一定方向の気流
によって行わせ、エンジンの効率をアップさせたもので
ある。
このアルコール断熱エンジンにおいて、シリンダヘッ
ド3がシリンダブロック6にガスケット22を介して固定
され、シリンダヘッド下面部5とシリンダライナ上部9
とを一体構造に構成したヘッドライナが断熱ガスケット
10を介在させてシリンダヘッド3に嵌合して取付けられ
ている。このヘッドライナは、燃焼室8の上部を構成す
るものであり、ジルコニア(ZrO2)、窒化珪素(Si
3N4)、炭化珪素(SiC)、チタン酸アルミニウム等のセ
ラミック材料で製造され、特に耐熱性を有している。断
熱ガスケット10は、チタン酸アルミニウム、チタン酸カ
リウム等の断熱材から製造され、ヘッドライナの外面に
配置されている。従って、この断熱ガスケット10の配置
によって、燃焼室8の上部は断熱構造に構成され、燃焼
室上部からシリンダヘッド3への熱の放散は防止され
る。また、断熱構造に構成したシリンダヘッド下面部5
に形成した排気ポート2にはバルブシート24が配置さ
れ、該バルブシート24には排気バルブ1が配置されてい
る。更に、シリンダヘッド3には、空気とアルコール燃
料との混合気に着火する手段として点火プラグ35が設け
らている。
更に、シリンダブロック6に形成されたシリンダ23に
はシリンダライナ4が嵌合されている。シリンダライナ
上部9とシリンダライナ4との間には、断熱材から成る
断熱ガスケット21が介在し、シリンダライナ上部9の熱
がシリンダライナ4に伝達されるのを防止している。燃
焼室8は、シリンダヘッド下面部5とシリンダライナ上
部9から成るヘッドライナ、シリンダライナ4及びピス
トン7のピストンヘッドによって囲まれて形成される室
である。シリンダライナ4については、ピストン7が往
復動する摺動面28を提供する部分であるので、該シリン
ダライナ4は、アルコール燃料と非反応性のジルコニア
(ZrO2)、又は炭化珪素(SiC)等のセラミック材料で
製作する。このアルコール断熱エンジンは、燃料として
アルコールを使用するので、摺動面28を提供するシリン
ダライナ4を窒化珪素(Si3N4)のセラミック材料で作
ると、窒化珪素(Si3N4)が摺動運動に際してアルコー
ルに含まれる水分等によって溶融し、反応してシリサイ
ドが生成され摩耗即ち摩滅する恐れがある。従って、シ
リンダライナ4については、摺動運動によって溶融の発
生しない上記セラミック材料を使用する。また、シリン
ダブロック6の下部には、クランクケース16によってク
ランク室12が構成されている。
また、シリンダ即ちシリンダライナ4内を往復運動す
るピストン7については、図面で詳細には図示していな
いが、ピストンヘッド部34及びピストンスカート36から
構成され、ピストンヘッド部34にジルコニア(ZrO2)、
チタン酸アルミニウム等の断熱材、セラミック材料等を
用いて断熱構造に構成することができる。更に、ピスト
ン7のピストンリング溝には、ピストンリング27が嵌合
している。これらのピストンリング27は、上記シリンダ
ライナ4の場合と同様に、摺動部品であるので、シリン
ダライナ4と同様に、アルコール燃料と非反応性のジル
コニア(ZrO2)、炭化珪素(SiC)等のセラミック材料
から製作する。勿論、ピストンリング27の摺動面が上記
セラミック材で構成されれば、該セラミック材がピスト
ンリング本体にコーティング等で被覆される構造でも十
分である。
このアルコール断熱エンジンにおいて、シリンダブロ
ック6の下部内周部には、シリンダライナ4に形成した
吸気口20に対向して周方向の環状の吸気ポート38が形成
されている。更に、吸気ポート38に吸入空気を導入する
ため、クランク室12を吸気ポート38に連通する第1吸気
通路18が形成されている。また、クランク室12はクラン
クケース16に形成された連通孔37が形成され、該連通孔
37には、クランク室12の圧縮空気が第2吸気通路39に逆
流するのを防止するため、リード弁等から成る逆止弁13
が設けられている。第2吸気通路39には、吸入空気と共
にアルコール燃料をクランク室12に吸入させるため、ア
ルコールインジェクタ11が設けられている。この第2吸
気通路39は、場合によっては、ターボチャージャのコン
