JP2767378B2 - 鉱物溶解水の製造方法およびその装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、高温熱気により加熱溶
出された鉱物成分を原水中に溶解混入することで、例え
ば飲料水または温浴用等その他に適したミネラル成分を
多く含んだ鉱物溶解水を簡単迅速に、しかも連続して量
産することができる鉱物溶解水の製造方法およびその装
置に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来、天然鉱石を充填した濾過槽内に浴
水を通過せしめることで浴水中の不純物を除去するとと
もに、天然鉱石に含まれたミネラル群やイオン化した微
量元素成分を浴水中に溶出することで人体に有効な浴水
を作り出すことができる人工温泉装置は、本出願前、例
えば実公平２−５７８５号公報に記載されて公知であ
る。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】ところで、従前のこの
種人工温泉装置においては、低温の浴水を鉱石槽内を通
過せしめることで、鉱石中に含有されたミネラル成分を
浴水中に溶出して人体に有効な浴水を作り出そうとした
ものである。

【０００４】 しかしながら、鉱石中に含有されたミネラ
ル成分は低温度の浴水の単なる通過作用ではなかなか溶
出せず、たとえ溶出したとしてもその量は甚だ微々たる
ものであり、ほとんど皆無に近く実用に供し得ないとい
う問題点があった。

【０００５】 本発明は、同種あるいは異種の鉱物を高温
の熱気により直接加熱することで鉱物成分の溶出を促進
せしめるとともに、溶出された鉱物成分を高温熱気との
直接接触による熱交換で高温化された原水中に溶解混入
せしめ、簡単迅速に殺菌された鉱物溶解水を量産するこ
とができる鉱物溶解水の製造方法およびその装置を提供
することを目的としている。

【０００６】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明の鉱物溶解水の製造方法およびその装置にお
いては、第１項の製造方法を、同種あるいは異種の鉱物
に沿いながら流下する原水中に、高温熱気の直接加熱で
溶出された鉱物成分を溶解混入して鉱物溶解水を得るよ
うにしたものである。

【０００７】 また、第２項の製造装置を、鉱物溶解装置
本体の上段に、散水器および同種あるいは異種の鉱物を
収容した溶解室を、中段に、熱気噴出口をのぞませた熱
気室を、下段に散水器から鉱物に対し散水された原水中
に、高温熱気の直接加熱で溶出された鉱物成分が溶解混
入して得られた鉱物溶解水を貯留する貯留槽を順次立体
的に設けたものである。

【０００８】

【作用】溶解室内に同種あるいは異種の鉱物を多数充填
した後、熱気噴出口より高温度（本実施例にあっては約
１２００℃）の高温熱気を熱気室内に噴出すると同時に
散水器より原水を鉱物上に散水する。

【０００９】 さすれば、散水された原水は多数充填され
た同種あるいは異種の鉱物表面に沿いながら流下する過
程で熱気室より溶解室に向け上昇する高温熱気と直接接
触され、その熱交換作用で速やかに殺菌処理されながら
高温化される。

【００１０】 一方、溶解室内に充填された同種あるいは
異種の鉱物も上昇する高温の熱気により直接強烈に加熱
されるので、それぞれの鉱物中に含有されたミネラル成
分は速やかに溶出され、高温の原水中に連続して溶解混
入され、ミネラル成分を多く含んだ鉱物溶解水が得られ
る。

【００１１】 そして、得られた鉱物溶解水は熱気室内を
落水する際に上昇する高温熱気との直接熱交換作用で、
さらに高温化されると同時に、鉱物溶解水の一部は熱気
室の周囲に設けた貯水槽内に落水し貯留される間に高温
熱気の間接加熱作用で高温化された後、上端側より溢水
し、さきに溶解室より熱気室内に落水した鉱物溶解水と
混合されながら貯留槽内に落水した後、適宜の場所に給
水される。

【００１２】 したがって、原水の散水と高温熱気の噴出
を連続して行えば、殺菌された高温のしかも、それぞれ
の鉱物成分を含んだ鉱物溶解水を簡単、迅速に量産でき
るので、前記鉱物溶解水を例えば飲料水あるいは温浴水
その他の用途の水として直ちに使用できる。

