JP2769889B2 - 連続超高モジュラス炭素繊維 - Google Patents

連続超高モジュラス炭素繊維

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JP2769889B2
JP2769889B2 JP1315512A JP31551289A JP2769889B2 JP 2769889 B2 JP2769889 B2 JP 2769889B2 JP 1315512 A JP1315512 A JP 1315512A JP 31551289 A JP31551289 A JP 31551289A JP 2769889 B2 JP2769889 B2 JP 2769889B2
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    • D01FCHEMICAL FEATURES IN THE MANUFACTURE OF ARTIFICIAL FILAMENTS, THREADS, FIBRES, BRISTLES OR RIBBONS; APPARATUS SPECIALLY ADAPTED FOR THE MANUFACTURE OF CARBON FILAMENTS
    • D01F9/00Artificial filaments or the like of other substances; Manufacture thereof; Apparatus specially adapted for the manufacture of carbon filaments
    • D01F9/08Artificial filaments or the like of other substances; Manufacture thereof; Apparatus specially adapted for the manufacture of carbon filaments of inorganic material
    • D01F9/12Carbon filaments; Apparatus specially adapted for the manufacture thereof
    • D01F9/14Carbon filaments; Apparatus specially adapted for the manufacture thereof by decomposition of organic filaments
    • D01F9/145Carbon filaments; Apparatus specially adapted for the manufacture thereof by decomposition of organic filaments from pitch or distillation residues

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Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 本発明は炭素繊維、一層特には高いモジュラス及び低
い電気抵抗率を有する連続したピッチベースの炭素繊維
及びかかる繊維の製造方法並びにかかる繊維を含む複合
材料に関する。
従来の技術 炭素繊維は古くから知られており、種々の前駆物質か
ら炭素繊維を製造する方法は当分野においてかなりの記
載がある。1960年代初めより、セルロース系前駆物質が
炭素繊維を製造するのに用いられてきており、レーヨン
がほぼ20年間最も有力な炭素繊維前駆物質であった。一
層最近になって、技術がポリアクリロニトリル(PAN)
やピッチのような材料から誘導した炭素繊維の製造方法
を開発するにつれて、レーヨンベースの炭素繊維の重要
性は減退した。この移行は、一部において、PANベース
及びピッチベースの炭素繊維が共に優れた強靭性、引張
強さ及び剛性を示すことによるものであった。加えて、
レーヨンの炭素繊維への転化収率は低く、生成する炭素
繊維は密度がPAN或はピッチベースの炭素繊維に比べて
通常低く、このため用途の可能性が更に限られる。
炭素繊維の引張モジュラスは、熱伝導率のように、密
度が大きくなるにつれて増大し、炭素繊維の電気抵抗率
は、繊維密度が大きくなるにつれて低下するのが普通で
ある。熱伝導率の高い炭素繊維は熱の放散が要求される
用途、例えば冷却用放熱器の製造及びブレーキパッド用
途において使用が認められてきており、高度の剛性を有
する繊維は複合材料に一層大きな寸法安定性を付与す
る。よって、炭素繊維をこれらの高い密度再現性及び良
好な管理によって達成しようとしてかなりの努力が費さ
れてきた。
ポリアクリロニトリル繊維は、適当な条件下で酸化及
び炭化した場合、強靭、高力な高モジュラス炭素繊維と
なる。PANから繊維を製造する際の総括転化収率は良好
であり、完成した繊維は種々のスポーツ、自動車及び航
空機用途において用いられる高性能複合材料を製造する
のに必要とされる顕著な引張強さを達成することでき
る。しかし、市販されているPANベースの繊維の引張モ
ジュラスは約50×106psi(3.5×106kg/cm2)を越えない
のが普通であり、高度の鋼性を必要とする用途で用いる