プレッサに連通することもできる。この構成によって、
第2吸気通路39に噴射されたアルコール燃料は吸入空気
と混合気となって逆止弁13を通ってクランク室12に吸入
される。クランク室12に吸入された混合気はシリンダラ
イナ4の端部とシリンダブロック6に形成されたシリン
ダ23との間に形成される連通口33から第1吸気通路18、
吸気ポート18及び吸気口23を通じてシリンダ内即ち燃焼
室8へ吸入される。
更に、この発明によるアルコール断熱エンジンは、上
記の構成に加えて、次の構成に特徴を有している。ピス
トン7を往復動させるため、ピストン7にはコンロッド
25の小径部が回転摺動可能に連結されている。即ち、ピ
ストン7のピストンピンボス29に形成されたピストンピ
ン孔30には、ピストンピン17との間にセラミック材料か
ら成るボールベアリング14が組み込まれている。従っ
て、ピストンピン孔30を構成するピストンピンボス29が
通常のボールベアリングのアウタレースを構成し、ま
た、ピストンピン17がインナレースを構成していること
になる。
また、コンロッド25の大径部40は、クランクシャフト
のクランクピン19に回転摺動可能に連結されている。即
ち、コンロッド25の大径部40に形成されたクランクピン
孔31には、クランクピン19との間にセラミック材料から
成るローラベアリング15が組み込まれている。従って、
クランクピン孔31を構成する大径部40が通常のローラベ
アリングのアウタレースを構成し、また、クランクピン
19がインナレースを構成していることになる。
更に、クランクシャフトをシリンダブロック6の軸受
部32に回動可能に取付けるため、クランクシャフトのク
ランクジャーナル26は、該軸受部32との間にセラミック
材料から成るローラベアリング15が組み込まれている。
従って、シリンダブロック6の軸受部32が通常のローラ
ベアリングのアウタレースを構成し、また、クランクジ
ャーナル26がインナレースを構成していることになる。
この発明によるアルコール断熱エンジンは、上記のよ
うに、クランク室12にアルコール燃料が導入されるもの
であるので、上記のボールベアリング14及びローラベア
リング15を構成する材料は、上記と同様に、アルコール
燃料と非反応性のジルコニア(ZrO2)、炭化珪素(Si
C)等のセラミック材料で作ることが好ましいものであ
る。
〔発明の効果〕
この発明によるアルコール断熱エンジンは、上記のよ
うに構成されており、次のような効果を有する。
即ち、このアルコール断熱エンジンは、断熱材を配置
して断熱構造に構成した燃焼室上部及びピストンヘッド
部、アルコール燃料と非反応性のセラミック材から成る
シリンダライナ及びピストンリング、クランク軸及びコ
ンロッドの回転摺動部に配置したセラミック材から成る
ベアリング、シリンダライナ下部の周方向に多数形成し
た吸気口とクランク室とを連通する第1吸気通路、及び
吸入空気をクランク室内に導入する第2吸気通路に設け
たアルコールインジェクタから構成したので、ピストン
の下死点B.D.C.付近でライナ周方向に多数開口している
前記吸気口から吸入空気に混合してアルコール燃料がシ
リンダ内に吸入されると、アルコールの未気化成分或い
は霧化成分がシリンダライナ内壁面に付着し、アルコー
ルの潤滑膜を形成する。この潤滑膜はピストンの上昇行
程によってピストンリング或いはピストンスカートとの
間の摺動部を潤滑し、更に該潤滑膜はシリンダライナ内
壁面に停留し、ピストンの下降行程で該摺動部を潤滑す
る。また、前記第2吸気通路から吸入空気に混合してア
ルコール燃料がクランク室内に吸入されると、アルコー
ルの未気化成分或いは霧化成分がピストンスカート壁面
に付着し、アルコールの潤滑膜を形成し、同様に、ピス
トンの往復動で上記摺動部を潤滑する。
また、エンジンボディ全体が高温度に維持できるの
で、クランク室内に溜まったアルコールも、クランク等
の回転によってミストが維持或いは生成されて順次気化
して燃焼室へ送り込まれ、燃焼される。しかも、クラン
ク室に吸入されたアルコールは、クランク軸、コンロッ
ドの大径部及び小径部の回転摺動部がセラミック製のベ
アリングで構成されているので、これらの摺動部の腐食
は発生しなく、アルコール自体は該摺動部の潤滑を助け