【００１３】

【実施例】実施例について図面を参照して説明する。図
１ないし図４には、本発明に係る鉱物溶解水の製造方法
を実施させるための各種実施例の製造装置が示されてい
る。

【００１４】 図１および図２に示された第１実施例の製
造装置は、同種の鉱物６と異種の鉱物８とを区画された
状態のもとに溶解室２内に竪方向に沿い多数充填収容し
た場合であって、１は、断面形状を円形、多角形、その
他任意の断面形状とした竪長状を呈する鉱物溶解装置の
本体であって、該本体１の上段には溶解室２が設けられ
ており、前記溶解室２内の上部位置には原水を溶解室２
内へ均等に散水するための散水器３を配設するととも
に、散水器３より下方の溶解室２の底部側にはロストル
４を敷設して区画する。そして、区画された溶解室２内
には同種の鉱物６を充填収容した両端開放状の収容槽５
と、異種の鉱物８を充填収容した両端開放状の収容槽７
をそれぞれ並列状に収容せしめる。９は、本体１の中段
すなわち溶解室２の直下位置に設けた空洞状の熱気室で
あって、前記熱気室９の一側にはバーナ１０の熱気噴出
口１１をのぞませるとともに、熱気室９の内周には上端
側を開放した有底筒状の貯水槽１２が配設されている。
なお、熱気噴出口１１から噴出される熱気は、バーナの
燃焼ガスに限定されるものではない。１３は、本体１の
下段に配設された鉱物溶解水を貯留するための漏斗状を
呈する貯留槽であって、前記貯留槽１３は上端側を開放
状として熱気室９と接続するとともに、下部には排水口
１４が開口されている。１５は、本体１の頂部に設けた
排気口である。

【００１５】 なお、前記排水口１４には、給水ポンプ
（図示せず）を具えた給水管（図示せず）を接続して、
得られた鉱物溶解水を適宜の場所に給水できるようにし
てある。

【００１６】 図３に示された第２実施例の鉱物溶解水の
製造装置は、溶解室２内をロストル状の仕切体１６によ
り上下二段に仕切り、下段には多数の同種鉱物６を、ま
た上段には異種鉱物８をそれぞれ充填収容した以外の構
成は第１実施例の構成と同一である。

【００１７】 図４に示された第３実施例の鉱物溶解水の
製造装置は、溶解室２内に同種鉱物６と異種鉱物８とを
混合状態のもとに多数充填収容した以外の構成は第１実
施例の構成と同一である。

【００１８】 なお、本発明にいう同種鉱物とは例えば石
灰岩であり、また異種鉱物とは例えば方解石、斜長石、
岩塩等であって、その種類の選択、数量および組合せ等
は任意である。

【００１９】 次に、同種の鉱物の一例として石灰岩を溶
解室内に多数充填収容し、本発明の製造方法を使用して
原水を１回だけ流下させ、得られた鉱物溶解水の全硬度
およびカルシウム硬度を測定した実験結果は次のとおり
である。

【００２０】

【表１】 但し、上記表中に記載された通過水とは、溶解室内に充
填収容した石灰岩に原水を加熱することなく単に通過す
るように流下させた場合である。

【００２１】

【発明の効果】本発明は、以上説明したような方法と装
置を有するので、以下に記載されたような効果を奏す
る。

【００２２】 溶解 室内に充填された同種の鉱物を、熱気
室より溶解室に向け上昇する高温の熱気により直接加熱
したので、鉱物中に含有された成分は迅速かつ確実に溶
出が促進される許りか、溶出された鉱物成分は鉱物に沿
いながら溶解室内を流下する過程で上昇する高温熱気と
の直接接触による熱交換で高温化された原水中へ適確に
混入せしめ、有効的な鉱物溶解水を簡単な装置により連
続して量産することができるは勿論のこと、溶解室内に
数種の異種鉱物を充填した場合には、それぞれの鉱物が
含有する成分を同時に溶出し、これら成分が溶解混入さ
れた鉱物溶解水を簡単に量産できる外、鉱物溶解水は殺
菌されているので、例えば飲料水あるいは温浴水その他
の用途の水として有効に使用できる。

【図面の簡単な説明】

【図１】第１実施例に係る鉱物溶解水製造装置の縦断正
面図である。

【図２】図１におけるＡ−Ａ線矢視方向の横断平面図で
ある。

【図３】第２実施例に係る鉱物溶解水製造装置の縦断正
面図である。

【図４】一部を切欠した第３実施例に係る鉱物溶解水製
造装置の縦断正面図である。

【符号の説明】

１ 鉱物溶解装置の本体 ２ 溶解室 ３ 散水器 ６ 同種の鉱物 ８ 異種の鉱物 ９ 熱気室 １０ バーナ １１ 熱気噴出口 １３ 貯留槽

Claims (2)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 同種あるいは異種の鉱物に沿いながら流
   下する原水中に、高温熱気の直接加熱で溶出された鉱物
   成分を溶解混入して鉱物溶解水を得るようにしたことを
   特徴とする鉱物溶解水の製造方法。
2. 【請求項２】 鉱物溶解装置本体の上段に、散水器およ
   び同種あるいは異種の鉱物を収容した溶解室を、中段
   に、熱気噴出口をのぞませた熱気室を、下段に散水器か
   ら鉱物に対し散水された原水中に、高温熱気の直接加熱
   で溶出された鉱物成分が溶解混入して得られた鉱物溶解
   水を貯留する貯留槽を順次立体的に設けたことを特徴と
   する鉱物溶解水の製造装置。