には幾分不十分である。その上、PANベースの炭素繊維
が示す密度は1.9より低く、また熱伝導率も低く、通常2
00w/m−゜Kより低く、かつ電気抵抗率は高い。
ピッチベースの炭素繊維は他の原料からの炭素繊維に
比べて大きな剛性かつ高い熱伝導率を備えることができ
ると一般に認識されてき、かなりの努力が良好な熱伝導
率を有するピッチベースの超高モジュラス炭素繊維の開
発に向けられてきた。このような炭素繊維は電荷或は熱
の放散が望まれる所で用いるための複合材料を形成する
のに当面の用途を認めることができる。加えて、ピッチ
ベース繊維が特徴的に高い剛性及び良好な熱伝導率を負
の熱膨張係数と組合わせて示すことにより、このような
複合材料を途方もなく寸法安定性にさせる。
従来当分野で開示されかつ記載された連続炭素繊維
は、「超高モジュラス」と表示されてきた約120〜125×
106psi(8.44〜8.79×106kg/cm2)程に大きな引張モジ
ュラス値を有するそれらの炭素繊維を含んで、約2.2g/c
cより小さい密度、約1000w/m−゜Kより低い熱伝導率及
び通常約1.8マイクロ−オーム−メートルを越える電気
抵抗率を示すのが普通であった。商業設備で作られたほ
とんどの高モジュラスのピッチベースの炭素繊維につい
て、熱伝導率は通常約700w/m−゜Kより低くなり、電気
抵抗率は2.0マイクロ−オーム−メートルを越えるのが
普通である。最近、当分野で、引張モジュラスが実質的
に約125×106psi(8.79×106kg/cm2)を越え、単一の炭
素繊維フィラメント値が140×106psi(9.85×106kg/c
m2)程に大きいピッチベースの炭素繊維が報告された
が、これらの繊維もまた通常低い電気抵抗率特性を示さ
ずかつこれらの繊維の熱伝導率もまた低い、通常1000w/
m−゜Kより低いと報告されている。
結晶性グラファイトは密度約2.26g/ccを有し、1800w/
m−゜Kに近い優れた熱伝達率及び1.5マイクロ−オーム
−メートルより十分低い、低電気抵抗率を示すのが普通
である。しかし、たとえ極めて高いモジュラスを単グラ
ファイト結晶に近い伝導率及び密度特性と共に有するグ
ラファイトホイスカーを製造する方法が知られていると
しても、技術はピッチ或は他の任意の源から密度が2.2g
/cc或はそれ以上、熱伝導率が1100w/m−゜Kより十分高
く、電気抵抗率が1.5マイクロ−オーム−メートルより
有意に小さく、1.2マイクロ−オーム−メートル程に小
さい及びそれ以下の連続炭素繊維の製法を提案していな
い。
約2.2或はそれより大きい密度及び1.5マイクロ−オー
ム−メートルより小さい電気抵抗率を125×106psi(8.7
9×106kg/cm2)より十分に大きい、130×106pis(9.14
×106kg/cm2)或はそれ以上程に大きくさえなる引張モ
ジュラスと共に有する炭素繊維は炭素繊維分野の相当の
進歩になる。このような炭素繊維、特に1100w/m−゜Kよ
り大きい熱伝導率を示す繊維は種々の複合材料用に即座
に広く受け入れられるものと認められ、良好な寸法安定
性及び低い電気抵抗率が必要とされる複合材料用に特に
有用である。
発明の構成 本発明の炭素繊維は非常に高い熱伝達率及び低い電気
抵抗率を有する高モジュラスの、ピッチベースの連続し
た炭素繊維である。炭素繊維及びこのような繊維から作
った織布強化材は複合材料を製造するのに特に有用であ
る。
詳細な説明 本発明の炭素繊維は、密度が2.18g/cc以上で、引張モ
ジュラスが120×106psi(8.44kg/cm2)より実質的に大
きく、電気抵抗率が約1.6マイクロ−オーム−メートル
より小さい、ピッチをベースにした連続炭素繊維であ
る。一層特には、本発明の連続した炭素繊維は密度約2.
18g/cc〜結晶グラファイトの限界密度である約2.26g/cc
の範囲、125×106psi(8.79×106kg/cm2)より大きい引
張モジュラス及び約1.5マイクロ−オーム−メートルよ
り小さい電気抵抗率を有する。好ましくは、本発明の連
続した炭素繊維は密度約2.2〜約2.26g/ccの範囲、引張
モジュラス約125×106〜約150×106psi(8.79×106〜1
0.5×106kg/cm2)の範囲、電気抵抗率1.5〜約0.95マイ
クロ−オーム−メートル、一層好ましくは約1.2〜約0.9
5マイクロ−オーム−メートルの範囲を有する。本発明
の連続した炭素繊維が示す熱伝導率は通常約950〜約180
0w/m−゜Kの範囲、好ましくは約1000w/m−゜Kを越え、
なお一層好ましくは約1100w/m−゜Kを越える。
本発明の高密度、低電気抵抗率の炭素繊維は更に高度
に配向され(oriented)かつグラファイト性であると説
明することができる。繊維は、繊維のX線回折図を調べ
て明らかになる通りに、多結晶性グラファイトに特有の
三次元オーダー及び結晶構造を有する。正確な関係は分
かっていないが、繊維における微結晶寸法及び微結晶配
列度、並びに結晶化度が達成し得る電気抵抗率及び熱伝
導率のレベルに影響を与えるようである。
本発明の高密度炭素繊維は高純度、高軟化温度のメソ
フェースピッチから、改良した紡糸技法及び管理した加
熱工程のシーケンスを用い、それによってピッチを紡糸
して繊維を形成し、不融性化し、次いで炭化して製造す
ることができる。