て、摺動特性を向上させる。
更に、アルコールはガソリン、軽油等に比較して気化
するための潜熱が高く、気化し難いので、シリンダヘッ
ド下面部及びシリンダライナ上部の外周に断熱材を配置
して断熱構造に構成し、それによって、アルコール燃料
の気化を促進すると共に、前記クランク室への吸入空気
及びアルコール燃料の混合気の導入によって前記クラン
ク室を高圧にしてガスの吹き抜けを防止している。
また、このアルコール断熱エンジンは、前記シリンダ
ライナと前記ピストンリングの摺動面をアルコール燃料
と非反応性のジルコニア、炭化珪素等のセラミック材料
で製作したので、摺動面を提供するシリンダライナを、
例えば、窒化珪素(Si3N4)のセラミック材料で作る
と、窒化珪素(Si3N4)が摺動運動に際してアルコール
に含まれる水分等によって溶融し、反応してシリサイド
が生成され摩耗即ち摩滅する恐れがあるが、この発明に
よるアルコール断熱エンジンの前記シリンダライナ及び
前記ピストンリングは、両者の摺動運動によって負荷が
かかっても溶融して反応する恐れがなく、焼き付き等の
現象は避けることができ、良好な摺動面を提供できる。
更に、このアルコール断熱エンジンは、シリンダヘッ
ド部即ち燃焼室上部が高温領域になるが、シリンダ下部
は低温領域であるので、吸気即ち新気が高温領域の熱影
響を受けることがなく、吸入空気が熱膨張によって吸気
流量が減少することがない。更に、前記クランク軸及び
前記コンロッドの大径部の回転摺動部にセラミック材か
ら成るローラベアリングを組み込み、前記コンロッドの
小径部との回転摺動部にボールベアリングを組み込んだ
構成にしたので、これらの回転摺動部がアルコールによ
って腐食することがなく、しかもピストンの往復運動を
クランクの回転運動にスムースに変換し、エンジン出力
に対して支障となることがない。
更に、排気バルブをシリンダヘッドに配置したユニフ
ロウタイプに構成して掃気作用をシリンダ中心線に対し
て一定方向の気流によって行わせ、排気ポートから排気
ガスを効率良く排気し、次いで、排気ガスのパルス波の
後流に負圧の領域を埋める状態で吸入空気が吹き込まれ
るので、流れは単一方向となり、従って、シリンダヘッ
ド及びシリンダ上部の壁温が高温になっていたとしても
吸入効率の低下は少なく、エンジンの効率をアップさせ
ることができる。
【図面の簡単な説明】
第1図はこの発明によるアルコール断熱エンジンの一実
施例を説明するための概略断面図である。 1……排気バルブ、3……シリンダヘッド、4……シリ
ンダライナ、5……シリンダヘッド下面部、6……シリ
ンダブロック、7……ピストン、8……燃焼室、9……
シリンダライナ上部、10……断熱ガスケット、11……ア
ルコールインジェクタ、12……クランク室、14……ボー
ルベアリング、15……ローラベアリング、16……クラン
クケース、17……ピストンピン、18……第1吸気通路、
20……吸気口、21……断熱ガスケット、23……シリン
ダ、25……コンロッド、27……ピストンリング、28……
摺動面、34……ピストンヘッド部、35……点火プラグ、
36……ピストンスカート、38……吸気ポート、39……第
2吸気通路。

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】断熱材を配置して断熱構造に構成した燃焼
    室上部及びピストンヘッド部、アルコール燃料と非反応
    性のセラミック材から成るシリンダライナ及びピストン
    リング、クランク軸及びコンロッドの回転摺動部に配置
    したセラミック材から成るベアリング、シリンダライナ
    下部の周方向に多数形成した吸気口とクランク室とを連
    通する第1吸気通路、及び吸入空気をクランク室内に導
    入する第2吸気通路に設けたアルコールインジェクタか
    ら成るアルコール断熱エンジン。
  2. 【請求項2】前記シリンダライナと前記ピストンリング
    の摺動面を構成するセラミック材はアルコール燃料と非
    反応性のジルコニア或いは炭化珪素である請求項1に記
    載のアルコール断熱エンジン。
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