本発明の実施に従って炭素繊維を製造する際に用いる
のに適した高純度、高軟化温度のメソフェースピッチは
石油炭化水素或はコールタール源から得ることができ
る。適したピッチを製造する方法は、米国特許3,974,26
4号、同4,026,788号、同4,209,500号に開示されている
方法を含み、種々によく知られており、これらの方法並
びに当分野で知られている種々の溶媒ベースの方法の内
の任意の方法をこれらの目的に用いることができる。特
定の溶媒への溶解度及び光学的異方性度を含む、ピッチ
のメソフェース成分を特性表示する方法がいくつか当分
野で用いられてきた。本発明の実施において有用なメソ
フェースピッチは、S.チュワスチアク(Chwastiak)等
がCarbon 19,357−363頁(1981年)に開示する用語及び
方法によって規定しかつ記載する通りに、好ましくはメ
ソフェースを90重量%より多く含み、好ましくは、実質
的に100重量%のメソフェースピッチにする。ピッチ
は、また、高い、好ましくは約340゜より高い、一層好
ましくは約345℃を越える高い軟化温度を有すると説明
することができるが、モールタール源から誘導する場
合、幾分低い軟化温度を有するピッチもまた有用になり
得る。本発明の目的から、ピッチを十分に過して不融
性粒子及び繊維において欠陥やきずの形成の一因になり
得る他の汚染物を除く。
ピッチをメルトから慣用の方法を用い、通常ピッチを
軟化温度より十分高い温度に保ちながら溶融ピッチを紡
糸口金の中の強制的に通して紡糸する。しかし、紡糸す
るのに有用な温度は狭い範囲に在り、一部、紡糸する特
定のピッチの粘度及び他の物理的性質に応じて変わる。
溶融紡糸の当業者ならば、たとえばピッチを溶融状態に
するにしても、ピッチの温度をそのピッチを紡糸するの
に有用な温度範囲外にする場合に、粘稠になりすぎてフ
ィラメントを形成することができなくなる或はフィラメ
ントを形成するには不十分な強さをメルト中に有し得、
分解或は脱蔵して空隙や他の欠点を形成さえし得ること
を認めるものと思う。これより、初期テストを行って使
用する特定のピッチを溶融紡糸するのに有効な温度範囲
を確立するのが、当分野における古くからの必要かつ標
準の実施であった。本発明の目的から、ピッチを紡糸し
得る紡糸温度の有効な範囲内の最も高い温度で或はその
近くで紡糸するのが好ましい。紡糸したピッチ繊維にお
けるメソフェース領域の配向度は紡糸温度に比例して増
大するようであり、よって、本発明の目的から繊維構造
内のメソフェース領域の非常に高い配向度を得るには、
高い紡糸温度が望ましい。
特別の操作理論によって何ら束縛されることを望むも
のではないが、次の熱炭化工程の間にピッチ繊維内で起
きて微晶質グラファイトを形成し得る結晶化度、並びに
形成する微結晶の寸法は、ピッチ繊維中のメソフェース
領域の大きさ及びメソフェース領域のの配向度に関係す
るようである。これより、大きく、十分に配向したメソ
フェース領域を有するピッチ繊維は、炭化する際に、一
層大きく、一層密な(コンパクト)グラファイト性微結
晶を含む繊維を形成する傾向にある。立ち代って、メソ
フェース領域の大きさ、特にLcによって求める通りの長
さ及びピッチ繊維における領域配向度は、少なくとも一
部において、ピッチ繊維を紡糸するのに用いる条件によ
って決定されるようであり、ピッチ繊維における領域寸
法及び領域配向度、並びに生成する炭素繊維の密度は、
繊維紡糸温度を上げるにつれて、増大するようである。
特定のピッチについての紡糸温度範囲は、ピッチの軟化
温度が高くなるにつれて、上昇するのが普通であり、こ
れより、高い軟化温度を有するメソフェースピッチ材料
を用いるのが好ましい。
ピッチは加熱して重合し、特に熱いまま酸化環境にさ
らすとコークスになる傾向にあることはよく知られてい
る。立ち代って、重合はピッチの溶融粘度を増大させて
紡糸は困難或は不可能にさせ得、ピッチのコーキングは
不溶性粒子を形成して繊維における欠点の一因になり、
紡糸口金を閉塞し得る。よって、紡糸プロセスは、紡糸
作業の間溶融ピッチを空気或は他の酸化条件に暴露させ
ないようにしかつピッチを高温に暴露させる時間を最少
にするように設計しかつ最適にした溶融及び加熱操作を
用いて行うのが好ましい。
ピッチ繊維を炭素繊維に転化させる方法は様々に知ら
れており、例えば米国特許4,005,183号、同4,209,500
号、同4,138,525号及び同4,351,816号に記載されている
方法を含み、これらの米国特許の教示内容を本明細書中
に援用する。慣用の炭素繊維プロセスの実施では、初め
に熱可塑性ピッチ繊維フィラメントを酸化工程で、例え
ば酸化ガス雰囲気中で温度200゜〜400℃の範囲において
加熱して、不融性にすることが通常必要である。不融性
にしたピッチ繊維を、次いで、更に酸化性ガスを何ら存
在させずに加熱して炭化させる。炭化工程は、繊維をバ
ルクで加熱して、例えば不融性にした糸(yarn)を加熱
工程の前にボビン上に巻取ることにより、スレッドライ
ン操作により、或はバルク及びスレッドライン操作の組
合せによって行うことができる。
炭化工程は、当分野で従来、空気或は他の酸化ガスを
実質的に存在させずに、好ましくは実質的に不活性なガ
ス雰囲気中で温度1000゜〜1900℃の範囲に加熱し、更に
高い温度で加熱してグラファイト化することによって行
われてきた。加熱工程は、溶融或はその他繊維への損傷
を引き起こすのを避けるために、特に炭化工程の前及び
間に、注意深く調節した速度で特定の温度に導くのが普
通である。
ピッチ繊維を不融性にする別のプロセスが一層最近に
例えば公表されたヨーロッパ特許出願第85200867.3号に
おいて記載された。同出願における開示に従えば、ピッ
チ繊維を、好ましくは硝酸水溶液を含む液体酸化組成物
で処理して不融性にし、次いで炭化する。液体酸化組成
物で不融性にしたピッチ繊維を用いた次の炭化及びグラ
ファイト化操作は、本明細書中上述した米国特許に開示
されかつ記載されているプロセスに従って行うことがで
きる。別法として、不融性にした繊維を単一操作で炭化
及びグラファイト化してもよく、この場合、繊維を適当
なスプール上に巻取り、管理した条件下で2000℃を越え
る、好ましくは3000℃を越える温度に加熱してグラファ
イト化工程を達成する。
ピッチ繊維を不融性にする上述した別のプロセスの好
ましい実施態様では、液体酸化組成物は硝酸の水溶液を
含む。硝酸は比較的安価であり、商用源から濃厚な形で
容易に得ることができる。硝酸を水、好まくは望ましく
ない汚染物の導入を避けるために脱イオン水或は蒸留水
で希釈して所望の濃度を達成する。
使用する硝酸の濃度は、一部、ピッチを硝酸に暴露さ
せる時間の長さ、並びに繊維の単位重量当り加える硝酸
水溶液の量及び熱処理を行う前に生じる乾燥度合に依存
することになる。10重量%程に低い濃度に用い得るの
が、適当な酸化及び繊維粘着の低下を達成するのに、少
なくとも15重量%の濃度を要するのが普通である。適当
な処理を適当の長さの時間で達成するのになお一層好ま
しいのは約20重量%を越える、好ましくは約20〜約30重
量%の範囲の濃度である。酸をピッチ糸に適用して熱処
理する間の時間が1〜約5日の範囲になるほとんどの商
業操作について、濃度およそ25重量%が適している。熱
処理する前に繊維を酸に暴露させる期間を短くすること
が期待され、これより酸化を迅速に行うことを要する状
況下で、或は繊維の単位重量当り加える水性硝酸組成物
の量を、高速繊維生産を達成するために少なくする場
合、硝酸の濃度を差合に30重量%より高く上げて40重量
%程に濃くしてもよい。しかし、ピッチのような炭素質
材料を高い硝酸濃度で処理することは、酸化された材料
の急速な、発熱性、突発の或は暴露にさえなり得る分解
のおそれを増大させ得、よって過度の硝酸濃度は避ける
べきである。
ピッチ繊維についてのある形の表面処理は、次の熱処
理の間に、「粘着」或は融解が発生するのを最小にさせ
るのに望ましかもしれない。例えば、液体酸化組成物
に、これらの目的で、カーボンブラック或はコロイド状
グラファイト粒子及び界面活性を入れてもよい。粒子は
ピッチフィラメントを分離させ、それで粘着を低減させ
る働きをし、界面活性材は粒子を組成物中に均一分散体
として保ち、並びに酸化組成物が繊維上を流れるのを助
成するために有用になり得る。種々の適したアニオン系
及び非イオン系界面活性剤がよく知られておりかつ広く
入手可能であり、代表的にはテトラメチルオレイン酸、
ラウリン酸、等のような化合物の種々の水溶性ナトリウ
ム及びアンモニウム塩を含む。有用になり得る他の別の
表面処理は、サイジング組成物を、液体酸化組成物と共
に或は次の工程のいずれかで、ピッチ繊維に適用するこ
とを含む。
液体酸化組成物をピッチ繊維に適用する方法は、浸
漬、吹付け、ミスチング、等を含む種々の方法が当業者
にとって容易に明らかになるものと思う。サイジングを
繊維に塗布するのに一般に用いられている回転キスホイ
ールもまたこの目的で簡便に用いることができる。組成
物をまたピッチ糸に糸をためた後に、バルクで例えば繊
維を巻取ったボビンを浸漬する或は吹付けることによっ
て適用してもよい。組成物を一層自由に繊維の中に流れ
させるために、繊維をボビン上に比較的ゆるく巻取るの
が望ましい。
硝酸を湿潤させた繊維を含むパッケージ或はスプール
を直接熱処理してもよいが、湿潤繊維は酸水溶液を50重
量%程に多く含有し得、次の加熱工程の間に多量の水を
蒸発させることを要し得る。よって、過剰の水性組成物
をスプールから十分に排液させ、初期の低温加熱工程を
実施して繊維を更に乾燥させることが望ましいかもしれ
ない。乾燥工程を低温オーブン中で実施する別の操作で
行ってもよく、或はスプールを炉に入れ、多量のスチー
ムが存在することによる炉の噴出或はその他の炉の損傷
の可能性を低減させるために、初期の低温加熱サイクル
を、不活性ガスを流し(sweep)ながら行って水分を除
いた後に炉を最終的にシールして行ってもよい。加熱サ
イクルを加えることはエネルギー消費を増大させるの
で、別法として、スプールを貯蔵期間中、周囲温度で乾
燥を受けさせるのが望ましいかもしれない。巻取った繊
維がスプール上でたるまないのを確実にするために、乾
燥及び貯蔵中、いくらかの注意を働かせるのが望まし
い。
硝酸水溶液或は同様の液体酸化組成物で不融性にした
繊維の熱処理を単一の加熱工程で温度3000゜〜3500℃の
範囲にして行って本発明の高モジュラス繊維を製造する
ことができる。熱処理は、繊維を消耗させないことを確
実にするために、実質的に非反応性の雰囲気中で行う。
非反応性雰囲気は窒素、アルゴン或はヘリウムにするの
がよいが、温度が約2000℃を越える場合、アルゴン及び
ヘリウムが好ましい。非反応性雰囲気はひどい害を引き
起こさなければ酸素を少量含んでもよいが、特に温度を
あまり急速に上げない場合、酸素の存在は避けるべきで
ある。加えて、液体酸化組成物で処理することから湿潤
させた糸を加熱する際にスチームの雰囲気を生じる。か
かるスチームは、そのような温度で極めて反応性である
から、炭化温度に達する前に、炉からパージすべきであ
る。ホウ素或は同様のグラファイト化成分を炉雰囲気中
に入れるのが望ましいかもしれない。これらはその用語
の本明細書中で用いる場合、非反応性と見なされるもの
と思う。
硝酸水溶液或は同様の酸化組成物で不融性にしたピッ
チ繊維を炭化及びグラファイト化するのに用いる熱処理
は、加熱スケジュールを決めるのに重要な3つの広い範
囲を有する。約400℃までの昇温速度は、ピッチ繊維
が、その温度より高く加熱するまでに完全に不融性にさ
れないことを考慮に入れるべきであり、あまり急速に加
熱すれば、メソフェースの軟化、融解及び混乱によって
繊維のゆがみを生じ得る。約400℃を越える温度上昇は
一層速い速度で行ってよいが、熱分解或は炭化プロセス
の間に生じるガス損失の多くは、繊維を400℃〜約800℃
の範囲で加熱するにつれて起き、あまり急に昇温すると
発生ガスによる損傷に至り得る。約800℃に越えて、炭
化繊維の場合、最終温度1100゜〜2000℃の範囲に、グラ
ファイト化の場合、3000℃及びそれ以上までの加熱速度
はずっと大きくしてよく、通常所望する通りの速い速度
で行ってよい。
簡便な加熱スケジュールは室温から約400℃まで初期
速度25℃/時間で、次いで400℃から800℃まで50℃/時
間で、最終的に約800℃から最終温度までの範囲にわた
って速度100℃/時間或は所望ならばそれ以上で加熱す
ることを含む。加熱スケジュールは、また、一部、繊維
のタイプ、スプールのサイズ、炉の有効なローティング
及び同様の要因に基づいて決まる。それ以上の種々の調
整が特定の装置及び材料を使用するについて必要かもし
れないが、これらについては当業者にとって容易に明ら
かになるものと思う。
不融性にした繊維の熱処理を単一工程プロセスで説明
したが、繊維の加熱を別法においてシリーズの工程或は
段階で、炭化繊維のような中間材料を後の時間にそれ以
上加工するために冷却及び貯蔵して行ってもよい。ま
た、不融性にした繊維を、慣用の炭化プロセス、例えば
本明細書中先に記載したプロセスを用いて炭化してもよ
い。
本発明の超高モジュラス、高熱伝達率繊維の調製は、
下記の具体例を検討することによって一層良く理解され
ることになるものと思う。下記の例は単に本発明の実施
の特定の実施態様である繊維の製造方法を例示する役割
を果すにすぎず、本発明の範囲をいささかも制限するつ
もりのものではない。
例 下記の例で用いる連続した炭素繊維についてストライ
ド引張特性を求める試験方法はASTM D4018及びD3800に
記載されている。
炭素繊維についての電気抵抗率は、オーム計を使用し
て糸の50〜100cm長の単位長さ当りの抵抗を測定し、次
いで断面積をかけた抵抗として糸の抵抗率を計算して求
めた。立ち代って、断面積はASTM D4018に従って測定し
た、単位長さ当りの重量から求め、密度はASTM D3800に
従いo−ジクロロベンゼンを浸液として用いて測定し
た。
炭素繊維の熱伝導率を測定する方法は、単一フィラメ
ントについて、L.ペロークス(Peraux)等が「ベンゼン
由来の炭素繊維の熱伝導率の温度変化」、ソリッドステ
ートコミューニケーションズ50,697−700頁(1984年)
に、複合材料について、B.ボゾン(Bozone)及びM.C.フ
ラナガン(Flanagan)がコンファランスオンサーマルコ
ンダクティビティメソッズ、バトル(Batelle)メモー
リアルインスチチュート、29−57頁、1961年に記載し
た。
材料の結晶特性を求める方法はよく知られており、か
かる方法は古くから種々の物質を特性表示するのに用い
られてきた。かかる方法を適用してグラファイト及び炭
素繊維を調べることもまた、例えば米国特許3,919,376
号及び同4,005,183号において要約された。これらの米
国特許の教示内容を本明細書中に援用する。
例 1 軟化点351℃のメソフェースピッチから、平均温度401
℃を用いて、2000のフィラメントを有するピッチ繊維糸
を紡糸した。繊維を押出速度8.9 lb/時間(4.0kg/時
間)及び巻取速度590ft/分(180m/分)で18分間、次い
で12 lb/時間(5.4kg/時間)及び800ft/分(250m/分)
で紡糸して全繊維重量4.1 lb(1.9kg)とした。硝酸水
溶液(25重量%)及びカーボンブラック35g/を含有す
る混合物を紡糸操作の間にキスホイールを使用して繊維
に適用し、ピッチ繊維の最終重量に2.6 lb(1.2kg)を
加えた。繊維を、厚さ1/4″(6.4mm)のカーボンフェル
トパッドを被覆したグラファイトボビンに低交差(cros
sing)角で巻取って直径3.5″(8.9cm)とした。繊維の
最終スプール或はパッケージは、底部10″(25cm)及び
頂部4″(10cm)のテーパーをもち、外直径6.4″(16.
5cm)を有した。
パッケージを誘導炉の頂部位置に起き、アルゴン雰囲
気中、速度25゜/時間で400℃に、次いで50゜/時間で8
00℃に、最終的に100゜/時間で3200℃に加熱した。ス
プールを3200℃において1時間保ち、次いで冷却した。
繊維は下記のストライド性質を有していた: 引張強さ 327,000psi(23,000kg/cm2) 引張モジュラス 125,000,000psi(8.790,000kg/c
m2) 収 量 0.324g/m 密 度 2.20g/cc 抵抗率 1.51マイクロ−オーム−メートル 例 2 軟化点355℃のメソフェースピッチから、平均温度412
℃を用いて、2000のフィラメントを有するピッチ繊維糸
を紡糸した。繊維を押出速度12 lb/時間(5.4kg/時間)
及び巻取速度850ft/分(259m/分)で紡糸して全繊維重
量3.8 lb(1.7kg)とした。硝酸水溶液(25重量%)及
びカーボンブラック35g/を含有する混合物を紡糸操作
の間にキスホイールを使用して繊維に適用した。繊維
を、厚さ1/4″(6.4mm)のカーボンフェルトパッドを被
覆したグラファイトボビンに低交差角で巻取って直径3.
5″(8.9cm)とした。繊維の最終スプール或はパッケー
ジは、底部10″(25cm)及び頂部4″(10cm)のテーパ
ーをもち、外直径6.5″(16.5cm)を有した。ピッチ繊
維パッケージの最終重量は水性酸混合物を38重量%含む
ものであった。
パッケージを機械的に回転させ、室温で乾燥させて含
水率約15重量%にし、次いで更に最終含水率9重量%未
満にした。パッケージを誘導炉に入れ、窒素雰囲気にお
いて、速度25゜/時間で400℃に、次いで50゜/時間で8
00℃に、次いで1300℃に加熱し、24時間保った後に冷却
し、炉から取り出して第2誘導炉に入れた。パッケージ
を再びアルゴン雰囲気において、100゜/時間で3230℃
に加熱し、3230℃に2時間保ち、次いで冷却した。
繊維は下記のストランド性質を有していた: 引張強さ 453,000psi(31,900kg/cm2) 引張モジュラス 136,000,000psi(9,560,000kg/c
m2) 収 量 0.355g/m 密 度 2.21g/cc 抵抗率 1.14マイクロ−オーム−メートル 炭素繊維の抵抗率は著しく低く、熱伝導率の相当の改
良を示す。これらの繊維について見られる、1.5マイク
ロ−オーム−メートルより低い抵抗率値を特徴とする良
好な伝導率及び125,000,000psiより大きな高い引張モジ
ュラスの組合せは、当分野において今迄に達成し得たも
のに比べて相当に大きく、極めて驚くべきことである。
例 3 軟化点351℃のメソフェースピッチから、平均温度400
゜を用いて、2000のフィラメントを有するピッチ繊維糸
を紡糸した。繊維を押出速度15.4 lb/時間(6.99kg/時
間)で紡糸した。線入を硝酸水溶液で処理し、ボビンに
巻取り、これに実質的に例2の手順によって第1熱処理
工程を行った。次いで、繊維を、糸張力600gを用いて24
00℃の炉内で約5秒間スレッドライン加工し、フランジ
付グラファイトスプール上に平行様式で巻取り、アルゴ
ン雰囲気において100゜/時間で加熱して約3310℃にし
た。スプールを約3310℃において1時間保ち、次いで冷
却した。
繊維は下記のストランド性質を有していた: 引張強さ 376,000psi(26,400kg/cm2) 引張モジュラス 138,000,000psi(9,700,000kg/c
m2) 収 量 0.311g/m 密 度 2.21g/cc 抵抗率 1.47マイクロ−オーム−メートル 例 4−6 追加の超高モジュラス、高密度の連続した炭素繊維を
高軟化温度のピッチから、実質的に例3のプロセスに従
って作製した。繊維の性質及び前駆物質のピッチデータ
を表Iにまとめる。
高軟化温度のピッチを高紡糸温度と共に用いて、繊維
の伝導率及びモジュラスの向上に寄与することがわかる
ものと思う。これについては更に下記の比較例によって
確認する。
比較例 比較例A 軟化点331℃のメソフェースピッチから、平均温度372
℃を用いて2000のフィラメントを有するピッチ繊維糸を
紡糸した。繊維を押出速度12 lb/時間(5.4kg/時間)で
紡糸し、空気中、平均速度280℃/時間で380℃に加熱し
て熱硬化させ、5分間保った後に室温に冷却し、グラフ
ァイトボビンに巻取った。
パッケージを誘導炉に入れ、窒素雰囲気において速度
50゜/時間で800℃にし、最終的に100゜/時間で1300℃
に加熱し、その温度において2時間保った後に冷却し
た。繊維を、糸張力600gを用いて2400℃の炉内で約5秒
間スレッドライン加工し、次いでフランジ付グラファイ
トスプール上に平行様式で巻取り、アルゴン雰囲気にお
いて100゜/時間で加熱して3080℃にした。スプールを3
080℃において2時間保ち、次いで冷却した。
炭素繊維は下記のストランド性質を有していた: 引張強さ 293,000psi(20,600kg/cm2) 引張モジュラス 102,000,000psi(7,170,000kg/c
m2) 収 量 0.322g/m 密 度 2.16g/cc 抵抗率 2.73マイクロ−オーム−メートル 比較例B及びC 追加の従来技術の炭素繊維を比較例Aの手順に従って
作製した。ピッチ繊維を作製する際に用いた加工温度及
び紡糸温度並びに生成した炭素繊維の物理的性質を、本
発明の超高モジュラスの低抵抗率繊維の性質と共に表I
にまとめる。
比較例A−Cの炭素繊維の物理的性質を検討すれば、
従来技術の高モジュラス炭素繊維は本発明の炭素繊維に
ついての抵抗率値をかなり越える高い抵抗率及び約2.2g
/ccより低い密度を示すことがわかるものと思う。
下記の例において、商用のピッチベースの炭素繊維を
グラファイト化温度で加熱して、繰返しの熱処理を従来
技術の炭素繊維モジュラス及び電気抵抗率に与える効果
を求めた。
比較例D 商用の高モジュラスの連続したピッチベースの炭素繊
維をアモコパーホーマンスプロダクツインコーポレーテ
ッドから、引張強さ364kpsi(25.6Kkg/cm2)、引張モジ
ュラス122×106psi(8.58×106kg/cm2)、抵抗率1.801
マイクロ−オーム−メートル、密度2.173g/cc、d間隔C
o(004)3.375Åを有するThornel P−120炭素繊維とし
て入手した。繊維を3330℃に保った炉内で約2時間熱処
理した後に、抵抗率は1.776マイクロ−オーム−メート
ルであり、密度は2.186g/ccであり、d間隔Co(004)は
3.371であった。
比較例E 商用の高モジュラスの連続したピッチベースの炭素繊
維をアモコパーホーマンスプロダクツインコーポレーテ
ッドから、引張強350kpsi(24.6Kkg/cm2)、引張モジュ
ラス110×106psi(7.74×106kg/cm2)、抵抗率2.31マイ
クロ−オーム−メートル、密度2.168g/cc、d間隔Co(0
04)3.379Åを有するThornel P−100炭素繊維として入
手した。繊維を3000℃に保ったオーブン中で約1時間熱
処理した後に、引張モジュラスは110×106psi(7.74×1
06kg/cm2)であり、抵抗率は2.05マイクロ−オーム−メ
ートルと測定され、密度は2.167g/ccであり、d間隔Co
(004)は3.377Åであった。繊維を3300℃に保ったオー
ブン中で約1時間熱処理して、引張モジュラス126×106
psi(8.86×106kg/cm2)、抵抗率1.73マイクロ−オーム
−メートル、密度2.180g/ccとなった。
比較例F 商用の高モジュラスの、連続したピッチベースの炭素
繊維をアモコパーホーマンスプロダクツインコーポレー
テッドから、引張強さ279kpsi(19.6kpsi)、引張モジ
ュラス73×106psi(5.1×106kg/cm2)、抵抗率7.12マイ
クロ−オーム−メートル、密度2.085g/cc、d間隔Co(0
04)3.418Åを有するThornel P−75炭素繊維として入手
した。繊維を3010℃に保ったオーブン中で約2時間熱処
理した後に、引張モジュラスは113×106psi(7.95×106
kg/cm2)であり、抵抗率は2.52マイクロ−オーム−メー
トルと測定され、密度は2.175であり、d間隔Co(004)
は3.382Åであった。
比較例G 商用の高モジュラスの連続したピッチベースの炭素繊
維をアモコパーホーマンスプロダクツインコーポレーテ
ッドから、引張強さ315kpsi(22.2Kkg/cm2)、引張モジ
ュラス56×106psi(3.9×106kg/cm2)、抵抗率8.73マイ
クロ−オーム−メートル、密度2.035g/cc、d間隔Co(0
04)3.429Åを有するThornel P−55炭素繊維として入手
した。繊維を3000℃に保ったオーブン中で1時間熱処理
した後に、引張モジュラスは101×106psi(7.10×106kg
/cm2)であり、抵抗率は2.27マイクロ−オーム−メート
ルと測定され、密度は2.163であり、d間隔Co(004)は
3.377Åであった。繊維は3300℃に保ったオーブン中で
約1時間熱処理して、引張モジュラス123×106psi(8.6
5)、抵抗率1.81マイクロ−オーム−メートル、密度2.1
83g/ccとなった。
比較例D−Gの検討から、従来技術の炭素繊維を長時
間加熱することが、明らかにd間隔の減少によって示さ
れる通りに繊維の非晶質炭素特性を低下させることによ
って、かかる繊維の高電気抵抗率を減少させかつモジュ
ラスを向上させる働きをし得ることは明らかであると思
う。しかし、従来技術の繊維の性質は熱処理する間に極
限値に近づくようであり、かつ熱処理だけでの増大では
本発明の繊維が示すモジュラス及び熱的性質を有する炭
素繊維を提供するのに十分でないことがわかるものと思
う。
以上、本発明は密度が2.18g/cc以上であり、引張モジ
ュラスが実質的に120×106psi(8.44×106kg/cm2)を越
え、電気抵抗率が約1.6マイクロ−オーム−メートルよ
り小さいピッチベースの連続した炭素繊維であることが
わかるものと思う。一層特には、発明は密度が約2.18g/
cc〜結晶グラファイトの限界密度である約2.26g/ccの範
囲であり、引張モジュラスが約125×106〜約150×106ps
i(8.79×106〜10.5×106kg/cm2)の範囲であり、電気
抵抗率が1.5×約0.95の範囲の連続した炭素繊維であ
る。本発明の連続した炭素繊維の熱伝導率は約950〜約1
800w/m−゜Kの範囲にあり、通常約1000w/m−゜Kを越
え、一層好ましくは1100w/m−゜Kを越え、これより繊維
は良好な寸法安定性及び熱の放散が望まれる繊維強化複
合材料において用いるのに特に適している。本発明は更
にかかる炭素繊維の製造方法及びかかる炭素繊維を含む
複合材料を指向すものである。当業者ならば、特に本発
明の連続したピッチベースの炭素繊維を製造するために
記載したプロセスにおけるそれ以上の変更態様を発明の
精神及び範囲から逸脱しないでなし得ることを認めるも
のと思う。発明はただ特許請求の範囲に規定するもので
ある。

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】引張モジュラスが8.79×106〜10.5×106kg
    /cm2(125×106〜150×106psi)の範囲であり、電気抵
    抗率が1.6〜0.95マイクロ−オーム−メートルであり、
    密度が2.18〜2.26g/ccである連続した、ピッチベースの
    炭素繊維。
  2. 【請求項2】電気抵抗率が1.2マイクロ−オーム−メー
    トルより小さく、密度が2.2g/cc以上である特許請求の
    範囲第1項記載の炭素繊維。
  3. 【請求項3】熱伝導率が950〜1800w/m−゜Kより大きい
    特許請求の範囲第1項記載の炭素繊維。
  4. 【請求項4】(a)軟化点が345℃より高いメソフェー
    スピッチを溶融紡糸し、該溶融紡糸を395℃より高い温
    度で行って複数の連続ピッチ繊維を形成し、(b)該ピ
    ッチ繊維を硝酸水溶液で処理して不融性にし、(c)不
    融性にしたピッチ繊維を、実質的に不活性なガス雰囲気
    で行って3000℃より高い最終温度にする熱処理によって
    炭化する工程を含む引張モジュラス8.79×106〜10.5×1
    06kg/cm2(125×106〜150×106psi)、電気抵抗率1.6〜
    0.95マイクロ−オーム−メートル及び密度2.18〜2.26g/
    ccを有する連続したピッチベースの炭素繊維の製造方
    法。
  5. 【請求項5】前記熱処理を、前記不融性にした繊維をボ
    ビン上に巻取り及び該不融性にした繊維及びボビンを第
    1加熱工程で1000゜〜1600℃の範囲の第1温度に加熱
    し、次いで次の工程で3000゜〜3500℃の範囲の最終温度
    に加熱することによって行う特許請求の範囲第4項記載
    の方法。
  6. 【請求項6】前記熱処理を、前記不融性にした繊維をボ
    ビン上に巻取り及び該不融性にした繊維及びボビンを第
    1加熱工程で加熱して温度1000゜〜1600℃の範囲にし、
    更に該繊維をスレッドライン操作で加熱して温度1600゜
    〜3000℃の範囲にしてボビンに巻取ることによって処理
    し、次いで該繊維及びボビンを次の工程で加熱して最終
    温度3000゜〜3500℃の範囲にして行う特許請求の範囲第
    4項記載の方法。
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